2020年礼文島旅行記2 ホテル礼文荘

 ◆ 香深フェリーターミナル→病院前 宗谷バス

フェリーターミナル出口の横に仮設の売店があって、見ると礼文島プレミアム商品券というのを売っていた。
5000円で500円券が12枚綴りになていて、6500円分使えるものだ。
礼文島内の店や飲食店で使えるが、宿泊代やレンタカー代には使えないという。
礼文島には5日間滞在し、前半2泊は2食付きだが、後半2泊は素泊まりなので、このくらいならば使い切るだろうと1冊買った。
うに丼とかホッケのチャンチャン焼きくらいは食べて帰りたいし、いくらかは節約になるだろう。

DSCN0631.JPG
 5000円で6500円分使えるプレミアム商品券。

フェリーターミナルの前に続く上屋の端っこがバス乗り場になっている。そこは地元のおばちゃんが2人バスを待っていた。
しばらく待っていると、『スコトン』の行先を掲げたバスがやってきた。
ワンステップの2ドアバスだが、中ドアは締め切りになっている。

1人のおばちゃんは「知床じゃないのか」(知床は島の南部にある漁村)
運転手「知床行はこの後だから」「バスが時間より先に行くことはないからね」
とやりあっている。島らしい長閑な光景。

DSCN0546.JPG
 フェリーターミナルのバス乗り場。

バスに乗るときに今日から泊まる宿の前で降りたいのだがと告げた。島内のバスは全区間が自由乗降制とわかっていたので。
運転手は「いいですけど、そうすると料金が1区間分高くなりますよ」とのこと。少し歩くが『病院前』という停留所で降りるのが近いということだった。
「病院前の放送が流れたらボタンを押してください」

そのバスの客となったのはもう1人のおばちゃんと私、2人だけ。フェリーターミナルを発車する。

DSCN0552.JPG
 自分入れて乗客3人だけのバス車内。

次の停留所は『病院前』、こちらは香深の病院前だ。
ここで利尻空港の荷物タグを付けた大荷物の兄さんが乗ってきた。木炭の箱を持っているのでキャンプ場行きとわかる。
香深井と船泊にキャンプ場があるのでどちらかまで行くのだろう。
バスの客は3人となって北へ向かう。

DSCN0560.JPG
 バスの車内から見た利尻富士。

バスの窓を振り向けば、さっきフェリーから見えていた利尻富士がずっと見えていた。

どのバス停も乗り降りする人は全くなくただ通過するのみ。たまに後ろにつかえていた後続車に道を譲るだめに停車する。
高校前の停留所では下校の学生が乗ってきた。札幌あたりとは違って全員マスクをつけている。
ここから賑やかになるのかと思っていたが、学生たちは席に着くと全員うつむいてスマホをいじっていた。

道道は真直ぐ船泊へショートカットするが、バスは金田ノ岬を迂回する。岬からトドが見えないかと思ったが、今日はいないようだった。

DSCN0599.JPG
 金田ノ岬を通る。

船泊本町という停留所で、学生の1人が運転手に話しかけていた。
発車してしばらく行った交差点を曲がったところでその学生が降りて行った。1つ手前の停留所までに降りたいバス停を運転手に告げるとそこで停車してくれるようだ。

次あたりが『病院前』だろうと身構えていると、「次は船泊診療所前でございます」と車内に流れる。
あれっ?病院前は?

診療所=病院とわかるまでにしばらく時間がかかった。降車ボタンを押さなきゃと思う前に学生の1人がボタンを押した。

DSCN0606.JPG
 車内放送だけが本当の名前を告げる病院前の停留所。

その『病院前』の停留所で、学生2人と香深からのおばちゃん、それに私、あと利尻空港タグの兄さんが降りる。
停留所の表示は『病院前』。たしかに船泊診療所の前にあるが、何なんだこの旅人を惑わせる停留所は・・・
香深フェリーターミナルからの料金は980円だった。


 ◆ ホテル礼文荘

バス停から予約してある宿までは、距離にして300m、歩いて3〜4分といったところ。私はバックパック1個だけなので何のことはないが、荷物が大変な人は宿の前で降ろしてもらえばよい。ちなみに宿の前で降りたらいくらなのか調べたら、1070円だった(2020年現在)。
もっとも、前日までに宿に電話でお願いすれば、フェリーターミナルまで迎えに来てくれるのだが。

DSCN0611.JPG
 2泊3日滞在することになるホテル礼文荘。

宿の外観は予約サイトに載っていたのでわかっている。
2泊する宿の名前は『ホテル礼文荘』。ホテルといっても外観はどう見ても木造2階建ての旅館か民宿。
正面に掲げられた『ホテル』の文字に、どことなく昭和の哀愁を感じるのは私だけか。

DSCN0621.JPG
 ホテルの入口。

ホテルと言っても、玄関で靴を脱ぐ旅館スタイル。
私はビジネスホテルよりも畳の部屋を好むので、出張では旅館や民宿をよく利用するので何とも思わないが、てっきりホテルを想定してやってきた人が見たら落胆するかもしれない。

フロントで「バスで来たんですか?」と聞かれ「ええバスで」と言うと少し驚いた様子だった。
昨日電話すればフェリーターミナルまで車で迎えに来てくれたはずだが、着いてからそのまま車で宿に直行というのも面白みがないし、別にバス代を損したとは思っていない。

部屋のキーを渡され、夕食は6時半からということだった。

DSCN0624.JPG
 8畳の和室。

とりあえず背負っていた荷物を下ろしてやれやれだ。
風呂トイレ共同の和室。しかし寝っ転がって身体を伸ばせるのはありがたい。出張とか長距離運転があるときの宿はこういうのが一番いい。ビジネスホテルじゃこうはいかないね。

テレビの横にあった客室電話はなんと懐かしのダイヤル式。いわゆる黒電話というやつ。
コロコロコロ、ジ〜〜〜、おお懐かしい感触と音(涙)。
中学生の頃までうちの実家に同じ電話機があった。

DSCN0896.JPG
 懐かしのダイヤル式電話(黒電話)が置いてあった。

DSCN0625.JPG
 部屋の窓からの眺め。

窓からは海が見え、その向こうに礼文島北端のスコトン岬と海驢(とど)島が見えた。
ああ、いい部屋を用意してくれたな。ただ西日が差しこむので部屋は暑かった。窓を少し開けておく。

宿の向かいに、久種湖畔展望台へ登る階段があったのでさっそく行ってみる。
標高30mほどの高台が展望スペースになっているだけだが眺めは抜群。久種湖や船泊湾を見下ろし、遠くにスコトン岬や金田ノ岬も望む。

夕日が見られたらさぞ綺麗なんだろうなと思うが、青空が広がっていても水平線近くは雲が覆っていて、夕日は期待できそうになかった。

DSCN0617.JPG
 久種湖畔展望台から南東方向。下はキャンプ場、右に小さく利尻富士も写っている。

DSCN0614.JPG
 久種湖畔展望台から北方向。中央は金田ノ岬。

6時半になって1階の夕食会場に行くと、テーブルには別の客たちがすでに食事をしていた。
ほとんど、いや私以外全員が工事関係者のような仕事で泊まっているような人ばかりだった。
出張なんかで地方の旅館に泊まるとよくある光景。
毎年、観光シーズンの今時期は観光客で満卓なんだろうけど、今日は空きテーブルが目立つ。

DSCN0644.JPG
 夕食。礼文島で獲れた海鮮がいっぱい。

テーブルの席に着くと、いやあ豪勢。やっぱり2食付きにして良かった。
「お飲み物はどうしますか」と聞かれ、ここは冷酒の2合瓶(800円)を頼んだ。

お酒は『花の島礼文島』のラベル。製造元を見た見たら日本清酒とあった。中身は札幌の千歳鶴。
それでも専用のラベルで用意してくれたのがうれしいではないか。

女将が品々の説明をしてくれるが、忘れてしまった。ていうか上の空でハイハイと聞き流していた。
どれから箸をつけようかということで頭が一杯だった。
こんな豪勢な食事にありついたのはずいぶん久しぶりの気がする。

ソイ(だったかな)の刺身と煮魚、甘エビの刺身、コンロ付きの鍋はホタテと野菜のバター焼き、小さな蓋つきの椀には塩ウニが入っていた。生うにでないのが残念なところだが、これで1泊9600円は大したものだ。

「ご飯とおつゆは後で持ってきましょうか」と聞かれて「いや、一緒でいいです」と言った。
あとで呼ぶのも面倒だし、汁物で酒も飲めるので。
汁物は魚のあら汁だった。

まずはお造りをいただいて、お酒をキューっと。
周りを見ると、カニなんか付いているのは私のテーブルだけ。
休暇中の身の上とはいえ、なんだか申し訳ないな。

DSCN0642.JPG
 花の島礼文島ラベルのお酒。

まずカニからやっつけるか。
テーブルには毛ガニの半身がデンと乗っている。

私は北海道人のくせにカニを食うのが下手で、そんなわけでカニは苦手なのだが、それでもたまに食べると美味い。
カニ味噌、これは酒持ってこい酒と叫びたくなる。
最初はハサミで切って箸でつついていたが、面倒になって歯で殻を割いて指でほじくって格闘する。

