2020年 日帰り旭川・男山酒蔵開放旅行記

2月9日(日)は旭川に行ってまいりました。
毎年恒例の男山第42回酒蔵開放であります。

この日は道内は今年一番の冷え込みとなって、旭川では午前7時の気温が−25.5度を記録したようである。

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 旭川は午前7時現在−25.5℃。

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 −10℃を示す札幌駅のデジタル温度計。

札幌もこの日は冷え込んで、最低気温は午前3時に−14度を記録したようである。
札幌駅にある壁面の温度計は、7時40分でも−10度を差していた。さすがに札幌でも「今朝は凍(しば)れたねえ」と口から出るほどだ。

まずは旭川へ。
今日は車ではなく、特急ライラック号の客となる。
切符は券売機で買ったSきっぷ。特急自由席の往復割引きっぷで、値段は5,550円
去年同じく買ったときは5,080円だったから随分と値上がりした。

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 6番線のスーパーとかち1号と7番線のライラック3号。

考えたらJRの特急に乗るのは、去年の男山酒蔵開放に行ったとき以来だ。
鉄道ファンとしては全く情けない限りだが、夜行列車が無くなってしまってからは、鉄道ってとても使いにくい交通機関になってしまったのは否めない。

まあ、それはともかく、せっかく久しぶりに特急に乗ったのだから、旭川までの1時間25分は楽しませてもらおう。

ライラックは6両編成だが、今は雪まつり開催中。冬の観光シーズンである。自由席は意外と席がふさがっていた。一番空いていた5号車に乗った。

発車前だが「茶志内駅のポイントが切替えができないため、茶志内駅ではいったん停車します、旭川着は遅れる見込みです」との放送があった。
んもー、しっかりしてくれよ。

それまでには直るかもしれないし、札幌駅は順調に発車する。

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 券売機で買った往復のSきっぷ。

スマホのアプリで速度を計ってみると最高が120km/h止まり。
かつては130km/hで走って、札幌〜旭川間を1時間20分で結んでいた。あの韋駄天ぶりは復活しないのだろうか。

岩見沢8時14分、今冬は全道的に雪が少なくて暖冬なのだが、岩見沢も雪が少ない。いつもの半分くらいしか積もっていないんじゃないかという印象だった。

札幌も1月中までは少なかったのだが、2月に入ってからドカ雪が続き、平年の積雪量を追い越してしまったほどだ。
これも札幌だけで、やはり全道的に雪は少なくなっている。

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 夏は田んぼが広がるが、冬は一面雪原が広がる。

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 美唄を発車したあたりの車内の様子。

スマホで美唄市の現在の気温を見ると−19.4度。そりゃポイントも凍り付くわな。
岩見沢、美唄までは順調にきて、問題の茶志内である。

駅手前で速度を落とし、普段は普通列車の待避線として使われる4番ホームへ入線した。
しばらく停まるのかなと思っていたら、またすぐに発車する。ポイントが転換できないだけで、通過する分には問題ないようだった。

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 茶志内駅で一旦停車。

次は砂川着。
砂川では「一部閉まらないドアがあるため、車掌が対応を行います」とホームを走ってドアへ。凍り付いて閉まらなくなったんだろう。そんなことがあって、砂川発は6分遅れの8:42発となった。

スマホで砂川の気温を見るとびっくり。なんと−23.7度
そりゃドアも凍り付くわな。
こんな過酷な中、ちゃんと運行しているだけでもありがたいことだ。

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 砂川の8時40分現在の気温。

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 石狩川の川面から湯気が立ち上る。温泉ではありませんよ。

滝川8:48発、7分遅れ。気温−23.2度
深川9:02発、7分遅れ。気温−21.9度

もう7分遅れで固定となったようだ。
札幌を発車したときは薄曇り空だったのだが、空知まで来ると快晴となった。

何か外をキラキラと舞っているような気がするのだが、あれがダイヤモンドダストなのだろうか。
カメラで写せるはずもなく、120km/hですっ飛ばす特急の窓からでは確かめようがない。

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 太陽がギラギラと眩しいが、気温は−20度。

納内のからのいくつも連続するトンネルを抜けると上川盆地である。

さて、旭川の気温は ↓ ↓ ↓ ↓

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 旭川9時18分現在−20.5度。

おめでとうございますっ (T_T)
マイナス20度台確定です。

旭川着は9:22と8分遅れ。

デッキに降りる乗客が群がるがドアが開かない。どうしたのだろうと思っていると、清掃スタッフが外からドアを蹴飛ばすと開いた。凍り付いていたのだった。

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 旭川に到着。

今日はがっちり着込んできた。去年の暮れにフィンランドでオーロラ鑑賞をしたときと同じ装備である。
これに反して地元の人たちは薄着で歩いている。同じ北海道人ながら、見ている方が寒くなりそう。

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 氷の彫刻が展示されている旭川駅前。

駅前に温度計はないかと探すが見当たらない。
マイナス20度の証拠写真が欲しいのだが。

たしか緑橋通りにあったな。それを撮ってこよう。
男山の会場へのバスは4条通りのバス停から乗ることにする。

で、緑橋通りを行くと、あった。旭川信金の温度計。

キター!!!マイナス20度!

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 午前9:33現在、−20℃の表示。

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 こちらは4条通りの朝日生命ビルの温度計。

こんなもの撮影しているのは自分だけだが、10度台ならばしょっちゅうだろうけど、20度台というのはそうそうないと思う。
珍しくて写真を取りまくった。

一応目的は果たし、道北バスの4条9丁目のバス停で待つ。

バス停にはほかに誰も待つ人はいない。
もしかして日にちを間違えた?

前面に『臨時バス』の表示を掲げた旭川電気軌道のバスが満員の客を乗せて2台通り過ぎるのを見かけた。はて、臨時バスを出すとは聞いていないが。

やがて当麻ヘルシーシャトー行きの道北バスがやってきた。客はそこそこ乗っている。日にちは間違えていないようだった。

途中のバス停からも乗って来る人が多く、着くころには結構な混みようとなった。
男山最寄りの永山2条6丁目では、ほぼ全員が下車する。

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 永山2条6丁目に到着。

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 冬晴れの酒蔵開放会場。

やってきました男山酒蔵開放会場。
快晴で青空が心地よい。

着くと、ちょうど1回目の鏡開きが始まるところだった。
司会は毎年恒例の川島玄起氏。

なんと今朝の旭川は今年一番のマイナス25.5度を記録しました
というと、見物客から歓声が上がる。

旭川市郊外の江丹別ではなんとマイナス34.9度を記録しました
というと、歓声のほか拍手まで沸き起こった。

ここでは何でもお祝いのネタになっているのだった (^^;

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 川島玄起氏の司会で鏡開きがとり行われる。

まずは男山代表取締役社長の挨拶、それから見物客の中から4人募って鏡開きとなる。

よいしょーっ!

全員掛け声を合わせて勢いよく酒の飛沫が飛ぶ。

パタパタパタパタ・・・・

全員手袋をしているので拍手はパチパチパチにはならないのだった。

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 全員の掛け声とともに勢いよくハンマーを振り下ろす。

ここの無料試飲の樽酒は本物で、飲むと杉の香りが鼻を通り抜ける。
お酒は『きもと純米』と男山さんもなかなか太っ腹だ。

こういうことをされると、今後はもっと贔屓にして差し上げないとなと思う。

しかし、−20℃の中で冷やされたお酒の味などわかるはずもない。
ただ水のように喉をストーンと通ってゆくのだった。

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 キンキンに冷えた樽酒。

続いては今朝の酒コーナーへ。
ここは今朝絞りたての酒をビンに詰めたものを試飲させてくれる。
この今朝の酒は毎日違う銘柄が出される。

聞いてみると、今日のは男山佳撰ということだった。アルコール度数は21度。
通常はこれを薄めてアルコール度数を調整し、商品として出荷する。

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 今朝絞りたての酒を出す今朝の酒コーナー。

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 お休み処に並ぶ屋台からは湯気がもうもうと。

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 今日のお休み処は満員御礼だった。

 氷点の水の如きに通る酒

う〜ん、凍れる中0度以下に冷えた酒を飲んでいてもさっぱり酔わない。
かといって調子に乗って飲んでいたら、急に酔いが回ってきて腰が抜けてしまう。
あまり飲みすぎない程度にお酒を貰ってくる。

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 樽酒の試飲コーナー。

樽酒試飲コーナーの隣にあるのは、かめ酒のコーナー。平安時代から室町時代にかけての酒を再現したものだという。これは酒蔵開放だけの非売品。飲むと炭酸がピリッと舌に感じるドブロク。
今年のは少々甘口なんじゃないか。もう少し発酵させたほうが良かったんじゃない。
お酒に慣れない人には飲みやすいかも。

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 どぶろくのかめ酒の試飲コーナー。

試飲コーナーは、一時期はマイぐい呑みの持参を推奨していたこともあったが、今は使い捨ての紙コップのみでの提供となっている。
『マイぐい吞みでの試飲はご遠慮願います』との張り紙もあった。
紙コップの2回使用も断っている。これはおそらく衛生上の理由からだろう。

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 気持ちが良いほど快晴の青空の下で飲む酒。

 飲むほどに空に吸われしみぞれ酒

なんだかアルコール分にも麻痺してしまったかのように、飲んでも酔いが回らない。
マイナス20度では酔いの感覚もなくなるのだろうか。

隣では息子に連れてきてもらったらしい老夫婦が試飲のお酒を飲んでいる。
見ていると何だかほっこりとするような風景だった。

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 試飲酒の中には凍ってみぞれ酒になるものもあった。

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 前庭の池は湯気が昇る。温泉ではありませんよ。

いつまでも飲んでいたら、途中でぶっ倒れそうだ。
12時43分発のバスを期に、切り上げることにする。
駅に着くとカメラがおかしくなっているのに気づいた。
レンズの部分が変な角度で固まっている。
それを戻そうとレンズをつかんでネジったら余計おかしくなって、元に戻らなくなってしまった。

カメラが壊れてしまった (T_T)

2017年のインド旅行以来、ずっと身体の一部でもあったカメラ。
もうダメのようだ。壊れたのか壊したのか定かではないが、新しいのを買わなければならないな。

というわけで、ここから先の画像はスマホで撮ったもの。

旭川駅からの戻りの列車は、ライラック26号
コンコースの売店で駅弁を買っておいた。
いろいろ迷ったが幕の内弁当を買う。

掛け紙は幕の内弁当だが、箱に貼ってあるシールには旭岳弁当と表示があった。
国鉄時代から続く、旭川駅のベストセラーの幕の内弁当である。

別の売店でお酒も買った。
旭川駅と特急カムイ号のイラストのカップ酒。これも旭川の地酒の高砂酒造の酒である。

つーか、まだ飲むんかい!

