北海道新幹線効果の可能性を倶知安駅に見る

久々に倶知安駅に立ち寄ってみたら、駅の裏側で何やら線路の敷設らしき工事が行われておりました。

もしかして、もう新幹線の軌道敷設工事が始まったのかと思ったものの、工事看板を見ると『北海道新幹線倶知安駅支障移転』とあったので、どうも違うようだった。

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 駅前通りから見た倶知安駅の駅舎。

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 駅の裏側では道床の新設らしき工事が。

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 駅南側の跨線橋から道床工事を見る。

2030年度開業を目指して目下工事中の北海道新幹線。その倶知安駅は現倶知安駅に併設されることになっている。

この工事は新幹線の倶知安駅ではなく、新幹線駅設置工事のために、現在線とホームを西側に移設させるための工事なのだった。
新幹線の線路と駅は、現在の線路とホームがある場所に建設される。
当初は地平駅で建設される計画だったが、高架線に変更されている。

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 ここに新幹線の高架橋が建設される(駅北側の踏切から)

北海道建設新聞によると、倶知安駅を中心とした約1.5kmが移転となる。
現駅舎は残して、新設するホームとは屋根付き廊下で結ばれるようだ。

 2019年08月26日 12時00分 北海道建設新聞

線路切り替えは2021年秋ごろで、現在のホームと線路は2022年に撤去し、そのあとに新幹線の高架橋の建設工事が始まることになる。
最終的には現在の2階建て駅舎も解体され、新駅の駅前広場の一部となるようだ。

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 駅周辺施設整備イメージ(北海道新幹線倶知安駅新駅周辺整備構想倶知安町より引用)

新幹線が開業すれば並行在来線はJRからは切り離されるが、廃止の話はまだ出ていないので、一応ホームと線路は仮設ではなく恒久的なものということになる。

新幹線札幌延伸の並行在来線は、函館〜長万部間は貨物列車の走行のために第三セクター鉄道が経営を引き継ぐことは確実だ。
しかし、山線と呼ばれる長万部〜小樽間はかなり厳しい。それでも余市〜小樽間は利用客もそれなりにあり、朝夕の列車はまとまった乗客もあるので三セクでの存続もありうるが、特に列車本数も利用者数も激減する長万部〜倶知安間はかなり厳しいものとなる。

鉄道の廃止となると沿線町村はまず絶対反対の立場を取るが、倶知安町だけは立場が別のようで、倶知安町のホームページにある『北海道新幹線倶知安駅新駅周辺整備構想』には、倶知安駅周辺の新幹線開業時以降(将来像)をイメージした図面が掲載されているが、在来線廃止の場合と存続の場合の2パターンが用意されているのは興味深い。
高架での新幹線建設が決定したのに、在来線は地平のままとされているので、せっかく新幹線ができても在来線で町が分断されるのを疎ましく思っているフシも見え隠れするのだが・・・

それはともかく、倶知安駅の裏で始まった工事を見ていると、ようやく新幹線が本当に来るんだなと思いが湧いてきた。

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 北海道新幹線概要図(鉄道・運輸機構のパンフレットより引用)

新幹線札幌延伸開業まで予定通りならばあと10年後ということになる。まだまだ先の気の長い話だが、これからぼちぼちと新幹線の形が見え始めるのだろう。

北海道新幹線の新函館北斗開業の結果は散々たるものだが、あれは余りに中途半端な恰好での開業を余儀なくされたからで、やはり札幌まで開通してからが本領発揮であろう。
新函館北斗駅がなぜあんな場所(失礼ながら)に出来たのかというと、北海道新幹線がとにかく札幌を目指したからということに他ならない。

とはいえ、札幌延伸開業が実現したら、東京〜札幌間の所要時間は5時間14分、本数は1日片道17本という計画になっている。
延伸区間の最高速度を260km/hから320km/hに引き上げられることが決定しているが、それによる時間短縮は5分とのこと。
青函トンネルの貨物列車共用走行区間での140km/h走行が260km/hに引き上げられれば4時間台ということも可能になるのだが、物流の要である貨物列車をなくすわけにはいかないし、第2の青函トンネルというのも難しいだろう。

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 北海道新幹線の所要時間。
(国土交通省鉄道局『収支採算性及び投資効果に関する詳細資料』より引用)

東京〜札幌間の最速所要時間は5時間14分。これは少し古い平成24年のデータなので、現在(2020年)の試算では同区間の所要時間は5時間1分とされている。
所要時間5時間超えでは航空機との競争では全く話にならない。
北海道新幹線が悲観的な見方が多いのは、東京〜札幌間の所要時間ばかりに気を取られているからだろう。

これは東京から見るからそうなるのであって、逆に札幌から見てみよう。
上の表から札幌から各地への所要時間を作成すると以下のようになる。

札幌からの所要時間
(最速列車を仮定) 
区間
所要時間
札幌〜新小樽0:11
札幌〜倶知安0:25
札幌〜長万部0:38
札幌〜新八雲0:54
札幌〜新函館北斗1:04
札幌〜新青森2:04
札幌〜盛岡2:52
札幌〜仙台3:32
札幌〜東京5:03
 (筆者作成)

札幌〜新函館北斗間は上記の表から算定、新函館北斗〜東京間は現在(2020年8月)での最速列車に札幌〜新函館間の所要時間をプラスしたもの。

札幌〜東京間ということで見れば不満だが、札幌発着で道南や東北へということで見れば満足のいく所要時間ではなかろうか。
特に札幌〜函館間では、これに快速『はこだてライナー』の所要時間と乗り継ぎ時間を合わせても1時間40分程度となる。
所要時間だけ見れば、札幌からの距離感は旭川や室蘭と同等ということになり、函館から札幌への通勤も可能となる。

現在は札幌〜函館間の航空路線は、千歳・丘珠便合わせて1日片道7〜8便があるが、新幹線開業後は同区間からの撤退は間違いないところだろう。
札幌〜青森・三沢・花巻あたりの航空路線も、休止や撤退とまではいかなくても大幅な減便が考えられる。

その航空機の乗客は間違いなく新幹線へ移行する。本州や九州の新幹線と違って、本州〜北海道間はほかに選択できる陸上交通機関が存在しないのだから。
仙台は微妙なところだが、スピードアップによって3時間台前半くらいになれば完全にシェア逆転にできるだろう。
ただ、上の表は最速列車での想定なので、実際は列車によって10〜20分程度の開きがある。

札幌〜新函館北斗間では320km/h引き上げ化により5分程度短縮されることになる。東北新幹線区間も宇都宮以北で360km/h化することが決定していて、また青函共用区間でも、貨物列車と競合しない列車限定で260km/h運転とすることも検討され、2030年の札幌開業時には東京〜札幌間で最速4時間半台というのも実現しているのかもしれない。

とにかく筆者が言いたいことは、東京からの視点で見れば役に立たない新幹線と判断されかねないが、逆に札幌からの視点で見ると正反対の形で見えてくるということだ。
とかく東京〜札幌間の所要時間だけに振り回されがちな北海道新幹線だが、東北〜北海道間とか道南(特に函館)〜札幌間の時間短縮効果も素晴らしいものがある。

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 途中駅の新幹線ホームのイメージ(新函館北斗駅で2016年撮影)

話を倶知安駅に戻します。

新幹線の倶知安駅は札幌から営業キロで70km、新幹線の所要時間25分は、日帰りの観光地としては最適ではないだろうか。
道の駅的な集客施設も併設すれば、車の観光客も必ず立ち寄る手軽な観光拠点となることは間違いない。
新幹線通勤も可能なので、札幌の新しいベッドタウンとなる期待もできる。

新幹線で倶知安入りが想定される観光客の筆頭はインバウンドだろう。ニセコのブランド名で一番発展している倶知安町山田地区は駅から結構離れているという欠点はあるが、新千歳空港からでも東京からでも便利にはなる。

しかし今回のコロナ禍で、インバウンド・バブルで栄えたところは、これからどうなるかわからなくなってしまったわけで、インバウンドビジネスは、ハイリスクも伴うということがわかってしまったし、あんなバブル的なものは当てにしてはいけない。
今回のコロナが収束しても、また新たな感染病の世界的流行や、あるいは外交問題や戦争といったこともリスクとして想定しなければならない時代になりつつある。

そんな物騒な話は想定しなくても、倶知安町周辺の羊蹄山麓は景色も素晴らしいし素敵な観光地も地味にたくさんある。
ニセコ周辺は温泉が多いし、天気が良い日は羊蹄山を見ながらドライブしていたら気持ちが良いしね。

ニセコや羊蹄山といえばイメージは良いけど、改めてスキー場以外で有名な観光地は何かあったかと考えたが思い浮かばなかった。しかし、新幹線が来ればイメージの良さで観光客が増えそうな気がする。

