興味があったのは仏像コーナーくらいのインド博物館。
ここにいつまでいてもつまらんし、もう出ることにする。
次はニューマーケットに賭けてみる。たのむぞ。
インド博物館の外に出てクロークでバッグを受け取って行こうとすると、また黄シャツの奴が現われた。
ずっと待ち伏せしていたのか。
黄「これからどこに行く?案内するよ」
私「メトロステーション」
黄「ここがどこだかわかるか?」
私「コルカタ」
黄「そうじゃなくて」
黄「色々案内するよ、僕の店にも寄ってくれ」
あーしつこい。だんだんこっちもキレそうになる。
私「ノーノ―、ミスター、ノーサンキュー!」
黄「フリーフリー友だちだから」
私、ついにブチ切れ、
「アイドント ニート フレンド!」
「アイライクアローン、バーイ!」
(友だちは必要ない、一人が好きなの、じゃあね!)
黄「それはひどいや、友だちじゃないか」
地下鉄の階段を下りるといなくなった。さすがに駅までは入ってこないらしい。
この手のヤツは大体あいさつ程度の日本語を発してくる。そして日本にいたとか、日本に友達がいるなどと言って友達になろうとする。
親日家で親切なのだから無下にもしたくない気持ちになるが、相手にすると痛い目を見ることになる。昨日のデリーでそれは良くわかっている。
インドの教え:
親しく話しかけられても心は鬼にすべし。
地下鉄に乗ってどこへ行くわけでもなく、次のエスプラネード駅で降りる。
上に上がるとここも屋台がびっしりと出ていた。
地下鉄エスプラネード駅の入口付近。
エスプラネードには路面電車のターミナルがあったはずで、まずそっちに行ってみる。
公園の中に線路が伸びて行って、中はループ線になっている。しかし、1台の電車もいなかった。
今日は日曜日。まさかの日曜運休か。
*帰国してから調べたらコルカタの路面電車は日曜運休ということでした。
路面電車はあきらめてニューマーケットへ向かう。
歩いている通りはチョウロンギ通りといって、コルカタの中心部を南北に走る通りで、この下を地下鉄が通っている。
通りの歩道は商店街が続いていて、道路側には屋台がびっしりと並んでいる。
『地球の歩き方』にもある通り、本当に上野のアメ横の雰囲気に似ている。
日曜のせいかすごい人ごみ。車道側を歩くことにした。
屋台が並んで賑わうニューマーケット前の通り。
それらしい建物が見えたので、脇道に入る。
「ヘイジャパニ、ニューマーケットに行くのかい?」
もう向こうからの声掛けは一切無視することにした。
ニューマーケットの前に出た。市場のような感じ。中は暗いし、ここも日曜は休みなのか。
ニューマーケットはコルカタ最大のマーケット。
下りる階段があったので入ってみると地下街のようになっている。ドアの横にガードマンが立ち物々しい。
中に入ると涼しい。冷房が入っている。
店は洋服屋とかブランドものばかり。インドでは高級店になるのだろう。
一回りしてみたが面白そうなものは無かった。また外に出る。暑い。
色とりどりのぬいぐるみ。
ニューマーケットは閉まっているが、その周りは場外市場みたいな感じで色々な店が出ている。
キオスクを見つけたのでここでペットボトルの水を買う。20ルピー。
水を飲んだらまた汗が噴き出してきた。気温は40℃はありそうだ。
「ハロー、ベリーホッター?」
「ヘイジャパニ、どこに行くんだい?」
どこに行ってもこんな感じじゃもう嫌になってくる。
歩いていると日本でよく見かける看板が。
KFC、ケンタッキーではないか。思わず入る。涼しい。
カウンターで自分の番が来て「コンボメニュー?」(セットはある?)と聞いてみたがそういうのは無いようだった。
単品で注文する。レジ横に大きく出ていたスパイシーホットクリスピーとフライドポテト。
フライドポテトが伝わらない。「ポテト」と言うと「フレンチフライ?」と言われた。
そうだった『フライドポテト』は和製英語で、英語では『French fries』となる。
それにペプシのラージ(L)サイズ。
インド版ケンタッキーフライドチキン。
テーブルはすべてふさがっていて相席になったが、すぐにほかのテーブルが空いたのでそこに移る。
ここでしばらくおとなしくしておこう。
氷入りの冷たいペプシがうまい。もうどこにも行きたくなくなった。
モイダン駅近くのチョウロンギ通りは落ち着いた感じ。