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 旭川駅の駅弁とお酒。

幕の内弁当のおかずは、鮭がメインで、ザンギ、イカゲソのてんぷら、シュウマイ、タコの煮物など。
北海道の名物は一通り押さえてある。
幕の内弁当を食べるとその駅弁屋のレベルがわかるというもの。

旭川の駅弁も地味ながらがんばっている。
幕の内弁当のおかずには、北海道の名物を色々食べさせてやろうという意欲を感じる。

筆者が個人的に特筆したいのが、イカゲソの天ぷら。
あまり知られていないが、旭川の立ち食いそば屋ではゲソの天ぷらをご飯の上に乗せ、甘辛いタレをかけた『げそ丼』が隠れたB級グルメとなっている。
このゲソ天を一品加えたあたりは、大変ニクいではないか。

あとお酒も美味い。
旭川駅で駅弁を買ったら、併せて日本酒も買いたい。
飲み鉄ファンにとっては、まことに至福のランチなのであった。

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 げそ天も加わった旭川駅の幕の内弁当(1000円)。

あとは札幌までずっと眠っていた。
やはり試飲の酒が相当回っていたようである。

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 男山酒蔵開放で買ってきたお酒とお土産。

 日帰り旭川・男山酒蔵開放旅行の費用
費用場所値段(円)
旭川〜札幌 Sきっぷ札幌駅5,550
今朝の酒男山
1,300
日本酒で乾杯男山1,500
酒粕500g男山400
大吟醸酒まん男山700
幕の内弁当(駅弁)旭川駅1,000
国士無双カップ旭川駅275
合計 10,725

〜最後までお読みいただきありがとうございました。

posted by pupupukaya at 20/02/11 | Comment(0) | 2020年その他旅行記

はまなすを見に石狩へ

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 はまなすの丘公園と石狩川河口(地理院地図より筆者作成)


6月半ばの土曜日、今朝は早起きしたし、天気も良さそうだ。

今週、通勤途中に通った街路樹の植え込みに、はまなすの花が咲いていたのを思い出した。
はまなすと言えば石狩海岸だなあ、というわけで石狩川河口の砂丘にあるはまなすの丘公園へ行ってきた。

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石狩灯台と出迎える花たち。

はまなすの丘公園の駐車場は同じことを考える人も多いようで、まだ9時前だが駐車場は満車近い状態だった。

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はまなすの丘公園の遊歩道入口。途中までは木道が付けられている。

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遊歩道の木道から。足元にはたくさんのはまなすが満開。

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海浜植物保護のため園内は木道が続き、地面は立ち入り禁止になっている。

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木道が終わると砂利道が続く。河川の管理用道路らしく、車は乗り入れできない。
道路わきに、はまなすやエゾスカシユリが点々と咲く楽しい道。

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園内の保護されたものより、こちらの方が元気に咲くはまなすの花。

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はまなすの花は意外と大きいんだね。

はまなすは初夏から秋まで咲き続けるのだが、雪解け後に一気に咲き乱れる今時期が一番の見ごろと言える。
ちなみに俳句の季語では、はまなすは晩夏ということになっている。

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こちらは、はまなすに混じって異色を放つエゾスカシユリ。

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道の向こうに終点が見えてきた。

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砂利道の終点が石狩川の河口。石狩平野を流れるほとんどの川の終点。
秋は鮭釣りの人たちで賑わうのだろうが、この時期はひっそりとしている。

砂浜になっているが、はて、こんなに狭かっただろうか。
河口は砂地なので、しょっちゅう地形は変わっているようだが。

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風はおだやかだが、波は結構高かった。

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以前来たときはもっと砂浜が広かった気がするが・・・

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戻り路もまたはまなすの花を愛でながら。

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砂地の上で健気に咲くハマヒルガオの花。

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石狩川越しに見た石狩灯台と残雪が見える余市岳。

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ハマエンドウの群落。これも今が見ごろ。

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石狩灯台とUFOみたいな雲。

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うおおお〜、UFOの襲来。
ナンチテ・・・・・。

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はまなすの丘ヴィジターセンター。

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ヴィジターセンターには売店もあって、石狩市の名産品などを売っている。

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展示されていた石狩灯台のレンズ。

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ここの名物らしい、はまなすの実を使ったはまなすソフト。
律儀にマスクつけて河口まで往復してきたので、冷たくて気持ち良いくらい美味しかった。

暑かったわけで、この日の気温は30℃の一歩手前まで行ったそうだ。

タグ:北海道旅行
posted by pupupukaya at 20/06/14 | Comment(0) | 2020年その他旅行記

2020年礼文島旅行記 はじめに

今年は世界的な新型コロナウイルス禍のため海外旅行はとうにあきらめていた。
5月下旬までは外出自粛が求められていたので、仕事以外で市外に出ることもなかった。

それとは別に、4月の年度初めに6月最終週の1週間に休みを入れておいた。
6月の半ば頃には、コロナ禍も収束して旅行も解禁になるだろうと読んでのことである。

果せるかな、5月に入ると6月19日から県を跨ぐ移動自粛が解除されるとの話が伝わってきた。毎日コロナの国内感染者数がニュースなどで伝わってきてやきもきしたが、予定通り6月19日から旅行解禁となった次第である。

さて、どこへ行くか。
前から行ってみたかったところがあった。
それは礼文島

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 礼文島のイメージ。礼文町HPのフリー素材より。

日本最北端の島(有人島および実効支配の及ぶ島としては)であり、別名『花の浮島』と呼ばれるほど高山植物が咲き乱れる美しい島だ。
一番の見ごろは6月下旬〜7月上旬だろう。花が一斉に咲き乱れ、夏至に近く日が一番長い時期でもある。
この時期は北海道の道東や道北地方でも一番良い季節だ。
しかしゴールデンウィークと夏休みのはざまという時期的なことがあるのか、観光客は少なく閑散期となっている。

一方、利尻礼文は別で、この時期は全国から観光客が大挙して押し寄せる。
島の宿泊施設は軒並み満室、ツアー代金も宿泊代もこの時期は夏休みシーズンに劣らぬ高値となる。
ここ数年来はインバウンドの団体客も頓(とみ)に増えた。

私は数年前の6月下旬に仕事で礼文島に行き1泊したことがあるが、数日前に宿を探すとインターネットの予約サイトでは1泊3万円は下らない高級ホテルが1〜2件ヒットするのみ。あちこちの旅館や民宿に電話をかけまくって、ようやく1泊2食付きで1万3千円台の宿を確保した。会社持ちとはいえ、この金額を提出するのは気が引けた。
フェリーターミナルは年寄り中心のツアー客やインバウンドの団体客でごった返していた。

去年一昨年あたりはますます増える一方の中国語があちこちで飛び交っていたことだろう。

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 乗船客の長蛇の列。2017年6月香深フェリーターミナルにて。

それが今年はコロナウイルス禍の影響で、予約サイトで礼文島の宿を探すとどこも空室だらけ。
そりゃそうだ、宿の手配をしたのは6月半ば。まだ県跨ぎの移動自粛期間中である。見切り発車だが、大事なことはある程度予測して先手を打っておかなければならない。

当初は稚内まで車で行って、車は稚内に置きフェリーで礼文島へ渡り、島で2泊して戻ることを想定していた。
ネットで島の観光情報などを調べていると色々欲が出てくる。3泊してもいいかな。

予約サイトで、船泊に1泊2食で9,600円の宿を見つけた。食事内容だけ見ると手ごろな値段に思えた。ここに2泊することにした。
礼文島北部の岬めぐりをするには良さそうだ。

残り1泊は香深で探すと、素泊まりだが1泊4,500円の宿を発見。宿といってもゲストハウスだが、この値段なら2泊してもいいなと思って2泊予約した。
ちょうど1,000円分のクーポンが2回分あったので、それぞれ1回ずつ使ったので計2千円引きとなった。代金はクレジットの前払い。

合計4泊5日となり、結構長い滞在となった。これだけ滞在すれば、うち2日くらいは晴れに当たればいいかな。雨に当たるのはこの時期ならば仕方がない。

で、肝心の天気

この時期の宗谷地方は一番良い時期なのだが、オホーツク海高気圧の冷たい空気の影響で曇りがちで不安定な天気のことが多い。

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 この時期特有のガスがかかって小雨も混じる香深の町。2017年6月撮影。

前回仕事で行ったときはガス(霧)に小雨が混じる冴えない天気だった。
今回の旅行中は好天に当たってほしいのだが、天気ばかりはどうにもならず、滞在日数を増やして晴れに当たる確率を上げるしかない。
週間天気予報は10日分発表する所が多いが、宗谷地方や礼文の天気は各社バラバラ。どれを信用したらいいものか。

出発の前々週あたりまでは概ね好天だったのだが、前週あたりから雨マークもぼちぼち付き始めた。
週間天気も時どきチェックするが、これがコロコロと変わる。
週の前半は天気が悪く、後半は晴れそうというのは大まかにわかってきたが、これもチェックするたびに覆される。

以下の画像は出発前日の6月28日夕方週間天気予報。
気象庁、日本気象協会、ウェザーニュース、YAHOOの4社の予報の画像を貼ってみた。
気象庁のは宗谷地方の、あとの3社は礼文町の予報になる。

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 2020年6月28日夕方時点の各社週間天気予報。

概ね後半のほうが晴れに当たりそう。月、火は雨マークも見られる。
晴れのマークが目立つ日本気象協会さんに頑張ってほしいところ。

天気ばかりは向こうでなるようになるしかない。
続いては稚内までの移動手段。
これも天気次第ということで考えていた。

単純に稚内までならば車の一択ということで決まりだが、礼文島の滞在が4泊5日ともなると、稚内フェリーターミナルの駐車場代が馬鹿にならなくなる。
駐車料金は1日1,000円と意外と高く、5日間で5千円にもなる。離れた場所に無料の駐車場もあるが、日帰りならばともかく5日間も置いておく勇気はない。先日当逃げにあったばかりだしね。

フェリーに車を乗せてということも考えられるが、稚内〜礼文間の往復航送運賃が37,660円では、車が必要なら向こうでレンタカーを借りた方が安上がりだ。
ガソリン代が札幌〜稚内間往復で6〜7千円。
そんなこんなで、車だと稚内まで往復で1万1〜2千円程度かかることになる。

JRならば指定席往復割引きっぷ(Rきっぷ)というのがあり、これだと往復1万3310円。車での経費に若干上乗せする程度。
稚内まで往復できれば何でもいいし、今回は礼文島以外に用事は無い。
それにこんな機会でもなければ特急列車に乗ることもないだろうし。
それより何より、今のJR北海道の状況を見ると、これが宗谷本線の列車に乗るのが最後かもしれない。廃線の噂もチラホラと聞くし。実際宗谷北線では、今年度を持って廃止になる駅がいくつも決まっている。

これも週末までは保留としていた。
月曜が晴れならば車で稚内まで行って車中泊し、朝イチのフェリーで礼文島へ渡る。そうでなければ列車で稚内に行き、午後のフェリーで島へと考えていた。札幌7:30発の特急宗谷で出発すれば、礼文島にはその日の夕方には着く。

出発2日前の土曜日、天気予報は月曜が雨っぽい。逆に金曜が晴れ。

JRでの稚内行に決定。
さっそく桑園のイオンに買い物に行ったついでに桑園駅の指定券券売機で切符を買ってきた。
これで礼文島往復の行程は決まった。

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 札幌〜稚内間の指定席往復割引きっぷ(13,310円)。

島での行動をどうするかは、これも天気具合を考えて向こうで判断する。
色々調べると、礼文島観光のメインはトレッキングということになった。
島には各種トレッキングコースが設けられている。
観光バスや車で回れる名所もあるが、歩いて回らなければ礼文島の本当の良さはわからないと思った。

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 無料パンフレット『礼文島navi』の画像。

今回の旅行は車はナシで、とにかく歩こう。

久々に特急宗谷に乗れるということもあって、今回の旅行は海外旅行にでも出発するかのようにワクワクしていた。
前置きが長くなりましたが、次回は本編へ。


posted by pupupukaya at 20/07/05 | Comment(0) | 2020年その他旅行記

2020年礼文島旅行記1 礼文島まで

  ◆6月29日(月)特急宗谷で稚内まで

出発日の朝、一番当てにしていた気象協会の週間天気予報を見ると、昨日までほぼ晴れマークだったのに週の半ばに雨マークが付いていた。
全道的には雨がちな週になるようで、各地の天気も雨マークが目立つ。
雨に当たるのは覚悟しているが、週の半ばに2日間も雨マークを見ると出発前から気分が凹む。

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 6/29朝の週間天気予報(日本気象協会tenki.jpのスクリーンショット)

7時過ぎに自宅を出ると、土砂降りの雨。仕方なく百均のビニール傘を差して地下鉄の駅へ向かう。
まずは札幌駅7時30分発の特急宗谷で稚内まで行く。
所要5時間10分の列車の旅。こんなに長い時間列車に乗るのもずいぶんと久しぶりだ。
月曜の朝だが、駅弁とビールを買い込んで列車に乗り込んだ。
退屈するかと思っていたが、久しぶりに乗る特急列車の旅は思いのほか楽しく、あっという間の5時間だった。

 特急宗谷の乗車記はこちら ↓

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 札幌から5時間10分、稚内駅に到着。

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 稚内駅と日本最北端の線路のモニュメント。

稚内駅からフェリーターミナルまでは歩いて10分とかからない。フェリーの発時刻までは2時間もあるので、駅周辺を散策してくる。
駅舎からはみ出す格好で線路と車止めがモニュメントとして残されている。

