以前から謎に思っていたことがあって、それは地下鉄東豊線福住駅終点方向の構内が妙なカーブを描いていたことです。
下は福住駅構内に掲示の駅構内図になります。
福住駅コンコースに掲示の案内図。
駅構内図だけだと地上の道路などとの関係がわかりませんので、駅構内に掲示の駅周辺地図を引用します。
福住駅コンコースに掲示の地図。
今度は道路と駅構内の関係がひと目でわかります。
やはり駅構内の終端は不自然なカーブを描いて東へ向かっていますね。
東に向かって左にカーブする福住駅の通路。
実際、こうした駅構内のカーブは福住駅の通路に見ることができます。
北改札口からバスターミナルや4番出口に向かう通路は左へ向かってカーブしています。
終端へ向かって左へカーブする福住駅の留置線(ホームから撮影)。
今度は福住駅ホームから線路終端方向を見てみます。
栄町から伸びてきた東豊線の線路は、福住駅ホームが終端ではなく、ホーム端から180mほど先まで伸びて、その先が終端となっています。
これは終点福住駅1番ホームに着いた電車が一旦奥まで進み、折り返して2番ホームに栄町行きとして入線するための引き上げ線。
もう1つは、札幌ドームで試合やイベントが行われた際、臨時列車を収容する留置線の役割になります。
奥の線路は中線となるY字線を含めて3線。
ここに回送電車を収容し、札幌ドームからの帰宅客が集中する際は、ここから次々と臨時列車が出てくるわけです。
で、その問題のカーブはどこへ向かっているのか。
福住駅3番出口から国道36号線清田方向を見る。
地上に出て、国道36号線を見てみましょう。
福住駅3番出口、4番出口付近から、36号線は東へ向かって緩やかにカーブしています。
この道路線形に合わせて福住駅の奥もカーブしているのでしょうか。
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先日中央図書館で物色していたら、『札幌市高速鉄道東豊線工事記録』という本の中に、興味深い図面を見つけました。
それがこちら ↓
東豊線福住駅終端の平面図(札幌市高速鉄道東豊線工事記録より)。
東豊線の豊水すすきの〜福住間延伸工事の平面図が記載されていて、問題の福住駅終端部分の平面図を見てみます。
やはり国道36号線とは明らかに違う線形を描いて、妙に東側を向いて線路が終わっています。
不二家札幌工場横の道路下に東豊線終端がある。
なぜこのような不自然な線形となって東豊線の線路が終わっているのでしょうか。
その答えは同じ本の中にあった、地下鉄路線図の中にありました。
東豊線の福住から北野までの区間が計画路線として描かれています。
東豊線の計画路線が描かれた地下鉄路線図(札幌市高速鉄道東豊線工事記録より)。
同書は平成6(1994)年版とあり、ちょうど東豊線の豊水すすきの〜福住間が開業した年です。
福住まで開業しましたが、その先北野駅までは計画路線となっていました。
東豊線延伸予定部分を拡大したもの(札幌市高速鉄道東豊線工事記録より)。
月寒中央駅からは国道36号線の地下を通り福住駅に向かっていた東豊線ですが、福住駅からの計画ルートは東へ進路を変え北野通を南下しています。
この当時は札幌ドームも建設前ですし、豊平区から清田区として分区するのもまだ先のこと。
片側が無人の羊ヶ丘となる国道36号線よりも、すでに住宅地となって開けていた北野通の方が有利ということもあったのでしょう。
これで福住駅線路終端の妙なカーブの謎が解けました。
1994年開業当時は、福住駅から北野通へ向かう計画だったので、線路終端もそれに合わせて東へカーブして終わっていたということになります。
で、このカーブの先はどこへ向かうのでしょうか。
路線図にはざっくりとしたルートで記載されていますが、北野通に予定されている共進会場駅までの詳細なルートまではわかりません。
そこで、地理院地図 / GSI Mapsの作図機能を使って、同地図にルートを描いてみました。
東豊線終点からさらに半径210mで延長してみる(地理院地図より筆者作成)。
先ほどの平面図には、線路終端カーブの半径は210mとありました。
そのまま続けて半径210mのカーブを描いてみます。
福住駅からもう少し直進して向ヶ丘通りを行けばいいような気がします。
ですがそうすると、後述の共進会場からは遠ざかってしまうわけで。
終端のカーブを延長するとこうなりました。
国道36号線から北野通に出るまでのルート(地理院地図より筆者作成)
月寒東の住宅地の地下を通り抜けて、八紘学園の農場を通るルートになります。
先の地下鉄路線図でもそうなっていますので、間違いはないでしょう。
半径200mのカーブで北野通地下に入り、ラウネナイ川を過ぎた場所に(仮称)共進会場駅が設置されます。
