2019年冬フィンランド旅行記1 ヘルシンキまで

北欧と言えば夏は日が沈まない白夜。
逆に冬は日が昇らない極夜の季節。また冬と言えばオーロラである。

北欧は3年前の2015年、ちょうど白夜の時期に行ってきた。
北極圏まで行けば一晩中明るい中、昼間と錯覚するような妙な気分に陥ったものだった。

今回はその逆の、日が昇らない極夜。
日中でも真っ暗というわけではなさそうだが、前回白夜を経験したのだから、今回はその真逆の極夜を体験したい。
それにオーロラである。

ヘルシンキまで往復の航空券は7月中に買っておいた。
ずいぶんと気が早い話だが、早い方が安く買えるのと、オーロラが見えるかどうかなんて1年前だろうが1週間前だろうがだれにもわからない。
ここはひとつ賭けに出たのだった。

果たしてその賭けは・・・

ということで旅行記のスタートとなります。

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 2019年冬フィンランド旅行記のルートマップ(筆者作成)

  日付 行程
1日目12/24札幌【飛行機】成田空港【飛行機】ヘルシンキ(泊) 
2日目12/25 ヘルシンキ【夜行列車】(泊)
3日目12/26 〜ロヴァニエミ【バス】イナリ(泊)
4日目12/27 イナリ(泊)
5日目12/28 イナリ【バス】ロヴァニエミ(泊)
6日目12/29 ロヴァニエミ【列車】ヘルシンキ(泊)
7日目12/30 ヘルシンキ【列車】トゥルク【列車】ヘルシンキ(泊)
8日目12/31 ヘルシンキ【飛行機】(泊)
9日目1/1〜成田空港【飛行機】札幌


 ◆ 新千歳空港 7:50【JAL3040】9:35 成田空港T2

私は札幌の人なので、助走として成田空港までのフライトとなる。
札幌6:16発の快速エアポートで新千歳空港へ。朝一の快速である。もう1本後のでも十分間に合うのだが、余裕をもって出てきた。これが正解だった。

JALの国際線乗り継ぎカウンターへ行くと長蛇の列。この人たちどうやって来たんだろうと思いつつ列の後ろに並ぶ。
半分以上がアジアからの外国人客。みんなこれでもかというほどの大荷物。

列はさっぱり進まず。
ほとんどが今度の成田行きの客なのだろうから乗り遅れることはないだろうが、時間はどんどん過ぎて行く。
自分の番まで並んでから30分もかかった。

やっぱり年末は旅行するもんじゃないな。

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 まずは成田空港まで助走区間。

成田までは普通席の最前列窓側を押さえておいた。前に座席がないのでゆったりとしているし、普通席では真っ先に降りることができる。
どういうわけか隣は空席、通路向かいの席は3席とも空いたままだった。

このままヘルシンキまで飛んで行ってほしいと思うほど快適に過ごせた。

天気は良く、ずっと下界が見えていた。
成田空港手前からは白い富士山がくっきりと見えた。
まずは幸先の良いスタートである。

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 普通席の最前列シート。

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 九十九里浜上空からの富士山。

定刻は9:35着だが、若干遅れて飛行機を降りたのは9:50近くだった。

預け荷物はヘルシンキ空港へ直行する。
一旦外に出ようかと思ったが、出ても何かあるわけではなく、国際線乗り継ぎの方へ向かう。


 ◆ 成田空港T2 11:30【JL413】15:00 ヘルシンキ空港

セキュリティーゲートをまた通って次が出国審査。
あれ?前回は自動化ゲートだったが、今回はまた有人のゲートに戻っていた。
スタンプをポンと押されて通過する。

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 成田空港の出国スタンプ。

今のパスポートは2010年に取得したもので、来年の7月に期限切れとなる。多分こいつの最後の仕事となるだろう。
今回のフィンランドで訪問国は10か国になる。
ページがいっぱいにとまではならないが、並んだスタンプばそれなりに大したものだとも思える。

ここまで意外と人が少ない。まだ年末の帰国ラッシュには早すぎるからか。

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 千葉銀行の両替所と今日のレート。

まずやるべきはユーロへの両替。
旅行中は基本クレジットカード払いだし、向こうでATMで引き出すこともできるのでそんなに多くは必要ない。
\5000相当と記入して窓口に差し出すと40ユーロで4,993円だった。
10ユーロ札4枚。

あと前回2012年の残りだった硬貨が6ユーロと少し。これも使ってしまおうと持ってきた。
別にここで両替しなくても支障ないのだが、当座のお金が無けりゃ無いで不安になるので。

あとは出発時間まで免税店を見ながらブラブラしてりゃいい。

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 このきらびやかさは外国人には憧れなのかなあ。

免税店だからといって特に安いわけではない。電気製品は外の量販店の方が安い。
お酒は高級品ばかりなので高いのか安いのかわからない。
カートン売りのたばこは明らかに安い。

お酒のコーナーに1本1500円の麦焼酎を見つけ、買うことにした。

今日はクリスマスイブ。キリスト教徒の国はクリスマスは祝日としている国が多い。フィンランドもその一つである。
祝日だと何が困るかというと、酒が手に入らないかもしれないということ。

北欧は酒類の販売が規制されていて、フィンランドでは国営の『アルコ(Alko)』という店でしか買うことができないし、日曜祝日は休みになる。
ビールならばスーパーでも手に入るが、これもどうなるかはわからない。

別に手に入らないのならばそれでもいいのだが、異国の地についてホテルの部屋での1杯というのがまた海外旅行の醍醐味でもあるので。

店の人に行先を聞かれ、「ヘルシンキ」と答えると厚いビニール袋に入れて封をした。向こうに入国するまで開けてはいけないという。

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 ヘルシンキ行きの64番ゲート。

ここからが本走。JL413便、10時間半のフライト。
64番のゲートへ行くともう改札が始まっていた。

列の後ろの方にいたと思っていたが、機内に入るとまだ席がいっぱい空いていた。

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 10時間半過ごすエコノミー席。

今回も飛行機はJALとした。
成田空港発着便しかないので、帰りは成田から羽田までの余計な移動が増えることになる。

中部や関西到着とすれば同じ空港で乗り継ぎができるが、フィンエアーのコードシェア便利用ということになる。
前回北欧に行ったときは、帰りがヘルシンキ〜中部〜新千歳の乗り継ぎだった。

フィンエアーは良い評判ばかり聞くが、う〜んそうかなあというのが私自身の感想。
前回は空いていたから良かったが、あれで満席だったら相当つらいなと思い帰りもJALとしたわけである。

別にJALの宣伝というわけではないが、座席も良くできていて、長時間のフライトを毛嫌いする人でもこれならアリなんじゃないか。
行きも帰りも、最後まで座席を倒している人がほとんどいなかったのは、それだけ良い座席ということだ。

その中でも当たりの席が前回のオーストラリア行きがそうだったし、今回もそうであると確信してチョイスしておいた席だ。
足元に遮るものがない非常口前の次に快適かもしれない。

その席とは、エコノミーには窓の無い席があって、そのすぐ後ろの席。

なぜかこの席だけ通路側にせり出していて、窓側と席のひじ掛けの間に10cmほどの空間がある。
腕1本入るくらいだが、狭い機内では大変ありがたい。
機内食の時など、窓側席でこの空間があるなしでは全然違うのだった。

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 なぜか窓側に空間のある席。

11:35、おお動いたぞ!
てなほどではないが、やっぱりこの瞬間はワクワクする。

離陸して北に向かうのかと思ったら機体を傾けて旋回をはじめた。ぐるりと1周してまた上昇を始めた。
おかげでまた富士山が見えた。

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 離陸ラッシュなのか後ろに番を待つ飛行機が並ぶ。

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 また富士山が見えた。

離陸して1時間くらいしてウェルカムドリンクの時間。
いつも通りブランデーを貰う。ていうかまだ3回目だけど。
今回はロックにしてもらった。

天気は良く、窓からもずっと下界が見えている。
これもずっと眺めていれば飽きてくるものだが、雲ばっかりとかずっと海の上とかだとつまらない。

ブランデーをチビチビ飲っていたら気分も良くなる。

札幌からずっと幸先の良いスタートだった。
まあツイてるんだろうな。

でもこんなところで運を使ってしまうのはナシですよ。

神様、聞いてる?

そうこうしているうちに今度は機内食。
一つは牛肉の旨煮、もう一つはチキンカレーだった。

和食の牛肉の方を選んで、お酒は日本酒にした。1合瓶入りの月桂冠。
機内で日本酒を飲んでいる人は少ないようだが、これもなかなかいける。

食後のデザートはハーゲンダッツのアイスクリーム。

最後にお腹がすいたらお召し上がりくださいと袋入りのパンを1個くれた。
これもすぐに食べてしまった。今食べなきゃ持ち歩く羽目になるだろうしなあ。

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 機内食の『牛肉と野菜の旨煮ごはん添え』お酒は『月桂冠』。

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 13:58、広大なアムール川を横切る。

隣人がトイレに立ったので、私もしばらくしてから席を立つ。
窓側席のときは、こういう時にすましておくのが良い。

戻ってきたら消灯。窓ガラスも暗くされ、睡眠タイムということになる。
しかしまだ2時半、寝る人などいない。

機内映画の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を見ていたら途中で寝ていたらしく、目覚めたらエンディングだった。
スモークガラスから窓の外を見ると、雲なのか雪原なのかはっきりしない。

飛行機の航路は、一旦北極圏に入る。
もしかしたらオーロラでも・・・と期待したが、完全に暗くはならず、行きの飛行機では無理なようだ。

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 19:55、ロシア北極上空を飛ぶ。

19:25改め12:25。ここからフィンランド時間にします。日本との時差はマイナス7時間。
機内の照明が点いて明るくなる。

12:50、2回目の機内食。
これは1種類のみ。
『チキンオーバーライス』といって、サフランライスの上にコールスローを先に乗せ、そのあとにチキンを乗せてお召し上がりくださいとのこと。

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 2回目の機内食は『チキンオーバーライス』赤いのはトマトジュース。

機内食が片付けられ、食後のお茶を飲んだら機内のイベントは終了。

13:40、「この飛行機はあと1時間で着陸予定です」とアナウンス。
外は雲が覆っている。
もう早くついてほしいと思うようになった。

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 ヘルシンキは雨模様。

降下して雲の中に突っ込み、再び景色が見えたらそこはヘルシンキの上空だった。
暗く霞んだ雨模様。

ここ数年来、海外旅行で雨の日に当たったことはあったかな。
天気の運は日本で使ってしまったのだろうか。

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 東京からヘルシンキまでのフライトマップ。なぜ北極上空を飛ぶのかが良くわかる。

14:45、ヘルシンキ・ヴァンター空港着。

10時間15分のフライトも、お酒を飲んだり機内食を食べたり、映画を観たりゲームをしたりで、着いてしまえばあっという間なのだった。

飛行機を降りたら、人の流れに続いて『Arrivals』とある方向に歩いて行く。

この空港は、前回来たのは2016年の5月だったから3年半ぶり。あのときはここからさらに乗り継いで、スウェーデンのヨーテボリまで行った。
今回はここが終点である。
ここからトランジット(乗り継ぎ)の人のほうが多そうだから、外に出るのも時間はかからないだろう。

EUの入国は面倒なことは無いし空港からヘルシンキ中央駅までが電車で40分。もしかしたら真っ暗になる前にはホテルに着くかもしれない。と思っていたがこれは甘かった。

工事中なのか仮設通路のような場所を通ってずっと歩いて行くとホールのような場所に出た。
『ALL Passport』の文字が見えるので、ここが入国審査ということになる。

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 パスポートコントロールの大行列。

それがまたすごい行列ができてる。5つほど口があるのだが、どれも同じような混雑ぶり。
横に自動ゲートもあるのだが、そちらはEU加盟国のパスポート所持者専用。

とにかく、この列に並ばなければならない。後ろからも人が続々とやってくる。
アジア方面からの便が集中する時間なのだろうか。ていうか中国人ばかり。
日本から着いたばかりなのだが、日本人など目立たないくらいになってしまった。

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 入国審査の次が荷物受け取り。

入国審査も一人一人にやたらと時間がかかっているような気がする。列もさっぱり進まない。
審査官も制服をビシッと着て目つきも鋭く、見た目は軍人のようだ。

それでも日本人の番になったら少し流れが早くなった。
30分近く並んで、やれやれやっと自分の番だ。

審査官が英語で何やら訊いてくる。
聞き取れなかったが、ここで聞かれることなど決まっている。

サイトシーイングと言おうとしたら「カ・ン・コ・ウ?」「イエス」でOKとなった。

緩いなあ (^^

ここさえ通過できれば、あとはベルトコンベアで預け荷物を受け取って出るだけだ。
税関は申告物のある人だけ。
幸い荷物はすぐに受け取ることができた。

ここからいよいよフィンランドになる。

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 あの扉の向こうがフィンランド。

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 フィンランド到着。

到着!

時刻は15:32
飛行機を降りてからずいぶん時間が経った気がしたが、40分くらいしか経っていなかった。

ここからは電車に乗ってヘルシンキ中央駅まで行き、そこからトラム乗り換えてホテルへ向かうことになる。
切符の買い方はちゃんと調べてきたし、これといった心配事も無し。

それよりもこちらでは今日は祝日なので、買い物は早めにしておいた方がいいだろうな。
スーパーは早仕舞いの店が多いようだ。
中央駅近くのスーパーに寄ってからホテルに行こう。

2へつづく

posted by pupupukaya at 20/01/05 | Comment(1) | 2019年冬フィンランド旅行記

2019年冬フィンランド旅行記2 ヘルシンキ到着

 ◆ ヘルシンキ・ヴァンター国際空港【電車】ヘルシンキ中央駅【トラム】ホテル

やれやれ、ようやく入国審査の行列から解放され、次は電車で移動である。
外へ出たら、右へ右へと歩いて行けばよいことは事前に調べているので知っている。

『Railway Station』と大きな電車マークのある方に歩く。
改札口は無く、エスカレーターを降りた先がすぐにホームだった。

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 大きな電車のマークがあるほうが駅。

ホームに券売機があって、ここでチケットを買ってから。

ヘルシンキの公共交通機関はゾーン制となっており、チケットの有効時間内であればゾーン内は何度でも乗り降りできる。
中心部と空港を含むゾーンはABCエリア。

券売機で買うときはシングルチケット(Single tickets)とデイチケット(Day tickets)から選択でき、シングルは購入してから1時間30分、デイは1〜7日間有効から選択でき、1日間のものなら24時間有効になる。
ヘルシンキについてから観光とかでトラムに乗るならばデイチケットを買った方が得だ。

今日はホテルに向かい、もうどこへも行くつもりはないので私はシングルチケットを買う。
買い方も事前に調べてきていた。

まず画面の『ENGLISH』をタッチ、『Single ticket』、ABCゾーン、人数、最後に支払い方法を選択する。
『Payment card』を選択してクレジットカードを差し込むが読み取らない。
おかしいなと思い、もう一度最初から同じように操作するが、ウンともスンとも言わない。

現金しかダメなのかと思って、今度は『Cash』を選択して10ユーロ紙幣を挿入するが入らない。
後ろの人が業を煮やしてか、このボタンを押してとか言うが、何やってもダメ。

そうこうしているうちに電車は発車して行ってしまった。

有人窓口のようなものは見当たらない。
これは罰金覚悟で無札で乗るか、市内までバスがあるので到着ロビーまで戻ってバスで向かうしかないのか。

もしやと思い、もう一度別な機械でトライしてみた。

あれっ?
今度は差し込んだ10ユーロ札がスルスルと飲みこまれ、チケットと釣銭が出てきた。
単に機械の調子が悪かったのか?