DSCN0645.JPG
 毛ガニの半身。

何とかカニはやっつけたが手がベタベタになった。あら汁を啜って、そうしているうちにバター焼きの鍋が噴いてきて、これはご飯に乗せてかき込んだ。
あ〜食った食った、ごちそうさん。


 ◆ 礼文荘の夕暮れ

部屋に戻ると布団が敷いてあった。
ボロさが気になる宿だが、サービスは温泉旅館並みだ。
窓の外が赤く染まっている。見ると水平線の近くだけ雲が切れているではないか。

DSCN0675.JPG
 部屋の窓から見えた夕日。

まさかと思っていたが、これは夕日の写真が撮れるかもと、カメラを持って外に出て、向かいの展望台に登った。

DSCN0671.JPG
 宿の向かいに展望台の登り口がある。

IMG_0282.JPG
 久種湖畔展望台から見た夕日。

上まで登ってしばらくすると雲の切れ目に夕日が姿を現した。
スコトン岬と海驢島を望む日本海に沈む夕日。今の時期はこの方角に沈むんだね。
展望台にいるのは私1人だけ。しばらくこの夕日を独り占めする。


DSCN0658.JPG
 19時25分、船泊湾に日が沈む。

部屋に戻って、窓のそばで暮れゆく風景を見ながら、今度は焼酎のお湯割りで1杯やる。
焼酎はペットボトルに詰めて持ってきたもの、お湯はフロントでポットごと貸してくれる。

DSCN0681.JPG
 20時00分、窓辺で黄昏れる。

テレビなんか見る必要はない。
北緯45度の夏至に近いこの時期は、日が沈んでも空はずっと明るい。
そんな空を見ながら、4年前に行った北欧の白夜を思い出していた。

DSCN0708.JPG
 20時30分、空はなかなか暗くならない。

部屋の明かりもつけずに黄昏れを見ながらお湯割りを飲んでいた。
だんだん暗くなってくるが、北の空はずっと明るいまま。
すっかり日が暮れて星が見え始めたら、もう9時近くになっていた。

スマホで天気予報を見る。明日の雨マークは消えない。
雨には当たりたくないな。礼文島に滞在中は、トレッキングというか、ずっと歩き回ることにしている。それしかすることもないし、行くところもない。かといって、日程は十分あるので雨の中歩くのもいやだ。
雨だったら宿の部屋で時間を持て余すことになる。ノートパソコンを持って来ればよかったかな。

明日どうするかは、朝の天気予報次第で決めることにして、今日は疲れたので早く横になった。

6月29日(月)の費用
費目場所金額(円)
食費(弁当)弁菜亭売店850
食費(ビール) キヨスク札幌ラッチ西店326
食費(飲料) 札駅ホーム自販機140
食費(食料品)セイコーマート稚内駅前336
食費(金券)礼文島プレミアム商品券※5,000
交通費ハートランドフェリー5,700
交通費宗谷バス 980
6/29 合 計13,332
 ※商品券はすべて飲食で使用したため食費で計上。
3へつづく

posted by pupupukaya at 20/07/18 | Comment(0) | 道北の旅行記

2020年礼文島旅行記1 礼文島まで

  ◆6月29日(月)特急宗谷で稚内まで

出発日の朝、一番当てにしていた気象協会の週間天気予報を見ると、昨日までほぼ晴れマークだったのに週の半ばに雨マークが付いていた。
全道的には雨がちな週になるようで、各地の天気も雨マークが目立つ。
雨に当たるのは覚悟しているが、週の半ばに2日間も雨マークを見ると出発前から気分が凹む。

weekwea20200629.jpg
 6/29朝の週間天気予報(日本気象協会tenki.jpのスクリーンショット)

7時過ぎに自宅を出ると、土砂降りの雨。仕方なく百均のビニール傘を差して地下鉄の駅へ向かう。
まずは札幌駅7時30分発の特急宗谷で稚内まで行く。
所要5時間10分の列車の旅。こんなに長い時間列車に乗るのもずいぶんと久しぶりだ。
月曜の朝だが、駅弁とビールを買い込んで列車に乗り込んだ。
退屈するかと思っていたが、久しぶりに乗る特急列車の旅は思いのほか楽しく、あっという間の5時間だった。

 特急宗谷の乗車記はこちら ↓

DSCN0412.JPG
 札幌から5時間10分、稚内駅に到着。

DSCN0423.JPG
 稚内駅と日本最北端の線路のモニュメント。

稚内駅からフェリーターミナルまでは歩いて10分とかからない。フェリーの発時刻までは2時間もあるので、駅周辺を散策してくる。
駅舎からはみ出す格好で線路と車止めがモニュメントとして残されている。

そこから花崗岩で模したレールのモニュメントがさらに北へ伸びていて、70mほど先の道路が終点となっていた。
かつて夜行急行利尻が客車列車で運行されていた頃は、機回しのための引込線がここまで伸びていた。さらに古くはこの先の駐車場となっているところに貨物列車の積み下ろし場があり、さらに昔は先にある北防波堤ドームまで伸びていて、樺太との鉄道連絡船だった稚泊連絡船が発着する稚内桟橋駅まで線路があった。

DSCN0426.JPG
 花崗岩で模したレールの終点。

北防波堤ドームまでやってきた。
もう何度も見ているし、何か面白いものがあるわけでもないのだが、ここから樺太(サハリン)が見えないかと思ってやってきた。

IMG_0003.JPG
 戦前は樺太航路の稚泊連絡船が発着した北防波堤ドーム。

ドームの脇にある階段を登って海を見たが、今日は樺太は見えなかった。
空気が澄んでいれば、ここから肉眼でもわかるようにはっきりと島影が見える。

IMG_0027.JPG
 ノシャップ岬方向を望む。樺太(サハリン)は見えなかった。


 ◆ 稚内→礼文島 アマポーラ宗谷

フェリーターミナルに向かう途中、セイコーマートに寄る。
今日から2泊する宿はコンビニも無いような所なので、何か買っておこうかと思ったのだが、店に入るとこれといって必要な物も思いつかなかった。2食付きなので食事の心配はないし、酒はいつも飲んでる焼酎をペットボトルに入れて持ってきた。
お菓子類は普段食べないし、飲料は自販機くらいあるだろう。
日本なのでのどが乾いたら水道の水を飲めばいい。

明日からのトレッキングに持っていこうと、チョコバー2本と炭酸水のボトルだけ買ってフェリーターミナルへ。

IMG_0037.JPG
 利尻礼文の出発点、稚内フェリーターミナル。

1時間ほどぶらついてきたので13時40分過ぎ、次のフェリーは利尻島の鴛泊(おしどまり)行が14時20分発、礼文島の香深(かふか)行が14時40分発と表示されている。

IMG_0038.JPG
 向かいにある稚内港国際旅客ターミナル。現在は航路の休止により閉鎖中。

利尻礼文行ターミナルと道路を挟んで向かいあっているのが国際旅客ターミナル。
稚内とサハリンのコルサコフ港を結ぶフェリーの乗り場で、中に税関や出入国審査場なども入っている。
去年(2019年)の運航は取りやめになり、今年は運航が決定していたようだが、コロナ禍の影響で今年の運航も中止だろう。

DSCN0433.JPG
 1階にある乗船券売場。

フェリーターミナルの乗船券売場は1階にあり、カウンターのほか券売機も並んでいた。最初券売機で買おうとしたら現金しか使えないようだ。カウンターの方に並び直す。
こんどはクレジットカードが使えた。

DSCN0442-1.JPG
 稚内〜礼文香深の往復乗船券。

DSCN0440.JPG
 閑散とした2階の乗船待合所。

チケットを買ったらエスカレーターで2階へ。
毎年この時期は、広いコンコースが旅行客でいっぱいになるほど賑わうのだが、今年は見事に閑散としている。
ベンチで乗船開始を待つのは地元の人と思しき人たちばかり、私を含め旅行者と見受けられる人はほんの少数しかいなかった。

DSCN0467.JPG
 ひと足先に利尻島の鴛泊(おしどまり)行フェリーが出港。

待合所に座っていてもつまらないので、窓から車の積み込み風景や、先に出港する礼文島行の船を見送ったりしていた。
車は一足先に積み込みというか乗船が始まっている。船に乗る際はバックで入るのが決まりのようだ。

DSCN0473.JPG
 稚内市内の幼稚園児作成の『いってらっしゃい』に見送られ。

出港の15分くらい前になると乗船が始まる。
改札はチケットに印字のQRコードを読み取り機でスキャンするだけ。

船は『アマポーラ宗谷』という名前。
1階がカーペット敷きの船室が並ぶ2等席、1階が2等指定席と1等席になっている。
船尾の甲板にもベンチが並んでいて、海風に当たっていれば気持ちよさそうだが、船室との出入口の脇に喫煙所があってタバコの煙が漂っているので居心地は良くない。
2階の甲板に上がって車両の積み込みや出港風景を眺める。

IMG_0053.JPG
 トラックの積み込み作業。島にとっては物流の生命線。

IMG_0080.JPG
 稚内港を出港。ばいばーい!