イメージって大事ですよ

富良野は、平凡な農業町だったのがTVドラマのイメージで、年間100万人以上もの観光客が訪れる道内屈指の観光地にまで成長した例だ。
美瑛は、ただの畑だったところが美瑛の丘というイメージで全国区で有名になった例もある。
イメージだけではなく、関係者の努力でそうなったことは言うまでもないが。

で、倶知安駅である。ニセコや羊蹄山麓周辺だけでなく、少し足を延ばせば南に洞爺湖、北に積丹といった観光地にも事欠かない。
富良野や美瑛と同じように農産物も豊富だし、羊蹄山を源とする名水の産地でもある。

東京からは微妙だが仙台以北から倶知安へは十分日帰り圏となるわけで、倶知安駅まで新幹線で来てレンタカーで観光なんてスタイルも定着するかも。
今まではスキーばかりが有名だったが、冬以外も全国的な観光地となる可能性は秘めていると思う。


もう1つ、観光だけではなく倶知安駅付近は新幹線からの車窓が楽しめる数少ない区間となる。
建設中の北海道新幹線は、新函館北斗〜札幌間212kmのうち、8割がトンネル区間というモグラ路線。
そのうち、倶知安駅の前後約9kmほどが数少ないまとまった明かり区間となる。

9kmの距離は320km/hで通過すると僅か1分41秒で通り過ぎてしまうが、天気が良ければ高架橋から羊蹄山が良く見えそうだ。
羊蹄山をバックに走る新幹線てのは、北海道新幹線のシンボルにもなりそうなほど良いアングルだろう。

とにかく、北海道新幹線倶知安駅開業による経済効果は計り知れないものがあると筆者は見ている。

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 倶知安駅から見える羊蹄山(2007年5月撮影)

さて、この倶知安駅まで札幌から新幹線で行くとするといくらになるんだろうか。

これを現在の運賃体系に当てはめてみると、特急料金は距離が近い奥津軽いまべつ〜木古内間と同様とすると2,030円(立席)、運賃は1,490円で合計3520円(2020年現在)とチト高め。
トクだ値の40%割引ならば2,430円。これはもう少し割引してほしいところ。

もう1つ気にかかるのは、倶知安駅の駅名。
最近の新幹線の駅名はやたらと2つ以上のものを合体させたがる傾向にある。
新函館北斗とか七戸十和田などがその例。中には有名観光地をくっつけたり町の特産品をくっつけて駅名としたところもある。
駅名はシンボルとなるものなので、駅名にいろいろ盛り込みたいのはわかるが、長くなるし逆に覚えづらくなって逆効果なのだが。

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 この駅名もすったもんだの果てに決まった(2016年新函館北斗駅で撮影)

いまや世界中から倶知安へ観光客が来るようになったが(コロナ前の話)、彼らが目指して来るのは倶知安ではなくニセコ。
いまやニセコは世界のブランド名となった。
こうなると駅名に『ニセコ』を入れてほしいという勢力が出てくるだろう。

インバウンド目当てであれば新ニセコ(New Niseko)駅というのはあり得るが、これは最悪
倶知安ニセコ駅なんてありえそうだが、個人的には観光バブルに迎合した感があって嫌だなあ。
周辺町村からは羊蹄も入れろと言ってきたりして、倶知安ニセコ羊蹄駅って、観光ガイドの題名ならばともかく、だめだこんな名前覚えられない。

往年のイメージが残る鉄道ファンの筆者としては、函館本線の鉄道の要衝でもあり機関区もあった倶知安の駅名は守ってほしいところだ。

しかし懸念がひとつあって、並行在来線廃止の引き換え条件としてニセコ町あたりが駅名にニセコを入れることを提示してくることは考えられる。

その場合の折衷案としてひとつ筆者の妙案があって、駅名は倶知安として、ニセコの名前は列車名にしたらいい
札幌〜新函館北斗間に区間運転の列車が設定されるだろうから、
その列車名を『ニセコ』とすればイメージもピッタリな気がするのだがいかがだろう。

北海道新幹線ルートを先取りするためか、臨時特急『ニセコ』号も運転されるようになったし。
あのヘッドマークは廃止になった急行『ニセコ』からの流用だが、デザインは倶知安付近から見える羊蹄山をあしらったものだ。

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 『ニセコ』のヘッドマーク(JR北海道のHPより引用)


新幹線初のカタカナ名列車ということになるが、ニセコ駅だって改称した当時は国鉄初のカタカナ駅だったので別にいいんじゃないかね。

以上、倶知安駅で見た新幹線関連工事のついでに、北海道新幹線について思うことを綴ってみました。
最後までお読みくださいましてありがとうございました。

PS、キーボードに『新函館北斗』と打つのが結構めんどい・・・

posted by pupupukaya at 20/08/15 | Comment(0) | 北海道の駅鉄

大量輸送時代の遺産 静修学園前停留場

普通は路面電車停留場といえば交差点を挟んで千鳥に設置され、片方が横断歩道に接するようになっていることが多い。
ところが、札幌市電はそうでない停留場がいくつか存在していて、静修学園前停留場もその1つ。

一方の停留場は交差点の横断歩道に接するように設けられているが、もう一方の停留場は渡り線を挟むように千鳥で設けられている。
このような構造は札幌市電特有なのだろうか。他所の路面電車ではこういう停留場の配置は見かけない。

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 渡り線を挟む構造の静修学園前停留場。

なぜこうなったかというと、これは電車の折り返し運転を便利にするため。
交差点の手前に渡り線を設けることで、ここが終点の電車は乗客を降ろすとすぐに転線し、反対側の停留場の乗客をのせて折り返し出発することができるというもの。
反面、一方の停留場は横断歩道に接することができないわけで、乗り降りに危険が伴うデメリットもある。

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 内回り停留場は横断歩道がないので柵に注意喚起がある。

これが、西線16条のように交差点の向こう側に折り返し線があると、乗客を降ろしてから一旦交差点の向こう側まで行って転線し、反対側の停留場で乗客を乗せる。この間に1〜2回の赤信号待ちを余儀なくされるわけで、ダイヤ上は朝ラッシュ時に運行される西線16条折り返し便は、折り返し時間に7〜8分を要している。
これは遅れ時間の吸収など余裕時間を含んでいるからで、それがなくても折り返しに最短でも3〜4分はかかるものと思われる。

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 ポイントの可動部分は曲線側に固定されている。

それがこの静修学園前タイプの停留場ならば赤信号にも左右されず、ものの1〜2分で折り返しができる。
地下鉄開業前、大量輸送時代のラッシュ時の運行には威力を発揮したものだろう。
特に2系統の北24条〜教育大学前は最混雑路線で、ラッシュ時は2系統の臨時として北24条〜静修学園前間に連結車が多数運行されていた。

試しに、当時山鼻線の朝ラッシュ時はどれくらいの本数が運行されていたのかを以下の過去記事から拾ってみよう。


昔の市電は今のように停留場に運行時刻表が掲示されていたわけではないので、どのようなダイヤだったのかはわからない。
『昭和45年度夏季ダイヤ電車系統別配車表』というものに運転間隔が記載されているので、そこから推定してみる。
地下鉄南北線開業が翌46年の12月なので、まさしく札幌市電最盛期のものと言える。

山鼻線のすすきの〜教育大学前(現:中央図書館前)間に乗り入れていた系統は2系統8系統
2系統北24条〜教育大学間の運行、8系統は昭和40年に運行を開始した苗穂駅〜すすきの〜教育大学〜西線〜丸井前という環状線だった。それまで別系統に分断されていた山鼻線と西線を直通するという、地下鉄開業後の短縮路線の前身でもある。

まず8系統11分54秒間隔。意外と間延びしている。
これは、運行区間が長すぎてダイヤの維持が困難なことから、運行開始の翌年には8系統のうち半分は従来通り残して、もう半分は苗穂駅〜すすきの、丸井前〜教育大学という途中折り返し便に分けたことからである。
それでも具合が悪かったようで、昭和45年8月からは苗穂系統を苗穂〜静修間の4系統として独立させ、運行区間は三越前〜教育大〜丸井前に短縮することになった

そんなわけで、山鼻線の主力は2系統だった。
朝ラッシュ時の運行間隔は北24条〜教育大学の便が5分32秒間隔(1h当たり11本)。臨時2系統の北24条〜静修学園の便が3分24秒間隔(1h当たり17本)。
8系統と合わせると1時間当たり33本もの電車が山鼻線に乗り入れ、そのうち17本は静修学園前で折り返していたことになる。しかも臨時2系統の車両のうち半分は連結車が投入されていた。

到着したらすぐに折り返して発車ができる静修学園前停留場の構造は、遺憾なく発揮されたことだろう。

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 路線縮小直前の1970(昭和45)年8月からの札幌市電路線図。(交通資料館にあったもの)

現在のダイヤでは静修学園前で折り返す電車は1本も無い。少なくとも、西4丁目〜すすきの間の路線になってからは、通常ダイヤでここで折り返す電車は無くなり、この渡り線が使用されることもほとんど無いようである。