そこから花崗岩で模したレールのモニュメントがさらに北へ伸びていて、70mほど先の道路が終点となっていた。
かつて夜行急行利尻が客車列車で運行されていた頃は、機回しのための引込線がここまで伸びていた。さらに古くはこの先の駐車場となっているところに貨物列車の積み下ろし場があり、さらに昔は先にある北防波堤ドームまで伸びていて、樺太との鉄道連絡船だった稚泊連絡船が発着する稚内桟橋駅まで線路があった。

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 花崗岩で模したレールの終点。

北防波堤ドームまでやってきた。
もう何度も見ているし、何か面白いものがあるわけでもないのだが、ここから樺太(サハリン)が見えないかと思ってやってきた。

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 戦前は樺太航路の稚泊連絡船が発着した北防波堤ドーム。

ドームの脇にある階段を登って海を見たが、今日は樺太は見えなかった。
空気が澄んでいれば、ここから肉眼でもわかるようにはっきりと島影が見える。

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 ノシャップ岬方向を望む。樺太(サハリン)は見えなかった。


 ◆ 稚内→礼文島 アマポーラ宗谷

フェリーターミナルに向かう途中、セイコーマートに寄る。
今日から2泊する宿はコンビニも無いような所なので、何か買っておこうかと思ったのだが、店に入るとこれといって必要な物も思いつかなかった。2食付きなので食事の心配はないし、酒はいつも飲んでる焼酎をペットボトルに入れて持ってきた。
お菓子類は普段食べないし、飲料は自販機くらいあるだろう。
日本なのでのどが乾いたら水道の水を飲めばいい。

明日からのトレッキングに持っていこうと、チョコバー2本と炭酸水のボトルだけ買ってフェリーターミナルへ。

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 利尻礼文の出発点、稚内フェリーターミナル。

1時間ほどぶらついてきたので13時40分過ぎ、次のフェリーは利尻島の鴛泊(おしどまり)行が14時20分発、礼文島の香深(かふか)行が14時40分発と表示されている。

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 向かいにある稚内港国際旅客ターミナル。現在は航路の休止により閉鎖中。

利尻礼文行ターミナルと道路を挟んで向かいあっているのが国際旅客ターミナル。
稚内とサハリンのコルサコフ港を結ぶフェリーの乗り場で、中に税関や出入国審査場なども入っている。
去年(2019年)の運航は取りやめになり、今年は運航が決定していたようだが、コロナ禍の影響で今年の運航も中止だろう。

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 1階にある乗船券売場。

フェリーターミナルの乗船券売場は1階にあり、カウンターのほか券売機も並んでいた。最初券売機で買おうとしたら現金しか使えないようだ。カウンターの方に並び直す。
こんどはクレジットカードが使えた。

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 稚内〜礼文香深の往復乗船券。

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 閑散とした2階の乗船待合所。

チケットを買ったらエスカレーターで2階へ。
毎年この時期は、広いコンコースが旅行客でいっぱいになるほど賑わうのだが、今年は見事に閑散としている。
ベンチで乗船開始を待つのは地元の人と思しき人たちばかり、私を含め旅行者と見受けられる人はほんの少数しかいなかった。

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 ひと足先に利尻島の鴛泊(おしどまり)行フェリーが出港。

待合所に座っていてもつまらないので、窓から車の積み込み風景や、先に出港する礼文島行の船を見送ったりしていた。
車は一足先に積み込みというか乗船が始まっている。船に乗る際はバックで入るのが決まりのようだ。

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 稚内市内の幼稚園児作成の『いってらっしゃい』に見送られ。

出港の15分くらい前になると乗船が始まる。
改札はチケットに印字のQRコードを読み取り機でスキャンするだけ。

船は『アマポーラ宗谷』という名前。
1階がカーペット敷きの船室が並ぶ2等席、1階が2等指定席と1等席になっている。
船尾の甲板にもベンチが並んでいて、海風に当たっていれば気持ちよさそうだが、船室との出入口の脇に喫煙所があってタバコの煙が漂っているので居心地は良くない。
2階の甲板に上がって車両の積み込みや出港風景を眺める。

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 トラックの積み込み作業。島にとっては物流の生命線。

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 稚内港を出港。ばいばーい!

14時40分、係船ロープが外されて出航。船の加速は良くて、あっという間に岸が遠くなった。
これで本土とは別れ、金曜日までは島の人となる。

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 タバコの煙が漂う後部甲板のベンチ。

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 稚内の町がだんだんと遠ざかる。

ノシャップ岬の沖あたりから利尻富士が姿を現した。
といっても雲の上にチョコンと頭を出しているだけだったが。

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 ノシャップ岬灯台と頂上だけ姿を現した利尻富士。

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 ノシャップ岬沖から見た稚内半島。

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 しばらく頭だけ姿を現した利尻富士を見ながら。

出航してから30分ほど2階甲板から遠ざかる稚内半島を眺めていたが、まだ先は長い。船室へと戻る。
2等カーペット席は各区画に2〜3人くらいが横になってるほどの入り具合。
船内探検もしてくるが、さほど大きな船ではないので1回りしたら終わってしまった。
荷物を置いていた場所で横になる。

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 宗谷湾を出るとフェリーは礼文島を目指す。

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 船内売店の商品。

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 2等自由席のカーペット席。

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 2等指定席は座席が並ぶ。(2階のデッキから)

横になっても眠くなることはなく、しばらくスマホをいじっていた。
1時間ほどして進行左側の窓に目をやると、さっき頭だけだった利尻富士の雲が切れてくっきりと見えているではないか。
飛び起きてまた2階甲板へ行く。

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 進むにつれて雲が消えて、秀麗な利尻富士が全貌を現した。

ワーオ、こんなにきれいに見えるなんて思いもしなかった。
札幌は雨だったが、こっちの方はずっと天気だったようだ。
これなら昨日に稚内入りして、朝の船で礼文島に渡れば良かったかなとも思うが、タラレバを言い出したらキリがない。

反対側は、利尻島とは対照的に横たわる礼文島がだんだん近づいてきた。

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 左舷に利尻富士を望みながら、右舷には礼文島の島影が近づく。

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 フェリーは礼文島へと近づいて行く。

島はだんだんと大きくなって、香深の町がはっきりと見えてきた。
3年ぶりの礼文島だった。あのときはガスがかかって暗い印象だったが、今日は晴れていて全然違う印象だった。

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 香深フェリーターミナルが見えてきた。

16時40分、船はフェリーターミナルに横づけして着岸。
下船すると、係員が全員にスプレーで手の消毒を行う。
『新しい生活様式礼文島モデル2020』と書かれたポスターもあったり、コロナ禍はどこも例外は無いことを思わせる。
コロナと思われる症状があったら島の診療所へは行かず、稚内の保健所に電話してくださいと書かれた掲示もあった。

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 香深港に到着。いよいよ礼文島に上陸。

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 香深フェリーターミナルでは、出迎えの人も疎らだった。

1階のコンコースに下りたところに、各ホテルや旅館の幟を持った人が出迎えていた。
今日から泊まる旅館の人がいたらちょうどいいなと思ったが、今日はいないようだった。

今日から2泊する旅館はフェリーターミナルのある香深ではなく船泊の方にある。
礼文島とひと口に言っても意外と広く、香深から船泊の旅館まで20km近くあるのだった。
実は前日までに電話すればフェリーターミナルまで迎えに来てくれるので電話しなくちゃなあと思っていたのだが、だんだん面倒になって電話しなかったのだった。

幸いフェリーに接続して船泊を通ってスコトンまで行く路線バスがあるのでそれに乗ればいいやと思っていた。


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2020年礼文島旅行記2 ホテル礼文荘

 ◆ 香深フェリーターミナル→病院前 宗谷バス

フェリーターミナル出口の横に仮設の売店があって、見ると礼文島プレミアム商品券というのを売っていた。
5000円で500円券が12枚綴りになていて、6500円分使えるものだ。
礼文島内の店や飲食店で使えるが、宿泊代やレンタカー代には使えないという。
礼文島には5日間滞在し、前半2泊は2食付きだが、後半2泊は素泊まりなので、このくらいならば使い切るだろうと1冊買った。
うに丼とかホッケのチャンチャン焼きくらいは食べて帰りたいし、いくらかは節約になるだろう。

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 5000円で6500円分使えるプレミアム商品券。

フェリーターミナルの前に続く上屋の端っこがバス乗り場になっている。そこは地元のおばちゃんが2人バスを待っていた。
しばらく待っていると、『スコトン』の行先を掲げたバスがやってきた。
ワンステップの2ドアバスだが、中ドアは締め切りになっている。

1人のおばちゃんは「知床じゃないのか」(知床は島の南部にある漁村)
運転手「知床行はこの後だから」「バスが時間より先に行くことはないからね」
とやりあっている。島らしい長閑な光景。

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 フェリーターミナルのバス乗り場。

バスに乗るときに今日から泊まる宿の前で降りたいのだがと告げた。島内のバスは全区間が自由乗降制とわかっていたので。
運転手は「いいですけど、そうすると料金が1区間分高くなりますよ」とのこと。少し歩くが『病院前』という停留所で降りるのが近いということだった。
「病院前の放送が流れたらボタンを押してください」

そのバスの客となったのはもう1人のおばちゃんと私、2人だけ。フェリーターミナルを発車する。

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 自分入れて乗客3人だけのバス車内。

次の停留所は『病院前』、こちらは香深の病院前だ。
ここで利尻空港の荷物タグを付けた大荷物の兄さんが乗ってきた。木炭の箱を持っているのでキャンプ場行きとわかる。
香深井と船泊にキャンプ場があるのでどちらかまで行くのだろう。
バスの客は3人となって北へ向かう。

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 バスの車内から見た利尻富士。

バスの窓を振り向けば、さっきフェリーから見えていた利尻富士がずっと見えていた。

どのバス停も乗り降りする人は全くなくただ通過するのみ。たまに後ろにつかえていた後続車に道を譲るだめに停車する。
高校前の停留所では下校の学生が乗ってきた。札幌あたりとは違って全員マスクをつけている。
ここから賑やかになるのかと思っていたが、学生たちは席に着くと全員うつむいてスマホをいじっていた。

道道は真直ぐ船泊へショートカットするが、バスは金田ノ岬を迂回する。岬からトドが見えないかと思ったが、今日はいないようだった。

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 金田ノ岬を通る。

船泊本町という停留所で、学生の1人が運転手に話しかけていた。
発車してしばらく行った交差点を曲がったところでその学生が降りて行った。1つ手前の停留所までに降りたいバス停を運転手に告げるとそこで停車してくれるようだ。

次あたりが『病院前』だろうと身構えていると、「次は船泊診療所前でございます」と車内に流れる。
あれっ?病院前は?