14時40分、係船ロープが外されて出航。船の加速は良くて、あっという間に岸が遠くなった。
これで本土とは別れ、金曜日までは島の人となる。

IMG_0182.JPG
 タバコの煙が漂う後部甲板のベンチ。

IMG_0095.JPG
 稚内の町がだんだんと遠ざかる。

ノシャップ岬の沖あたりから利尻富士が姿を現した。
といっても雲の上にチョコンと頭を出しているだけだったが。

IMG_0133.JPG
 ノシャップ岬灯台と頂上だけ姿を現した利尻富士。

IMG_0149.JPG
 ノシャップ岬沖から見た稚内半島。

IMG_0186.JPG
 しばらく頭だけ姿を現した利尻富士を見ながら。

出航してから30分ほど2階甲板から遠ざかる稚内半島を眺めていたが、まだ先は長い。船室へと戻る。
2等カーペット席は各区画に2〜3人くらいが横になってるほどの入り具合。
船内探検もしてくるが、さほど大きな船ではないので1回りしたら終わってしまった。
荷物を置いていた場所で横になる。

DSCN0493.JPG
 宗谷湾を出るとフェリーは礼文島を目指す。

DSCN0485.JPG
 船内売店の商品。

DSCN0496.JPG
 2等自由席のカーペット席。

DSCN0478.JPG
 2等指定席は座席が並ぶ。(2階のデッキから)

横になっても眠くなることはなく、しばらくスマホをいじっていた。
1時間ほどして進行左側の窓に目をやると、さっき頭だけだった利尻富士の雲が切れてくっきりと見えているではないか。
飛び起きてまた2階甲板へ行く。

IMG_0267.JPG
 進むにつれて雲が消えて、秀麗な利尻富士が全貌を現した。

ワーオ、こんなにきれいに見えるなんて思いもしなかった。
札幌は雨だったが、こっちの方はずっと天気だったようだ。
これなら昨日に稚内入りして、朝の船で礼文島に渡れば良かったかなとも思うが、タラレバを言い出したらキリがない。

反対側は、利尻島とは対照的に横たわる礼文島がだんだん近づいてきた。

DSCN0508.JPG
 左舷に利尻富士を望みながら、右舷には礼文島の島影が近づく。

DSCN0515.JPG
 フェリーは礼文島へと近づいて行く。

島はだんだんと大きくなって、香深の町がはっきりと見えてきた。
3年ぶりの礼文島だった。あのときはガスがかかって暗い印象だったが、今日は晴れていて全然違う印象だった。

DSCN0526.JPG
 香深フェリーターミナルが見えてきた。

16時40分、船はフェリーターミナルに横づけして着岸。
下船すると、係員が全員にスプレーで手の消毒を行う。
『新しい生活様式礼文島モデル2020』と書かれたポスターもあったり、コロナ禍はどこも例外は無いことを思わせる。
コロナと思われる症状があったら島の診療所へは行かず、稚内の保健所に電話してくださいと書かれた掲示もあった。

DSCN0538.JPG
 香深港に到着。いよいよ礼文島に上陸。

DSCN0539.JPG
 香深フェリーターミナルでは、出迎えの人も疎らだった。

1階のコンコースに下りたところに、各ホテルや旅館の幟を持った人が出迎えていた。
今日から泊まる旅館の人がいたらちょうどいいなと思ったが、今日はいないようだった。

今日から2泊する旅館はフェリーターミナルのある香深ではなく船泊の方にある。
礼文島とひと口に言っても意外と広く、香深から船泊の旅館まで20km近くあるのだった。
実は前日までに電話すればフェリーターミナルまで迎えに来てくれるので電話しなくちゃなあと思っていたのだが、だんだん面倒になって電話しなかったのだった。

幸いフェリーに接続して船泊を通ってスコトンまで行く路線バスがあるのでそれに乗ればいいやと思っていた。


posted by pupupukaya at 20/07/12 | Comment(0) | 道北の旅行記

2020年礼文島旅行記 はじめに

今年は世界的な新型コロナウイルス禍のため海外旅行はとうにあきらめていた。
5月下旬までは外出自粛が求められていたので、仕事以外で市外に出ることもなかった。

それとは別に、4月の年度初めに6月最終週の1週間に休みを入れておいた。
6月の半ば頃には、コロナ禍も収束して旅行も解禁になるだろうと読んでのことである。

果せるかな、5月に入ると6月19日から県を跨ぐ移動自粛が解除されるとの話が伝わってきた。毎日コロナの国内感染者数がニュースなどで伝わってきてやきもきしたが、予定通り6月19日から旅行解禁となった次第である。

さて、どこへ行くか。
前から行ってみたかったところがあった。
それは礼文島

rebuntou34.jpg
 礼文島のイメージ。礼文町HPのフリー素材より。

日本最北端の島(有人島および実効支配の及ぶ島としては)であり、別名『花の浮島』と呼ばれるほど高山植物が咲き乱れる美しい島だ。
一番の見ごろは6月下旬〜7月上旬だろう。花が一斉に咲き乱れ、夏至に近く日が一番長い時期でもある。
この時期は北海道の道東や道北地方でも一番良い季節だ。
しかしゴールデンウィークと夏休みのはざまという時期的なことがあるのか、観光客は少なく閑散期となっている。

一方、利尻礼文は別で、この時期は全国から観光客が大挙して押し寄せる。
島の宿泊施設は軒並み満室、ツアー代金も宿泊代もこの時期は夏休みシーズンに劣らぬ高値となる。
ここ数年来はインバウンドの団体客も頓(とみ)に増えた。

私は数年前の6月下旬に仕事で礼文島に行き1泊したことがあるが、数日前に宿を探すとインターネットの予約サイトでは1泊3万円は下らない高級ホテルが1〜2件ヒットするのみ。あちこちの旅館や民宿に電話をかけまくって、ようやく1泊2食付きで1万3千円台の宿を確保した。会社持ちとはいえ、この金額を提出するのは気が引けた。
フェリーターミナルは年寄り中心のツアー客やインバウンドの団体客でごった返していた。

去年一昨年あたりはますます増える一方の中国語があちこちで飛び交っていたことだろう。

DSCN0311.JPG
 乗船客の長蛇の列。2017年6月香深フェリーターミナルにて。

それが今年はコロナウイルス禍の影響で、予約サイトで礼文島の宿を探すとどこも空室だらけ。
そりゃそうだ、宿の手配をしたのは6月半ば。まだ県跨ぎの移動自粛期間中である。見切り発車だが、大事なことはある程度予測して先手を打っておかなければならない。

当初は稚内まで車で行って、車は稚内に置きフェリーで礼文島へ渡り、島で2泊して戻ることを想定していた。
ネットで島の観光情報などを調べていると色々欲が出てくる。3泊してもいいかな。

予約サイトで、船泊に1泊2食で9,600円の宿を見つけた。食事内容だけ見ると手ごろな値段に思えた。ここに2泊することにした。
礼文島北部の岬めぐりをするには良さそうだ。

残り1泊は香深で探すと、素泊まりだが1泊4,500円の宿を発見。宿といってもゲストハウスだが、この値段なら2泊してもいいなと思って2泊予約した。
ちょうど1,000円分のクーポンが2回分あったので、それぞれ1回ずつ使ったので計2千円引きとなった。代金はクレジットの前払い。

合計4泊5日となり、結構長い滞在となった。これだけ滞在すれば、うち2日くらいは晴れに当たればいいかな。雨に当たるのはこの時期ならば仕方がない。

で、肝心の天気

この時期の宗谷地方は一番良い時期なのだが、オホーツク海高気圧の冷たい空気の影響で曇りがちで不安定な天気のことが多い。

DSCN0313.JPG
 この時期特有のガスがかかって小雨も混じる香深の町。2017年6月撮影。

前回仕事で行ったときはガス(霧)に小雨が混じる冴えない天気だった。
今回の旅行中は好天に当たってほしいのだが、天気ばかりはどうにもならず、滞在日数を増やして晴れに当たる確率を上げるしかない。
週間天気予報は10日分発表する所が多いが、宗谷地方や礼文の天気は各社バラバラ。どれを信用したらいいものか。

出発の前々週あたりまでは概ね好天だったのだが、前週あたりから雨マークもぼちぼち付き始めた。
週間天気も時どきチェックするが、これがコロコロと変わる。
週の前半は天気が悪く、後半は晴れそうというのは大まかにわかってきたが、これもチェックするたびに覆される。

以下の画像は出発前日の6月28日夕方週間天気予報。
気象庁、日本気象協会、ウェザーニュース、YAHOOの4社の予報の画像を貼ってみた。
気象庁のは宗谷地方の、あとの3社は礼文町の予報になる。

weekwea20200628.jpg
 2020年6月28日夕方時点の各社週間天気予報。

概ね後半のほうが晴れに当たりそう。月、火は雨マークも見られる。
晴れのマークが目立つ日本気象協会さんに頑張ってほしいところ。

天気ばかりは向こうでなるようになるしかない。
続いては稚内までの移動手段。
これも天気次第ということで考えていた。

単純に稚内までならば車の一択ということで決まりだが、礼文島の滞在が4泊5日ともなると、稚内フェリーターミナルの駐車場代が馬鹿にならなくなる。
駐車料金は1日1,000円と意外と高く、5日間で5千円にもなる。離れた場所に無料の駐車場もあるが、日帰りならばともかく5日間も置いておく勇気はない。先日当逃げにあったばかりだしね。

