2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記12 カリフォルニアゼファー号2日目

夜行列車の旅はいいもんだ。暗闇の中を走り続け、翌朝には遠い土地に運ばれているというのがとても良い。
特に寝台車は横になってゴトゴト揺られていると気持ち良く寝られる。

おかげでよく眠り、目が覚めると外はすでに明るくなっていた。列車は全速で走行中という感じで、相変わらず細かい振動が続いている。

外を見ると昨日と変わっていて荒涼とした車窓になっていた。
人家も見えず、山も無く、地平線の向こうまで草原がずっと広がっている。平原とか草原というより大平原とか大草原という言い方が当てはまる。

昔札幌から稚内まであった急行利尻号がこんな感じだった。目覚めるとこんなような景色のサロベツ原野を走っていたのを思い出した。

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朝焼けの大草原を走り続ける。

いまは朝6:15で、定時運転ならばあと1時間でデンバーに着くころだが、昨日の夜で1時間以上遅れていたようなのでフォートモーガンのあたりだろうか?フォートモーガンの定時発時刻は5:05である。

カリフォルニアゼファーの朝 フォートモーガン付近の車窓から

このあたりはグレートプレーンズと呼ばれるロッキー山脈東側に南北に広がる内陸の平野で、面積は日本の3倍以上もある。
グレートプレーンズは日本語で大平原と訳されるが、地平線まで果てしなく続く草原はまさに大平原にふさわしい。

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大平原に朝日が昇る。

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人家ちかくでは牛が放牧されている。

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各寝台車に設置されたコーヒーポット。ジュースもある。

トイレに行く途中、階段の横に昨日は無かったコーヒーポットが置いてあった。寝台車の客は自由に飲むことができる。
紙のコーヒーカップに注いで部屋に持ち帰って早速モーニングコーヒータイム。

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7:20ごろ車内放送で「ブレックファースト〜」と言ったようなので食堂車へ行った。
ここもクルーの指示でテーブルに着く。

今回は夕食時と違って注文票に記入するのではなくメニューを見て普通に口頭で注文する。
朝食の定食は3種類あって、メニュー一番上のスクランブルエッグを頼んだ。
ソーセージかベーコンか聞かれたのでソーセージにした。

3人連れと相席になった。主人と奥さんその友人という感じだった。テーブルに着くと自己紹介をするのが恒例のようで、名前と日本から来たというようなことを言った。
3人は「オー、ジャパン」と驚いたようなアクションだった。

しばらく黙っていたが、主人が話しかけてきた。

「Do you speak English?」
「No,Japanese only」
と正直に答えた。

どうしたわけか車の話になって、主人が自分はトヨタ車に乗っている、彼女も彼女もトヨタ車だ。私の車はホンダと言うと、主人は日本車は素晴らしいというようなことを言った。
英会話ではなく単語とジェスチャーだけのやり取りだが結構通じるものだ。


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食堂車の朝食風景。

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スクランブルエッグ定食。

夕食の時と違って今度はすぐに運ばれてきた。

スクランブルエッグ、ローストポテト、ソーセージ、スコーンが一皿に載っている。ソーセージはハンバーグのような形をしているが、ブレックファースト・ソーセージといって腸詰めしていないタイプのものらしい。

これも意外と少量で、あっという間に食べ終わった。
えらく気に入られたのかグッバイと言うと、握手をして肩を抱き合って席を立った。

部屋に戻って、またコーヒーを飲みながら車窓を眺める。
目が覚めてから見渡す限り地平線の風景が続く。大陸を実感した。

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デンバーの摩天楼が見えてきた。

草原ばかりだったが少しずつコーン畑や麦畑も増えてきた。
車窓には家並も見えるようになった。デンバーだ。

定時刻ならばデンバーで50分停車となっている。
地図ではこの列車はデンバーで進行方向が変わることになっている。きっと機関車交換で長時間停車なんだなと思っていた。

だんだん並行する線路が増えてきて、機関車や貨車がたくさんある操車場のようなところを通過する。

列車は駅ではないところで停止した。しばらくするとバックで動き始めて、そのままホームに進入した。
なるほどバックで駅に入れば機関車が先頭で出ていけるので機関車交換の必要はないわけだ。

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バックでホームに進入する。

さて、デンバーは長時間停車なので降りて街を見てこようかと思ったのだが、列車も結構遅れている。
すぐに発車するかもしれない。

定時刻ならばデンバー着は7:15だが、実際の到着時刻は9:16になった。既に2時間も遅れている。

ちょっとホームに降りてみたら、乗客たちが大勢ホームに出ている。ほとんどの人は軽装で荷物も持っていない。どうやらしばらく停車するようだ。

また車内に戻って、クルーがいたのでデンバーの発車時間を質問した。
クルーは答えたが、うーん聞き取れない・・・

手帳とボールペンを出して書いてもらった。大事なことなので聞き間違えたら一大事だ。

「11:30 Be back」と書いて渡された。11時半までに戻ってこいと言うことだ。
「オーケー、サンキュー」と礼を言ってまた外に出た。

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デンバー駅のホームとカリフォルニアゼファー号。

しかし、11時半に発車するとなると2時間以上も停車することになる。
デンバーの定時発時刻は8:05なので、ここで3時間以上の遅れだ。
鉄道のダイヤはあまり正確ではない国だし、終点から乗り継ぐわけではないので遅れるのは構わないのだけど、翌日のサンフランシスコ到着が夜遅くになるのは嫌だなと思い始めた。

心配したところでどうにもならないことだし、せっかくだからデンバーの街を見物してこよう。

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デンバーのダウンタウン。高地のためか空気が澄んでいる。

デンバーはコロラド州の州都で、人口は約63万人。
ロッキー山脈の麓にある標高1600mの場所に位置する高地の、気圧が低い土地柄のため、ゴルフや野球ではほかの場所よりも飛距離が10%ほど伸びるといわれている。

ユニオン駅はダウンタウンの北端にあって、駅からは16番ストリートモール(16th Streer Mall)という代表的な通りが伸びていて、一般車は通れない歩行者とバスだけのトランジットモールになっている。
通りを走るバスはフリーモールライドと言って無料で利用できる。結構本数もあるようで、歩いていると頻繁に見かけた。

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16番ストリートモールと時計塔のD&Fタワー。

青空が広がった良い天気で、強い日差しは歩いていると溶けてしまいそうになる。
しかし空気は乾燥しているようで、日影に入るとすぐに汗は乾いた。標高1600mは高原のような空気だ。

通りは旅行者とわかる人が多いが、一見ビジネス風の人も結構歩いている。道路工事もやっていて作業員たちが働いてる。
そういえば今日は月曜日だったなと思いだした。

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ウシの置物。

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ストリートモールを走る無料バス『フリーモールライド』。

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ライトレール(路面電車)も走っている。

デンバーのランドマークになっている熊のオブジェを見たくて探してみたが見つからなかった。『地球の歩き方』に載っていたのだが、重たいから車内に置いてきたのだが持って来ればよかった。


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16番ストリートモールとライトレールの電車。

ライトレールの線路が交差するあたりまで行ってまた駅まで歩いて戻ってきた。

デンバーは街並みも整っていて清潔でなかなか良いところだ。


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石造りの風格あるデンバー・ユニオン駅。

デンバー・ユニオン駅は石造りの風格ある駅舎で、1880年に建設、1914年に現在の形に改築された。
鉄道の繁栄した時代を象徴し、デンバーの玄関口と言わんばかりに街の正面に向けて堂々とそびえ立っている。

1920〜1930年代は1日80本もの列車が発着していたが、第二次大戦後は旅客輸送は自動車や航空に移ってしまったので列車はどんどん削減され、現在この駅に発着する列車はカリフォルニアゼファー号1往復のみ。

それでも近年は駅裏にライトレールが乗り入れ、また地下バスターミナルもできたのでデンバーの総合ターミナルとなった。
駅舎やホームも大改修工事が行われたようで新しくなっている。


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吹き抜けのホール。

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バーになっている場所は昔はきっぷ売り場だったようだ。

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こちらは片隅にある本物のきっぷ売り場。



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ユニオン駅の時刻表。列車はカリフォルニアゼファー号1本のみ。


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デンバー停車中。

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ユニオン駅のホーム側。

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広くて明るいホーム。

ユニオン駅のホームも大改修工事が終了して間もないようで、新しくなっている。
工事中は1面1線の仮設ホームだったようだが、完成したホームは4面6線の堂々たる構えだ。各ホームは跨線橋と地下道で結ぶほか、頭端式ホームなのでホーム同士でも行き来できる。

4面6線のホームは列車は1日1往復しか発着しないのにあまりにも過剰設備な気がする。

地下道はまっすぐ行くと地下バスターミナルにつながっていた。


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シカゴからデンバーまで連結されてきたレトロ車両。

シカゴ駅で最後部に連結されていたレトロ車両はここデンバー駅で切り離されていた。
古めかしいけど貴賓車のような風格があって、オープンデッキには「チェサピーク・アンド・オハイオ鉄道」「チャペルヒル」と書かれたトレインマークが付けられていた。

何かのイベントに使われるために回送されてきたのだろうか?まさか個人所有の客車?