診療所=病院とわかるまでにしばらく時間がかかった。降車ボタンを押さなきゃと思う前に学生の1人がボタンを押した。

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 車内放送だけが本当の名前を告げる病院前の停留所。

その『病院前』の停留所で、学生2人と香深からのおばちゃん、それに私、あと利尻空港タグの兄さんが降りる。
停留所の表示は『病院前』。たしかに船泊診療所の前にあるが、何なんだこの旅人を惑わせる停留所は・・・
香深フェリーターミナルからの料金は980円だった。


 ◆ ホテル礼文荘

バス停から予約してある宿までは、距離にして300m、歩いて3〜4分といったところ。私はバックパック1個だけなので何のことはないが、荷物が大変な人は宿の前で降ろしてもらえばよい。ちなみに宿の前で降りたらいくらなのか調べたら、1070円だった(2020年現在)。
もっとも、前日までに宿に電話でお願いすれば、フェリーターミナルまで迎えに来てくれるのだが。

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 2泊3日滞在することになるホテル礼文荘。

宿の外観は予約サイトに載っていたのでわかっている。
2泊する宿の名前は『ホテル礼文荘』。ホテルといっても外観はどう見ても木造2階建ての旅館か民宿。
正面に掲げられた『ホテル』の文字に、どことなく昭和の哀愁を感じるのは私だけか。

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 ホテルの入口。

ホテルと言っても、玄関で靴を脱ぐ旅館スタイル。
私はビジネスホテルよりも畳の部屋を好むので、出張では旅館や民宿をよく利用するので何とも思わないが、てっきりホテルを想定してやってきた人が見たら落胆するかもしれない。

フロントで「バスで来たんですか?」と聞かれ「ええバスで」と言うと少し驚いた様子だった。
昨日電話すればフェリーターミナルまで車で迎えに来てくれたはずだが、着いてからそのまま車で宿に直行というのも面白みがないし、別にバス代を損したとは思っていない。

部屋のキーを渡され、夕食は6時半からということだった。

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 8畳の和室。

とりあえず背負っていた荷物を下ろしてやれやれだ。
風呂トイレ共同の和室。しかし寝っ転がって身体を伸ばせるのはありがたい。出張とか長距離運転があるときの宿はこういうのが一番いい。ビジネスホテルじゃこうはいかないね。

テレビの横にあった客室電話はなんと懐かしのダイヤル式。いわゆる黒電話というやつ。
コロコロコロ、ジ〜〜〜、おお懐かしい感触と音(涙)。
中学生の頃までうちの実家に同じ電話機があった。

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 懐かしのダイヤル式電話(黒電話)が置いてあった。

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 部屋の窓からの眺め。

窓からは海が見え、その向こうに礼文島北端のスコトン岬と海驢(とど)島が見えた。
ああ、いい部屋を用意してくれたな。ただ西日が差しこむので部屋は暑かった。窓を少し開けておく。

宿の向かいに、久種湖畔展望台へ登る階段があったのでさっそく行ってみる。
標高30mほどの高台が展望スペースになっているだけだが眺めは抜群。久種湖や船泊湾を見下ろし、遠くにスコトン岬や金田ノ岬も望む。

夕日が見られたらさぞ綺麗なんだろうなと思うが、青空が広がっていても水平線近くは雲が覆っていて、夕日は期待できそうになかった。

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 久種湖畔展望台から南東方向。下はキャンプ場、右に小さく利尻富士も写っている。

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 久種湖畔展望台から北方向。中央は金田ノ岬。

6時半になって1階の夕食会場に行くと、テーブルには別の客たちがすでに食事をしていた。
ほとんど、いや私以外全員が工事関係者のような仕事で泊まっているような人ばかりだった。
出張なんかで地方の旅館に泊まるとよくある光景。
毎年、観光シーズンの今時期は観光客で満卓なんだろうけど、今日は空きテーブルが目立つ。

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 夕食。礼文島で獲れた海鮮がいっぱい。

テーブルの席に着くと、いやあ豪勢。やっぱり2食付きにして良かった。
「お飲み物はどうしますか」と聞かれ、ここは冷酒の2合瓶(800円)を頼んだ。

お酒は『花の島礼文島』のラベル。製造元を見た見たら日本清酒とあった。中身は札幌の千歳鶴。
それでも専用のラベルで用意してくれたのがうれしいではないか。

女将が品々の説明をしてくれるが、忘れてしまった。ていうか上の空でハイハイと聞き流していた。
どれから箸をつけようかということで頭が一杯だった。
こんな豪勢な食事にありついたのはずいぶん久しぶりの気がする。

ソイ(だったかな)の刺身と煮魚、甘エビの刺身、コンロ付きの鍋はホタテと野菜のバター焼き、小さな蓋つきの椀には塩ウニが入っていた。生うにでないのが残念なところだが、これで1泊9600円は大したものだ。

「ご飯とおつゆは後で持ってきましょうか」と聞かれて「いや、一緒でいいです」と言った。
あとで呼ぶのも面倒だし、汁物で酒も飲めるので。
汁物は魚のあら汁だった。

まずはお造りをいただいて、お酒をキューっと。
周りを見ると、カニなんか付いているのは私のテーブルだけ。
休暇中の身の上とはいえ、なんだか申し訳ないな。

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 花の島礼文島ラベルのお酒。

まずカニからやっつけるか。
テーブルには毛ガニの半身がデンと乗っている。

私は北海道人のくせにカニを食うのが下手で、そんなわけでカニは苦手なのだが、それでもたまに食べると美味い。
カニ味噌、これは酒持ってこい酒と叫びたくなる。
最初はハサミで切って箸でつついていたが、面倒になって歯で殻を割いて指でほじくって格闘する。

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 毛ガニの半身。

何とかカニはやっつけたが手がベタベタになった。あら汁を啜って、そうしているうちにバター焼きの鍋が噴いてきて、これはご飯に乗せてかき込んだ。
あ〜食った食った、ごちそうさん。


 ◆ 礼文荘の夕暮れ

部屋に戻ると布団が敷いてあった。
ボロさが気になる宿だが、サービスは温泉旅館並みだ。
窓の外が赤く染まっている。見ると水平線の近くだけ雲が切れているではないか。

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 部屋の窓から見えた夕日。

まさかと思っていたが、これは夕日の写真が撮れるかもと、カメラを持って外に出て、向かいの展望台に登った。

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 宿の向かいに展望台の登り口がある。

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 久種湖畔展望台から見た夕日。

上まで登ってしばらくすると雲の切れ目に夕日が姿を現した。
スコトン岬と海驢島を望む日本海に沈む夕日。今の時期はこの方角に沈むんだね。
展望台にいるのは私1人だけ。しばらくこの夕日を独り占めする。


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 19時25分、船泊湾に日が沈む。

部屋に戻って、窓のそばで暮れゆく風景を見ながら、今度は焼酎のお湯割りで1杯やる。
焼酎はペットボトルに詰めて持ってきたもの、お湯はフロントでポットごと貸してくれる。

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 20時00分、窓辺で黄昏れる。

テレビなんか見る必要はない。
北緯45度の夏至に近いこの時期は、日が沈んでも空はずっと明るい。
そんな空を見ながら、4年前に行った北欧の白夜を思い出していた。

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 20時30分、空はなかなか暗くならない。

部屋の明かりもつけずに黄昏れを見ながらお湯割りを飲んでいた。
だんだん暗くなってくるが、北の空はずっと明るいまま。
すっかり日が暮れて星が見え始めたら、もう9時近くになっていた。

スマホで天気予報を見る。明日の雨マークは消えない。
雨には当たりたくないな。礼文島に滞在中は、トレッキングというか、ずっと歩き回ることにしている。それしかすることもないし、行くところもない。かといって、日程は十分あるので雨の中歩くのもいやだ。
雨だったら宿の部屋で時間を持て余すことになる。ノートパソコンを持って来ればよかったかな。

明日どうするかは、朝の天気予報次第で決めることにして、今日は疲れたので早く横になった。

6月29日(月)の費用
費目場所金額(円)
食費(弁当)弁菜亭売店850
食費(ビール) キヨスク札幌ラッチ西店326
食費(飲料) 札駅ホーム自販機140
食費(食料品)セイコーマート稚内駅前336
食費(金券)礼文島プレミアム商品券※5,000
交通費ハートランドフェリー5,700
交通費宗谷バス 980
6/29 合 計13,332
 ※商品券はすべて飲食で使用したため食費で計上。

posted by pupupukaya at 20/07/18 | Comment(0) | 2020年その他旅行記

2020年礼文島旅行記3 岬めぐりコース

 ◆ 6月30日(火)

朝、ピーチクパーチクさえずる鳥の声で目覚める。窓の外は空がもう明るかった。
枕元のスマホを見ると3時18分。トイレに行って戻ってきたらすっかり目が覚めてしまった。
今日の礼文島の日の出は3時50分。朝日の写真が撮れるかなと期待したが、空全体は雲が覆っているので無理っぽい。

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 朝日で赤く染まるスコトン岬。

素泊まりの宿ならもう出発したいところだが、朝食は7時から。
鳥のさえずりを聞きながら外を眺めていたら、スコトン岬が朝日で赤く染まった。朝日の写真撮れたなあ。

5時発表の天気予報を見ると、今日の礼文町の天気は曇り。昨日まで悩まされた雨マークは消えていた。
何だか頼りない空模様だが、今日は1日トレッキングすることに決めた。

時間はたっぷりあるので、朝食前に朝風呂に入ってきた。

ようやく7時を過ぎ、1階の朝食会場へ。
昨日の夕食時と同じように、先客がもう食事をしていた。

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 塩鮭がメインの朝食、あとから目玉焼きが出てきた。

テーブルにはお重が置いてある。席に着くとご飯が入ったお櫃と味噌汁が運ばれてくる。重のフタを開けると塩鮭がメインのおかず。ずいぶんと質素だなと思っていたら、しばらくして目玉焼きとサラダの皿がやってきた。

お櫃にはお茶碗2膳半ほどのご飯が入っていたが、これからのトレッキングに備えて全部平らげる。
昨日夕食時に女将から、岬の方は今は売店がやっていないので、もしよかったらおにぎりを作ってあげますよと言われていたが、これだけ食べれば夕方まで腹は持つだろう。

食べ終えて朝食会場を出ると、仕事の人たちはもうゾロゾロと出勤するところだった。
今日は病院前バス停8:29発のバスでまずスコトン岬へ向かうことにしている。


 ◆ 岬めぐりコースを歩く

8時20分過ぎ、バックパックを背負って宿を出る。荷物は歩きに必要なものだけ残してあとは袋に入れて部屋に置いてきた。
礼文島内の路線バスは全線が自由乗降区間となっていて、事前に運転手に伝えればそこで降りられるし、逆に乗車する場合はバスに向かって手を上げれば停車してくれる。

宿の向かいで待っていたらバスが来た。手を上げるとバスはウインカーをつけて停車した。

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 手を上げると停車したスコトン行のバス。

今日歩くのは岬めぐりコースと呼ばれるトレイルコースの1つ。
スコトン岬をスタートして、ゴロタ岬、澄海(スカイ)岬を回って船泊に戻ってくるコース。

礼文島とひと口に言っても意外と広く、船泊の町からスコトン岬までは7kmもの距離がある。歩けば1時間以上はかかる。数少ないがバスをつかまえれば僅か12分。別に歩いても良かったのだが、今日は初日だし、天気も微妙なので手堅くバスで行くことにしたのだった。

バスのフロントガラスはびっしりと水滴が付いていた。香深方面は雨だったのか。
乗車したバス車内は私と同じくトレッキングと思しき乗客が5人ほど。1人は浜中で下車した。トレイルコースの1つ、8時間コースのスタートはここになる。

スコトンのバス停は岬の600mほど手前にあるが、バスはスコトンの停留所を通り過ぎてスコトン岬の駐車場が終点になった。
ここまでの運賃は420円。

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 スタートのスコトン岬。

道路の終端から下りる階段があって、その先が展望スペースになっていて、『最北減の地スコトン岬』の標柱が立つ。岬の先に海驢(とど)島が見える。
最北端の宗谷岬に対し、こちらは最北限を名乗るが、北の位置としては宗谷岬には6.5kmほど負けている。

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 この日に歩いたルート(地理院地図より筆者作成)

とにかく、最北限のスコトン岬から始める。8時48分スタート。
スコトンのバス停を過ぎて、道道から分岐する坂道を登る。
木のない山の斜面は、オレンジ色をちりばめたようにエゾカンゾウが満開だった。
写真に撮るが、暗い空のせいか見栄えのする写り方にならない。

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 トド島展望台から船泊方向を見る。

9時24分トド島展望台着。ここは車で来られるらしく、駐車スペースがあった。
ここから船泊湾を一望できる。空は暗いが視界は良い。しかし、遠くの山々はガス(霧)に覆われていた。

トド島展望台からしばらく歩くと、鮑古丹と江戸屋への分岐点へ出る。ここで車道は終わり、本格的なトレイルとなる。
木が1本もないので、一条の踏み分け道が山の上まで筋のように見える。海側は断崖絶壁、山側はなだらかな丘陵が広がって絶景だ。

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 ゴロタ岬へ続く道。

9時56分、坂を登り切ったところに柵で囲まれた展望スペースに出た。ここがゴロタ岬。
正確にはゴロタ山の頂上で、肝心のゴロタ岬は岩が邪魔してここからは見ることはできない。

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 ゴロタ岬。

ゴロタ岬には先客がいた。挨拶をすると、先客は反対方向に下りて行った。私とは逆コースの人らしい。
ウインドブレーカーを着てきたが、ここまで登って汗びっしょりになってしまった。
景色を見ながら風に当たっているとだんだん汗も引いてきた。