何だかよくわからないが、とりあえず電車には乗れるようになった。
ヘルシンキというかフィンランドの玄関口なんだから、あまり惑わせないでくれよ、本当に。

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 まず最初の難関だった券売機。

ヴァンター空港からの電車は、ヘルシンキ中央駅が始発で、空港を経由してから1周してまた中央駅が終点という環状運転なので、中央駅まで行くのならば少なくとも乗り間違えることは無い。
ホームどちらでも先に来た電車が先に中央駅に着く。

電車は混んでるかなあと思っていたが、空いていた。やれやれだ。

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 島式ホームの空港駅と電車。

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 ホームの券売機で買った電車のチケット。

停車する駅ごとに乗ってくる人もいるが、降りる人の方が多い。
車内はがら空きのような状態になってきた。
本当に市内に向かっているのかと思ってきたが、天井にある表示機に『HELSINKI』と表示されているので間違いはないのだろう。

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 空港駅からの電車の車内。上に次駅が表示される。

終点がヘルシンキ中央駅。中央駅というのは英語の『Helsinki Central Station』の訳。フィンランド語ではラウタティエアセマ(Rautatieasema)という。直訳すれば鉄道駅。
停留場でもバスの行先でも、この表記があれば鉄道の駅まで行くということになる。

ドイツ語ならハウプトバーンホフ、ロシア語ならバクザールといったところ。
昔ならばこの手の単語は一発で覚えたが、年々記憶力が悪くなり、何度も暗唱して覚えた。
それでも帰国したらもう忘れるかもしれない。

まあ、覚えておけば街歩きには便利な言葉である。

というわけで中央駅に着いた。
ホームは屋根も駅名標も無い殺風景な場所。すでに暗くなっていて小雨がぱらつく。

降りた乗客に続いて歩いて行くと駅舎があった。郊外電車は駅舎から離れたホームに発着するようだ。

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 郊外駅と間違えるようなヘルシンキ中央駅のホーム。

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 駅舎側は中央駅らしくなっている。

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 ヘルシンキ中央駅(ラウタ ティエ アセマ)。

駅の正面口を出た正面がトラムの電停になっている。その向こうはシティセンターというショッピングセンター。

今日はクリスマスイブということで、こちらでは祝日。どの店も閉まっているが、ここの地下にあるスーパーは営業していた。
ここで買い物してからホテルへ向かう。
電車のチケットは17時32分まで有効なので、まだ十分余裕がある。

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 中央駅向かい、シティーセンター地下にあるスーパー。

買うのは今夜の夕食と明日の朝食。余したら持って歩かなきゃならないし、その辺よく考えて買う。
パンをいくつか、サラミ、チーズ、ヨーグルト。

ビールは普通に売っていた。
ビールより高いアルコール度数のお酒は、Alkoという国営の酒類専門店でなければ売っていないし、そちらは日祝休み。
前に行ったスウェーデンやノルウェーでは、日曜祝日は手に入れることができなかった。
ビールに関して言えば、フィンランドは他の北欧諸国より入手しやすい。

500ml缶入りが基本で、値段はピンキリで1缶2〜3ユーロといったところ。現在のレートである@125円で換算しても日本のそれとそう変わらない。成田空港で焼酎を買うことは無かったな。

買い物した品物をバックパックに押し込んで7番のトラムに乗る。
降りる停留場は、ヘルシンキ大聖堂を過ぎてから2つ目と覚えていた。
ホテルは電車を降りたら目の前のはずだ。

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 トラムの中央駅停留場(ラウタ ティエ アセマ)。


 ◆ コングレシコッティホテル

停留場はKansallisarkistoというところ。カンサリスアルキストと読むらしい。
一緒に降りたのは大きなスーツケースを持った中国人観光客らしいカップル。

さてホテルはと見まわすが、それらしい看板も入口も見当たらない。
脇の方へ回ってみたが違うようだ。
中国人たちもしばらくウロウロしていたがどこかへ歩いて行ってしまった。

ええ、わかってますよ。またいつものパターン。
海外に行くたびに宿の難易度が高くなる。

もしかしてと思って、停留場前の真っ暗なドアに近づいてみると、呼び鈴にホテルの名前が。
これじゃわからんわ。

呼び鈴に『Use only this botton or call』とあってその下に電話番号が書いてある。
とりあえずボタンを押すが、シーンとして反応なし。
中も真っ暗で、ドアも鍵がかかっている。

何度も押してみたが反応なし。
電話しなきゃならないのなら面倒だなと思っていたら、外からおっさんがこちらへ向かってきた。

おっさんにホテル名を伝えると、ここだというように鍵を開けて中へ入れてくれた。
ホテルは5階にあるという。

エレベーターに乗せられる。
このエレベーターがえらく年代物というか、蛇腹の扉を自分で開け閉めする、日本で言えば昭和戦前の古いビルにあるようなものだった。

ホテルの人かと思っていたが、おっさんは4階で降りて行った。
このビルの人だったんだろうか。

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 電車を降りたらすぐホテルがあるはずなのだが・・・

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 真っ暗なホテルのエントランス。

5階に着くとドアがあって、また鍵が閉まっている。
また呼び鈴を押す。

またもや反応なし。

何回も押していると、中から物音がしたので待っているとようやく開けてくれた。

廊下の奥の方に通される。
奥の部屋が机とパソコンが置いてあり、ここがレセプションのようだ。

パスポートを見せ、宿帳にサインしてキーを渡される。
こっちが表のドアのキー、これがルームキーねというようなことを言われる。

やり取りは全て英語。
分かる単語だけ聞き取って、あとは想像でつなげる。

シャワーはここ、トイレはここ、レセプションの奥がキッチンになっていて自由に使っていいというような説明を受ける。
この辺は予約時に調べているので、言わんとすることはわかる。
「イエス、イエス」と返事をしていた。

部屋は机の真ん前の部屋。落ち着かない場所だが、部屋に入って鍵を閉めれば一夜の城だ。

部屋の奥が斜めになっている屋根裏のような部屋。
前にもこんな部屋に当たったことがあるな。
安いからこんなものか。

これ以下だと、相部屋のドミトリーになってしまう。さすがにそれは勘弁である。
個室で、酒飲んで寝れて、あとWiFiがつながれば文句はない。

ホテルの名は『コングレシコッティホテル』。
地球の歩き方の新しい版には掲載されるようになった。
日本人の宿泊客も増えたことだろう。

しかしエントランスのわかりずらさはここが一番だった。
私など安宿はこういうものだとわかっているので平静だったが、そうじゃない人が暗くなってから着いたら泣き出してしまうだろうな。

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 ヘルシンキで過ごすことになるシングルルーム。

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 ビールは二重窓の中で冷やしておく。


 ◆ クリスマスイブのヘルシンキ

とりあえずスーパーで買った食料と必要なものをバックパックから取り出す。
冷蔵庫はキッチンにある共同のを使うことになる。

ビールは窓の二重窓の内側に置いて冷やすことにした。

クリスマスイブで人の少ない町だったのと、真っ暗だったので夜に着いたような感覚だったが、まだ夕方5時半だ。
まだ1杯やるには早すぎる。
夏ならばまだ昼間のような時間だ。

海外で夜の1人歩きはしない方がいいのだが、部屋にいても酒を飲むくらいしかすることがないし、ちょっと歩いてひと回りしてこよう。

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 夜景のヘルシンキ大聖堂。

ホテルはヘルシンキ大聖堂のすぐ近く。
少し歩くとライトアップされた大聖堂があった。

その前は元老院広場となっていて、12月はクリスマスマーケットが行われている。
しかしそれもクリスマス前に終了。いまは片付け途中の資材が散らばって、人もまばらという状態。

そこから中央駅のほうへ向かって続く電車道がアレクサンテリン通りとなっていて、店やカフェなどが並んでいる。

普段は賑やかなのだろうが、いまはどの店も閉まっていて、人通りも少ない。
小雨が降り、トラムの電車だけが行き交う通りを歩いて行く。

こちらではクリスマスは家で過ごすものらしい。電車は普通に走っているが、どれもがら空きだ。
日本でいうところの大晦日の夜といった雰囲気である。

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 トラムの電車が行き交うアレクサンテリン通り。

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 クリスマスのイルミネーションは控えめ。

中央駅まで行って、券売機でデイチケットを買う。
こんどはクレジットカードで普通に買えた。24時間券で8ユーロ。

明日はヘルシンキ18:49発の列車で出発することになっているので、明日の18時頃まで使えればよい。
それまで1日中トラムに乗っていようか。

また7番のトラムでホテルに戻る。
乗るときにデイチケットを機械にかざしてみると、有効期限が表示された。ここから使用開始になるらしい。

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 トラムの車内。中央の機械にカードかざして乗車する。

また真っ暗なエントランスへ。
今度はキーを持っているので中に入ることができる。

こういうホテルは知らない人が初めて行くと戸惑うだろう。
要は、セキュリティーもセルフサービスなのである。
安宿は結構こういうのが多いので、慣れない人は高くても普通のホテルを選択した方が安心だ。

あらためてクラシックなエレベーターへ。
外側は金網のドアでエレベーター側が蛇腹の引き戸になっている。

昔、小樽にあった大国屋デパートがこんなエレベーターだったな。
もう40年近く昔の話だが。

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 金網の扉が手動式エレベーター。

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 右が1Fの扉、2〜5Fは左の扉から出入りする。

戻るとホテルの人はいなくなっていた。
事務所がほかにあるのか、帰ってしまったのか。机のパソコンはスクリーンセーバーになったまま。

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 ホテルのロビー兼レセプション。

奥のキッチンを改めて覗いてみると、結構本格的に食器や調理器具がそろっている。
使ったら自分で洗って元に戻すことになっている。

明日からオーロラハンティングでずっと北の方まで行くが、またヘルシンキに戻ってきてここで2泊することになっている。
そのときはここで肉でも焼いて食べるか。

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 キッチンは調理器具がそろっていて本格的。

シャワールームが空いていたので先に浴びることにした。

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 シャワールームは1カ所。

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 2カ所あるトイレ。男女別にはなっていないようだ。

さて、スーパーで買ってきたビールとつまみで始めるとしよう。

テーブルも机も無い部屋なので、キャスター付きの台をベッドの前にもってきてテーブルとする。
サラミとチーズをナイフで切って並べ、パンも切り分ける。
こういうこともあろうと、紙皿も日本から持ってきた。

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 スーパーで買ってきた食料。酒のつまみと明日の朝食用。

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 サラミとチーズとパン、それにカルフビール。

まずはカルフビール。
黒地にクマのイラストの缶ビールはフィンランドでは一番売れているようで、この先あちこちで一番よく見かけた。

わびしいようだが、こういうの結構好きだったりする。
海外の食品とお酒を部屋で1人味わうのは気楽で良い。

フィンランドは物価が高いと聞いていたが意外とそうでもなく、ビールは日本とさほど変わらず、サラミとチーズ、パンなどは日本より安く感じた。

これがレストランだと、10ユーロ札が何枚も飛んでくんだろうな。
1人でレストランに入っても落ち着かないので、やっぱりこれでいい。

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 成田空港で買ってきた焼酎でまた一献。

メリークリスマス!

2本目に飲んだ青い缶はビールではなくチューハイみたいだった。
甘ったるい。これは失敗だった。よく見てカゴに入れた方が良い。
3本目はまた普通のビールだった。

明日はクリスマス。
こちらでは25日クリスマスは11時を過ぎないと電車が動かない。
一番早いトラムの7番系統でも9時過ぎから運行開始となる。

しかも夜明けも遅くて、明日のヘルシンキの日の出時刻は9時24分。
チェックアウトは12時までにすれば良い。
したがって、明日は早起きするだけ無駄なのである。

テーブルを片付けて、成田空港の免税店で買った焼酎を飲んでいた。
テレビは聖夜らしく、宗教っぽい番組ばかりやっていた。

12/24の旅費
費用場所ユーロ円換算
自宅→札幌駅(タクシー)札幌 1,230
札幌駅→新千歳空港(JR)札幌 1,150
麦焼酎吾空成田空港 1,500
成田空港 95
ヴァンター空港→ホテルヘルシンキ4.6574
Lidl City Center(ビールと食品)ヘルシンキ14.851,842
デイチケット24hヘルシンキ
8.0
992
12/24 合計 27.456,153


posted by pupupukaya at 20/01/12 | Comment(0) | 2019年冬フィンランド旅行記

2019年冬フィンランド旅行記3 クリスマスのヘルシンキ

 ◆ ヘルシンキ、クリスマスの朝

12月25日水曜日の朝、今日はこちらではクリスマスということで祝日である。
明日26日はボクシングデーということでまたも祝日。
24日から3連休ということになっている。

日本ならば祝日はうれしいが、ヨーロッパ、特に北欧では旅行者にとってはあまりありがたくない。
町中のデパートやショッピングセンターは概ね休業となってしまうからだ。

もう一つ気を付けたいのが、25日朝は交通機関の運行開始時刻が大幅に繰り下がることになる。
詳細はヘルシンキ交通局(HSL)のホームページにアップされるので25日だけは必ず確認が必要だ。

2019年のクリスマスの運行状況をHSLのホームページから引っ張ってきたのが下の一文。

“On Christmas Day 25 December, a Sunday service will operate from about 12noon.”
 (クリスマスデーの12/25は日曜ダイヤで12時頃から運転します)

トラムやバスだけでなく、地下鉄や近郊列車もこの対象になる。
特に25日の朝に空港へ行く予定の人など、別の交通機関を調べておく必要がある。

私はというと、今日は18:49発の夜行列車に乗る予定。
それまではトラムに乗ってヘルシンキの観光というのんびりしたものだ。

とりあえずは朝食だ。
キッチンにインスタントコーヒーがあり、お湯は電気ポットで沸かせる。キッチンからコーヒーだけ持ってきた。

パンは昨日スーパーで買っておいたもの。
1つはお馴染み(映画かもめ食堂を見た人なら)のシナモンロール(korvapuusti)。もう1つはなんだろうか。

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 朝食のシナモンロール、右はライスピーラッカと呼ばれるパイ。

シナモンロールは甘くてシナモンたっぷり。初めて食べるけどなかなか美味しい。コーヒーに合う。
右のは真ん中にもっちりとした具が入っている。味はついていない。つぶしたポテトかなと思ったが、調べたらライスとのこと。

2つともフィンランドではメジャーなようで、この先旅行中どこのスーパーでもこの2つだけは必ず見かけた。

ところで、フィンランドは物価が高いと聞いていたのだが、スーパーで買い物している限りはそんなことはぜんぜんない。

昨日のレシート見ると、シナモンロールが0.81ユーロ(81セント)、パイが0.25ユーロ、ヨーグルトは0.29ユーロ
合計で日本円なら167円といったところ。
高いどころか、日本の半分くらいの感覚。

昨日の買い物で、ビール以外で一番高いのはサラミとブルーチーズで、どちらも1個1.99ユーロ。

スーパーで買い物ばかりしていたら、だいぶ食費は抑えられそうだ。

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 午前9時近く、ようやく空が明るくなってくる。

海外旅行でこんなにのんびりした朝は久しぶりではないか。

長居したい部屋ではないけど、外はまだ暗いし電車も動いていない。天気も雨模様。
テレビをつけても、祝日だからか子供向け番組しかやっていない。

海外旅行なんかすると、とにかく予定を詰め込んであっち行ったりこっち行ったりとなってしまうが、たまにはのんびりした旅行もいいんじゃないか。

しかし何度も言うけど、お世辞にも長居したい部屋ではない。

もう1度シャワーを浴びたり、バックパックの荷物を詰めなおしたりしていたら外も明るくなってきた。
9時半も過ぎたら外もだいぶ明るくなってきた。

そろそろチェックアウトする。
といっても、壁にあるキーポストにルームキーを落とし込めば完了。このあたりは面倒が無くて良い。

滞在した部屋の窓の外側はフリースペースのバルコニーだと思っていたが、ゲッ、喫煙所だった。
幸い昨夜は利用者がいなかったようだが。

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 クリスマスの朝、ホテル前から7番トラムで出発。

25日の交通機関は12時頃から運行開始ということになっているが、7番のトラムだけは9時過ぎから運行している。
これも事前に調べてきたのでわかっている。

まず向かうのは中央駅。
コインロッカーに背負ってる荷物を預けてしまいたいからだ。
普通のホテルならばレセプションで預かってくれるが、安宿では難しい。ていうかホテルの人いないし。

この時間唯一動いているトラムなためか、やってきた電車は結構混んでいた。

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 ヘルシンキ中央駅の正面。

ヘルシンキ中央駅は花崗岩で造られた石造りの建物で、1919年完成となっている。
右手には時計塔があり、正面の大きなアーチと両側に立つ4体のランプを持つ石像が特徴。

この石像は見たことがあるな。
それはフィンランド鉄道(VR)のホームページ。

こいつがエプロンをかけて腰に手を当てている画像は、列車の時刻を調べたりチケットを買ったりする度に見ていて、何だろうなと思っていたのだが、ここで正体が分かったわけだ。

この石像は名前もあって、『Lyhdynkantajat』とか『Kivimiehet』というらしい。ウィキペディアのフィンランド語版に詳しい説明があった。
和訳すると前者は『ランタンを差し出す人』、後者は『ストーンマン』とでもなるだろうか。

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 VRのシンボル(?)駅の石像。

駅に入ろうとドアに手を掛けるが、鍵がかかって開かない。
隣のドアも同じ。

駅にやってきた人も開かないドアに首をかしげている。

歩いていたおっさんが「あっちあっち」というように大きく指を差す。
言われた通りの方へ行ってみると、脇の方にも出入口があり、そこからは普通に出入りできた。

コンコースの正面側はアコーディオンの扉で閉鎖されている。中には地下へ続くエスカレーターがあった。
そうか、地下鉄が昼にならなければ運行しないので、地下に通じる場所は閉鎖しているのか。

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 地下鉄が運行を開始する11時頃までは一部閉鎖されるコンコース。

コインロッカールームは地下にあるので、それまでは預けられないのかと思ったが、ロッカーとトイレの階段は別にあり、そこへは行くことができた。

コインロッカーというものは、最新のものは使い方が難しくて困ってしまうのだが、ここヘルシンキ中央駅のロッカーは昔ながらのコインを入れてキーを回すだけという単純なものが健在である。
料金は一番小さいタイプで1日4ユーロ。

使用できるのは1ユーロと2ユーロ、それに50セントのコインのみ。入口には両替機もあるのは親切。
私は昨日空港駅でチケットを買った釣銭と前回ドイツ旅行の使い残しのコインをたくさん持っている。