ケンタッキーには40分くらいいた。スマホをいじっていたらバッテリー残りがもう1ケタ台。もうあかーん。
こんどはヴィクトリア記念堂へ行ってみよう。この近くか、地下鉄で行ける所となるとそこくらい。
エスプラネードから地下鉄に乗ってマイダン駅で降りる。
外に出るとこれが同じチョウロンギ通りかと思うくらい整った所だった。
このあたりはオフィス街なのか、人通りは少ない。気安く話しかけてくる人もいなかった。
ラビンドラサダン駅付近。
ヴィクトリア記念堂へ行こうとしたが、もう16時だし、記念堂は17時でお終いになる。
次のラビンドラサダン駅まで歩いて、また地下鉄で最初に乗ったマハトマガンジーロード駅へ戻った。
マハトマガンジーロード駅付近。
ハウラー駅までタクシーに乗ろうかとも思ったが、値段の交渉するのも面倒くさい。
また歩いて行くことにした。
夕方だからかガンジーロードの電車道は大渋滞している。
そんな車の脇をテクテクと歩く。
大渋滞のマハトマガンジーロード。
ハウラー橋までは路面電車の線路に沿って歩いて行けば良いのでわかりやすい。
電車のことはあきらめてすっかり忘れていた。
そいつはいきなり現れた。
向こうから電車が走ってくるではないか。
慌ててカメラを出す。
突然現れた2両編成の電車。
パシャパシャパシャ・・・
道端の人はへんな東洋人がカメラを持って何を写してるんだという風に見ていた。
突然だったのでロクな画像にはならなかった。せっかくなので2枚あげておきます。
走っている路面電車を見られただけで満足である。
ああーー、これに乗りたかった。
ハウラー橋を目指して歩く。
ハウラー橋は川風が通り抜けて涼しい。橋の上は涼みか夕日の見物か、橋から見下ろす人がいっぱい。
西日が照らすハウラー橋。
フェリーが行き交うフーグリー河。
西日に照らされるコルカタの街並み。
ハウラー駅前の商店街。
100年以上も歴史あるハウラー駅の駅舎。
◆ハウラー駅
ハウラー駅に戻ってきたのが17時過ぎだった。
乗る列車の発車時刻は20:00だから、まだ3時間以上も時間がある。しかし、もうどこにも行く気はしなかった。
どこへ行くにもまたハウラー橋を渡らなければならないが。
駅のコンコースは広い。ニューデリー駅よりも立派だ。
柵で囲って、ベンチが並んでいる待合所があるが、空いている椅子は無い。ホームで列車でも眺めていようか。
ハウラー駅のコンコース。昔の上野駅に似ている。
歩いていると柱にコンセントが並んでいるのを見つけた。ここでモバイルのコードをつないで使っている人がいる。
これはいいと私もスマホの充電をさせてもらう。
これがモバイル用のコンセントなのか電気泥棒になるのかは分からない。柱にコンセントが並ぶのも不自然だし、たぶん充電サービス用のコンセントだろう。さすがIT大国インド。日本も見習ってほしい。
駅構内の電源コーナー。モバイルが必需品になった現代では大変ありがたい。
30分くらい充電したらバッテリーも50%くらいまで復活した。
まずはインド鉄道のHPで今日乗る列車の座席番号を確認する。
これから乗るのはハウラー駅を20:00に発車するビブティエクスプレス(Vibhuti Express)という列車で、コルカタからバラナシまで761.6km、13時間30分の乗車になる。この列車はバラナシから120kmほど先にあるアラーハーバードまで行く。
日本で最初この列車のチケットを買ったときはエアコン2段寝台にしていた。その時の予約ステータスはWL2だった。
当初買ったエアコン2段寝台は動きが無く、ずっとWL2のままだった。これではいかんと4/2に同じ列車のエアコン3段寝台を買った。こちらのステータスはRAC13で最悪乗るには乗ることができる。
少しずつ番号は繰り上がって行ったが、ずっとRACのままで出発前にかなり気を揉んだ。
それがCNFになったとメールが来たのは出発の前日のことである。
CleartripでWLやRACのEチケットを買うと、予約確定になるとメールが来て、新たなチケットが添付されてくる。
しかし新たに発行されたEチケットの席番の記載はなく、欄には『Confirmed』とだけ記されていた。
席番の欄に『Confirmed』とだけ記されたEチケット。
チケット購入時にCNFだったものは最初から席番が記載されるが、WLやRACから繰り上がったものは、発車数時間前にならないと席番が決まらないようだ。
