2023年オホーツク海の流氷を見に行く

2月になるとオホーツク沿岸にやってくるのは流氷。
毎年この季節になると、流氷が見たくてうずうずしてくる私です。

前回流氷を見に行ったのは2018年2月でしたから、5年前。
流氷を見るのも随分とご無沙汰ということになります。
これは腰が重くなったこともあるし、新型コロナの行動制限が続いたこともありますが、やっぱり腰が重くなったからなんでしょうか。

コロナの行動制限も去年の春を最後に撤廃され、今年こそは流氷を見に行こうと思っていました。
だけど、流氷って行けば必ず見られるわけではなく、年々接岸する日も少なくなっているようで、流氷の状況をよく調べていかないと空振りに終わってしまいます。

そこは今はいい時代になったもので、流氷の状況や予測がネットで随時見ることができるようになりました。
接岸状況も、テレビ局のライブカメラで知ることができる。

そんなわけで、2月最後の週末。
流氷関係のサイトをチェックしていると、今回は見られるんじゃないかという気がしました。

石北線の特急『オホーツク』は今度のダイヤ改正で183系車両から283系車両に置き換わりグリーン車も無くなってしまいます。
せっかくだから網走まで特急『オホーツク』で行くのもいいかなと思い、えきねっとで検索すると札幌発の『オホーツク』は結構混んでいますね。
みんな考えることは同じか。

やっぱり車で行くしかないようでした。
車で行くとなると、網走まで5時間はかかるので普通に朝出発すると到着は午後になってしまいます。
夕方に向こうを出発すると、札幌に帰ってくるのは夜中。
やはり網走は遠い。
夜中に出発して夜通し運転して早朝に着くという方法もありますが、さすがにそれは大変だ。

網走で1泊すればいいのでしょうが、流氷観光シーズンで、しかも直前で宿を探せば普通のホテルでも1泊2万円以上もするところばかり。

夜行列車があった時代が懐かしいですね。
こんな金曜の夜は夜行『オホーツク』に飛び乗って、明朝網走に着けば流氷原のオホーツク海だったわけです。

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 B寝台車1両を組み込んで発車を待つ『オホーツク9号』(2006年3月筆者撮影)

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 夜行『オホーツク9号』のホーム風景(2006年2月筆者撮影)。

昔は良かった的な話をしても仕方がありません。
ここは2023年の現実世界。
やはり夜通し運転で行くか、向こうで車中泊するしかないのか。
気は進まないけれど、夜行バスはと調べてみたら、こちらはコロナの乗客減からか当面の間運休となっています。

ふと思いついて、北見市内のホテルを探すと前日でも安いホテルが見つかりました。
全国旅行支援の『HOKKAIDO LOVE!割』適用で1泊3520円。
北見から網走までは車で1時間ほどかかりますが、札幌から夜通し運転して行くよりははるかにマシです。

それに2月末まで有効の予約サイトクーポンが1000円分あったので2520円に。
さらに1000円分の『ほっかいどう応援クーポン』が発行されるので実質1520円ということになりました。
宿が確保できれば、夜通し走る必要はありません。
金曜の夜、予約サイトでポチって流氷旅行の準備は完了。

というわけで、2月最後の土曜日の朝、札幌を出発することにします。


 ◆ 2023年2月25日(土)

今日はホテルに着けば寝るだけなので、10時過ぎに出発すればいいわけで。
高速は使わずにずっと下道なので、北見までは5時間以上かかるでしょうが、今日はホテルに着けばいいだけなので気は楽ですね。
長距離運転のときは、これくらいの余裕が欲しいところでもあります。

国道275号線を北上。こちらへ来るのは去年の知床旅行以来かな。
旭川新道を抜けて、愛別ICから旭川紋別自動車道へ。
知床旅行の時は遠軽まで直行したけど、今回は上川ICで降ります。
ここからは国道39号、石北峠経由のルートでになります。

層雲峡で小休止してから、いよいよ石北峠越え。
かつては道央から北見・網走方面へのルートといえばこの国道39号石北峠ルートがメインでしたが、旭川紋別自動車道が年々延伸して遠軽まで開通した現在では国道39号は裏ルートのような印象となってしまいました。

しかし実際走っていると、結構トラックとすれ違います。
高速バスの『ドリーミントオホーツク号』もこちらを経由しています。
これは、道央〜北見市間で見ると、国道39号石北峠ルートの方が距離的には有利なためでしょう。

あと多いのが、JR貨物のコンテナを積んだコンテナトラック。
石北本線には『たまねぎ列車』と名付けられた貨物列車が1往復あるが、あれは北見産の玉ねぎを輸送するために毎年8月から4月まで運行している臨時列車で、通常は北旭川〜北見間は自動車代行ということになっています。

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 国道39号線ですれ違うコンテナトラック(ドラレコのキャプチャより)。

鉄道の『たまねぎ列車』は、かつては3往復あったのが今では1往復にまで減らされています。
この列車も不採算列車としてJR貨物は廃止したがっているようで、過去に廃止が取り沙汰されたこともありました。
地元農協や自治体が存続を求めているので、1往復だけは存続しているのでしょう。

今のところ廃止の話は再浮上していないようですが、JR貨物としても1往復だけ乗り入れでは採算度外視の運用でしょうし、今後も安泰とは言えませんね。

次々とすれ違うコンテナトラックは、時間からして北見駅を13:00に発った26便ということになります。
貨物が多い場合は続行便を仕立てているのでしょう。

どれも3個積み4個積みの大型トレーラー。
層雲峡から石北峠までの間で8台ものコンテナトラックとすれ違いました。
コンテナの数を数えていると30個にもなります。これは鉄道のコンテナ車ならば6両分。

1便当たり8台のトラックと8名の運転手。
これなら1列車に仕立ててもいいのではないかと私のような素人は思うのですが、民間会社のJR貨物としてはこれでもトラック代行輸送の方が採算が合うとのことなのでしょうね。

そんなことを考えながら運転しているが、前は工事用のクレーン車を先頭に3台目を40〜50km/hでトロトロと走る。
追い越し禁止の峠道なのでどうしようもない。
ま、私としては日のあるうちに北見に着けばいいので、別にいいんですけど。

だけど、後ろのトラックが相当イラついているのか時折車間を詰めてきたり・・・。
煽られたところで俺は一体どうすればいいんだ?

そうこうしているうちに長い武華トンネルへ入ります。
突然何を思ったか、後ろのトラックが右ウインカーを点けて4台ごぼう抜きで追い越していった。
コンテナを3個積んだ、間違いなくJR貨物の自動車代行便。

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 国道39号武華トンネル内で追い越すコンテナトラック。

トンネル内は追い越し禁止なのが常識だし、思いもしませんでした。
このトンネルが、入口と出口がカーブしている、見通しが良いとは言えないトンネル。
よくやるなあ。

個人的には後ろから煽るような真似されるよりも先に行ってくれた方がありがたいんですけどね。
運転手だって到着時間に遅れると罰金だろうし、やむを得ない判断で追い越して行ったんだろう。

とはいえ、

鉄道貨物を自動車代行便に置き換えた結果がこれじゃねえ・・

物流というものがドライバーの長時間労働と危険行為で成り立っているのだとしたら・・・
わたしたちの便利で快適な生活は、砂上の楼閣の上に存在することになります。

とは言え、すでに自動車代行に置き換わって久しい石北本線で、貨物列車に再びシフトと言っても難しい話ではあります。

今現在ある貨物列車の去就問題は、北海道新幹線札幌延伸開業後の本州〜北海道間の貨物列車に移っています。
新幹線開業後の並行在来線問題は、旅客列車しか運行していない長万部〜小樽間の廃止は決定しています。

残る新函館北斗〜長万部間の在来線も、旅客輸送は廃止という流れになっていて、フェーズは既に、この区間の鉄道貨物輸送をどうするかということに移っています。

もしこの区間の鉄道貨物を廃止にしたらどうなるのか、この石北峠越え国道39号線にその答えを見た思いがしました。

話を元に戻しますが、さっきのトラックは何であんなところで追い越して行ったんでしょうかね。
このトンネルを抜けて少し行ったところから登坂車線があって、前を走るクレーン車はそこで追い抜くことができました。
それを知らないほど未熟なプロドライバーが、無茶な追い越しをしたのでしょうか?

  ★  ★

石北峠を越えると下り坂と急カーブの連続、しかも圧雪路面。
峠道を下った頃には、ハンドルを握る手が汗でびっしょりになりました。

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 峠道を過ぎてようやく平地らしくなった。

16時30分、北見市内へ。
国道沿いはイトーヨーカドーを筆頭にロードサイド店がひしめいて看板だけは賑やかです。
北見駅前の寂れっぷりと反比例するように、こうした幹線道路沿いが発展するのはどこの町も同じ。

ホテルに行く前に、途中でスーパーに寄って夕食など買い物をしました。

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 旅先での1晩の安宿もまた楽しからずや。

一晩の宿はボロホテル・・・と言えば悪いけど、流氷を見るための投宿ですから。
1泊実質千五百円と思えば腹も立たん。

フロントのおかみさんが、人の好さそうだったのが救いでした。
しかし禁煙ではないこのホテル。
部屋に染み付いたヤニの臭いには参りましたね。

明日は早いので酒を飲んで早く寝ることにします。


 ◆ 2月26日(日)

おはようございます。
北見市内の安宿から。

天気は晴れ、気温マイナス16℃。
しばれたねえ。
北見の人に言わせりゃ、こんなのしばれたうちには入らないのかも知れませんが・・・。

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 北見の朝の気温。

今日は朝食も抜きで、6時半にはチェックアウトします。
さっさと網走に向かうべと駐車場へ行くと、車のガラスは霜で真っ白になっていました。

霜はがっちり固まっていて、ワイパーを動かしたくらいじゃ取れない。
霜が溶けるまで暖機運転。
しばらく足止めです。

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 氷点下16度、ドアガラスに付いた氷の結晶。

ようやく霜が解けた6時40分、北見を出発。
もう日が昇っていて春の日差しも感じますが、こちらではまだ1か月は冬だよ。

日曜の早朝とあって車は少ないが、やたらと赤信号に引っかかるのがもどかしい。
それでも北見市内を抜けて、国道39号から道道網走端野線へと入ります。
国道を直進すると美幌・女満別と迂回するので、網走へはこちらが近道。

しかし皆さん飛ばすねえ。
前の車に付いていくと、とてもここでは書けないほどのスピードに。
北見を出発して50分で網走の道の駅に着きました。

流氷はというと、網走には来ていないようですね。
道の駅から南東に車を走らせます。
国道391号から見えるオホーツク海は海面が見えている。
北浜まで行けば・・・と思っていたが、ここも駄目でした。

斜里まで行けばどうだろう・・・さらに南東へ向かう。

ところで、流氷を探すのに何で南へ向かうのとお思いの方がいらっしゃるかも知れません。
ここで流氷について少し。

流氷はオホーツク海の北から流れて来るものですが、北の方へ行けば見られるというものでもありません。
なぜなら、それは宗谷海峡の存在。
日本海側には温かい対馬海流が流れていて、稚内あたりまで北上してくるわけです。
その対馬海流が宗谷海峡を通ってオホーツク海に流れ込むので、北の方へはあまり流氷が接岸しないわけです。

一方で、樺太の北の方から流れて来る流氷は、オホーツク海を南下して網走や知床半島あたりに押し寄せるわけです。
下の図は第一管区海上保安本部の海氷情報センターが毎日発表している最新の海氷速報の画像に書き加えたものです。

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 最新の海氷速報 | 海氷情報センター(2023/2/25)より筆者作成。

南下する流氷が、知床半島や国後島が防波堤のようにブロックし、太平洋へ流れ出ることもほとんどありません。
だから流氷を見たければ紋別よりも網走、網走よりも斜里や知床の方が、流氷が見られる確率が高いということになります。

というわけで斜里まで来たのですが、橋の上から海を見てもやはりここも海面が見えています。
もう少し東へ向かうことにしました。


 ◆ 以久科原生花園からの流氷

着いたのは以久科(いくしな)原生花園。
ここは初夏になると色とりどりの花が咲く綺麗なところですが、今時期は白い砂丘が続くだけという寂しい場所。

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 北見から1時間半余り、以久科原生花園に到着。 

駐車場に車を止めて、長靴に履き替えます。
砂丘の踏み分け道を越えると、浜に出るはずです。

さあ、どうだ!

おおー、流氷が来ている。
所どころに海面が見えているが、浜にはびっしりと流氷が押し寄せていました。

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 以久科原生花園の流氷。

凍った波打ち際に学生らしきグループがいてはしゃいでいます。
ちょっとうるさいな。

長靴を履いてきたので、流氷の海岸沿いを歩くことにしました。
新雪が積もっているが、長靴ならば歩いて行けます。
300〜400mくらい歩いたでしょうか。だいぶ静かになりました。

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 青空に映える流氷。

青い空、氷で埋め尽くされた雪原となった海。
波音なくシーンと静まり返った浜。
流氷はこうでなくちゃ。

静寂の中、しばし立ち尽くして流氷の世界を堪能させてもらいます。

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 浜に打ち上げられた流氷。

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 流氷の向こうに連なる知床の山々。

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 流氷の海岸は静寂の世界。

さっきのグループは戻って行ったようですね。
やっと静寂の世界が戻ってきました。

ひとりじっと流氷原を見つめる。
すばらしき流氷の世界。
こんな景色見たら人生観も変わるって。

都会のせこせこした生活なんて、どこか異世界の出来事のよう。
ここにテントでも張って、流氷原を見ながら一杯やったら旨いだろうな。

撮影もいいが、風景が大きすぎてカメラには収まりが悪い。
この風景を心に刻んで持ち帰るしかないようです。

やっぱり流氷を見に来て良かった・・・。
と思っているところへ、「ブーーーーーーーーン」と人工的な音がまとわりつく。

何かと思っていたら、1台のドローン。
まったくどこの野郎だ、無粋なことをしやがって、プンプン!

