石狩月形からは一転して団体列車となった札沼線の臨時列車。
空席はなく、終点の新十津川まで立ちんぼうで過ごす。
座席はオールロングシート。景色を眺めるのなら立っていた方が良さそうだ。
カメラマンに見送られて発車。
18分で浦臼へ。
定期列車ならば25分。今まで各駅停車しか乗ったことがないので本当に早く感じる。
浦臼駅は、昔は交換設備や車両の夜間滞泊もあってそれなりに拠点駅だったが、国鉄末期には棒線駅化されて無人駅になっている。
『ふれあいステーション』と名付けられた新しい駅舎と1本だけのホームに昔日の面影はない。
それでも札沼線北部の列車のうち5本はこの駅が始終着となる。
浦臼に停車する必要はあるのかなと思っていたが、ここからも数人乗ってきた。
鉄道ファンらしき人が多いが、子供連れの試乗と思しき人も。
浦臼に停車。
浦臼からは1日1往復の区間になる。
どうせ今日は列車が来ないからと線路上を歩いていると、突然今日のような臨時列車が現われたりするのでやめた方がいい。
鶴沼からはずっと並行していた国道も離れてゆき、車窓も左右両側が田園地帯という一番札沼線らしいところでもある。
この辺りから線路沿いに現れる電信柱(ハエタタキ)も良いアクセント。
こんなのも残っているのは本州ではどうか知らないが、道内ではここくらいだろう。
浦臼から下徳富まではハエタタキと呼ばれる電信柱が車窓に現れる。
下徳富駅を通過。
木造駅舎が残る下徳富駅を通過し、新十津川の手前にあるひまわり畑の向こうには数台の車が停まっていて、数人の撮り鉄たちの姿が見えた。
ひまわりはどういうわけか線路には全部ソッポを向いているが、向こうから撮影する分には良い被写体となっているだろう。
浦臼から15分で終点新十津川に着く。
石狩月形からずっと立ちっぱなしだったが、あっという間に着いたような気がした。
石狩月形での58分停車を差し引くと、石狩当別から途中2駅の停車で58分かかったことになる。
これが各駅停車の定期列車ならば1時間43分。
快速運転の札沼線に乗るのは初めてだったのですごく新鮮だった。
考えたら、この区間を2両編成の列車に乗るのも初めてかも。
終点新十津川に到着。
新十津川駅前は仮設テントも並んで何やらお祭りムード。
PRキャラクターの着ぐるみも出迎えに来ていた。
とつかわこめぞー(新十津川町のPRキャラ)も出迎えに来ていた。
駅舎内の観光案内所窓口は閉まっている。
定期列車の時しか営業しないのかなと思って外に出ると、今日は駅前の仮設テントの方で営業していた。
今の列車から降りた人たちがテーブルの前に並んでいる。
団体客に記念品を渡しているとのこと。
駅前は何やらイベント会場のようだった。
金滴酒造の試飲コーナー。
臨時列車ながら、折り返し時間は10分しかない。
駅前広場の仮設テントにある金滴酒造の試飲コーナーで勧められるまま1杯飲んで、隣で笹寿しの試食して、向かいの売店で新十津川駅ラストランのラベルが付いたカップ酒を2本買ってまた駅に戻る。
時刻表にあるのは1日1本の定期列車。
駅長犬ララちゃんはお疲れの様子。
さっきの団体さんも折り返しの列車で戻るのかと思ったが、そうではないようだ。バスで戻るのか。
駅前のイベントのための臨時列車だったのか。
よくわからないまま車内の客となる。
駅に残った十数人に見送られて発車。
駅前のイベント参加客に見送られて発車。
石狩月形や浦臼からの地元試乗組も折り返し列車の乗客となった。
これに乗らないと戻れないわけだが。
その人たちは車掌から乗車券を買っている。
私も記念に新十津川から浦臼までの乗車券を買い求めた。
車掌が発行するロール紙の車内補充券ってやつ。
あまり記念にしたい代物ではないが、いつもはワンマン運転区間なので、こんな機会でもないと手に入れることはできないもの。
臨時列車車内発行の乗車券。
戻りの列車は空席が目立つ。
ロングシートに片膝を乗せて横向きに座れば景色を眺めることができる。
窓框に頬杖をついて車窓を眺めていたら、往年の宗谷線急行の気分になれるかなとも思ったが、やはり違うようだ。
キハ400当時のシートピッチは90cm。今の特急の標準である95cmから比べるとずいぶんと狭い。
足元の温気ダクトもあって、窓も小さくしかも窓と座席ピッチも合わず、そこへ特急列車と同じ規格の大型リクライニングシートを置いたもんだから一層狭く感じた。
札幌から稚内まで6時間弱。よくあんな列車に長い間乗っていたなあと今となっては思う。
ロングシートでも横向きに座れば車窓を楽しめる。
久々に列車に乗って、一杯やりたくなってきた。
さっき新十津川駅前の売店で買ったお酒がある。
窓框もあるし飲んでみよう。
新十津川駅前の売店で買ったお酒。
ここからは飲み鉄になる。
