20年前の札幌南1条電車通り

今は2024年令和6年7月です。

今からちょうど20年前の2004(平成16)年7月の画像が出てきたのでつい見とれてしまいました。
この年は、私が今の名前で個人ホームページを立ち上げた年でしたな。

それはさておき、この当時の私は買ったばかりのデジカメを手にして、とにかく何でも撮りまくっていました。
そんな当時の画像を見ていると、20年という歳月の遠さを改めて実感します。

たかが20年、されど20年。
この電車通りも地味に変化しています。

この2004年当時、道を歩いていて、あるいは仕事先で撮りまくっていた画像のうち、南1条電車通りのものをピックアップしたものを紹介します。

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西4丁目停留場
停留場の向こうに4プラにパルコが並ぶ風景。

ここは札幌市電の終点であり始発であったので、市電の主力である山鼻西線の利用者が多く、停留場の乗車ホームはいつも乗客の長い列ができていたものです。

それにしても車道は車、車、車。
ここ西4丁目から西6丁目くらいまでの東向き車線はいつも渋滞していたのを思い出します。

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どこの窓から撮ったのかなあ。
まだ車止めが無かった頃の西4丁目停留場を上から見る。
画像中央にある路面のペイントは市電1条線のゼロキロポスト。

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これは大手町ビルのエントランスから撮ったものでしょうか。
当時この一角は古い建物がまだ残っていましたね。
真向いは梅澤時計店、その右側の時計がある建物は不動産屋が入っていたような気が。

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これも大手町ビルの前から西5丁目側を見たもの。

奥の茶色い建物はホテルオークラ札幌。
元々はホテルアルファ・サッポロとして開業したが、この画像の前年にオークラとなったものです。
地下に三越名画劇場なんてのもありましたな。

電車は西4丁目を発車した8502号ロッテ広告車。

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南1条西6丁目の交差点を行くすすきの行247号。
雑居ビルの看板に自転車、路駐車両とごちゃごちゃした街並み。
でも何だかこの頃のほうが活気は感じられます。
2024年の今は、ちょっと寂しい通りになってしまいました。

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同じ交差点のこちらは北側から。
この当時の南1条通りといえば、西4丁目を先頭に西6丁目か7丁目くらいまで常に渋滞していました。
渋滞の原因は、東向きの交通量に対して西4丁目交差点の青信号が短くてさばき切れなかったからでしょうか。

この当時、北大通(きたおおどおり)は創成側通りで終わりで通り抜けができず、東側へ行く車が南1条に集中していたのでしょう。
2010年頃に北大通の東西を通り抜けできる連絡線が開通すると、南1条の渋滞は解消されています。

市電はというと、路駐車両を避けるために軌道敷に幅寄せする車の脇を通り抜けることになります。
プーッと警笛を鳴らして車列の横をソロリソロリと電車が行く光景が日常茶飯事となっていました。

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253号タウンページ広告電車が行く電車通り。
多分仕事先の窓から撮影したもの。
渋滞している車の横をゆっくりと走る、運転手からすれば緊張する区間なのか、西8丁目を出ると椅子を畳んで立って運転する姿も見られました。

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西6丁目角といえばブックオフがありました。
仕事先から会社に戻る途中、よくここで漫画の立ち読みをしていたのは内緒の話 (^^;)

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その向かい側は東急ハンズ。
南1条電車通りといえば、昔ながらの商店や工場(こうば)が立ち並ぶ地味な通りでしたが、東急ハンズがオープンしてからは人通りも増え、ファーストフード店やカフェなんかも増え、一気に若者の街らしくなったものでした。

オープン当初は「電車通りのハンズです」なんて宣伝をしていましたね。
南1条電車通り文化(?)みたいな雰囲気のある一角でした。

2010年代頃になるとハンズの客足も遠のいて閑散とするようになりました。
郊外に大型ホームセンターができるようになると、わざわざ都心にある、しかも値段も高めのハンズへ行く必要もなくなったからでしょう。

