2008年ドイツ鉄道旅行記1

今年(2008年)は大旅行をしようと決めていた。さてどこに行こうか。鉄道に乗りたい、トラム(路面電車)に乗りたい、ロシアはもういい、など考えていた。

あるときグーグルアースで衛星写真を眺めていたら無性にヨーロッパに行きたくなった。中世から変わらぬ美しい風景を守り続ける各都市の町並みに魅入ってしまった。中でもドイツの街が印象的だった。
美しい街並み、街を走るトラムの線路、そしてビールの本場。ここだ、とドイツに行くことに決めた。

ドイツ鉄道がICE(新幹線)も含めて乗り放題になる『ジャーマンレイルパス』という便利なものがある。夜行列車を宿代わりして各都市を回ればホテル代もかからない。
また、ドイツは新幹線ICEが国内を縦横無尽に走っている。また調べると、ドイツの特急列車は基本的に自由席なので予約も不要ということが分かった。各都市間の移動は自由にできる。

早速ネットで札幌発の安いプランを探してみた。
往復航空券+ミュンヘンホテル3泊付きのフリープランを見つけた。ドバイ乗継、エミレーツ航空利用。中部または関空発着。値段もまあまあで、札幌発でも追加料金は不要だった。
+2泊(車中泊)は自由行動ということで申し込む。燃料代高騰による『機油サーチャージ』なるものが高く、結構いい値段になってしまった。

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 旅行会社から送られてきた航空券とホテルのバウチャー。

トーマスクックのヨーロッパ版時刻表を買ってきて計画をたて始める。久々に時刻表とにらめっこして行程を立てる。相変わらずの一人旅。夜行で移動すれば眠っている間に運んでくれるので時間の節約になるし、宿代わりにもなる。

ところが、ドイツの夜行列車は、豪華寝台列車は各都市間にあるのだが、エコノミーな座席夜行列車は日本と同じく縮小しているようでなかなか見つからない。寝台は追加料金を払えば乗れるようだが、ただで宿代わりにする意味が無くなってしまう。
時刻表を隅から隅まで調べた結果、使える座席夜行を2本見つけた。これを軸に行程を組む。ガイドブックも買ってきて、あそこも行きたい、ここもいいな、と検討する。

夜行2泊を軸にするとなると訪問都市も限られる。あんまり欲張ってもしょうがないと割り切って鉄道乗継プランを組んだ。


■新千歳空港18:35→20:20中部国際空港 EK6270便(JAL)

飛行機のチケットも変わったもので、旅行会社から送られてきた航空券はA4のコピー紙にプリントしたものだけだった。
新千歳空港に行きJALのカウンターにこの紙を出せば、QRコードを読み取って搭乗券を発券してくれる。ここで、札幌→中部、中部→ドバイ、ドバイ→ミュンヘンまで全てのチェックインができるという。

幸いにしてミュンヘンまで全て窓側の席が取れた。荷物もここで預けて、ミュンヘン空港まで直行になる。
最初の飛行機は18:35出発。ミュンヘン着は日本時間で明日の20:00だからこれから24時間以上の長旅だ。

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 新千歳空港で発券のミュンヘンまでのボーディングパス。

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 ドイツまで24時間以上の長旅は新千歳空港を出発JAL便から始まる。

飛行機は北海道旅行帰りの人たちで賑やか。「フン、北海道くらいではしゃいで、俺なんて今からドイツまで行くんだモンネ」などと思ってみたり・・・。
1時間45分のフライトは天気が良いので窓からの夜景がきれいだった。

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 まずは中部国際空港まで。


■中部国際空港22:45→4:45ドバイ国際空港 EK315便(エミレーツ航空

中部空港着20:20。ドバイ行出発まで2時間以上あるので、セントレアと呼ばれる新空港を見物して回る。
広いコンコースはエミレーツ航空のカウンターだけ人だかりがしている。

セキリュティーチェックと出国審査を通れば、外国である。デューティーフリー(免税店)があって、さすがに新千歳空港のものより充実している。
タバコは安い。が、吸わないので必要ない。出発まで1時間あるが、ほかにすることもなく免税店の品物を見て回る。

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 ドバイ行EK315便の搭乗口。

ドバイ行は定刻は22:45だが22:35発に変更になっている。22:00搭乗開始。
さあ、ここから一路ドバイまで11時間のフライト。ちょっとわくわくして飛行機に乗り込む。

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 機体のデザインがアラビア文字。

機内はほぼ満席。乗客は日本人ばかり。狭い座席の背面にはテーブルやモニターがあって余計に圧迫感がある。座ってしまえば快適だ。前の座席は団体旅行の添乗員の女性3人。3人とも別々の団体で行先はイタリアやエジプトらしい。見ているとさすが旅慣れた様子。