現在の気温マイナス10℃。
だいぶ冷えてきたので、そろそろ戻ることにする。

駐車場に戻るところに地図にない川があって、水面から湯気が立って気嵐のようになっていました。
流氷もこの近くだけは溶けて海面が現れています。

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 水路の湯気と流氷。

コンクリートの箱から流れ出る水は、どこかカルキ臭い。
なんだろなと地図を見ると、近くに下水処理場があって、そこからの排水のようでした。

この以久科原生花園は流氷スポットとしては穴場のようで、1人、2人と旅人が現れるだけです。
ドローンの主は、何かの調査員とか書いたゼッケンをしていました。町の職員なのでしょうか。

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 流氷には一人旅が似合う。

静かな青空の下の流氷を見ることができて、本当に満足でした。
流氷は一人旅が似合うな。
団体で押しかけて見るもんじゃない。


 ◆ 峰浜の流氷

車に乗り込み、もう少し東の方へ行ってみることにしました。
東の方が氷が厚そうだったから。

どうせならウトロまで行きたいところですが、ここからだと30km以上も離れています。
ちょっと流氷が見えるところまで行き、引き返そうというわけです。

国道334号線の交差点の手前で、大型観光バスがこちらの道に入って来ました。
ええっ?
まさか、以久科原生花園に連れていくつもりじゃ・・・

斜里の町や駅に行くには近道になるけど、途中から道が狭くなるので真っすぐ国道を行った方がいいので、きっとそうなのでしょう。
もう少し遅ければ、あの団体さんと遭遇していたでしょうね。

穴場的なスポットとか知る人ぞ知るような景色とかありますが、最近はそんなところまで入り込む観光バスが増えたようです。
この近くにある『天に続く道』も観光バスの通り道になってしまいました。

だからといって、陸上から流氷を見物できる場所は少ないということもあるのでしょうね。
ひとつ思うことは、どこかに流氷博物館のような施設を作って、流氷を眺められる展望台も建てて、入場料を取ってもいいからちゃんとした展示物を置いて運営すればいいのにと思います。
入場無料だけど、どこも同じような作りで中途半端な施設が林立するより、そのほうが自然環境的にもいいと思うんですけど。

さて、国道334号を東に進み、以久科原生花園から約10km。
峰浜まで来ました。
ここは防波堤があって、浜へ下りていけないのが残念ですが、眼下には水平線の先まで厚く張った流氷原が広がっていました。

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 びっしりと流氷が押し寄せた峰浜の海岸。

隣に川が流れていて、その水の音が響くのは残念ですが、それは自然のものなので仕方がない。
見ていると、地元の漁でしょうか。
銛のようなものを持って流氷の上を歩く人がいます。

氷が割れて海に落ちたら99%死ぬので、観光客は絶対にやってはいけません。

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 流氷の上に新雪が積もった海は白い月面にも見える。

峰浜でびっしりと白く張った流氷を見て、一路網走に引き返すことにします。


 ◆ 北浜駅と『流氷物語号』

途中、北浜駅ではちょうど臨時列車の『流氷物語1号』が停車中でした。
ホームも展望台も人だかり。

この日は今シーズンの運転最終日なのだとか。
そのためか、ホームの展望台はカメラの三脚が林立し、停車中の列車の乗客や観光バスからの人も登るもんだから、展望台の上は人であふれかえっています。

この北浜駅も、すっかり流氷観光スポットとなったようで、2台目の観光バスがまたやってきました。

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 賑わう北浜駅は『流氷物語1号』が停車中。

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 後ろ側は『道北流氷の恵み号』を連結。

列車は人気のようですが、肝心の流氷はというと破片がいくつか浮いているだけ。
あとは水平線近くにうっすらと見えているだけという状態でした。

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 斜里へ向けて北浜駅を発車する『流氷物語2号』。

この列車は10時14分発。
発車時刻が近くなると乗客は車内に戻ってゆきます。
展望台もすいてきたので、上から『流氷物語号』を見送ることに。

2両の列車は「ピーーーーッ」甲高いホイッスルを鳴らして発車していきました。
残ったのは観光バスの客と鉄オタだけ。

反対側には三脚が林立し、さらに脚立を置いてカメラを構えています。
次に狙うは10:40発釧路行き快速『しれとこ摩周号』なのでしょう。

日が差していて光線具合は申し分ないんでしょうが、肝心の流氷がないのは寂しいね。

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 脚立と三脚に占領された北浜駅展望台。

しかしどうでもいいけど、この人たちは脚立が好きですな。
駅のホームではさすがに禁止のところが多くなったけど、ここでは遺憾なく発揮といったところ。

そろそろ降りようと階段に向かうと、また観光バスで着いた人たちが階段をぞろぞろ登ってきました。
やれやれ、忙しい駅ですね。
何度も道を譲って、狭い階段をようやく降りることができました。

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 撮り鉄さんと観光バスからの客で大盛況の北浜駅展望台。

車に戻ると、観光バスが通せんぼして出られない(涙
まあいいや、そのうち出発するだろうと、昨日朝食用に買ってあったパンとおにぎりを取り出して遅い朝食とします。

車の中から見ていると、鉄オタらしいおっさんがホームで警備員にずっと食ってかかっていました。
お前が写ったんだ、どうしてくれるんだみたいな話をしているのでしょうか。
どうもこうも警備員だって仕事ですからね。

通せんぼのバスがいなくなったので、この隙に北浜駅を出発ます。
いつまでも居たら、またここにバスを停められそうなので。


 ◆ 道の駅流氷街道網走

再び網走の道の駅に立ち寄りました。

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 道の駅流氷街道網走は流氷観光の拠点。

別に用はないのだけれど、ほっかいどう応援クーポン千円分を使ってしまいたかったから。
中に入ると、さすがに流氷観光シーズンだなあと、あらためて思うほどの混雑ぶりでした。

流氷観光船おーろら号の改札口も、土産屋のレジも長蛇の列。
だけど、中国語が飛び交っていたコロナ前と違って、いたって平和な(?)日本の光景。

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 大型車駐車場は観光バスで大盛況。

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 観光客を乗せて出航を待つ『おーろら』。

おーろら号が出航すると土産物屋の行列も短くなりました。
この隙に千円分のお土産を買いました。

当初は『流氷物語号』に乗ってみようか、観光船『おーろら』に乗ろうかとも思っていましたが、そこまでの余裕はできませんでした。
でも、浜に押し寄せた流氷を見ることができたし、運が良かったんじゃないかな。


 ◆ 網走から札幌まで

11時過ぎ、もう未練もないので道の駅を出発します。
帰りは端野から国道333号線経由で遠軽へ、そこから旭川紋別自動車道〜道央自動車道という網走から札幌への最短ルート。
愛別ICから札幌ICまで高速料金がかかりますが、ETC休日割引が復活しているので2,640円ならば安いものだ。
それに、明日から仕事なので少しでも早く帰りたい。

帰り道は遠軽までは順調でしたが、旭川紋別道に入ってから吹雪いてきました。
北見峠に向かうにつれて視界も悪くなって、ホワイトアウトに近い状態になってきます。

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 ホワイトアウト状態の旭川紋別自動車道。上川付近。

どうやら吹雪は旭川の方がひどいようで、道央道の旭川鷹栖IC〜深川IC間は通行止めになっていました。
この間は国道12号線を走ることになります。
渋滞しているかと思ったが、意外と流れは良かったのはヤレヤレ。

深川から再び高速へ。
このまま一気に札幌へ、と行きたいところですが、今度は岩見沢〜札幌間がまた通行止め。
岩見沢ICでまた降ろされます。

いつもの国道12号〜275号のルート。
こちらも意外と流れは良く、夕方とあってか札幌からの反対方向が渋滞気味でした。

札幌の自宅に着いたのは17時30分。
休憩込みで、網走からほぼ6時間半かかりました。
それでも無事帰ってこれたから良かった。

  ★   ★

これで2023年の流氷見物はおしまい。
北の見ものといえば流氷に白夜にオーロラ。
このうち白夜とオーロラは、北欧やアラスカの北極圏まで行かなければ見ることはできません。

だけど流氷だけはオホーツク海岸で見ることができる。
他所では北緯60度以北の北極圏でしか見ることができない流氷を、日本では北海道で見ることができる。

世界一低緯度で見ることができる流氷。
北海道の冬の見どころはといえばたくさんありますが、私としてはオホーツク海の流氷をお勧めします。

それも、流氷観光船から見るのではなく、浜に接岸した流氷。
波音が凍り付き、シーンとした白い浜辺に一人立っていると、人の世の悩みなんて小さなことだと思うようになりますから。

大層な結論となったところで、今回は終わりとさせていただきます。

〜最後までお読みいただき、ありがとうございました。  

posted by pupupukaya at 23/03/04 | Comment(0) | 道東の旅行記

2022年知床旅行記5

 ◆ 知床観光船おーろら

知床岬と国後島を見て船はUターンしウトロへと戻る航路となる。
今日観光船に乗った人たちは間違いなく大満足といえる航路だった。
やはり今日に変更して良かった。

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 国後島を望む知床岬沖で船はターンする。

知床岬と国後島を後に船はウトロへと向かう。
帰ってこい北方領土。
船尾ではためく日の丸と国後島を見ているとそんな気分になった。

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 知床岬と誇らしげにはためく日の丸国旗。

船室内に戻るとお弁当タイムだった。
ツアーの人たちは昼時は船内なのでお弁当を持って乗っていた。
私らのような個人客は各自で用意するしかない。

船室内は空いているので、船内探検でもしてこよう。

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 1階自由席客室。こちらは知床半島側。

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 不人気の海側自由席。

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 1階船首の自由席。

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 1階自由席船首の窓からの眺め。

2階船室には売店もあるが、食べ物は肉まんとスナック菓子くらい。
あとかき氷とあばしりサイダーに青い発泡酒の流氷ドラフト。

流氷ドラフトは手を出しかけたが、船を降りたら札幌まで運転するんだった・・・

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 2階にある売店。

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 売店のおーろらグッズなど。

船室内のシートで休んでからまた屋上展望デッキへ。
時どきクマがいますと放送が流れるがさっぱりわからない。

見つけた人が指差すも、その方角を目を皿にして探すが結局わからない。
とりあえず撮影して、あとで画像を拡大して探しても見つからなかった。

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 再び展望デッキ。

もしかして知床のクマは馬鹿者には見ることができないとか・・・?

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 このどこかにクマがいるらしいのだが・・・

真っ青な空にいつしかイワシ雲。
秋のような空にベタ凪の海。
こんな風景を眺めていたら、どこか異次元の世界に引き込まれたような感覚になる。

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 硫黄山とウロコ雲。

こんな不思議な世界があってもいいよなあ・・・
なんて思いつつ、ツアーの人たちの話声も聞こえてくる。
ウトロ港に戻ったら、その後は知床五湖へ行って、知床峠を通って屈斜路湖畔に泊まるんだって。
いや忙しいなあ・・・

かく言う私も船を降りたら7時間かけて札幌に戻るわけですが。
4千円近くかかっても高速にするかなあなどと考え始める。

そろそろ現実の世界に戻る時間も近い。

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 そそり立つクンネポールと呼ばれる岩と漁船。

秘境の大自然を船上から眺めてまたウトロ港へと戻ってきた。
無事生きて戻ってきましたと言うほどではないが、どこか離島に滞在して本土に戻ってきたような感覚だった。
それくらい船上から見る知床岬は素晴らしかった。

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 ウトロ港に無事戻ってきた。

港で待ち受ける人たちは観光バス3台の運転手とガイド、それに14時30分発のカムイワッカの滝航路に乗船する人たち。
「おかえりなさ〜い」
「ただいま〜」
そんな感じ。

う〜ん、やっぱり船はいいな。

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 ウトロ港で出迎える観光バスと人々。

船内ではそんなに人がいると感じなかったが、下船する人は多い。
バス3台分のツアーが乗っていたんだから、そりゃそれなりの人数ではある。
これでもいつもより大分少ないんだろうけど。

