おはようございます。
5月6日金曜日、飛び石ゴールデンウィーク中の平日です。
時刻は朝6時30分過ぎ。窓の外はすっかり明るくなっている。
静かなので駅に停車中のようだ。
〜1往復時代の上野発北斗星ならば函館駅停車中。
機関車付け替え作業のため8分停車。ホーム先端はその作業を見ようと人だかりができているだろう。
食堂車はそろそろモーニングタイムの営業が始まったころ。
・・・てなわけはなく、ここは動かない北斗星寝台車。
◆ 意外と歴史のある茂辺地を散歩
表にあるトイレに行くついでに天気がいいので散歩してくることに。
昨日の夕方は逆光になるので撮らなかったが、朝は順光となるので裏側を撮影する。
こちら側には、車両を宿泊施設とするために必要な配管やケーブルがむき出しになっている。
いわば北斗星を演出するための舞台裏。
乗降扉から出入りするウッドデッキが設けられている。
今回は出入りできないようになっていたが、こうして見ると仮乗降場のホームのようだ。
駅名標を立てたりして、ホームのように飾り付けしてみたら面白いだろうと思う。
ウッドデッキのホームと配管がむき出しになった北斗星の裏側。
矢不来天満宮でお参りしようと、北斗星車両裏手から茂辺地川の土手を歩いて行く。
橋を渡ると福山街道と呼ばれた国道228号線の旧道。
いかにも旧道らしい砂利道だった。
裏手を登る砂利道は福山街道と呼ばれた旧国道228号。
坂道を登りながら、茂りかけた林の隙間からブルーの車体が見える。
2両しかない車両も、ここから見ると長い編成の一部のようだった。
福山街道から見た北斗星。交換待ちで停車中のようにも見える。
矢不来天満宮は、天満宮の名の通り天神様(菅原道真公)をお祭りする神社。
長禄年間(1457〜1460年)に、住んでいたアイヌの人々が海岸に流れ着いた天神像を拾い上げて祭ったのが始まりとされる。
この場所はさらに前、1443年に津軽十三湊城主・安東氏が館を造り、アイヌと和人の交易を行った場所。
道南12館と呼ばれる館のひとつで、あたり一帯は茂別館跡として国指定史跡となっている。
全蝦夷地を支配する松前藩が成立したのが1604年だが、その100年以上前からこの辺りは和人豪族の支配下に置かれていた。
この津軽海峡に面した地方は日本人の支配地となって半世紀以上。
良くも悪くも紛れもなく、中世からの日本歴史の一部分でもある。
八重桜が満開だった矢不来天満宮。
天満宮の参道入口向かいに階段があって、下ると北斗星の裏手にある小橋に出た。
今度は茂辺地の町を通って国道を渡って浜へ行ってみる。
波はほとんど無く穏やかな海面。
函館山のシルエットが見えているが、春らしい靄(もや)がかった空。
今日は気温が上がりそうだなと思える空でもあった。
穏やかな函館湾と、ぽっかり浮かんだような函館山。
宿に戻りかけたら、7時26分発木古内行きが来る頃なので、撮影しようと茂辺地駅に行く。
入って来た列車は朱色の1両。
同じ時間帯の列車は、90年代に乗ったときは、3両編成だった記憶がある。
木古内の高校も閉校となって久しい。
しかし、通学生がいないのでがら空きだと思っていた車内は意外と混んでいた。
朱色の木古内行き120Dが到着。
木古内行き120Dからは、ジャージ姿の中学生らしい数人がぞろぞろと出てきた。
代わって、どこへ通学しているのかランドセルを背負った小学生が2人乗り込む。
朝イチの上り列車は、意外な通学需要があるのだった。
次の列車は7時40分発函館行き。
こちらは通勤列車。発車時刻が近づくと1人2人とホームに集まって来る。
国道を走るバスもあるが、あちらは本数も少なく時間もかかるため、この辺りの人にとっては道南いさりび鉄道が一番便利な交通機関なのだろう。
ながまれ号の函館行き123D。こちらは朝のラッシュ。
上下2本の列車を見送ると、次は9時40分発まで空白となる。
私は次の列車で出発することにしている。また宿の北斗星に戻る。
