2021年の7月10日土曜日は何の日かわかりますか?
それは新型コロナのため運休となっていたJR北海道の観光列車が運行再開となる日なのでした。
本州の方じゃ梅雨時で、今年も大変な豪雨と報じられていますが北海道はいたって平和。
ありがたいことに毎日好天が続いております。
そんな週末の土曜日、『一日散歩きっぷ』を購入して日帰りの旅に出ることにしました。
今日の目的は、運行を開始した『富良野・美瑛ノロッコ』号に乗ることと、2016年に台風で被災して以来列車代行バスによる運行が続いている東鹿越〜新得間の代行バスに乗ることとしました。
◆ 札幌 7:00 → 滝川 8:36【2125M】
ということで、札幌駅7:00発の滝川行き普通列車2125Mに乗車する。
車両は転換クロスシート721系3両編成。
これがオールロングシートの731とか733だったらがっかりするところだが、ひとまず幸先の良いスタート。
札幌発車時は空席が多かったが、意外と途中で乗ってくる人が多く、厚別まで来ると席は結構埋まった。
通勤・通学らしき人も多いが、行楽へとかって格好の人も多い。
岩見沢で半分くらいの人が下車して、車内はまた空席だらけになった。
札幌から721系電車に乗って滝川着。
8:36、終点滝川着。
とりあえず改札を出るが、待合室に売店もなければ近くにコンビニすらない。
駅前にあったスマイルビルは、2021年3月31日をもって完全閉店との張り紙があった。
ちょっと一回りしただけでまた駅に戻る。
1番線には1両のキハ40が停車している。あれが次の富良野行きになるのではと勝手に想像してまたホームへ戻った。
滝川駅で先に行くフラノラベンダーエクスプレス。
8:55、今日から運行を開始した『フラノラベンダーエクスプレス』が到着。
ラベンダー編成の5両編成。
1番ホームからだが、見ていると車内は結構な乗車率だ。でも自由席の方はがら空き。
きっとツアー客が多かったんだろう。
そのつぎは札幌行きカムイ12号が入って来る。
ホームにいて列車を眺めていた方が楽しい。
勝手に富良野行きになると思い込んでいた1番線の列車は、汽笛を鳴らして発車してしまった。
もう行くところもないので、1番ホームの『富良野方面乗車口』の看板の横で『ライラック旭山動物園号』の撮影をしていたら、気づくと後ろに10人くらいの行列ができていた。
もう1つの乗車口も行列となった。
◆ 滝川 9:42 → 富良野 10:48【2475D】
9:36になってようやく列車が入ってきた。
さっき停車していた車両とは別の車両だが、キハ40単行なのは変わらない。
滝川から根室本線の2475Dに乗る。
ドアが開いて車内へ入る。
私は別にボックスシートに執着心はないが、せっかくの1番乗りなので左側のボックス席に座らせてもらう。
滝川から富良野・東鹿越方面行の列車に乗るときは進行左側がおすすめです。
これは過去にこれでもかってほど乗ったことがあるから知っているのだった。
20数人の乗客を乗せて富良野行き2475Dは滝川を発車した。
複線電化の函館本線としばらく並行し、だんだん分かれて行くのだが、根室本線の別れ方は他所とは違って堂々としている。
それは、1981年の石勝線開業までは、滝川経由のこちらがメインルートだったことを思わせる。
特急『おおぞら』や急行『狩勝』といった優等列車が堂々と走っていた時代があった。
いや鉄道だけではなく、国道も274号線石勝樹海ロードが開通するまでは滝川から国道38号線経由がメインルートだった。
滝川から空知川の谷をさかのぼって狩勝峠を越えるルートはすっかり裏街道となって久しい。
札幌から富良野や芦別へ行くにも三笠経由が近道だ。