インバウンドだらけだった3年前だったらとてもこんな気分にはなれなかっただろうな。
やはり旅行は人が少ない時に限る。

こんな素晴らしい船旅をありがとう、知床観光船おーろら。

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 着岸、下船風景。

タラップを降りれば現実の世界。
下船客の多くは3台の観光バスに分かれて行く。

私も車に戻ってハンドルを握れば現実の世界。
車に戻ってエンジンをかけたら、早いバスはもう出発して行った。
まったくどこも忙しいなあ。

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 番屋をイメージした道の駅うとろ・シリエトク。

最後に道の駅に寄って長距離運転に備える。
土産物でも買おうかと思ったが特にほしい物もなく、飲み物だけ買って車に戻る。


 ◆ 帰路・札幌まで

ウトロを出発すると前をバイクの大集団が走っていた。
面倒な連中の後ろについてしまった。
オシンコシンの滝の駐車場からまた合流してさらに大集団に。

集会でもあるのかと思いつつ後ろを走る。
こいつらがまた飛ばすこと。
後を付いていくと、とてもここには書けないほどのスピード。

彼らは途中で天国へ続く道の方へ曲がって行った。
何だったんだろうな。
でもおかげで斜里までだいぶ時間稼ぎできたわけだが・・・

ちょっと遠回りになるが、また小清水原生花園に寄った。
初日に見たエゾキスゲはまだ満開だった。

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 黄色いエゾキスゲが満開の小清水原生花園。

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 知床の山影と黄色く彩った原生花園。

ここは線路と国道が並行して、花がたくさん咲いている。
列車が通ったらさぞや絵になる鉄道写真になるんだろうなと思う。

帰ってから調べたら、あとここで15分ほど待っていたら釧路行き普通列車が通過していた。
惜しいことをしたものだが、別に私は撮り鉄の趣味はないので悔やんではいない。

それに画像で見る限りは美しい風景だが、このあたりにいるとやたらと大きい蚊がまとわりつくので、もうかなわんと車に逃げ帰った。

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 濤沸湖側はオレンジ色のエゾスカシユリが満開。

再び出発。
網走へは寄らずに美幌に抜ける。
このあたりは丘陵地帯に畑が続いて、所どころに防風林といういかにも北海道らしい風景。
美瑛や十勝ともちょっと違うなあ。

美幌バイパスから333号線を通って遠軽から旭川紋別自動車道へ。
ここから先は札幌までずっと高速道路でつながっている。
特急オホーツクがエンジンをめい一杯吹かして40〜50km/hで走る区間を、道路は橋やトンネルで直線で突き抜ける。
これじゃあ鉄道は商売にならないね。

無料区間最後の比布ICで降りようかどうか迷ったが、結局このまま真っすぐ行くことにした。
高速料金4千円近く払って早くなるのは1時間だが、ここまで来たら1時間でも早く帰りたい。

比布ジャンクションから道央自動車道へ。
ここまでのワイルドな区間は終わり。この辺から心なしか都会っぽくなってくる。

途中で電光掲示板が、奈井江砂川IC〜美唄IC間通行止めの情報を伝える。
事故でもあったんかと思ったら熊出没だってさ。

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 奈井江砂川ICで熊出没のため降ろされる。

比布北ICから奈井江砂川ICまで2,270円。
ここからは下道で帰ることにする。
時間にして30分短縮。ま、特急料金ってとこか。

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 奈井江で夕日を見る。

札幌に着く頃には完全に暗くなっていた。
北1条から駅前通りを通って南9条に抜ける。
20時40分のすすきのは驚くほど人が多い。
この間までコロナで閑散としていたものだが、もうこんなに人が戻ってきたんだね。
そういえば今日は金曜日だったな。

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 賑わいが戻った夜のすすきの。 

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 道の駅流氷街道あばしりで買ったお土産。

これで秋まで旅行はお休み。
7月8月などどこへ行っても混んでるから。
海外客の受け入れも始まったようだしね。
だけど観光地はインバウンドばかりというのはもう勘弁願いたい。

何度も言うが、人が少ない知床は本当に素晴らしかった。
最終日だけですが好天にも恵まれたのは運が良かった。
海外旅行に行けるようになるのはまだまだ先になりそうだけど、今年はもう海外旅行に行ったくらい満足です。

最後に今回の旅行に使った金額です。

2022年知床旅行の費用
費目金額(円)備考
ホテル知床2泊16,700どうみん割使用
ガソリン代10,210給油3回、62.38L
観光船6,800おーろら
入場料1,350網走監獄
高速代2,270比布→奈井江砂川
駐車場代900知床五湖・ウトロ
食費(購入)6,095酒代込み
食費(外食)900監獄食堂
土産代1,520 
どうみん割クーポン-4,000 
合 計42,745 

1人旅で外食もほとんど無しですが、知床旅行にかかる費用の参考としていただければ幸いです。

最後までお読みくださいましてありがとうございました。

〜2022年知床旅行記 おわり   

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posted by pupupukaya at 22/07/16 | Comment(0) | 道東の旅行記

2022年知床旅行記4

 ◆ 知床3日目で晴れ

7月1日金曜日。
窓の外が妙に赤いので目が覚めた。

おはようございます。
朝3時半、知床の朝は早い。

外を見ると、空は一面のいわし雲が朝焼けで赤く染まっていた。
美しいのか不気味なのか何とも言い難い。
幸運と見るか、不吉と見るか・・・

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 朝3時半、朝焼けのいわし雲。

朝食券を見ると今朝の朝食会場は6時30分からとなっていた。
6時半でも朝早いが、こちらは3時半から起きているので待ち遠しかった。

6時半に朝食会場に行くと、ツアーらしき人たちが集まって入口は行列ができている。
1組1組席に案内しているからだ。
それでも空きテーブルも目立ち、昨日より空いているようだった。

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 知床あっぺメシのコーナー。

朝食バイキングのメニューは昨日と代わり映えせず。
今日は『知床あっぺメシ』。
鮭と昆布の混ぜご飯に醤油漬けのサーモンをのっけたもの。薬味は山わさびの醤油漬けで。

本当は出汁をかけていただくようだが、かけなくても旨い。
混ぜご飯とサーモンで少々くどいが、そこは山わさびの醤油漬けがピリッと引き締める。

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 てんこ盛りにした知床アッペメシ。

は〜食った食った。
今朝も腹12分目になってしまった。

朝食前はガスってきたりしてやきもきする空模様だったが、朝食後に外に出てみると空はきれいな青空になっていた。
1階のロビーにはツアー名を記した立て札があって、各ツアーの集合場所になっている。
もう荷物をもって集まっている所も。
ツアーは朝早いなあ。

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 すっかり晴れて空気も澄んだウトロ。

8時、身支度も済んだのでこちらもホテルをチェックアウト。
早い出発のようだが、ツアーの皆さんに比べれば遅い方。
バスの駐車場は既に出払った後だった。


 ◆ 雲海の知床峠と知床ブルーのプユニ岬

まず向かうは知床観光船おーろらのきっぷ売場。
今回の知床旅行の最大の目的である、船上からの知床クルーズ。
昨日乗る予定にしていたが、昨日はガス(海霧)っていたため今日に変更していた。

観光船乗り場はトンネルを抜けた先にあるが、先に手前にあるきっぷ売場でチケットを買う必要がある。

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 しれとこ観光船おーろらのチケット売り場。

早めに着いたからか、そもそも乗船客が少ないのか、窓口では並ばないでチケットが買えた。
10:00発の秘境知床岬航路は6,800円。
私はどうみん割のほっかいどう応援クーポンを8枚4,000円分持っているので、それを使って2,800円の支払いとなった。

う〜ん、いろいろ恩恵を受けてるなあ。
コロナ様様なんて言うと不謹慎だろうか。
こんなことでもないと知床岬を見ることなんてなかっただろうしなあ。

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 しれとこ観光船おーろらのチケット。

チケットは手に入れたので、乗船時間の9時45分頃までどこかで時間をつぶすことになる。
時間にして1時間半ほど。

昨日行かなかった知床峠に行くことにした。
ウトロからは片道20分もかからない。乗船時間までの時間つぶしにはもってこいのドライブコースだ。

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 知床峠、斜里町のカントリーサインと羅臼岳。

知床横断道路を登って行くと標高1,661mの羅臼岳がくっきりと見えてきた。
今日は峠からの眺めも良さそうだ。

峠の駐車場に着いて展望台から景色を見るとびっくり。

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 知床峠から根室海峡の雲海を見下ろす。

なんと峠から見下ろす根室海峡は雲海に覆われていた。
その向こうには国後島の山々が頭をのぞかせているではないか。
何とも壮大なスケールの雲海。

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 根室海峡の雲海と国後島。

あの島はわしらのもんじゃああああ!
いくら叫んだって帰っては来ない。

過去にチャンスがなかったわけではないが、当時の政治家が無能だったのだからどうしようもない。
バブル崩壊に平和ボケに染まった無能政治家、一番割を食ったのが私らの世代・・・
・・・ま、それは言うまいて。

もう少し先の見返り峠まで行けば雲海に近づけそうだが、今日はこれから観光船に乗らなければならないので引き返す。
途中プユニ岬というウトロを見下ろすポイントがあり、そこから見た海の色は知床ブルーと呼びたくなるほど青い色が印象的だった。

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 プユニ岬の見晴橋から見た知床ブルーとウトロの町。

ウトロへ戻ってきて、道の駅でトイレを済ませてからトンネルをくぐって観光船乗り場へ向かう。


 ◆ 知床観光船おーろらに乗る

オロンコ岩のトンネルをくぐった先は有料駐車場となっており、駐車場入口に係員がいるので400円払うことになる。
こんなところで駐車料金を取るのも世知辛い話だが、チップだと思えば腹も立たん。
ちなみに駐車場にトイレはないので、来る前に済ませるか、乗船後に船内でということになる。

駐車場には観光バスが2台停まっていたが、いるのは運転手とバスガイドだけ。
乗客は8時15分発のカムイワッカの滝航路の乗船中なのだろう。
ほかには、駐車場に早く着いた人たちが所どころで所在無げに過ごしている。

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 ウトロ港の澄んだ海水。

磯から海面を覗くと海水は澄んでいる。
海面はベタ凪。
船が揺れる心配はなさそう。

9時半になってそろそろ乗船口に並ぶことにする。
船内の席は自由席なので、席は早い者勝ちということになる。
先客は5〜6人。
駐車場で過ごしていた人たちもやって来た。
それでも20人もいないくらい。

こんなものなのかと思っていたら、観光バスが次々と到着して後ろはあっという間に大行列となった。
とにかく短期決戦のごとくスケジュールを詰め込んだツアーが10時近くまでゆっくり過ごさせてくれるはずもなく、観光船乗船も前に知床五湖あたりをひと観光してきたらしい。

逆に言えば、ツアーと人たちが到着する9時半過ぎまでに並んでいれば好きな席を取ることができそうだ。

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 カムイワッカの滝航路から戻ったおーろら。

9時40分を過ぎた頃おーろらが入港。
8時15分発のカムイワッカの滝航路から戻ってきた船だ。

おーろら号は網走の流氷観光船と同じ船。
冬は網走で、夏は知床で働いているわけだ。

船が岸壁に着くと乗船客がぞろぞろと降りてくる。
その後ろを小型のクルーズ船が通り過ぎて行った。

4月に知床沖で起きた海難事故は記憶に新しく、未だに多くの行方不明者がいて捜索活動が続く状態で観光船を運航するとは不謹慎だという意見もありそうだ。
さりとて観光船業者もいつまでも休んでいるわけにはいかない事情もある。

食ってかなきゃならないのは誰でも同じ。

心ない業者による信用失墜行為で知床の観光船の評判が落ちてしまったが、いつかは営業を再開しなければならない。
それにあの事故は人間による人災であって、知床の大自然に罪があるわけではない。
だから我々観光客が再び知床観光を盛り立てていかなければならない。

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 一足先に出航するクルーズ船のDOLPHINV。

事故のあと、この『おーろら』も営業を自粛して遭難者の捜索活動に当たっていたが、5月20から安全管理を徹底した上で運行を再開している。
他の小型クルーズ船も6月から再開したが、そちらは知床岬まで行くコースは今シーズンは中止となっている。


 ◆ 秘境知床岬航路へ出航

全員が下船すると、こちらは入れ替わりに乗船となる。
席はなんといっても右側がおすすめ。
知床の断崖や知床連山を見るなら行きは右側、帰りは左側となる。

と思って右側席を確保したが、行列の全員が乗り終わっても船室内はガラガラだった。
ツアー客は2階の特別席に席を取っていたようだ。

荷物に席番をさせる必要もなさそうだ。
船室を出て一番上の展望デッキへ。
ここが一番人気で、多くの客で賑わっていた。

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 一番人気の展望デッキ。

空はいつの間にか快晴となっていた。
こんな澄んだ空を見るのは久しぶりだ。
昨日船に乗るのをやめて今日にして大正解だった。

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 青空に映えるオーロラ号のレーダー塔。

10時、出航。
展望デッキから離れて行くウトロ港を眺める。
たまには船もいいもんだね。
出航風景は何度見てもワクワクする。

カメラはここまでコンデジを使っていたが、ここからはCanonの一眼レフの出番となる。
かさばるので旅行にはあまり持っていかないが、この観光船のために持ってきたのだ。
果たしてヒグマを写すことができるのか。

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 ウトロ港を出航。

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 大賑わいの展望デッキ。

だけどこの展望デッキはちょっと人が多すぎるな。
そう思って1階のデッキに移動した。
高さは低いけれど、こちらは海面に一番近く、小型クルーズ船と同じような目線での眺めだ。

ここから見ても海面はベタ凪。
本当にいい日に当たったようだ。

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 ベタ凪の岩尾別の浜と羅臼岳。

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 ゾウの足のような象岩。

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 五湖の断崖と知床連山。

船内放送があり何かと思ったら「10倍の双眼鏡を売店で貸し出してます」とのこと。
1,500円でうち千円は預り金で双眼鏡の返却時に帰って来るもの。
私は7倍の双眼鏡を持参してきた。