90年代に今の屋根付きの停留場に改修されたが、移設されることはなかった。この構造は輸送障害時に両方向への折り返し運転が可能ということで残されたのだと思われる。

例えば現在西4丁目停留場にある渡り線は、すすきの方向からの折り返しには対応できるが、逆側からの折り返しには対応できない。毎朝見られる西4丁目折り返しの電車は乗客を降ろしても乗せることができず、やむなく次の西8丁目始発としている。

ところで、一時期ちょっと静修学園前折り返し電車を期待したことがあった。
筆者の利用する山鼻線は、ループ化された当初は冬ということもあってか朝ラッシュ時などかなり混雑するようになり、しばしば積み残しも発生するようになった。
そんなわけで、朝は静修学園折り返しの便でもできないかなと思っていたのだが、そこまで混むのは最初のうちだけで、次第に1台で賄えるほどになってしまい、増便の希望も消えてしまった。

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 信号も横断歩道も無く、乗降客からも車からも冷や冷やする箇所。

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 一応電車が停車中は標識に乗降中のサインが出る。

ラッシュ時の折り返し運転には威力を発揮したこのような構造も、すっかり無用の長物となって久しい。
信号もなく横断歩道にも接していない内回り停留場は危険なだけだ。
利用者も危ない思いをするし、逆に車でここを通っても運転していて冷や冷やする場所だ。

何年か前から札幌市電の停留場の改修工事が行われている。
去年(2019年)は中央図書館前の停留場が対象となって、やはり横断歩道のない外回り停留場が交差点側に移設された。

ここ静修学園前停留場も改修工事の番が回ってきたようで、南16条の交差点南側では、新たな停留場(安全地帯)の設置工事が始まっていた。

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 停留場の新設工事が始まった南16条静修学園前の交差点。

これが完成すれば、ここも札幌市電標準の交差点の手前に停留場がある構造になる。

以前に、交差点を通り過ぎた先に停留場を設ければ無駄な信号待ちが無くなって良いんじゃない、と書いたことがあるが、札幌の場合大体400mくらいごとに停留場があるので、前の停留場を青信号でスタートしても次の停留場につく頃にはまたちょうど赤信号という具合になるので、やっぱり今のままがいいのかなという気がする。

この工事と合わせて外回り停留場も改修工事を行うようで、『8月19日より停留場はあちらに移動します』との看板があった。
あちらとは交差点の向こう側。
他の停留場の改修工事と同じように、交差点の向こう側に仮設の停留場を設けて、その間に既設の停留場を新しくするというもの。
工事看板の工期を見ると『令和2年11月24日まで』とあったので完成はその頃らしい。

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 変わった構造は大量輸送時代の遺産なのだった。

ここで連結車が次々に折り返して行ったんだなというのは想像するしかない。
途中折り返しは今でも西線16条や西線11条で見ることができるが、あんなのんびりしているものではない。
1時間当たり33本、2分以下の間隔で電車がやってくる中での折り返しは時間との戦いだっただろう。

だれも気付く人はいないが、路面電車の大量輸送時代の遺物というか遺産がまた1つ無くなるのだった。

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 幌南小学校前停留場も静修学園前と同様の構造。(2017年撮影)

そんな札幌独自の停留場。残るはあと1つ。幌南小学校前停留場。
ここもそう遠くないうちに改修されるものと思われる。

ここはそもそも交差点に面していない場所にあって、改修に当たって南21条交差点側に移設するのか、それとも場所は今のままで新たに信号機と横断歩道が設けられるのか。
南21条側に移動したほうが便利にはなると思う。ショッピングセンターも近くに出来たしね。

〜最後までお読みいただきましてありがとうございました。


posted by pupupukaya at 20/08/10 | Comment(0) | 札幌市電

2020年礼文島旅行記7 礼文島から札幌まで

 ◆ 礼文島→利尻島→稚内(サイプリア宗谷)

香深13:25発稚内行のフェリーに乗れば、稚内では1時間26分の接続で札幌行特急『宗谷』に乗り継ぐことができる。

当初は朝8:55発の便でと考えていたのだが、稚内からの特急サロベツがコロナ運休になってしまい、稚内でほぼ半日過ごすことになるなと思ったが、乗り継ぎを調べると午後の便でもその日のうちに札幌に着くことがわかった。

宗谷本線の特急2往復が旭川短縮になったことによる車両繰りの関係で、朝の時刻が繰り上がり、夜の時刻が繰り下がってずいぶん使いづらいダイヤになったものだなと思っていた。
しかし、このおかげで利尻礼文へのフェリーとの乗り継ぎが相当改善されたという思わぬ効果あったことを今回の旅行で発見した。

それまでは朝イチの便で香深を出発して、特急サロベツに乗り継ぐしか札幌へ日着できなかった。しかも稚内で3時間近い接続時間があり、先に高速バスがフェリーの客を乗せて札幌へ向かうのでは、対札幌に関してはJRの出る幕はなかったことだろう。
それが、昼のサロベツの稚内発が繰り上がって接続時間が短くなり、夜の宗谷の稚内発が繰り下がったことにより昼のフェリー便に接続が可能となった。

また、稚内駅が新しくなってから、それまで駅正面から出て踏切を渡って行かなければならなかったフェリーターミナルへの道も大分ショートカットされて近くなっている。

皆様も利尻礼文への旅行の際には、

JR特急の利用も検討されてはいかがでしょうか。

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 稚内からの乗船客が下船。だんだん観光客も増えているようだ。 

13:00に稚内からの便が到着して、乗船客がぞろぞろと出てくる。『どうみん割り』の効果なのかはわからないが意外と多く降りてくる。
フェリーは朝と夕方の便はそれそれの島に直行するが、昼の1往復だけはどちら行も利尻島に寄港する便となっている。
利尻島と礼文島を直接結ぶ唯一の便でもある。利尻空港に着いて1泊してから礼文島へという場合はこの便に乗るしかない。

こんど13:25発稚内行の便も利尻島に寄港する便となる。
直行ならば香深〜稚内間は1時間55分だが、昼間の寄港便は2時間50分かかる。
船に弱い人は敬遠したい便だろうが、基本的に乗り物に乗っているのが好きな私などには楽しい便だ。ちょっとだけど利尻島も見ることができるし。

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 乗船開始。いってらっしゃい!礼文島へまたお越し下さい。

13時15分に乗船開始となる。
船内に入ると、行きに乗った船とは違って椅子席がメインだった。船首のほうにカーペット敷きのスペースもあって、どっちも2等の乗船券で利用できる。
どうせ半分くらいの時間は甲板で過ごすので、空いている席に荷物だけ置いて外に出る。

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 サイプリア宗谷の客室は椅子席がメインだった。

下にはどこかの宿なのかサークルなのか、見送りの人が10人ほどかたまって手を振っている。
名物の桃岩荘の見送りではない。あっちは今年の営業は休止とホームページにあった。

3年前に来たときは『遠い世界に』の熱唱と、ふしぎな踊り(ドラクエかよ)で盛大に見送ってくれたが、残念ながら今年は無し。

もっとも、あの中に加わりたいとは思わないが・・・(^^;

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 どこかの見送りがあった。

誰だかわからない見送り人たちは、小さく見えなくなるまで手を振り続けていた。
これで4泊5日過ごした礼文島ともお別れ、少しセンチメンタルな気分にもなる。

同じ北海道内なのだから、来たくなればいつでも来れるんだけどね。
車なら0泊2日で行くこともできるし。
秋あたりにまた行っちゃうかもしれないね。

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 さようなら礼文島。

礼文島に別れを告げて、船が一路目指すは利尻島。
これもまたこの時期は滅多に姿を現さない利尻富士がくっきりと見える。
しかも船上からは順光。火山の荒々しい岩陰まではっきりとあらわになっている。

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 船は寄港地の利尻島へ向かう。

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 海上から見る利尻富士の秀麗な姿。

利尻富士に見とれているうちに利尻島の鴛泊(おしどまり)に入港する。
意外と下船客が多く、1/3ほどは下船して行った。といっても全体の客が少ないので大した人数ではないが。
代わりに乗船してきた人はそれよりも少なく、香深を出たときよりも船内は空くことになった。
利尻島は利尻空港があり、千歳と丘珠にそれぞれ直行便があるので、そちらを利用する人が多いのだろう。

礼文島にも空港はあるが、稚内から利尻と礼文に飛んでいた飛行機が千歳と丘珠発着に改められてからは礼文空港は休止ということになっている。

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 鴛泊港では25分の停泊。

鴛泊では車を何台か積み込む。車だけはフェリーでしか運べないし、物流の主役はフェリーである。
最後にトラックを乗せたら終わり。車も人も少ないので、作業員は25分間の停泊時間も持て余し気味だ。

それでも早く出ることはしないで、出航時間になると腕時計の秒針がジャストを示すと同時に係船ロープを緩めた。
こんな離島でも1分1秒の正確さを見ていると、ここは日本だなあと思う。