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レトロ車両のトレインマーク。



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無骨な最後部。


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客車のドア。

街を歩いてきて駅の中も歩き回ってきたが、まだ発車まで30分以上ある。
デンバーの停車時間は2時間30分近くもあるわけで、さすがに長すぎる。途中でなにかあったのだろうか。

車内に戻ると、そんなことは大したことではないと言う感じで乗客たちもクルーもゆったりと過ごしていた。

13へつづく
2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記 もくじ
posted by pupupukaya at 15/01/25 | Comment(2) | 2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記

2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記11 カリフォルニアゼファー号1日目の夜

車窓は相変わらずコーン畑が続く。山は全く見えないが土地は平らというわけではなく、緩やかな起伏がある。

ときどき町が現れるが、昔は駅があったのだろうが今は停まる列車も無くなったようで撤去されているか、あっても貨物駅である。

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ゲイルズバーグ手前で交差する線路。立派な複線だが、たぶん貨物線。

プリンストンを出てから1時間くらいでようやく大きい町が現れた。
踏切をいくつか通過するとゲールズバーグ駅に停まる。17:51着だった。

ゲールズバーグ駅は、ここからロサンゼルスに向かう『サウスウエストチーフ』号と、クインシーまで行く『カール・サンドバーグ』『イリノイズゼファー』号、それにこのカリフォルニアゼファー号がそれぞれここで分かれる駅である。

三分岐するジャンクション駅なので大きな駅かと思ったが、こじんまりした駅だった。
車内に置いてあったルートガイドによると”重要な鉄道の街”とあった。

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ゲールズバーグ駅手前の踏切。

18:35頃にミシシッピ川の鉄橋を渡る。
河口からは1000km以上上流に位置するが、さすが北アメリカで一番長い川だけあって川幅は広い。

ずっと単調な景色が続いているので、1日目の一番見どころはこのミシシッピ川鉄橋だろうか。

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ミシシッピ川の鉄橋を渡る。

18:45にバーリントンに着いた。ここからアイオワ州になる。

車内放送があって「〜ダイニングカー、シックスフォーティーセブン〜」と聞こえたので食堂車に行く。
待ちに待ったと言いたいが、食堂車は見知らぬ人と同席で、しかもこちらは英会話などさっぱりなので気が重い。

食堂車は2両先にある。通路は1回目のディナータイムへ向かう人がいてそのあとに続いて行く。

食堂車の入口では数組の行列ができていた。勝手に空いている席に着くのではなく、中でクルーに席を指示されるらしい。しかし列はさっぱり進まない。

ようやく自分の番がきて、ディナー券を見せて席に案内してもらう。テーブルには既に3人の先客がいた。


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ディナーの食堂車。

「ハロー」と言って席に着く。2人は年配のアメリカ人(かはわからないが多分)夫婦。もう一人は日本からの学生さんだった。
大学4年生で就職も内定し、最後の学生生活ということでアメリカ旅行をしているとのこと。

ワシントンD.Cに着いてシカゴまでも列車で来たというから鉄ちゃんかと思ったが、そうではないらしい。

アメリカ人夫婦を交えて軽く自己紹介する。

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ディナーのテーブル。ナプキンや皿がすでに並べられている。

とりあえず一安心といったところで車内を見回すと、客の年齢層はかなり高めだ。
勤めを退職した人たちがクルーズを楽しんでいるように見える。

まだ何も注文していないが、しばらくしてサラダと籠に載ったパンが運ばれてきた。
クルーからアンケートのような用紙が渡される。全員何かというような顔をするが、注文は希望の物をチェックボックスに印をつけるようにということらしい。


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最初に出てきた前菜のサラダ。


わかりやすくて良いが、税関申告書のようで味気ない。
ステーキの欄があったので印をつける。ポテトはベイクドとマッシュがあってベイクドに、それにチョコレートデザートに印をつけた。
実は隣席のおばさんの真似して書いただけだけど、エヘ。

ドリンクはなぜか全員水になった。ディナーなのでお酒を飲みたいが誰も飲まないのに一人だけ飲んでもしょうがない。

大学生の彼はさすがに流暢な英会話で、同席の夫婦と英語で色々話しに花が咲いている。
こちらは話にへ入れるはずも無く、トホホ・・・だねこりゃ。

だけど彼がしゃべっているぶんこちらは黙っていられるので大変助かった。

他所のテーブルを見ると、どこも和気あいあいと話が盛り上がっているようだ。

それにしても注文書に書いて渡した品は一向に出てこない。このテーブルだけ忘れられているのではなく、どのテーブルもまだ運ばれてきていない。

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ディナーの注文用紙。

あまりに遅いのでどうしたのかと皆顔を見合わせる。
クルーが通りかかったので隣のおばさんが尋ねるが、クルーはジョーク交じりで答えると皆苦笑した。

ディナー自体が中止になるわけではないので気長に待つしかないのだろう。

ようやく料理が運ばれてきたのは注文書を渡してから1時間以上経過してからだった。ほかのテーブルにも料理が運ばれだしたので、厨房も少しずつ動き出したようだ。

さて、アムトラック名物のステーキである。
これが意外と小さい。アメリカなので3人前はあるんじゃないかというような大きい肉を想像していただけに、ちょっと拍子抜けだ。
そのかわりに付け合せのポテトはたくさん盛られている。
ポテトはベイクドポテトにしたはずなのだがマッシュポテトになっていた。まあいいや。

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メインディッシュのステーキとマッシュポテト。

肉は柔らかくて上等の肉のようだ。味付けは薄く、脂身も無くあっさりしている。

あまりに淡白すぎてちょっと物足りなかった。アメリカの料理は量もカロリーもが多いからと思って昼も食べなかったのだが。
アメリカの上層の人の食事はこんなふうに案外と質素なのかもしれない。

逆に経済的に下層の人々がジャンクフードによる肥満が社会問題になっているほどだ。

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デザートのチョコレートケーキ。

食べ終わると程なくデザートが出される。スポンジケーキで上にチョコレートソースがかかっている。これでフィニッシュ。

お酒は、周りを見ると飲んでいるテーブルもあるが飲んでいない人が圧倒的に多い。ドイツならばビールのジョッキが並んで乾杯となるんだろうなと思った。ここでは酒飲みにはいまひとつ冴えない。健康的だけど。

ところで、大学生のSさんとアメリカ人夫婦との会話の中で『チップ』の話が出てきた。
別に英会話ができなくても彼らがどんな話をしているかくらいはなんとなくわかる。

寝台車の客は食事は無料だが、マナーとしてチップを置いていかなければならない。
チップの習慣がない日本人にはぜひ知っておきたいところだが、それでいくら置くかという話になったようなのだが、アメリカ人夫婦はなかなかはっきりとは言わず答えを渋る。

それはそうだろう、チップなんてのはあくまで心づけであって、金額が決まっているわけではない。相手によって、サービスの内容によって変わってくるだろうし、ここでは○ドル置けばいいのよなんてはっきり教えてはくれないだろう。
アメリカ人夫婦はしぶしぶ5ドルくらいと答えたようで、Sさんは「5ドル置けばいいようですよ」と言った。

そろそろ部屋に戻りましょうかということになり、Sさんと私は言われた通り5ドル札を置いて席を立った。

時刻は20:40になっていた。待ち時間が長かったがSさんたちの会話も楽しそうだったし、私は黙っているのが好きなのでそれなりに楽しいディナーだった。

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セットされたベッド。

部屋に戻る。線路近くには家も道路も無いのか窓の外は真っ暗闇だ。
照明を消すと遠くの家々の灯りや月明かりに照らされた山の稜線などが見える。

持ってきたウイスキーで一杯やるかなと思っていると客車のクルーがベッドメークにきた。座席を引き出して、折りたたんである上段ベッドに置いてあるシーツなどを下ろしてベッドになった。
クルーにチップとして1ドル渡す。1ドルに根拠は無いが、『地球の歩き方』にルームサービスは1〜2$と書いてあったので。

部屋中がベッドになってしまうと足を降ろす場所も無い。ウイスキーを飲んでさっさと寝ようかと思ったが、ラウンジカーに売店があったのを思い出した。まだ寝るには早いしちょっと行ってみることにした。