木造駅舎の芦別駅。縦長の駅名標が変。
ところで、根室本線に入ってから駅名標になにか違和感を感じていた。
縦型ホーロー製の、紺地に白抜き平仮名で駅名を表示しているやつ。
何だか思い出せないまま終点の富良野に着いた。
10:48着。
札幌から富良野まで普通列車を乗り継いで4時間近くかかったことになる。
富良野駅に到着。
次は富良野・美瑛ノロッコ号だが、それまで1時間以上時間がある。
駅前はというと、ここも何もない。
待合室にキヨスクがあって駅弁を置いていた記憶があるが、キヨスク自体が数年前に閉店している。
当てにしていた立ち食いそば屋は、
『新型コロナの影響により当面の間休業』の張り紙がしてあった。
駅前広場は人がほとんどいない。
フラノラベンダーエクスプレスで着いた人たちはバスに乗り換えて観光に行ったようだ。
時間はたっぷりあるので駅前の通りを歩いてフラノマルシェへ行ってみる。
駅前とは対照的に賑わっているフラノマルシェ。
フラノマルシェに着くと駅前とは対照的に賑わっていた。
土産物屋を覗くと、男山富良野ラベンダーカップを見つけたので2本買う。
これは呑み鉄用にしよう。
あとは持ち歩けるような食べ物は見つからなかった。
ここで土産物や野菜を買って持ち歩くのも嫌だしなあ。
まあ何とかなるべと、また駅に戻る。
◆ 11:53 → 12:50【富良野・美瑛ノロッコ2号】
駅はJRの関係者や観光協会の人たちが大勢いた。
そろそろ旭川から来る富良野・美瑛ノロッコ号の1番列車が着く頃か。
旭川発の富良野・美瑛ノロッコ1号が到着。
旭川からのノロッコ号が到着すると、折り返し美瑛行きノロッコ号の改札となった。
ホームは『へそ丸』と観光協会の人によるおもてなし、それにノロッコ号の乗客で大賑わい。
自由席はまだ空席があったので、撮影は後にして先に乗って席を取ってしまおう。
車内中央にはなぜかダルマストーブが鎮座する。
自由席1号車はダルマストーブの前の席だけが空いていた。
発車時刻が近くなるにつれて自由席に続々と客が乗ってきた。
ソーシャルディスタンスなのか相席をしたがらない人が多く、通路に立ち客が並ぶ状態。
富良野始発時は立ち客が出るほどの混雑だった。
へそ丸の見送りで富良野駅を発車。
席は空いているが大混雑という状態で富良野を発車する。
こんな状態で美瑛までの1時間を過ごすのは嫌だな。
予定を変更して中富良野駅かラベンダー畑駅で降りて、先にラベンダー畑観光をするか。
と思っていたら、次の中富良野で席を立つ人が多かった。
窓向きの席が空いたので、私もそちらに席を移した。
席が空いたのに立ったままな人も多いのはどうしてだろ。
臨時駅のラベンダー畑駅。
その理由は次のラベンダー畑駅でみんな降りたから。
次で降りるから座ってもしょうがない。
ここでほぼ全員が降りた。
そりゃそうだよね。
ラベンダー観光のための列車だからね。
ここはファーム富田の最寄り駅。
ここから乗ってくる人もいたが、あとは美瑛までゆったりと乗車を楽しめた。
ラベンダー畑駅で乗客のほとんどが入れ替わる。
ノロッコ号とは名乗るが、その実は結構速い。区間によっては80km/hくらいは出しているようだ。
外から入って来る風と、車内外に響き渡るレールのジョイントを刻む音が心地よい。
そんなやかましい車内なので、車内放送のボリュームもでかい。
それも発車するごとに車内の案内から長々と始まるのと、日本語、英語、中国語と律儀に3つ流すのはどうかと思う。
特に毎回脳天に響くようなキンキン声には参る。
中国語の放送をするなとは言わないが、せめて男声にしてくれよ。
撮り鉄さんをあちこちで見かけた。