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 中央駅のコインロッカールーム。

ロッカーは奥行きが結構あり、今背負ってきたバックパックならば詰めれば3個は入りそうな感じだった。
扉を閉めてコインを入れ、鍵を回して抜けば完了。

コインロッカーだけは昔ながらのが一番便利だと思う。

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 これは一番小さいタイプ。バックパックはスッポリ収まった。

ショルダーバッグだけ持って夕方まで市内観光。
とはいってもまだ7番のトラムしか運行していない。

この7番のトラムの終点まで行ってみるか。

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 この時間で唯一運行している7番系統。


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 車内の機械にデイチケットをかざすと有効期限が表示される。

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 座席のモケットの柄はヘルシンキのトラム路線図だった。

7番の電車は狭い道を右へ曲がったり左へ曲がったり。
そうしているうちに港が見えてきた。

終点にはフェリーターミナルがあって、電車から降りた人はみんなそっちに入っていった。
ヘルシンキはフィンランド湾に面した港町。市内のあちこちにフェリーターミナルがあって、そこからフィンランド湾の島々や、対岸のエストニアなどと結んでいる。

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 ウエストハーバー(Länsisatama)の風景。

終点の停留場から岸壁を来た方向に歩いてみる。
雨は上がっているが、雲がどんよりと覆って薄暗い。
祝日だからか船も港も休みのようだ。

寒いなあ。
今日はプラス5度だというからインナーを着てこなかったし手袋もロッカーに預けたバックパックの中だ。
もうずっと夕方まで電車に乗ってるかな。

途中の停留場からまた電車で中央駅に戻る。
この頃には他の系統も動き始めていた。

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 トラム2・3番の終点、オリンピアターミナル。


 ◆ マーケットスクエアとヘルシンキ大聖堂

2番の電車に乗っていると、露店が立ち並んで賑やかな所を目にした。
何だろうとそこで降りてみる。

中央駅やその周辺の繁華街はひっそりとしているが、ここは反対に賑わっている。
スマホの地図を見るとマーケットスクエアとなっていた。

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 観光客でにぎわう港近くのマーケットスクエア(Kauppatori)。

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 マーケットスクエア近くから見たサウスハーバー(Eteläsatama)。

ここも港になっていて、島々と結んでいるフェリーの桟橋が並んでいる。
観光船乗り場のような桟橋は中国人観光客が群がっていた。

私はあまり観光地というものに興味はないが、今日のようにどこもひっそりとして人も歩いていない中心部よりは、こちらの方がいくらか救われる気がする。

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 ウスペンスキー大聖堂とトラム。

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 エスプラナーディ公園。

マーケットスクエアからヘルシンキ大聖堂にかけての一帯がヘルシンキの観光地区のようである。
しかし寒いなあ。

入れるところといえば教会くらい。
ヘルシンキ大聖堂の礼拝席でしばらく休ませてもらう。

このあたりは観光客ばかり。
やたらと中国人が目立つ。

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 ヘルシンキ大聖堂。手前は元老院広場とアレクサンドル2世像。

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 大階段の上から元老院広場を見下ろす。

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 ヘルシンキ大聖堂の大階段。さすがに腰を下ろしている人はいなかった。

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 大聖堂の内部。内装が簡素なのはプロテスタントだからなのだそう。

大聖堂の出入口の脇に英語で『トイレ1ユーロ』と張り紙のある箱が置いてあった。
こちらでは公衆トイレはすべて有料である。
日本人からするとお金払ってトイレというのは抵抗を感じるが、これはしょうがない。
1ユーロを箱に入れて用を済ませてくる。

次はどこに行こうかとなるところだが、どこにも行きようがない。
博物館も美術館も、今日はほぼお休みなのだ。


 ◆ ヘルシンキはトラムの街

ヘルシンキの一番の名物はトラムだろう。日本でいう市電とか路面電車というやつ。
日本では車の脇をノロノロと走るイメージだが、こちらのは強い。

何が強いって、車なんか蹴散らすように堂々と走っているし、結構飛ばす。
まさに道路上の王者である。
石畳と縦横無尽に走るレールにも美を感じる。

ヘルシンキには地下鉄があり、中央駅からは郊外電車もあるが、郊外電車はヴァンター空港への行き来に乗るくらい、地下鉄沿線に観光客が行くところも無いようだ。
ヘルシンキ観光となるとトラムのお世話になるのが一番便利である。

あと北欧でトラムが大活躍しているのは、ノルウェーのオスロ、スウェーデンのヨーテボリ。ヘルシンキと合わせればこれが北欧三大トラム都市ということになる。

ということなので、あとはずっとトラムの電車に乗っていた。

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 トラムの系統が全て集まるマンネルヘイミン通りの交差点。

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 中央駅東側のミコン通り(Mikonkatu)のガントレット。

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 ガントレット区間を行く7番トラム。

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 トラム車内。これは中間車両だけ低床のタイプ。

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 路面電車なので車道を走る。

昼を過ぎると中心部も人が出てきた。
しかし店はどこも開いていないし、ほとんどは観光客かもしれない。
服装がフィンランド人ぽくないし。

電車で郊外の方へ行くとさすがに地元の人ばかりになる。
地元の人はどんなかというと、車窓から見ていると皆黒っぽいコートを着て歩いているのが印象的だった。

曇って薄暗い石畳の町を、無言でうつむいているような、そんな印象だった。
そうやって暗い冬が過ぎるのを待っているようだった。

何となく3年前のオスロを思い出した。
5月も終わるころになればライラックが満開になり、人々は公園で裸になって寝転がって日光浴、オープンカフェでビールを飲んで、夜は8時9時を過ぎてもまだ昼間のように明るくて・・・

冬はまだまだ長いなあ・・・
私も同じ北国の人間なので痛いほどよくわかる。

あー、待ち遠しいなあ・・・

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 電車に乗っているうちに日が暮れてきた。

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 マンネルヘイミン通り交差点の夜景。敷石とレールが美しい。

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 夕方には人通りが多くなってきた。アレクサンテリン通り。

午後は3時を過ぎるともう暗くなってくる。
店が開いているわけでもないし、中心部の雑踏をウロウロしているか、またトラムの電車に乗っているしかない。

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 吹き抜けののイルミネーションをボーっと眺める。

今夜の宿はサンタクロースエクスプレスという名で呼ばれる寝台夜行列車。
この列車でヘルシンキから北へ900kmの町、ロヴァニエミま行くことになっている。

時刻は4時を少し過ぎたところ。すでに外は真っ暗。
駅へ行っても座るところもないし、もう1回トラムでどこか往復してこようか。

クリスマスの北欧と聞くと、とてもロマンチックな印象と思われるだろうが、実際にはこのようなシケた過ごし方しかできないのだった。


posted by pupupukaya at 20/01/13 | Comment(0) | 2019年冬フィンランド旅行記

2019年冬フィンランド旅行記4 サンタクロースエクスプレス

 ◆ 夜行サンタクロースエクスプレス乗車まで

 ヘルシンキは3時を過ぎると暗くなり、4時にはもう真っ暗。
おまけにクリスマスの祝日とあって、駅前を含めて店らしい店はすべて休業である。

列車の発車時刻まで3時間もあるが、さすがにもう行くところが無くなって駅の周りをウロウロしている。

中央駅の西側の広場にあるK-スーパーマーケットは営業していた。
この店も早仕舞いかもしれないので今のうちに買い物をしておく。
今晩の夕食とビール。

車内には食堂車もあり、多分そこへも行くだろう。
しかし、そこで食事するとなると結構な値段になるだろうし、今日の車内は満席となっているので多分混んでいるだろう。
そんなわけで、スーパーで買ってから乗ることにした。

夜行列車に乗る前の食品の物色というものも結構楽しいものである。

パンは昨日の残りがあるので、何か惣菜のようなものをと思ったが、そういうのはあまり置いていない。
サラダバーを見つけ、これはいいと色々カップに詰めることにした。

これは詰め放題ではなく量り売りで、ここのはキロ当たり16.99ユーロ。
値段の計算はキロ単位ではなく、1グラム単位できっちり出される。
なるべく軽そうなものばかり選んで、272グラムで4.62ユーロだった。
あとはサラミソーセージとビール3本。こんなところか。
日本から持ってきた焼酎は、ペットボトルに移し替えてまだ持っている。酒はそんなに必要ではない。

店内は近くのホテルに滞在してるのか、夜行列車の客になるかはわからないが、日本人老夫婦を発見。
意外と日本人を見ない。やたらと中国人ばかりが目立つ。

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 駅前のスーパーにあったサラダバー。

コインロッカーで午前中に預けたバックパックを出す。
さっき買い物した品物を中に入れてしまう。

あとは列車を待つだけなのだが、意外と身の置き所が無い。
待合室があるわけでなし、ベンチも置いていない。

吹き抜けのコンコースは2つあって、1つはホームに出る出入口がある方。こちらはぐるりと囲むようにキオスクやカフェが並んでいる。
もう1つは午前中は閉鎖していた、地下へ下りるエスカレーターがある方。
こちらはVRの券売機と両替所があった。
地下へ下りると地下鉄のコンコースがあり、向かいのシティセンターとは地下道でつながっている。
思っていたほど広い駅構内ではなく、ウロウロしているうちに覚えてしまった。

昼にトラムで行った隣のパシラ駅の方が広くて人も多い印象だった。

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 ヘルシンキ中央駅のコンコース。

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 ケミヤルビ行IC265列車は8番線。

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 ホーム側から見た駅舎。

昔、上野発21:45発の急行八甲田という夜行列車があって、これを待つ間やはり身の置き所が無く、上野駅あたりをウロウロしていたことを思い出す。
そんな上野駅もすっかり変わってしまったし、発着する夜行列車も無くなってしまった。

なんだかんだ言いながら、夜行列車いや夜汽車を待つ間というのはワクワクする。
しかも明日の朝まで一夜の城となる個室寝台車である。

夜汽車の旅は駅に着いた時から始まると言って良い。
駅の情景を見ながら、これから始まる夜汽車の旅の期待と、コンコースにある対面販売のキオスクに、昔の上野駅や札幌駅の夜の駅の情景を思い出していた。

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 コンコースのキオスク。夜行列車の旅情を掻き立てる。

コンコースにある発車案内には、これから乗る列車の『IC265 Kemijärvi』と表示されているが、8番線ホームの方はまだ何も表示がない。
ホームは次第に乗客が集まりだす。

中国人がやたらと目立つ。乗客の半分はそうじゃないかと思うほど。
みんな馬鹿みたいにデカいスーツケースを引いている。
あとスマホで自撮り。

ここ数年来、海外旅行先で彼らと共になる機会が多くなってきた。
日本でも、私の地元札幌でも、同じ姿の彼らをよく目にするようになった。
彼らは世界中どこへ行っても同じなんだなあと妙な発見があったが、もうそれ以上は考えないことにする。

自分だって海外旅行中の外国人なわけで、とやかく言う筋合いはない。


 ◆ ヘルシンキ 18:49【IC265】7:32 ロヴァニエミ
  (サンタクロースエクスプレス)

18:19、発車30分前になって、8番線に推進運転で列車が入ってきた。

フィンランドの列車は客車の後部が運転台になっていて、折り返すときは機関車を付け替えずそこが先頭になる列車が多いが、夜行列車は普通の客車列車で機関車が牽引するようだ。

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 IC265列車が推進運転で入線。

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 平屋の座席車と2階建ての寝台車の段差。

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 レストランカー(食堂車)もある。

客車は13両、一番後ろのヘルシンキ側が20号車。その次が食堂車(号車番号なし)、22号車、23号車の順で一番前が32号車となる。
20号車と22号車が座席車で、あとはすべて寝台車である。

普通に1号車〜とならないのが不思議だが、そういう風になっている。

列車はケミヤルビ行で、ロヴァニエミからさらに83km東に行った町が終点となる。
本当は終点まで乗りたかったのだが、ロヴァニエミからバスでイナリという所まで行くスケージュール上やむなく断念することになった。

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 ホームの列車案内表示。

さて、いよいよお待ちかねのサンタクロースエクスプレス。
といってもこの名称は駅や列車に表示されてはいない。

駅での表示は『IC265』とだけで味気ないが、日本の列車愛称名と違って営業上使用している物ではなく、単なる愛称というか宣伝用にそう名がついているだけ。
寝台車の車体にあるサンタのマークが唯一それとわかる。

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 サンタクロースエクスプレスのロゴマーク。

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 先頭の機関車。こんな所まで来て撮影してるのは日本人1人だけ・・・

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 階段を登った2階寝台の通路。

寝台車は2階建てになっていて、通路も1階と2階に分かれている。

上下のベッドがある2人用の個室寝台で、1階も2階も造りは一緒だが、1階は洗面台だけがあるのに対し、2階の方は部屋毎にトイレとシャワーがついている。設備だけ見るとかつて北斗星などにあったロイヤルと同様だ。

眺めも当然2階席の方が良いわけだが、1階席でもホームが低いせいか日本のような半地下のような感じではない。

2人用個室だが、基本的には男女別の相部屋となる。ただ、追加料金を払えばシングルユースも可能。
予約とチケット購入はフィンランド鉄道(VR)のホームページからできるし、購入時に好きな席を選択できる。

今回は奮発して2階席のシングルユースとした。
日本ではもう過去のものとなった寝台列車に乗るのだから、どうせなら一番上等のものに乗りたいということもあるが、相部屋になるのが嫌だったのである。
こういう時は1人旅だと不経済だと感じる。

ヘルシンキからロヴァニエミまで900kmの寝台列車料金が226ユーロ。クレジットカードの支払額は27,902円だった。

900kmは日本でいえば北方面ならば東京〜函館間(旧在来線経由899.6km)、西方面ならば東京〜米子間(伯備線経由892.0km)がほぼ同じ。
例えば、今でも運転している『サンライズ出雲』のシングルデラックスでほぼ同じ距離の東京〜米子間を利用すると運賃料金込みで29,160円となるので、さほど高い料金とは言えないだろう。

値段は、購入する時期や繁忙期か閑散期かによっても違うようだ。
12/25出発のこの列車の料金を表にすると以下のようになる。


 ヘルシンキ→ロヴァニエミ
座席車 80ユーロ
1階寝台(相部屋)139ユーロ
1階寝台(シングル)209ユーロ
2階寝台(相部屋)150ユーロ
2階寝台(シングル)226ユーロ

VRのホームページで同じ区間を別な日付で検索してみたら2階部屋のシングルユースで189ユーロとなっていた。
クリスマスの時期は高くなるようだ。

去年のオーストラリアもそうだったし、その前のスウェーデンやノルウェーもそうだったが、物価の高い国ほど鉄道運賃が安くなる傾向にあるような気がする。

お金の話はこれくらいにして、今夜は個室寝台車である。

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 今夜の宿になるアッパーデッキ・コンパートメント(2階個室)。

部屋のドアにはキーが刺さっていて、これが個室のキーとなる。これを忘れて出かけると部屋に入れなくなってしまうので注意。
通路は中国語がやかましく飛び交っていたが、彼らが部屋に入ると静かになった。

寝台は上下2段になっていてシングルユースでも寝具は上下段とも用意されていた。
部屋の広さはかつての『あけぼの』や『日本海』にあったシングルデラックスと同じくらい。
サービスのミネラルウォーターがタオルの上に置いてあった。

天井高さは十分にあり、2階建てとは思わせないが、下段に腰掛けると背の高い人ならば頭がつかえそう。

持ってきた尺で寸法を測ってみると、寝台幅80cm、下段高さ83cm、長さ210cm、床部分の幅73cmとなった。

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 個室寝台アイテムの数々。

寝台は背もたれも無く、基本的に座席としての使用は考慮されていないようだった。
運転時間を考えれば、寝台としての機能だけで十分という判断なのだろう。

窓側に小さい折り畳みの腰掛があるが、座ってみると窮屈。子供用のような感じだった。
寝台に座ると、窓側に上段に上がるための足乗せ台があるのが邪魔くさい。
窓も小さく、車窓を眺めるのにはあまりよろしくない。

それでも、1部屋貸切というのはうれしく、あれこれ写真に撮りまくる。

寝台の向かいのドアを開ければトイレとシャワールームになっている。
シャワーはどこにあるのかと思ったら、洗面台にある取っ手を回して引っ張ると便器が隠れ、シャワールームになるのだった。

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 奥の鏡と洗面台を引くと便器が隠れ、シャワールームとなる。


そろそろ発車時刻となるが、満席のはずだがまだ空きのままの個室がいくつもある。途中から乗って来るのだろう。
なぜ満席だとわかるのかといえば、1週間ほど前にこの列車の座席を検索したら『sold out』となっていたからだ。

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ヘルシンキからロヴァニエミ、ケミヤルビへの夜行列車時刻表。
(駅で配布の時刻表を切り貼りして作成)

18:49に列車は音もなく動き出した。
何の前触れもなく、外を注視していなければ、いつの間に発車したのかという感じである。

すぐに次のパシラに到着した。
ここはヘルシンキの北側のターミナルといった駅。ここから乗ってくる人も多かった。
開いている部屋も停車駅ごとにふさがってゆくのだろう。