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 ドバイまで一晩の宿になる座席。

離陸前におしぼりのサービスがあって、スチュワーデスから受け取る。このおしぼりは強烈な香りを発していて、機内はさっそく中東の雰囲気。

水平飛行になり早速機内食が配られる。メニューは和食と洋食から選べ、洋食にしてみた。飲み物も色々選べ、ワインを付ける。

トレイに載ったプラスチック製の食器はどれも膨らんだ三角のような形になっている。この先エミレーツの食器はどれもこの形であった。ナイフとフォークは紙袋にパッケージされて、これは金属製。それにしても、袋から出したり蓋を取ったりと狭いので大変だ。
メニューには、『メインコース:鶏肉のパプリカソース、クスクス、ピーマンとマロウのラタトゥイユを添えて』とある。小皿は『ペッパーサーモンのシェルパスタ サラダ添え』
それにパンとチーズ、フルーツゼリーのデザート、エミレーツのマークの入ったチョコレートが付く。

熱いアルミの蓋を取ると、まず黄色いそぼろ状のものが気になる。ボロボロして食べにくい。これがクスクスらしい。パスタのような風味だが初めて食べた。さすがアラブの航空会社。鶏肉もソースもおいしい。メニュー表には『軽食』とあるが結構なボリュームがある。

食後は目前のモニターでジャッキーチェーンの出ている映画を眺める。字幕は英語なのが悲しい。映画のチャンネルもたくさんある。アジア系の映画が多い。音楽のみチャンネルもあってこの中にはコーランもあった。

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 最初の機内食。パンフレットには軽食とあったが結構なボリューム。

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 メインは鶏肉のパプリカソースとクスクス

消灯後いつの間にか眠っていた。目が覚めると3時頃。機内は真っ暗だが、窓を見ると空には満天の星。こんな見事な星空は日本で見ることはあるまい。
下界は灯かりが遠くや眼下に点々と地上の星のように光っている。地上の灯かりは天の星よりも弱々しく朱色に光る。今はタイかインドあたりの上空だろうか。

そんな光が集まってぼんやりと光る見知らぬ街の灯がゆっくりと流れて行く。国際線フライトならではの風景を窓を覗き込むようにしてずっと見ていた。

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 窓の下に広がる夜景。

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 2回目のの機内食。朝食。

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 ドバイまでの飛行ルート。

6時、機内が点灯され2回目の機内食は朝食となる。また洋食にする。メインはふんわりとしたプレーンオムレツ、それに煮込みトマト、マッシュかぼちゃ、いんげん等。パンはバターロールでこれは日本製のようだ。あとから焼いたクロワッサンが来た。
朝食を食べ終わるが、まだドバイまで3時間以上かかる。腕時計の針をドバイ時間に合わせて5時間遅らせる。ドバイではまだ未明3時だった。

モニターのゲームをいじったりして過ごす。ずっと前に目が覚めてからは全然眠くならない。

3時過ぎドバイへ着陸体勢になる。まだ外は暗いが、眼下にドバイの街が見える。未明の早朝だというのに明々として、道路には車がたくさん走っている。

3時半ごろドバイ空港に着陸。定時ならば4:45なのでずいぶんと早着だ。ミュンヘン行の乗継は8:35だが、早く着く分には問題はないし、ドバイ空港は見るべき所が多いらしいのでゆっくりと空港見物と休憩ができる。


■ドバイ国際空港でのトランジット(乗継)

出口でスチュワーデスに「バイバイ」と言ってブリッジに出ると、むわっと暑い空気が身を包む。空港ターミナルの『TRANSIT』(トランジット)と書かれた案内板に従って長い通路をひたすら歩くとセキュリティーチェックがあった。ここのチェックは厳しくて、通る時ベルトも外すよう指示される。
エスカレーターを降りると広大なトランジットエリアに出る。搭乗口はインフォメーションの所にある電光掲示に表示される。ミュンヘン行の搭乗口はまだ決まっていない。

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 ドバイ空港。世界各国の人々が集うトランジットホール。

こんな時間でも多くの人でごった返している。ここは世界中からの飛行機が発着するハブ空港なので、世界中の人々が集まってくる。民族衣装をまとった人も多い。アラブやアフリカ系の人が多いが中国人も結構いる。日本人もチラホラ。様々な人種や民族が一つ屋根の下に一緒にいるのはすごいなあと思った。

トランジット時間が長い人なのか、壁際の椅子に座る人、椅子の下で横になったり色んな格好で過ごしている。床に座ってパソコンに向かっている人も多い。

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 ヤシの林。

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 椅子の下で横になる人々。

ドバイ空港の見物といえばデューティーフリー(免税店)である。世界中の酒・たばこのほか、貴金属、電気製品から生活用品まで揃っている。ショッピングモールの真ん中で目立つのは貴金属売り場の金色のヤシの木。高級車も展示されていて、これは宝くじの景品。日本製のデジタルカメラもあったが、これは日本の量販店のほうが安い。