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ラウンジカー1階の売店へ。

今は9時半くらいだが、売店は混んでいて何人か並んでいる。座席車の客だろう、軽食を買って持ち帰る人が多い。メニュー表をみると軽食はホットドッグやハンバーガーなど。
食堂車は座席車の人も利用できるが基本寝台車の客が優先だし、停車中に駅で何か買えるわけではないので食べ物も飲み物もここでしか手に入らない。

自分の番がきたのでビールを2缶買う。1缶5ドル。


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売店で買ったビール。キンキンに冷えている。

2階のラウンジカーは昼間とは違って空いている。減光されていて薄暗いがそのぶん窓から夜の景色が良く見えるし雰囲気も悪くない。

窮屈な座席車からの人だろうか、さっきのディナーと違って若い人が多い。
ラウンジカーの椅子にに座ってビールを飲んでいると、やっと夜汽車に乗っている感じがしてきた。

離れた席にいるグループの一人がギターを弾いて『カントリーロード』を歌っていた。


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1階にあるシャワールーム。

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石鹸とタオルは備え付けてある。シャンプーは無い。

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タオルは使用後は別の籠に入れる。

ラウンジカーから戻る途中でシャワーを浴びてきた。各車両に1箇所あって、寝台車の客は自由に使用できる。
車内は冷房がガンガン効いているので汗ばむことはないが、軽く浴びるとさっぱりする。

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寝酒のウイスキー。


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ずっと追いかけてくる月を見ながらおやすみ。

こうしてカリフォルニアゼファー号1日目は無事終わった。
おっと、もう一つ腕時計の針をを1時間戻す。途中でタイムゾーンが変わり、今までは日本との時差は14時間(夏時刻)だったが、明日からは15時間となる。

アメリカでは列車の時刻や食堂車の予約時間などすべて現地時間で運用されているので時計を合わせていないとアレッ?ということになってしまうので注意が必要。

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2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記10 カリフォルニアゼファー号車内探検

クルーの案内が終わったあと、車内探検をしてきた。
この列車の編成は寝台車4両、座席車3両それに食堂車、ラウンジカー、荷物車の客車10両編成となる。先頭には機関車が2両付いていて、この客車を牽引している。

 カリフォルニアゼファー号の編成
 機関車×2
Locomotive×2
荷物車
Baggage
寝台車
Sleeper
座席車
Coach
座席車
Coach
座席車
Coach
ラウンジ/売店
Lounge
食堂車
Diner
寝台車
Sleeper
寝台車
Sleeper
寝台車
Sleeper

 まずは我が寝台車。2階席は半分が両側に個室が並ぶルーメット、もう半分が側通路の2人用ベッドルームとなっている。
階下には身障者用のルーメットとファミリーベッドルーム、それにトイレとシャワールームが設置されている。

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2階ルーメットの通路。両側に個室が並ぶ。


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車内中央にある階段。

1階と2階を結ぶ階段は車内中央にある。
1階は主にトイレとシャワー室それに荷物置き場だが、客室もあって身障者用のルーメットとファミリーベッドルームがある。

ファミリーベッドルームとはその名の通り家族向けの個室で、定員は大人2人子供2人となっている。

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1階の通路。一番奥はファミリーベッドルーム。

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1階の荷物置き場。


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1階のデッキとドア。


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1階のトイレルームの通路。

トイレは1階に3か所、2階にも1箇所設けられている。洗面台も併設されているが飛行機の洗面台と同じようなタイプで、歯磨きには不自由ないが洗顔となると窮屈だ。ハンドソープとペーパータオルが備え付けてある。

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トイレと洗面台。

客車の階段を挟んだ反対側は2人用個室が並んでいる。広さも十分あって快適そうだ。ルーメットも定員は2人だが、1人ならば申し分ない広さだが2人だとかなり窮屈だろう。
ルーメットには無い洗面台も設置されている。

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2階の2人用ベッドルームの通路。ここは片側に個室がある。

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スーパーライナーベッドルームの個室。2人用だけあってゆったりしている。洗面台もある。

各車両を行き来する貫通路は2階にあって、1階どうしは行き来できない。
貫通路部分には自動ドアがあってプッシュボタンを押すと引戸が開く。ボタンは手元のほかに足元にもあって、これは足で蹴飛ばすためにあるのだろう。両手に荷物をもっていれば便利だ。

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2階の貫通路のドア。


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連結部分の通路。

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食堂車の厨房は1階にあって、2階席は全て食堂になっているので広い。ディナーまではまだだいぶ時間があるがクルーたちがテーブルセットで忙しそうだった。
ここはあとで食事で来ることになる。

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食堂車のテーブル。まだ準備中。

食堂車の隣がラウンジカーになっている。寝台車、座席車どの乗客も利用できるフリースペースだ。景色を眺めるために窓側に向けられた座席が並ぶ。奥の方には4人掛けテーブル席もあった。

窓も大きく眺めが良いせいか人気で、空いている席は無かった。

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ラウンジカー。天井にも窓があって明るい。

ラウンジカーの1階はカフェになっている。こちらもフリースペース。売店もあって軽食やスナック菓子、飲み物を売っている。

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ラウンジカー1階のカフェコーナー。奥は売店。

ラウンジカーの向こうは座席車(コーチ)となっている。寝台車がファーストクラスとすればこちらはエコノミークラスといったところ。
座席は日本のグリーン車並みにゆったりしているが、2晩3日これで乗り通すのはかなり忍耐がいるだろう。

寝台車の客と違いカジュアルな装いの人が多い。途中駅で乗り降りする区間利用者が多いのと思われる。

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2階のコーチ(座席)車。

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荷物も少なくカジュアルな装いの人が多い座席車。

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1階のコーチ車と荷物置き場。

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2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記9 カリフォルニアゼファー号に乗車

【旅程】
シカゴ・ユニオン駅 14:00発 −(5列車カリフォルニアゼファー号)−翌々日16:10 エメリービル駅

カリフォルニアゼファー号はシカゴと西海岸のサンフランシスコを結ぶ大陸横断鉄道で、走行距離は3924kmあって、2晩走り続けて3日目の夕方にサンフランシスコに着く。正確には列車が運転されるのは20km手前のエメリービルという駅までで、そこからサンフランシスコ市内まではアムトラックのバスが連絡している。

シカゴから西海岸まで走っている列車は3本あって、以下の通りとなる。

・カリフォルニアゼファー号 シカゴ―エメリービル(サンフランシスコ) 3924km
・サウスウエストチーフ号 シカゴ―ロサンゼルス  3645km
・エンパイアビルダー号  シカゴ―ポートランド/シアトル 3631km/3550km 

いずれも2晩3日かけて運転される長距離列車で、アメリカのアムトラックを代表する列車である。
一番長距離かつ長時間走る列車は今回乗るカリフォルニアゼファー号で、ロッキー山脈とシエラネバダ山脈2つの山越えなど見どころが多く、人気の高い列車となっている。

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 カリフォルニアゼファー号の時刻表パンフレットより。
  
カリフォルニアゼファー号のルート。

さて、いよいよアメリカ大陸横断鉄道旅行の始まりである。

鉄道旅行好きの私にとっては、いよいよ乗る時がやってきたと思うとゾクゾクした期待とも不安ともとれない気分になってきた。

ちなみに、これにシベリア鉄道それにオリエント急行を加えて三大いよいよ鉄道と言う(言わないか)。

寝台客専用のラウンジで待っていると何やら放送があって乗客がゾロゾロと動き始めた。生の英語など聞き取れるはずも無く、良くわからないが乗車開始かと思ってついて行くと、ホームに停まっていたのは『サウスウエストチーフ』号だった。違った。これはロサンゼルスに行く列車だ。
またラウンジに戻る。

それにしてもこちらのラウンジは案内表示が何も無く、係員の放送だけなので何の列車の乗車開始なのかさっぱりわからない。
不安ならば時刻と列車名の表示がある普通の待合室にいた方がいいかもしれない。

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発車15分くらい前になって係員の案内がある。

サウスウエストチーフ号の乗客が去ってラウンジはだいぶ空席が目立つようになった。
14:35になってまた放送があり、乗客たちが出口に集まる。今度はカリフォルニアゼファーだろうと後について行った。

ラウンジを出たところは工場のような狭くて薄暗い通路を歩く。
これから長距離列車に乗るというのにあまりにも殺風景で、これから旅立つという雰囲気は全くない。
広大なホールに様々な列車が停まっているヨーロッパの駅とは大違いだ。