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 利尻島をあとに稚内へ。

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 利尻も礼文もすっかり小さくなった。

秀麗な利尻富士もだんだん遠ざかる。
礼文島を出たときは順光でくっきり姿を見せていたが、利尻を出港すると逆光になってしまい、あとはシルエットとなってしまった。

かわって水平線に見えてくるのが北海道の島影。
北海道ってあんなに平べったかったかなあと思う。道北地方はあまり高い山がないからなのだろう。稚内半島で一番高いところでも200m程度しかない。

何年か前、北海道の熊が泳いで利尻島に渡って、また泳いで北海道に戻ったということがあったなあ。
あの熊も同じ島影を目指して泳いだのかなあ、なんて思った。

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 ノシャップ岬が近づく。

15時40分ごろ、稚内半島がもう近くに見えてくる。もうすぐ稚内かと思うが、到着までまだ40分もある。
宗谷岬の方の丘の上にはこれでもかってほど風力発電の風車が立っている。
そういえば礼文島では1基も見なかった。
あんなもの立ってれば景観は台無しだな。近くだと騒音も相当なものだし。

いつだったか、風力発電の風車の下でキャンプしてからあれは嫌いになった。

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 稚内へ戻ってきた。

16時15分、稚内フェリーターミナルに接岸し下船する。
コンコースは出迎える人もなくガランとしていた。
フェリーターミナルの出口にはタクシーが下船客を待っていた。あまりタクシーに向かう人はいない。
客が少ないのと、駅が近くなってタクシーに乗るほどの距離じゃなくなってしまったのもある。

札幌行の高速バスはフェリーターミナルから直接発車する。次の便は16:40発で、これに乗れば札幌には22:30着と特急宗谷を待つよりも30分近く着く。こっちの方が安いし、やっぱりフェリーの客はこっちに流れてしまうのだろうか。

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 タクシーが並ぶ稚内フェリーターミナル。

フェリーターミナルから稚内へ向かう人たちも10人くらいはいたようだ。
ここから稚内駅までは700mほどの距離。歩くのが早い人なら7〜8分といったところ。


 ◆ 稚内→札幌 特急宗谷飲み鉄旅

駅に着いたらまず指定席の確保。
持っている切符は6日間有効の『指定席往復割引きっぷ(Rきっぷ)』。
行きは買ったときに座席指定しておいたが、帰りは指定してない状態だった。別に自由席でもがら空きだろうが、せっかくなので指定席にしておく。

こんな稚内駅にも指定券の券売機が置かれるようになっていた。
窓口でも指定券は発行してもらえるが、機械だと自分で座席表で好きな席を選択できるので便利だ。
座席表を見て、なるべく人から離れた席を選択する。
ソーシャルディスタンスというのもあるけど、稚内から札幌まではずっと飲んで行こうと決めていたからだ。

車じゃないから、堂々と飲んで行ける。それに金曜の夜だから許してもらえるんじゃないか。
たくさん飲めば匂いもするだろうし、それには人がいない方が良い。
バスならばこうはいかないしね。

そういうわけで酒とつまみを調達してくる。
駅の向かいにはスーパーがあって、惣菜に食指が動くが、こんなパックを車内で並べたらかえってむなしくなるだろうな。
駅弁があれば一番いいのだが、道の駅の売店キタカラに駅弁は休止中との張り紙が出ていた。
結局セイコーマートとキタカラで酒とつまみを仕入れた。

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 特急宗谷の改札が始まった稚内駅。

17時半を過ぎて改札が始まる。
改札口を通ったのは僅か10数人。これが始発稚内からの乗客全員となる。

特急が全て札幌発着だった頃は17:00発スーパー宗谷3号だったのが、唯一の札幌行となってからは17:46発に繰り下がっている。札幌着が22時過ぎに到着だったのが23時近くになってしまったので、稚内だけの用で来たのなら不便なダイヤという感は否めない。
その前は13:01発のサロベツしかないし、その間は普通列車すらない状態。
反面、利尻礼文からのフェリーが接続できるようになった面もあるのだが。

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 唯一の札幌行になる特急宗谷。

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 稚内発車時の車内。札幌まで乗車率はあまり変わらなかった。

一番後ろの席に陣取っている2人の鉄道ファンらしい兄さんたちの話し声が気になるが、まあこっちも酒を飲ませてもらうのでまあええわい。これはしばらくすると静かになった。

列車は次の南稚内へ。
この駅から何人か乗ってきたが、ほとんどは自由席の方の客だった。
車内はさっき見た券売機の座席表通りにがら空き状態で南稚内を発車する。

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 南稚内は地元の人の利用が多い。

南稚内を出ると、買ってきたつまみをテーブルに並べて1人酒宴を始めることにする。
ビールはぬるくならないように保温袋に入れてきた。

『わっかないし出汁之介』というホッケの燻製は意外とビールに合うな。

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 札幌までは飲みながら。

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 ビールは保温バッグに入れて。

車窓から利尻富士を見ようと進行右側の席を取ったのだが、こっち側は西日がモロに差し込んで来る。
宗谷本線で日本海が見える唯一の場所では、利尻、礼文両島のシルエットがくっきりと見えた。

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 南稚内〜抜海間のビュースポットから見えた利尻島と礼文島。

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 利尻富士のシルエットがずっと追いかけてくる。徳満〜豊富間。

もう食堂車も車内販売も無いが、こうして乗車前に準備しておけば座席は食堂車にも居酒屋にもなる。

ビール2本飲んで飽きてきたから今度はワンカップ。
おいちーずといって裂いたチーズを燻製状にした珍味が意外とワンカップに合うのだった。

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 次はワンカップだ。おいチーズが意外と日本酒に合う。

豊富では自由席から数人の下車があった。高校生の姿も見える。
稚内と豊富の間は町民限定の乗車票というのがあって、それだと特急が普通運賃の10円増しの片道1,140円で利用できるので重宝されているようだ。

かつては稚内発の帰宅時間帯の普通列車は14時台、17時台、19時台だったものが普通列車削減で17時台と19時台に集約され、さらに特急の旭川短縮による特急宗谷の時刻繰り下げにより、17時台だった普通列車は18時台に繰り下げられてしまった。
かつては稚内への通学や通院、買い物などで使い分けられていた稚内からの帰宅列車も、特急を除けば18時台と20時台だけになってしまって久しい。

こんな状況では普通列車の利用者も極端に減って、宗谷本線では利用客の極端に少ない13駅が来年3月で廃止になることが決まっている。

駅とか鉄道の廃止というと、とかく地域住民を切り捨てるような話になってしまいがちだが、実際は廃止が決定すれば代替輸送が用意されることになる。その運営は自治体にしろバス会社にしろ、バスによる運行ならば通学や通院に合わせたきめ細やかな便が設定できる。江差線のようにバス化したほうが逆に利用客が増えた例もある。

地域輸送をいつまでも鉄道にこだわっていると、逆に住民に不便を強いることにもなりかねない。

宗谷本線稚内口の例では、帰宅するには18時過ぎの列車まで待たなければならない不便な鉄道。
思い切って廃止すれば、利用実態に合わせて運行できる代替バスの運行になる。どちらが地元住民にとって便利かは明白だ。

それで考えると、宗谷本線北部の地域輸送はバスなどに譲り、石勝線のように都市間輸送専用の路線とするのも、宗谷本線を存続させる1つの方法かもしれない。

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 西日に染まった黄金色の空と利尻富士。豊富〜下沼間。

礼文島にいるときは観光客気分だったが、また戻ってきて列車に乗ると、いやでもJR北海道の、また宗谷本線の厳しい現実を見せつけられる。

幌延を出るとだいぶ日も傾いてきて夕焼け空になった。もうそろそろ利尻富士も夕日も見納めだ。

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 夕日が傾いてくる。南幌延〜安牛間。

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 天塩川の向こうに月が見え始めた。

雄信内を通過するあたりから山峡を行くので日が暮れたように感じるが、今日の日の入りは19時25分(稚内市)。天塩中川の少し先あたりとなる。
音威子府まで来ると空も暗くなり始めた。

なぜか音威子府の駅名を見ると里まで下りてきたような感覚になる。
急行時代は、この駅に着くとホームの乗車位置には乗客が並んでいたのを思い出す。
ここはオホーツク側の浜頓別や枝幸からのバスが発着していたので、そっち方面からの乗り換え客が多かったのだ。
それも、それぞれ旭川や札幌に直通バスが走るようになってからは過去のものになったようだ。

里らしさを感じたのは、きっと稚内方面とは違う客がたくさん乗ってきたので、ここから車内の空気が変わったからなんじゃないかと思う。
今はそんなことも無くなってしまった。