フェリーに車を乗せてということも考えられるが、稚内〜礼文間の往復航送運賃が37,660円では、車が必要なら向こうでレンタカーを借りた方が安上がりだ。
ガソリン代が札幌〜稚内間往復で6〜7千円。
そんなこんなで、車だと稚内まで往復で1万1〜2千円程度かかることになる。

JRならば指定席往復割引きっぷ(Rきっぷ)というのがあり、これだと往復1万3310円。車での経費に若干上乗せする程度。
稚内まで往復できれば何でもいいし、今回は礼文島以外に用事は無い。
それにこんな機会でもなければ特急列車に乗ることもないだろうし。
それより何より、今のJR北海道の状況を見ると、これが宗谷本線の列車に乗るのが最後かもしれない。廃線の噂もチラホラと聞くし。実際宗谷北線では、今年度を持って廃止になる駅がいくつも決まっている。

これも週末までは保留としていた。
月曜が晴れならば車で稚内まで行って車中泊し、朝イチのフェリーで礼文島へ渡る。そうでなければ列車で稚内に行き、午後のフェリーで島へと考えていた。札幌7:30発の特急宗谷で出発すれば、礼文島にはその日の夕方には着く。

出発2日前の土曜日、天気予報は月曜が雨っぽい。逆に金曜が晴れ。

JRでの稚内行に決定。
さっそく桑園のイオンに買い物に行ったついでに桑園駅の指定券券売機で切符を買ってきた。
これで礼文島往復の行程は決まった。

DSCN7657.JPG
 札幌〜稚内間の指定席往復割引きっぷ(13,310円)。

島での行動をどうするかは、これも天気具合を考えて向こうで判断する。
色々調べると、礼文島観光のメインはトレッキングということになった。
島には各種トレッキングコースが設けられている。
観光バスや車で回れる名所もあるが、歩いて回らなければ礼文島の本当の良さはわからないと思った。

DSCN1904.JPG
 無料パンフレット『礼文島navi』の画像。

今回の旅行は車はナシで、とにかく歩こう。

久々に特急宗谷に乗れるということもあって、今回の旅行は海外旅行にでも出発するかのようにワクワクしていた。
前置きが長くなりましたが、次回は本編へ。


posted by pupupukaya at 20/07/05 | Comment(0) | 道北の旅行記

2020年 日帰り旭川・男山酒蔵開放旅行記

2月9日(日)は旭川に行ってまいりました。
毎年恒例の男山第42回酒蔵開放であります。

この日は道内は今年一番の冷え込みとなって、旭川では午前7時の気温が−25.5度を記録したようである。

DSCN4554.JPG
 旭川は午前7時現在−25.5℃。

DSCN4559.JPG
 −10℃を示す札幌駅のデジタル温度計。

札幌もこの日は冷え込んで、最低気温は午前3時に−14度を記録したようである。
札幌駅にある壁面の温度計は、7時40分でも−10度を差していた。さすがに札幌でも「今朝は凍(しば)れたねえ」と口から出るほどだ。

まずは旭川へ。
今日は車ではなく、特急ライラック号の客となる。
切符は券売機で買ったSきっぷ。特急自由席の往復割引きっぷで、値段は5,550円
去年同じく買ったときは5,080円だったから随分と値上がりした。

DSCN4561.JPG
 6番線のスーパーとかち1号と7番線のライラック3号。

考えたらJRの特急に乗るのは、去年の男山酒蔵開放に行ったとき以来だ。
鉄道ファンとしては全く情けない限りだが、夜行列車が無くなってしまってからは、鉄道ってとても使いにくい交通機関になってしまったのは否めない。

まあ、それはともかく、せっかく久しぶりに特急に乗ったのだから、旭川までの1時間25分は楽しませてもらおう。

ライラックは6両編成だが、今は雪まつり開催中。冬の観光シーズンである。自由席は意外と席がふさがっていた。一番空いていた5号車に乗った。

発車前だが「茶志内駅のポイントが切替えができないため、茶志内駅ではいったん停車します、旭川着は遅れる見込みです」との放送があった。
んもー、しっかりしてくれよ。

それまでには直るかもしれないし、札幌駅は順調に発車する。

DSCN4570.JPG
 券売機で買った往復のSきっぷ。

スマホのアプリで速度を計ってみると最高が120km/h止まり。
かつては130km/hで走って、札幌〜旭川間を1時間20分で結んでいた。あの韋駄天ぶりは復活しないのだろうか。

岩見沢8時14分、今冬は全道的に雪が少なくて暖冬なのだが、岩見沢も雪が少ない。いつもの半分くらいしか積もっていないんじゃないかという印象だった。

札幌も1月中までは少なかったのだが、2月に入ってからドカ雪が続き、平年の積雪量を追い越してしまったほどだ。
これも札幌だけで、やはり全道的に雪は少なくなっている。

DSCN4603.JPG
 夏は田んぼが広がるが、冬は一面雪原が広がる。

DSCN4607.JPG
 美唄を発車したあたりの車内の様子。

スマホで美唄市の現在の気温を見ると−19.4度。そりゃポイントも凍り付くわな。
岩見沢、美唄までは順調にきて、問題の茶志内である。

駅手前で速度を落とし、普段は普通列車の待避線として使われる4番ホームへ入線した。
しばらく停まるのかなと思っていたら、またすぐに発車する。ポイントが転換できないだけで、通過する分には問題ないようだった。

DSCN4616.JPG
 茶志内駅で一旦停車。

次は砂川着。
砂川では「一部閉まらないドアがあるため、車掌が対応を行います」とホームを走ってドアへ。凍り付いて閉まらなくなったんだろう。そんなことがあって、砂川発は6分遅れの8:42発となった。

スマホで砂川の気温を見るとびっくり。なんと−23.7度
そりゃドアも凍り付くわな。
こんな過酷な中、ちゃんと運行しているだけでもありがたいことだ。

DSCN4625.JPG
 砂川の8時40分現在の気温。

DSCN4648.JPG
 石狩川の川面から湯気が立ち上る。温泉ではありませんよ。

滝川8:48発、7分遅れ。気温−23.2度
深川9:02発、7分遅れ。気温−21.9度

もう7分遅れで固定となったようだ。
札幌を発車したときは薄曇り空だったのだが、空知まで来ると快晴となった。

何か外をキラキラと舞っているような気がするのだが、あれがダイヤモンドダストなのだろうか。
カメラで写せるはずもなく、120km/hですっ飛ばす特急の窓からでは確かめようがない。

DSCN4665.JPG
 太陽がギラギラと眩しいが、気温は−20度。

納内のからのいくつも連続するトンネルを抜けると上川盆地である。

さて、旭川の気温は ↓ ↓ ↓ ↓

DSCN4687.JPG
 旭川9時18分現在−20.5度。

おめでとうございますっ (T_T)
マイナス20度台確定です。

旭川着は9:22と8分遅れ。

デッキに降りる乗客が群がるがドアが開かない。どうしたのだろうと思っていると、清掃スタッフが外からドアを蹴飛ばすと開いた。凍り付いていたのだった。

DSCN4700.JPG
 旭川に到着。

今日はがっちり着込んできた。去年の暮れにフィンランドでオーロラ鑑賞をしたときと同じ装備である。
これに反して地元の人たちは薄着で歩いている。同じ北海道人ながら、見ている方が寒くなりそう。

DSCN4704.JPG
 氷の彫刻が展示されている旭川駅前。

駅前に温度計はないかと探すが見当たらない。
マイナス20度の証拠写真が欲しいのだが。

たしか緑橋通りにあったな。それを撮ってこよう。
男山の会場へのバスは4条通りのバス停から乗ることにする。

で、緑橋通りを行くと、あった。旭川信金の温度計。

キター!!!マイナス20度!

DSCN4715.JPG
 午前9:33現在、−20℃の表示。

DSCN4719.JPG
 こちらは4条通りの朝日生命ビルの温度計。

こんなもの撮影しているのは自分だけだが、10度台ならばしょっちゅうだろうけど、20度台というのはそうそうないと思う。
珍しくて写真を取りまくった。

一応目的は果たし、道北バスの4条9丁目のバス停で待つ。

バス停にはほかに誰も待つ人はいない。
もしかして日にちを間違えた?

前面に『臨時バス』の表示を掲げた旭川電気軌道のバスが満員の客を乗せて2台通り過ぎるのを見かけた。はて、臨時バスを出すとは聞いていないが。

やがて当麻ヘルシーシャトー行きの道北バスがやってきた。客はそこそこ乗っている。日にちは間違えていないようだった。

途中のバス停からも乗って来る人が多く、着くころには結構な混みようとなった。
男山最寄りの永山2条6丁目では、ほぼ全員が下車する。

DSCN4727.JPG
 永山2条6丁目に到着。

DSCN4732.JPG
 冬晴れの酒蔵開放会場。

やってきました男山酒蔵開放会場。
快晴で青空が心地よい。

着くと、ちょうど1回目の鏡開きが始まるところだった。
司会は毎年恒例の川島玄起氏。

なんと今朝の旭川は今年一番のマイナス25.5度を記録しました
というと、見物客から歓声が上がる。

旭川市郊外の江丹別ではなんとマイナス34.9度を記録しました
というと、歓声のほか拍手まで沸き起こった。

ここでは何でもお祝いのネタになっているのだった (^^;

DSCN4740.JPG
 川島玄起氏の司会で鏡開きがとり行われる。

まずは男山代表取締役社長の挨拶、それから見物客の中から4人募って鏡開きとなる。

よいしょーっ!