ウッドデッキから広場を見る。
北斗星広場にはトレーラーハウスが2台あって、こちらに宿泊するプランもある。
楽天トラベルにある説明書きには “お部屋から北斗星が望めます” とあるが、大きなガラス窓は広場からも室内が丸見え。
懐かしい寝台車に泊まれるからこその宿なので、こちらの価値は微妙なところ。
昨夜は2室とも空室のままだった。
ただ、完全個室のためプライバシーの確保と、バス・トイレ付なので北斗星B寝台よりも居住性は高い。
2ルームあるトレーラーハウス。単に居住性ではこちらの方が良さそう。
出入りはまた貫通扉から。
昨日スタッフがいた時間は開け放たれていたが、いない時間は施錠され、渡されたキーで開け閉めすることになる。
車内へは貫通扉のカギを開け閉めして出入りする。
昨夜はお酒を飲んでそのまま寝てしまったが、シャワールームがあるので、せっかくだから浴びてくることにした。
2室あったシャワールームは今は1室しか使われていない。
シャワー室は無料で使える。
予約制ではなく、客同士で譲り合って使う恰好。ドア横に会議室にあるようなスライド式表示板があって、シャワーを使用するときは『空室』から『使用中』にしておく。
現役時代は食堂車でシャワーカードの購入と時間の予約をして、1回の利用時間は30分、お湯は6分間使えるというものだった。
デジタル表示のタイマーがあって、お湯を出している間だけタイマーの時間が減って行く仕組み。
時間の残り具合を気にして、シャワーのお湯を出したり止めたりしながら体を洗ったのも懐かしい思い出。
現役時代そのままのシャワールーム。
北斗星スクエアのシャワーはそんな時間制限はなく使えるのでご心配なく。
ただ、使用中はシャワーの音が隣のロビーまで聞こえるのが難点。
基本客車は振動や騒音が絶え間ない走行中を想定して作られているため、居住区ごとの防音など全く考慮されていないからだ。
だから現役時代は気にもならなかった音が、停止中の静寂の中では思いもよらぬ音となって車内に響くことになる。
洗面台が全員で共用のが1台だけといい、シャワーといい、あまり女性におすすめできる宿ではないようだ。
まあでも、当時のまま保存された懐かしの寝台車を疑似体験するものと割り切れば苦にならないかも。
こういった不便さも、寝台車当時と一緒なのだっだ。
◆ 北斗星スクエアを後に
北斗星スクエアにある7室は満室だった様子。
うち2組は車で来ていて。私を含め5組は列車利用だった。
男ばかりかと思っていたが、女性客も1組いた。
他の列車組は6時台と7時台の列車で発っていったので、残るは私と車組だけとなる。
また個室に居を移して『ソロ』当時を思い出したり、車内をあれこれ撮影しているうちにあっという間に時間が経って行った。
9時20分過ぎ、そろそろ出発しなければならない。
一応チェックアウトは10時までだけど、私は9時40分発の列車で茂辺地を発ちます。
無人のフロント小屋にあるロッカーにキーを納めればチェックアウト完了。
北斗星スクエアを聞いたとき、これは面白い宿泊施設ができたものだと思った。
実際泊まってみたら、期待以上に面白かった。
懐かしい寝台車にまた1晩乗ってみたい人でも、過去のものになった寝台車にいっぺん乗ってみたいという人もこれなら満足できるだろう。
寝台車当時の不便さもそのままとなっているが、そこはアバタもエクボ。
他人同士で乗り合わせて、寝台以外は全て共用して1晩過ごしていた寝台車を体験できる貴重な宿ということで・・・
また寝台車に乗りたくなったらここに泊ろう。
今度は車で行くかな。
どこかで北斗星時代の走行音を仕入れて、ヘッドホンで聞きながら過ごせばもっとリアルに過ごせるかも。
ただ懸念もあって、基本的に野ざらしなのと、津軽海峡からの潮風と夏冬の寒暖差で近い将来に車体がまた傷んでくるに違いない。
車内の内装にしても長い時間が経てば老朽化したり破損したりするし、そうなっても交換する部品もない。