この次がティックリラという駅で、ヴァンター空港への乗り換え駅となる。長距離列車でもこの2つの駅は必ず停車するようになっている。

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 中央駅次のパシラ駅。2階室から眺めるとずいぶん高い。

ところが、パシラ駅を発車してすこし行ったところで列車は停止してしまった。
日本ならば「停止信号です」とか車内放送がありそうなものだが、こちらは一切なし。

5分10分と経っても動く気配もない。
こんなところで運休とかって無しよ。
まさかそんなことではないと思うが。

そうしているうちにドアのノックがした。
開けると車掌であった。
出発前に印刷してきたチケットを出す。

車掌は持っている機械でQRコードをスキャンすると「サンキュー」と言って返してくれた。
これで検札は終わり。明日朝ロヴァニエミに到着するまでは自分の城となる。

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 出発前に印刷して持ってきた列車のチケット。

さーて、一杯やるか。
こうして誰憚られることなく飲食物を広げて一杯やれるのが個室寝台列車の醍醐味である。

スーパーのサラダバーで詰めてきたカップの中身は崩れてしまっていた。
まあいい、味は一緒だ。
ドレッシングは別売りで、これも買っておいた。

ビールはカルフビール。
どこのスーパーでもこれが一番多く置いている。ということは一番売れているというわけで、間違いはないのだろう。
外をウロウロしていたせいか、ビールは程よく冷えている。

カップに詰めてきたのは鮭にミートボール、ライスやマカロニのサラダといったところ。
これにジャーッとドレッシングをかけるとどれも同じ味になった。
大雑把だけど、ビールの肴と思えば悪くはない。

そうこうしているうちに列車は動き出した。
次のティックリラに着いたのは19:41だった。だいぶ遅れてしまったなと時刻表を見ると、あれっ時刻表通り。
どうやらただの運転停車だった模様。

これも時刻表を見ると、パシラからティックリラまで他の列車は所要時間10分なのに対し、この列車は46分もかけている。
この謎は、明日ロヴァニエミに着いてから判明することになる。

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 スーパーで買った量り売りサラダとカルフビール。

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 ティックリラ駅は定時に発車。


 ◆ 夜行の食堂車

カップのサラダを平らげ、2本目のビールも飲み終わると何だか物足りなくなってきた。
車内探検がてら食堂車に行ってみよう。

いま乗っている29号車から食堂車までは6両の寝台車と1両の座席車を通り抜けていかなければならないので結構遠い。
寝台車の通路は車両ごとに階段があるのでなおさら大変。

車内探検といっても、寝台車はみな同じで、個室のドアは締め切っているしこれと言って見るものは無い。
座席車は固定式のリクライニングシートが中央に向かって並んでいるタイプの物。
こちらは満席。寝台料金をケチらなくて良かったと思うところ。

座席車にはコンパートメントがあって、こちらは6〜8人用となっている。
とはいっても、部屋売りではなく、これも座席単位での販売になっているので、どういう用途でこうなったのかよくわからない。
他人同士相部屋で向かい合って座るのは窮屈そうだ。座席車での利用の際は購入時に注意したい席になる。

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 座席車はリーズナブルだが、満席の今夜は窮屈そう。

食堂車は車両中央に厨房とレジがあり、レジの裏側になる方の半分は4人掛けのボックス席。これが変わった造りで、通路が片側にあり、テーブルが互い違いに並んでいる。
レジ側の半分は窓側に向かったカウンターのようなテーブルと立ち食い用のテーブルがある。
それぞれ食堂車とビュッフェのような感じだ。

ただし料理の注文は1箇所あるレジでのみ行い、基本セルフサービである。
レジは売店も兼ねていて、パンやお菓子、飲み物だけの人はここで買ってまた戻って行く。

結構並んでいるように見えたが、並んでいるのは3人だけだった。列の後ろにつかせてもらう。

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 食堂車のボックス席。

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 食堂車のカウンター。基本的にセルフサービス。

しかしこのレジの列が進まないこと。
中では女性スタッフが2人で切り盛りしているのだが、1人は厨房係、もう1人はレジ係ということになるが、厨房の手伝いなのか奥に引っ込んだり、食器の片づけに外に出てきたり、厨房で出来上がった料理をテーブルに運んだりと大忙し。

前に客がいようがお構いなしでそれをするものだから、列がさっぱり進まないというわけだ。

ま、急がないし別にいいんだけど。
並ぶ他の客もそんな感じ。
おかげでメニューをじっくりと見ることができた。

メニュー表は字は小さいが英語併記もあり何となくはわかる。
ミートボールやサーモンスープといったところがメインの料理のようだ。結構いい値段もする。

前に並んでいた女の子は、袋のインスタントラーメンを容器に入れ、お湯を貰っていた。そういうのもアリなんだな。

ようやく自分の番が来て、ビアサーバーを指さして「カルフ・ワン」と言って生ビールを注いでもらう。
テーブルは立ち席しか空いていないので、ビールだけ飲むことにした。
1杯7.2ユーロ。クレジットカードを読み取り機に差し込んで暗証番号を入力すれば支払い完了。
安くはないが、思っていたより高くはなかった。

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 カルフビールの熊の絵柄のグラス。

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 カウンター側半分はバーのような造りになっている。

椅子はすべてふさがっていて、しかも長居の客ばかり。みんなお酒を飲んでいる。
こちらも壁際に寄りかかって、立ち食いテーブルにビールを置いて居場所を確保した。
しばらく、これも日本では過去の物になった食堂車の雰囲気を存分に楽しむことにした。

観光列車のようで、話し声の中から聞き覚えのあるロシア語なども聞こえてくる。
あれだけホームで見かけた中国人は、ここでは少数派だった。

レジは時折数人の列ができて込み合うこともあれば、1人もいなくなることもある。
ここで飲み食いするよりも、自席へ持ち帰る客の方が多い。
あずましくない(落ち着かないの北海道弁)食堂車よりも個室の自室の方が居心地が良いからだろう。

ただ、酒類だけは食堂車からの持ち出しは不可となっているので気を付けたいところ。

30分くらい居て、椅子席は相変わらず満席だが、立ち席の方は人が少なくなってきた。
隣のビールを飲んでいるフィンランド人らしい兄さんは、先に戻るのかと思ったら、レジでもう1杯ビールを持ってきた。

こちらは部屋に戻ることにする。まだ部屋に缶ビールがあるし。

テーブル席には1組の日本人を見かけた。なんでわかったかというとさっき日本語を話していたから。
相席の向かいの人たちに「オーロラ、ツーチャンス」と言ってるのが聞こえた。

ま、健闘を祈ります。
自分もだけど。

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 33分停車のタンペレ駅。

途中タンペレ駅では33分の停車。
夜行列車とはいえのんびりとしている。

ちょっと外に出てみる。
この辺りまで来ると、うっすらと雪が積もっていた。
外に出ても何かあるわけではないが、気分転換にはなる。

停車中に向かいのホームに2階建ての列車が到着して乗客が降りてきた。この列車に乗り込んだ人も多い。
ヘルシンキを19:40に発車した列車で、この列車に追いついたような格好だ。

このあと21:58にヘルシンキを20:24に出発したセイナヨキ行が到着して、この夜行列車を追い越して先に発車するはずだ。
ヘルシンキからタンペレまで一番速いSペンドリーノ号で、1時間34分で結んでいる。
それに対してこちらの夜行列車は2時間49分もかかっている。
日本でいえば急行列車とL特急みたいなものだ。

こちらは22:11の発車。
また部屋に戻って1杯やることにした。

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 部屋の明かり消すと夜景が楽しめる。

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 上段梯子の足乗せ台はビール置きに最適。

こんどはKOFFというビール。さっきのカルフは1缶2.84ユーロだが、こちらは2.04ユーロ。
カルフとはまた違った味。
ビールは安くはないが、思っていたほど高くもなかったので、この先はずっとビールばかり飲むことになった。

最初は邪魔くさいと思っていた上段へ上がる用の足乗せ台。
ここにビールの缶を載せるとまことに具合が良い。
滑り止め用のラバーマットが敷いてあるので、列車の揺れでビールが滑り落ちる心配がないのだった。

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 ベッドメーキングは自分でする。

最後の1缶を飲んだら眠くなってきた。

町のあるところ以外は基本的に真っ暗。
窓にへばりついていても雪と線路しか見えないし、もう寝ます。

シャワーは明日の朝浴びることにして、今夜は歯だけ磨いて横になった。


12/25の旅費
費用場所ユーロ円換算
ヘルシンキ中央駅コインロッカーヘルシンキ4499
ヘルシンキ大聖堂トイレヘルシンキ 1125
Kスーパーマーケット(ビールと食品)ヘルシンキ19.582,429
生ビール(食堂車)IC265車内7.2896
12/25 合計 34.783,949

posted by pupupukaya at 20/01/19 | Comment(0) | 2019年冬フィンランド旅行記

2019年冬フィンランド旅行記5 ロヴァニエミ到着

 ◆ サンタクロースエクスプレスの朝

夢の中から現実世界に戻ってきたら、いまは寝台車に乗っているんだと認識する。
この感覚だけは夜汽車だけのものである。

日本のようにレールの響きというものはないが、気づくとやたらと細かい振動が続いていた。

時計を見ると5時少し前。窓の外側は雪が凍り付いていた。
雪がちらついているようで、それに列車の明かりが反射して雪明りになり、真っ暗な部屋から車窓が見える。
すっかり雪景色になっていた。

雪をかぶった木立ばかりの森が、延々と車窓に流れ行く。
寝ぼけた頭で眺めていたが、ずっとエンドレスのような単調な風景。すぐに飽きてくる。

そうだ、部屋にシャワーが付いていたなと思い出し、浴びることにした。使わなきゃ勿体ない。

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 狭いシャワー室。

洗面台のノブをひねって引くと便器が隠れてシャワー室となる。
ここに入ってドアを閉めたが、うーん狭いなあ。
サイズで示すと、80cm×50cmくらいの空間に洗面台裏の出っ張り。
大柄なフィンランド人だったら身動きも一苦労だろう。

壁に温度調節のツマミとボタンがあり、ボタンを押すと天井のシャワーヘッドからお湯が出る。1回押すと15秒ほど出て止まる仕組み。
時間制限はないようだが湯量の調節は出来ず、水圧も頼りない。

身体や頭を洗うのはやめて、せいぜい軽く流す程度にしたほうが良さそうだ。
汗をかく夏場や、あるいは前後も車内泊とかでなければ、あえてシャワー付きを選択する必要もないと思った。

しかしこれ、シングルユースでなければ見知らぬ同室者との共用となるわけで、さすがにそれはあり得ないでしょう。
1階部屋は共同のシャワールーム利用となるので、シャワーに限れば、むしろそっちの方が快適と思われる。

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 6:04、ケミ駅停車中。木材を積んだ貨車が目立つようになった。

相変わらず雪は降り続いているようで、外は真っ白。
雪をかぶった森が延々と続いている。

遠くの方に町の明かりが点々と見え始めると列車の速度が緩んできて、駅構内に入る。
雪をかぶった線路や貨車が見えた。
6時過ぎ、時刻表を見るとケミ(Kemi)とあった。10分ほど遅れているが、長距離列車ということを考えれば、ほぼ定時運転と言える。

海外の鉄道はあちこち乗ったが、大体遅れるのが常である。
雪だし、どうせ30〜40分くらい遅れるんだろうと思っていたが、意外にも遅れは少ない。

正直言うと、できれば1〜2時間くらい遅れてほしいと思っていたくらいだった。
なぜなら、ロヴァニエミに朝7時半についてもまだ夜明け前で真っ暗だし、寒い雪の中で行く当てがあるわけでもない。
それに、この個室寝台にそれだけ長く乗っていられるということもある。

まあ、遅れが少ないのは結構なことだし、フィンランドの鉄道は優秀だということで。


 ◆ ロヴァニエミ駅到着

流れる森の向こうから次第に灯かりも見え始め、道路も見え隠れするようになった。
やはり定時刻に着くようである。

7:10、車掌の声で車内放送があった。最初はフィンランド語、次が英語である。
英語のほうに聞き耳を立てると、もうすぐロヴァニエミに着きますといったところ。

定刻ならば7:32着となっていて、さっきのケミは8分遅れで発車しているので、到着は7:40くらいだろうか。
こちらはもう支度も終えて、あとはコートを羽織るだけだ。

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 ロヴァニエミ駅の構内へ。楽しかった列車の旅も終わり。

7:14、今度は中国語の放送。これは録音したものを流したようだ。到着放送の中国語版だろうか。
これだけ中国人客が乗っていればそうなるわな。日本の鉄道でも、中国語の併用が多くなった。

続いて日本語。
しんあいなるお客様のスーツケースがフンシツしました、よけいな物が見つかったらスタッフにお知らせください

何だか聞き覚えのある話し方だなと思ったら、グーグル翻訳の読み上げではないか。
昨夜、車内の通路に部屋に入りきらなかったのか、馬鹿でかいスーツケースが置いてあるのを目にしたが、それが持ち去られたのだろうか。
同じ放送が2度流れた。

7:22、また車内放送。こんどは自動放送のようだった。
「ネクストップ、ロヴァニエミ」とはっきり聞き取れた。

列車は速度を落として駅構内へと向かう。

7:25、ロヴァニエミ駅のホームに停止した。

・・・・・・・・え、もう着いたの?

なんと7分の早着である。

正直ありがた迷惑ではあるが、着いてしまったものはしょうがない。
サンタクロースエクスプレスの旅も、あっけなく終わりとなる。

全財産のバックパックを背負って部屋を出る。
中国人(中国系?)客の、まあ荷物の多いこと。

停車時間はたっぷりあるので慌てる必要はないが。

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 ロヴァニエミ駅に到着。

ロヴァニエミ駅はホームは2面3線、電飾の駅名標や発車案内もあって、意外としっかりした駅だった。

幅広のホームがいかにも終着駅という雰囲気がある。
実際には終着ではないが、ほぼ全員近くが下車して、この先車内に残る人は僅かしかいない。

ホームが広いので人で埋め尽くされるというほどではないが、ホームのあちこちに大型スーツケースを持った集団があちこちにできる。
地元の乗客は、駅横の駐車場へ向かう人が多いようだった。

2階建ての駅舎があり、入口の上に『Rvaniemi』の青いネオンが光っている。
しかし、『V』の1文字だけは球切れしているのか消えていた。
フィンランド人はこの辺は気にしないのか、この先も球切れしているネオンを見かけた。

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 ロヴァニエミ駅舎ホーム側正面。

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 ヘルシンキから牽引してきた電気機関車。

先頭の機関車を撮影したので、今度は最後尾を撮影しようと後部の方へ歩く。

駅舎の東側は駐車場、西側の広場はバスの発着場になっていて、数台のバスが停まっている。
列車からの団体さんを待っているように見えた。

列車の最後部まで行くと、昨日パシラを発車してすぐに長時間停車があった理由が分かった。

編成の一番最後に、ヘルシンキ中央駅では見なかった1両の車運車(車両運搬車)が連結されていた。
この夜行列車にはカートレインとしての役割もあるのだった。

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 列車最後尾に連結の車運車。

ケミヤルビ行が停車中のとは別の線路は、この駅で切り離した車運車の入れ替え作業中で、4両の車運車がランプを持った係員を先頭に推進運転で入ってきた。
線路の終端にはランプウェイ(自走用の車載設備)があって、そこから車を出し入れする仕組みだ。

車の持ち主たちは周辺に散らばって、作業が終わるのを待っている。

日本では見ない駅風景である。車が出てくるまでを見物させてもらうことにした。

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 車の引き取りを待つ人々。

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 ランプウェイのある引込線へ入って来る4両の車運車。

そんな光景を見ているうちに、今乗ってきた列車はケミヤルビに向けて発車して行った。
切り離したのは車運車だけで、旅客車は全部終点まで行くようだ。

乗客のほとんどはここロヴァニエミで降りてしまい、ほぼ回送列車のような車内だったが、1両の車運車だけは2階まで満車だった。
ケミヤルビまで行くのはこの1便のみ。利用者にとっては貴重な列車ということになる。

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 7:42、ケミヤルビへ向けて発車して行ったIC265列車。

一方で作業が終了した車運車は、扉が開かれるとドライバーが車内に入ってゆく。
車運車は内部で貫通しているようで、車は前から順番に次々と出てきた。ランプウェイは2段になっていて、上段からも同様に車が出てきた。

ヘルシンキ側はパシラ駅の北側にパシラ・カーキャリア駅というのがあり、車はそこで車運車に積み込んで、18:49にヘルシンキ中央駅を出発したIC265列車に連結していたのだった。

前夜のパシラ〜ティックリラ間の所要時間がなぜ長いのかの謎は、こういうわけだったのである。

日本でも一時期カートレインが運行されていたこともあるが、余剰車両を改造した車両を使用して、多客期の臨時列車としてというものだった。
それなりに人気はあったようだが、車の積載台数が限られ、それによって乗客数も多くはならないことから、採算は取れていなかったのだろう。
ブルートレインよりも一足先に消滅している。