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工場のような通路を歩く。

人々のあとをついて行くと26番線にやってきた。何も表示は無いが、停まっている列車はカリフォルニアゼファー号で間違いない。
狭いホームは乗客たちでごった返す。発車時刻まであまり時間は無く、慌ただしい。

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最後部にはレトロで良い感じの客車が連結されていた。貸切車両だろうか。

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2階建ての客車はデカい。

最後部にはレトロ風の客車が1両付いていた。中を覗くと食堂車のようだが、寝台車とは行き来できない。貸切の車両なのだろうか。良くわからないがとにかく自分の乗る号車番号の客車を探す。

レトロ車両を除いて後ろから2両目が自分の車両だった。入口に立つクルーにチケットを見せて車内に入る。

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カリフォルニアゼファーが停まるホーム。

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入口に立つ人は三日間世話してくれるスタッフ。

列車の設備や車内は事前にインターネットで調べてきたのでわかっているが、実物を見るとこれがアムトラックの寝台車かと感激する。
指定された個室は階段を登って2階の一番奥だった。

この列車の客室タイプはいくつかあって、今回乗るのは『スーパーライナー・ルーメット』という個室の寝台車。
個室には座席が向い合せにセットされていて、夜は座席を引き出してベッドにする。

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これが3日間過ごす『スーパーライナー・ルーメット』の個室。

ベッドをセットすると部屋全体がベッドになってしまうので大型のスーツケースなどは置けない。
部屋は日本で言うとトワイライトエクスプレスのB個室シングルツインに似ている。
ベッドは2段になっているが、使用しないときは上段ベッドは畳んであるので、シングルツインのような狭い感じはしない。

窓は大きくて、2階席のため眺めは抜群だ。

アムトラックの寝台車はすべて個別の個室で、日本のような開放式寝台やヨーロッパのような雑居の個室というものは無い。座席車利用ならばかなりリーズナブルだが、寝台車利用になると値段がハネ上がる。
たとえば今回のチケットの場合、シカゴからサンフランシスコまで運賃が164ドルで寝台料金が735ドルの計899ドルとなる。

しかしこの部屋で2晩735ドルとは、と思いかけるが、もうそういうことは考えないことにする。

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座るとこんな感じ。窓は大きく眺めは良さそうだ。

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2階席から見たホーム。

部屋に荷物を置いたらまたホームに出て列車の編成を見てきたいところだが、もうそんな余裕はない。ラウンジで乗車案内があってからここまでずいぶん慌ただしく、寝台列車始発駅の旅情に浸る間もなかった。
ホームにいた人も全員乗車したようで、手荷物のカートだけがホームを走り回っている。

14:50になって発車するかと思ったが、なかなか動き出さない。14:58になって発車した。

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ユニオン駅を発車する。しばらくは都会らしく多くの線路が交錯する。

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真上から見たルーメット。

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広げると大きい折り畳みテーブル。


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部屋のロック。


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天井の照明と空調。


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読書灯と空調のツマミ。コンセントもある。

地下のシカゴ・ユニオン駅を発車すると地上に出て明るくなった。
個室は座って車窓を眺めているぶんには窓も大きく快適だ。

ずっと何本もの線路が平行して走る。線路の向こうは低い建物の街並みが続く。時どきポイントを通過して車体の下から線路が分岐したり合流したり交差したりジャンクションを通過する。

昨日乗ったハイワサ号もそうだったが、走行中は振動のような細かい揺れが続く。また、部屋が車端部なのでポイント通過時など揺さぶられるように強く揺れた。しかし、2階席のためか静か。たまに通過する駅のポイントのジョイント音がするくらい。


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大きな肘掛のようなのは夜は上段ベッドの階段になる。

乗る前の興奮や不安はどこへやら。今はこうして個室寝台から流れる車窓を眺めている。
景色はずっとシカゴ郊外の低い街並みが続く。ときどき近郊列車であるメトラの駅があってホームを通過して行く。

ユニオン駅からここまで何だか流れ作業のように来てしまったので、どうも妙な違和感がある。
北海道弁で言うところの『あずましくない』というやつだ。

バッグから缶ビールを取り出して開けた。
昨夜の残りなのですっかりぬるくなっているが、口にしていると少し落ち着いた。昼食を食べていないので胃に染みわたる。
おつまみは駅の売店で買ったミックスナッツ。レーズンが混ざっているのが変わっている。日本ならば柿ピーだが、こちらはレーズンピーになるのか。これはこれでアリかと思ったが。


最初の停車駅ネイパービルには15:39に着いた。シカゴから41分距離は45kmになる。大型スーツケースを持った人たちが目立つ。ここから乗る人も多いようだ。この車両にも何人か乗ってきた。

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シカゴを出て最初の停車駅、ネイパービル駅に到着。


駅の手前では一眼レフを構えた人も何人か見かけた。アメリカ人の撮り鉄?

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とりあえず一息ついた。

ネイパービルを発車してしばらくするとドアがノックされた。車掌だろうか?

チケットを見せると何やら言われた。
悲しいかな、当方無学のため英語力ゼロ。生の英語など聞き取れるはずもない。

どうやら食堂車のクルーのようで、レストランとか、ディナーとかいう単語と腕時計を指差すのでディナーの予約のことらしい。
向こうの言うままにイエス、イエス言っていたら、1枚のカードをくれた。

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クルーから渡された夕食の予約券。6:45からの第1グループ。

グループナンバーが1で、6:45と記入してある。夕食はこの券を持って食堂車にいけば良いようだ。

そのあと「ハロー」と女性のクルーがやってきた。
大声でノリノリな感じだ。

部屋のスイッチやベッドの説明など。
これも聞き取れるはずはないが、言わんとしていることはわかるので「イエス、イエス」とうなずく。

各部屋を一個ずつ同じように説明に回っていって、その度にノリノリの大声がするので、まだ回ってない部屋の客は何事かと思うだろうな。

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シカゴの市街地を過ぎると大陸的な風景になる。

この部屋は進行左側にあって、また右側通行なのですれ違う列車を見ることができる。
シカゴに近いせいか列車とよくすれ違うが、全て貨物列車だ。
それもそのはずで、今走っている線路は自社路線ではなく貨物鉄道会社の線路を走っているのである。

日本では旅客鉄道会社の線路を借りて貨物鉄道会社の貨物列車が運行しているが、アメリカは逆で貨物鉄道会社の線路を借りて旅客列車が運行されている。

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貨物列車の機関車。通過する駅は貨物駅ばかり。

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すれ違う列車は貨物列車ばかり。

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踏切を通過。

車窓はずっと畑作地帯が続く。コーン畑が多くてたまにジャガイモ畑が現れる。

広くて単調な景色だが、走行中の振動が激しいので意外とスピード感がある。
スマホのGPSスピードゲージで測定してみると130km/h前後で走行している。
ハイワサ号も同じ速度だったので、この速度がアムトラックの標準なのか。

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コーン畑が続く。


ネイパービル〜プリンストン間の車窓から。


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131km/hで走行中。

プリンストン着は16:52だった。時刻表通りならば15:44ということになっているが、シカゴの発車時刻が14:50に変更になっているので正確な時刻はもうわからない。

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プリンストン駅。

次は車内を見て回って行きます。

posted by pupupukaya at 15/01/23 | Comment(0) | 2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記

2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記8 シカゴ出発前

さて、今日はお待ちかねのカリフォルニアゼファー号に乗る日だ。
ところが昨日アムトラックからメールがきていた。シカゴ発14:00だったのが14:50発に変更になったということだった。
明後日のサンフランシスコ着が遅くなるが、運休ではないのでひとまず安心だ。


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アムトラックからメールに添付されてきた変更後のチケット。

昨夜深酒したせいか、起きたら9時過ぎだった。別に朝から予定があるわけでもないし別にいいのだが、旅行中に朝寝坊すると何だか損した気分になる。

昨日スーパーで買っておいたパンを朝食にする。
さて、これからどうしたものだろう。今日も天気が良さそうだ。

チェックアウトは12時までなので、部屋に荷物を置いてチャイナタウンの見物をしようと外に出た。

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チャイナタウン入口の門。『天下為公』とは中国の古典「礼記」の一節。

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食料品店。

今日も快晴。今回の旅行は天気には恵まれている。
ホテルのあるチャイナタウンは寝るために帰ってきたようなところだったので、改めて街中を歩いてみると本当にここは中国だな〜と思った。

通りの看板も通行人も話し声もすべて中華一色。
しかし文字はさすがに簡体字は見かけなかった。台湾や香港の雰囲気に近いんだろうか。どっちも行ったことは無いけど。

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教会も中国風。

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露天の市場。

駅へ向かう広い通り(ウエストセルマック通り)から北側は新しい建物が並んだ商店街がある。初日に雨宿りしたところで、中華料理の飲食店や食材店が並んでいる。
通りの南側は古い建物が並んだ旧中華街、こちらは新中華街といったところ。