美馬牛のあたりで車掌による美瑛の名所案内。
ジェットコースターの道とか色彩の丘など。
美馬牛駅から歩いて行けそうだが2〜3時間コースだろうな。
天気が良くて涼しい日なら気持ちが良いかも。
美瑛町を象徴する風景の1つ、赤い屋根のある丘が見える。
美馬牛と美瑛の間で列車は減速する。
シカかなと思ったら、また観光案内。
ここは『赤い屋根のある丘』といって、美瑛町のPRやポスターに使われた場所です。
へ〜、こんなところがあったんだね。
ここがノロッコ号で一番の見どころだろう。
あとは水田や玉ねぎ畑ばかりだったからね。
美瑛駅に到着。
12:50、美瑛駅の2番ホーム着。
美瑛で折り返す人は少ないようだ。
多くの人は改札口を出て行った。
ノロッコ号は美瑛駅2番線でこのまま折り返す。
◆ 美瑛 13:09 → ラベンダー畑 13:45【富良野・美瑛ノロッコ3号】
美瑛駅は改札を出ないで、1番ホームでノロッコ号を撮影したらまた車内に戻った。
ノロッコ号2号車の車内。
折り返しノロッコ3号の車内はがら空き。
このあと旭川発美瑛行きから乗り継いだ人たちを乗せて美瑛を発車する。
このノロッコ号は、美瑛〜富良野間に限って言えば東側の方が眺めが良い。
富良野行きだと進行左側となる。
ラベンダー畑駅に到着。
ラベンダー畑駅13:45着。
ホームの乗車口は長蛇の列ができていた。
この駅でほとんどの乗客は入れ替わるようだった。
ラベンダー畑駅はノロッコ号だけが停車する駅で、それ以外の期間は営業しない。
営業キロも持っていて臨時駅ということになっているが、全国版の時刻表では存在しないことになっている。
同じ季節営業の原生花園駅は全国版時刻表に『(臨)原生花園』として掲載されているが、どうしてなんだろう。
仮設ながら待合室とトイレもある。
駅は鉄パイプを組んだ板張りと、仮設ホームのような造り。
一応雨はしのげそうな待合室と仮設トイレも作ってある。
トイレは余程緊急でない限り使うのは勇気が要りそう。
ファーム富田前の道路は駐車待ちの渋滞。
ラベンダー畑からファーム富田までは徒歩7〜8分。
橋を渡った先の道路は渋滞していた。
駐車場は満車、駐車場待ちの車が延々とあふれているのだった。
これを見ていると、ラベンダー畑駅は通年営業にして、駅からの歩道も整備すれば富良野線も完全に観光路線になるんじゃないかと思えてくる。
あちこちにあったラベンダーソフトクリームの看板。
ファーム富田の入口にあったソフトクリーム屋でここの名物らしいラベンダーソフトクリームを買う。
カップ入りは250円、コーン入りは300円。
昔、食べたことのある人から「ラベンダーソフトってトイレの芳香剤みたい」と聞かされていたので、その先入観からやっぱりそう思ってしまった。
いや、そんなことないんだけどね。冷たくておいしいんだけどね。
先入観は恐ろしい。
ラベンダー畑からの眺め。
ラベンダー畑の斜面を登り、展望台から見下ろしているとラベンダー畑駅のホームが見えた。
そろそろノロッコ4号が来る時刻ではないか。
コンデジしか持ってきてないので上手く映るかなと思ったが、割とよく写っていた。
一眼レフだったらもっと見栄え良く写るのだろう。
しかし、沿道であれだけ見かけたカメラマンも、ここでは見かけなかった。
機関車と3両の客車を牽いたノロッコ号が行く。
ずっと歩いて行くとイートインコーナーみたいなところがあり、ここで昼食にした。
カレーやバーガーといった軽食しかやっていないが、しょうがない。
とりあえずコロッケバーガーにする。
「ドリンクはつけますか?」
と聞かれ、ビール・・・は無いようだ。
イチゴ果汁ジュースというのにする。