このカートレインサービスは、フィンランドの夜行列車全般で行われていて、他にはヘルシンキ〜コラリ間や、不定期だがトゥルク〜ロヴァニエミといった区間もある。

料金はヘルシンキ〜ロヴァニエミ間を座席車利用の場合で、人だけだと80ユーロ、車1台とドライバー1名込みで202ユーロということだった(VRホームページより)。

冬は特に凍結路の長距離運転ということになるので、北部で暮らす人や旅行者にとってはありがたいサービスであろう。

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 車内から続々と車が出てきた。

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 上段からも車が出てきた。

到着してから車が出てくるまで25分ほど。
車は外で待っていた同乗者を乗せると次々に去って行った。

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 車は同乗者を乗せてすぐに走り去って行った。

寒い

さすが頬が痛いほどではないが、じっとしていると震えあがってくる。
駅舎にあるデジタルの温度計は−2℃と表示していた。
とりあえず駅舎まで戻る。

駅舎は中が待合室になっているのだが、今の列車で着いた人たちで満員だった。
見回すと中国系の人ばかりである。

隣がカフェになっていて、ブレックファースト8.9ユーロと看板にあった。
要はホテルのバイキング形式の朝食である。
円換算で1,100円は日本のビジネスホテルのそれと同様。
ここで朝食にするかと中を覗いたら、広い店内はテーブルはたくさんあるが、こちらも空きテーブルは無し。

少し待てば空くのかもしれないが、待合室も居場所がないし、歩いて町の中心部まで行ってみることにした。

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 待合室はヘルシンキから列車で着いた人で満席。


◆ 朝のロヴァニエミ中心部

駅から中心部へは約1.3km。歩けば15分ほど。
スマホのグーグルマップで道は確認しておいた。

今はネットワークに接続していないが、車内ではWiFiが使えたので、必要な個所は車内で確認しておいた。
こうすれば履歴機能で非接続でも地図が使用できるのである。
といっても、道なりに行けばそれらしいところに出るので地図を見ることはなかったが。

駅前からの雪道は、市内の幹線道路のはずなのだが、まだ誰も歩いていないし、車はたまに通り過ぎるだけ。

今日はボクシングデーで祝日ということもあるのだろうが、もう朝8時を過ぎているのに、町はまだ眠ったように暗くて静か。

 “さいはての駅に下り立ち雪あかりさびしき町にあゆみ入りにき”
 (石川啄木)

啄木が明治41年1月、勤務先の赴任地である釧路の駅に降り立った時に詠んだ情景である。
あの当時もこんな感じで歩いて行ったのだろうか、と思うような雪明りの寂しい道だった。

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 駅から中心部までの雪明りの道。

 10分少々歩くとそれらしいところへ出た。
ネオンや電飾の看板が眩しい。
でも人は歩いていないし、空いている店もなかった。

観光地らしく、土産物店や地元ブランドのショップが並ぶ。
窓越しに明るく照らすウインドウディスプレイが何だかうらめしい。

ここまで来れば何かあるだろうと思っていたのだが、当てが外れてしまった。
明後日またこの町に戻ってきて1泊するので、観光ならばその時にすれば良い。

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 ロヴァニエミ中心部にあるロルディ広場。

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 ひと気のないコスキ通りとイルミネーション。

中心部に近い、大きな通りの交差点にマクドナルドがあった。

ここは世界最北のマックということだったが、2013年にロシアのムルマンスクという町にマクドナルドが出店したため世界一とは言えなくなってしまったところ。
それでも世界で2番目に北にあるマックということにはなるので、話のタネにはなるだろう。

窓ガラスから店内を覗くと空きテーブルがいくつかあった。
普段は海外に来てまで入りたいとは思わないが、今日ばかりはほかにどこもやっていないので、しばらくここの厄介になろう。

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 世界で2番目に北にあるマクドナルド。

海外のファーストフードって意外と面倒だったりする。
日本みたいにカウンターにメニュー表があるわけでなし、天井近くメニュー表を読んで店員に伝えなきゃならないからだ。
同じものでも日本と呼び方が違っていたりもするし。

その点アメリカのマックは「ナンバー1」とかメニュー表の番号で注文していたから楽だった。
そのうち自分の番が来て、奥にあるメニュー表を話して伝える。

「サイド(ナントカカントカ)」と聞かれ、フレンチフライというと店員「」。
あれっ、英語でフライドポテトはフレンチフライって言うんじゃ・・・
ええい「ポテト」と言うと通じた。

あとで調べたら『フレンチフライ』はアメリカ英語、イギリス英語では『チップス』と言うらしい。
ちなみにフライドポテトは和製英語ね。

いやはや面倒くさい。

ハンバーガーはマックビーガン(McVegan)というのが珍しく、それにした。値段はマックビーガン、ポテト、コーラのセットで5.95ユーロ(744円)。

ビッグマックは世界中にある通りここにもある。値段は7.66ユーロ(約958円)だった。
メニュー表にあるのはセットの値段らしい。それを考えると、日本より割高ではあるが、思っていたほど高いというわけではなかった。

もっとも円換算では、為替レートによって上下するものだから、一概に比較するわけにいかないが、少なくとも最近では馬鹿高いということはないようだ。

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 マックビーガン(McVegan)のセット、5.95ユーロ也。

テーブルも確保できて一息ついたところでマックビーガンにかぶりつく。
ビーガンとは菜食のこと。肉は一切使用していないというものだ。
日本ではあまりなじみは無いが、海外は宗教から個人的な主義まで、菜食主義の人が多い。

コロッケみたいのが挟まってるのかなと思ったが、意外と本格的な肉の感触がした。
肉よりもあっさりとしているので、朝食にはおすすめかも。

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 続々とやってくる海外旅行客で大盛況のマクドナルド。

いつしかレジの前は大行列ができていた。
空いているテーブルもすべて埋まっていた。

その客は、ほとんどが中国系。
地元の人らしい客はその中に混じっているといった感じ。
荷物がないので、近くのホテルからやってきてるとはわかる。ここしかやっていないからか、次から次へとやってくる。

だんだんうるさくなってきたし、これ以上いたら相席にでもなりそうだ。
食べ終わったら早々に退散する。

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 土産物店のウィンドウディスプレイ。

9:20、すこし明るくなってきた。
足元は雪明りではっきり見えるが、空はまだ暗い。
それでも歩いているうちに少しずつ明るくなってはきた。

駅に戻る途中にロヴァニエミ駅の旧駅舎の建物があった。
木造で白いペンキ塗りの建物は私物なのか公開しているのかは分からない。壁に銘板があって、暗くて見辛いが、SLのマークと『1909−1945』と書かれた文字が見えたので一応保存しているようではある。

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 ロヴァニエミ駅の旧駅舎。

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 高速道路上に建てられたショッピングセンター。

相変わらず道路は人も車もほとんど無し。
たまにすれ違うのは犬の散歩の人くらいだった。

もう朝9時半を過ぎているのに、まだ朝5時か6時といった感覚が抜けきらない。

今日のロヴァニエミの日の出時刻は10時54分となっている。
日の入りは13時44分となっていて、午後2時を過ぎたころにはまた暗くなるということになる。
この時期の明るい時間は僅か3〜4時間しかないことになる。

ここからまたさらに北の、今の時期は日が昇ることがない場所へ行くことになるので、こんなのはまだ序ノ口ということになるのだが。

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 中心部と駅前の間で唯一開いていたスーパー。

途中にあったスーパーの明かりが点いていたので覗いてみると、今度は営業しているではないか。

今は特に買うものはないが、これからバスでイナリという村へ行くことになっていて、一応スーパーはあるようだが、今日も祝日なのでやっているかどうかはわからない。

ここでビールと水、それにチョコレートを1枚買った。
あとは焼酎の残りと、ヘルシンキでの食品の残りがあるので、あとは何とかなるだろう。

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 道路側から見たロヴァニエミ駅。

再び駅に戻ってきたのが10時近く。ようやく夜明けと思えるほどの明るさになってきた。

外は寒いし、歩き回るのにも飽きた。バスの時間まであと1時間半ばかり。
あまり居心地の良い待合室ではないが、中でスマホでもいじっていることにする。

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 標識が立つだけのロヴァニエミ駅バスターミナル。

駅の待合室に入ると、着いた時にはわんさかといた人たちが、きれいさっぱり消えていた。
ツアーバスににでも乗って去ったのだろうか。
残っているのは朝着いた人か、次の列車を待つ人かはわからないが、とにかく数人だけ。

とにかく、ここにいれば暖かいし、バスの時間までここで静かに過ごせそうだ。
大盛況だったカフェも今はがら空き。もうすぐブレックファーストタイムも終わりとなるし、さっきマックで食べたのでもう用はない。

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 閑散とした待合室。

駅横にある広場の、何だか頼りないバス停を見ると本当にここで良いのか心配になるが、すでにチケットはネットで買ってある。
印刷して持ってきたチケットにはしっかりと『Rovaniemi railway station (11:20) - Inari (17:10)』とあるし座席の予約もしてある。ここで待っていれば間違いないだろう。

待合室に電光掲示の時刻表があり、次の発車は13:36発オウル行き、到着は11:05にヘルシンキからの夜行列車となっていた。人が去ると、長閑なローカル駅といった風情になる。

駅の中に有人の窓口というのは見当たらなかった。あるのは片隅に置いてある券売機が1台だけ。
チケットはこの券売機ですべて買えるのだろう。というより、みんなインターネットのホームページから買うのだろう。

海外の列車に乗るたびに、日本のJRってなんて時代遅れなことをしているんだろうと思う。


posted by pupupukaya at 20/01/22 | Comment(0) | 2019年冬フィンランド旅行記

2019年冬フィンランド旅行記6 北緯68度、イナリまで

 ◆ ロヴァニエミ駅 11:20【Rovaniemi-Karasjok,Exp.】17:10 ホテルイナリ

今いるのは北緯66度30分にあるロヴァニエミという町。フィンランド北部の内陸にあるラップランドの県都で、フィンランド鉄道の実質的な終着駅であり、ラップランド地方の交通の拠点でもある。ここから北は鉄道がないので、バスか車かということになる。

これからバスで向かうのは北緯68度54分にあるイナリという村。
ロヴァニエミからは約330km北に位置する。

330kmといえば、北海道でいえば札幌〜稚内の距離に匹敵する。それをバスで移動すると考えれば相当な距離に思えてくる。

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 ロヴァニエミ〜イナリ 332kmのバスルート。

旅行会社の募集しているオーロラツアーは、ここロヴァニエミ止まりというのが多いようだ。せいぜいラップランド最大のリゾート地であるサーリセルカまで。イナリまで足を延ばすツアーは、フリープランか少人数ツアーというものがほとんどである。

今回の旅行の、最初の最初の段階ではツアーでというのも検討したが、フィンランドは、さすがヨーロッパというべきか、こんな辺境の地でも各村や集落へ向けて一般のバス路線が伸びている。おかげで、こんな海外からのフリー旅行者でも自由に移動ができるというわけだ。

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 Eskelisen Lapin Linjat社のラップランドバス路線。

閑散としていた駅待合室も、だんだんバスの乗客たちが戻ってきたようだ。ほとんどが中国系の人たち。
11時少し前、駅横のバス乗り場に1台のバスがいた。近づいて行先を見ると『Tromsø(トロムソ)』とあって、これは違うようだ。
これから乗るのは『Karasjok(カラショク)』行。
ロヴァニエミから、サーリセルカ、イナリを経由して、国境を越えたノルウェーまで行く便である。

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 駅前のバス停に集まりだしたバス。

11時を過ぎたころからバス乗り場には続々とバスがやってきた。
どのバスもクリーム色に赤の同じ塗色。この配色に札幌市民ならば誰でも思うだろう、昔の札幌市営バスの観光バスを思い出した。
メーカーの銘板を見るとVOLVO(ボルボ)とあった。

11時台は各地へ向かうバスの出発ラッシュらしい。広場にバスが4台5台と並んで停まっていく。
カラショークと表示したバスは現れない。
運転手なのか案内の人なのか分からないが、バスの周りをウロウロしていたそれらしいおっさんに「イナリ?」と聞いてみたら「ウェイトヒア」と言われる。まだ来ていないようだった。

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 ラップランド各地へ向かうバスがぞくぞくと集まってきた。

各地に向かうバスが勢ぞろいし、行先を見ていると何だか楽しい。
そうしているうちに、ホームの方から放送が聞こえてきた。そういえば11時過ぎにヘルシンキから2本目の夜行列車が着くのだと思い出した。
ヘルシンキからロヴァニエミまでの夜行列車は2往復あり、こちらはヘルシンキを23:13に出発した列車である。
到着した列車からは、これもまた続々と乗客が降りてきてホームや駅の周りは賑やかになった。

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 11:09、ヘルシンキ始発の夜行列車、IC273列車が到着。

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 ホームはまた下車客で埋め尽くされた。

一方でバス乗り場の方もバスが次々と集まって来る。
列車の乗客たちはバスに乗り換えるのかと思っていたが、見ているそうでもない。

11時過ぎにロヴァニエミに着く列車から、同じく11時台に出発するバスに乗り継ぐというのはあまりにタイトスケージュールとなる。1分1秒まで正確な日本の鉄道ならばともかく、普通だったら余裕のある乗り継ぎスケージュールを組むだろう。

そうしているうちに奥の方から『Ivalo−Inari−Karasjok』と表示したバスがやってきた。さっきのおっさんにバスのチケットを見せるとこれに乗れというようなことを言われる。荷物はここに置けとバス横腹の荷物置き場を指さす。

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 バスは次から次へと、7〜8台は集まったろうか。

運転手に印刷してきたチケットを見せると「ステイホテル?」と聞かれ、「ホテルイナリ」と答えると機械を操作してレシートをくれた。見ると金額が0.0ユーロと表示してある。これがチケットというかバスの搭乗券みたいな物だろう。
事前にチケットを持っていない客は運転手から買うことになる。

バスの運賃はロヴァニエミからイナリまで60.6ユーロ。事前の座席予約をすると2.5ユーロ上乗せになる。
私はチケットを買うときに座席予約をしておいた。一番前、運転手後ろの席である。

予約の無い席は自由席ということになるのだろうが、座席には予約席のような表示は見当たらなかった。

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 運賃は予約時に支払い済みのため、ゼロ円券のようなレシート。

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 バスの最前列から。

このバスの乗客は数人だけ。さっき着いたヘルシンキからの夜行列車からの乗客で賑やかだが、こちらに乗り移ってくる人は少なかった。
この次はautoasema(アウトアセマ)=バスターミナルに寄るし、市内のバス停や空港へも寄るので、そこからも乗って来るのだろう。

予約料金がかかったが、とりあえずは眺めの良い席が確保できて嬉しい。
ここからイナリまでは5時間50分の道のり。鉄道や飛行機と違って、バスならば相当な長時間乗車となる。

それにしても、今朝夜行列車から降り立った大勢の中国系の人たちはどこへ行ったんだろう。

新たな客も増えぬまま、11:20になりバスは発車した。
先頭のバスに続いて、後ろにも同じく発車したバスが続く。

バスターミナルは駅から400m離れた場所にあって、まずこちらに立ち寄る。
ここの発車時刻は11:45となっていて、20分以上も停車時間がある。専用のバスターミナルの建物があって、駅前の乗り場より見栄えはする。
そんなに距離は離れていないし、町の中心部からも遠いのでどちらかに集約しても良い気がするが、とにかく別々になっている。

前のバスに続いてターミナルに入って行くと・・・・

まじ!?