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日本の店ではなかったが・・・。公文式の看板もある。

商店街は結構奥まで続いていて、抜けた先にはドラッグストアがあった。
なんだ、近くにあったんじゃないか。中に入ってみる。

アメリカのドラッグストアは日本と同様に食料品のほか、大体の物が手に入るので便利だ。
ここで買い物すれば良かったな、もう少し探せば良かったなと思ったが、この店は酒が置いていなかった。

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新しい商店街の一番奥にあったドラッグストアー。


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2泊したチャイナタウンホテル。


11時ごろホテルに戻ってきた。
キャリーバッグに荷物をまとめる。今のところ増えた荷物といえば、残りの缶ビール2缶とウイスキー1瓶それにビーフジャーキーとスティックチーズ。

土産物は何も買っておらず酒とつまみばかりだが、のちにこれが貴重な食料となるとは思いもしなかった。

11時半にフロントに鍵を返してチェックアウトする。鍵預かり金の20$も返金してもらった。

地下鉄に乗ってダウンタウンへ向かう。
特に行くところも無かったので、昨日行ったミレニアムパークへまた行った。

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日曜日のミレニアムパーク。銀色の物体はクラウドゲートというオブジェ。

キャリーバッグを引いて歩くのはしんどいが、駅や街中にはコインロッカーなど見当たらないので持ち歩くしかない。チャイナタウンホテルで頼めば預かってくれたのかも知れないが、またあそこまで取りに行くのは大変だ。

日曜日とあって公園は家族連れが多い。天気も良いし、平和な光景だ。 

空いているベンチに腰かけて日向ぼっこ。海外まで来てただ座ってぼーっとしているのは勿体ない気がするが、もうどこかへ行くのも面倒になってきた。

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全面鏡のようなクラウドゲート。私も写っていたり・・・。

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人の顔が映し出される『クラウンファウンテン』。ときどき表情が変わる。

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突然口から水を吹くので注意。

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日曜日のため人が少ないオフィスビル街。

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道路に映った高架鉄道の影。


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水上タクシーが行き交うシカゴ川。

ミレニアムパークからユニオン駅まで歩いて行った。
デパートがあるメインの通りは賑わっていたが、それ以外はオフィス街とあって閑散としている。

1時前にはユニオン駅に着いた。まだ発車時刻まで2時間近くあるが、それまで駅の中を見物する。

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シカゴ=ユニオン駅の入口。

アムトラックの列車の乗り方は昨日ミルウォーキーまで乗車したのでわかっている。
一旦ボーディングラウンジで係員の案内があるまでそこで待たなければならないのだが、今日の私は寝台車の客なのだ。

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ファーストクラスと寝台車利用客専用のメトロポリタンラウンジの入口。

寝台車の客は一般の乗客とは別の『メトロポリタンラウンジ』というファーストクラス用のラウンジから出発になる。
入口のカウンターで印刷してきたEチケットを見せるとマジックで日付、列車番号、室番をマジックで書いた紙をくれた。
これがボーディングチケットになるのだろうか。

よく見ると『メトロポリタンラウンジ』と書いてあるのでラウンジの利用券?
いずれにしても2枚持っていれば間違いはないようだ。

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カリフォルニアゼファー号のボーディングチケット?

じゅうたんが敷かれてソファーの置かれたラウンジは高級感があっていかにもファーストクラスという感じがする。
奥にはドリンクバーがあって、コーヒーやソフトリンクが自由に飲める。

これから各地へ向かう列車が多い時間なのか、ラウンジは結構混んでいる。
空いているソファーに座ってコーヒーを1杯飲んだらまた外に出た。
やっぱりここでじっとしていてもつまらない。

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メトロポリタンラウンジはどことなくVIP感漂う。

ユニオン駅はシカゴのセントラルステーションといったところで、各地へのアムトラックの列車のほか、メトラというイリノイ州内の近郊列車の一部が発着している。

ユニオン駅とは訳すと合同駅とでもなるのだろうか。
もともとアメリカの鉄道は私鉄の集合体で、シカゴから各地に向かう鉄道も昔はそれぞれ独立した私鉄であった。
各鉄道会社がバラバラに駅を作ったために乗換が不便なため、各会社共同のシカゴ駅を作ったためにユニオン駅という駅名になった。
しかし各鉄道会社はその後旅客輸送を次々と廃止してしまい、現在はアムトラックによる運営に一本化となった。

1925年完成のメインビルディングは外見も内装も風格のある造りになっているがこちらは旧駅で、今のコンコースは道路を1本隔てた地下に設けられている。コンコースと旧駅は地下道で結ばれているが、ここから駅に出入りする人は少ない。

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1925年完成、アメリカン・ルネッサンス様式のメインビルディング。


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メインビルディングのメインエントランス。

格調高い柱や手すり。この駅が一番繁盛したのは第二次大戦頃で、1日300本の列車と10万人の利用客があったという。


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映画『アンタッチャブル』に登場する階段。

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階段の擦り減り具合に往時の繁栄をしのばせる。

中は広大なホールになっていて『グレートホール』と呼ばれている。
木製のベンチが並べられて待合室として使われているが、コンコースからホームへ行く方向とは反対の場所にあるので人は少ない。

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普段は待合室として使われる『グレートホール』。


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待合室にしておくにはもったいないほど豪華な建築だ。

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グレートホールからコンコースに向かう。

ユニオン駅はアムトラックの中心となる駅なので大きな駅かと思っていたが、じっさい歩いてみるとそれほど広くは無い。
良く言えばコンパクトで分かりやすいが、もっと広大なコンコースやホームをイメージしていたので少々拍子抜けでもある。

シカゴからアメリカ国内の各方面へ列車が発着しているが、長距離列車は1日1往復、中距離でも2〜3往復といった運転本数なのでこの程度で十分なのだろう。
アメリカの鉄道は寂しい。

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列車の発車時刻表。近郊列車を含めても1時間に3〜4本程度の本数。

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アムトラックのチケット売り場。

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あまり広くないコンコース。奥の入口は乗客のラウンジへの通路。


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こちらは一般客用のボーディングラウンジ。

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ホームへの通路。

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ホーム入口。

コンコースをあちこち見て回る途中で売店がいくつかあったのでシカゴの絵葉書を記念に求めた。シカゴ土産はそれだけ。

カリフォルニアゼファー号の寝台車客は三食付きで、ミネラルウォーターやコーヒーも車内サービスとなっている。
水や食べ物の心配はないが、酒はどうなるのだろう。駅構内の売店をいくつか回ったが、酒類は置いていなかった。
昨日買ったウイスキーの残りもあるし、足りなければ車内でも手に入るだろうと、酒のつまみにスナック菓子とナッツの袋を買った。

三食付と言っても、食堂車で他の客と相席であろう。英会話なんてさっぱりだし、相席になった人たちと仲良くやっていけるのだろうか。
心配は尽きないが、ま、何とかなるさ。

何度もの海外一人旅で今まで何とかなってきたんだし。

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2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記7 シカゴに戻る

【旅程】
ミルウォーキー駅 15:00− (338 ハイワサ号)−16:29 シカゴ・ユニオン駅

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ミルウォーキー インターモーダルステーション。

14:30頃に駅へ行った。ダウンタウンから駅までは歩いてすぐなのだが、裏道のようなところを通らねばならず、人通りも無い道で徒歩だとちょっと気味が悪い。
駅舎のビルはガラス張りの新し目の建物で、中も明るくて清潔なのは一安心。

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明るい駅構内。

シカゴ駅で買ったのと同じ券売機があったので、これでまたチケットを買おうとしたが、操作方法が違うのかわからなくなってしまった。
すぐ後ろに窓口があるので、面倒だと思ったが「ハロー」と声をかける。

「シカゴ、ワンウェイ」(シカゴ片道)というと通じた(当たり前か)。

ここでもID(身分証)の提示を求められた。パスポートを差し出す。列車に乗るのにわざわざパスポートがいるのか、ここはロシアか?