全員掛け声を合わせて勢いよく酒の飛沫が飛ぶ。

パタパタパタパタ・・・・

全員手袋をしているので拍手はパチパチパチにはならないのだった。

DSCN4748.JPG
 全員の掛け声とともに勢いよくハンマーを振り下ろす。

ここの無料試飲の樽酒は本物で、飲むと杉の香りが鼻を通り抜ける。
お酒は『きもと純米』と男山さんもなかなか太っ腹だ。

こういうことをされると、今後はもっと贔屓にして差し上げないとなと思う。

しかし、−20℃の中で冷やされたお酒の味などわかるはずもない。
ただ水のように喉をストーンと通ってゆくのだった。

DSCN4860.JPG
 キンキンに冷えた樽酒。

続いては今朝の酒コーナーへ。
ここは今朝絞りたての酒をビンに詰めたものを試飲させてくれる。
この今朝の酒は毎日違う銘柄が出される。

聞いてみると、今日のは男山佳撰ということだった。アルコール度数は21度。
通常はこれを薄めてアルコール度数を調整し、商品として出荷する。

DSCN4752.JPG
 今朝絞りたての酒を出す今朝の酒コーナー。

DSCN4813.JPG
 お休み処に並ぶ屋台からは湯気がもうもうと。

DSCN4828.JPG
 今日のお休み処は満員御礼だった。

 氷点の水の如きに通る酒

う〜ん、凍れる中0度以下に冷えた酒を飲んでいてもさっぱり酔わない。
かといって調子に乗って飲んでいたら、急に酔いが回ってきて腰が抜けてしまう。
あまり飲みすぎない程度にお酒を貰ってくる。

DSCN4852.JPG
 樽酒の試飲コーナー。

樽酒試飲コーナーの隣にあるのは、かめ酒のコーナー。平安時代から室町時代にかけての酒を再現したものだという。これは酒蔵開放だけの非売品。飲むと炭酸がピリッと舌に感じるドブロク。
今年のは少々甘口なんじゃないか。もう少し発酵させたほうが良かったんじゃない。
お酒に慣れない人には飲みやすいかも。

DSCN4841.JPG
 どぶろくのかめ酒の試飲コーナー。

試飲コーナーは、一時期はマイぐい呑みの持参を推奨していたこともあったが、今は使い捨ての紙コップのみでの提供となっている。
『マイぐい吞みでの試飲はご遠慮願います』との張り紙もあった。
紙コップの2回使用も断っている。これはおそらく衛生上の理由からだろう。

DSCN4857.JPG
 気持ちが良いほど快晴の青空の下で飲む酒。

 飲むほどに空に吸われしみぞれ酒

なんだかアルコール分にも麻痺してしまったかのように、飲んでも酔いが回らない。
マイナス20度では酔いの感覚もなくなるのだろうか。

隣では息子に連れてきてもらったらしい老夫婦が試飲のお酒を飲んでいる。
見ていると何だかほっこりとするような風景だった。

DSCN4805.JPG
 試飲酒の中には凍ってみぞれ酒になるものもあった。

DSCN4848.JPG
 前庭の池は湯気が昇る。温泉ではありませんよ。

いつまでも飲んでいたら、途中でぶっ倒れそうだ。
12時43分発のバスを期に、切り上げることにする。
駅に着くとカメラがおかしくなっているのに気づいた。
レンズの部分が変な角度で固まっている。
それを戻そうとレンズをつかんでネジったら余計おかしくなって、元に戻らなくなってしまった。

カメラが壊れてしまった (T_T)

2017年のインド旅行以来、ずっと身体の一部でもあったカメラ。
もうダメのようだ。壊れたのか壊したのか定かではないが、新しいのを買わなければならないな。

というわけで、ここから先の画像はスマホで撮ったもの。

旭川駅からの戻りの列車は、ライラック26号
コンコースの売店で駅弁を買っておいた。
いろいろ迷ったが幕の内弁当を買う。

掛け紙は幕の内弁当だが、箱に貼ってあるシールには旭岳弁当と表示があった。
国鉄時代から続く、旭川駅のベストセラーの幕の内弁当である。

別の売店でお酒も買った。
旭川駅と特急カムイ号のイラストのカップ酒。これも旭川の地酒の高砂酒造の酒である。

つーか、まだ飲むんかい!

IMG_20200209_135626 (1).jpg
 旭川駅の駅弁とお酒。

幕の内弁当のおかずは、鮭がメインで、ザンギ、イカゲソのてんぷら、シュウマイ、タコの煮物など。
北海道の名物は一通り押さえてある。
幕の内弁当を食べるとその駅弁屋のレベルがわかるというもの。

旭川の駅弁も地味ながらがんばっている。
幕の内弁当のおかずには、北海道の名物を色々食べさせてやろうという意欲を感じる。

筆者が個人的に特筆したいのが、イカゲソの天ぷら。
あまり知られていないが、旭川の立ち食いそば屋ではゲソの天ぷらをご飯の上に乗せ、甘辛いタレをかけた『げそ丼』が隠れたB級グルメとなっている。
このゲソ天を一品加えたあたりは、大変ニクいではないか。

あとお酒も美味い。
旭川駅で駅弁を買ったら、併せて日本酒も買いたい。
飲み鉄ファンにとっては、まことに至福のランチなのであった。

IMG_20200209_135846.jpg
 げそ天も加わった旭川駅の幕の内弁当(1000円)。

あとは札幌までずっと眠っていた。
やはり試飲の酒が相当回っていたようである。

DSCN6736.JPG
 男山酒蔵開放で買ってきたお酒とお土産。

 日帰り旭川・男山酒蔵開放旅行の費用
費用場所値段(円)
旭川〜札幌 Sきっぷ札幌駅5,550
今朝の酒男山
1,300
日本酒で乾杯男山1,500
酒粕500g男山400
大吟醸酒まん男山700
幕の内弁当(駅弁)旭川駅1,000
国士無双カップ旭川駅275
合計 10,725

〜最後までお読みいただきありがとうございました。

posted by pupupukaya at 20/02/11 | Comment(0) | 道北の旅行記

2019年稚内とサロベツ原野の旅

2019年7月6日からの土日は稚内まで行ってきました。

花が次々と咲き乱れるこの時期は、宗谷地方の一番良い季節。
晴れて青空が広がり、そこへ黄色いエゾカンゾウの花が一面に咲いて、バックには利尻富士がそびえるというのは絵になる風景である。

しかし、この一番良い季節の頃の宗谷地方は、曇り空の日が多い。
数少ない晴れの日と週末と重なることは少なく、何度行っても曇り空ばかりに当たってしまった。

この週末の天気予報は曇りのち晴れ。なんとも頼りない空模様だが、この晴れに賭けて行くことにした。

札幌を出発したのは土曜の8時半。
途中道の駅などに寄り道しながら北を目指す。

道中は曇り空だが、自分の真上だけは青空がついてくるような天気だった。

これもまたどういうわけか途中の道の駅も食事処も混んでいた。
天気なので皆一斉に出てきたという感じだった。

DSCN0057.JPG
 ひたすら何もない道道稚内天塩線。

天塩の道の駅で一休みして、道道稚内天塩線に入る。
天塩河口大橋を渡ると風景が一変する。

ここはもう日本離れというか北海道でもない。
宗谷海峡で隔たれているとはいえ、ここはもう樺太や遥か北の大陸と同じ空気である。

沖合には利尻富士のシルエットが見えた。

DSCN0055.JPG
 沿道はエゾニュウの花で出迎えてくれた。

乱れた草ばかりが茂る原野の中を1本の道道がどこまでも続く。

駐車帯に車を停めて、この亜寒帯の空気を吸う。
もうここは北海道とは違う空気。

馬や牛の姿はどこにも見つからず、人間の家の影さえなかった。
・・私は遠いロシアの曠野(こうや)へでも迷い入った旅人のような気がした。

とは猿払村にある風雪の塔の碑文からの引用。
もとは藤森成吉『旧先生』の一文で、オホーツク海側の猿払原野の描写だが、このあたりの風景のほうがしっくりとくる気がする。

同じさいはてでも、根室や標津あたりとも違う。
頑として人を寄せ付けない永久凍土の冷たさが、足元から血の中に湧き上がるような感覚は何だろうか。

もうここは北海道ではなく、北極星に吸われる不毛の大地。
しかし私など、時に北海道離れした冷たい空気の中に、無性に身を置きたくなるのだった。

DSCN0059.JPG
 遠くに逃げ水が光る。

今時期は、道の脇に一斉に咲いた黄色いエゾカンゾウが出迎えてくれるものだが、これは一足遅かったようで、今日迎えてくれたのは不気味に咲き乱れるエゾニュウの白い花だった。