思わず声が出そうになった。

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 バスターミナルの人だかり。

バスターミナルの乗り場には何十人もの黒山の人だかりが。
それも大型のスーツケースを持った集団。今朝駅に着いた時、ホームで見かけた集団と同じような人たちである。

早朝に夜行列車で着いた人たちは、こちらのバスターミナルで待っていたというわけか。

頼むから他の行先の客であってくれよと願ったが、バスが停まると集団は続々とこちらに向かってきた。
これ全員乗れるのかと思うほどだ。
やれやれ、これから6時間近く満席で行くのかと思う。

いっぺんに乗せたら収集がつかなくなると思ったのか運転手は外に出て一旦ドアを閉めた。
まず荷物を収容させてから順番に乗せるようである。

隣に停まっているバスを見ると、こちらと同じ『イバロ−イナリ−カラショーク』と表示してあった。
どうやらこのバスの増車のようである。

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 これ全員乗って来るのか。

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 隣に停まったカラショーク行の増車。

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 増車に群がる乗客たち。

予約のある人だけこちらに乗せるのか、どういう風に振り分けているのかわからないが、増車の方にも乗客が回ってきた。
ざっと見た目ではあるが、8割方は私を含めアジア系、その大半は中国系である。

中国系の人たちは、学生なのか若い人が多い。その大半が数人のグループかカップルなのであった。私のような1人旅は見なかった。ていうかそれ以外の組み合わせは見なかった。
そして彼らはみな例外なく大荷物だった。最大級と思われるスーツケース、それにプラス機内持ち込みサイズのスーツケース、どうかするさらに手提げ袋の人まで。

荷物が積み終わると今度は順番に乗せてゆく。
乗客ごとのチケットを確認して機械に打ち込みレシートを発行する。チケットの無い客からは直接運賃を受け取る。
1番前の席なので、そんな光景を眺めていた。

学割を期待したのか漢字の学生証を提示した学生客もいて、運転手は「ここはフィンランドだ!」みたいなことを言って断っていた。
学割を受けるには国際学生証が必要であろう。

スマホの地図を差し出して運転手に見せる人も多い。ここまでのチケットをくれということだろう。
これは中国人独特なのか知らないが、これが彼らの道の尋ね方なのである。

これは私も地元札幌で何度か経験がある。
信号待ちなんかで立ち止まっていると、突然肩をたたかれ、スマホの地図をヌッと差し出される。
どうやらそこへ行きたいとわかるが、教えてあげたくても、それに対して何と答えたらいいのか分からないのだ。

どんなに片言でも、言葉で尋ねられればそれなりに答えることができるが、ただ差し出して見せられても、こちらもどうリアクションして良いかわからず困ってしまうのだった。

やはり言葉のコミュニケーションって大事だと思った

話が脱線したが、そんな感じなので1人1人乗せるのに時間がかかる。
発車時刻の11:45はとうに過ぎてしまった。

あとは誤乗、レシートを見てから行先が違うことに気が付いた中国人2人連れ。
カード払いのため車内では払い戻しできないようで、運転手は向こうのスーパーへ行けという意味のことを言った。

混んでいるので遅れるのは仕方がないが、発車時刻を過ぎてから待合所から出てバスに向かってくる奴らは一体何なんだ
その度にまた横腹のトランクを開けたりするので、さらに時間がかかる。

なんだかんだで、発車できたのは12時を過ぎてからだった。
先に増車の方が発車し、そのあとを追う格好となった。

乗客の顔ぶれだけ見ていれば、中国人団体のツアーバスといった様相である。

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 ロヴァニエミ空港に寄る。ここからも乗客が。

市内のバス停からも何人か乗ってきた。まだ空席があったんだ。
そのあと空港へ。ここからも何人か乗ってきた。

増車の方は途中からの客は乗せないのか先に行ってしまい、もう見えなくなった。

走るのはケミからラップランド北のノルウェーの国境まで続く国道75号線
バスターミナルでの遅れを取り戻すためか、片側1車線の道路を飛ばす。

前の車に追いついて、しばし後に付く。これは直線区間になると次々に追い越した。

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 直線区間になると前の車を次々と追い越す。

国道沿いは雪をかぶった森ばかりが続く。木々が途切れたところからは雪原が見え隠れするが、湖なのかただの荒地なのかは判別できない。湖ならば美しい風景なのだろうな。

たまに小さな集落を通過する。集落と言っても家が2〜3軒あるだけ。
ちょっと大きめの集落にはスーパーマーケットもあった。えっこんなところに、と思う場所である。

だんだん薄暗くなってきて、もう夕方という気分になってくるが時計を見るとまだ午後1時半を過ぎたばかりである。
ここから先は日が昇ることがない極夜の世界となる。

明るいうちに着くわけがないとわかっているが、ホテルに着く前に夕暮れを迎えるというのは、あまりいい気分ではない。

空港から1時間半くらい走ってソダンキュラに着いた。ようやく町らしいところである。
バスはターミナルらしきところに入って行く。
ここで少し席が空くと期待したが、降りる人はいたが乗る人の方が多かった。

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 ソダンキュラはロヴァニエミを出発して、初めて町らしい町だった。

時刻表ではソダンキュラで20分ほどの停車時間があるようだが、乗り降りが済むとすぐに発車した。13:55である。
そのせいか定刻の10分遅れにまで縮まった。
ここからは定時で持っていくぜとばかりに、運転手はまた国道を飛ばす。

バス停留所は集落ごとにあるが、客がなければ通過する。
たまに途中で乗り降りがあって、停車するたびにバス停の名前をマイクで呼ぶ。
こういうところでは地元の人らしい乗客が1人2人と乗り降りする。車を持たない人にとっては貴重な足だ。

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 行けども行けども雪をかぶった森の道。

もう完全に日が暮れた15時過ぎ、ソダンキュラ以来の町らしいところに着いた。

カクシラウッタネン(Kakslauttanen)という所。
Arctic Resort(北極リゾート)というホテルがあり、ガラスイグルーという天井がガラス張りで部屋からオーロラが見える部屋が売りのホテルがあったりして、ここを宿にする日本のツアーも多いようだ。

リゾート地のようで、ここでようやく降りる人が目立った。
しかし乗って来る人もまた多い。

ここで日本人カップルが乗ってきた。

運転手「ノーエアポート
客「えっ、空港へは行かないみたい

どうやらイバロ空港まで行きたいようだ。
しかし、このバスはイバロの町には停まるが空港へは行かない。

何だかやり取りしているうち、
運転手「ネクストタクシー オア オールバス
となった。
途中で降りてタクシーを拾うか、空港行のバスに乗り換えるかということだ。

2人の会話を聞いていると、7時発の飛行機とかなんとか聞こえる。おいおい、大丈夫なのか。
とりあえず乗ってなさいということになり、2人は後ろの席の方に去って行った。
現地フリープランのツアーで来たのだろうか。自作の旅行ならば事前にもっと調べて来るだろうしなあ。

続いてやってきたのが中国人の学生らしい3人連れ。
これはご多分に漏れずスマホの地図をヌッと運転手に差し出している。
「カポ」だか「ケポ」だか言っているが、運転手もどこだそりゃ?とばかりに困惑している。
あれこれスマホの地図をいじって見せて、運転手もようやくわかったようで、これも「ネクストタクシー オア オールバス」となった。

乗り間違えなのか降りそびれたのかは分からないが、ネクストストップで降りてタクシーか戻るバスに乗れということになったようだ。

次のラーニラという停留所で停車。さっきの3人連れは降りるのかと思ったが、また運転手にスマホを見せて何やらやっている。
こんな所で降ろされてもねえ。夏ならばともかく、今はヘタすりゃ凍死してしまう。

運転手「わかった、タクシー呼んでやるからとりあえず乗ってろ」
って言ったかはわからないが、また後ろの席へ去って行った。

走りだしてから、運転手は無線で営業所へ連絡。「タクシー」の言葉が聞こえたので彼らのためにタクシーを手配してくれということだろう。

しかし、運転手も大変なハードワークだ。
満員に近い乗客のチケットを1枚1枚発券し、走りだしたら国道を飛ばして次々と追い越しをして、面倒な客のケアまでしなければならない。

不安なのか、このあと停まる停留所ごとに彼らはやってきて運転手と何やらやり取りする。
そのたびに「タクシー呼んだから、着いたら教えるから、とにかく乗ってろ」(って言ったかは定かではないが・・)ということだった。

あと日本人カップルである。
これも停まるたびにやってきて運転手とやり取り。
これも「着いたら教えるから、とにかく乗ってろ」ということだった。
この関西訛りの日本人は何を勘違いしたか「空港まで行ってくれるみたい」言う声が聞こえた。

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 えーい、ごぼう抜き。

国道の制限速度は、人家のある場所は60km/hとかになるが、それ以外は基本100km/h。
圧雪アイスバーンの道を走る車を、バスは次々と追い越して行く。
ソダンキュラでの20分間の停車時間も詰めているので、運転手はロヴァニエミからずっとぶっ通しである。

きらびやかな照明が現われるとサーリセルカ。ラップランド最大のリゾート地として知られる。
ここを目的地とするツアーも多い。
バスはいくつかのホテルに立ち寄って観光客を降ろす。

その1つの停留所で、さっきの中国人3人連れに運転手が「あそこにタクシーが待っているから」と言うと納得したのか彼らは降りた。
またタクシーの運転手にスマホを見せるんだろうなとか、とんだ散財だったなとか思うが、ま、他人事ではある

で、さっきの日本人。また運転手に確認に来る。
空港まで行くのは大変な誤解で、これも運転手が「途中にタクシーを呼んであるから、着いたら教えるから」というようなことを言うと安心したようだった。

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 ラップランド最大のリゾート地、サーリセルカ。

若干減ったものの、相変わらず満員に近いままサーリセルカを後にする。

15分ほど走った何もないバス停に停車すると、運転手が「イバロ エアポート」と叫んだ。
前にはタクシーが1台停まっている。
さっきの日本人カップルが来て、運転手が指さして「タクシー」というとわかったようで降りて行った。

ここからイバロ空港までは3kmほどの距離。運転手の働きで事なきを得たようである。

同じ同胞として、まったく情けない!

16:18イバロのバスターミナルに着く。

ここでまとまった人数が降りる。入れ替わりにカラショークまで行く人たちが数人乗ってきた。さすがに今度は地元の人のようだった。
運転手が「ここで30分間停車します」(と言ったような気がする・・)とか言って降りて行った。
時刻表では、ここの発車時刻は16:35となっている。

外に出るのは煙草を吸いに出る人くらい。
カフェらしき店はあるが、他に何もない。町の中心部からは少し離れているようである。

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 イバロのバスターミナルで小休止するバス。

運転手はパンを頬張りながら戻ってきた。
ロヴァニエミ駅を出発してからここまで5時間近く、ほぼぶっ通しで来たわけで、ここまできてようやく小休止となったわけだ。

発車間際に運転手は乗客の1人1人に「ステイホテル?」と聞いて回る。
ホテルの前まで行ってくれるのか、ちゃんと宿を確保できているかの確認なのかはわからない。
私が予約してあるホテルイナリの声も多数。

全員確認したところで発車となる。発車は16:50、時刻表では16:35となっている。停車時間を詰めることがなかったのは、もうこの先乗ってくる人もいないからということか。


 ◆ イナリ到着

ずっと灯かりひとつない道路だったが、街灯が並ぶようになるとイナリが近いことを思わせる。
30分ほど走って、イナリの最初の停留所に着いた。運転手はホテルの名前を言う。

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 それぞれのホテル前で乗客を降ろす。

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 ホテルイナリ到着。エントランスから振り向いて。

イナリのいくつか目のバス停がホテルイナリだった。バスはホテルのエントランスの正面に着けた。
ここで席を立つ人が多い。全員がホテルイナリの客であろう。

バスを降りてトランクの扉が開くや否や、自分のバックパックをつかみ取ってレセプションに一目散で駆け込んだ。
だって、この人たちの後ろの方に並んだ日には、いつ部屋に入れるのかわからないんだもん。
荷物が少ないと、こういうときに有利になる。

というわけで1番乗り。

早々にチェックインしてキーを受け取った。
振り向くと、後ろは大行列となっていた。


 ◆ ホテルイナリとイナリ湖そしてオーロラ

部屋はツインのシングルユース。

シングルで良かったのだが、予約サイトではツインしか空いていなかったため。
宿泊料は1泊145ユーロ(約18,000円)、その2泊分である。
しかも、空いているのはここ1軒だけだった。予約したのはまだ出発まで2か月以上も前の10月というのに。
さすがオーロラシーズンは混むし、宿泊代も高騰するようである。

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 2泊の部屋はツインのシングルユース。

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 トイレとシャワールーム。

ツインルームは1人で過ごすのは勿体ないほど広く、バスルームも広くて、シティホテル並みの快適さはある。
お値段以上の価値があるとは思えないが、支払いは予約時に済んでいることだし、2晩快適に過ごさせてもらおう。

ヘルシンキのホテルがひどかったのと、前夜は個室とはいえ車内泊だったので、解放感が半端なかった

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 ホテルイナリ全景。

ホテルは国道に面した場所にあるが、裏手はイナリ湖に面している。
北側に湖があって遮るものがなく、オーロラ鑑賞にはもってこいのロケーションだ。
ただ、町に近いので周囲が明るいのが気になるところ。

さてオーロラは見られるかなと外へ出て裏手の湖畔へ。

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 ホテル裏のイナリ湖。冬は全面結氷して雪原となる。

冬でなければ美しい湖面が広がる景色なのだろうが、今は全面結氷して広大な雪原となっている。その上をスノーモービル通った轍(わだち)が縦横無尽にあるものだから風景としては今一つ。
新雪が積もれば、きれいな雪原となるのだろう。

空は雲がなく、星が良く見えている。
まだ6時を過ぎたばかり。オーロラは早ければ夜8時頃から見え始めるはずだ。
この辺りは、出発前にオーロラについて勉強してきたので知っている。

星を眺めていると、北斗七星を見つけた。
これを辿って行くと北極星が見つかる。なんと北極星は真上にあるのだった。
方位磁針の北がどこを差すのか気になるところだが、あいにく持ってきていなかった。

これはオーロラも期待できそうだ。初日からなんてツイてるんだろう。
まあとりあえず夕食がてら部屋で1杯やろう。

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 イナリの中心部あたり。

地図で調べてきていたスーパーへ行くと、祝日だがまだ営業していた。
カゴを持って店内に入ったが、そんなに買うものはないことに気づいた。
明日の分はまた明日買いに来れば良い。気が変わって、ホテルのレストランにでも行くかもしれないし。

ビールもたくさん置いてあり、とりあえずお酒の心配はいらないようだった。
ピザパン1個と絵葉書1枚をカゴに入れてレジへ行った。

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 部屋での夕食。

ヘルシンキの残りとさっきのピザパン、それにビールはロヴァニエミで買ったもの。
ビールがおいしい。こっちに来てからビールばかり飲んでいる。


 ◆ オーロラ鑑賞1日目

8時を過ぎて、さてそろそろどうかなと外へ出て湖畔へ。

あれっ?

6時過ぎは満天の星空だった空は雲が覆っている。ところどころの切れ目からは星が見えたが、肝心の北の空は完全に雲が覆ってしまっている。
それほど厚い雲でもなさそうだし、もう少し待てばどこかへ流れて行くかもしれない。
そんな期待をして一旦部屋に引っ込む。

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 イナリ湖の氷上にはオーロラを期待する人々が。

1時間ほどして9時ごろまた外へ。
依然として空は雲が覆っている。

湖上の雪原は歩いて行くことができる。街灯かりが届かない所まで行ってみたが、意味はなかった。
雲がぼんやり光っているのを見つけたが、オーロラの光なのか街灯かりが反射しているだけなのかはわからない。
仮にオーロラだとしても、この雲がどいてくれなければ話にならない。

また湖畔に戻って、すこし高くなったところに立って雲が去ることを祈る。
湖畔や湖面は同じようにオーロラを期待する人なのだろう、人影が点々と見える。

突然、スノーモービルが3台現れた。
そのまま湖面の方に去るのかと思ったら、こちらを威嚇するように周りを走り回る。

危ない!

この野郎!
俺を撥ねたら国際問題だからな!

頭にきて、持っている強力な懐中ライトを彼らに向けると去って行った。

今度は湖面にいる人たちの周りを蹴散らすように走り回っている。
何なんだアイツラ、気味が悪い。また部屋へ引っ込む。

気づいたらソファーでうたた寝していた。
10時半、また外へ。ダメ

午前0時、また出ようとすると、レセプションの方へ出るドアは施錠されていた。
レセプションから部屋へはレストランの中を通り抜けて出入りする構造になっているが、営業終了とともに出入りできなくなるようだ。
なんだ、これじゃオーロラが出ていても見られないじゃん、と思って部屋に戻りかけると、反対側に非常口のような扉があった。もしやと思って取ってを引くと開いた。ノブの横にはカードキーを差す機械がある。
部屋のカードキーを持っていれば、ここから自由に出入りできるのだった。

また湖面を見るが、空は変化なし。しつこい雲だ。風もなし。
ホテルの壁にデジタルの気温計があって、18時台は−8℃を表示していた。現在は−6℃、気温は逆に上がっているのだ。

晴れていれば放射冷却現象という現象が起こり気温は下がるのだが、上がっているということは雲は退かないことになる。

今夜はダメのようだ。
部屋に戻って焼酎の残りを飲んで寝ることにした。

オーロラ観測初日 ×

12/26の旅費
費用場所ユーロ円換算
マクドナルド(マックビーガン)ロヴァニエミ5.95744
Kマーケット(ビールと水とチョコ)ロヴァニエミ 8.161,015
Kマーケット(ピザパンと絵葉書)イナリ1.99247
12/26 合計 
16.1
2,006

posted by pupupukaya at 20/01/25 | Comment(0) | 2019年冬フィンランド旅行記

2019年冬フィンランド旅行記7 イナリ村の1日

 ◆ 極夜の北極圏イナリにて

12月27日、金曜日。
クリスマスの3連休も終わり、今日からは平日となる。

昨夜は1時過ぎまで起きていたと思うが、6時過ぎには目が覚めてしまった。
ぐっすりと眠っていたようで目覚めは良い。

朝食会場は6時半から10時までとなっている。混んでいたら嫌なので早々に済ませてくることにした。
6時40分過ぎくらいに行くと、テーブルがいくつか埋まっていたくらい。これならゆっくり過ごせそう。
テーブルに着いているのは、やはり中国系の人ばかりであった。

ホットビュッフェのメインはミートボールとスクランブルエッグ。
ミートボール用にベリーのソースも置いてある。
あとは鮭の燻製の酢漬け、トマトとキュウリの生野菜、スライスしたハムとチーズ、焼きそばのような麺。
あとはリーシプーロと呼ばれるミルク粥。これはジャムを入れて食べるらしい。

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 ホテルの朝食はバイキング形式。

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 メインはミートボールとスクランブルエッグ。

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 フィンランドらしい物をいろいろ盛ってみた。

パンは大きいのが置いてあり、これをパンナイフで切って持ってくる。
バターは好きなだけ皿によそうことができるのはうれしい。
固めのライ麦パンにバターをたっぷりつけて頬張ると、ちょっと幸せな気分になる。