時どき船内放送で「ただいまクマが見えます」と流れるが、私の眼では一向に見つけることができない。
見つけた人もいて「あっいたいた」なんて言っているが、さっぱり見つけられず。
とりあえず撮影して、あとで画像を拡大して探すもわからなかった。

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 カムイワッカの滝と硫黄山。

出航から45分でカムイワッカの滝が見えてきた。
昨日はこの上流まで車で来たわけだ。

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 カムイワッカの滝と硫黄で黄色く変色した石。

知床連山が遠ざかり、山並みが低くなったところがルシャ湾。
このあたりは知床半島の山が低くなっていて、根室海峡側からオホーツク海側に吹き抜ける風の通り道となる場所で、ここから吹き付ける強風をルシャおろしと呼ぶんだとか。
周辺が凪いでいても、ここだけは高波ということもある船の難所となっている。

だけど今日は本当に穏やかで、このルシャ湾もずっとベタ凪だった。

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 山並みが低いルシャ湾は船の難所。

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 タキノ川の滝下に建つ番屋。

滝や奇岩を眺めながら船は14ノット(約25km/h)でゆっくり進む。
ベタ凪なのと大型船なので揺れはほとんどなく、船酔いしている人もいないようだ。

反面、小型船と違って入江に入ることもなければ、クマを見つけても近寄ることもできないのが難点。
所どころに設置してある定置網も避けながらの運航なので、隔靴掻痒な感じがしないでもない。

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 足を踏ん張ったタコの形に見えるタコ岩。

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 カシュニの滝は高さ30mから直接海に流れ落ちる滝。

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 ぽっかりと穴が開いたメガネ岩。

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 知床岬が近づくと奇岩が続く。

11時50分、船は知床岬の沖合へ。
平らになった段丘と灯台が見えてくる。
その向こうには国後島の島影がはっきりと見えてきた。

ああ念願の知床岬。
これで思い残すことはない。

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 知床岬が見えてきた。

知床岬と国後島が見える頃がこのクルーズのクライマックス。
船内には加藤登紀子が唄う知床旅情が流れる。

私は観光地で無神経な音楽を流すことを良しとしない人だが、ここのはいい演出だと思った。
岬の向こうにはっきりと見えている国後島がまたいい。

 ♪ 遥か国後に白夜は明ける
  (森繁久彌作詞作曲 知床旅情より)

知床岬越しに見える島影は、船を漕いで行けばすぐに着きそうなほど近くに見える。
しかし遠い遠いかの国の支配となった島。
あれから70余年、かの国は遠い所でまた同じことを繰り返している。

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 知床岬と国後島。

岬の突端の磯には漁船の姿もあって定置網も見えた。
知床岬といえば、秘境知床の一番先で無人の断崖のようなイメージだが、実際はこんな突端にも人の営みがあるのだった。

船は岬の沖までは行かず、その手前でUターンする。


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2022年知床旅行記3

 ◆ 知床五湖へ

カムイワッカ湯の滝を見てまた車に戻る。
まだ相変わらずガスの中。
この辺りはずっと深い森の中。
ガスが晴れたとて、景色のいい場所でもなさそうだ。

わざわざダート道を11kmも走らせて来るまでもないんじゃないかと思う。
私みたいなダート道好きとかならば楽しいところだけど 。

来た道をまた戻る。
途中で20kmでノロノロ走る車に追いついた。東京のナンバー。
さすがに気づいたようで、先に行かせてくれた。
入って来ちゃったんだねえ。

こういう道の走り方は、以前に四国に行った時に覚えた。
カーブや待避所で対向車がいないことを確認して、直線区間ではスッと走る。
対向車が見えたら基本は譲る。

また舗装道路まで戻ってきた。カムイワッカからここまで20分くらい。
次は知床五湖に行きます。

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 1回500円の知床五湖駐車場。

日が差したり曇ったりガスの中だったり。
知床五湖もガスの中だった。

ここの駐車場は有料で1回500円
しょうがないね。むしろタダな方がおかしい。

大した予備知識もなく、知床五湖って言うくらいだから5つの湖が見れるんだと思っていたがそうではなかった。
遊歩道を歩いて5湖全部見てくると1周3時間。
しかも5月から7月まではヒグマの活動期とあってガイドツアー参加者以外の入場は禁止となっている。

せっかく来たんだし、ガイドツアーでもいいかなと値段を見たらゲッ!6,000円
一湖と二湖だけ見る1時間半コースでも3,000円
う〜んさすが世界遺産知床、恐れ入りました。

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 ガイドツアーの案内。

お金も時間もないよという人は、知床一湖近くの展望台まで木道があるのでそちらをどうぞということになる。

さすが有名観光地だけあって、観光バスが着いてそのたびにツアーご一行がぞろぞろと。
湖の方向もガスってるし、行く気が削がれるが、駐車料金も500円払っているわけだし、行くだけ行ってみる。

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 高架木道の入口。

進めば進むほどガスが濃くなってゆく。
どうでもいいところでは晴れて、肝心なところはガスに巻かれるといった感じ。
高架木道の両脇は、クマが登って来れないようにするためか電気柵が張りめぐらされているのが物々しい。

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 駐車場から800m続く高架木道。

この辺りは熊笹が広がっていて所どころにある立木がガスに霞んでいる高原らしい風景。
初めてきたので晴れていればどんな風景なのか知らないが、こうガスで霞んでいては面白いものではないな。

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 どことなく幻想的と思えば悪くはないが。

10分ほどで展望台へ。
ここから見える湖は知床一湖ということになる。
ツアーご一行の人たちも撮影だけして戻る人が多い。

今日はどこも駄目だねえ。
雨に当たらなかっただけ良しとすべきか。
入れ替わり立ち代替わりのツアーの人たちを見ながら、次はどこへ行こうかと考えていた。
まだ13時を過ぎたばかり。時間だけはたっぷりとある。

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 知床一湖を望む湖畔展望台。

そうしていると、見る見るうちにガスが晴れて湖がはっきりと見えるようになった。
日が差して青空も見えるようになった。
多くはすぐに引き返してしまったツアーの人たちのうち、最後まで残っていた人たちは奇跡のような晴れ間に当たったことになる。

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 奇跡的にガスが晴れた知床五湖。

ツアーのおばちゃんたちも大喜びで記念撮影していた。
添乗員さんも「いやーこれは奇跡ですよ」なんて言って。

しかしこういうツアーというか団体旅行って、総じておばちゃんが元気だね。
今も昔も変わらない、未来になっても変わらないんだろう。

おじちゃんはどこへ行ったんだろう。
おじちゃんは今頃バスの中でブーたれてるのかな。

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 バスツアーの人たちも大喜び。

日が差して青空が出たのも10分間くらいの出来事。
海の方からモウモウとガスが流れてきた。

また次のツアーご一行がやってきた。
そろそろ退散するとしよう。

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 また海の方からガスが流れてくる。

どうもこの晴れ間は私の上だけ付いてくるような気がする。
空気が冷たくて寒いくらいだから、ずっとウインドブレーカーを羽織っているが、日が差す中を歩くと暑いくらいだ。
また駐車場に戻ってきた。

DSCN4198.JPG
 左がパークサービスセンター、右がフィールドハウスの建物。

パークサービスセンターの中には土産物屋と軽食の売店があって、ツアーの人たちにはソフトクリームが人気だ。
私はというと、朝のバイキングを食べすぎてまだお腹いっぱい。



 ◆ 知床自然センターとフレぺの滝

次はどこへいくかというと、一番奥のカムイワッカから戻る格好となっているので、次は知床自然センターということになる。
ここからフレぺの滝まで遊歩道があって歩いていけるようだ。

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 知床自然センター。

ここの駐車場は無料だった。
そんなに観光スポットでもないのに駐車場がやたらと広いのは、8月のハイシーズンは知床五湖からカムイワッカまでのダート区間がマイカー規制になり、ここからシャトルバスに乗りかえるためのようだ。
今は車で直接カムイワッカまで行けるので駐車場はガラガラ。

案内所でフレぺの滝まで歩いていけるのか聞いてみる。
知床に行くというのに熊鈴をもって来なかったのだ。
歩いて行けるが、遊歩道の途中にクマが居ついてしまったので今はう回路になりますとのこと。

「クマは出ますか」と聞いたら、案内所のおねえさんはあっさりと「出ますよ」。
遊歩道の案内のチラシの裏に『ヒグマと出会ってしまったら』の説明書きがあるので読んでくださいねだって。
「それでは行ってらっしゃい」の言葉に送られて、歩いて行く羽目になってしまった。

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 フレぺの滝遊歩道は道道側からの迂回路となっている。

国道を少し下ったところにフレぺの滝入口があった。
脇にヒグマの目撃情報をカレンダーに記してあるのだが、それを見ると思いっきり昼間に出没している。

スマホでRadikoのラジオ放送でも鳴らして行こうとしたが、こんな音クマに聞こえるのかな。
と思って進んで行くと、1人、2人とすれ違う。
考えたらフレぺの滝は知床八景のひとつ。
クマに遭遇する心配はなさそうだった。

途中でバスツアーらしいご一行を追い越して展望台に到着。

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 切り立った入江の上の展望台から。

展望台に登ると入江と流れ落ちる滝が見える。
この滝には川がなく、地下水が断崖の割れ目から直接流れ落ちるといった変わった滝。
流れ落ちる様が涙に似ていることから別名『乙女の涙』とも呼ばれているとか。

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 フレぺの滝は地下水が直接流れ落ちる変わった滝。

さっき追い越したツアーご一行が追いついてきたので引き返す。
引き返すと言っても、遊歩道は一方通行でぐるっと一周する格好になる。

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 戻り道でシカを見つけた。

知床自然センターを出発してフレぺの滝まで往復して50分といったところ。
センター内の展示物をさらっと見て回って出る。

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 フレぺの滝遊歩道のジオラマ。

もうここまで来たらウトロの町が近い。
またウトロの道の駅に戻る。


 ◆ ウトロとゴジラ岩

道の駅に並んである建物は知床世界遺産センターとなっていて、ここも入ってみる。ここも入場は無料だった。
さっきの知床自然センターと被るような印象。

思ったのは、この手の施設がいくつもあって入場無料なのはいいけど、どこも中途半端な感じは否めない。
あちこちにやたらと箱物ばかりあってもしょうがない。
どこか1つに集約して、入場料も取ってちゃんとした博物館にした方がいいと思う。

最後はウトロの町なかをあれこれ見て回って、セイコーマートで買い物してからホテルに戻ることにする。

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 港への道にはクルーズ船の看板が並ぶ。

ゴジラの形をしたゴジラ岩のある通りは観光船やクルーズ船の事務所が並んでいる。
今日は大型船の知床観光船おーろらは運航したようだが、小型船で運航する他の3社は濃霧欠航となった模様。
やはり明日に変更して正解だったようだ。

その明日もどうなるかまだわからないが。

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 おおっ、ゴジラ出現!と思ったらゴジラ岩だった (^^;


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 現在立入禁止のオロンコ岩遊歩道。

オロンコ岩に登ればウトロの港と町を一望できるようだが、今日は木道破損のため立入禁止になっていた。
歩いてみる所といえばそれくらい。また道の駅に戻る。

ちなみにオロンコ岩の “ロ” は “ろ” ね。
伏字ではありませんよ(←誰も思わねーよ!