DSCN0068.JPG
 レストハウスサロベツの店内。

稚咲内(わかさかない)から内陸に入ってサロベツ湿原センターへ行く。
花は咲いているだろうか。

着いたら花よりもレストハウスに入った。
途中はどこの店も混んでたので、札幌を出てからここまで何も食べていなかったのだった。

サロベツラーメンというのが名物のようだが、いももちと牛乳にする。
もう20年以上昔だが、旧原生花園だったときに、いももちが美味かった記憶がある。

DSCN0071.JPG
 いももち(300円)と牛乳(100円)。

いももちとは、つぶしたジャガイモに片栗粉を加えてよく練って餅状にして焼いたもの。
子供の頃はよく食べたものだった。

さて食べようとしたが、テーブルの調味料立てにはなぜか醤油がない。塩はあるから塩で食べるのかな。
しょうがないなあ、厨房へ行って醤油を借りてきた。

焼きたてで粘りもあって、醤油をつけて食べるとジャガイモの風味の磯辺焼きみたいで美味い。
それに、いももちには牛乳が合う。

なんとか一息ついて、湿原センター裏手の木道を歩いて湿原へ行く。

う〜ん・・・5月の熱波のせいで花は早く咲いてしまったらしい。
黄色いエゾカンゾウの群れを期待していたが、これも遅かった。

遠くの方に、もう終わりかけたエゾカンゾウの黄色い点々が見えているくらい。
その代わりに、紫色のノハナショウブが満開だった。

DSCN0122.JPG
 ノハナショウブが満開のサロベツ原生花園。

サロベツ原生花園からまた道道稚内天塩線に戻って北上する。

DSCN0145.JPG
 うねる道。

続いて立ち寄るのは抜海駅。
ここを通ると必ず寄りたくなる所だ。

抜海駅は、もう数少なくなった木造駅舎が今も残っている。
無人駅だが、冬季は除雪係の詰め所として使われる。

DSCN0157.JPG
 抜海駅正面。

駅の正面側は若干リフォームされているが、ホーム側は昔のままの佇まいが残されている。

かつて映画『南極物語』のロケ地にもなっている。
高倉健さん演じる隊員が、樺太犬リキの代わりの犬を連れて荻野目慶子演じる飼い主の姉妹の元へ現れるというシーン。

映画では駅舎もいい味を出していたが、その当時とほとんど変わっていない。

DSCN0167.JPG
 抜海駅ホーム。

DSCN0158.JPG
 なかなか味わいのある木造駅舎。

駅前は人家が1軒だけ。あとは何もない。
1軒の人家は空き家ではなく、人の気配がある。まさに野中の一軒家といったところ。

駅にいると、レンタカーやバイクの人が次から次へと現れる。
地味に観光スポットとなっている模様。

味のある駅舎なんだし、もうちょっと整えたら観光名所になるんじゃない。
新十津川の駅前のように、売店とかカフェなんか置いて、車を呼び込めばそこそこ繁盛するんじゃないか。

かといって、大型バスが出入りするようになって、観光客がゾロゾロというのも興ざめするが。

さて、稚内市内で給油と買い物。
今夜は車中泊となる。

今夜の宿は宗谷岬とした。
快晴となったので、夕日が拝めるかもしれない。

DSCN0203.JPG
 暗雲立ち込める宗谷岬方面。

宗谷岬へ向かうと、岬のあたりは何やら雲が覆っている。

で、着いたら見事に霧の中。
車を降りたら寒い。

とてもじゃないがこんなところで車中泊などしたくはない。
また稚内へ戻る。

DSCN0208.JPG
 宗谷岬は霧の中。

DSCN0212.JPG
 霧と寒さの中、観光客もご苦労様。

稚内は晴れていた。
どこに泊まろうかな。

道道稚内天塩線の、海岸沿いから山に向かう坂道の途中に駐車場があるのを思い出した。
道の駅でもいいが、どうせなら景色の良い場所で、一杯やりながら夕日を眺めるというのは悪くない。
あそこならトイレもあるし。

DSCN0221.JPG
 夕日が丘パーキング。

駐車場は夕日が丘パーキングという看板があった。
18時30分。

今日の稚内の日没は19:27となっていて、まだ1時間近くある。
夏至からまだ1週間しか経ってないので、まだまだ日が長い。

DSCN0225.JPG
 日が傾くがまだ沈まない。時刻は18時30分。

宇都宮ナンバーのおっさんは、三脚を2台も立てて夕日写真のスタンバイだ。
何でも、写真を撮るために北海道をあちこち回っているのだそうだ。
仕事もリタイアして暇だから、ということらしい。

最近は道の駅なんかでやたらと道外ナンバーを目にするようになった。
キャンピングカーも多い。
そのドライバーは大概が爺さんだったりする。

フェリーにマイカーを積んで来るくらいだから、何週間も車で北海道観光するのだろう。
暇もだけど、お金もあるんだねえ。
貧乏人の私からすれば感心するほかない。

宇都宮ナンバーのおっさんの話は、どこそこの写真のコンテストでこれは入賞したとか、要するに自慢話。
話の腰を折ってしまうとお互い気まずい思いになるし、私も日没までは暇なので、「へえすごいですね」とか言って自慢話に付き合う。

DSCN0227.JPG
 夕焼け空と利尻富士のシルエット。右側には礼文島も見える。

私は写真家ではないので、適当なスナップショットが撮れれば十分だ。
だけど、利尻富士をバックに沈む夕日が撮影できたら最高だ。

だんだん日が傾いて空が赤く染まってきたが、雲も出てきた。

この頃から、駐車場に続々と車が集まってきた。
車中泊組かなとも思ったが、夕日撮影のために来たらしい。

DSCN0243.JPG
 夕日の名所なのか続々と車が集まってきた。

DSCN0245.JPG
 水平線近くの空は雲が覆ってしまって残念。

夕日は完全に雲で隠れてしまった。
撮影隊の人たちは悲愴ムード。

集まってきた車も、ほとんどが退散してしまった。

宇都宮のおっさんは森林公園(稚内公園)に泊まるという。
今度は朝日を狙うんだとか。

私はここで車中泊で、これから一杯やってから寝ることにする。

DSCN0282.JPG
 三日月が浮かぶ夕日が丘パーキングからの夜景。

DSCN0305.JPG
 北斗七星と北極星。

シュラフに潜り込んで、目が覚めたのは午前3時。
普段ならばまだ夜中だが、夏至が近い稚内では3時を過ぎると明るくなってくる。

外に出るとあたりは霧の中だった。
寒い。
宗谷岬の霧がここまでやってきたようだった。

DSCN0309.JPG
 空が白み始めた午前3時、すっかり霧の中。

DSCN0312.JPG
 びっしりと夜露に覆われた車。

すっかり目も覚めたし、ここにいてもしょうがない。
車をノシャップ岬へと走らせる。

もしかしたら朝日が拝めるかもと淡い期待からだった。

途中、道路の真ん中にエゾシカの群れがいてびっくり。
こんな町に近いところでも出てくるのか。
ヤツらときたら油断も隙も無いな。

DSCN0313.JPG
 道道抜海港線に現れたエゾシカ。

ノシャップ岬も霧の中だった。
日の出時刻は3時50分。

だめだねこりゃ。

DSCN0320.JPG
 ノシャップ岬も霧の中だった。

DSCN0321.JPG
 霧に反射する灯台ビーム。

今度は道の駅わっかないへ。
洗面所の用で寄らせてもらう。

ここの駐車場は駅正面とは反対側にあるのだが、その駐車場が完全に満車状態
まだ4時過ぎだぜ。地元の人なわけないから、これ全部車中泊!?

しょうがないから正面側の一般車乗降場に停めて用足しをさせてもらう。

洗面所がお湯が出るのは驚いた。トイレもウオッシュレット完備。
そりゃあ人気の車中泊スポットなわけだ。

DSCN0340.JPG
 低い雲が垂れ込めた稚内駅前。

もう少し日が高くなれば晴れるのかもしれないが、低い雲が垂れ込めて暗い朝だ。

曇り空ならばこんな所に用はない。
明日から仕事なので、さっさと帰りたい。

また道道稚内天塩線を南へと走る。

ところが、抜海あたりまで来るときれいに晴れ渡っていた。
利尻富士も綺麗に見えている。

さっさと稚内を後にして正解だった。

IMG_1028.JPG
 朝日に映える秀麗利尻富士。

これはもしかして、サロベツ原生花園で利尻富士をバックにした花の写真が撮れるかなと思い、もう一度サロベツ湿原センターへ行ってみた。

ここの駐車場とトイレは24時間開放されている。
車中泊するのならこっちの方が良かったかなと思うが、湿原の中だからねえ。
蚊が多そう。

期待して木道を湿原へ向かう。
ところが、ちょうど地平線の部分だけ雲が覆って、山は隠れてしまった。
なんて意地悪な雲。

IMG_1097.JPG
 サロベツ原生花園に着いたら利尻山は雲に覆われてしまった。

IMG_1077.JPG
 原生花園に現れたエゾシカ。

日が高くなれば雲は晴れるのではないか。ちょっとそんな期待をして、しばらく粘ることにした。

お湯を沸かして、カップ麺の朝食。

STVのライブカメラは礼文島に設置されたものがあって、ネットで見ることができる。
8時頃には礼文のライブカメラに利尻山の姿が映っている。
これはいけるかもとカメラを持ってまた湿原へ。