あれこれ修復したり交換されたりするうちに、次第に往時の北斗星からは似て非なるものになってゆくのだろうか。
そんなことを考えながら茂辺地駅へ。
◆ 茂辺地 9:40【122D】10:08 木古内
茂辺地駅に近づくと、中をほうきで掃いている人の姿があった。
こんな無人駅でも、駅の管理を委託されている人がいて、掃除に来ているわけだ。
駅舎の中に入ると、待合室と仕切るドアが開いていて、カウンターに『キップ売場』と張り紙がしてある。
思わず中の人に、
「切符売ってるんですか?」と聞くと
「ええ売ってますよ、ここ切符売り場ですから」と返って来た。
きっぷうりばが営業中だった茂辺地駅の駅舎内。
今までに車でこの駅に来たことはあったが、こんな窓口があったとは知らなかった。
これから乗る道南いさりび鉄道の乗車券は『いさりび1日きっぷ』をスマホ決済で買ってあるのだが、せっかくなので記念に1枚買い求める。
上磯まで310円だった。
道南いさりび鉄道の乗車券といえば券売機でしか売っていないと思っていたので珍しいなこれは。
記念に買った茂辺地から上磯行きの乗車券。
函館から来た木古内行きはまたも1両編成。また『ながまれ号』だった。
この鉄道の看板車両でもあるので当たれば嬉しいが、乗ってしまえば他の車両と変わるものではない。
これも午前中の木古内行きとなればがら空きと読んでいたが、意外と多くの乗客の姿が見えた。
列車のドアが開くと、これも以外にも下車客が何人かあった。
乗車したのは私1人。今降りた客が座っていたらしいボックスが1つ空いていたのでそこに座る。
ながまれ号の木古内行き122D。
向かいのホームには茂辺地で交換する函館行きの朱色車両が入って来た。
あちらは地元客らしい3人を乗せて発車する。
こちらとは対照的に、向こうはがら空きだった。
結構乗客がある木古内行き車内。
次の渡島当別駅はトラピスト修道院の最寄り駅なので、それらしい観光客が何人か下車する。
車内の乗客もかばんを持った旅行者っぽい人が多い。
木古内からの折り返しもこんな感じなのかな。
一方、オタっぽい人は私だけ(?)のようだった。
多数のポイントが主要駅であるかのような木古内駅。
木古内駅到着。
今年の1月に来たときは、4か月後にまた来るとは思わなかった。
木古内駅で1時間8分の折り返し休憩。
それもこれも、700円の『いさりび1日きっぷ』のおかげだろう。
五稜郭〜木古内間の片道運賃980円よりこっちの方が安いのだから。
しかもスマホがあればどこでも購入できる手軽さ。
これなら列車に乗ってちょっと木古内に行ってくるわって気になるというものだ。
DohNa!!で買ってスマホで表示する『いさりび1日きっぷ』。
木古内に着いた122Dは木古内で1時間8分停車したあと127Dとして折り返す。
その間はどこか木古内見物をと言うところだが、今年に入ってからプライベートでは2回目、仕事でも2回来ているので今さら行きたいところも無かった。
駅前通りをまっすぐ歩いて行けば浜に出る。
晴れていればここから津軽半島の山々が見えるはずなのだが、もやがかった空ではその姿は見えなかった。
また歩いて駅に戻る。
新幹線木古内駅は道南いさりび鉄道の駅舎の陰になる。
駅前に戻ると、新幹線のホームから案内放送が聞こえてくる。
もしかしたら新幹線が見られるかも。
橋上駅の通路を上り下りして新幹線の木古内駅に向かった。
ちょうど10時36分発新函館北斗行き『はやぶさ203号』の表示があった。
窓口で入場券を買うと、妙に細長い『北の大地の入場券』を出してきた。
ホームに上がると、先頭の方には小さい子供を連れた家族連れらしい1組の姿が。
乗客ではなく、入場券での見物人のようだ。
新函館北斗駅でもこうした見物人をよく見かけるが、やはり新幹線は子供にとっては憧れだろう。
木古内駅にはやぶさ203号が到着。
はやぶさ号は滑るように入線。
これに乗って新函館北斗まで戻りたいが、6日間パスは新幹線は対象外。乗車券としての効力も無いのは残念。