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 ゴロタ岬から南東方向、ゴロタ浜を見下ろす。

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 ゴロタ岬ですれ違った人が下りて行く。

15分ほど休憩してまた歩き出す。こんどはゴロタ浜へ下って行く。
やがて馬の背に出る。右に日本海、左に船泊湾を望む。

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 ゴロタ岬南側の馬の背から。

ミユキストならば『銀の龍の背に乗って』の一節が浮かんでくるところ。

 ♪ 僕は龍の足元へ崖を登り呼ぶよ「さあ、行こうぜ」
 ♪ 銀の龍の背に乗って届けに行こう〜
  (中島みゆき作詞作曲 銀の龍の背に乗っての一節より)

もう銀の龍の背ならぬ緑の龍に乗った気分。

眺めはいいが、だんだん草が腰のあたりまで覆うようになる。そんな踏み分け道を塞ぐようにハナウドの白い花がびっしりと咲いていた。
いつもなら風が強い所なのだろうが、今日は風はそれほど吹いていない。海も凪のように穏やかだ。

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 ニュッと伸びた不気味なエゾニュウのつぼみ。

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 足元に咲き乱れる花。エゾカンゾウ、ハナウド、チシマフウロなど。

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 エゾカンゾウの群落。

しばらくは海を見ながら馬の背を緩やかに下るが、途中から急坂を一気に下る。
登りより下りの方が怖い。登りはパワーに任せて進めばいいが、下りは足を下ろす場所を間違えればズルッといっちゃいそうだから。しかも草が覆って足元が見辛いとくる。

何とか下まで来れば、ここからは浜沿いの平坦な道となる。

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 ゴロタ浜ですれ違った人々。あちらはゴロタ岬へ向かう。

このあたりで逆方向の人たちと何人かすれ違った。
歩きやすいが退屈な道が続く。しばらくすると鉄府(てっぷ)の町中に入る。
町中といっても十数軒の家が並んでいる漁村だが、ひと休みできるような場所は無かった。

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 またヤブの中を登るのかよ。

鉄府の町を過ぎると澄海岬を示す道しるべが立っている。その先は草に覆われた登坂。
ここもずっぽりと草に埋まって登る。雨上がりだったら腰までずぶ濡れになりそう。

急な斜面はオレンジ色のエゾカンゾウの花が満開。この花はよっぽど斜面が好きなんだろう。
しかし写真うつりは悪い。日が出ていればもう少し映えるのだろうか。

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 斜面に満開だったエゾカンゾウ。

途中で振り返るとさっき通ってきた鉄府の町が一望できた。
その向こうに見えるのがさっき登って下りてきたゴロタ山なのだが、いつの間にか山の頂上は真っ白なガスに覆われてしまっていた。

あらら、さっきゴロタ浜ですれ違った人たちはあのガスの中だ。
山の天気とはよくいったものだ。

南の方も薄いガスがかかり始めている。晴れているのはこの辺りだけのようにも見えた。あのガスの中を歩くのはいやだな。

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 さっき通ってきたゴロタ山はガスに覆われてしまった。

登りはつらいが、また絶景や花々が楽しませてくれた。
こんどのトレイルはそんなに長くはなく、すぐに下りとなる。
澄海岬や西上泊(にしうえんとまり)の町を見下ろしながら下る。

神社の前に出て、そこから車道を下ると澄海岬の駐車場があった。
ここに売店がいくつか並んでいるはずなのだが、昨日女将に聞いた通り、売店らしき建物はシャッターが閉まっていた。

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 澄海(スカイ)岬に到着。

澄海岬と書いてスカイ岬と読む。誰が呼んだか知らないが、イカした名前を付けたものだ。
ここから見下ろす海が空のように青く澄んで見えるからこう呼んだのだろう。

今日は一面曇り空だが、海を見下ろすと青く見える。
最近リニューアル工事されたらしく、歩道の敷石や柵が真新しい。海は美しいが、海岸には流木を片付けたらしいゴミ袋が散乱していた。

あーあ、晴れてればなあと思うが、この時期の不安定な天気を考えれば、雨に当たらなかっただけで良しとするべきだろう。

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 チョコバーとお茶が昼食代わり。

ここでちょうど12時。スコトンを出発してから3時間少々しか経っていない。意外と早かった。
澄海岬のある西上泊からは普通の道路が通じている。路線バスこそ無いが、歩けば宿まで1時間くらいで着く。
あまり早く戻ってもすることがあるわけでなく、時間を持て余してしまう。
もう少し早く出れば、8時間コースも余裕だったかな。8時間コースとはここからさらに西側の海岸沿いに南下し、香深井に抜けるルート。
しかし、あっち方向もガスがかかっている。

とりあえずベンチに腰掛けて、宿の前にあった自販機で買ったお茶と、稚内で買ってきたチョコバーで休憩。

普段ならば観光バスがやってきて、その度にツアー客の喧噪が展開されるのだろうが、今日はたまにレンタカーで回っているらしい観光客が1人、2人やってきて立ち去るだけ。それ以外は貸切状態だった。

しばらく海を見ながらボーっと過ごしていた。たまにはこんな時間があってもいいんじゃないか。
1時間ほどしてから出発する。

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 西上泊からは舗装道路をテクテク歩く。

人家や漁港のある西上泊からは片側1車線の立派な車道が通じている。
途中で道道に合流し、船泊までは約1時間の退屈な道が続く。
かといって、さっき歩いてきたトレイルを逆戻りするかと言われれば、それは勘弁してくれだ。
それに、ゴロタ山はもうずっと雲の中だし。

歩いている途中に、8時間コースの入口があった。
次に礼文島に来たときは挑戦してみたい。
13時40分、町道の突き当りの道道との交差点に着く。ここが浜中の集落で、岬めぐりルートはここが終点。

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 浜中バスステーション。

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 浜中付近の船泊湾。

船泊湾を見ながら道道を歩く。海は波ひとつないベタ凪だった。こういう日はウニ漁は捗るのかなあ。
14時少し前、宿の前まで戻ってきた。
いくら何でもまだ早いなあと思い、久種湖を1周してこようと思った。礼文島のトレイルコースの中に久種湖畔コースという1周1時間のコースがある。

というわけで、キャンプ場内の遊歩道に足を踏み入れた途端、蚊の大群だらけ。こりゃたまらんと逃げ出す。
しょうがない、宿に戻ってビールでも飲んでいるかということで船泊の町にあるマリンストアーまで歩いた。

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 船泊マリンストアー。

船泊にはコンビニは無いが、ここマリンストアーに来れば食料品や日用品は一通りそろっている。
ほかに店がないせいか、わりと繁盛しているようだった。
ここでビール2本とつまみを買って宿に戻る。


 ◆ ホテル礼文荘2日目

宿に着いたのが14時40分。もう行くところはない。
フロントでキーを受け取るときに「風呂は何時からでしたっけ」と聞いたら4時からだけど少し早めてくれて、3時40分からは入れるようにしてくれた。

部屋に戻る途中、洗濯物を抱えた朝食会場で見た工事かなんかで泊まっている人とすれ違った。朝早く出て行ったが、戻りもずいぶんと早いんだな。

部屋に戻ってバックパックを降ろしたら、やれやれやっと着いた〜って感じになった。
まだ風呂まで1時間もあるのか。
本当は風呂上がりに飲もうと思っていたビールだが、待ちきれなくてもう飲んでしまった。

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 ビールが美味かった。

は〜、うめ〜〜〜〜!
トレッキングの後に飲むビールはまた格別なのだった。

3時40分になったので風呂に行く。本当は4時からなので一番風呂。
風呂から上がって、脱衣室から出るときに次の客と入れ替わりになった。ちょうど4時。向こうは一番風呂のつもりで来たのに先客がいたのであれっ?みたいな感じでいた。

また2本目のビールも飲んでしまった。いいや、まだ夕食まで2時間以上もあるし。

6時半、夕食会場へ。
別な客が入ったのか、昨日とは別の部屋だった。

自分の名前が書かれた札が置いてあるテーブルに着く。
ワオ、昨日より豪勢になっている。
また昨日と同じ冷酒の2合瓶を頼んだ。

昨日は塩ウニが入っていた小鉢のフタを取るとななな〜んと、生うに。
しかもエゾバフンウニだよ。

コンロの上に乗った鍋はご飯の上にきのこ、とろろ昆布それに蒸しウニが載っている。
お客さんお酒を召し上がるようなので雑炊にしましたとのこと。
何て気が利くんだろう。号泣ものだ。

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 昨日にも増して豪華になった夕食。

さて、まずは刺身とウニで1杯始めると、八角の焼き物が出てきた。
こうなるとお酒も1升ビンでほしいところだが、さっきビール2本飲んだところだしこれで我慢する。

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 上画像からはみ出たが、コンロに据えられたウニ雑炊。

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 生エゾバフンウニ (>▽<)きゃー!

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 生ボタンエビ (>▽<)きゃー!きゃー!

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 締めはウニ雑炊で。

お酒1本空いたところで、コンロに火をつけてもらった。
このウニ雑炊がまた絶品だった。昆布のだしの旨味が凝縮した汁とコッテリした蒸しウニの風味がもうたまらん。

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 雑炊は昆布だしの旨味とウニの風味が合体した絶品だった。

すっかり幸せな気分となって部屋へ戻った。

窓の外を見ると、やっぱり曇り空。今日は夕日を見ることはできなかった。

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 部屋の窓から。今日は夕日は見えず。

この宿の隣は道道の建設管理部の事務所。夜になっても明かりが消えることがなく、表にも車が1台置いてある。ずいぶん遅くまで残っているんだなと思ったが、早朝にも同じ車があったのですぐにわかった。
1人は一晩中詰めているようだ。夜中に何か起こったときに誰もいませんでしたじゃ困るからだろう。

明日の天気予報は曇りで夕方から晴れマークとなっていた。
朝のバスでとりあえず香深へ行き、それからどうするかは天気の様子を見て考えることにしよう。

6月30日(火)の費用
費目場所金額(円)
食費(飲料)自販機160
交通費宗谷バス420
食費(ビール)船泊マリンストアー723
6/30 合 計1,303


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2020年礼文島旅行記4 桃岩展望台コース

 ◆ 7月1日(水)

昨日と同じく鳥の鳴く音で目を覚ます。3時半。もう外からは明かりが差し込んで来る。もうひと眠りしてまた目覚めると5時過ぎだった。外からは相変わらず鳥のさえずり。

今日も相変わらずの曇り空だった。天気予報も今日は曇り、明日は雨マークもある。日本海上にある大型低気圧が北海道に接近しているようで、明日の雨はどうもガチっぽい。道南道央は完全に雨マークとなっていた。

朝食までボーっとしてても勿体ないし、テレビなど見る気もしない。
窓から見える浜に行ってみた。浜へは宿の裏手から出ることができる。

引き潮で広くなった砂浜は海面はベタ凪で波音もなく静か。海というより湖のようにも見える。
澄んだ海水ときれいな砂浜はどことなく南国のビーチにいるような錯覚にもなる。

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 船泊湾の砂浜はベタ凪の澄んだ海だった。

しかし澄んだ海中に揺らいで見える昆布はまさに北の海なのだった。

満ち潮の時には波打ち際になるだろうあたりには貝殻がびっしりと打ち上げられていた。
もしかして穴あき貝が落ちているかもと注意して見ながら歩くと、たちまちに何枚も集まった。



穴あき貝は、貝殻にドリルでつけたような丸い穴が開いている。もちろん人がつけたものではなく自然のもの。
これはツメタガイという肉食の巻貝が、やすりのような歯舌で貝殻を削って穴を開け、中身を食べた跡。
襲われた貝からすれば恐怖の存在だろうが、時を経てこうして浜に打ち上げられると何となく愛らしい姿となる不思議。

礼文島の土産物屋に並んでいたりするのを見かけたが、この辺りの浜では普通に拾えるものだった。
少し歩けば、たちまちに10枚以上拾うことができた。
これは海水で洗って持ち帰る。旅の思い出品にはなるだろう。

一面空を覆っていた雲はいつの間にか少なくなり、そのうちに日も差すようになった。

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 浜で拾った穴あき貝。

朝食は7時からだが、少し遅れて行くと仕事組の人たちは食事を終えて立ち去る頃だった。

お櫃と味噌汁を持ってきた女将に、
今朝はいい天気になりましたねえ
と言うと、女将が言うには、今週になってから(この時期にしては)珍しく天気が良くなって、先週はずっと雨で寒く、朝はストーブを焚いていたという。
なるほど、それで廊下にストーブが出ていたのか。