しかし、窓口のお姉さんも愛想が良く、悪い感じではなかった。支払いはクレジットカードで。


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駅には無料のWiFiが設置してあるのがありがたい。

シカゴと同じく、ここも発車時刻まではホームへ行けないようで、ホーム入口のところで乗客が並んでいる。

このくらいの人数なら行きと同様にがら空きだろうし、発車時刻までは駅の中を見物した。

ミルウォーキーの鉄道駅は『ミルウォーキー・インターモーダル・ステーション」と呼ばれて、アムトラックと長距離バス(グレイハウンド)が同居したターミナルになっている。


鉄道とバスのターミナルは中でつながっているので区別はないが、両方の乗り場は建物の両端にそれぞれあるので、バス組と鉄道組の棲み分けはできている。


バスの方はそこそこ本数はあるので乗客の動きがあるが、鉄道の方は1日7往復のハイワサ号と西海岸のシアトルまでの長距離1往復のみとあって動きはほとんどない。駅というより地方のローカル空港という感じがする。

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軽食コーナーもある売店。

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アムトラックのチケット売り場。

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案内があるまでゲートに並ぶ。

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ミルウォーキーからの時刻表。左が鉄道、右がバス。

14:45頃にホームへ入場開始になる。他の乗客たちに続いてホームへ向かう。

ホームと言ってもコンクリート敷きの地面があるだけで、ホーム全体を鉄骨の上屋が覆って薄暗く、車両工場のような感じ。旅情とは程遠い。

帰りの列車は思った通り空席だらけだった。

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帰りの列車に乗る。

ハイワサ号の車内はWiFiが利用できるのがありがたい。こういう時にネットでせっせと情報収集する。

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ミルウォーキー駅で買った列車のチケット。

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ミルウォーキーを発車してすぐのカーブ。

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スターテバント駅。

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シカゴの摩天楼が見えてきた。

行きとは反対側の席に座ったが景色はどちら側も大して変わらなかった。
印象的だったのはシカゴに近づくと遠くにそびえ立つ摩天楼が見えたこと。シカゴ行列車ならば進行右側に座ったほうがお得かな。

列車は快調に走り、シカゴ・ユニオン駅のホームが見えてきたところで列車は停まってしまった。
駅手前ならばともかく、ホーム直前の、しかもポイントをまたいで停まっている。

5分くらい停まっていただろうか、今度はバックして動き始めた。またしばらく停まって、改めて進入しなおしたようでホームに到着したのは16:37だった。何があったのかはわからないが、とにかく無事にシカゴへ戻ってきた。

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駅構内手前で停止してしまった。

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シカゴに到着。

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線路とホームの終端。出口からコンコースにつながっている。

土曜日夕方5時前のシカゴのダウンタウンは人が多くて賑やかだ。戻ってきたら余計大都会という感じがした。
まだホテルに戻る気がしない。午後7時過ぎまでは明るいし、このままシカゴのダウンタウンをぶらぶらと歩く。

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賑やかなシカゴのダウンタウンに戻ってきた。

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シカゴ名物の高架鉄道

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街中を歩くが特に行くところも無くミレニアムパークまで歩いてきた。

さっき列車内でダウンタウンかホテルの近くにスーパーがないかと探していたのだが、なかなか少ない。食料品などを買い物をしてホテルに戻ろうと思っていたのだが。
それで見つけたのがミレニアムパークの北側にあるマリア―ノというスーパーだった。

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ビルの陰になって暗くなってしまったミレニアムパーク。

この辺はビジネス街というかオフィスビルばかりで、こんなところに本当にスーパーがあるのかと思いかけたが、少し引っ込んでわかりにくい場所だがスーパーがあった。

私はスーパーマーケットが大好きで、国内・海外問わず旅行先では必ずスーパーを覗く。
その土地の食生活や物価もわかるし、その土地ならではの食材を見つけたら嬉しい。

あえてこう言わせてもらう。

スーパーを見ればその土地がわかる。

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ミレニアムパーク近くにあったスーパー。

そんな大それたことではないが、カゴを持って店内を回る。
野菜、肉、乳製品など、日本とは違うねやっぱり。どんな美術館や博物館よりも私はスーパーで買い物するのが一番楽しい。

惣菜コーナーもあった。ホテルの朝食のホットビュッフェのようになっていて、見ていると客が脇にある容器に惣菜を詰めている。
どうも容器のサイズごとに値段が決まっていて中には詰め放題のようだ。

これはいいと容器を持って他の客の真似をして惣菜を詰める。容器のサイズは3種類あってS・M・Lサイズのランチボックスといったところ。
スープもあったのでこれも自分で容器に入れる。

値段は惣菜が$7.01、スープ$1.99、コーラ$1.59。別に外税で約10%の消費税がかかる。

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スーパーで買った惣菜。Mサイズの容器。

表にオープンテラスがあったのでそこで食べることにした。
家族連れや一人客がスーパーの総菜や飲み物を並べてくつろいでいる。ここは良い場所だ。

フライドチキンとフライドポテト、チキンの甘辛煮、ライス、温野菜など。スープはトマトバジル。

これがアメリカの食卓なのかなと思いつつ食べる。味付けは結構甘い。甘いとは砂糖の甘いで味付けは濃い。
本当はビールが飲みたかったが、この場所で飲んでいいのかわからないし、他に飲んでいる人もいないのでコーラにした。


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スーパーのオープンテラス。

画像で見ると盛りが少ないように見えるが、実際は容器が大きいのと惣菜も大きいので結構なボリュームだ。こんなに食えるかなと思っていたがぺロっと食べてしまった。

さてと、そろそろホテルに戻るとするか。あんまり戻りたいホテルじゃないけど。


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ビールを洗面台で冷やす。

地下鉄に乗ってホテルに戻ってきたのは午後7時過ぎ。明るいうちに戻ってこれた。さすがにこの辺りは暗くなってから一人で歩くのはいやだ。

昨日買ってあったビールはぬるくなっている。部屋に冷蔵庫はないので、洗面台の水で冷やす。これが意外と冷えるのだ。

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スーパーで買ったバーボンウイスキー、エヴァン・ウィリアムス。

シャワーを浴びて、テレビを見ながらビールを飲んだ。バーボンウイスキーも飲んだ。スーパーで買ってきた安物だが、アメリカで飲むとまた一味違う。
明日はシカゴを発って鉄道でサンフランシスコへと旅立つ。憧れの大陸横断鉄道。
ホテルのチェックアウトは12時までにすればいいので明日はゆっくりできる。
そんなわけで少々深酒した。
posted by pupupukaya at 15/01/10 | Comment(0) | 2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記

2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記6 ミラービール工場


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受付でもらったツアーチケット。

11:30になって入口のドアが開くと全員奥のミニシアターへ通される。

上映の前に、コンダクターの男性が壇上で色々説明する。ツアーの注意点なんかだろうが当然こちらは何を言っているのかわからない。
ノリノリで時々場内には笑い声や歓声が上がった。


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奥の入口が開かれミニシアターに通される。

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ミラー創設1855年からの歴史が上映される。

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映画の案内役はミラーガール( Miller Girl in the Moon)。

映画の内容は1855年のミラービール創設からの歴史など。
上映は15分ほどで終了、ビジターセンターの建物から工場へと移動の為に一旦外に出る。

外は快晴で気持ちが良い。カラッとしていて暑くはない。

コンダクターのあとに続いてゾロゾロと道路を歩く。たまにはツアーもいいもんだなと思った。

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映画のあとは外へ。工場内は広い。

最初はパッケージ工場、廊下の工場側がガラス張りの窓になっていてそこから見学する。
コンダクターが説明しているが英語なので分からない。
窓の下のラインを箱詰めされた缶ビールが流れて行くので何の工場かはわかる。

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また別の建物へ移動。

つづいて商品が積まれてフォークリフトが動く配送センターのようなところ。
その次は金属製の大きな醸造タンクが並ぶ発酵工場へ。
それぞれの工場が別の建物なので、移動するたびに外に出ることになる。


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ここはビールの発酵工場。


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ブルワリーツアーの参加者たち。

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歴史があるレンガ造りの工場。

コンダクターの説明が理解できればまた面白いんだろうけど、工場自体はとくに見せ場があるわけではないので少々退屈してくる。移動するたびに次は試飲かな?などと考えるようになった。

発酵工場の次は何やら風格のあるところに案内される。おっ、いよいよ試飲かなとだんだん考えがいやしくなってきた。

入ったのはトンネルのようなところ。ひんやりとして肌寒い。昔は地下を利用した天然貯蔵庫として使用されていた。
全員が入ってしばらくすると照明が消されて真っ暗になる。一番奥の壁面に映像が映し出されて説明タイムとなった。

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天然の地下貯蔵庫。

ここで見学ツアーのコースは終了らしい。ツアー開始からここまで約1時間。建物を出て向かいのオープンテラスに案内される。
いよいよお待ちかねの試飲ターイム!
ツアー参加者たちも待ってましたという感じだ。