そこで30分くらい待つと、ようやく山の姿が現れた。
でも霞んで薄いシルエットしか見えない。

IMG_1137.JPG
 再び姿を現した利尻富士。辛うじて咲いていたエゾカンゾウと。

この時期でこれだけ晴れたんだから上出来じゃないか。
山の姿が完全に見えたのも一瞬だったようで、また雲で覆われだした。

さて、札幌へ戻るか。

また道道稚内天塩線を南下する。
再び天塩河口大橋を渡って天塩の町へ。
ここからは留萌総合振興局の管内となる。

天塩まで来ると、なぜか人里へ戻ってきたような気になる。

何だか見えない線があるんだよね。
北海道と樺太や大陸へ続く亜寒帯を区切る線。

これが内陸ルートやJRからだと雄信内のあたり、オホーツク海沿いだと浜頓別のあたりだと思う。
この線の向こう側へ行って戻ってくると、海外から戻ったような気分に陥る。

え?私だけですか・・・(^^;

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。

posted by pupupukaya at 19/07/14 | Comment(0) | 道北の旅行記

2019年 日帰り旭川・男山酒蔵開放旅行記

2月10日、旭川にある男山酒造り資料館で行われた、第41回酒蔵開放に行ってまいりました。

DSCN0001.JPG

旭川ならば車で行くところだが、お酒のイベントとあっては車で行くわけにはいかない。
久々にJRの特急で行くことにした。

札幌7:49発の特急ライラック3号に乗車。
復活したライラック号に乗るのは初めてだ。

といってもこの車両、ここに来るまでは津軽海峡線で特急スーパー白鳥として走っていた789系電車。

最後に乗ったのは、廃止前のの寝台特急あけぼの号に乗りに行ったときだから、5年ぶりの再会ということになる。

DSCN0002.JPG

雪まつり期間中だからか、6両編成でも意外と混んでいた。
それでも席には余裕があったが。

やはり外国人旅行客が多いようだった。

DSCN0006.JPG

購入したきっぷはSきっぷ

往復5080円は、普通運賃と100円しか違わない。
これだけ安いのは高速バスやマイカーとの熾烈な競争下にあるから。

いずれにせよ、利用者にはありがたいことだ。
このきっぷがなければバスで行きましたよ・・・

DSCN0015.JPG

パウダースノーの雪煙を豪快に上げて走る。

DSCN0030.JPG

美唄駅の手前で、先行列車のドアに氷塊が挟まって閉まらないので発車できないので駅に入れませんとの車内放送。

先行列車とは美唄駅を8:13に発車するはずの普通列車だろう。
こちらは8:25分発で、滝川まではずっとこちらの先行となる列車である。

美唄でこちらを足止めさせるくらいだから、相当手こずっているのか。

それでもようやくドアが閉まって発車できたようで、8:30分に美唄駅着。約5分遅れ。

先行列車は次の茶志内で追い抜いた。真っ白な石狩平野を快調に走る。

こんどは砂川でこの列車のドアに氷塊が挟まってドアが閉まらなくなったと放送。
車掌、走る。

無事ドアが閉まったようで、発車。
砂川発は11分遅れの8:47となった。

DSCN0022.JPG

外は粉雪が降っていて、強くはないが、高速で走る列車の雪煙で、窓の外がときどき真っ白になる。
ここから遅れを回復するのは難しいだろうな。

DSCN0058.JPG

旭川着は10分遅れの9:24だった。向かいの4番ホームから接続待ちをしていた上川行き普通列車がすぐに発車して行った。

DSCN0068.JPG

旭川駅前の、元丸井今井で今はフィールの前にある18番のりばからバスに乗る。
9:40発70番当麻行きの道北バス。

本当は1本前のバスに乗る予定だったが、列車が遅れたので乗りそびれた。

DSCN0071.JPG

バスの窓からビルに掲げられた気温計を見ると、9:44現在の気温は氷点下11度。

こちらでは寒いはマイナス2〜3度まで、5度以下はシバレル、10度以下は超シバレルといったところ。

DSCN0115.JPG

10時過ぎ、男山酒造り資料館に到着。
開場からそれほど時間は経っていないが、すごい人だった。

DSCN0076.JPG

見物人の中から有志を募って鏡開き。

朝からめでたい、めでたい。

DSCN0178.JPG

一番名物の樽酒試飲コーナー。

DSCN0080.JPG

氷点下10度の中で、キンキンに冷えた酒を飲む。

直立不動で飲むと、喉にスーッと通って行き、ふんわりと鼻に杉の香りが・・・
冷えているせいか、酒とは思えないほど口当たりが良い。

 凛としてしばれが通る男山

う〜ん、この寒さではアルコール分が揮発しないのか、酒とは思えない。
薄口のジュースのように喉にスッと入ってゆく。

飲みすぎ注意だね。

DSCN0087.JPG

屋内の有料試飲コーナー。
ここでは純米大吟醸などが試飲できる。

DSCN0099.JPG

今朝の酒コーナー。

生酒、今朝酒樽から絞った一番酒を飲ませてくれる。

これもキンキンに冷えていて、スイスイと飲める。
アルコール度数は20度近くあるのだが。

こちらの試飲は数量限定で、昼にはおしまいになった。

DSCN0117.JPG

かめ酒コーナー。
こちらはどぶろくの酒。発酵したてで、炭酸がピリッとする。
平安時代はこんなお酒だったのだとか。

DSCN0112.JPG

樽酒コーナー。
半合サイズの紙コップに柄杓で注いでくれる。

一応試飲だが、大サービスと言わんばかりに結構なみなみと注いでくれる。

前回来たときはマイぐい飲み持参でと宣伝していたが、今回は使い捨ての紙コップのみだった。
紙コップの2回使用も断っていた。衛生上の理由だろうか。

DSCN0146.JPG

満卓で大賑わいのイートインコーナー。
みんなすっかり出来上がっている?

DSCN0172.JPG

今日は青空が広がる冬晴れ。
しかし気温は氷点下10度。

最初はちょっとだけ飲んで帰ろうかと思ってやってきたが、顔が痛くなってくる程しばれる空気の中で、これも氷点に近いほど冷えた酒を飲んでいると全然酔わない

何杯飲んでも水のようにスーっと喉を通ってゆく。

 青空に吸われるようにしばれ酒

もう何杯飲んだかわからなくなった。
帰りのバスの時間になったので、そろそろ帰ることにする。


DSCN0183.JPG


男山近くのバス停からバスで旭川駅へ。

ごみんなさい。
このあとどうやって札幌へ、家まで帰ったのか記憶がありません (^^;

しかし、翌朝ちゃんとベッドで寝ていたので、何事もなく無事に帰ってきたようだ。

DSCN0230.JPG

上は酒蔵開放で買ってきたお酒と大吟醸酒まん。

DSCN0231.JPG

酒まんは、ふんわりとお酒の香りがして、上品な味わいだった。

〜おわり
posted by pupupukaya at 19/04/06 | Comment(0) | 道北の旅行記

2005年 特急利尻で稚内へ 3

抜海の駅前は家が2軒あるだけで、ほかには何もない。

駅から抜海の町までは結構離れていて歩いて20分くらいかかる。ここから町まで歩いて、そこから海岸沿いを歩いて南稚内まで戻ることにした。

帰りの列車は夕方発なので、時間はたっぷりとある。


PICT0114.JPG
 抜海駅をあとにして歩く。

歩道が整備されている道路は、通る車も人も無くてもったいないほど立派に見える。 

利尻山が見えている方向にずっと歩いて行くと、やがて町に着いた。
抜海港は冬にはアザラシが来ることで有名だが、この季節は何も無く、静まり返った漁村といった感じ。

PICT0127.JPG
 抜海駅から抜海の町まで徒歩で20分くらいかかる。

上に大石を乗っけたような奇妙な小山を見つける。これが抜海の地名の由来になった。

「北海道駅名の起源」(日本国有鉄道北海道総局)によると抜海の起源はこう載っている。 

“アイヌ語の「パッカイ・シュマ」(子負い石)の上部からとったもので、付近の丘の上に大石があり、その形が児を負って立っているのに似ているため、こう名づけたものである” 

近くの小山に登る道路があって、歩いて登ってみると、日本海と利尻岳それにずっと遠くまで続く海岸線が見渡せる。

PICT0156.JPG
 抜海の地名由来となった抜海岩。抜海岩陰遺跡という史跡になっている。左は抜海神社。

PICT0148.JPG
 抜海神社裏の小山から抜海岩と利尻山を見る。

PICT0138.JPG
 南側に広がる無人の原野。

抜海の町から海岸沿いを北に歩く。ところどころに色とりどりの花が群生している。このあたりは抜海原生花園といわれる。ハマナスやエゾカンゾウ、花の名前がわかるのはこれだけ。そのほかにもいろいろな花が咲いていた。

PICT0165.JPG
 海岸沿いは所どころに花の群落があった。

PICT0175.JPG
 短い初夏を謳歌する花たち。

歩いてる途中で、地元のおばさん2人連れに出会った。

「どこに行くの?」
「抜海から海沿いに稚内まで歩いてみようと思って」
「どっから来たの」
「札幌からです」 

この先に川があって、道道まで出ないと渡れない。この先に道道に出る道がある。
と教えてくれた。

礼を言ってまた歩き出す。

PICT0198.JPG
 海岸を歩いていると行く手を阻んだ川。

抜海の町から海岸沿いを北に歩く。ところどころに色とりどりの花が群生している。このあたりは抜海原生花園といわれる。ハマナスやエゾカンゾウ、花の名前がわかるのはこれだけ。そのほかにもいろいろな花が咲いていた。

しばらく行くと、その川が現れた。道道に出る道は見あたらなかったが、見落としたかもしれない。

PICT0195.JPG
 道道の橋は見えるのだが。

来た道を戻るのも馬鹿らしいし困ったなと思っていると川幅は3mくらい。歩いて渡れそうだ。スニーカーと靴下を脱いで裾をまくって川に入る。すねまで浸かるくらいの水深。ジャブジャブと渡る。冷たくて気持ちが良い。

後方にはそんな光景を見つめるように利尻の山が立っていた。周りに誰もいないが、一部始終を山に見られていたようで何か気恥ずかしくなる。

PICT0199.JPG
 海岸と秀麗な利尻富士。

PICT0215.JPG
 起伏が激しい海岸砂丘。

PICT0214.JPG

 砂丘に咲くハマナス。

PICT0220.JPG
 さっき列車で通った利尻俯瞰区間の線路に登る階段。保線用?