 ◆ 白夜気分のホテル知床

セイコーマートでビールとホットシェフの総菜を買ってホテルに戻る。
16時30分。
それなりに充実した1日ではあった。

今日も温泉に入って風呂上がりのビール。
旨いけど、体にはめっちゃ悪そうだな。

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 セイコーマートで買ってきた夕食。

窓の外を見ていると、6時を過ぎたあたりから観光バスが続々と到着しだした。
さっきホテルに着いたとき、玄関にあった歓迎看板をみたら今夜宿泊のツアーは8組。
多いのか少ないのかはわからないが、さすがに多いってことはないだろう。
朝食会場以外は広い館内を持て余しているような印象を持った。

昨日は時どき廊下から話声がしたけど、今日は静か。
外だけがずっと明るく、時が止まったような感覚すら覚える。

ノルウェーのナルビクという港町にあるホテルに滞在したときを思い出した。
あの時も2泊して、1日目は混んでいたけど2日目はガラガラで、静かだった。
ちょうど白夜の季節でね、夜中だけどずっと昼間のように明るいの。
静まり返ったホテルの部屋と、いつまでも明るい窓の外に時が止まったような不思議な感覚を覚えたものだ。

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 瀟洒な飾り付けのエレベーターホール。

ここは日本だからそんなことはないけど、瀟洒な内装と静かな部屋。ずっと明るい窓の外を見ながら白夜の北欧を思い出した。

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 客室の廊下。

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 日が当たるスキー場の斜面。

また日が差してきたし、今日は夕日が見られるかなと期待したが、西側の空は雲が覆っていて今日も無理そうだ。
日没の時間になるとまたガスが出てきた。

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 今日も夕日は無理そう。

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 19時過ぎ、またガスがかかってきた。

今日はずっとガスったり晴れたりの繰り返しだった。
明日こそ晴れてくれないとなあ。

知床の天気なんて山の天気と一緒で誰にもわからない。
天気予報は基本的に網走の天気だしね。

8時過ぎ、ビール3本飲んだら猛烈に眠くなってきたのでもう寝ます。


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2022年知床旅行記2

 ◆ ガス(海霧)の知床

6月30日木曜日。
窓の外がボワ〜っと明るいので目が覚めた。
時計を見ると3時半。
早く寝たので良く寝たという感じ。

北海道も東端に近いこの地は日の出も早く3時40分となっている。これは札幌より20分近く早い。
夏至の前後は20時前にようやく暗くなり、明けて3時前にはもう明るくなってくる。
日本に白夜なんてものはないが、何となく白夜と呼びたくなる。

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 真っ白くボワーっと明るい朝3時半。

しかし窓の外は濃いガス(海霧)で真っ白。
ホテル前の駐車場までしか視界がない状態。
まだ日の出前だからね。日が高くなればガスも晴れるでしょうよ。

もうひと眠りして6時前に起きたら、まだ外は真っ白け。
う〜ん、しつこいガスだなあ。

朝食会場は6時45分から。
朝イチは一番混むので7時過ぎに朝食会場へ。
これがすごく混んでいた。

広いホールのテーブルは満卓。
席は別部屋に設けた臨時のテーブルに案内された。

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 混んでいた朝食バイキング会場。

朝食バイキングのメニューは焼魚にウインナーにスクランブルエッグがメインと普通の品ぞろえ。
朝食だからこんなものか。
それにツアーのお客さんがメインだから、朝からたらふく詰め込んだら昼ごはんが食べられないことになる。
お客さんもそれを心得ていて、あんまりガツガツした人は少ない。

私は今日は昼抜きなので、朝からたらふく頂きますよ。

DSCN3951.JPG
 朝食バイキングの一例。

朝から腹12分目になって、外に出てみる。
寒い。入口横にある温度計を見ると12℃を指していた。
7時40分、まだ相変わらずガスに包まれている。

入口横にはバス2台が横付けされて、もうお客が乗り込んでいる。
ツアーは朝早いね。
これから知床五湖へ行って、それから観光船に乗るんだとか。
駐車場に停まっていたバス7台は、8時には全ていなくなった。

DSCN3958.JPG
 出発するバスツアー。

8時にもなれば日が高くなってガスも晴れるのかと思っていたが、一向に晴れる気配はない。
9時、フロントにキーを預けて出発。

車で坂道を下って、ウトロの町に着いたらガスは消えていた。
ホテルは山の上の方なのでガスっていたわけか。

DSCN4288.JPG
 予約していたしれとこ観光船おーろらのチケット売場(夕方撮影)。

観光船おーろらの乗り場はオロンコ岩のトンネルをくぐった先にあるが、受付ときっぷ売場はトンネルの手前で行う。

窓口で予約してあったことと名前を言うと、「6,800円です」。
お金を払う前に霧がだいぶ濃いので大丈夫かと尋ねたら、
「あまり霧が濃くて航行が難しいと判断したら途中で引き返すこともあります」
とのことだった。

私は明日までウトロにいるので、無理に今日でなくてもいいのだ。
「明日に変えてもいいですか」と言ってみると、
「ああ、いいですよ」とあっさり。
むしろそうしてくれみたいな口調だった。
そのまま明日の予約にしてもらってまた車に乗り込んだ。


 ◆ オシンコシンの滝と天国へ続く道

さて今日は1日地上観光ということになった。
昼にはガスが晴れてくれることを期待して、オシンコシンの滝へ行ってみる。
途中に3段の滝というのがあって、道路から見ると3段になっているのが見えたが、わざわざ車を止めてまで見ることはなかったな。

DSCN3991.JPG
 少し高い場所はガスに覆われていた。

オシンコシンの滝は大型バス用の駐車スペースがあって、土産物屋も営業していた。
ここは知床八景と呼ばれる名所のひとつ。

ちなみに知床八景とは、

 オシンコシンの滝
 オロンコ岩
 夕陽台
 プユニ岬
 フレぺの滝
 知床峠
 知床五湖
 カムイワッカ湯の滝

の八か所だそうだ。

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 知床八景のひとつ、オシンコシンの滝。

DSCN4005.JPG
 水量も多く、近くで見ると迫力がある。

それなりに見ごたえのある滝を見て、再び車を斜里の方に走らせる。

知床に来たんじゃなかったのと言われそうだが、知床観光はこのガスが晴れないとどうしようもない。
それに斜里側の方にも行ってみたいところはいくつかあった。

国道334号線を斜里に向かって走っていると『天に続く道』という看板があってそこを左折する。
ここは28km続く直線道路のスタート地点で、一直線に坂を下る道路が天に登って消えてゆくように見えるからこう名付けられたのだとか。
ところがそのスタート地点に行ってみると、ここもガスの中だった。

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 天に続く道もガスの中。どこに続く道?

今度は以久科原生花園へ。
これも国道334号線を走っていると看板があるのですぐにわかる。
小清水原生花園のようなのを期待していたが、こちらは砂丘の草原に柵があるだけだった。
今はオレンジ色のエゾスカシユリが満開。

昨日の小清水原生花園でも思ったけど、花ってのは曇り空の方がきれいに見える。

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 オレンジ色のエゾスカシユリが満開の以久科原生花園。

DSCN4031.JPG
 朝露をまとったエゾスカシユリ。

そのあと斜里の町まで来てしまった。
道の駅しゃりに着くと一転して青空に。

この後は、根北線の越川橋梁跡を見に行こうかと思っていたが、晴れてきたんなら知床に戻りますよ。

DSCN4061.JPG
 道の駅しゃりに着くと青空が出てきた。

途中でスタンドに寄ってガソリンを満タンにしてから国道334号線を知床に戻る。

走っていると、さっき寄ったがガスの中だった天に続く道がはっきりと見えていた。
この天に続く道は途中から国道334号になるのだが、それを下から見上げている格好になる。

国道は左カーブでウトロに向かうが、直進すれば天に続く道に入る。
それでリベンジでやって来ました。

IMG_3557.JPG
 天に続く道28.1km、スタート地点から。

上画像は一眼レフの70mm望遠で撮影して、さらにトリミングしたもの。
手前が水平だとすれば、まさに天に続く道。
どうせなら道路わきの標識とか除雪ポールも坂に合わせて傾けてくれればもっとそれらしくなるんだけど。

IMG_3561.JPG
 この辺りはいかにも北海道という感じ。

IMG_3559.JPG
 たまに観光バスが通る。

知る人ぞ知る的なスポットだったんだろうけど、今やすっかり有名スポットになってしまったようで、たまに大型観光バスもやってくる。バスは通り過ぎるだけだが、この間は撮影はしばらくお預け。


 ◆ カムイワッカ湯の滝へ

国道を走ってまたウトロに戻る。
斜里の町からだとここまで距離は38km、車だと30分以上かかる。
それでも同じ斜里町内なんだから、どんだけ広いんだという感じだね。

ここ斜里町ウトロは道の駅のほかはコンビニが2軒あるだけ。
あとは宿泊施設と飲食店のみ。
漁業と観光に特化した町といえる。

一方、知床峠を挟んで反対側の根室海峡に面する羅臼はれっきとした羅臼町。
羅臼は5年前に出張で1週間滞在したことがある。
あちらはドラッグストアやホームセンターもあって生活感があった反面、観光施設には乏しい印象だった。

DSCN4062.JPG
 知床の名産や土産物が豊富にそろう道の駅知床。

ウトロの道の駅で一休みして、今度は一番奥のカムイワッカ湯の滝まで行ってみる。
天気はというと、海岸沿いはどんよりと曇り空、少し高い所はガスの中。
ガスというより低い雲が立ちこめているという感じ。

それでも車を走らせていると時々青空になって日が差すようになった。

DSCN4079.JPG
 オシンコシンへ通じる道道知床公園線のダート区間。

道道知床公園線は知床五湖までは2車線の舗装道路だが、その先はダート区間となっている。
私が小学生くらいの時代ならば国道でもこんな道があったが、さすがに今は道道クラスで一般車も通行できる道のダートは数えるほどになった。

途中狭隘区間も多くて線形も悪い。運転に不慣れならば入らない方が無難だ。こんな道が11kmも続く。
これでも、雨竜沼湿原の登山口へ続く道道暑寒別雨竜停車場線よりはマシかなと思った。

DSCN4090.JPG
 道端で草を食むシカ。

カムイワッカ湯の滝の橋をわたったところにある駐車場が終点。
道路自体はまだ続いているが、100mほど行った先にゲートがあってそれ以上は進めないようになっている。
昔はここから少し先の知床大橋まで行けたようだ。

ちなみに、駐車場の先まで行ってしまうとまた駐車場までバックで戻るしかないので注意。

DSCN4100.JPG
 カムイワッカ湯の滝駐車場の先からは通行禁止。

DSCN4094.JPG
 温泉が岩肌を流れるカムイワッカ湯の滝。

カムイワッカ湯の滝も知床八景のひとつ。
橋の脇から少し登った沢が温泉となっている。
手を入れてみると生暖かいくらいな温度。
靴を脱いで上へ行けば温度は上がるようだ。

上へは岩肌を流れる沢の中を登ることになる。
靴を脱いで裸足になって裾をまくれば行けそうだが、難儀そうなのでやめておいた。


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posted by pupupukaya at 22/07/03 | Comment(0) | 道東の旅行記

2022年知床旅行記1

6月から7月初めにかけては北海道の一番最高の季節。
日は1年で最も長く、暑くもなく寒くもなく、道東や道北は花が咲き乱れる季節。
観光客もまだ少なく、旅行シーズンの穴場である。

ずっと前から夏の知床に行ってみたいと思っていた。
けれどもずっと行くことはなかった。

それは有名観光地だから。
人は多いし宿は高いし。
そう思ってずっと敬遠していた。
ましてや、ここ数年来のインバウンド客の多さもあって、ますます敬遠していた。

ところで、北海道内の宿泊施設が最大で5,000円引き+1泊あたり2,000円分のクーポン券がもらえる『どうみん割』が6月30日宿泊分をもって終了となる(7/14まで延長が決まった)。

安いプランがあるうちにまたどこかへ行きたい。
それに、コロナの影響で観光客激減の折り、どうせなら平時なら行けない、あるいは行きたくない観光地へ行ってみたいと思うものだ。

どこか『どうみん割』でいいホテルはないかとネットで探したらいいところが見つかった。
ホテル知床。ここを2泊予約した。

もちろんどうみん割で。
1泊1朝食付きで13,200円のところ5,000円引きで8,200円
それプラス2,000円分のクーポンが付く。
今行かないでいつ行くんだといったところ。

仕事を頑張って休暇も取りましたよ。

休みだから旅行に行くのではなく、旅行に行きたいから休みを取る。
できる人とできない人との違い。
大型連休や盆正月休みに旅行に出るとやたらと腹の立つことが多いのは、この違いなのかもしれないね。

ホテルは6月29日からの2泊である水・木・金を予約していたが、出発はその1日前の火曜日とした。

札幌から知床は遠く、車だと下道経由で7時間以上かかる。
比布まで高速だと1時間程度早くなるが、高速料金が4千円近くかかる。
休憩や食事時間を考えると、8時間は見なければならない。

そんなわけで1日早く出発することにした。
夜は網走あたりで車中泊とする。
あとは天気だなあ。

20220628weather.jpg
 6/28朝、日本気象協会 tenki.jpの2週間天気より。

週間天気予報を見ると週末に向かって天気は回復基調だが、週間予報など目安にしかならない。
天気だけは心配してもしょうがない。
せめて現地で臨機応変に動けるように予定を組んでおくしかない。


 ◆ 札幌〜網走〜小清水原生花園〜道の駅はなやか小清水

6月28日火曜日の10時半ごろ出発する。
曇り空で空気は湿っぽい。天気予報通り、どうやら雨に向かっている模様。

国道275号線を北上して神居古潭から12号線に抜けるいつものルート。
ずっと下道をトコトコと走り、愛別ICから旭川紋別自動車道に入る。
途中美幌で給油して、網走に着いたのは17時近くだった。

去年は普通列車で来てホテルに宿泊した網走。
今回は車で来て車中泊だが、同じようにベーシックというスーパーで夕食の総菜を仕入れる。

こんどは網走の道の駅に寄る。
すごいねえ、車中泊が人気なのか、駐車場は本州ナンバーばかり駐車している。
キャンピングカーも多いし、ワゴン車の車内を車中泊用に改造した車など。

ここで車中泊とも考えたが、両脇にも車中泊の車が駐車しているんじゃ落ち着かない。
もう1つ駒を進めて、小清水の道の駅まで車を走らせた。

途中の小清水原生花園は黄色いエゾキスゲが満開できれい。
涛沸湖側はオレンジ色のエゾスカシユリが満開だった。
今週が一番見頃のようだ。

あと1週間もすれば花も終わって、ただ緑の草原になっていることだろう。
原生花園の駐車場に停めて、しばし花を眺めていた。

DSCN3533.JPG
 黄色いエゾキスゲが満開の小清水原生花園とJR原生花園駅。

ハマナス越しにオホーツク海を眺めると、水平線の上にうっすらと夕焼けが見えていた。
晴れてくれればいいのだが、空気はやはり湿っぽい。
誰もいない散策路を20分ほど歩いて、今度は浜小清水へ向かう。