女将曰(いわ)く
でもあんまり天気が続いても、逆に花が早く終わっちゃうしねえ

まあ確かに相手は高山植物だから、日に当たることが続けばそうなるんだろうね。

テーブルにはおかずが入った重が置いてあるだけなので素っ気なく見えたが、昨日は塩鮭だったものは今朝はホッケになっていた。目玉焼きだったのも今朝は玉子焼き。
連泊者は違ったものを出すという心遣いがうれしい。

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 最後の朝食。ヨーグルトのデザート付き。

今まで仕事とプライベートを合わせても色んな所に泊ったことがあるが、ここの食事は1位とまではいかないが確実に2位か3位の座にはなると思う。
昨日の夕食といい、見た目は3流のボロ宿だが、料理は1流の宿だった。
これもたまたま日柄が良かっただけで、時化(しけ)の日に当たったら、それこそシケた食事が続いてた可能性もあるが・・・。

食べている途中で、「良かったらデザートをどうぞ」と持ってきた。
これはヨーグルトにマンゴと粉末の昆布砂糖(?)を乗せた品。昆布とヨーグルトの組み合わせが、変わった味がした。


 ◆ 香深へ移動

2泊した礼文荘は引き払って今日は宿替えとなる。
今日の予定は、病院前8時55分発のバスで香深へ行くことになる。
チェックアウトするときに2日分のお酒代1600円の支払い。これは初日に香深港で買って忘れていた礼文島プレミアム商品券を使った。
基本的に宿代には使えないが、追加の酒代や料理代には使うことができる。おつりは出ないので、3枚と100円で支払った。
土砂降りの札幌から持ってきたビニール傘は、邪魔になったので宿に引き取ってもらった。

出る頃にはすっかり青空が広がって、日差しも強くなっていた。

今日は暑くなりそうですよ
と主人が出がけに言った。
島の人が言うんだから間違いないのだろう。
礼文島の天気予報は、基本的に当てにならないと感じるようになっていた。

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 病院前バス停からバスに乗る。

船泊診療所の前にある病院前のバス停で待っていると、一昨日(おととい)に同じバスに乗っていた利尻空港タグの兄さんがやってきた。久種湖畔キャンプ場で2泊してたようだ。

バス停は進行方向とは反対側だが、『香深方面行のバスは玄関前に停車します』と張り紙がある。
診療所の車寄せの下に立っていた兄さんは、診療所にやってきた車にクラクションを鳴らされていた。

・・・すまんね〜、浜の人は気が短いんでね〜、悪く思わんでね〜 (^^;
言わないけどそう思った。

やってきたバスはスコトン発だが誰も乗っていなかった。

ほとんど快晴に近かった船泊の空も、香深に向かうにつれて雲が多くなってきた。初日はくっきり見えた利尻島はガスに霞んでいる、湿気の多そうないやな空気が感じ取れる。

昨日歩いた島めぐりコースも今日にしていれば綺麗だったろうなと思ったが、そうしたら昨日何していれば良かったんだということになるし、あの曇り空の下を歩いたことは別に後悔してはいない。

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 バスの窓から。利尻山はまた頭だけ覗かせていた。

バスは終点までは途中から乗ってくる人もなく、乗客はずっと私を含めた2人だけだった。

ずっと法定速度で走って時どき後続車に譲ったりしながらバスは、香深フェリーターミナルには時刻表通りに着いた。途中から利用する場合も、時刻表の時間よりも遥か前に行ってしまうということもないようだ。

時刻はまだ10時前、今日もまたトレッキングコースを歩くことにしている。
まずは荷物を何とかしなければ。
今日から2泊する宿に頼めば預かってくれるのかも知れないが、何となく面倒くさい。
フェリーターミナルにコインロッカーがあるのでここに預けてしまおう。
バックパックごとロッカーに入れると手ぶらになってしまうので、中身を別の袋に移してそちらをロッカーに入れることにした。
別に手ぶらでも良さそうだが、礼文島は山の天気。雨具くらいは用意しておいた方が良い。


 ◆ 桃岩展望台コースを歩く

昨日、今日の予定をどうするか色々考えたのだが、今日は礼文島トレッキングの定番(?)ともいえる桃岩展望台コースを歩くことにした。

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 本日歩いたルート(地理院地図より筆者作成)

桃岩展望台コースは香深から桃岩展望台を経て島南部の知床という漁村へ下りる全長6.4kmのコース。
礼文島のトレッキングを取り入れたツアーも、このコースを歩くものが多いようだ。


9時50分、フェリーターミナルを出発する。
町中を北へ歩くと、やがて礼文島に2つしかない信号機のうちの1つという交差点がある。ここを左に曲がると上り坂が始まる。
ちなみに、もう1つの信号機は船泊にあって、そちらは押しボタン式となっている。
どっちも信号機をつけても意味ないように見えるほど車は通らないが、子供の教育上のために付けたのだとか。

しばらく進んで町が途切れたあたりに、新しくできた新桃岩トンネルが口を開けている。
これが出来たことによって、元々あった旧桃岩トンネルは封鎖されてしまった。香深〜元地間の往来は便利になったが、元地方面から桃岩展望台へ行くには逆に不便になった格好になる。

元地は地蔵岩や桃岩を下から見上げるポイントがあったり、有名なユースホステル桃岩荘もあるのだが、徒歩で行くにはこの長いトンネルを通るしかない。歩道も狭く、あんまり歩きたいトンネルではないな。

実は3年前に仕事で礼文島に来たのは、この新桃岩トンネル絡みだった(かなり間接的だが)。少々懐かしくもある。

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 2016年11月に開通した新桃岩トンネル入口。

新桃岩トンネルの入口わきに『桃岩展望台近道』と書かれた道しるべがあって、登山道はそこから始まる。

しばらくは鬱蒼とした林の道が続く。暑い。
ずっと着ていたウインドブレーカーは脱いでバックパックに入れた。

大型バス駐車場からのコースと合流するあたりから視界が良くなる。足元に高山植物も見え始めた。
レンジャーハウスまで続く車道と交差するとここから一気に登りになる。レンジャーハウス前は駐車場があって、一般車で来た場合はそこに車を置くことになる。

10時30分桃岩展望台着。

フェリーターミナルからここまで歩いて約40分。
ちょっとした広場になっていて、その名の通り桃岩を上から見下ろす箇所。
ここに着いたら、

うわ〜〜〜!
マジかよ〜〜〜〜〜!
と叫びそうになった風景がそこにあった。

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 桃岩展望台と利尻富士。

さっきバスの窓から頭しか見えてなかった利尻富士が綺麗に姿を見せているではないか。
裾野は薄いガスを纏っているが、それが雲の上に浮かんでいるような恰好で、より一層幻想的な光景を作り出している。
まるで1000m級の頂上にでもいるような錯覚になるが、いま立っている場所の標高は200mと少しなのだった。

反対側は桃岩、その向こうには小さいが猫岩が見える。
この辺りは有名どころなのでわざわざ画像を貼るまでもないと思うが、一応貼っておきます。

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 桃の形をしているからこの名がついた桃岩。

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 猫が背を丸めてうずくまっているような形の猫岩(画像中央)。

車やバスで来た人は、桃岩展望台までで引き返すことも多いようだが、ここからがこのコースの本番となる。
ツアー客もぞろぞろと来るような道なので、木柵を設けたりやロープを張ったりして整備してある。昨日の腰まで藪に埋まるような岬めぐりコースの道とはえらい違う。

いやしかしこの雲に浮かんだような利尻富士の見え方はどうだろう。
足元には高山植物が咲き乱れ、天空の花道を行くようだ。
しばし足を止めて利尻富士に見入る。

実は肉体は既に失い、もう魂だけの存在になっていて、

この先に三途の川でもあるのでは・・・

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 海に浮かぶ利尻富士。

同じ礼文島でも花の縄張りが違うのか時期が違うのかは分からないが、咲いている花がずいぶんと違っていた。
昨日岬めぐりコースの主役だったエゾカンゾウはほとんど見つからず、代わってこちらの主役はピンクの花穂が揺れるイブキトラノオ(伊吹虎の尾)だった。
この群落にさしかかると、可愛らしくピンク色の穂が一斉に揺らいで出迎えてくれる。

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 あちこちでイブキトラノオのピンク色の花が揺れていた。

ピンクと緑と空色のコントラスト。
しかし写真うつりは悪かった。画像では肉眼の通りにはならない。カメラとか写真に造詣が深ければ綺麗に決めるのだろうが、一眼レフのオート撮影ではこれが限界です。

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 元地灯台1.9km 桃岩0.9kmの道しるべ。

景色に見入ったり撮影をしたり、何度も足を止めているうちに、後続組に抜かれる。
あと、意外と反対から来る人とすれ違う。知床から逆コースで来た人たちだろう。

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 スカイブルーの海の色。

ここまでは断崖の上を通ってきたが、やがて草原が広がる場所に出る。
草原の中に一筋の遊歩道が下ってまた登るのが一望できる。ここがキンバイの谷
キンバイって何だろうと思っていたが、ここがレブンキンバイソウ(礼文金梅草)の群落ということらしかった。

レブンキンバイソウはと探したが見つからず、意外と歩いている足元に普通に咲いていたりする。

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 レブンキンバイソウを見つけた。日本では礼文島にのみ自生する。

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 キンバイの谷を見下ろす。

さっきガイドとマンツーマンで歩いている人に追い越されたが、ガイド付きの人はキンバイの谷で引き返していった。
ここまで来れば知床まで通り抜けても手間は同じだと思ったが、よく考えたら車で来た人はまた車へ戻らなければならないのだった。

キンバイの谷からまた登り切ったところがつばめ山の頂上。
ここからは東に利尻水道、南に礼文水道、西に日本海と三方の海を望む場所。木柵で囲われた、ちょっとした展望台のようになっている。
眺めは抜群だが、雄大過ぎて1枚の写真で表現するのは難しい。

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 つばめ山から見た桃岩と元地方向。下に桃岩荘が見える。

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 足元に咲くチシマフウロ、レブンシオガマ、写真うつりが悪い。実物はもっと綺麗。

つばめ山を過ぎるとあとは基本下り。
途中に広地灯台があって、ここにはベンチがあった。ここでちょっと休憩させてもらう。

さっきまで尖がったシルエットを見せていた利尻富士は、いつの間にか頭だけすっぽりと雲の中になってしまっていた。
雲は少しずつ動いているので、待っていればまた雲が晴れるだろうと、ここでしばらく様子を見ることにした。
それにまだ11時30分を過ぎたばかり。

ゆっくり歩いてきたつもりだが、フェリーターミナルを発ってから、まだ2時間も経っていない。
早く下山したところで、次に行くところがあるわけじゃない。ここでしばらくのんびりと過ごす。

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 元地灯台は別名花の浮島の灯台。

40分くらいベンチで利尻富士の様子を眺めていたが、頂上の雲は流れているが一向に消える気配はない。
あきらめてもう先に行くことにした。

元地灯台からは下に会津ノ崎と灯台、それに利尻富士を見下ろしながら一直線に下る道。
それはそれで絵になる風景だが、今までずっと絶景ばかり続いていたのと、もうそろそろコースも終わりだなということで退屈な感じは否めない。
かといって、ここからまた来た道を戻るのかと言われれば、そこまでする気にもならない。
途中からは灯台の管理用なのか、二条の轍の道となった。

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 利尻富士を正面に見ながら知床へ下る。

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 桃岩展望台コース知床口。

知床口のゲートでトレイルコースは終わり。
桃岩展望台コースに咲く花の看板が立っていて、花の写真と名前が載っている。
その中に、これでもかと咲いていたピンクのイブキトラノオと白いハナウドは載っていなかった。ありふれているからなのだろうか。

さらに下ると知床の漁村が見えてきた。
時刻は12時30分。さっき元地灯台の休憩時間を差し引けば、香深フェリーターミナルを出発して2時間で知床に下山できたことになる。
桃岩展望台コースのフェリーターミナル〜知床間の所要時間は、ガイドブック等の公称では3時間程度となっているが、実際にはゆっくり歩いても2時間程度の所要時間なのだった。