受付時に手首につけられた紙のタグをカウンターのお姉さんに見せてビールを受け取る。親切におつまみの小袋も用意されている。
めいめいビールとおつまみを持ってテーブルで試飲タイムとなった。


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お待ちかねのビール試飲。


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無料でもらえるビールとおつまみ。

青空の下で飲むビールはおいしい。ツアーはずっと歩きっぱなしだったのでひとしおだ。
2杯目のビールをもらってくる。

しかしタダ酒というのは何となく気が引ける。ビジターセンターにあったギフトショップがこちらにもあれば何か買って行くのになあ。

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試飲のカウンターには次々と人だかりが。


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みなさん楽しそう。


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1杯飲むごとに手首につけられたタグに印がつけられる。


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試飲会場はちょっとしたビアガーデンといったところ。


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試飲会場のすぐ前がバス停になっている。

ビールを何杯か飲んで30分くらいいただろうか。また次のツアーの人たちがやって来た。

1時間に1本しかないバスの時刻が近づいてきたのでそろそろおいとまする。


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帰りのバスがやってきた。

帰りのバスの時刻も事前に調べておいたのでわかっている。バス停はバスのマークと系統番号が掲げられているのでわかるが、時刻表がないのは不親切だ。

20分くらいバス停で待っていると31番のバスがやって来た。行くときと反対方向なので間違いない。

15分ほど乗ってダウンタウンまで戻ってきた。

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再びダウンタウンへ戻ってきた。

このあとはミルウォーキー発15:00の列車でシカゴに戻る予定である。
きれいな街だし、もう少し見て回りたいのだが、その次の列車が17:45発になってしまうので予定通りにする。明るいうちにホテルに戻りたいのもあった。

駅へは発車30分前くらいに行けば十分だろうし、1時間近くダウンタウンを散策する。

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美しいミルウォーキー川の景色。

ダウンタウンを流れるミルウォーキー川の両岸はリバーウォークと呼ばれる遊歩道が整備されている。

今日はずっと快晴である。歩いていると汗ばむが、カラッとしているので川風に吹かれればすぐに乾く。
札幌の空気と似ているなと思った。

しかし、澄んだ空と爽やかな風は秋を感じた。
私は札幌の住人なので分かるが、9月も第2週に入る頃には札幌も秋風を感じるようになる。澄んだ空に夏が終わったなと一抹の寂しさを感じる季節が来るころだが、ここミルウォーキーでも同じ空気を感じた。

ミルウォーキーも札幌も同じ北緯43度に位置する都市である。


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所どころにあるオープンテラス。


『ウィスコンシン州は、ミルウォーキーを含めてカトリック派のゲルマン系ドイツ系住民が最も多い。』(ウィキペディアより)

几帳面なドイツ人が作ったからなのかはわからないが、街並みが美しく整って、どこも絵になる風景だ。
川辺にはレストランのオープンテラスが並べられ、休日の昼下がりといった感じ。

ビールの街らしく、あちこちにビアレストランもあった。

ごみごみしたシカゴに帰りたくないよう。
ミルウォーキーに泊まれば良かった。

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市庁舎の塔。


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橋の手前にある踏切のような遮断機。

歩いていると突然橋の手前にある警報機が「チンチンチン」と鳴り出して踏切みたいに遮断機が下りた。
見ていると橋の中央部がだんだん持ち上がって行く。

これは可動橋といって、橋を動かして船の通過を可能にする橋で、日本では昔はあったが今はほとんど見かけない。


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踏切のようにチンチンと鳴って遮断機が下りる。

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だんだん橋が持ち上がって行く。

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船がやって来た。

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持ち上がった橋の下をゆっくり通り過ぎる船。

橋桁が持ち上がって通行止めになった下を、船がゆっくり通過する。
橋の両岸には開通を待つ車の列と人だかりができた。
船が通過すると、橋桁が下がって遮断機が上がった。この間5分ほど。

アメリカは歴史的な理由から、道路や鉄道よりも船に優先通行権があると聞いたことがある。だから都会のど真ん中でも可動橋が現役で使われているのだろう。
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2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記5 ハイワサ号でミルウォーキーへ

【旅程】

シカゴ・ユニオン駅 8:25− 331 ハイワサ号−9:54 ミルウォーキー


今日はシカゴ2日目。2泊3日の中日になる。
日本を出発する前、どこに行こうかといろいろ考えたが、私は鉄道好きで、とりわけ乗り鉄と呼ばれる列車に乗っているのが好きな人なので、どこかシカゴから列車で日帰りで行けるところがあればと思っていた。

ところがアメリカは飛行機と高速道路が発達しているため鉄道の都市間輸送というものがほとんど行われていない。アムトラック運営による長距離列車が各方面へ1日1本とか運行されているに過ぎない。
唯一例外は、東海岸のワシントン〜ニューヨーク〜ボストンの区間で、ここは人口密集地帯の為に「アセラエクスプレス」などの都市間高速列車が多く走っている。

ここシカゴも例外ではなく、ユニオン駅に発着する列車は、全米各地に向かう長距離列車ばかりだ。あとは郊外の都市まで運行されている通勤列車になる。




↑シカゴからミルウォーキーへのルート。 

ところが、アムトラックのホームページを調べていると見つけた。シカゴ発着の唯一の都市間列車がありました。
シカゴからウィスコンシン州のミルウォーキーまで1日7往復の列車が運転されている。所要時間は片道1時間29分だから日帰り旅行には手ごろな距離だ。

それで、シカゴ2日目は列車でミルウォーキーまで往復することに決めた。
しかも昔、サッポロビールのCMで『ミュンヘン・サッポロ・ミルウォーキー』なんてあったくらいでビールの町だ。
シカゴから日帰りでいっちょビールでも飲みに行くのもしゃれている。いいね。


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1958年に一世を風靡したサッポロビールの広告(サッポロビールHPより)。

そんなわけで今朝は早起きして7時にホテルを出る。列車の発車時刻は8:25なのでもっとゆっくりでもいいのだが、初めてだしチケットを買ったり駅の中を見たいので早めに出た。

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土曜朝のセルマック・チャイナタウン駅前。車も人も少なく静か。

セルマック=チャイナタウン駅の券売機で地下鉄の片道券を買う。今日はあと帰りにしか乗らないので1日券の必要は無い。地下鉄の片道料金は2.25ドルだがこれはカードを持っていて引き落としになる場合で、券売機でチケットを買うと3ドルになる。片道で3ドルは少々高い。

チップ用に1ドル札が欲しかったので20ドル札を券売機に入れた。ところがチケットは出てきたがお釣りは出ない。またボタンを押してみると最初の画面に戻ってしまった。残りの17ドルは?

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「No Cange」(お釣り無し)と表示された券売機(画像はユニオン駅の物)。

どうなったんだとあれこれいじって見るが、前の操作はリセットされてしまったようで残りの17ドルは消えてしまった。
改めて券売機を見ると、上の画面に「No Change」と繰り返し表示されている。どうもお釣りは出ない機械らしい。

いまさらどうにもならない。チックショー!釣りはチップだ、くれてやらあ!!とつぶやいて後にした。


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ユニオンステーションのコンコースは地下1階にある。

地下鉄のジャクソン=レッド駅からユニオン駅までは歩いて12〜13分くらい。
駅と言ってもコンコースやホームは全て地下にあるので、地上には地下鉄のような入口しかないし、駅前広場があるわけではないので場所はわかりにくい。

土曜日の朝だからか、コンコースは人が少ない。アメリカ第三の都市のターミナル駅とは思えないほど閑散としている。
地下にあるコンコースもチケット売り場、待合室、手荷物受取所などは見てわかるが、どこも意外と小さくて全体としてのイメージは日本の私鉄のターミナル駅といった風に見える。
中2階のようなところには飲食店のカウンターが並んだフードコートになっていた。


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クレジットカード専用の券売機。

まずは列車のチケットを買う。
オープンカウンターがずらりと並んだチケット売り場は、係員が2人だけで対応している。それでも各カウンターに1〜2組しか客が並んでいない。

横に券売機があったので、そっちでチケットを買う。
クレジットカード専用で、カードを読み取り口に抜き差しして、行先や枚数などをタッチして行けば簡単に買えた。
ミルウォーキーまでは片道24ドル、意外と安い。距離は約138kmなので日本の普通列車運賃並みの値段だ。

まだ時間があるのでフードコートに行ってみる。まだ半分くらいの店しか開店していない。マクドナルドがあったので入った。朝食に買って車内で食べようかと思った。

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シカゴ・ユニオン駅のフードコート。

海外でマクドナルドに入るのは初めてだ。朝食を買い求める客が何人か並んでいる。
私も並んでみる。注文はメニュー表の番号で言うようだ。ナンバー○といった風に。これは楽だ。