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 19時50分、音威子府着。空はまだまだ明るい。

美深ですっかり暗くなる。
名寄で少しは乗ってくるのかとおもったが、自由席の方に何人か乗っただけだった。

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 20時37分名寄着。さすがにもう空も暗くなった。

名寄を発車すると眠ってしまい、気が付くと岩見沢だった。
この指定席の乗車率は、旭川で少し入れ替わったようだが、稚内始発時とそう変わってはいなかった。

いまはコロナウイルス禍による需要減少ということで、鉄道に限らずバスも飛行機も乗客減がひどいが、コロナウイルスが収束したら乗客が戻ってくるのだろうか。
需要が戻ればまた乗客は増えるのだろうが、この期間に公共交通機関を嫌って車にシフトした客はそう簡単に戻ってはこないだろう。

自分自身がいい例で、道内完結の移動だけでJRの指定席の特急に乗るのは8年ぶりになる。宗谷本線の特急は10年ぶり。すっかり鉄道の旅とは縁遠くなっていた。
その理由は車を持ったから。

今回は駐車場とガソリン代を考えたらJR利用と差額が少なかったからということでJRを選択したが、それがなければ車の一択だっただろう。

旅行前に、宗谷線の特急に乗るのもこれが最後になるかもしれないねなどと冗談を言っていたが、残念ながら案外現実のものとなる日も近いと言わざるを得ない。
これが前回乗った10年前と比較した、宗谷線特急の変わりようと現実見て思った率直な感想である。

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 22時57分札幌着。

岩見沢発車時でも1両あたり10人に満たない乗車率のまま札幌へ。自由席の方は知らないが、到着しても人は疎らだったので似たようなものか。

なんだかわびしい旅の終わりだった。もう礼文島も遠い出来事である。

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 礼文島で買ってきた土産物。

久しぶりに慣れないことをすると何か失敗するもので、家に着いてからスマホがないことに気づいた。
いくら探しても見つからないので、どうやら車内に忘れてきたらしい。無意識に背もたれのポケットに入れてしまったかな。

これは明日札幌駅に電話するしかない。
もしやと思い、自宅のPCで、グーグルマップのタイムラインを見ると簡単にスマホの居場所が見つかった。


7月3日(金)の費用
費目場所金額(円)
レンタカートヨタレンタカー礼文店6,600
食費(外食)炉ばた ちどり(現金分)1,500
土産物代マリンストアー香深2,900
土産物代加藤商店1,460
食費(酒つまみ)セイコーマート1,562
食費(つまみ)ワッカナイセレクト972
7/3 合計14,994


 ◆ 7月4日(土)

翌日公衆電話で札幌駅の忘れ物センターに電話すると、
「もしかすると折り返しで稚内へ向けて出発したかもしれませんね」
「そうしますと稚内駅に着いてから捜索しますので、見つかっても送料がかかりますよ」
とかさんざん言われたが、とりあえず捜索をお願いして電話を切る。

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 昨日グーグルマップのタイムラインで見るとスマホの居場所が・・・

昼にまた電話を掛け直すと、スマホは無事苗穂運転所に駐泊中の車内で発見されたようだ。
これは月曜日に苗穂駅に取りに来てくださいということになった。

受け取りが苗穂駅なのはともかく、なんで月曜まで待たなければならないのかと思ったが、事務関係が土日は休みになるからだろう。
思わぬところで鉄道のタテ割り組織を知ることになった。

そもそも悪いのは車内に忘れてきた自分なので分が悪い。
それはそれで経験と思うことにした。

〜おわり

2020年礼文島旅行総費用
費目金額(円)
宿泊費26,200
交通費(JR)13,310
交通費(フェリー)5,700
交通費(島内バス)2,380
レンタカー6,600
食費14,555
土産物4,360
その他費用610
合計73,715

最後に今回の旅行の総費用をあげます。
礼文島へ旅行するときの参考にしていただければ幸いです。

〜最後までお読みいただきましてありがとうございました。

posted by pupupukaya at 20/07/26 | Comment(0) | 道北の旅行記

2020年礼文島旅行記6 最終日はレンタカーで

 ◆ 7月3日(金)

5時過ぎ、明るくなった窓から空を見ると隣の建物の隙間から青空が見えた。
外に出てみると雲ひとつない快晴。港の海面はさざ波ひとつない鏡面のようになって漁船や周りの建物を映していた。利尻富士もくっきりと見えている。

出発前は2日くらいは雨を覚悟していたが、来てみれば雨に当たることもなく、火曜日以外は午前か午後のどちらかは青空に恵まれた。野球ならば完全試合といったところ。

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 鏡面のような海面の香深港。

スマホで今日の天気予報を見ると完璧に晴れ、降水確率も終日0%になっていた。
このまま帰るのは勿体ないな。

朝の船で出れば夕方には札幌に着くが、昼の船で出ても夜遅くなるが今日中に札幌に着くことができる。
歩いていると、レンタカー屋の立て看板に、『キャンペーン特別料金/3時間6600円』というのが見えた。
車を運転するつもりはなかったが、今日はこれで島をもう1回りして来たくなった。

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 フェリーターミナル向かいのレンタカー屋。

レンタカー屋が開く8時に宿をチェックアウトする。チェックアウトと言っても1Fの店には誰もいないのでカウンターにキーを置くだけ。せめてキーボックスでも置いたらどうかと思うが、それはさておき。


 ◆ 礼文島をレンタカーで回る

まずはレンタカー屋へ。
表の看板の車を借りたいのだがというとすぐに対応してくれた。

3時間6600円は本土と比べるとずいぶんと高いが、礼文島は離島料金が適用されるので、事前予約して普通に借りれば3時間7920円。これは軽自動車の場合で普通車なら9000円以上になる。
観光シーズンの今時期ならば予約なしで行っても予約一杯と断られるだろうが、今年ならばようこそいらっしゃいましたといった状況だろう。

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 レンタカー屋でくれた礼文島の地図。

店の親父がレンタカー客用の地図を持ってきて、島の見どころをあれこれ説明してくれる。
月曜にこっちに着いて、歩いて行ってきたところばかりなので知っているが一応聞いておく。
これ全部3時間で回ってこれるのかというほど盛沢山だったが。

表に停まっている軽自動車へ案内される。時刻は8時を少し過ぎたところだが、8時10分から3時間ということにしてくれた。
料金はガソリン代込みとのことで、そのまま返せばOKとのこと。
さっそく出発する。

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 3時間レンタルしたダイハツ・ムーヴ。

まず最初に向かったのは澄海(スカイ)岬
さすがに車だと早い。香深のレンタカー屋前からここまで距離にして20km以上あるが、30分とかからずに着いた。

船泊の礼文荘に泊まって、歩いてここまで来たのは火曜日のこと。3日ぶりの再訪となる。
あの時は曇っていて山にはガスもかかっていたが、今日は快晴で文句なしの青空。どんな風景が待ち受けているのだろう。

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 晴れの澄海(スカイ)岬。

おおスカイ岬。おおブルースカイ。この海の明るさよ〜。

誰が呼んだか知らないが粋な名前を付けたものだ。
晴れた空の下に見る海は透き通って青く光るようだ。

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 澄海岬の入り江。

澄海岬というのは展望スペースから見下ろす入り江の通称名で、国土地理院の地形図で見ると入り江の反対側の岩が『岡田ノ崎』と載っている。
この入り江は中島みゆき『銀の龍の背に乗って』のプロモーションビデオの撮影地になった場所。
昔からTVオンチなので詳しくは知らないが、この歌はドラマの『Dr.コトー診療所』の主題歌に使われたらしい。

今日は入り江よりも岡田ノ崎側の方が海の色がきれいなブルーだった。

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 澄んだブルーの海。礼文ブルー。岡田ノ崎。

あれこれ写真を撮ったりしていると小1時間は過ぎたような気がしたが、車に戻ったらまだ15分しか経っていなかった。

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 ベタ凪の西上泊漁港。

次に向かうのはスコトン岬。
真直ぐ岬へは向かわず、レンタカー屋の親父に言われた通り、そこへ向かう途中で山へ登る小道へ入り、トド島展望台に寄る。
これも火曜日はスコトンから歩いて登ってきた場所。
展望台からはその時は見えなかった利尻富士のシルエットが見えた。

これだけ晴れていれば樺太(サハリン)も見えるかもと目を凝らしたが、水平線の上にそれらしい島影を見つけることはできなかった。

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 トド島展望台から利尻富士が見えた。

こんどは坂道をスコトン岬へ下る。
途中に黄色い点々をちりばめたような見事なエゾカンゾウの群生が・・・・
あああ〜!、通り過ぎちゃった。
車だとせわしない。

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 スコトン岬と海驢(トド)島。

スコトン岬へ。ここも誰もいなかった。

レンタカー屋でくれた地図に、
『スコトン岬は風が強いので、車を停めるときは風に向かって停めてね!』
との注意書きがあるほど風が強い所らしい。

そういえば礼文島は風が強い所だが、今回の旅行で強風に当たることもなかった。
なんと穏やかな週だったんだろう。

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 スコトン岬は最北限の地。

スコトン岬は最北限を名乗る。北端では宗谷岬に負けているので、最北端は名乗れないらしい。
岬の先には海驢(トド)島があって白黒ツートンの灯台が見える。昔は人が住んでいて、観光船も出ていたらしいが、今は無人島になっている。
それでも漁船をチャーターすれば行こうと思えば行けるので、ここが北限と言うわけではない。