2018年にハンズは電車通りの店を畳み、東急デパート内に移転オープンしています。
以降は南1条電車通りも寂しくなりました。

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東急ハンズ階段室の窓から撮影。
電車は243号。

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南1条西7丁目から東側を見ます。
この日は渋滞が西7丁目まで伸びていました。
白線からはみ出した車が停車していて、電車も止めてしまったようですね。

タラリラタラリ〜ン♪

って今だったらミュージックホーンだけど、この当時はあったかなあ。
ドライバーに言わせると、電車は後ろから忍び寄ってきて突然「プ〜〜!!」と警笛を鳴らされる存在であったようですが。

何だって?市電が渋滞の原因?

左側に路駐車両がびっしりでは、片側2車線になったとて大して変わらんでしょ。

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西7丁目といえば人形屋佐吉という店がありました。
平屋の小屋のような建物。黒地に能面を象ったイラストを配した看板は妙に目立つ存在でしたね。

この頃は前を通ってもいつもシャッターが下りている状態でした。
やっているんだかやっていないんだか謎の店。いろいろ噂もありましたが。
後にまた営業するようになり、2014年に閉店したんだとか(ググった情報)。

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西8丁目停留場までやって来ました。

交差点の西側にあるミラーガラス張りのビルは旧カブトデコム本社ビル。
バブルの遺産ともいえる建物ですが、竣工はバブル崩壊後の1993年なのだとか。
でも狭いところなのであまり目立たないね。

この西8丁目のランドマークは木造2階建ての後藤会館
1932(昭和7)年建築の年季の入った建物は、市電1条線を象徴する建物でもありました(筆者私見)。

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後藤会館隣にあった空知信用金庫が入居した川原ビルも解体され、今はタワーマンションが建っています。

その奥にも古そうな木造建築が見えていますが、食堂と理髪店だったような気がします。

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これは斜め向かいのビルから見た後藤会館。
札幌第2スカイビルから撮ったらしい。

古い木造建築はビル化が進む中で、ひときわ目立つ存在となっていました。
南1条通りは、20mから25mへの拡幅計画がある都市計画道路の1つ。
少しずつ札幌市による用地買収が進んで、古い建物が雑居ビルやオフィスビルへの建て替えが進んでた頃。

後藤会館のオーナーは、歴史ある建物を残したいと市の用地収用を拒んでいたようですが、2017年に火災に見舞われ解体を余儀なくされています。

月日の流れを感じてしまいますね。

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三吉神社の境内から撮ったもの。
ここだけは20年の歳月を経てもあまり変わりませんね。

奥を行く電車は252号フリスク広告車。
暑そうな日差しの中、一瞬涼しさがやってきたような光景。

そういえば地下鉄と市電は夏になると風鈴を下げていましたね。
冷房がない車内で涼感を演じていました。
これもいつの間にか無くなってしまいました。

まあ今は市電の方は冷房車がだいぶ増えたので必要もないのでしょうが。
相変わらず非冷房の地下鉄は・・・・

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西10丁目まで来ると都心を離れ、生活感ある光景も見られるようになりました。
市場のショッピング一条や中華屋が入居する興一ビル。
その奥は中央区役所前の停留場。

オフィスビルに雑居ビル、その中に混じって昭和の残滓が所どころに鎮座するのがこの頃の南1条電車通りでした。

あれから20年。

今では生活感も消え失せ、すっかりオフィス街となってしまった感があります。
2004年当時は主力だった市電の旧型車も今では少数派となり、いよいよ令和の時代なんだなあと実感します。

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 2024年7月の南1条西4丁目。

20年後の2044年はどのような街並みになっているのでしょうか。
今の私たちからすれば、もう変わりようがないでしょと思いがちですが、でも変わっているんでしょうね。

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。  

posted by pupupukaya at 24/07/20 | Comment(0) | 路面電車・トラム

リニューアルオープンした札幌市交通資料館へ

5月1日に新装オープンとなった札幌市交通資料館です。
2017年10月から地下鉄南北線の高架橋改修工事と資料館本館の新築工事のために休館となっていました。
その工事が完了し、約6年半ぶりの開館となりました。