ベリーソースはかなり酸っぱく、ミートボールに合うような合わないような。
リーシプーロと呼ばれるミルク粥は甘く味がついていて、そこにジャムを混ぜていただく。
甘いお粥というのが、日本人からすると妙なものだった。

ここ数日は満室に近いはずだが、他の客はもっと遅い時間に来るのか人も少なく、ゆったりと食事ができた。
それでも朝食なので、食べ終えたら早々に部屋に戻る。

部屋のブラインドから外を見ると、ちょうどロヴァニエミ行のバスが着いたところだった。明日乗る予定のバスだ。
どんな感じなのか部屋から見ていると、乗り口には10人以上の行列ができていた。
これは、明日は早めにチェックアウトした方がいいのだろうか。

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 7時20分、明日乗る予定のロヴァニエミ行バス。

食べるものを食べ、出すものを出したら、次は洗濯
下着は3セットしか持ってきていない。荷物を少なくするコツの1つが、現地で洗濯することである。

洗剤は旅行用に小袋に詰められた物も売っているが、私が持ってきたのは百均で売ってる洗濯石鹸を鋸で切り、旅行先で貰った小さな石鹸箱に入れてきたものである。
泡立ちも良いし、使い終わったら箱に収めておいて、次回もそのまま持っていけるので重宝する。
あとは物干し用のロープ。これに吊り下げて乾かせばよい。

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 洗濯した下着を干す。

あとはコーヒーを飲みながらテレビの子供向け番組を見たりしていた。
夏ならばとっくに外に出てあれこれ見て回るんだろうけど、冬の今日ばかりは早起きするだけ損だなと思う。

9時半、部屋に居ても退屈だし外に出る。

空を覆う雲の薄い部分が明るくなってくる。ようやく夜明けだ。
曇り空。昨夜からの雲はまだ居座っている。
今夜のオーロラもまたダメかもしれないなと弱気になってきた。

ホテルの裏側から見ると、2階に朝食会場であるレストランの窓がある。窓側のテーブルはすべてふさがっていた。
やはりみんな遅い時間に来るようだった。

だんだん明るくなってきたが依然として薄暗い。イナリ湖の周りをウロウロと歩き回ったがこれといった物は無し。
村にただ1つだけある博物館が10時オープンなので行ってみる。

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 9時半、ようやく空が白けてくる。

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 シーダ(Siida)はイナリの文化施設。

やってきたのは、イナリただ1つの博物館であるシーダ(Siida)という施設。
10時、今オープンしたばかりだった。

冬のイナリで観光というか時間つぶしができるところといえば、ここくらいしかない。
まあせいぜいじっくりと見学することにしよう。

入場料は10ユーロ
クレジットカードで払うと、スタッフはコートにSiidaの文字があるシールを貼った。これがチケットということだ。
「カントリー?」と聞かれ「ジャパン」と答えると、入場者記録のような表のJapanの欄に1と記入した。

中はラップランドに暮らすサーミ人の歴史や文化、あとは北極圏の自然などの展示がメインとなっている。
国は違えど、札幌にある北海道博物館とか北大博物館と雰囲気は通ずるものがある。北海道人としては、新鮮味はないが親近感は覚える。

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 館内はラップランドの先住民族であるサーミ人の展示がメイン。

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 サーミ人の生活の展示。皆いい表情。

ほかに行くところもなく、ここでめい一杯時間をつぶさなければならない。1つ1つの展示を、へえへえと感心しながら見て回る。

ここで一番印象に残ったというか、思わず立ち止まって見入ってしまったコーナーがあった。
それは、北極圏の四季の風景を大きなパネルで壁一面に表示してあるコーナーがあって、おそらく初夏、白夜の時期のものだろう。荒地の野山の写真なのだが、何だか緑を求めて砂漠をさまよって、ようやくたどり着いたような感覚に近いものを感じた。

ここに立ち止まってパネルのパノラマを見ていると、鳥のさえずりが聞こえてきそうだ。足元には咲き乱れる花々。

3年前の白夜の北欧旅行、今年の初夏に訪れたサロベツ原野を思い出す。ああ・・待ち遠しいなあ・・・
まだまだ長い冬は始まったところである。
この感覚は、北国の人にしかわからんだろうなあ・・・

同じように秋と冬のコーナーもあって、こちらに来ると気持ちが重たくなった。

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 白夜の時期のパノラマ。

ずっと貸切状態で見て回っていたが、一通り見終わるころには他の客も見えるようになった。
館内にはビュッフェスタイルのカフェもあり、昼時に博物館に来るようにして、ここでランチというのもアリだろう。
中に入った2階にあるので、カフェだけの利用はできないようだ。

1周りするとまたエントランスのところに戻ってきた。さすがにもう1周する気にはならず、トイレへ寄って、売店で絵葉書を1枚買って外へ出る。

入ってからここまで1時間が経過していた。普通に見て回れば30分もあれば十分だろうか。
あまり大きな施設ではないが、地元の人の想いというか手作り感というか、そんなものが感じられ、フィンランド旅行で行った中でも気に入った場所の1つになった。

外へ出ると、もう大分明るくなっていた。
南の空は雲が途切れ、隙間からは朝焼けが見える。

シーダを出てから、国道をさらに北の方に歩いてみる。
歩道の除雪は交差点のあるところで途切れていた。そこから脇道へと歩き進む。
別に何かあるわけではないが、イナリ湖の対岸の方へは行けないかなと思ったわけだ。

昨日は列車やバスの窓から見ただけの、すっぽりと雪をかぶった森がずっと続いている。
この雪のかぶりっぷりが凄い。
こちらの雪は物に付着しやすい雪質なのだろうか。電線にもこれでもかってほど雪が付着している。

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 雪をかぶった森の風景。

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 朽ち木に積もる雪。

行けども行けども森ばかり。10分くらい歩いていたら怖くなってきた。町の方へ引き返すことにする。

途中にもう一つの文化施設であるサヨス・カルチャーセンターの建物を見つけたが、入口は施錠されていて今日はやっていないようだった。

もうこれで行くところはない。冷えてきたし、ホテルの部屋に戻ることにしよう。

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 イナリ湖に流れるユートゥアン川(Juutuanjoki)の橋と国道。

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 サヨス・カルチャーセンター。

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 走り回っていた除雪車。

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 ホテル横から見たイナリ湖。

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 イナリ教会。

イナリは北緯68度に位置する北極圏の村。この時期は極夜と言って昼でも日は昇らない。かといって白夜の反対で昼間でも真っ暗というわけではなく、昼間の3時間ほどは、普通に活動できるほどの明るさにはなるのだった。
しかし完全には明るくならず、一番明るい時でも日が沈んだ夕方くらいの感覚で、もうすぐ12時になるが、走っている車はすべてライトを点けている。

こんな暗い冬はアルコールに頼る人が続出するのもわかるし、それが社会問題になってアルコール販売を規制しようという動きがでてくるのも良くわかる。

ホテルに戻る前に、イナリにもう1つあるSaleというスーパーでビールを買って部屋に戻る。もう昼から飲んでようか。

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 昨日買い物したK-マーケット。

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 もう1つあるSaleというスーパー。

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 スーパーの棚に並ぶビール。


 ◆ イナリの午後

部屋に戻り、これからどうしたものかと考えることにした。
朝食はたくさん食べたので、まだ腹も減ってはいない。

机の上にパンフレットが置いてあるのに気づく。ウインターアクティビティー(WINTER ACTIVITIES)と書いてある。
置いてあるのは気づいていたが、昨日は完全に無視していた。

オーロラハンティングでの昼間の過ごし方としては、スノーモービルの運転体験や犬ぞり体験などを楽しむというのがあるが、正直どれも興味はなかった。
雪中体験など、別にお金払ってまでする気にもならないというのもあった。

パンフレットを見ていると、色々な雪中体験のほかに『オーロラハンティング BY CAR』というのを見つける。
イナリのこの辺りでオーロラが見られなくとも、車でオーロラが出ている所まで連れて行ってくれるのではないか。
おお、これだ。これにしようと早速レセプションへ。
受け付けはホテルでもできるようである。

オーロラハンティングは4時間のコースと2時間半のコースがあり、料金は4時間が140ユーロ、2時間が95ユーロとなる。
結構な出費となるが、日本からわざわざここまで来て見られませんでしたと言うわけにはいかない。

レセプションでたどたどしい英語でこのツアーに申し込みたいのだが、というとわかってくれて、中にいた姉さんはそのツアーの事務所に電話を掛けてくれた。
あいにく4時間の方はすでに一杯のようで、2時間半の方ならOKという返事だった。
支払いはここでもできるとのことなので、ここで払ってしまう。95ユーロ。
集合場所はホテルではなく、隣のビジターセンターということだった。

最後に「OK、サンキュー」というとレセプションの姉さんは「アリガトゴザイマシタ」と答えた。
これでオーロラを見られる可能性はかなり高くなったことになる。

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 パンフレットのオーロラハンティングツアー。

まだ12時半を過ぎたばかり。
ツアーの出発は20時である。それまで何をして過ごそうか。

さっき買ったビールでも飲んでいることにした。

えっ!昼間から?

まあいいじゃない。旅行中なんだし。車の運転があるわけで無し。
それに、ホテルの入口にあるバーじゃ、もう飲んでいる。何のことはない。

部屋に冷蔵庫は置いてないが、窓の横にある扉を開くと通気口になっていて外気と通じている。
ここにビールを置いておけばすぐに冷たくなる。

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 窓の通気口は冷蔵庫代わりになる。

窓ははめ殺しの2重窓で、中にブラインドが入っているが、これは紐を引っ張れば跳ね上げることができる。

窓辺にテーブルとソファーがあるので、そこで外を見ながら1杯やれば部屋がバーに早変わり。
1階の部屋で表の道路に面しているから、外から中が丸見えだが、見えて困るものがあるわけでなし。

それに高い部屋に泊まっているのだから、あるものは大いに活用しないとね。

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 窓のブラインドを開ければ、外を見ながらバーの気分。

ヘルシンキで買ったソーセージがまだ1本余っていた。それをつまみにして窓辺で1杯。
見慣れた雪景色だが、ここは異国の辺境の地である。悪くはない。
いい気分になってきた。
なんだかもう1人お客さんでも呼びたい気分だ。

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 買ってきたビールとヘルシンキのスーパーで買ったつまみ。

窓から道行く人を見ていると、半分以上は中国系の人たち。
昨日ロヴァニエミからのバスで見たのと同じ学生風で、カップルかグループの組み合わせばかり。手にスマホを持って、自撮りして、中に必ずのび太君(?)がいて、皆同じように見える。

最近は行ったことがないが、北海道のニセコあたりもこんな感じなのだろうか。

ただ、彼らの身近にいると、身なりも良いしマナーも身についているというのは感じる。
裕福な家の出なのだろうか。こっちはホテル代だって高いし、中国で予約したから安くなるってわけではない。旅行代金は相当なものだろう。
とにかく、ヘルシンキやロヴァニエミで見かけた団体さんとは違うなという印象だった。

オーロラ目的なのか知らないが、こんな辺境にまで押し寄せている彼らは一体何者なのだろう。
ネットで調べてみたらこんな記事を見つけた。


“今年12月から来年2月までの間にフィンランドを訪れる中国人観光客は14万人と、前年の同じ時期に比べ16%増加するとの見通しを明らかにした。”同記事より引用)

また記事によると、そのフィンランドでも人気があるのがここラップランドなのだそうだ。

最初、イナリやロヴァニエミのホテルが高くてどこも満室だったのは日本人が多いからだと思っていた。
ちょうど年末年始にかかる頃だし、この時期にまとまった連休となるのが世界でも日本くらいなものだからだ。
しかし原因は中国人だったのである。どうりでホテル代も高いし予約も取りにくいはずだ。

中国は日本と違い年末年始でも連休にはならない。学生だって学校を休んで来ているのだろう。中華圏は、新年からひと月ほど後の春節が大型連休となる。
向こうの連休ではないこの時期ですら中国人ばかりという状況だ。春節の頃に来ていたら中国のお祭りのようになっているんだろうか。

これが一時的な現象なのか、これからずっと続くのかは分からない。ただ、少なくとも2022年の北京冬季オリンピックが終わるまでは続きそうではある。

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 午後1時半を過ぎればもう夕暮れ。

ビールを1本空け、ちょっと外へ出てみる。
午後1時半だが、もう夕焼け空だった。雲はだいぶ少なくなってきたようだ。

ホテル裏から夕焼けを眺めていると、1台のスノーモービルがやってきて走り回る。

見ているとホテルのエントランス前とか歩行者用の遊歩道とかをすごい勢いで走り回る。
それにやたらと空ぶかしするので、やかましいことこの上ない。午前中にも見た。
昨夜(ゆうべ)湖畔で追い回してくれたのも、こいつらだろう。

部屋に戻ろうとすると、1台が道のわきに止まって湖の方を見ている。顔を見ると地元の兄ちゃんといった感じ。
スノーモービルの暴走族といったところか。

地元の人といえば、子供から大人までソリで走っている人をよく見かけた。
ソリといっても引っ張って歩くのではなく、スチール製らしい簡素なソリにまたがって、地面を蹴りながら進んでいる。
結構スピードも出るようで、午前中に歩道を歩いていると、これに乗ってスイ〜っと脇を追い越して行くのを見た。

これも調べたら『ポトゥクケルッカ』(Potkukelkka)というフィンランドのソリなんだとか。
こっちでは冬の乗り物になっているようだった。

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 地元の人が使っているソリ(ポトゥクケルッカ)。

つかの間の昼間はあっという間に終わり。2時を過ぎればもう夕暮れである。

つまみのソーセージだと思っていた物はレバーペーストだった。
このままだとクドすぎる。

レバーペーストは困ったな。パンでもあれば。そうだ、パン買ってくるか。
またコートを羽織ってスーパーへ。
ホテルの斜め向かいにスーパーがあるので買い物は便利だ。

ホテルの真向かいは新しいスーパーが建設中だ。こんな小さな村にスーパーが3軒もいるのかなと思うのは日本の感覚で、遠く離れて点在する集落から車で買い物に来るのだ。ノルウェーやオーストラリアでもそうだったが、人口稀薄地帯に町の規模に似合わないような大きなショッピングセンターがあったりするのはこのためだ。

それはともかく、パンとまたビール2本買ってきた。今度のは夜飲むためである。
レバーペーストはパンに挟むと食べられるようになった。
午前中に買ったビール2本は飲んでしまった。

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 2時半でこの暗さ。

突然ノックの音が聞こえた。誰だろうこんな時間にと思う。
開けると「ルームクリーニング」という。

こんな時間に・・・と思いかけるが、まだ昼の2時半だった。
すっかり暗くなっているので、もう4時か5時くらいの感覚でいた。

掃除たって、その間外に出ていなければならないし、そんなに汚れてもいないし、ツインだからタオルも2セットあるし。
「ノーサンキュー」「ノークリーニング」と言って断った。

ビールを飲んだのはオーロラハンティングに備えて昼寝しておこうというのもあった。ところが2本飲んでも一向に眠くならない。
ていうか、海外でビールを飲むとあまり酔わない気がするのだがどうしてだろう。
さっき買ったビールが2本あり、もう1本開けようかとも思ったが、それはさすがにやめておいた。

ここからはティータイムにする。
昨日買ったGeishaチョコ。ふつうにゲイシャと読む。
包み紙に桜のイラストがあってデザインは日本風だが、日本とは直接関係ないらしい。
チョコには細かく砕いたナッツが混じる。

これは昨日バスの中で、うっかりカイロが入った手袋と同じカバンに入れていたら溶けてしまったもの。
こういうのも食べてしまおう。

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 Geishaチョコをつまみながら紅茶を飲む。

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 部屋に飾ってあった絵。

結局眠くはならず、また空の様子を見に外へ出たり、スーパーへビールの空き缶を持って行ったり、あとは何をして過ごしていたのか忘れたけど、寝ることはなかったと思う。


posted by pupupukaya at 20/01/26 | Comment(0) | 2019年冬フィンランド旅行記

2019年冬フィンランド旅行記8 オーロラハンティングツアー

 ◆ オーロラ鑑賞の準備

午前中は曇り空で、今日もオーロラはダメかと落胆しかかっていたのだが、午後から雲が姿を消し始め、暗くなるころには晴れ間の方が多くなってきた。
ネットの雨雲レーダーも見ているが、ここイナリの晴れ間は何とも頼りない。

今夜はオーロラハンティングツアーの予約をしてあるというのは前述の通り。
イチかバチかだが、このツアーに賭けることにしたのだった。

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 暗くなるころには雲が消えつつある。

ホテルの正面にあるデジタル時計は、時刻と気温を交互に表示する。
正午あたりで−5℃を表示していた気温は、暗くなるにつれ段々と下がり始め、見る度に7度、8度と下がり続ける。

いいぞ、気温が下がるということは覆いかぶさる雲が消えたということだ。
これでオーロラが見られる確率がかなり高くなるということだ。

ただ誤解のないように申し上げておくが、晴天ならば必ずオーロラが出現するわけではない。
オーロラは気象現象ではなく、大気圏のはるか上の宇宙空間に接する、地上から100km以上もの上で起こる現象だ。