1つ気づいたことがあって、礼文北部に行くときは、最初にスコトン岬に行ってから次に澄海岬へ行くべきだろう。
さきに澄海岬の青い海を見てしまうと、最北限の地もただのつまらない磯浜に見えてしまうのだった。

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 海驢(トド)島と灯台。

島の北部を後にして、また道道礼文島線を香深へ戻る。
今度は、歩いては行かなかった島の西海岸へ行くことにする。レンタカーを借りたのはそっちへ行きたかったのがメイン。

香深の町へ戻り、長い新桃岩トンネルを抜けると元地の漁村に出る。
かつての旧道は桃岩やユースホステル桃岩荘の方に出たが、今の新道は元地の町とダイレクトに結ぶようになった。

メノウ浜の看板が立つところに駐車場があったので、車はそこに置いて歩いて地蔵岩まで行く。

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 地蔵岩が立つ元地海岸。

お地蔵さまが手を合わせて拝んでいるように見えるからその名がついた地蔵岩

いかにも昔の日本人が好きそうなネーミング。
そのためか礼文島のシンボルでもあったこの地蔵岩も、トレッキングコースからは外れているのと、今は澄海岬や桃岩といった景勝地に押されて影が薄くなってしまったようだ。
昔宗谷本線に走っていた急行『礼文』のヘッドマークもこの地蔵岩をデザインしたものだった。

道路は地蔵岩の200m手前で終わり、そこには立入禁止の旨を掲示した看板が立つ。
柵で囲まれているわけではないので行こうと思えば行けるが、危険を冒して近づいたところで何かあるわけではない。
昔はここから地蔵岩〜礼文滝〜ウエンナイと海岸を辿るのが8時間コースとなっていたが、事故があってから礼文林道を迂回するコースに変更されている。

この海岸は映画『北のカナリアたち』のシーンにも出てきた見覚えのある場所。
映画では、この地蔵岩の下で起こったある事故がきっかけで、吉永小百合演じる教師が島を追われることになるのだった。
20年後に、バラバラになっていた教え子たちは全員この事故にかかわっていたということを告白する。
あんまり言うとネタバレになるのでもうやめます。

この映画には札幌市電も出てきて、見覚えのある沿線風景に親しみを感じたものだったが。
いや、もうやめます (^^;

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 お地蔵様が拝んでいるように見える地蔵岩。

駐車場の向かいはメノウ浜。
メノウが拾えるのでこの名がついたらしい。
もしかして拾えるかと思って浜を歩いてみたが、それらしい石は見つからなかった。

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 地蔵岩近くのメノウ浜。

こんどは西海岸を南に行く。
西海岸は道が狭いので軽自動車が走りやすい。

そういえば、レンタカー屋の親父が、
「今日は観光バスが走るみたいなので注意してくださいね」と言っていたな。
幸いまだ観光バスは見ていない。
今日だったら原付でも良いのだろうが、あいにく私はバイクに乗ったことがないので・・・

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 桃台猫台展望台から見た桃岩。

西海岸の道路の南端は桃台猫台展望台の駐車場。その先は『桃岩荘利用者以外立入禁止』の看板が立っている。
ある意味礼文島のシンボルともいえる有名なユースホステルだが、車に入り込まれて見世物にされてはさすがに迷惑なのだろう。
今年の営業は断念せざるを得なかったようだ。

駐車場から階段を登った高台が展望台になっている。
香深側から登る桃岩展望台は見下ろす格好だが、こちらのは反対側から見上げる格好。
頭が尖がった、桃太郎に出てくるような桃の形に見える。

その反対側の南側に見える小さな岩が猫岩。
猫が反対を向いているような恰好。

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 桃岩荘の赤い屋根と猫岩。

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 猫岩の望遠。猫背の猫岩。

ここもほかには誰もいなかった。
10時10分を過ぎたところ。車を返すまであと1時間近く。あとはどこに行くか。

新桃岩トンネルを出ると、町とは反対方向に車を走らせた。
また桃岩展望台に行こうと思ったわけだ。

最初に来たときは香深の町から歩いて登り、次は礼文林道から大型バス駐車場のある桃岩登山口から登り、今日は桃岩展望台駐車場まで車で行ってそこから登ることになる。
車で行くと途中から片側1車線の狭い道を通ることになるが、対向車が来たらどうしようかと冷や冷やした。

駐車場まで来たら、小学生の遠足なのか知らないが、大賑わい。
それとは別のトレッキングの人も一昨日来たときよりも増えていた。

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 桃岩展望台駐車場を見下ろす。

駐車場から桃岩展望台までは200mほど歩いて登る。一昨日は香深から40分かけて歩いて登ってきたのにあっけない。

桃岩展望台まで往復するだけならば車でも来られるが、そこから知床までトレッキングするのなら車は不要、ていうかむしろ邪魔。
なぜなら、向こうへ通り抜けてもまたこの駐車場まで車を取りにいかなくてはならないから。

今日は桃岩展望台へ行って写真を撮るだけで引き返す。
展望台に登る途中、今日もイブキトラノオのピンクの穂が一斉に風にそよいでいた。

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 桃岩展望台から利尻島の俯瞰。

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 桃岩展望台からの桃岩。

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 さっきの桃台猫台展望台を見下ろす。

小学生やトレッキングの人たちが知床の方へ去ってしまうと、展望台は人がいなくなった。
今日観光バスが走ると聞いていたので、観光バスの人たちだったんだろうか。

イブキトラノオの花に見送られて、また駐車場へ戻る。
もうそろそろ車を返す時間が近づいてきた。

レンタカー屋の前に着いたのが10時56分。なかなか上出来な回り方だった。
島の観光地をいくつか回ってくるだけだったら3時間で十分だった。
火曜から木曜まで3日かけて歩いてきたところも車ならば3時間なのだからあっけない。
しかし、礼文島の本当の良さは車じゃ絶対わからないと思う


 ◆ 礼文島の終わりはうに丼で

昼には少し早いが、つぎはうに丼が食べたい。
昨日ちゃんちゃん焼きを食べるのに入った店で、『うに丼4500円』という張り紙を目にして、たかが丼もの1杯にこんなお金を出すのは勇気がいるなと思っていたのだった。
しかし、礼文島まで行ってうに丼を食べなかったのかと後悔するのも嫌だしねえ。

幸い初日に買った礼文島プレミアム商品券がまだ3千円分残っている。これは土産物を買って使い切ろうと思っていたが、うに丼に使うことにした。こういうのを最初に買っておけば心理的な負担を減らすことができる。

向かった店が『海鮮処かふか』。
ここはマリンストアーの2階にあって、漁協による直営の店。ここなら間違いないだろうと思ったからだ。ところが店は閉まっていた。定休日ではなく、『当分の間は夜営業のみとさせていただきます』の張り紙が・・・。

仕方ない、昨日と同じ『炉ばた ちどり』に入る。焼き物ではないと言うとカウンター席に通された。
ちゃんちゃん焼きが名物の店だが、うに丼もまた名物となっていて、観光客は両方注文する客も多いらしい。
観光シーズンの今時期ならば行列のできる店なのだろうが、今日も余裕がある。
席に着くなり迷うことなく「うに丼」と言った。

それでも席に着いてから次第に客が増え始めた。
ほかの客がうに丼を注文すると、うに丼は1組1品だけということだった。
昨日が時化で、ウニの入荷が少なかったという。そういえば昨日は波が高かったもんな。

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 また入った炉ばた ちどり。

さて出てきました。うに丼4500円

「まずは醤油をかけないで召し上がってください」
同じことを礼文荘でも言われた。

礼文島に限らず、うに丼にまず醤油をかけるなど愚の骨頂ですぞ。

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 時価4500円也のうに丼。

あ〜ウニがとろける・・・甘〜い・・・

しかもここのうに丼は、ご飯の間にもウニが挟まっているんですね。ウニの2段重ね。
最初はウニだけを味わい、2段目が出てきたら醤油とわさびでいただくという2度おいしさが味わえる。

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 エゾバフンウニのとろけるような甘さ。

商品券3千円分と現金1500円。
プレミア分を引けば実質3千円でうに丼を食べられたことになるな。

旅行中でもこういうセコイ性格が抜けないのは困ったことだ。

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 歩道に寝そべっていた猫。

またマリンストアーに寄って、土産物のムラサキウニの蒸しウニ缶と礼文島香深産昆布の昆布しょうゆを買った。
こういうものは土産物屋で買うよりスーパーの方が安い。これは実家へのお土産としよう。

まだ船の時間があるので、フェリーターミナル向かいの土産物屋を物色する。
いくつか欲しいものがあったので買うことにした。全部調味料ばかり。
さっきマリンストアーで買ったのと同じ昆布しょうゆが置いてあって見ると、ゲッ、マリンストアーより安い。
またしてもやられた。ロシア人もびっくりのマリンストアーだった。