このまま真直ぐ行けばバス停のある道道に出るのだが、町の手前に『北のカナリアパーク0.6km』と書かれた道しるべがあったのでそちらの方へ行ってみる。

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 知床の漁村と雲をかぶった利尻富士。

小さな沢を渡った先に、廃校になった小学校の建物が現われた。
それらしく綺麗にリフォームされているので期待するが、今は防災避難所となっているだけのようだ。
そこから新しい道路を行くと北のカナリアパークがある。

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 北のカナリアパークとロケに使われた木造校舎。

利尻富士を背に建つ古い木造校舎は、2012年に放映された東映映画『北のカナリアたち』のロケに使われたもの。
吉永小百合演じる小学校教師が、とある事件から島を追われ、その教え子が起こした事件からまた再び島を訪れるまでのストーリー。

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 映画『北のカナリア』に使用された校舎。

実はこの旅行に出発する前にDVDをレンタルして見ておいた。
おお、映画で見たのと同じ校舎だと感激する。
礼文島に行って北のカナリアパークも見てこようという人は、一度この映画を観ておいて損はないですよ。


 ◆ ゲストハウスのんの

ここ知床から香深までは3kmほどの距離。数少ないが路線バスもあって元地灯台で休憩しなければ間に合ったが、もうずっと平坦な道路なので、歩いてもどうってことは無い。それに早く戻っても困るので。

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 知床から香深までの道道。

右側に海と利尻富士を見ながらテクテクと歩く。道沿いは家が途切れることなく続いていた。
13時45分、ぐるっと1周してまたフェリーターミナルに戻ってきた。

コインロッカーの荷物を出して、14時になったので今日からの宿に向かう。
チェックインが14時からとなっていたからだ。

今日から香深で2泊する宿はゲストハウスのんの
素泊まりオンリーでトイレ・シャワー共同ながら1泊4,500円という格安なのが魅力。
ビジネスホテルでも3千円台からある本土に比べると安くはないが、この時期に礼文島に泊ると平気で1万円超えがザラということを考えると格安ということになる。

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 今日から2泊する宿はゲストハウスのんの。

場所はフェリーターミナルから徒歩1分という交通至便な場所にある。とはいっても町の中心部からは若干離れているので、フェリーターミナルに近いのが必ずしも便利というわけでもないようだが。
ともかく、当初は礼文荘の2泊で帰るところだったのだが、もう2泊するのを決めたのはこの宿の存在だった。

1階はカフェになっていて、宿のエントランスもカフェと同じで、店に入った脇に2階の宿へのドアがある。
チェックインは1階のカフェで行う。
店番のねえさんが2階まで一緒に上がってきて色々説明してくれた。電子レンジや電気ポット、冷蔵庫もあってこれらも共同である。
海外旅行で安宿に泊まるとこんな所ばかりなので、むしろ慣れた宿に感じた。

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 6畳1間の簡素な和室だが、値段相応。

下のカフェに似合わず部屋が畳部屋なのは、元々旅館だった建物を改装したからだろう。
窓の外はすぐ隣家の壁。小さなテーブルと、布団が敷いてあるだけの簡素な部屋だが、1人旅ならばこれで十分。

時刻はまだ2時を過ぎたばかり。さて、これからどうする。
夕食はどこか店に入るか、それとも何か買ってきて部屋で飲みながら食べるか。
横になってしばらく考えた。

あっ、礼文町郷土資料館があるのを思い出した。一応雨に当たったときのことを考えて、屋内で時間を潰せるようなところはマークしておいた。そこへ行くことにした。


 ◆ 香深の過ごし方

外に出ると、さっきまできれいに見えていた利尻富士がきれいさっぱり消えていた
水平線ちかくは雲が覆っていた。ほんの30分前まではあんなにくっきり見えていたのに。
本当にこの時期の利尻礼文は大気が不安定というか山の天気そのものだと実感する。

郷土資料館は『礼文町町民総合活動センター ピスカ21』という建物に同居していた。中の受付で310円の入場料を払ってチケットとパンフレットを貰う。
礼文島のジオラマやトドのはく製から始まって、島の歴史や文化を展示している。
それなりに見ごたえもあって、これなら500円くらい取ってもいいんじゃないくらいに思えた。

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 トドのはく製。

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 1階の展示コーナーを見下ろす。

できるだけジックリと見てきたつもりだが、外に出ると15時20分。40分しか経っていなかった。

利尻富士は相変わらず雲の中。
もう宿に戻って1杯やってようかと、香深唯一のスーパー、香深マリンストアに寄る。
これが店内に入ると驚いた。

ロシア人もびっくり

何に驚いたかって、棚や冷蔵ケースはスッカスカ。またどれも高いこと。離島だから高いのは仕方ないが、昨日行った船泊マリンストアーとはえらい違いに感じた。

どうでもいいことだが、昨日行った船泊の『マリンストアー』に対し、ここ香深のは『マリンストア』となる。
本当にどうでもいいが。

しょうがないな、セイコーマートまで行くことにした。
礼文島唯一セイコーマート香深はなぜか香深の町ではなくて、町から2km以上北に行ったところにある。
車社会だから別にどこにあってもいいのだろうが、車を持たない人や旅行者にとっては困ったところ。

まあいいや、セイコーマート買い物コースというトレッキングコースとでも思えばいいや。
どうせ時間はたっぷりとあるし。

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 礼文島にただ1軒のセイコーマート。

さすが我が道民のセイコーマート。こんな辺境でも期待を裏切らない豊富な品揃え、本土と変わらない価格。
あらためてセイコーマートを見直したのだった。
ホットシェフやイートインもある。ただ、イートインはコロナの影響で閉鎖中だった。

総菜や酒、それに明日の朝食を仕入れて、セイコーマートの袋を下げてまた来た道を戻る。
青空なのだが、歩いている途中、利尻島を隠した海霧(ガス)が流れ込んできた。
香深に戻ってくる頃には、ガスは町中を真っ白に覆い隠すほどになっていた。

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 香深に戻ると町はガスに覆われていた。

フェリーターミナルには、ちょうど稚内からのフェリーが着くのが見えた。
着いた人を出迎える気分で、ターミナルに寄ってみる。

1階のコンコースには、一昨日はほとんどいなかった各宿の迎えの人たちが、宿の名前の入った幟(のぼり)を持って立っている。
日本じゃとっくの昔に消えた時代がかった光景が、真新しいフェリーターミナルのコンコースに残っているのだった。

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 宿の幟(のぼり)を持って下船客を迎える光景。

やがて乗船客が次々とエスカレーターを下りてきた。
一昨日と違って、観光客とわかる人が増えていた。
道民限定で旅行代金を補助する『どうみん割』も今日からスタートしている。

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 今日の夕食というか酒宴。

部屋に戻って、シャワーを浴びてから1杯やりはじめる。
ずっと歩いていたのでビールが美味い。
焼き鳥は電子レンジで温めてきた。

礼文荘の2食付き据え膳上げ膳(すえぜんあげぜん)も悪くなかったが、部屋にこもって1人で酒宴というのもまた気楽な良さがある

スマホで明日の天気を見ると、雨マークが消えていた。これも朝が晴れだったり逆に夕方から晴れとするのもあったり各社バラバラな予報だが、少なくとも雨に当たることはなさそうだ。
コロコロと変わる予報だから、どうなるかはまだわからないが。

7月1日(水)の費用
費目場所金額(円)
交通費宗谷バス980
食費(飲料)香深フェリー(タ)120
コインロッカー香深フェリー(タ)300
入場料礼文町郷土資料館310
食費(食品・酒)セイコーマート香深2,237
7/1 合計
3,947


posted by pupupukaya at 20/07/23 | Comment(0) | 2020年その他旅行記

2020年礼文島旅行記5 礼文林道・礼文滝コース

 ◆ 7月2日(木)

今日は目覚めたら6時だった。昨日までは3時台に目覚めてたので、ずいぶん寝坊したような気になる。
素泊まりなのだから、早く起きたら早く出ればいいのだが、そうすると戻りも早くなってしまう。
天気予報は概ね曇りか曇りのち晴れといったところ。とりあえず雨に当たる心配はなさそう。

朝食は昨日セイコーマートで買っておいたカップヌードルとパン。なんか情けない食事だが、ごちそう続きだったので、こういうのも妙に恋しくなる。

今日の予定は、香深井まで行ってそこから礼文林道を経て礼文滝まで行き、そこで折り返して礼文林道に戻り、香深へ戻ってくるというもの。
トレッキングコースの礼文林道コース(8.2km)と礼文滝コース(4.0km)を合体させた格好となる。

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 礼文林道・礼文滝コースのルート(地理院地図より筆者作成)

7時40分少し前に宿を出る。
1Fの店は9時からオープンなので誰もいない。しかし、2Fの宿へは店を通らないと出入りできないためか鍵を掛けずに開放している。
ずいぶんと物騒な気もするが、島には悪い人はいないんだろうか。

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 誰もいない1Fのカフェ店内。

香深井は香深の町とは別で、フェリーターミナルからだと4.8km北にある漁村だ。バスならば11分だが、歩けば1時間はかかる距離。
ちょうど7時45分発のスコトン行のバスがあるのでそれに合わせて出てきたのだが、既に停車しているバスの車内には4〜5人のハイカーが見えた。一緒になったら嫌だなあと思い、香深井まで歩くことにする。
時間はたっぷりあるし、それに途中のセイコーマートに寄れるという利点もある。

フェリーターミナルの自販機でスポーツ飲料を買ってからスタートする。
買ってから気が付いたが、セコマで買えば良かったんじゃ・・・

途中のセイコーマートで昼食用のおにぎりとサーターアンダギーを買った。なぜか13年前に行った沖縄の離島を思い出したから。
道道礼文島線を北へ向かってテクテク歩く。歩いているうちに曇り空だったのがだんだん青空へと変わってきた。

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 香深から香深井までは道道を歩いて1時間。

香深井のバス停は香深井郵便局の真向かいにあり、バスで来たのならばここが出発点となる。横の家に自販機があったので、バスで来たならここで飲み物しか手に入らない。
時刻は8時43分、香深から歩いてセイコーマートに寄って、ほぼ1時間少々ということになる。


 ◆ 礼文林道コース

橋の手前を左に曲がって狭い道路に入る。人家が終わるあたりに除雪車の車庫があって、そこから礼文林道が始まる。

礼文林道は車の通行は一応可能だが、入口には『自粛』をお願いする看板が立っていた。
林道と言っても二条の轍だけが続いているような道だし、轍が深くなっていたりぬかるみがあったり、対向車が来てもすれ違いは不可能なので車では入らない方が無難である。

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 礼文林道の入口にある看板。

林道に入ってしばらく行くと8時間コースの道が分かれて行く。桃岩荘でやってる『愛とロマンの8時間コース』はスコトン岬を出発してここに出て、礼文林道を南下して戻るコースとしている。この次来たときは挑戦してみたいところ。

礼文林道に入って30分くらいはずっと林の中を通る。上り坂は緩やかだが、退屈な道をダラダラと歩く。この辺りから携帯も圏外となった。
地図は国土地理院の地形図を画像にしてスマホに入れておいたので、それを見ればどこにいるのかはわかる。
が、トレイルコースは整備されているので、地図がなくても不便なことは無いと思う。

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 二条の轍が続く礼文林道。

ずっと歩いているうちに林がなくなり、ヤブの丈も低くなってきて視界が開けるようになった。
礼文滝入口の看板が立つ分岐点に着いたのは9時45分、香深井からここまでが大体1時間というところだった。


 ◆ 礼文滝コース往復

ここから礼文滝へ向かうことになる。
この礼文滝コースは西海岸の礼文滝までの片道2kmのコースで、ロープを伝って下りる急斜面や沢を渡る箇所もある険しい道だ。
コース入口の看板には、
礼文滝コースは川を複数個所横断する大変険しいコースとなっております。通行の際は足元に十分注意し、安全に気を付けてご利用ください
とあった。

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 礼文滝入口。

最初は笹を刈ってつけたような道が続くが、だんだんヤブに覆われてきて、こんどは林の中を下ったり登ったり。
海に向かうので基本下り坂、戻りはこれ登らなきゃならないのかとため息が出そうな急な連続の下り斜面もあった。そんな道が1kmほど続く。
時どき高山植物の可憐な花が足元に咲いているのが唯一の慰め。