窓から車内を見ると、車内は案の定ガラガラ。
ドアが開いて下車したのはスーツケースを引いた女性客が1人だけだった。
列車が発車すると、見物の家族連れも引き上げてホームは誰もいなくなる。
せっかく入場券を買って入ったのだから、反対側のホームにも行ってみた。
ここから見る木古内駅停車中の眺めは新幹線ホームに立ち入れる客の特権だ。
新幹線12番線ホームから道南いさりび鉄道を見下ろす。
またエスカレーターで登って通路を歩いて階段を下ってと、町から新幹線駅への行き来が面倒だ。
在来線の駅が地平で、新幹線が高架なのでこうなってしまった。
新札幌駅のようにホームが3階でコンコースが2階とするか、新函館北斗駅のように新幹線も地上とするとこんな面倒は無くなるのだが、3階建て高架とすると建設費が高くなるし、まさか町中で地上を走行と言うわけにもいかず、どうしてもこうなってしまう。
地上の在来線に高架の新幹線駅が併設される駅の宿命みたいなものだ。
倶知安駅みたいに、在来線は新幹線の開業を待たずして廃止にし、駅施設は早々に撤去して駅前広場としたいという意見が出るのも、まあ無理も無かろう。
今度は駅前ロータリーを隔てた向かいにある道の駅『みそぎの郷きこない』に行ってみる。
駅の閑散ぶりとは対照的に、こちらは多くの客で賑わっていた。
駅とは対照的に賑わう道の駅 みそぎの郷きこない。
道の駅といってもピンからキリまであるが、ここ木古内はオープン時から人気スポットとなっている。
GWだからか、外には食べ物の露店もでていて、まるでお祭りのようだった。
本来ならば国道やバイパス沿いに出来ることが多い道の駅だが、木古内のは駅前に持ってきたというのが道南いさりび鉄道にとって良かったことだろう。
駅前に何かしらの観光施設があれば、列車で行ってみようという気になるものだ。
さらに片道より安い『いさりび1日きっぷ』の存在。
道の駅側からすれば鉄道利用の来客数など知れたものだが、鉄道側から見れば大きな数字だ。
この数字こそが実績だからね。
鉄道駅の近くに集客施設を作ることは、鉄道と駅を育てることにもなる。
ただもう一歩進めて、木古内駅に併設という恰好だったらさらにベストだった。
稚内駅みたいに。
木古内駅から道の駅に行く人は多いが、道の駅に車で来た人が木古内駅に行くことはまずない。
駅前ロータリーの反対側じゃ、駅の存在すら気づかない人も多いだろうし。
せっかく『ながまれ号』が停車中なのに、スマホすら向ける人がいないのは残念だ。
もし駅に併設だったら案内表示に『新幹線』の文字を見て、ちょっと新幹線を見てこようかという人が出てきて入場券の売上げも増えたかも知れない。
何より車からでも鉄道が身近に見られれば、町の人のマイレール意識もだいぶ違ってくるだろう。
この時期の名物は、木古内札苅産の行者にんにく。
土産物屋で行者にんにくを見つけたので2束買って駅に戻る。
◆ 木古内 11:16【125D】函館 12:14
列車のドアは開いていて、乗車できるようになっていた。
行きの列車が混んでいたので、多くの人たちはこの列車で折り返すものと思っていたが、予想に反してこちらはガラガラだった。
ガラガラだった折り返し函館行き127Dの車内。
今度は海側の席。
車内は暑いくらい。窓を開けて津軽海峡の景色を楽しむ。
こんな窓からの風を顔に受けて列車に乗るなんてのも、確実に過去のものとなるのだろうな。
そう、夜行列車や寝台車がそうなったように。
寝台車は動かなくてもそれらしい気分にはなるが、こればっかりは走っていなければどうしようもないね。
このキハ40形はデクモことH100形の導入で次々と廃車となっているらしいが、今のところキハ40形の保存の話は聞かない。
自治体や公的機関は鉄道遺産とも言うべき国鉄型車両の保存に興味は無いようだ。
車両だけではない。
鉄道廃止には反対するくせに、いざ廃止となると駅跡など保存する気もなく、負の遺産とばかりにモニュメントだけ残して一掃してしまうところが多いのは残念なところ。