新十津川町に停車中のキハ40の写真がラベルになっている。金滴酒造のお酒で1本300円と高め。
名前は何て言うんだろう。
ラベルには『JR札沼線終着駅 新十津川駅』『令和2年5月6日ラストラン』と書いてある。
揺れがひどいのでこぼさない様に慎重に開けてひと口。
おお、これはなかなか濃厚な味じゃないか。
これはきっと特別純米酒新十津川だよ。
よくスーパーで1升瓶で買って飲んでいるのでわかる。
思わずピチャッと音を立ててしまったり・・・
すいませんね、根っからの酒飲みなんで。
汽車旅は酒が飲めるのが良い。
車じゃこうはいかない。
バスの車内ではさすがにやりかねる。
国道のトラックと並走。こちらの方が若干速かった。
お酒を1本空けたら12:10、石狩月形着。
ここで11分停車。浦臼行5427Dと交換になる。
新十津川での折り返し時間が10分間とあわただしいのは、次の下り列車が来る前に石狩月形まで戻る必要があるため。
石狩月形〜新十津川間は線路が1本しかないため、この区間は1列車しか入線できないことになっている。
再び石狩月形へ。
改札案内と助役さん。
浦臼行5427Dの2両編成が入って来る。
石狩月形で交換。
浦臼行5427Dも2両編成だった。
今日はどの列車も増結をしている。新十津川のイベントのためか休日は乗客が増えるのでいつも増結しているのかはわからない。
浦臼行も結構乗っているようだった。
札幌から近いということと、『1日散歩きっぷ』が使えるので、休日はどの列車も混んでいそうだ。
1日散歩が使えなくなる冬は少し落ち着くのだろうか。
臨気9522Dの運転士時刻表。
石狩月形で乗客が若干入れ替わったくらいで、新十津川発と同じような乗車率のまま発車する。
ここからは車窓よりも車内の内装を眺めながら過ごした。
車内あちこちに残るキハ400時代の面影に、急行『宗谷』や『サロベツ』を思い出していた。
最高速度の65km/hを指した速度計。
助手席は急行時代は開放され、補助席と化していたのを思い出す。
ぼーっとしていたら、いつしか北海道医療大学も通過して石狩当別に着くところだった。
石狩月形〜石狩当別間は23分。いやあ早い。
石狩当別に到着。
石狩当別着は12:44。
札沼線での快速運転も初めてならば、この区間で2両編成に乗るのも初めて。
キハ40 330番台がまだ走っていたとも思わなかった。
たった1日だけ運転の名の無き臨時列車は、なかなかショッキングな列車でもあった。
廃止日が近くなれば新十津川への臨時列車も運転されるだろうし、その時にはまたこのスジが使われるのかもしれない。
そうなれば休日など結構な混雑になりそうだ。
ところで、今石狩当別に着いた2両の臨時列車はこの後どうなるのかというと、今度は『ボランティアセンターまつり特別貸切列車つきがた号』として新十津川までもう1往復することになる。
私は12:49発札幌行普通列車で帰ります。
石狩当別駅の1番ホームに入ってきたのは731系電車の6両。
てっきりエアポート編成だとばかり思いこんで、uシートでゆったりと帰れる気でいたので、この電車で40分以上過ごすのかと思ったら今からうんざりした。
ていうか、学園都市線で日中の731系というのもあんまり見ない気がする。
石狩当別からは北海道医療大学始発の731系電車。
札幌に戻ってきた。
臨時列車に石狩月形からたくさん乗ってきた団体さんは何だったのだろうと帰ってから調べたら、道新の電子版にその記事を見つけた。
〜以下 どうしん電子版10/10 18:12 更新より引用
”
廃止される新十津川駅12日から記念祭 臨時列車も運行
来年5月に廃止されるJR札沼線の終着・新十津川駅(空知管内新十津川町)で12、13の両日、開駅88周年記念祭(町など主催)が開かれる。12日は臨時列車を運行、札幌方面からの乗客がイベントを楽しめるようにする。“
臨時列車で新十津川に行ってもこれが最終列車だから、帰りは滝川経由でないと帰ってこれないね。
ていうか石狩月形駅に掲示の『月形町社会福祉協議会ボランティアセンターまつり』は直接関係ないじゃないか。
で、石狩月形からの団体さんは、新十津川町による企画・募集によるものだとわかった。
臨時列車運転により、新十津川から石狩月形まで往復できるからということ。
今日の臨時列車のスジは、普段は団体貸切列車用だということもわかった。
11月に札沼線で運行される山紫水明号も今日と同じ時刻に運転されるのだろう。
お酒と購入したきっぷ。
告知が2日前といい、なんだかよくわからない臨時列車だった。
なぜ札幌始発ではなく石狩当別始発になったのかというと、電化区間での気動車の営業運転はできないらしい。(石狩月形駅の助役さん談)
〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。