イートインコーナーのコロッケバーガー(680円)といちご果汁ジュース(540円)。
コロッケバーガーというのはちょっと物足りなかった。
イチゴ果汁ジュースは結構いける。
私はイチゴなど甘酸っぱい果物が大好き。
逆にメロンは甘ったるくて苦手だったりする。
イチゴも富良野の隠れた名物。
濃厚だけどイチゴの香りと甘酸っぱいさっぱりとした果汁は、イチゴ好きならば試す価値はある。
この後もまた畑をぶらぶら歩いて、気づけばそろそろ駅に向かわなければならない時刻になっていた。
ラベンダー畑駅とファーム富田を示す道しるべ。
◆ ラベンダー畑 15:44 → 富良野 16:02【富良野・美瑛ノロッコ5号】
ラベンダー畑駅に戻ると、先に着いた人たちがホームへ行くスロープの手すりにもたれかかって所在無げにしている。
ホーム入口にロープが張られて、
『ホームには、列車到着の5分前にご案内します』
と書かれた札が下がっていた。
次の列車は15:44発富良野行き。
30分過ぎくらいになると、警備の人たちがファーム富田への道路の方を見て「あと〇人」などと話し合っている。
警備の1人は様子を見に歩いて行った。
駅に向かう人たちの最後は2人連れ。
警備の人が2人連れに近づくとその人たちは小走りになった。
何に気をもんでいるかというと、それは駅横の踏切の存在。
早いときは発車時刻の5分前に踏切の警報が鳴り始めるのだとか。
富良野行きノロッコ号の場合は踏切が閉じると、列車が発車するまで開くことは無い。
そう、踏切が閉じる前にホームのあるこちら側へ来てなくてはいけないのだ。
今回は何とか無事全員踏切を渡ることができたようだ。
15:38、ホーム入場開始となる。
15:41、踏切の警報機が鳴り始める。
15:42、美瑛発富良野行ノロッコ5号到着。
15:44、ノロッコ5号発車。
ラベンダー畑駅は早く来すぎても居場所がないし、かといって発車ギリギリに着くと踏切に通せんぼされて列車に乗れないという面倒な駅なのだった。
板張りのホームに旧型電車のような顔つきのノロッコ号が到着。
乗車口の列に並んでいたら席にありついたのだろうが、最後に乗ったので相席になるしかなかった。
どうせ2駅18分だからデッキに立っていることにした。
次の中富良野で、地元の高校生3人連れが乗ってきた。
1人は定期券を持っていないようで、どこでお金を払ったらいいのかわからない様子。
1人が、
「放送で切符は車掌からお求めくださいって言ってたよ」
「車掌ってどの人?」
「あの人じゃないの?」
考えたら富良野線もワンマン化されてもう30年近く経つんだね。
それ以前は無人駅から乗ると車掌がやってきて切符を売っていた。
この子らにしてみたらワンマン列車以外の列車は知らないのだろう。
かく言う私もワンマン以外の路線バスは知らない。
富良野駅に到着。
そんなこんなでまた富良野駅に戻ってきた。
またホームであれこれ撮影していたら、午前中に思った縦長の駅名標の違和感が何なのかが分かった。
下のサッポロビールの表示がない。
その場所は上から白く塗装していて、よく見るとサッポロビールの文字が浮き出ていた。
でもどうして根室本線の駅だけなんだろう。
その謎はググったらすぐにわかりました。
1つはサッポロビールとの駅名標広告の終了。
もう1つは、2022年から縦長の駅名標は主要路線や主要駅は新デザインに移行することが決定しており、移行しない駅は広告部分だけ白く塗りつぶす作業が順次行われているということだった。
札幌行き臨時特急ラベンダーエクスプレス。
賑やかな札幌行きラベンダーエクスプレスを尻目に、今度は東鹿越行き普通列車と列車代行バスで新得に向かいます。
〜2へ続く