北斗星車両だけでなく、このキハ40形も最後の最後になって、どこかの民間団体による車両購入・保存が決まるのだろう。
函館山とベタ凪の函館湾。
上磯からは地元の利用客が停車駅ごとに数人ずつ乗ってくるようになった。
ボックス席の相席を嫌ってロングシートに座る人やデッキに立つ人が多いので乗車人数以上に混んだ車内に見える。
地方都市の昼の列車としてはまずまずの乗車率となって五稜郭へ。
五稜郭では半分くらいの人が下車する。
余計なことだけど、ここで降りる人は一体どこへ行くんだろうと思う。
駅前はゴーストタウンみたいなことになっているが、駅裏に市立病院やショッピングセンターがあるのでそこへ行くのか、バスに乗り換えて五稜郭(市電の五稜郭公園前の方)へ行くのか。
ここから先へ行くとJR区間になるので運賃が跳ね上がることもあるのかも知れない。
五稜郭に到着。隣は『はこだてライナー』
隣は新函館北斗行き『はこだてライナー』が到着。
GWらしく、車内の座席はそこそこふさがるほどの乗車率だった。やはり観光客風の人が多い。
五稜郭から乗ってくる人もいて、ここからはJRの近郊列車としての役割も加わる。
◆ 函館13:31【北斗13号】札幌 17:30
今日は平日なので『はまなす編成』の『北斗91号』の運転は無し。
次の『北斗13号』で札幌に帰る。
いい天気だし、せっかくプライベートで函館に来たんだからもうちょっとどこかへ行きたいところだが、えきねっとで見たら、この次の『北斗15号』だと指定席は混んでいるようだ。
函館は公私ともにまた来るだろうから今回は帰ることにする。
6日間パス所持者は駅の四季彩館で買い物すると10%引きになる特典があるので、四季彩館であれこれ物色する。
他人に渡すような土産物は無いので、自分用にということになる。
こういう時になると、大して欲しいものも無くなるもので、結局うちに帰って食べる用の塩辛とトラピストバターにした。
あと、車内で飲む用の大沼ビールと青函トンネルで熟成したという『青函トンネル熟成 年輪』というワインを買った。
駅弁は、みかどの売店で鰊みがき弁当。
これらすべて6日間パスの特典で10%引き。
特典は使えるうちにどんどん使うべし。
改札口上の発車案内には、北斗13号は12時50分から乗車できますというような表示が流れていた。
発車40分も前から乗車できるとはサービスがいいと言うべきか、のんびりしていると言うべきか・・・
最近は特急といえども、終着駅では折り返しの清掃もままならないほど短い時間で折り返す列車が多くなったが、ここ函館駅はなかなか感心する。
腐っても鯛というか、北海道の玄関口の地位は新函館北斗駅に譲ったとはいえ、まだまだ旧玄関口の貫禄は衰えない。
せっかく旅に出るのに、発車ぎりぎりまで入線しないし、乗ってから慌ただしくわからないうちに発車していたなんて、ちょっと残念だからね。
だからといって発車40分前にやって来る人もそういないだろう。
もうほかに行くところもないので、車内にいようと乗ってみたが、乗客は誰もいなかった。
席に荷物だけおいて、先頭車両の撮影に行く。
普段は5両編成だが、今日は3両増結して堂々の8両編成。久々に見る特急らしい編成となった。
堂々8両編成の261系『北斗13号』。
周りに誰もいないので、こういう時に駅弁を食べてしまおう。
発車して走行風景を眺めながら・・・と思うでしょうが、北斗は函館を発車すると五稜郭、新函館北斗と停車駅が続いてそのたびに通路や周りの席がざわつくので、あずましくないことこの上ない。
だから今のうちに食べてしまおうというわけだ。
それに人がいるとお酒も飲みにくい。
鰊みがき弁当と大沼ビール。
鰊みがき弁当は柔らかく炊いた身欠きにしんと数の子が白飯に乗ったシンプルな弁当。
函館駅弁といえばやはりこれが一番。
最近は札幌駅の四季彩館にも置くようになったけど、ちょっと行きすぎのような気もする。