DSCN3544.JPG
 ハマナスとオホーツク海。知床連山も見える。

道の駅はなやか小清水はJR浜小清水駅併設となっている。
いつの間にかセイコーマートもできていた。これは便利じゃないか。
ここで1泊車中泊を決め込むことにした。

DSCN3579.jpg
 セイコーマートも併設してる道の駅はなやか小清水。

トイレは洗浄機付き。
さぞや人気の車中泊スポットなのだと思ったら、暗くなって外に出たら車中泊らしい車は3台(自分含む)だけだった。

ここの車中泊のもう一つ良いところはトレインビューであること。
本数は少ないけど、駅に発着する列車を目の前で見ることができる。

ひとつ気になったのは、駐車場利用での禁止事項が看板に表示されている。
一般の良識ある車中泊キャンパーならば常識のことばかりだが、やはりマナーの悪い利用者が後を絶たないのだろう。

DSCN3584.JPG
 網走行4732Dが浜小清水駅を発車して行く。


 ◆ 能取岬と網走監獄博物館

6月29日水曜日。
車の中からおはようございます。

朝5時、雨。
やはり天気予報通りだった。
しかし雨マークは午前中だけで、午後からは曇りマークとなっており、雨もそのうち上がることだろう。

雨のうちは車を走らせているか、どこか雨をしのげる所にいるしかない。
とりあえず網走へと向かう。
知床からは遠ざかるが、網走に監獄博物館があるので、午前中はそこを見学することにした。

とりあえずは道の駅流氷街道網走へ。
朝6時半。キャンピングカーやワゴン車がびっしり停まっている。
まるで本州ナンバーの見本市。
広島とか宮崎とか、札幌あたりじゃ滅多にお目にかかれないナンバーも。

ドライバーの年齢層はかなり高め。
会社を定年退職して時間がたっぷりあるが体は元気。
車中泊用の車を購入して穴場シーズンの北海道を気ままに旅しているんだろう。

数は多いけど、今時期の車中泊キャンパーは総じてマナーは良い。

これが7月半ばから8月にかけてとなるとDQNキャンパーの見本市となる。
私自身もDQNの数々を見たことがあるし、腹の立つことだらけ。
この時期の旅行はさすがに御免こうむりたい。

やはり旅行したいから休みを取る人と、休みだから旅行する人の違いなのだろうな。

DSCN3651.JPG
 本州ナンバーばかりだった道の駅流氷街道網走。

いつまでも道の駅にいてもつまらないし、能取岬へ行ってみる。
断崖の上に灯台が立つ、最果て感のある場所。
小雨の朝とあって、誰もいなかった。

駐車場から草原の道を歩きかけると、濡れた草でズボンの裾がずぶ濡れになりそうだった。
幸い車に長靴が積んであったので履き替えて岬の方へ行く。

雨だとガッカリしがちだけど、誰もいない静かな岬と灯台は思いのほか写真の収まりが良い。
最果て感のある画像を撮りたければ、雨の能取岬がおすすめです(負け惜しみ)。

DSCN3603.JPG
 雨に煙る能取岬。

この後は能取湖沿いの道を走って網走に戻ることにした。
地図を見ると、能取湖の湖口へ続く小道があるので、そちらに入ってみる。
これが水たまりだらけでぬかるんだ酷い道で失敗した。

DSCN3621.JPG
 能取湖の湖口の風景。

ここは能取湖とオホーツク海がつながった湖口にあたる。
砂浜と草原が続く広々とした場所。
景色はいいが、のっぺりとしすぎてカメラを向けても画像の収まりが悪い。

DSCN3650.JPG
 道道から湖口までの酷い道。

また網走まで戻ってきた。

9時にオープンした道の駅で土産物をいくつか買って網走監獄へ行く。
ここは2014年の2月に流氷を見に来た時に見学している。
あの時は吹雪の中の見学だったが、今回は雨の中。

入場料は1,500円とちょっと高めだが、1回中に入ると2〜3時間は時間がつぶせる。
それに、機会があればもう一度行ってみたいとも思っていたので丁度いい。

駐車場に着くと、10時前にしては意外とお客が多い。
みんな同じことを考えるのだろう。

DSCN3836.JPG
 博物館網走監獄の入口に架かる鏡橋(大正6年完成の復元)。

入場料は大人1,500円だが、網走監獄のHPにクーポンがあり、スマホで表示して見せれば1割引きになる。
そんなわけで1,350円で入場できた。

DSCN3655.JPG
 入場券うりば。

まずは重厚な赤レンガの正門から入る。
これは本物ではなく、博物館がオープンしたときに本物を模して再現したもの。
本物の赤レンガ門はどこにあるかというと、本物の網走刑務所にある。

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 通称『赤レンガ門』と呼ばれる正門。これは本物ではなく再現。

ここの一番の見どころは放射状に建てられた木造の舎房だ。
1912年(明治45年)建築で、1984年(昭和59年)まで使われてきたのをこちらに移設したもの。
重要文化財に指定されている。

DSCN3696.JPG
 中央見張所と放射状に広がる舎房。

木の格子と鉄格子は風が吹き抜け放題。
冬は寒かっただろうなあ。
これが1984年まで使われていたのは驚きだ。

1984年と言えば、もう38年前になるが、私らが小学校高学年だった頃。
えらい昔のことのようだが、その頃には今に劣らない近代的な生活を享受していた。

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 木製の扉と格子が並ぶ舎房の廊下。

この博物館で建物以上に面白いのはリアルな囚人の人形。
顔つきから表情までリアルに作られている。
この人形をみるだけでもまた来たいくらいだ。

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 食事中の3人用雑居房。

『休泊所』は道路工事などで日帰りできない作業のときに受刑者が寝泊まりした小屋。
その小屋に入ると横たわった受刑者の人形にギョッとする。
足元で寝息が聞こえてきそうなほど超リアル。

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 人形の寝息が聞こえてきそうなほど不気味な休泊所。

そのほかには実際の雑居房と独居房を再現した部屋もある。
独居房にPC持ち込んで過ごしたらブログの記事書きが捗るだろうなあ・・・なんて思ってみたり。

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 監獄歴史館に展示の現在の独居房。

刑務所だけでなく、裁判所の法廷を再現した部屋もあった。

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 ドラマのワンシーンのような拘留質問室。両人のヘアスタイルがまた・・・

貴重な木造建築とユニークな人形が面白く、あっという間に時間が過ぎる。

この網走監獄が伝えることのもう1つは、囚人が北海道開拓の重要な役割を果たしていたということ。
明治となって蝦夷地から北海道と改められると、各地から屯田兵や開拓者の入植が始まった。
ロシア帝国は南下政策を進めており、日本政府もそれに備えるために北海道開拓を急ぐ必要があったこと。
士族の反乱などから数多くの政治犯や思想犯が多かったことから、この囚人を労働力として使うことが考え出された。

当時は中央道路と呼ばれた今の国道333号線北見峠の開削工事は特に過酷で、過酷な労働や疫病、寒さや栄養不足から多くの囚人が犠牲になった。
囚徒は懲罰として苦役させれば工事が安く上がり、たとえ死んでも監獄費の節約になるという意見がまかり通っていた時代。
当時の正確な犠牲者の数すらわかっていない。
そんな明治期の北海道開拓の裏を伝える貴重な博物館でもある。

一回りして外に出たのは11時半だった。
雨は相変わらず降り続いている。
入場券うりばの奥に『監獄食堂』があって、ここで実際の刑務所メシに似せたものを食べることができる。
入口の券売機で食券を買うセルフサービス。

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 監獄食堂の食券券売機。

チケットは監獄職A(さんま)にした。Bはホッケになる。
食器は本物の刑務所と同じくプラスチック。
ご飯は麦飯。醤油は小袋で。

さんまは頭とワタは取り除いてある冷凍ものだが、脂がのっておいしかった。
なぜか春雨と切り干し大根がこれでもかというほど盛ってあった。

DSCN3828.JPG
 麦飯の監獄職A(さんま)。

毎日こんなもの食ってたら健康になるだろうな。
ダイエットと健康のために網走監獄体験入獄なんてあったら意外と人気になったりして。


 ◆ ホテル知床へ

天気予報では昼から曇りとなっていたが、依然として雨は止まない。
ラジオのニュースでは、旭川の方では記録的大雨で川が氾濫したと伝えていた。
JRも石北線と宗谷線の特急は終日運休となっていた。

ここ網走はいたって普通の雨。
車の中にいれば濡れることはないし、車を走らせていれば退屈はしない。
今回は車で来て正解だった。
それにしても旅行中に雨に当たるなんていつ以来だろう。

今日の天気はもう諦めた。
早めにホテルにチェックインして温泉にでも浸かっていることにしよう。

網走からウトロまでは1時間ちょっとくらいだろうか。
途中斜里にあるラルズマートで今夜の夕食とビールを仕入れておく。
予約してあるホテルは夕食なしプランなので、用意しておかなければならない。
ウトロだとスーパーはなくコンビニしかないようだ。また町からホテルまで離れているので外に食べに行くのも億劫だし。

斜里からウトロまでは大名行列。
この雨の中早く着いても困るのでおとなしく並んで走る。

14時過ぎにウトロの道の駅に着いた。
私は知床に来るのは今回が初めてではなく、前回ウトロへは2014年2月に来ている。
あのときは流氷を見るために網走に泊まって、そこからウトロへ日帰りで往復した。
流氷はびっしり接岸していたが、酷い吹雪だったなあ。
で、その翌日網走へ通じる国道が吹雪のため全て閉鎖となって帰れなくなった。
ウトロは陸の孤島になんてテレビのニュースでやっていたな。

道の駅に観光案内所があったので、観光船がやっているのか聞いてみた。
いや、再開しているのは知っているが、観光船のHPにを見ると6月中は予約不可となっていたので。

観光船はやっているようで、案内所でも予約はできるとのこと。
ただ、明日の便が出るかどうかは4時半に決まるので、予約はそれからでないとできないと言われた。
入口に置いてあったパンフレットだけもらってきた。あとで電話してみることにしよう。

ホテル知床は道の駅から2kmほど離れた山の上に建っている。
7階建ての立派なホテル。
どうみん割適用で1泊朝食付きで8,200円はお値打ちだ。しかも1泊あたり2,000円分のクーポンが付くのでさらにお得。

ワクチンの接種証明書もちゃんと持ってきたよ。
これ忘れると正規の料金になってしまうので忘れずに。

DSCN3850.JPG
 ホテル知床の正面玄関。

まだ15時前。
駐車場は車は数えるほどしかいない。
長期化したコロナウイルスと4月の事故が重なって知床の観光業界はどこも大変そうだ。

フロントでチェックイン。
「本日スタンダードツインでご予約承っていましたが、ラージツインにアップグレードさせていただきました」
思わず、
「ありがとうございます」
と言ってしまった。

無料アップグレードは2月のJRタワーホテル日航札幌にお泊りしたときも経験した。
いいもんだねあれは。

ルームキーと『ほっかいどう応援クーポン』8枚4,000円分を受け取って部屋へ。

ほんじゃお邪魔しますよ〜

DSCN3852.JPG
 広さ35m2のラージツイン。

おお〜広い。
これ二晩使わせてくれるのかい。
小さい子供ならかけっこが出来そうなくらい広いよ。

DSCN3858.JPG
 1人じゃ広すぎて落ち着かないような気も・・・

ソファーが2台あるが、これは背ずりを取り外すと簡易ベッドになり、4人部屋になるようだ。
窓のカーテンを開けると・・・

DSCN3863.JPG
 雨とガスに煙る窓からの眺め。

晴れていればオホーツク海まで見えるのだろうが、今日の天気では冴えない眺め。
無料アップグレードとは言っていたが、空室が多いので単に宿泊客を集約するためだったのかも知れない。

4,000円分のほっかいどう応援クーポンは明日観光船乗船に使えるならばそれに、使えなかったらうに丼でも食べて帰ろうか。

DSCN3882.JPG
 『ほっかいどう応援クーポン』は8枚4千円分。

時刻は15時過ぎ。
大浴場はもうやっているが、風呂から上がったら冷たいビールを飲みたい。
だけど飲むには早すぎるな。
車にカメラを忘れてきたのを思い出し、取りに行くついでに館内探検をしてくることにした。

DSCN3877.JPG
 フロントと広いロビー。

1階のロビーが広い。
5時か6時になれば、この広いロビーに団体さんがバスで続々と到着するからなんだろうな。
ひと頃ならば中国語が飛び交って、ここは日本か!なんて光景だったんだろうな。

それがコロナウイルスのおかげで、どうみん割のおかげで、私なんかがノコノコやって来られるようになったわけで。
世の中どうなるのかなんてわからないもんだねえ・・・

DSCN3974.JPG
 1階ロビーに面した売店(こちらは翌朝撮影)。

すいているのは快適だけど、あんまりガラガラだと気の毒に思えてくる。
だからって私などに出来ることは、どうみん割を使って泊まって差し上げることしかできないわけで・・・

入口にある歓迎看板を見ると、今日の団体さんは7組。
世の中はアフターコロナのフェーズに入った今、全国の観光地はお客が戻り始めている。
ところが色々あってここ知床はアフターコロナから出遅れた格好だ。