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 鬱蒼としたアップダウンが続く。

暗い林や背の高いヤブの中をずっと行くと突然視界が開ける。
そこはロープで囲まれた、ちょっとした広場のようになっていた。
ここへ来た人が少しずつ積んで出来たのか、小さなケルンもあった。

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 ケルンのある広場。

10時06分、礼文滝入口からここまでちょうど20分。

ここから見下ろすV字谷が素晴らしい。
ここは通称ハイジの丘と呼ばれる。アルプスの少女ハイジに出てくるようなアルプスの丘のようだということでそう呼ばれるようになったらしい。

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 ケルンから見下ろしたハイジの丘。

確かにここにヤギでもいたらハイジの世界だな。
青い空、青い海、緑の草原、風が気持ちいい、あ〜もうここから動きたくない。
ずっと暗いヤブの中を登ったり下りたりしてきたので余計にそう思う。

5分ほど佇んで、また出発する。道はさらに礼文滝へと続く。
谷を見下ろしながらしばらく歩くと、今度は一気に谷底へと下る。
一気にといっても、道は一応つづら折りにつけられているが、それでも板で階段状になるほど急になっている。戻りはこれを登らなきゃならないのか。
谷の底からはこんどは沢伝いに道が続く。

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 谷底からさっき下りてきたつづら折りを振り返る。

V字谷の底に流れる沢の脇に足場を求めてつけられた道なので、途中で何回も川を渡る箇所がある。
橋はなくて、そういうところはロープが渡してある。
ロープなど無くても飛び石に乗って越えられるところはいいが、ロープをしっかり握って飛び越えるところはスリルがある。
着地に失敗しても足元がずぶ濡れになるだけだが。

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 数か所ある渡河箇所。ロープが頼り。

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 トレイルの脇に咲く花。

何度も何度も川を渡って下って行くうちに海が目の前に現れた。
礼文滝まであと一息。

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 また川を渡る。

海が目前というところが、ちょうど礼文滝の上に当たる。
ここからは滝を見ながらロープ伝いに下る。

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 海が見えてきた。ここがちょうど滝の上部になる。

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 海岸から見上げる礼文滝。

10時40分、礼文滝に到着。
ハイジの丘のケルンからここまで30分。礼文林道からここまで1時間もかからなかった。
岩肌を流れ落ちる滝は、近くで見ると迫力がある。

どこにでもある滝だが、ここは沢伝いに何度も川を渡ってロープ伝いに下りてこなければ辿り着けない秘境である。
いや〜うれしいねえ。

IMG_1304.JPG
 礼文滝の浜。

海岸は、礼文滝のまわりだけは石の浜になっているが、その両側は断崖が続く。
昔は『愛とロマンの8時間コース』のルートはずっと西海岸沿いにあって、今いる場所もそのコースの一部だったが、事故が起きてから礼文林道を迂回するコースに改められたのだという。

昼には早いが、岩に腰掛けてセイコーマートで買ってきた昼食のおにぎりを食べる。
海は波がずいぶんと高い。これは日本海上の低気圧のせいだろう。天気予報を見ると今日晴れているのは道北地方だけで、道南道央は雨となっていた。

ここは今は晴れているが、山々にはどんどんガスがかかり始めている。
せっかく苦労して来たのだから、ゆっくりしていきたいところだが、ガスがこっちにも流れてくるかもしれない。
おにぎりを食べたら早々に戻ることにした。

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 元地漁港の防波堤が思いのほか近くに見える。

岩の向こうには元地漁港の防波堤と灯台が見えている。ここから直線距離だと1kmほどの距離。
昔は岩伝いに元地まで歩いて行けたのだが、もう大分前に通行禁止になってしまった。

また登って下りて礼文林道まで戻らなければならない。
意外と近くに見える元地の漁港がうらめしく見えた。

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 低気圧のせいか海は荒れていた。

11時00分、礼文滝を出発。今度はロープを引いて滝の脇をよじ登る。
また谷底の沢伝いの道を戻ることになる。
遠くにみえていたガスは、この谷にも流れ始めていた。

IMG_1355.JPG
 ハイジの丘にもガスが忍び寄ってくる。

つづら折りを登ってまたケルンの所まで戻ってきた。
ここで4人ほどのガイド付きのパーティーとすれ違う。礼文滝まで往復するようだ。

ガイドが私のカメラを見て、
「カメラのレンズは大丈夫ですか?さっきレンズフードが落ちてましたが」
「えっ?」
慌ててカメラを見たが、自分のではなかった。

ハイジの丘もだんだん霞んできた。晴れているうちに往復してこれたので運が良かったよ言えよう。
こんどは礼文林道目指してまた下りたり登ったりの道を行く。

途中で、なるほどレンズフードが石の上にあった。ニコンのレンズフード。私のはキヤノンだしレンズも純正ではないのでね。
落とし主もレンズフードのためにわざわざ探しにくることはないだろうな。
レンズ落としましただったら血相変えて引き返してくるかも知れないが。

再び礼文林道の礼文滝入口まで戻ってきたのが11時52分
戻りは登りだから行きより時間がかかるのかなと思っていたが、戻りも1時間はかからなかった。

雄大な風景や険しい道に登山のような印象を持っていたが何のことはない、ここから礼文滝までの高低差は僅か180mでしかなかった。

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 礼文林道は完全にガスの中になってしまった。

礼文林道は南半分の方が景色は良さそうだが、もう完全にガスってしまって山も谷も白一色になってしまった。
東側の斜面を伝うように海からのガスが流れ込んで来る。今日はもうダメだね。

途中にあるレブンウスユキソウ群生地にはトイレがある。
晴れていればここから元地海岸を見下ろし、利尻富士も見えるスポットなのだろうが、今日は白一色。
ここで用を足して、ガスが晴れないかなあ・・・と期待して柵にもたれて谷を見ていたが一向にその気配はないようだった。

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  レブンウスユキソウ群生地。奥の建物はトイレとレンジャーハウス。

林道とは別に谷の斜面に歩道が設けられて、そこからレブンウスユキソウの花を見ることができる。ちょうど今が満開のようで、緑の中に白い花が点々と咲いていた。

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 斜面に点々と咲く群生地。

薄い雪をまとったようなウスユキソウ。ヨーロッパではエーデルワイスとなる。
ドイツ語でエーデルワイス(Edelweiß)は訳すと『白い貴族』とでもなるのだろうか。

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 薄く雪をまとったようなレブンウスユキソウ(礼文薄雪草)。

白くて小さい花は見るからに弱々しい。
ガスって薄暗いくらいのほうが花には健康的なのだろうか。

この時期の利尻礼文は曇り空やガスが多くて旅行者は落胆させられることが多い季節だが、だからこそ低地でも高山植物が自生する環境になり、花が咲いて私たちの目を楽しませてくれる面もある。

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 礼文林道元地口。

13時08分、礼文林道はここで終わり。道道を下って行けば宿まで20分とかからないだろう。
また意外と早く着いてしまった。
ガイドに載っているトレイルコースの所要時間もまた相当余裕を持った時間になっているので、これで行程を組むと早く着きすぎるのだった。

このまま宿に戻っても13時半、もうちょっと歩いてこようかと町とは反対側へ歩き出す。
もしや、と思って桃岩展望台に行ってみることにした。

IMG_1507.JPG
 桃岩展望台に続く登山道から桃岩登山口を振り返る。

桃岩展望台まで登ってきたが、やっぱり何も見えなかった。
こんなガスの中歩こうなんて人もいないようで、ここまで全くの無人。
やっぱり宿に戻るしかないのか。

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 桃岩展望台もガスって何も見えなかった。

展望台までの道沿いはピンクの穂をつけたイブキトラノオが満開。
昨日は晴れていたが今日はガスの中。だけど、日光の下よりもガスってる方が色つやが良いように見える。
写真うつりも全然違っていた。

IMG_1511.JPG
 ガスってる方が花は元気そうに見える。

そのまま町まで下ってきて、結局2時半には宿に戻ってしまった。
これで、今回の礼文島行で行きたいところはすべて行ってきたことになる。

もう行くところもないしすることもない。シャワーを浴びて、布団に入ってひと眠りする。


 ◆ 炉ばた ちどり

今日はホッケのちゃんちゃん焼きを食べることに決めていた。
これは『炉ばた ちどり』か『海鮮処 かふか』ということになる。どちらも網の上で炭火焼きにするという礼文島独特のスタイルで出している。

4時半宿を出てちゃんちゃん焼きを求めて店へ向かう。入ったのは炉ばたちどり。海鮮処かふかは漁協直営だが17時にならないと開店しないので。
こっちのちどりの方はちゃんちゃん焼きの元祖らしい。今時期ならば外まで行列ができるほどの有名店だが、さすがに今年は閑古鳥だろう。

DSCN1282.JPG
 ちゃんちゃん焼発祥とされる炉ばたちどり。

店に入ると小あがりの炭焼き用のテーブルが何卓か、椅子の大テーブルそれにカウンター。先客は観光客の夫婦が1組、地元の兄さんらしい2人がカウンターでビールジョッキを手に話をしていた。

出てきたとうさんにちゃんちゃん焼きが食べたいと言うと、
「ちょっとお時間いただきますよ」
とのこと。
炭焼きだからいろいろ準備があるんだろう。別に急ぎじゃないし早く来過ぎたのでゆっくり待たせてもらう。

炭焼きの準備が出来たテーブルに着いて、ちゃんちゃん焼きと生ビールを頼む。
ホッケは大ぶりのもの。これに特製の甘味噌とネギを乗せて、下からの炭火で焼く。
ビールをチビチビやりながらしばらく待つ。

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 名物のホッケちゃんちゃん焼き。

焼けてきたら結構忙しい。生ビールは空になったのでもう1杯頼んだ。
炭火に落ちた脂で燻されたホッケと味噌を絡めながら食べるとビールによく合う。
身を食べ終わったらひっくり返して身の方を焼く。こうすると皮がパリパリになって美味いのよ。

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 尻尾の方から焼けてきたら、ほぐして味噌を絡めて食べる。

カウンターの方から地元の兄さんたちの会話が聞くとは無しに聞こえてくる。

「俺、ビール飲めないんだ、この間の健診で痛風(つうふう)だって言われてさ」
「ああ、俺も痛風だって言われたよ」
「酷いのになるとビッコ引いて歩くようになるしね」
「足に来るのはまだマシで、手首に来るとヤバいらしいよ」

何だよ、揃いも揃って痛風かよ。
島の男たちの悩みは痛風らしかった。

ネーちゃんいる飲み屋も無いし、飲むしか楽しみが無いしね

こっちまで泣けてくるような島の男たちの愚痴 (´;ω;`)

「この夏はさっぱり出ないねえ、こっちゃあノルマもあるのに」
「本土から車を航送してくるだけ赤字だよ」

レンタカー屋に勤めているらしい兄さんの愚痴。
これが島訛りで喋るので、余所者の私には寄席のように滑稽に聞こえる。

「電話で予約受けたら、なんでそんなに高いんだと文句言われてよお」

「前の客がマット泥だらけにしてきたんで、洗って次の客に貸したら、なんでマット濡れてるんだとまたクレーム来てさあ」

「この間なんか、消費者センターまでクレーム行って」

島の男たちの悩みは尽きない

そうしているうちに、店内のテレビは東京都でコロナ患者が107人出たと報じていた。

こりゃ終わらんべ、また旅行自粛がはじまるわ

遠い東京の出来事も、観光に生きる礼文島にとっては他人事ではないのだった。

そろそろ帰ることにする。
ホッケのちゃんちゃん焼きと生ビール2杯で2150円
2千円分は礼文島プレミアム商品券で支払う。
残りは3千円分。これは明日土産物でも買うことにしよう。

DSCN1322.JPG
 7/2、本日の歩数(スマホの歩数計)

今日が一番歩いた。
スマホの歩数計を見ると今日の歩数は35,998歩。距離にして27.4km

もう目的は果たしたので、明日は朝のフェリーで稚内へ戻る。
7/1からはコロナ運休していた特急サロベツも運転再開しているので、夕方には札幌に戻れる。

7月2日(木)の費用
費目場所金額(円)
食費(飲料)香深フェリー(タ)160
食費(昼食)セイコーマート319
食費(外食)炉ばた ちどり(現金分)150
7/2合計629


posted by pupupukaya at 20/07/24 | Comment(0) | 2020年その他旅行記
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