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 フェーリーターミナル向かいにある礼文おみやげセンター。

土産物屋のレジで申し訳なさそうに「袋は有料なんですがどうなさいます」と聞かれる。
そうだった、7月から全国一斉にレジ袋有料化がスタートしたのだった。
全部自宅用だし、裸で受け取ってバックパックに押し込んだ。

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 香深港に入港する稚内からのフェリー。

これで礼文島はおしまい。
あとはフェリーの乗船開始を待つだけになった。




posted by pupupukaya at 20/07/26 | Comment(0) | 東北の旅行記

2020年礼文島旅行記5 礼文林道・礼文滝コース

 ◆ 7月2日(木)

今日は目覚めたら6時だった。昨日までは3時台に目覚めてたので、ずいぶん寝坊したような気になる。
素泊まりなのだから、早く起きたら早く出ればいいのだが、そうすると戻りも早くなってしまう。
天気予報は概ね曇りか曇りのち晴れといったところ。とりあえず雨に当たる心配はなさそう。

朝食は昨日セイコーマートで買っておいたカップヌードルとパン。なんか情けない食事だが、ごちそう続きだったので、こういうのも妙に恋しくなる。

今日の予定は、香深井まで行ってそこから礼文林道を経て礼文滝まで行き、そこで折り返して礼文林道に戻り、香深へ戻ってくるというもの。
トレッキングコースの礼文林道コース(8.2km)と礼文滝コース(4.0km)を合体させた格好となる。

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 礼文林道・礼文滝コースのルート(地理院地図より筆者作成)

7時40分少し前に宿を出る。
1Fの店は9時からオープンなので誰もいない。しかし、2Fの宿へは店を通らないと出入りできないためか鍵を掛けずに開放している。
ずいぶんと物騒な気もするが、島には悪い人はいないんだろうか。

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 誰もいない1Fのカフェ店内。

香深井は香深の町とは別で、フェリーターミナルからだと4.8km北にある漁村だ。バスならば11分だが、歩けば1時間はかかる距離。
ちょうど7時45分発のスコトン行のバスがあるのでそれに合わせて出てきたのだが、既に停車しているバスの車内には4〜5人のハイカーが見えた。一緒になったら嫌だなあと思い、香深井まで歩くことにする。
時間はたっぷりあるし、それに途中のセイコーマートに寄れるという利点もある。

フェリーターミナルの自販機でスポーツ飲料を買ってからスタートする。
買ってから気が付いたが、セコマで買えば良かったんじゃ・・・

途中のセイコーマートで昼食用のおにぎりとサーターアンダギーを買った。なぜか13年前に行った沖縄の離島を思い出したから。
道道礼文島線を北へ向かってテクテク歩く。歩いているうちに曇り空だったのがだんだん青空へと変わってきた。

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 香深から香深井までは道道を歩いて1時間。

香深井のバス停は香深井郵便局の真向かいにあり、バスで来たのならばここが出発点となる。横の家に自販機があったので、バスで来たならここで飲み物しか手に入らない。
時刻は8時43分、香深から歩いてセイコーマートに寄って、ほぼ1時間少々ということになる。


 ◆ 礼文林道コース

橋の手前を左に曲がって狭い道路に入る。人家が終わるあたりに除雪車の車庫があって、そこから礼文林道が始まる。

礼文林道は車の通行は一応可能だが、入口には『自粛』をお願いする看板が立っていた。
林道と言っても二条の轍だけが続いているような道だし、轍が深くなっていたりぬかるみがあったり、対向車が来てもすれ違いは不可能なので車では入らない方が無難である。

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 礼文林道の入口にある看板。

林道に入ってしばらく行くと8時間コースの道が分かれて行く。桃岩荘でやってる『愛とロマンの8時間コース』はスコトン岬を出発してここに出て、礼文林道を南下して戻るコースとしている。この次来たときは挑戦してみたいところ。

礼文林道に入って30分くらいはずっと林の中を通る。上り坂は緩やかだが、退屈な道をダラダラと歩く。この辺りから携帯も圏外となった。
地図は国土地理院の地形図を画像にしてスマホに入れておいたので、それを見ればどこにいるのかはわかる。
が、トレイルコースは整備されているので、地図がなくても不便なことは無いと思う。

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 二条の轍が続く礼文林道。

ずっと歩いているうちに林がなくなり、ヤブの丈も低くなってきて視界が開けるようになった。
礼文滝入口の看板が立つ分岐点に着いたのは9時45分、香深井からここまでが大体1時間というところだった。


 ◆ 礼文滝コース往復

ここから礼文滝へ向かうことになる。
この礼文滝コースは西海岸の礼文滝までの片道2kmのコースで、ロープを伝って下りる急斜面や沢を渡る箇所もある険しい道だ。
コース入口の看板には、
礼文滝コースは川を複数個所横断する大変険しいコースとなっております。通行の際は足元に十分注意し、安全に気を付けてご利用ください
とあった。

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 礼文滝入口。

最初は笹を刈ってつけたような道が続くが、だんだんヤブに覆われてきて、こんどは林の中を下ったり登ったり。
海に向かうので基本下り坂、戻りはこれ登らなきゃならないのかとため息が出そうな急な連続の下り斜面もあった。そんな道が1kmほど続く。
時どき高山植物の可憐な花が足元に咲いているのが唯一の慰め。

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 鬱蒼としたアップダウンが続く。

暗い林や背の高いヤブの中をずっと行くと突然視界が開ける。
そこはロープで囲まれた、ちょっとした広場のようになっていた。
ここへ来た人が少しずつ積んで出来たのか、小さなケルンもあった。

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 ケルンのある広場。

10時06分、礼文滝入口からここまでちょうど20分。

ここから見下ろすV字谷が素晴らしい。
ここは通称ハイジの丘と呼ばれる。アルプスの少女ハイジに出てくるようなアルプスの丘のようだということでそう呼ばれるようになったらしい。

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 ケルンから見下ろしたハイジの丘。

確かにここにヤギでもいたらハイジの世界だな。
青い空、青い海、緑の草原、風が気持ちいい、あ〜もうここから動きたくない。
ずっと暗いヤブの中を登ったり下りたりしてきたので余計にそう思う。

5分ほど佇んで、また出発する。道はさらに礼文滝へと続く。
谷を見下ろしながらしばらく歩くと、今度は一気に谷底へと下る。
一気にといっても、道は一応つづら折りにつけられているが、それでも板で階段状になるほど急になっている。戻りはこれを登らなきゃならないのか。
谷の底からはこんどは沢伝いに道が続く。

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 谷底からさっき下りてきたつづら折りを振り返る。

V字谷の底に流れる沢の脇に足場を求めてつけられた道なので、途中で何回も川を渡る箇所がある。
橋はなくて、そういうところはロープが渡してある。
ロープなど無くても飛び石に乗って越えられるところはいいが、ロープをしっかり握って飛び越えるところはスリルがある。
着地に失敗しても足元がずぶ濡れになるだけだが。

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 数か所ある渡河箇所。ロープが頼り。

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 トレイルの脇に咲く花。

何度も何度も川を渡って下って行くうちに海が目の前に現れた。
礼文滝まであと一息。

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 また川を渡る。

海が目前というところが、ちょうど礼文滝の上に当たる。
ここからは滝を見ながらロープ伝いに下る。

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 海が見えてきた。ここがちょうど滝の上部になる。

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 海岸から見上げる礼文滝。

10時40分、礼文滝に到着。
ハイジの丘のケルンからここまで30分。礼文林道からここまで1時間もかからなかった。
岩肌を流れ落ちる滝は、近くで見ると迫力がある。

どこにでもある滝だが、ここは沢伝いに何度も川を渡ってロープ伝いに下りてこなければ辿り着けない秘境である。
いや〜うれしいねえ。

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 礼文滝の浜。

海岸は、礼文滝のまわりだけは石の浜になっているが、その両側は断崖が続く。
昔は『愛とロマンの8時間コース』のルートはずっと西海岸沿いにあって、今いる場所もそのコースの一部だったが、事故が起きてから礼文林道を迂回するコースに改められたのだという。

昼には早いが、岩に腰掛けてセイコーマートで買ってきた昼食のおにぎりを食べる。
海は波がずいぶんと高い。これは日本海上の低気圧のせいだろう。天気予報を見ると今日晴れているのは道北地方だけで、道南道央は雨となっていた。

ここは今は晴れているが、山々にはどんどんガスがかかり始めている。
せっかく苦労して来たのだから、ゆっくりしていきたいところだが、ガスがこっちにも流れてくるかもしれない。
おにぎりを食べたら早々に戻ることにした。

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 元地漁港の防波堤が思いのほか近くに見える。

岩の向こうには元地漁港の防波堤と灯台が見えている。ここから直線距離だと1kmほどの距離。
昔は岩伝いに元地まで歩いて行けたのだが、もう大分前に通行禁止になってしまった。