珍しいのはアラブの衣装や民芸品で、棚に水たばこやランプが並んでいる。『アラジンと魔法のランプ』に出てくるようなオイルランプが1つ欲しくなった。帰りもドバイ乗継なのでそのとき買うことにしよう。

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 ショッピングモール。真ん中の金のヤシは貴金属売り場。

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 免税店に並ぶアラビアの民芸品。手前のは水たばこのパイプ。

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 これは魔法のランプ?オイルランプの置物が並ぶ。

フードコートもあって、マックのほかファーストフードが数店舗入っている。ケースに並んだアラビア料理を見ていたら食べてみたくなった。

『Bistro Lebanese』(レバノン料理?)という店でローストチキン風の鶏肉があったので、店員に指差しこれが欲しいというような手振りをする。いきなり「ジャパニーズ?」と言われた。「イエス」というと急に愛想が良くなって「オハヨウゴザイマス」と丁寧に挨拶をされる。
チキンを盛り付けながら別の店員がプリンを皿に盛り、サラダもトレーに載せる。それは頼んでないぞ・・・、と内心思ったが店員が「フリー、フリー」と言う。どうやらプリンとサラダはサービスのようだ。えらい親日家の店員だった。支払はクレジットカードで。

トリ肉は半身位の大きさである。下には細かくした細麺がまじる細長い米のバターライスが敷き詰めてあり、これもすごい量。スパイスの効いたトリ肉は柔らかくて良く味も染みていておいしい。プラスチック製のナイフとフォークで肉を切ると皿からライスがボロボロとこぼれて食べづらい。サラダはキュウリとトマトがオリーブオイルにどっぷりと浸かっていた。

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 手軽に利用できるフードコート。マックもある。

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 そばめし風のライスの上にアラブ風ローストチキンが載る一皿。プリンとサラダはサービス。

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 アラビア文字のコカコーラ。

時刻は6時。外はすっかり明るくなって、フードコートの窓からは滑走路が見える。

トイレに行くと個室の方は大盛況で行列ができている。個室は普通の洋式便器だが、横にシャワーノズルが付いたホースが掛っている。掃除用かなと思ったがすぐに分かった。アラブの人は用を足した後紙を使わず水で洗うと聞いたことがある。そのためのシャワーだ。紙だけよりも衛生的で良い。

手を洗う洗面台の蛇口は手をかざすと自動で水が出るのだが、蛇口の上には見慣れた文字が…。『自動』と日本語だけで書いてあるのだ。ドバイ空港はどこもかしこも驚かされることばかりだった。


■ドバイ国際空港8:35→13:00ミュンヘン空港 EK049便(エミレーツ航空)

こんど乗る予定のミュンヘン行EK049便の搭乗口は140ゲート。一直線に細長いターミナルの端のさらに奥、継ぎ足しで増築したような殺風景なコンコース。このあたりまでくると人も少なくなってくる。
ここからまた6時間以上のフライトになる。

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 140ゲートの搭乗待合室。

ゲートで搭乗券を見せて待合室に入る。まだ出発まで1時間近くあるが広い待合室はミュンヘン便の乗客でいっぱい。
しばらくして搭乗開始になる。ブリッジはなく、専用のバスで飛行機まで移動する。バスを降りたら暑いこと。タラップの階段を上って機内に入る。
ほぼ満席のようだ。

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 タラップの階段を昇って搭乗。

8:30に離陸して1時間ほどして最初の機内食が配られる。フルーツ、クロワッサン、マフィンと軽食であった。

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 まずは朝食の機内食。フルーツとクロワッサンの軽食。

晴れているので下界がよく見える。アラビア半島の不毛な砂漠が延々と続く。
11:40頃ようやく砂漠を抜け海の上に出る。

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 砂漠の上を飛ぶ。

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 砂漠の町。

12:40、こんどはティータイムがあって、ビスケットとドリンクが配られる。ドリンクはビールにする。

最初、航空会社はエミレーツと聞いて、中東の航空会社かよと思っていたが、実際利用してみると至れり尽くせりのサービスだった。

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 ティータイムのビスケットとビール。

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 機内のようす。

13:30頃、二度目の機内食。メインの肉料理はラムとチキンから選べる。チキンとドリンクのビールをお願いする。メインコースはマスタードチキンのマッシュルーム入りホワイトソースかけ。付け合わせはフライドポテトとボイルした野菜。

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 2回目の機内食(ランチ)。 

いつの間にか山岳地帯の上を飛んでいる。腕時計をドイツ時間に合わせ、2時間遅らせる。

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 ミュンヘン空港に到着。

ドイツ時間で13時過ぎミュンヘン空港に着陸。日本では既に夜20時である。中部国際空港を発ってから約21時間過ぎているが、途中カルチャーショックというほどではないが見るもの全て面白く、退屈はしなかった。

→2へつづく
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