行かなきゃなと思っていましたが、オープン直後はゴールデンウィークと重なるので混んでいただろうし、そろそろ落ち着いたかなと思える土曜日に訪れてみました。

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 天井が広い自衛隊前駅のコンコース。

交通資料館には駐車場がないので地下鉄で自衛隊前駅へ。
南北線の中島公園駅から南側に乗るのは何年振りかと考えてしまうほど地下鉄とは縁遠い私。
平岸を過ぎてから、急勾配を一気に登って地上のシェルター内に出る区間は何回乗っても楽しいものです。

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 新しくオープンした交通資料館。

自衛隊前駅を出て左側へ歩くと、新しくなった交通資料館が見えます。
前の資料館は、高架下のプレハブのような佇まいだったので見違えるように立派になりました。

2階建てですが資料館は1階だけで、2階は南北線乗務庁舎となっています。
入場が無料なのは以前と同じです。

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 ホールの展示コーナー。

さて、わくわくしながら入ってみます。
中はホールになっていて、入ってすぐのところが歴史コーナー。
そこはすっ飛ばして、目に入ったのが中央に鎮座しているレトロな電車。

この10形22号は、札幌に路面電車が開業した時に初めて走った電車。
1918(大正7)年の開業時に名古屋鉄道から購入し、1936(昭和11)年まで札幌の街を走っていました。

2013(平成25)年から愛知県犬山市にある博物館明治村の開村50周年記念事業として貸し出され、そちらで特別展示されていました。
去年(2023年)9月に明治村での展示が終了し、札幌に戻ってきました。

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 イメージチェンジした木造10形22号電車。

以前の交通資料館に展示していたのはオレンジ色の車体でしたけど、愛知県に行って戻ってきたら焦げ茶色になっていました。
返す時に元の塗色に戻してくれなかったのかとも思いましたが、調べたら以前のオレンジ色は1960(昭和35)年に復元されたときの塗色だったようです。

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 22号電車の車内。

この電車は乗車することもできて、木造の車内で腰かけてみれば大正時代のロマンに浸ることも・・・

考えたら、大正時代をリアルで知っている世代は100歳以上の方ということになります。
私など祖母が明治生まれだったし、親戚にも明治大正生まれがたくさんいたので、大正時代はそんなに遠い時代という感覚はないのですが。

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 22号の運転台から。

デッキと客室を仕切るドアはあるけれど、乗降口は扉がなく吹きさらし。
真冬になると運転手の寒さはどんなだったろうと思わせます。

運転台にあるのはモーターを制御するマスターコントローラー、右のハンドルは?
昔の電車はカーブではハンドルで曲がっていた?

いえ、これは車のハンドルと違ってブレーキです。
ハンドルをぐるぐる回すと車輪が締め付けられてブレーキがかかる仕組み。
電車のブレーキはエアブレーキが標準ですが、10形電車は空気圧縮機が装備される前の電車なので、ハンドルによる人力で電車を止めていたわけです。

私は知っているのでここで説明してしまいましたが、こういう説明書きも展示して欲しいところ。

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 昔使用されていた看板など。

22号電車の隣の壁面に展示しているのは、電停名の看板や駅や車両の部品など。
旧館の頃は各種乗車券や市電の系統図などがたくさんあったと記憶してますが、そういう展示物は見当たりません。

ウロウロと順不同に展示物を見ていると、歴史コーナーにあるディスプレイの下に引き出しがあり、そこがガラスケースになっていて切符や系統案内図がありました。

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 切符や市電路線図などの展示品は引き出しに。

何もこんな隠しアイテムみたいにしなくてもなあ。
こんなに広いんだから全部オープンにしてもいいんじゃないのかなあ。
それでも旧館にあった物のほんの一部だけ。

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 地下鉄南北線にあった第1号改札機。

今回オープンして新たに加わった展示物の1つは自動改札機。
地下鉄南北線開業と同時に使用された初代改札機です。
90年代初めくらいまで南北線の駅で見たような気がします。