また登って下りて礼文林道まで戻らなければならない。
意外と近くに見える元地の漁港がうらめしく見えた。

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 低気圧のせいか海は荒れていた。

11時00分、礼文滝を出発。今度はロープを引いて滝の脇をよじ登る。
また谷底の沢伝いの道を戻ることになる。
遠くにみえていたガスは、この谷にも流れ始めていた。

IMG_1355.JPG
 ハイジの丘にもガスが忍び寄ってくる。

つづら折りを登ってまたケルンの所まで戻ってきた。
ここで4人ほどのガイド付きのパーティーとすれ違う。礼文滝まで往復するようだ。

ガイドが私のカメラを見て、
「カメラのレンズは大丈夫ですか?さっきレンズフードが落ちてましたが」
「えっ?」
慌ててカメラを見たが、自分のではなかった。

ハイジの丘もだんだん霞んできた。晴れているうちに往復してこれたので運が良かったよ言えよう。
こんどは礼文林道目指してまた下りたり登ったりの道を行く。

途中で、なるほどレンズフードが石の上にあった。ニコンのレンズフード。私のはキヤノンだしレンズも純正ではないのでね。
落とし主もレンズフードのためにわざわざ探しにくることはないだろうな。
レンズ落としましただったら血相変えて引き返してくるかも知れないが。

再び礼文林道の礼文滝入口まで戻ってきたのが11時52分
戻りは登りだから行きより時間がかかるのかなと思っていたが、戻りも1時間はかからなかった。

雄大な風景や険しい道に登山のような印象を持っていたが何のことはない、ここから礼文滝までの高低差は僅か180mでしかなかった。

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 礼文林道は完全にガスの中になってしまった。

礼文林道は南半分の方が景色は良さそうだが、もう完全にガスってしまって山も谷も白一色になってしまった。
東側の斜面を伝うように海からのガスが流れ込んで来る。今日はもうダメだね。

途中にあるレブンウスユキソウ群生地にはトイレがある。
晴れていればここから元地海岸を見下ろし、利尻富士も見えるスポットなのだろうが、今日は白一色。
ここで用を足して、ガスが晴れないかなあ・・・と期待して柵にもたれて谷を見ていたが一向にその気配はないようだった。

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  レブンウスユキソウ群生地。奥の建物はトイレとレンジャーハウス。

林道とは別に谷の斜面に歩道が設けられて、そこからレブンウスユキソウの花を見ることができる。ちょうど今が満開のようで、緑の中に白い花が点々と咲いていた。

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 斜面に点々と咲く群生地。

薄い雪をまとったようなウスユキソウ。ヨーロッパではエーデルワイスとなる。
ドイツ語でエーデルワイス(Edelweiß)は訳すと『白い貴族』とでもなるのだろうか。

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 薄く雪をまとったようなレブンウスユキソウ(礼文薄雪草)。

白くて小さい花は見るからに弱々しい。
ガスって薄暗いくらいのほうが花には健康的なのだろうか。

この時期の利尻礼文は曇り空やガスが多くて旅行者は落胆させられることが多い季節だが、だからこそ低地でも高山植物が自生する環境になり、花が咲いて私たちの目を楽しませてくれる面もある。

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 礼文林道元地口。

13時08分、礼文林道はここで終わり。道道を下って行けば宿まで20分とかからないだろう。
また意外と早く着いてしまった。
ガイドに載っているトレイルコースの所要時間もまた相当余裕を持った時間になっているので、これで行程を組むと早く着きすぎるのだった。

このまま宿に戻っても13時半、もうちょっと歩いてこようかと町とは反対側へ歩き出す。
もしや、と思って桃岩展望台に行ってみることにした。

IMG_1507.JPG
 桃岩展望台に続く登山道から桃岩登山口を振り返る。

桃岩展望台まで登ってきたが、やっぱり何も見えなかった。
こんなガスの中歩こうなんて人もいないようで、ここまで全くの無人。
やっぱり宿に戻るしかないのか。

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 桃岩展望台もガスって何も見えなかった。

展望台までの道沿いはピンクの穂をつけたイブキトラノオが満開。
昨日は晴れていたが今日はガスの中。だけど、日光の下よりもガスってる方が色つやが良いように見える。
写真うつりも全然違っていた。

IMG_1511.JPG
 ガスってる方が花は元気そうに見える。

そのまま町まで下ってきて、結局2時半には宿に戻ってしまった。
これで、今回の礼文島行で行きたいところはすべて行ってきたことになる。

もう行くところもないしすることもない。シャワーを浴びて、布団に入ってひと眠りする。


 ◆ 炉ばた ちどり

今日はホッケのちゃんちゃん焼きを食べることに決めていた。
これは『炉ばた ちどり』か『海鮮処 かふか』ということになる。どちらも網の上で炭火焼きにするという礼文島独特のスタイルで出している。

4時半宿を出てちゃんちゃん焼きを求めて店へ向かう。入ったのは炉ばたちどり。海鮮処かふかは漁協直営だが17時にならないと開店しないので。
こっちのちどりの方はちゃんちゃん焼きの元祖らしい。今時期ならば外まで行列ができるほどの有名店だが、さすがに今年は閑古鳥だろう。

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 ちゃんちゃん焼発祥とされる炉ばたちどり。

店に入ると小あがりの炭焼き用のテーブルが何卓か、椅子の大テーブルそれにカウンター。先客は観光客の夫婦が1組、地元の兄さんらしい2人がカウンターでビールジョッキを手に話をしていた。

出てきたとうさんにちゃんちゃん焼きが食べたいと言うと、
「ちょっとお時間いただきますよ」
とのこと。
炭焼きだからいろいろ準備があるんだろう。別に急ぎじゃないし早く来過ぎたのでゆっくり待たせてもらう。

炭焼きの準備が出来たテーブルに着いて、ちゃんちゃん焼きと生ビールを頼む。
ホッケは大ぶりのもの。これに特製の甘味噌とネギを乗せて、下からの炭火で焼く。
ビールをチビチビやりながらしばらく待つ。

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 名物のホッケちゃんちゃん焼き。

焼けてきたら結構忙しい。生ビールは空になったのでもう1杯頼んだ。
炭火に落ちた脂で燻されたホッケと味噌を絡めながら食べるとビールによく合う。
身を食べ終わったらひっくり返して身の方を焼く。こうすると皮がパリパリになって美味いのよ。

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 尻尾の方から焼けてきたら、ほぐして味噌を絡めて食べる。

カウンターの方から地元の兄さんたちの会話が聞くとは無しに聞こえてくる。

「俺、ビール飲めないんだ、この間の健診で痛風(つうふう)だって言われてさ」
「ああ、俺も痛風だって言われたよ」
「酷いのになるとビッコ引いて歩くようになるしね」
「足に来るのはまだマシで、手首に来るとヤバいらしいよ」

何だよ、揃いも揃って痛風かよ。
島の男たちの悩みは痛風らしかった。

ネーちゃんいる飲み屋も無いし、飲むしか楽しみが無いしね

こっちまで泣けてくるような島の男たちの愚痴 (´;ω;`)

「この夏はさっぱり出ないねえ、こっちゃあノルマもあるのに」
「本土から車を航送してくるだけ赤字だよ」

レンタカー屋に勤めているらしい兄さんの愚痴。
これが島訛りで喋るので、余所者の私には寄席のように滑稽に聞こえる。

「電話で予約受けたら、なんでそんなに高いんだと文句言われてよお」

「前の客がマット泥だらけにしてきたんで、洗って次の客に貸したら、なんでマット濡れてるんだとまたクレーム来てさあ」

「この間なんか、消費者センターまでクレーム行って」

島の男たちの悩みは尽きない

そうしているうちに、店内のテレビは東京都でコロナ患者が107人出たと報じていた。

こりゃ終わらんべ、また旅行自粛がはじまるわ

遠い東京の出来事も、観光に生きる礼文島にとっては他人事ではないのだった。

そろそろ帰ることにする。
ホッケのちゃんちゃん焼きと生ビール2杯で2150円
2千円分は礼文島プレミアム商品券で支払う。
残りは3千円分。これは明日土産物でも買うことにしよう。

DSCN1322.JPG
 7/2、本日の歩数(スマホの歩数計)

今日が一番歩いた。
スマホの歩数計を見ると今日の歩数は35,998歩。距離にして27.4km

もう目的は果たしたので、明日は朝のフェリーで稚内へ戻る。
7/1からはコロナ運休していた特急サロベツも運転再開しているので、夕方には札幌に戻れる。

7月2日(木)の費用
費目場所金額(円)
食費(飲料)香深フェリー(タ)160
食費(昼食)セイコーマート319
食費(外食)炉ばた ちどり(現金分)150
7/2合計629


posted by pupupukaya at 20/07/24 | Comment(0) | 道北の旅行記
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