共進会場とは、北海道立産業共進会場の略で主にアリーナ会場としての施設でした。
のちに『月寒グリーンドーム』の愛称でも呼ばれましたが、2016年に老朽化のため閉鎖されています。
跡地には商業施設の『ブランチ札幌月寒』、日本医療大学月寒キャンパスが建てられています。
仮称では旧施設名称が使われていますが、もしここに新駅ができるとなると違う駅名になることは間違いありません。
ブランチ札幌月寒前とでもしたいところですが、だいぶ遠いですね。
実際、この新駅からブランチ札幌月寒への距離は、東西線の南郷13丁目駅からといい勝負という感じです。
計画ルートではこのまま北野通の地下を計画路線終点の北野へ進むことになります。
これとは別に、国道36号線を直進して清田へ向かうルート案があり、現在はこちらが主流となって検討されているようです。
大型集客施設の札幌ドームや清田区役所の位置などから、1994年当時とは違ってこちらの方が有利なのは言うまでもありません。
国道36号線直進ルート(地理院地図より筆者作成)
こちらは北野通へ向かわずに、福住駅から国道36号線を直進することになります。
路線図的には直進ですが、実際は前述の福住駅終端カーブがあるために、一旦東側へ寄せてから再び36号線に戻る線形となります。
上画像は、半径210mのカーブを描いて東側へ向かう終端から、民有地地下を通り、半径200mの反向曲線を繰り返して36号線に戻るとするとこうなりました。
路線図だけ見ていると、福住駅からそのまま国道36号線地下を直進するだけのような印象を受けますが、初期設計が北野通へ向かう仕様となっていた為に、このような面倒が生じてしまうのでした。
現在引き込み線となっているカーブ部分を直線になるように土木工事することは不可能ではありませんが、なにせ巨大地下構造物なので大工事になることは避けられません。
さらに巨額の工事費用が追加となってしまうでしょう。
それに、工事期間中は福住駅奥の留置線が使用できなくなってしまいます。
だから、36号線直進ルートをとる場合、この不自然な反向曲線は避けられないのではないでしょうか。
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前置きがすっかり長くなってしまいましたが、ここから東豊線の清田区延伸を想像させていただいきます。
福住〜清田間のルートはこうなった(地理院地図より筆者作成)
福住駅終端付近を除けば、どちらのルートも道なりに進むだけなのでルートは簡単に決まります。
北野通ルートは、東豊線福住開業時の計画ルートと予定駅としました。
ただ、一応清田区乗り入れは果たしますが、当初計画では終点は北野駅となり、そうなると清田区内の駅はこの1駅だけになります。
1994年当時はまだ豊平区内だったし、清田区分区はこの3年後の1997年。
当時としては仕方がなかったとも言えます。
だけど今となっては清田区に片足だけ突っ込んだような恰好で終わるのは、清田区民にとってはいくら何でもひどいと思うでしょう。
そこでもう1駅伸ばして、北野通と厚別滝野公園通との交点に駅を設けることにしました。
ここを清田駅とします。
もう一方の国道36号線ルート。
こちらは地下鉄東豊線建設促進期成会連合会が主張するルートと駅によりました。
当初の計画ルートである北野通案、現在の主力ルート案である国道36号線案。
どちらも一長一短あって、実際東豊線清田区延伸が動き出せば、また議論が白熱するような気がします。
今度は終点となる各清田駅の周辺を見てみましょう。
まずは北野通案の清田駅。
清田通ルートの清田駅付近(地理院空中写真2020年撮影より筆者作成)
こちらは清田区役所から約600m。
区役所から歩いて行くと、坂の上の駅といった感じです。
現在は清田区の中心と言えそうにない場所ですが、平岡、北野の南側、里塚緑ヶ丘あたりからのアプローチはこちらが良さそう。
反面、国道36号線からのアクセスはあまり良くなく、北広島方面や真栄、美しが丘方面のバスの一部は、東豊線延伸後も清田駅には寄らず、福住駅発着のままという可能性はあります。
肝心なのはバスターミナルの建設位置。
東豊線終点となると、清田区だけでなく北広島市方面へのターミナルとなります。
現在の福住ターミナル程度の規模の施設は建設したいところです。
ここ数年来でこの交差点付近もロードサイド型店舗が相次いで進出し、その店舗と駐車場で覆われてしまった感があります。
地下鉄延伸があと10年早かったらなあ・・と悔やまれるところではありますが、今更しょうがありません。
交差点に面するどれか店舗に交渉して、バスターミナル用地を確保するか。