DSCN3875.JPG
 ラウンジ茜からは夕日が眺められる。

部屋に戻って、今度は観光船会社に電話してみる。
知床観光船おーろら。
カムイワッカの滝航路と秘境知床岬航路の2コースあって、前者は所要時間1時間30分とお手軽だが後者は3時間45分とたっぷりとある。

どうせなら知床岬まで行きたい。
電話すると、明日の予約OKとのことだった。電話ではフルネームと電話番号を伝えるだけで完了。
調べたら、ほっかいどう応援クーポンも使えるようだった。

あとは温泉に浸かって一杯やれば今日は終わり。
浴衣に着替えて大浴場へ行く。
風呂もガラガラだった。

風呂から上がると1階の売店がオープンしていたので、サッポロクラシックのロング缶を1本買った。
斜里で買ってきた分だけでは足りない気がして。

ようやく雨は上がったようで、道路のアスファルトが渇き始めていた。
窓の外を見ていると5時を過ぎた頃から観光バスが到着し始めた。
こちらもそろそろ宴会を始めることにする。

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 斜里のラルズマートで買ってきた惣菜とビール。

今夜の夕食はイカの握り寿司とオホーツク産タコの刺身、それにザンギ。
ビールはしれとこ麦酒というのを買ってきた。
ラベルは缶に紙が巻いてあって、斜里町限定販売の表示もある珍しいビール。

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 斜里町限定販売の『しれとこ麦酒』。

冷たいビールが旨い。
雲が多くて夕日は見られそうにないが、西の空はうっすらと青空も見えてきた。

明日の観光船は9時45分までに受付だから、ホテルは9時過ぎに出ればいいかな。
知床岬まで行って戻ってきて14時。
そのあと知床五湖でも行ってみようか。

明後日は軽く知床観光をして昼頃に発てば、札幌には日のあるうちに帰れるだろう。

DSCN3902.JPG
 19時過ぎ、6階奥の廊下の窓から。 

前泊は車中泊だったし、ずっと運転していたのでもう疲れた。
ようやく暗くなった8時にはもうベッドに横になって寝てしまった。


posted by pupupukaya at 22/07/03 | Comment(0) | 道東の旅行記

2022年 HOKKAIDO LOVE!旅行記 道東編4

 ◆ 12:35 → 16:19 【大雪4号】

網走駅では42分の待ち合わせ。
改札口を出て待つことになる。

駅前では、さっき『しれとこ摩周号』の車内で運転士に放送で「トイレでタバコを吸わないでください」と注意されていた茶髪のオッサンが、スマホで電話しながらまたタバコを吸っていた。
ああして一所懸命タバコを吸って納税してくださるのだ。
いち国民としてはありがたやありがたや、合掌。

だけど、車内のトイレは喫煙所ではありませんぞ。

DSCN7606.JPG
 縦書きの駅名看板が特徴の網走駅。

DSCN7610.JPG
 『網走監獄』の顔出しパネル。

網走駅の待合室ではモリヤ商店の売店が営業している。
キヨスクはすでに無く、駅横にあったコンビニもだいぶ前に無くなったし、駅近くにコンビニも無いので待合室のモリヤだけが唯一買い物できる場所となる。

網走駅から特急に乗る際は、ぜひここの『かにめし』を買って車内で味わいたい。
しかし今日は朝食をたらふく詰め込んだので、さすがにちょっと・・・
まだ腹が突っ張ってる感じがする(涙)

旅行の楽しみが減るので、くれぐれも朝食バイキングの食べすぎには注意しましょう。。。

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 大雪4号の改札を待つ網走駅コンコース。

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 石北本線を走った歴代のヘッドマーク。

12時18分着の札幌からの『オホーツク1号』が折り返しで『大雪4号』となるのだが、10分か20分遅れて運転となるのが常なのだろうと思っていたら、珍しく(?)今日は定時運転で到着した。
到着しても今度はわずか18分で折り返すのだから忙しい列車だ。

12時25分、改札が始まる。
大雪4号はキハ183系の4両編成。
以前は角型スラントノーズが特徴の初代キハ183車両だったが、一部が旭川止まりの『大雪』となってからは貫通路付きの2代目車両になった。

この2代目の車両が最初に登場したのは国鉄末期の1986年。
JRになってからも増備が続いて、今日先頭に立つキハ183-8566は調べたら1990年製造とのこと。

183系は見た目こそ初代の角形と貫通路付き2代目の2種類だが、製造年やエンジンの型、最高速度に至るまで様々なバリエーションがあって検修現場を悩ませる車両でもあったという。

そんなこともあってか次第に姿を消してゆき、今残っているのは石北系統の特急だけだ。

DSCN7640.JPG
 石北本線はキハ183系の最後の砦。

車体は塗装が剥がれて錆が浮き出ていたり、製造から30年以上という古さがあちこちにじみ出ている。
末期の『北斗星』や『はまなす』の車体を思い出す。
この車両の活躍も長くないことを思わせる。

一方で、車内は座席が交換され、床も新しく張り替えられているので古さは感じないあたりは、辛うじて特急の面目を保っていると言えよう。

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 網走始発時点ではガラガラの4号車自由席。

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 1号車指定席もガラガラ。

えきねっとで調べたら、大雪4号の指定席はまずまずふさがっている。今から窓側の席を取ろうとしても数えるほどしか空いていない。
しかし、網走始発時は空席だらけ、ガラガラだった。

川湯のセイコーマートで買った缶ビールをウエルカムドリンク代わりに呑み鉄としよう。

DSCN7657.JPG
 サッポロクラシックで呑み鉄。

網走を発車すると結氷して真っ白になった網走湖を見ながら走る。
氷上にはワカサギ釣りのテントがいくつか見えた。

随分新鮮な風景に思えたのはどういうわけか。
網走から特急に乗るのはいつ以来かなあ。
・・・思い出した、2012年に流氷を見に行った時以来だ。


それくらいかなあ。
あとは北見や遠軽から乗った記憶ばかり。
その前だと夜行オホーツクの記憶になっちゃうね。

もっと前だと夜行急行『大雪』だな。あの頃は2・3番ホームにもモリヤの売店があったな。
急行『大雪』の発車前に、飲まず食わずの釧網線から乗り継いで猛烈に腹が減っていたので駅弁を2つ買ったら、
「あんた1人で2つ食べるのかい?」

もう30年以上も昔に、今でも店番やってる当時まだ若かりし頃の親父から言われたのを懐かしく思い出す。

DSCN7669.JPG
 氷結して真っ白の網走湖。

女満別、美幌と停車するが乗車客はそれほどいなかった。
寂しい車内のまま発車する。

そういえばこの特急も自動放送となっていた。
男声の日本語、女声の英語、中国語と3本立てなのは他の列車と変わらず。
だけど1つだけ進歩していることあがあった。

それは、中国語の声が少しハスキーボイスになっている

たまに特急列車に乗るたびに悩まされるキンキン声の中国語放送だが、この『大雪』では大いに改善されている。
つか、それ以前にもう不要のような気もするけど。

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 風格があるけど無人駅になってしまった美幌駅ホーム。

列車はまもなく釧路以来の大都会、北見に到着する。
駅の手前の貨物線には『タマネギ列車』の愛称で呼ばれるコンテナ貨物列車が停車中だった。

石北線最大の都市、北見から乗ってくる人は多く、ガラガラだった車内は賑やかになる。
スーツケースを引いた人は少数派で、旅行鞄を持った人が圧倒的に多い。
やはり、帰省のUターンがまだ続いているのだろう。

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 北見駅手前に停車中の『タマネギ列車』の名で呼ばれる貨物列車。

北見からは特急らしい乗車率となった大雪4号だが、それでも4両編成というのが悲しいところ。
以前乗った『オホーツク』は、冬は2両増結して6両で運行されることが多かった。
当時は冬になると鉄道の方が所要時間や安全性で優位だったこともある。

今は逆で、鉄道が真っ先に止まるようになってしまった。
『冬こそJR』のキャッチコピーを耳にしなくなったのはいつからだろう。

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 金華信号場で4663D普通列車と交換。

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 スイッチバックの遠軽駅に進入。ビデオカメラは前席の客の物。

列車はもうすぐ遠軽駅へ。
かつて車内販売のワゴンサービスがあった頃は、ここから『かにめし』の積み込みがあったものだ。

遠軽からもたくさん乗ってくるのかと思っていたが、ホームに立つ人は意外にも少なかった。

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 遠軽駅からの乗客は少なかった。

特急の半分が旭川止まりの『大雪』になろうとも、駅弁のかにめしが無くなっても、遠軽駅には変わらぬ伝統がある。

それは、遠軽名物座席回し

遠軽駅はスイッチバックする構造になっていて、ここを直通する列車は必ず進行方向が変わることになる。
そのままだと全員後ろ向き走行になってしまうので、全員立ち上がって座席の回転作業を行うのだ。

前後の席のタイミングを見計らってやらなきゃいけないし、うっかり背もたれのマガジンラックに自分の物を入れたまま回転してしまうと、
アレッ!?どこいった!?・・・
などとなってしまうので注意(この場合2つ後ろの人の席に行ってしまう)。

かつては道内特急では『スーパーカムイ/エアポート』の札幌駅、新幹線新青森開業前の『スーパー白鳥』の青森駅なんかで見られた光景だが、今は遠軽駅だけとなった。
ある意味貴重な体験とも言える。

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 盆回りならぬ座席回り。遠軽駅停車中。

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 Uターン帰省を思わせる網棚の荷物。

白滝を発車すると、連続25パーミルの勾配が10km近く続く峠越えが始まる。
『タマネギ列車』の名で呼ばれるコンテナ貨物列車が重連なのも、この急勾配を登るためだ。

スマホの速度計アプリで見ると、45〜50km/hを行ったり来たり。
非電化鉄道では難所クラスの25パーミル勾配だが、強力エンジンの2代目キハ183系のエンジン音だけ聞いていればまだ余裕がありそう。
そう遠くない将来、石北特急も261系車両に置き換わると思われるが、そうなったらもう少し速く走れるのだろうか。

しかし、車両の性能が向上しても、R300mの急曲線が連続する線形の悪さはどうにもならない。

石北トンネルを抜けて下り勾配になっても、中越信号場の辺りまではずっと50km/h台のままの走行だった。
だから、車両を一新したくらいでは石北線の時間短縮は望めそうもない。

DSCN7811.JPG
 キハ183系は25パーミル連続勾配を50km/hで登る。

DSCN7810.JPG
 通る車を見ない国道333号線と交差。

DSCN7825.JPG
 きれいに除雪された上越信号場を通過。

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 無人の山間部を走る。上越〜中越間。

くねくねと谷に沿って坂を下ってきたが、上川からは線形が良くなって今までのスローっぷりを挽回するような走りになった。

ところで、よく石北線は高速化から取り残されたなどと言われているが、国鉄時代に根室線や宗谷線に先んじて高速化が行われていたことは意外と知られていない。

全線で最高速度は85km/h95km/hに引上げられ、新旭川〜上川間の一部の駅では1線スルー化工事も行われた。
そのスピードアップは国鉄最後の1986年11月ダイヤ改正に表れている。

以下は旭川〜網走間の下り列車の所要時間比較。

【改正前】3:56〜4:10 → 【改正後】3:42〜3:58

このおかげで12〜14分の時間短縮を実現した。
しかしJRになってからは、今になるまでこの所要時間から変わっていないのは残念なところ。

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 上川盆地は線形も良く、速度は線内MAXの95km/h近くに迫る。

伊香牛からは平坦な上川盆地を走る。線形もこの辺りが一番良く、列車は旭川へ向けてラストスパートとばかりに快走。
1線スルー化された駅は速度を落とさずに通過する。

車窓には夕日に照らされた大雪山が見え隠れするようになった。

この列車名の由来である、大雪山を背景に走る特急大雪ってのは絵になる写真だろうなあ。
私は撮り鉄をやらないので、かわりに誰か撮ってくれませんかね (^^
当麻〜伊香牛間なんてうってつけじゃないでしょうか。

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 上川盆地に夕日が沈む。中愛別〜愛別間。

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 夕日に赤く照らされる大雪山連峰。伊香牛〜当麻間。

このまま札幌まで行ってくれたら楽なんだけどな。
ところがこの車両は旭川に着いたら46分の折り返しで網走行き『大雪3号』となるので、まったく忙しい車両だ。

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 極寒の山越えで凍(しば)れついたドア。

特急大雪4号は定時に旭川到着。
ホームの向かい側には接続する『ライラック34号』が停車していた。


 ◆ 旭川 16:30 → 札幌 17:55【ライラック34号】

このままライラックに乗り移ればいいのだが、この旭川での10分間で駅弁を買ってくることはできないものかと、ちょっと挑(いど)んでみることにした。

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 旭川駅に到着。左が『大雪』、右が『ライラック』。対面乗り換え。