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列車時刻の電光掲示板。上は発車時刻で下は到着時刻。

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列車のホームへの入口。

コンコースあちこちに設置されている電光掲示の時刻表にはこれから乗る列車の表示も出ていた。

「331  Hiawatha  Milwaukee  NORTH  B17」

「331 Hiawatha Milwaukee」は331列車、ハイワサ号、ミルウォーキー行のこと。
「NORTH B17」はNORTH Bゲートの17番線から出るという意味である。

シカゴ・ユニオン駅では日本のように改札口こそ無いものの、ホームに勝手に出入りすることはできないようだ。
掲示板に表示されたSouthかNorthの2箇所あるうちの待合室に行き、アルファベット表示のゲートから係員の指示に従ってホームに向かわなければならない。


コンコースから直接ホームに入ることも可能な構造になっているが、直接ホームに行こうとしたら怒られた。

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列車に乗る前に一旦搭乗待合室のような部屋をで案内を待つことになる。

NORTH待合室のBゲートがこれから乗るハイワサ号の搭乗口になる。鉄道というより高速バス乗り場のような感じがする。
待合室は空席ばかり、Bゲートのあたりだけ人だかりができている。

8:10過ぎに案内があって、係員の指示でホームへと向かう。ゲートでチケットを見せるが係員はチラ見するだけだった。

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案内が始まるとぞろぞろとホームへ移動する。

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地下ホームに停まっているハイワサ号。ホームが低いせいか大きく見える。

他の乗客のあとに付いて行くとホームに停まっているハイワサ号が見えた。
ホームの幅は狭くて地下駅のため薄暗く、ディーゼルエンジンの排気がこもっているので駅というよりは車両工場という感じの構内だ。

客車は4両で、前後に機関車が付くスタイル。全席自由席のモノクラス編成で、日本で言えばローカル特急列車といったところ。

カゴ〜ミルウォーキー間の距離は約138kmで、ハイワサ号は途中停車駅3駅、1時間29分で結ぶ。
1日に7往復で2〜3時間に1本という運転間隔ではあまり便利ではない。

距離や所要時間は北海道の札幌〜旭川間が約137kmで特急スーパーカムイ号が1時間25分で結んでいるので、それと似ていると思った。

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車両工場のような感じのホーム。

開いているドアから乗って車内に入る。
ホームから見上げると大柄な車体だが、中に入ると天井や荷物棚が低く窮屈な感じに見える。座ってしまえば快適だ。

背面のテーブルを出して、さっき買ったマクドナルドの朝食を取り出した。


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車内は普通にリクライニングシートが並ぶ。


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車内で食べたマックのセット。手に持つのはハッシュドポテト。コーヒーもデカい。

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エッグマックマフィン。シカゴの朝マックといったところ。
列車は8:25になって定刻通り発車した。駅構内を出ると地上に出るが、すぐに踏切をいくつも通過する。
工場や倉庫の裏のようなところを通り抜ける。スプレーの落書きが多い。
夜など恐ろしそうな場所だ。


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駅を発車するといきなり踏切が現れる。

列車本数は少ないが、やたらと線路だけはたくさん敷かれていて、あっちこっちから線路が分岐したり合流したり交差したりする。貨物線として使われているのかもしれない。

複々線が合流してくるとここから本線になるのか、スピードがぐんと上がった。高いビルも無く郊外の住宅地のような景色が続く。

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シカゴを出てからしばらく多くの線路と並走する。

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最初の停車駅、グレンビュー駅。シカゴ近郊列車も発着する

車掌が回って来て検札がある。これも特にスタンプを押すでもなくチケットを見るだけだった。
チケットには乗車の列車名と時刻が印字してあって、この列車のみ有効だからだろうか。

車内は話し声も聞こえず、エンジンのついていない客車のため静か。
客層はビジネスや観光客風の人もいるが、ちょっとプライベートな用でという感じの人ばかり。ほとんどが一人客だった。


22分で最初の駅グレンビューに停まる。シカゴから約29km。シカゴからはメトラの近郊列車が走っているので乗り降りはほとんど無かった。

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ハイワサ号車内でスマホアプリのスピードゲージで測定する。

グレンビューを出てからの車窓もずっと都市近郊のような眺めが続くが、次第に人家も途切れてきて畑や雑木林が現れるようになった。
ミシガン湖に沿って北上しているのだが、線路はずっと内陸を通っているので湖を見ることはできない。ずっと平地で山地も無く、列車は快調に飛ばすが風景は単調で特に印象に残るものは無かった。

何キロくらいで走っているのかと思い、持っているスマホアプリのスピードゲージで測定してみると時速130km/hと出た。


ハイワサ号の車窓から。スターテバント駅到着前の映像。


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車窓の雑木林と昔ながらの電柱。

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雑木林が途切れたところは畑が広がる。

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2つ目のスターテバント駅はシカゴから約101km。ここはアムトラックのみ発着。

スターテバント駅からはウィスコンシン州になる。この駅の列車はアムトラックのハイワサ号のみ。下車客が何人かホームを歩いて行った。

そのつぎのミルウォーキーエアポート駅でも何人か降りるのが見えた。エアポート駅といっても公園の芝生の中にホームがあるような駅だが、空港まではバス連絡でもしているのか。

再び住宅地が現れると終点ミルウォーキーは近い。


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川越しに見えてきたミルウォーキーの街並み。もうすぐ終点。



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デッキの階段。ホームが低いので踏み台も置かれる。

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終点ミルウォーキー駅に到着。

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ミルウォーキー駅の駅舎。最近建て替えられたのか新し目だ。

アメリカではめずらしく(?)定刻通りに終点に着いた。
ミルウォーキーの駅舎はガラス張りの新しい建物だが、駅前は何もない。少し歩いたところがダウンタウンでメインストリートもあるのだが、駅にはそっぽを向いたような格好になっている。

ミルウォーキーに来たからにはビールを飲みたい。
この町にはビール工場がいくつかあって、各工場には見学コースがあって試飲もさせてくれる。

事前に調べてきたが、一番有名なMiller Coors(ミラークアーズ)の工場へ行こうとバスの時刻表などを印刷して持ってきていた。
工場の前まで行くバスはあるのだが本数が1時間に1本程度しか無く、バスの時間まで街中を歩いて時間をつぶす。


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整った街並みのミルウォーキーのダウンタウン。

ミルウォーキーはドイツ系移民が多く、そのせいか街並みも何となくドイツっぽく見える。
ドイツに行ったことがあるのでわかるが、整った街並みや清潔さがよく似ている。

ごみごみしたシカゴから来たせいか、緊張感が解けてこの町にいると安心感を覚えた。


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ミルウォーキー川の風景。

しかし、きれいな街並みとは裏腹に人があまりいない。人口60万人の都市だが、車もあまり走っていない。
土曜日の10時過ぎではまだ早すぎるのだろうか。

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しばらく歩き回って、バス停で待つ。乗るのは31番のバスだ。一応バス停には31の表示が出ているのでここで間違いはない。
だいぶ待ったが、11時ごろ31番のバスがやってきた。


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サード(3nd)ストリートというバス停。



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バスの車内。降車ボタンはないが、代わりに黄色い紐を引っ張る。

バスの料金は2.25ドル。前のドアから乗って乗車時に運転手横の料金箱に入れる。25セントとは半端な金額だが、25セント硬貨があるためだろう。クオーター(4分の1)とも呼ばれる。

降りるのは「State4401」という停留所。ありがたいことに車内には次の停留所が文字で表示される。地図を見ているとバスはそれらしいところに入って行く。ミラーの工場の中を通って、State4401の文字が出たので黄色い紐を引いた。これが降車合図になる。

バスが停まって降りたところがちょうどミラービール工場のビジターセンターだった。

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ミラービール工場のビジターセンターに着いた。

ビジターセンターの建物に入るとすぐに受付があって、「ブリュワリツアー」と言うと通じた。
IDの提示を求められるので、パスポートを見せる。
手首に紙の輪を付けられる。これが見学者の印になるのだろう。

次のツアーは11:30からと表示してある。ロビーで待つ人は10人くらい、日本人とわかる人も3人ほど見かけた。
隣にあったギフトショップを見ていると、団体さんが到着して結構な人数となった。

なお、ここの見学料は無料。これで最後にビールも何杯か飲ませてくれるのだからミラーさん太っ腹


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ツアー開始時間までは併設のギフトショップを見たり。

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団体のお客さんがやって来て結構な人数となった。

posted by pupupukaya at 14/12/29 | Comment(0) | 2014年アメリカ大陸横断鉄道旅行記
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