一方で駅周辺に目を向ければ、北野と平岡に挟まれた厚別滝野公園通を中心に商業施設が増えています。
街としては新しさを感じるので、発展の伸びしろはあると思います。
次は36号線案の清田駅です。
国道36号ルートの清田駅付近(地理院空中写真2020年撮影より筆者作成)
おそらく国道36号線と厚別滝野公園通の交差点に設けられるであろう駅。
昔から西友→イオンがあって、清田の中心であると言えば否定する人はいないだろうと思われます。
逆に中心であったがゆえに、イオンを中心とした古い街という印象も持ちました。
清田区役所からは歩いて約300mです。北野通案清田駅と違ってほぼ平坦な道のりで行けます。
駅勢圏は、清田、平岡の南側、真栄といったところ。
少し広域ならば、美しが丘、里塚あたりから自転車でなんて人も多くいそうです。
バス路線はと言うと、国道36号線からターミナルに直接出入りできるので、清田駅から南側の清田区内、北広島方面へのバス路線の多くをこの駅に短絡するとしても問題はないと思われます。
で、バスターミナルですが、現在イオン清田店の駐車場をバスターミナル用地とすれば、現在の福住ターミナルと同等の規模の屋内ターミナルが建設できるのではないでしょうか。
反対側の平面駐車場を立体駐車場にし、清田駅と地下道で直結を約束すればイオンとしても悪い話ではないでしょう。
清田区の、いや札幌市の南東側のターミナルとして約束された地・・・のように思ってしまいますが、実際はどうなのでしょう。
北野通案の北野駅予定地の交差点。
じつは、この記事を書く前に実際はどうなのだろうと清田区まで行ってきました。
地下鉄駅予定地を見て回ってきたわけですが、まあどの交差点も車が多いこと。
私の住んでいる中央区は、お盆休み期間中ということもあり車が少なくなっていることもあり、この車の多さにびっくりしました。
その一方で公共交通機関であるバスはと言うと、例えば北野通を走る中央バスは休日ダイヤならば1時間に1本。
通りかかったバスの車内を見ると、ガラガラとまではいかないが、かなり空席が目立ちました。
バスの利用者にとっては貴重な足なのですが、いかんせん清田区では生活の移動も通勤も車が常識になっているのでは。
そんなことを思わせます。
それは清田区だけではなく、私も休日に車で郊外に行くと、車の多さにびっくりするくらいです。
それだけ郊外では車移動が主力ということになります。
そんな車社会が完成した郊外において、新たに地下鉄が出現したとて、どれだけの人が地下鉄に向かうのだろうと言う思いが脳裏をかすめてしまいました。
車社会
地下鉄駅まで徒歩圏内になる人たちならばまだしも、そうでない車移動が普通になった人たちがどれほど地下鉄に向かうのか。
・・これについては筆者が感じた感想なのでこのくらいで留めておきます。
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最後にですね、これは大通駅の東豊線ホームにある路線案内です。
ホームから線路越しにある柱に掲示されている物です。
おそらく、東豊線福住開業のころからあるものでしょう。
大通駅東豊線1番ホームに掲示の路線図。
で、この路線案内をよく見ますと、一番上の『福住』の上に中途半端な空白があることにお気づきでしょうか。
駅にして3駅分。
反対の2番ホーム側のものだと、結構上の方に栄町が表示されているのですが。
福住まで延伸開業した1994年当時は、東西線の琴似〜宮の沢間が工事中でした。
もしかしたら当時の担当者が、東西線延伸の次は東豊線だと意気込んで、延伸開業した際にはここに追加で書き込めるようにしたのではないでしょうか。
福住から先に3駅を追加してみる。
この路線案内の画像にちょっと悪戯して、計画駅だった3駅を追加してみます。
駅名は1994年当時の仮称駅名としました。
おお、スッポリ収まりましたね。
やっぱりここに3駅分書き込めるようにしておいたのでしょう。
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あれから30年。
現在でも清田区延伸の見通しは全く立っていない。
素人の私では、政治や財政的なことは私ではようわかりません。
色々調べて思うことは、色んな団体やら企業から思惑や利益も出てきて、それに振り回されて、結局決められなかったということだな。
そんなことをしている間に、時間だけが経過してしまった。
時代もすっかり変わってしまった。
福住駅で発車を待つ東豊線9000形電車。
東豊線延伸だけに限りまへん。
ありとあらゆること、いままでの感覚で取り組んでいたらあきまへんということや。
なぜか関西弁になってしまったところで、今回はお開きとします。
〜最後までお読みいただきましてありがとうございました。