階段を下りて改札口へと向かう。
走ってはいけませんよ。
東改札口から出て反対方向へ回り込む。

あった、まだ営業していた。旭川駅立売商会の売店。駅弁は残り少なくなっていたけどゲットできた。
で、ここで最後の1枚残っていたどうみん割のクーポン券を使い切った。

目的を果たし、そのまま進んで出たのは逆の西改札口から入ってホームへと上がる。
くれぐれも走らないように。

発車3分前にライラックに乗車完了。
階段を下ってからここまでの所要時間は7分だった。

まあこれはダメもとで、仮に乗り遅れても次の列車の自由席に乗ればいいだけなので試してみたことなので、おススメはしません。

とにかく、駅弁の入手とクーポンの使用は成功したので、一杯やることにしよう。
飲み物を買っている時間はなかったので、今朝宿の売店で買った福司を飲むことにした。
チタンのマグカップを持ってきていたのでそれに注ぐ。

駅弁は『蝦夷わっぱ』(1,180円)、クーポンの500円引きで680円となった。
海鮮ちらしの駅弁版といったところ。
イクラ、蒸し雲丹、海老、ホタテ、サーモン、カニフレークと色とりどり。
福司も買っておいて良かったな。

え?まだ金曜日の就業時間中だって?
いいじゃない、車内だって大雪4号から乗り継いだ人ばかりで早くも休日のようだ。

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 旭川駅弁『蝦夷わっぱ』を肴に福司で一杯。

エンジンの音と振動がけたたましい大雪から電車のライラックに乗り換えると、静寂な世界に感じる。
スーーーーっと滑るような走り、時々床下からガン、ドンと雪塊がぶつかるような音がするくらいだ。
やっぱり電車はええなあ。

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 大雪4号からの乗継客のほか、指定席は結構人気のようだ。

江別市内に入るともうすっかり札幌に戻ってきた気分だ。

北見市内の高校のジャンパーを着た部活の遠征らしい学生の一行が乗っている。
車窓から見える江別のイオンを指差して
「あれがイオン?でか〜い」
苗穂のアリオを見て
「あれアリオじゃな〜い?」
なんて言っているのが何だか微笑ましい。

さてもうすぐ札幌到着。
車掌による到着放送の最後に、
「今日も数ある交通機関の中からJRをご利用くださいましてありがとうございます」
と言ったのが妙に耳に残った。

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 帰宅ラッシュの札幌駅に到着。

札幌に着いて列車を降りればそこは金曜日の夕方ラッシュのホームだった。
各乗車口は帰宅通勤客の長蛇の列。
ここからラッシュの地下鉄に乗って帰るのはちょっとうんざりする。

HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パスは使用開始からまだ2日目。
この時点でも十分モトは取ったが、これで終わりにするのはもったいない。
明日からの後半は道南へ向かいます。


posted by pupupukaya at 22/01/23 | Comment(0) | 道東の旅行記

2022年 HOKKAIDO LOVE!旅行記 道東編3

 ◆ お宿 欣喜荘

おはようございます。
1月7日、晴れ。

空は青空だけど、温泉の湯気なのか町は霞んでいる。
今朝は冷え込んで、窓から見える阿寒摩周国立公園の看板にある温度計は−14.6℃を表示していた。

スマホでJR北海道の列車運行情報を見ると、今のところ道東方面は遅れや運休は無いようなのは一安心。

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 温泉の湯気で霧がかかったような川湯温泉の朝。

7時過ぎ、昨日の夕食と同じレストランの朝食会場へ。
バイキング形式で、焼魚、ウインナー、卵焼きといったビジネスホテルでもありきたりのおかず。
奥は実演コーナーで、何かと思ったらラーメンだった。さすがに朝からご飯食べてラーメンまでは入らないのでこれはパス。

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 夕食会場と同じレストランの朝食会場。バイキング形式。

ありきたりと言いながら貧乏性の私、しっかりと色々と皿に盛ってきた。
豚肉を甘辛いタレに絡めた弟子屈ポークは柔らかくて味が染みて一押しだ。
おかずはこれだけでも良かったかな?

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 色々皿に盛ってきました。

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 朝食の一押しは豚肉を甘辛く炒めた弟子屈ポーク。

やっぱり朝からたらふく詰め込んで、最後にコーヒーを飲んでフィニッシュ。
もう腹11分目。今日は多分昼食は抜きだな。

部屋に戻る前にちょっと外に出てみる。
乾燥した冷たい空気を肌で感じるといったくらいの感覚。
でもエントランスの横にある−40℃までの目盛りがある寒暖計は−13℃を指していた。

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 マイナス40℃まであるホテルの温度計。現在マイナス13℃。

今日は10時発のバスで川湯温泉駅へ出て、そこから網走へ向かうことにしていたので、朝はのんびりとできる。
8時ごろ朝風呂へ。
脱衣所も風呂場も貸し切り状態だった。


 ◆ 硫黄山、川湯温泉駅

9時、チェックアウト。
ビジネスホテルと違って、旅館は後払い制。
宿泊代はどうみん割適用後で9,950円、うち150円は入湯税。
昨夜(ゆうべ)のお酒代が1,200円。このうち1,000円分はクーポン券を2枚使った。

どうみん割のクーポンは残り2枚。有効期間は今日までなので、今日中に使い切らねばならない。
1階の売店で土産物でも買おうとあれこれ見たが、これと言って欲しいものもなく。
結局560円の福司2合ビンを買った。とにかくこれであと残り1枚になる。

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 1泊したお宿 欣喜湯の正面。

バスは10時なのに9時に出たのは、駅まで歩くことにしたから。
宿から駅までの距離は3.6km、時間は40分といったところ。
硫黄山があるので、そこにも寄ってみる。

温泉が流れている湯の川のそばにある立ち木は霧氷で真っ白になっていた。
歩いていると、あちこちの排水溝から湯気が噴き出して、町全体が湯気と硫黄の匂いに包まれている。
寒い朝は湯気に煙る風情ある温泉街だった。

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 川湯温泉の源泉が湧く湯の川。

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 冬に白い花が咲いたような霧氷。

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 湯けむり立ち上る幻想的な川湯温泉街。

町が終わりになるところにセイコーマートがあったので、買い物に寄った。
この先おそらく札幌まで買い物できるような場所はないだろうから。

セイコーマートの先のカーブを過ぎると、一直線の道路が続く。
歩道は一応除雪はされいているが、新雪が10cm近く積もっていて歩き辛い。やむなく車道の端を歩く。

道路の先にはモウモウと湯気を上げる硫黄山が見えている。
車の感覚ならば僅か1分で着いてしまうような距離に見えている山だが、行けども行けども近づかないのがもどかしい。
周りの景色も単調なので余計にそう感じる。

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 直線の道路の向こうに見えるはモウモウと蒸気を吹き上げる硫黄山。

セイコーマートを出発してから25分で硫黄山に着いた。
広い駐車場は1台の車もいなかったが、レストハウスは営業していた。

駐車場から足跡をたどって麓まで行ってみる。

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 木が生えない硫黄山。別名アトサヌプリはアイヌ語で『裸の山』の意。

麓へ行くと、勢いよく高温の蒸気を「シューーーーッ」と噴き出す噴気孔が大迫力。
周りが白と黒の世界なので、蒸気にまじる硫黄の結晶が毒々しいまでに黄色く目立つ。
地球は生きてるんだなとも思える光景だった。

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 黄色い硫黄のドームから蒸気が勢いよく噴き出す。

振り向いても誰もいない。
レストハウスと駐車場以外は人工物も見えず、あとはハイマツと針葉樹だけの原野が広がるだけ。

こんな風景を見ていると、3年前にオーロラを見にフィンランドに行ったときのことを思い出した。

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 噴煙口の後ろは岩場と原野が広がる景色。

硫黄山を見て、今度は川湯温泉駅を目指す。
国道のT字路を右に曲がるとすぐに『川湯温泉駅』を示した標識があった。
硫黄山から川湯温泉駅までは歩いて20分だった。

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 木漏れ日が島縞模様に見える道路。

温泉街の宿から硫黄山に寄って川湯温泉駅まで1時間といったところ。時刻は10時。
駅の中に人影が見えたので、今度の網走行きの乗客かと思ったが、車で去って行ってしまった。

再び三角屋根の川湯温泉駅
石組みの土台に丸太を組んで、上半分は白樺の縁取りの凝った造りで、建築は1936(昭和11)年。

道内でも木造駅舎はすっかり少数派となってしまった今、今も残った木造駅舎の中で第1位と言ってもいいくらいの名駅舎だと思う。
国鉄末期の1986年に無人化されたのは残念だが、翌年の1987年には駅長室と貴賓室を改装したレストラン『オーチャードグラス』が営業している。

まだ時間があるのでコーヒーでも1杯飲んで行こうと思ったら、入口に『本日貸し切り』の張り紙があった。残念。

DSCN7463.JPG
 オンコの木を組んで白樺の木を飾り付けた山小屋風の駅舎。

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 天井が高い待合室。奥はレストラン オーチャードグラスの入口。

駅舎は最近リフォームされたようで、所どころ新しい建材が目立つ。
オホーツク海側も同じようなカフェやレストランが入居した木造駅舎があるが、あちらは駅待合室側が老朽化して荒れるがままという印象を受けるが、こちらはきちんと手入れがされているので幸せ者だ。

ただ、待合室に暖房がないのはどうかと思う。
これで列車2時間遅れですなんて知らせが入った日には凍えてしまいそう。

DSCN7465.JPG
 駅舎に併設された無料の『あし湯』。

DSCN7466.JPG
 美人の湯と呼ばれ重曹と食塩を含んでいるお湯。

DSCN7469.JPG
 ホーム側から見た集札口。

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 ホームでお客を出迎える鮭を持った木彫りの熊さん。

10時10分、温泉街からのバスが到着。
やっとお客さんが来るかと思ったら乗客ナシ。

DSCN7491.JPG
 川湯温泉街からのバスが到着。

駅から温泉街まで列車ダイヤに合わせて運行されている今どき貴重なバスだが、残念ながら温泉客の利用はほとんどいないようだった。


 ◆ 川湯温泉 10:28 → 網走 11:53【しれとこ摩周号】

バスは10時28分到着の列車を待つために小休止。
その間にホテルの送迎車がやってきて駅に人が入ってきた。今度は網走行き列車の乗客のようだ。

発車時刻になったが列車は現れず。
やはり定時運転は難しいのかなと思っていると、遠くの方からかすかに踏切の音がした。

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 またもや単行の『しれとこ摩周号』。

川湯温泉からの乗客は小さな子供を連れた夫婦とスーツケースを引いた旅人、それに私の5人。
到着した列車はやはりキハ54形1両列車。一応快速列車で『しれとこ摩周号』という名前も付いている。

降りてくる人が意外と多かった。
温泉街のチェックインタイムには早すぎるが、どこへ行く人たちなんだろう。

車内に入ると、昨日と同じ花咲線仕様の座席だった。
結構混んでいたが、川湯温泉で降りた人が座っていた席なのだろう、窓側の席をゲットできた。

去年の7月に釧網線の列車に乗った際に、斜里駅でこの上りしれとこ摩周号とすれ違った時に見た時はガラガラの車内だった。
だから川湯から乗るこの列車もがら空きと予想していたが、この混みように驚いた。
これも『どうみん割』の効果なのか。

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 観光客や鉄道ファンなどで、そこそこの乗車率だった。

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 真っ白になった原始林の中を走る。

真っ白な森が続く峠を越えて斜里平野へ。
一面白くなった雪原が続くが、夏はじゃがいも畑が広がっているところ。

所どころにある保線職員の手作りと思われる防雪柵が最果てらしい旅情を感じる。

DSCN7550.JPG
 夏はジャガイモ畑だが今は一面の雪原。清里町〜中斜里間。

車内は100%観光客や旅行者ばかりだったが、清里町、中斜里と停車して地元の人が何人か乗ってきた。
もうすぐ知床斜里。
続く家並みと駅前にそびえ立つ全国チェーンのホテルを見ると、人里へ戻ってきた気持ちになった。

ここまで来れば、今日中には無事に札幌に戻れるだろう。とりあえずは一安心だ。

DSCN7554.JPG
 知床斜里は久々の人里を思わせる。

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 下り『しれとこ摩周号』と交換。

反対側の1番ホームには下り『しれとこ摩周号』釧路行きが待っているのが見えた。
列車は知床斜里駅に到着。

ところが驚いたのが、こちら2番ホームで列車を待つ人、人、人。

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 知床斜里からは賑やかになった。

知床斜里で降りた人もいるが、ここから20人以上もの人が乗ってきた。
これも相席を嫌って車端のロングシートか立ち席か。
恰好や荷物から、多くが帰省のUターン客のようだ。
見た目は結構な乗車率となって発車する。

斜里からはオホーツク海を望みながら走る。
天気は良いが、風が強いのか海面は白波が目立つ。
2月と3月は運が良ければ真っ白に氷結した流氷が見られるが、正月明けのこの時期はまだ流氷の季節には遠い。

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 北浜駅手前から見たオホーツク海。

終点網走着は3分遅れの11時56分。
冬場で3分遅れは定時運転の範疇だろう。

何人かは向かい側の2番ホームで発車を待つ11時58分発の遠軽行き普通列車に乗り込んだ。
こちらは2両編成なのだが、1両がなんと『流氷の恵み号』。

DSCN7593.JPG
 遠軽行きの流氷の恵み号とキハ54。

この列車に乗って北見まで先行してもいいかな、なんて考えているうちにドアが閉まって発車して行った。
やはり網走から大雪4号に乗るしかなかった。


posted by pupupukaya at 22/01/23 | Comment(0) | 道東の旅行記
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