ビールは大沼ビールの『インディア・ペール・エール』。
ホップが効いた苦みとアルコールが高めのビールはなぜか味の濃いにしんと妙に合う。
流れる車窓こそないけれど、おかげでゆっくりと食事することができた。
発車20分前くらいになると、次々と乗客が現われた。
函館を発車するとすぐに五稜郭。やはり駅弁はさっき食べておいて正解だった。
その次の新函館北斗では、新幹線からの乗り継ぎ客が乗ってきて、空いていた列もほとんどふさがったようだ。
発車してしばらくのトンネルを抜けると、左側に水を湛えた小沼、その後方に駒ヶ岳という美しい風景が広がる。
鉄路で北海道へ来たら誰でも最初に見る車窓風景。
青函連絡船時代も、海峡線時代も、今の新幹線時代でもそれは同じ。
だけど9年後に予定されている北海道新幹線札幌延伸開業後は、この車窓風景も過去のものとなる。
現在建設中の新幹線は大沼公園を通らず、新函館北斗からはトンネル区間をひたすら北上する。
北海道新幹線の並行在来線とされるこの区間は、新幹線開業と同時にJR北海道から切り離され、第三セクターによる存続か廃線してバス転換かの選択することになっている。
今のところ廃止とも存続とも結論は出ていないが、ここを通る旅客列車が残る可能性は低い。
進行左側に見える小沼と駒ヶ岳。
左側席で眺めがいいのは、ここ大沼駅の手前と、あとは有珠山や樽前山が見える区間くらい。
だんだん退屈してくる。
そんなころに車内販売が来ればお酒でも買うところだが、車内販売も過去のものとなった。
そこでワインを出す。
青函トンネル内にある海面下283mの『青函トンネル蔵置所』で1年間熟成させたワインの味はいかに。
青函トンネル熟成 年輪(赤)。
私はワインの味はわからないが、熟成した大人の味ということはわかる。
甘みが抜けた濃い味わいにチェダーチーズなどが合いそう。
退屈な午後の特急車内の呑み鉄にはぜひおすすめです。
あとはウトウト眠ったり起きて車窓を眺めたりしていると、まもなく終点札幌に到着の頃だった。
長かった道内鉄道旅行も終わりが近い。
品目 | 場所 | 金額(円) | 備考 |
いさりび1日パス | スマホ | 700 | クレジット決済 |
道南いさりび鉄道乗車券 | 茂辺地駅 | 310 | |
行者にんにく2束 | 木古内 | 560 | |
お酒 | 四季彩館函館店 | 995 | パス特典10%引 |
お土産 | 〃 | 1,623 | パス特典10%引 |
鰊みがき弁当 | 函館駅 | 900 | パス特典10%引 |
5/6 合計 | 5,088 |
◆ 最後に
以上、北から南まで道内を鉄道で駆け巡った6日間パスの旅行記でした。
この6日間で体験したこと、思ったことをつらつらと書かせていただきました。
どこへ行っても混んでいるゴールデンウィークの旅行なんて、と思っていましたが、実際出かけてみると思いがけない再発見があるものだと思えた旅行でした。
ときに批判の文章ともなりましたが、悪口というより北海道が好きな故に、あるいは同じ北海道人として意見すべきと思ってのことで綴らせていただきました。
悪しからずご容赦願います。
最後に今回の旅行の決算を上げておきます。
北海道旅行を計画されている方がいましたら、費用の参考としていただければ幸いです。
費目 | 金額(円) | 備考 |
HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス | 12,000 | |
宿泊費3泊 | 23,350 | |
交通費 | 1,740 | |
食費 | 11,046 | クーポンと特典割引後 |
土産物 | 1,993 | クーポンと特典割引後 |
その他経費 | 510 | |
合 計 | 50,639 |
〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。