PICT0225.JPG
 階段を登ると線路があらわれる。鉄道写真の名所でもある。

なんとか昼ごろ南稚内駅まで戻ってきた。まだ帰りの列車までは時間がある。稚内に来たついでの野暮用があったので、済ませてくることにした。

PICT0275.JPG
 南駅近くの繁華街。通称オレンジ通り。


 ◆ 南稚内 16:53 【スーパー宗谷4号】 21:50 札幌

再び南稚内に戻ってくる。 

南稚内駅の開業は稚内駅よりも古い大正11年で、当時はこちらが稚内駅となっていたとされている。

開業当初の南稚内駅は車両基地のある旧稚内運転所の近くにあって、稚内港(現稚内駅)まで開業してからは列車はスイッチバックで出入りしなければならず不便なので、戦後の昭和27年に新築・移転してきた。
実は大正11年開業の駅とは違う新しい駅なのである。 

稚内の新しい市街は南に向かって広がっているため、稚内駅のある北側中心部はすっかり寂れてしまった。地元の人は南稚内駅の利用が圧倒的に多い。
そんな南稚内駅を地元の人は「南(みなみ)駅」と略す。駅前のバス停も「南駅前」となっている。

駅前にビジネスホテルや歓楽街があって一時期は南駅周辺が栄えたこともあるようだが、郊外型大型店舗ができてからこっちも寂れ気味のようだ。

PICT0300.JPG
 地元の利用者が多い南稚内駅。

PICT0280.JPG
 みどりの窓口やキヨスクもあり、ストーブも設置されたままの昔ながらの駅。

PICT0298.JPG
 南稚内駅改札口。

PICT0299.JPG

 改札口の時計と改札案内。

PICT0309.JPG
 札幌行スーパー宗谷4号が到着。

PICT0311.JPG
 2両増結の6両編成。

札幌行スーパー宗谷4号の改札が始まる。ホームで待っていると遠くで踏切の音が聞こえ、列車が入ってきた。
南稚内を16:57にあわただしく発車する。

稚内始発の車内は回送列車みたいな状態だったが、南稚内からはなんとか特急列車らしくなった。それでも名寄まではがら空きだった。

PICT0322.JPG
 天塩川に沿って。

PICT0327.JPG
 18:55、音威子府駅。初夏の長い1日ももうすぐ終わり。

音威子府を過ぎたあたりで暗くなり始める。
名寄のあたりで日が暮れて、ここからは暗闇と窓ガラスに映った車内が車窓の友になる。

旭川で結構乗ってくると、車内は都会っぽくなった。
初夏の小旅行もそろそろ終わりである。

PICT0333.JPG
 札幌到着。

〜おわり


 ◆ リメイク版あとがき

2005年、まだ定期列車だった特急利尻に乗って稚内まで往復したときの旅行記を、ブログにて復活したものです。

この頃は、道内夜行の廃止の噂こそあったものの、まさか廃止になるとは思いもしませんでした。

この頃に札幌駅を出発していた夜行列車は、1日8本(うち定期列車は6本)もあり、特急系統のほぼすべての方面に夜行列車がありました。

北海道新幹線こそ、この当時はまだ夢物語でしたが、石北線系統以外の特急スピードアップも完了し、JR北海道が最後の輝きを放っていた時代かもしれません。

リメイク版を作成していて感じたのは、画像の画質の悪さ。

当時使用していたコンパクトデジカメのスペックは、画素数でいえば2M(200万画素)を少し超えたくらい。
今は携帯やスマホですら普通に10M以上ということを考えると、隔世の感があります。

またこうしてあらためて見ると、音威子府〜稚内間、中でも抜海〜稚内間の車窓は素晴らしいですね。
ここに観光列車を走らせたら楽しいと思うのですが。

もっとも、富良野線や釧網線と違って周遊できる観光地が無いし、既存の観光ルートからは遠すぎるし、なかなか難しいんでしょうかね。
過去に『サロベツトロッコ号』という列車が走ったこともありましたが、長続きしませんでしたね。

これだけのいいもんを持っていながら、ああもったいない、もったいない・・・

 〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。

posted by pupupukaya at 18/04/01 | Comment(0) | 道北の旅行記

2005年 特急利尻で稚内へ 2

稚内駅の北側にある日本最北端の線路を写真に撮る。
ここもすっかり観光名所になったようだ。

PICT0042.JPG
 最北端のホーム端には「日本最北端の駅」の看板が立つ。

PICT0043.JPG
 最北端の線路の看板と車止め。昔は先にある港まで線路が伸びていた。

PICT0048.JPG
 最北端の線路と特急利尻。

列車から降りた人たちはすぐに駅前からバスや徒歩でフェリーターミナルへ行ってしまったので、すぐに静かな駅になる。

待合室にある「そば処宗谷」は日本最北端の駅そば。ここも夜行利尻早朝から営業して、特急利尻の客を待っている。
明るくてきれいな駅内はいつも美味しそうなツユの匂いが漂っている。

まずはこの名物の立ち食いそば屋で月見そばといなりを食べる。

PICT0051.JPG
 待合室の立ち食いそばも、利尻を待ち受けて営業している。

PICT0049.JPG
 立ち食いそばのカウンター。

PICT0050.JPG
 月見そば(320円)といなり(50円)。ナルトが2枚載るのが昔からここの特徴。

ここの立ち食いそばは古くからやっているように見えるが比較的新しく、この店ができたのは1990年頃と記憶している。
いまはどうなのか知らないが、当時はJR直営店舗だった。

列車の利用者よりも町からのお客の方が多く、列車のない時間でも繁盛している。
珍しくコーヒーも置いていて、地元の人たちのサロンと化していることもある。

PICT0058.JPG
 利尻の乗客が去って静かになったコンコース。

PICT0054.JPG
 待合室の窓から。

PICT0056.JPG
 改札口からホームを見る。


 ◆ 稚内 6:38 【4326D】 6:55 抜海

稚内から6:38発の始発列車で抜海まで行くことにする。車内の私以外の乗客は旅行者らしい2人だけで発車した。
次の南稚内で高校生が2人乗ってきた。

PICT0060 (2).JPG
 6:38発名寄行。稚内駅の始発列車。

PICT0062.JPG
 転換クロスシートが並ぶ車内。

南稚内を出て市街地を抜けると丘陵地帯を行く。笹と疎林だけの丘を縫うようにして1両だけの列車は走る。 

稜線が丸みを帯びた特徴ある宗谷丘陵は周氷河地形といわれ、大昔このあたりが氷河に覆われていた時代の名残なのである。
かつては大密林に覆われていた宗谷丘陵は明治以降の相次ぐ山火事で今のような笹原となったという。 

PICT0073.JPG
 日本海と利尻富士を望む。

PICT0080.JPG
 一面笹の宗谷丘陵を行く。人家は全く無い。

PICT0085.JPG
 防風柵と利尻富士。

無人の笹原を過ぎて人家や牧場が見えてくると6:55、抜海に着く。ここで列車を降りる。
列車が発車していくと、「ホーホキョ」とウグイスの鳴き声が聞こえるだけの静かな駅になった。

PICT0090.JPG
 抜海で列車を降りる。降りたのは自分1人だけ。

PICT0091.JPG
 1両の列車は抜海を発車して行った。


PICT0095.JPG
 抜海駅の駅名標。

PICT0096.JPG
 抜海駅のホームと木造駅舎。

PICT0094.JPG
 木造駅舎は長いこと風雪に耐えてきた風格がある。

PICT0100.JPG
 抜海駅のホーム側出入り口。

抜海駅は古い木造駅舎が残っている。無人駅だが、待合室のベンチには座布団がかけられ、駅ノートには遠くから訪れた旅人のメッセージがびっしりと書き込まれていた。 

いつまでも残ってほしいものだが、厳しい気象条件の土地なので古い建物はいつ潰れてもおかしくない。
もっとも昔の建物なので、現代の建築物よりは丈夫に建てられているかもしれない。

PICT0104.JPG
 旧改札口上には似合わないキティちゃんの時計が掛かっていた。

PICT0107.JPG
 駅ノート。

PICT0111.JPG
 駅舎の正面側はリフォームされていた。


posted by pupupukaya at 18/04/01 | Comment(0) | 道北の旅行記
Powered by さくらのブログ
最近のコメント(ありがとう)