今は発車2時間10分くらい前。インド国鉄のHPにログインするとEチケットの最新ステータスを見ることができる。
見ると、ずっと空欄だった所に席番が表示されていた。よっしゃ。
WL/38は現在のWLの人数。CNFはコンファーム済、B1は号車、55は席番、SLはサイドローワー(寝台のタイプ)を表す。
ネット環境の無い人がコンファームされた自分の席番を知るにはどうすればいいかというと、客車のドアの横に乗客名簿が貼りだされるので、それを見て自分の席番を確認することになる。
スマホも充電できたし、一安心したところで腹ごしらえするか。
コンコースにセルフサービスのフードコートがあるので入ってみる。
ハウラー駅構内のフードコート。
賑わうフードコート。
レジで食券を買って、隣のカウンターに食券を出して受け取る。後ろから押せ押せと言わんばかりの行列だった。
注文したのはチキンオンリーカリー(62ルピー)。
スプーンが無いので頼むと小さいスプーンをくれた。周りをみるとみんな手で食べている。
チキンオンリーだけあって、アルマイトの皿に盛られたカレーの具はチキンだけ。
これが盛り付けもひどいが、味もひどかった。
普通はどう作ろうともカレーはカレーで、それなりの味になる。まずいカレーというのは初めて食べた。
チキンもスジと骨ばかり。三口くらい食べてあとは捨ててきた。
盛り付けも味もひどかったチキンカレー。
テーブルのほかの人の食べ方を見ていると、手でライスとカレーを器用にこねまわして口へと運ぶ。そのうちにやってみようかと思った。
次はクロークルームで預けた荷物を受け取りに行く。
ここの窓口も押せ押せの行列。そんなに前後の人とぴったりくっつかなくてもと思うが、間を開けると割り込みされるからという。
預かり証を渡すとまた中に入れられて、自分で置いたところまで取りに行く。預け料は20ルピーだった。
『ビブティ・エクスプレス』は8番ホームから。
◆コルカタ・ハウラー 20:00 → 9:30(翌)
【12333】Vibhuti Express
バックパックを背負ってホームへ行く。
12333列車が出る8番ホームはホームに沿って1列に並ぶ長蛇の列がある。列の先頭には警官が何人かいて見張っている。
この列車には前2両、後ろ2両の自由席車(Unreserved)があるので、その乗客だろう。整列乗車の指導といったところか。
これ全員乗り切れるのか、と思うほどの長い行列である。
19:22、入替用のディーゼル機関車に牽かれて、列車が入ってきた。
列車が入線する。行列は自由席の乗客。
夜汽車の旅情どころか熱気ムンムンだった。
車内に入ると涼しい。コルカタに来るときに乗ったラージダーニー急行には劣るが、エアコン3段寝台も思っていたより快適そうだった。
まだ寝台はセットされていない。早々に自分の席を確保する。バックパックは座席の下に押し込んだ。
ボックス席は3段6人となる。中段の座席は畳むと背もたれになる。
サイド席は2段なのでお得感あり。
指定された寝台はサイド席の下段。ボックス席の方は3段になるが、こちらは2段寝台になる。日本ならばA寝台の下段だ。これはなかなかいい。
ただし3段寝台はカーテンがないので、プライバシーの面では難がある。女性にはあまりお勧めできない席かも。
コンセントがあるのはありがたい。
いかにも寝台急行列車という感じの車内。
発車まで乗客同士移動したり荷物の置き場所を探していたりゴタゴタしていたが、発車すると落ち着いた。
車掌が検札に来る。印刷したEチケットとパスポートを見せるとOK。車掌は印刷された乗客リストと照らし合わせている。入口に貼ってある乗客リストと同じものだ。
向かいの席に座っているのはおっさん。おっさんは連れが離れた席にいるらしく、行ったり来たりしている。話しかけられることは無かった。
ラージダーニー急行のようなサービスは無いが、そのかわり物売りが頻繁にやってくる。
チャイ(紅茶)売りの声が
「チャーイ、チャーイ、チャーイはいらねが〜」に聞こえて面白かった。
車内は昼間のことを思えば平和そのもの。
サイド席の下段は快適だった。
どこかの駅に停車中。
寝静まった夜の寝台車。
カーテンが無いので車内は暗くなる。窓から夜景が見えないかと目を凝らしたが、駅以外では暗闇ばかりだった。