簡単に説明すると、太陽から吹き付ける太陽風が地球の磁気バリアと接触して強い電流が発生し、その電子が大気に当たって発光する現象がオーロラということになる。

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 上画像は オーロラの仕組み | Aurora3D より引用。

そのオーロラが発生するのは北緯66〜70度付近にドーナツ状にあるオーロラベルトと呼ばれる地域に多く出現する。

これ以上の説明はググればいくらでも出てくるので省略するとして、早い話がオーロラが見える確率は太陽風の強弱で左右されるということである。

太陽風は太陽の活動が活発になれば強くなるし、弱くなれば太陽風もまた弱くなる。この強弱の周期は約11年ごとに起こるとされ、直近では2015年が極大期と呼ばれる時期で、この年には北海道でもオーロラが観測されている。
残念ながら今年(2019年)をふくめここ数年は極小期とされ、オーロラの出現率は低いようだ。

しかし、太陽風の強弱というものも毎日変動しているし、弱いからと言って全く出現しないというもでもない。
その逆もありうるわけで、こればかりはオーロラが出るか出ないか運しだいというところ。

以上は雲の上の方の話で、そもそもが晴れていて、しかも空気が澄んでいなければ地上から見ることができない

太陽風と雲のあるなし、この2つをクリアし、かつどこに出現するかは誰にもわからないというものなので、オーロラを見るのがいかに難しいことかお分かりいただけると思う。

海外旅行になるので、これを1か月以上も前から予約や申し込みをしておかなければならないのだから、オーロラ鑑賞というものはギャンブルにほかならない。しかも何十万円も賭けたギャンブルだ。

ネット上には オーロラ予報 というものもあり、2か月くらい先までのオーロラの出現レベルの予報を日ごと単位で出しているものがある。
これは出発前から昨日までチェックしていたが、この予報自体も2〜3日くらい前までに変わるようである。

事前にできることと言えば、せいぜい普段の行いを良くしておくか、神頼みでもするくらいしかないようだ。

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 ホテル裏から北の空。満天の星。

18時、すっかり暗くなった外に出てみるとホテルの温度計は−10℃を示している。

気温が下がっているということは、雲が無くなって空気も澄んできたということだ。
空に遮るものがないので、放射冷却と言って地上の熱がどんどん宇宙空間に逃げているということだ。

晴天の夜はぐっと冷え込むというのは、北海道民の私としては実感で分かっている。

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 ホテル正面に表示された−10℃。気温も下がりつつある。

もう19時も近くなった。ぼちぼち出かける支度を始めるべか。

今までバックパックの底で眠っていた防寒着を取り出す。
今回の装備で一番高かったモンベルのスペリオダウン。自慢じゃないがこれが良くできていて、保温性抜群のわりに薄手で丸めればバックパックのポケットに収まるほどコンパクトになる。

内側もがっちり重ね着して、インナーのスペリオダウン、アウターのダウンジャケット、防寒パンツと完全防備。
少なくとも名寄や美深あたりでも通用しそうな格好である。
この次はダイヤモンドダストでも見に行ってこようか。

着てみたらこんな感じ

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 オーロラ鑑賞の装備。道民仕様(?)

今回のオーロラ鑑賞の装備は、冬場に日常や仕事でも使うパーツの寄せ集め。
お世辞にもお洒落とは言えないが、夜だからわかんないんじゃない。
それに見えないところにお金をかけるのが本当のお洒落というもの(負け惜しみ)

手がかじかむので、手袋の中には強力なカイロを仕込んでおく。

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 2重の手袋の中にはカイロも装備。


 ◆ オーロラハンティングツアー

そうこうしているうちに19時半も過ぎていた。いざ出発!
と言っても、このホテルの隣の建物に移動するだけだが。

ビジットイナリの店の横にはそれらしい車が待機していて、これで行くのかなと思いつつ、とりあえず中に入る。

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 ホテルイナリ隣のビジットイナリ・サファリオフィス(Visit Inari Safari Office)。

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 キャンドルが照らす看板。

店内に入ると、20時30分からのオーロラハンティングの参加者らしい人がいた。
スタッフにオーロラハンティングで来たのだがというと、下で待っていてくれとのこと。

店内は防寒着や防寒靴がたくさん並んでいて、昨日外から見たときはアウトドアショップなのかなと思っていた。

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 地下の衣装室で待機。

案の定中国系のグループorカップルばかり。逆にこれ系で1人で歩いている人って見かけないなあ。

色々揃っている防寒着なんかを眺めていると、スタッフが名簿をもってあらわれた。1人1人参加者の名前と服装の確認をする。
ダメ出し(?)をされる人もいて、その場合は店内の防寒着を借りることになる。
「それを着て」みたいな感じで言われている。

これらはツアー参加者には無料で貸し出してくれるようだ。
無料というより、ツアー代にレンタル料も含まれていると言うべきか。

日本で防寒着をそろえる必要はなかったな。
まあ、今回のは予定外のことだし、揃えた物は普段でも使うものばかりなので、新しく買い替えたと思えばいいこと。

自分の番になり、スタッフは上から下まで眺めて「OK」と言った。合格ということらしい。
道民をなめちゃいけませんよ、というかちょっと嬉しい。どうでもいいことだが。
ただ全身真っ黒なので、反射材のついたオレンジ色のベストを渡され、これを着ろというようなことを言われる。

外に車が着いて、続々と人が集まって来る。ほかのホテルを回って集めてきたようだ。
いよいよ出発になる。

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 ベンツGLEの11人乗りマイクロバス。

店の前に集まったツアー参加者は総勢30人以上はいるだろうか。
そのほとんどは中国人というか中国系なのかわからないがその系の人たち。日本人は私1人だった。

こっちイナリに着いてから日本人らしき人はまだ1人も見ていない。
いないはずもないと思うのだが、専用貸切ツアーで行動してるのか、ホテルに引きこもっているのか。

車は4台、ベンツの11人乗りマイクロバスに分乗する。
車は指定されず、空いている車に乗ればいいようだ。
乗り込んだ車は、運転手のほか私を入れて8人が乗り込んだ。うち3人は数少ない欧米系の連れ、日本人が1人、あとは男の中国系若者グループ。
皆立派な一眼レフを持っているなあ。ここまでの旅費といいカメラといい、裕福な家の出なのだろうか。

私が持ってきたカメラはコンデジ(COOLPIX P330)だけ。これ1台で旅行中の画像をすべて撮影している。オーロラもこれでやろうというわけだ。普段は旅行に持ち歩かない三脚も持ってきた。といってもオモチャのような代物だが無いよりマシであろう。
あとはバッテリーのスペアも2個用意してきた。低温でバッテリー容量の急激な低下が起こるからだ。

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 4台に分乗して発車。

20時20を過ぎたころ車は出発した。少し早いが、全員揃ったのを確認したからだろう。
どこへ行くのかはわからないが、とにかく国道を北へ向かっているようではある。

車内は皆押し黙っているかのように無言。しかし目的は全員オーロラ。
呉越同舟、仲良く行きましょう。

イナリの市街地を過ぎると、人家も全くなくなり真っ暗。雪をかぶった森ばかりが窓の外を通り過ぎる。
先頭の車がハイビームで前方を照らし、そのあとに3台が続く。オーロラハンティングのキャラバン隊といったところ。

20分くらい走ったところで車は停車した。国道沿いの停車帯のようなところである。どうやら着いたらしい。
空を見上げると満天の星が力強く輝いているではないか。こんな見事な星空を見たのは生まれて初めてではないかと思う。
とりあえず三脚を出して星空を撮影する。

ほかの人たちも同じように、しばし星空の撮影会。
いやはや見事な星空。

大いに感心するも、肝心のオーロラどうなちゃったの

星空を見るために高いツアー代金払って来たんじゃないんだけど。
ここでオーロラが出るのを待つのか。

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 力強く輝く星空。地上の明るいのは車のヘッドライトのため。

カメラの設定は絞り値:f1.8露出時間:8秒ISO:3200フォーカス:遠景で固定しておいた。
この設定は9月に 小清水ハイランドでの天の川撮影で使ったもの。実はあの旅行は、今回のオーロラ撮影の予行演習でもあったのだ。

三脚を立てて、シャッターも2秒間のセルフタイマーにして撮影してもブレる。三脚が簡易のものだからどうしようもない。それでも5枚に1枚くらいはまともに写った。

肉眼ではかすかに見えるくらいだが、撮影した画像では北東の地平線あたりがぼんやりと光っているのが写っている。
これがオーロラなのか、どこかの町灯かりなのかはわからなかった。

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 地平線近くがぼんやりと光るのはオーロラ?

20分くらいして、また車に乗るよう指示がある。

また国道を北上し、10分ほど走ったらまた停車帯のようなところに停車した。
ここでまた下車タイム。

あたりを見ても、さっき降りた場所と代り映えするわけではない。
こんな感じで、オーロラを探してあちこち立ち寄りながら移動するんだろうか。

そんなことを思っていると、運転手が「ノーザンライツ!」と叫んで空を指さす。
指さす方角を見ると、真っ暗な空に薄い緑色の筋のような光がぼんやりと見えた。

思わず「Northern Lights?」「really?」(オーロラ?本当に?)と言うと、運転手がナンヤラカンヤラ叫ぶ。
おそらく「そうだよ!これが本物のオーロラだよ!」と言っているんだろう。
こっちも興奮して「ホーー!」と声を上げて、もう踊りだしそな気分になった。

踊っている場合ではなく、急いで三脚にカメラを据えて撮影する。
背の低い三脚なので画像では地平線すれすれのように写っているが、実際にはもう少し高く見えていた。

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 これが本物のオーロラ。マニュアルモード(6″、f1.8、ISO3200)で撮影。 

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 オートで撮影してもこの通り何も写っていない。

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 オーロラを撮影する人たち。

弱い筋のようだったオーロラは、次第に明かるさも増して横に長くなってきた。
30分もすると高度は低いものの、北の空一帯に広がりを見せた。

カメラのISOや露出時間の設定をいろいろ変えて写してみる。
ISOの数値を高くするとブレは少なくなるが画質が荒くなる、逆に少なくして露出時間を長くするとブレが多くなるし難しいところ。
それにしても、ブレとの格闘。まともに写るのは5枚に1枚か。
一方でカメラばかりに専念するのではなく、時々オーロラを眺めて目に焼き付けるようにもした。

気温はわからないが、−20℃は無いな。15度はあるかなあと顔の皮膚での体感。
でもそんなこと感じる余裕もなく、オーロラを見るのと撮影に熱中していた。

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 くそー、ブレるなあ。

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 光が強くなったり。

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 2本に分かれたりしながらだんだん大きくなってきた。

バッテリーの減りが思った以上に早い。
さっき車の中でも交換したが、今使用中のも切れそうだ。手袋を外してスマホ画面の明かりでバッテリーの交換をする。最後の1個なのでなんとか持ってくれよ・・・。

カメラと格闘していると、スタッフから温かい紙コップを手渡された。飲んでみるとホットワイン。これはありがたいサービス。

一息ついて・・・、というか我に返ると、露出していた頬がヒリヒリする。
考えたら、しばれる中でもう30分以上も格闘していたのだった。

DSCN2063.JPG
 オーロラ鑑賞中の様子。

周りには人工の明かりが全くなく、今夜は新月のため月明かりもない。
それでも星の明かりとわずかな雪明りがあるので、カメラから目を離して暗闇に慣れるとぼんやりと風景が見えてくる。
オーロラの光は弱く、地面を照らすほどの明るさは無い。

そんな中たまに車が通過して行く。国道沿いの停車帯のためしょうがないのだが、その車もまた容赦なくハイビームで照らしてくるので、まともに見たら目が眩んでしまう。
車が通るたびに後ろを向いて目をつぶっていた。

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 北の空に大きく広がったオーロラ。

緑色に光るオーロラは、時間とともにゆっくりと姿を変えてゆく。
一筋のちいさな光から始まって次第に北の空を覆うように広がって、それが2本の筋に分かれて、ゆっくりゆっくり変化してゆく。

もう撮影はほどほどにして、変化するオーロラを眺めていた。

オーロラと言えばもっとユラユラしているものだと思っていた。今日のオーロラは動きは遅く、緑色の雲のような見え方だった。
あの光っている下にいけば全天を覆う壮大なオーロラとして見えるんだろうけど、2時間半のツアーじゃ無理だ。。

4時間コースの人たちはどこまで行ったんだろうな。ノルウェーとの国境あたりまでは行ったのかもしれない。ここよりはもっと大きく見えたのかなあ、などと考えるが、それはよそ様のこと。

とにかく念願のオーロラを見られたことに感謝。

神様ありがとう。

北の空一杯にまで広がったオーロラも、次第に小さくなってきた。
また最初の小さな筋まで戻ってしまった頃、車のエンジンがかかった。そろそろ戻る時間である。

DSCN2061.JPG
 また光が弱くなった。

気が付くとここに着いてから1時間近く経過していた。
素晴らしいオーロラショーに感激していたが、寒いというより痛い、身体の方はもう限界だった。

車に乗り込んで、ここはどこなんだろうとスマホでグーグルマップを見ると、カーマネンという場所の少し北側に位置している。イナリから北に約30kmほどの北緯69度を少し過ぎた所だった。

全員乗車を確認したら発車して、さっき来た道を引き返す。
言葉は出さないが、車内の人は皆満足げな表情であった。

20191227timeline.jpg
 オーロラハンティング2時間半コースのルート。
 (GoogleMapのタイムラインより)

DSCN2065.JPG
 ビジットイナリに戻って解散。

再びビジットイナリに戻ってきたのは23時近く。ほぼ時間通り2時間半で戻ってきたことになる。
店の前に車が着いて、借りたものを返せば解散。

借りていたオレンジベストを返して隣のホテルに戻る。


 ◆ オーロラ鑑賞のまとめ

部屋に戻ってきた。
暖ったか〜い。
今まで本物のオーロラを見ていたのが夢のようだった。

お祝いでもしたいところだが、ホテルのバーもレストランもすでに営業終了。
昼に買ってあったビールでお祝いしよう。

ビールを飲みながらさっき撮影したオーロラの画像を確認する。
ブレずに写っているのは、やはり4〜5枚に1枚といったところ。
ツアー中に撮影した66枚のうち15枚くらいはブレずに写っているようだ。まずまずの収穫。

ここで、せっかくなのでコンデジでのオーロラ撮影の方法をまとめてみました。
ソースは俺ということで。

  1. 撮影はマニュアルモードを使用。絞り値(F値)は最小、フォーカスは遠景(∞)。
  2. ISOは1600〜3200。数値を上げると明るく写るが、逆に画質が荒くなるので注意。
  3. カメラの開放F値は2.8は欲しいところ。レンズは明るいほど有利。
  4. 露出時間は6〜20秒。これは開放F値によって異なる。三脚必須。
  5. シャッターはセルフタイマーで。これは押したときの衝撃ブレを防ぐため。
  6. 下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。とにかくたくさん撮ること。
  7. バッテリーのスペアは必須。極寒ではとにかく減りが早い。
  8. もしやと思ったらとりあえず写してみよう。肉眼では見ずらくても画像には写ることもある。

残念ながらスマホでは撮影は無理と思われる。コンデジでもオートモードでは余程明るいオーロラが出現しないと難しいだろう。
あとここで挙げた数値の意味が分からない人も無理。
撮影はあきらめて、目に焼き付けることに専念した方がいい。

DSCN2070.JPG
 スーパーで買っておいたビールでお祝い。

12時を過ぎて、2本目のビールを飲もうかと手を伸ばしかけて、もしや・・・と思う。
またコートを着て外に出てみる。そんなに遠くへは行かないのでデジカメと部屋のキーだけ持って。

ホテルの裏からイナリ湖を見ると、かすかにだが空に緑がかった気配がある。
さっき見てきたばかりなので、これはオーロラじゃないかと直感する。

手持ちで写るのかな。かといって三脚を取りに部屋に戻るのも面倒だ。
オートモードで露出補正+2でどうだ。
ダメだなあ、やっぱり光が弱すぎる。

今度はマニュアルで、ISO32006秒でどうだ。
さすがに手持ちでシャッタースピード6秒間というのは無理があって、なかなか決まらない。
ただ、写した画像を見るとはっきりとオーロラとわかる。

9枚目にしてようやく決まった。それが以下の画像。

DSCN2087.JPG
 イナリ湖、ホテル裏から見えたオーロラ。手持ちで頑張った。

後ろでカメラを持って立っていた中国人カップルに今撮った画像を見せ、「ヘイ!オーロラ」と言って空のオーロラを指さした。彼らも「オー」と驚いていた。

はっはっは〜、見たか日本の勝利! ←意味不明

もう部屋に戻り、残りのビールを飲んで寝よう。
明日は朝早い。またバスでロヴァニエミに戻ることになる。

オーロラ観測2日目

12/27の旅費
費用場所ユーロ円換算
シーダ(入館料)イナリ10.01,251
シーダ(絵葉書)イナリ2.0250
セール(ビール2本)イナリ6.94868
Kマーケット(ビール2本とパン)イナリ5.37672
セール(空き缶・ボトルデポジット戻り)イナリ+0.8 −
ビジットイナリ(オーロラハンティング)イナリ
95.0
11,894
12/27 合計 
116.51
14,935


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