きっぷを投入してみたくなりそうですが、説明書きを読むと稼働はしていないとわかります。

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 地下鉄大通駅の模型と運転シミュレーター。

今回のリニューアルオープンで一番の目玉はこれ、地下鉄の模型と運転シミュレーターです。
地下鉄大通駅を再現した模型があって、そのうち南北線の車両模型が運転できて、前方のモニターに映し出されるもの。

この手のコーナーは子供が主役。
常に子供連れ家族が使用している状態で、その列に加わって子供の中に割り込む勇気は私にはありません。

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 ぽつんと離れた東豊線のジオラマ。

だんだん来客者数も増えてきました。ほとんどが小さい子供連れの家族。
この手の施設は子供連ればかりというのは世界共通です。
あとは大きなお友達・・・
恥ずかしながら、私もその中の1人でありました。

そういえば旧館にあった、実際に使われていたマスコンとブレーキハンドルで模型の電車が運転できる市電のジオラマとか、東西線6000形実物大模型はどこへ行ったんでしょう。
広く明るくなった資料館ですが、肝心の展示物は少なくなってしまいました。
貴重品ということで、一般客の目に触れることができない場所に仕舞われてしまったのでしょうか。

地下鉄シミュレーターコーナーの奥は外への出入り口が2カ所あって、屋外展示場へと続いています。
そのうちの1つは資料館ホールから直接繋がっている展示場で、ここは目玉車両があると思いきや、現れたのはオレンジ色した地下鉄試験車の『すずかけ』。

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 高速電車第4次試験車すずかけ。

地下鉄南北線1000形車両の基礎となった試験車両で、そりゃ貴重な車両には違いはないけど、なんでこの車両を一番いい場所に?
そう思ったものの、この試験車は旧館時代からこの場所に展示されていて、たまたまこの横に新館が建設されたからこうなったのでしょう。

この場所には南北線の1000形車両を持ってきて欲しかったなあ。
ですが、試験車の低い部分には高架橋の梁ががっちりと張り出しており、車両を解体でもしない限り動かせそうもありませんね。

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 初代南北線の1000形車両。

で、肝心の1000形車両はというと、屋外展示場の一番奥にあります。
交通資料館の本館は立派な建物になりましたが、屋外展示場はあまり手は加えられていませんでした。

高架下なので直接雨や雪には当たりませんが、でも吹きさらしには変わりなく。
屋外展示場の方も、もう少し何とかならなかったんでしょうかね。
エンブレムの塗色が剥げてきて、所どころに錆も見えている1000形車両を見ていると可哀そうに見えます。

この1000形の展示場所は地盤が下げられ堀のようになっています。
地面を乗降ドアの高さに合わせたと思わせますが、一番の理由は地盤を下げないと車両の天井が高架橋につかえる為でしょう。

車体の屋根ギリギリに高架橋の梁が通っていて、どうやって入れたんだろと思うような場所です。
動かすだけでも大工事になってしまいそうです。

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 何度見てもインパクトのあるフォルム。

しかし1000形車両は何度見てもインパクトがあるなあ。
この電車が走っていた当時は当たり前のように思っていたけど、思い切ったパノラミックウインドウ、中央の大きな貫通扉に堂々と掲げられた札幌市章のエンブレム。

プロペラシャフトで車軸を駆動する独特の走行音や、コンクリート桁の細かい凹凸を拾い、またサスが固いので細かい上下振動が絶えなかったのを思い出します。

あとタイヤの関係でドア位置が片寄っているので、混雑時は乗り降りが大変でした。
地下鉄も、計画当初は市電の置き換えくらいの位置づけだったのでしょうが、地下鉄開業後は一気に大量輸送機関に躍り出ることとなりました。

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 市電車両の展示場。

こちらは市電車両の展示場。
高架下だが吹きさらしなのは変わらず。
一部は再塗装された車両もありますが、多くの車両は痛みが目立つのが残念です。

旧館の頃は多くの車両で車内も公開されていましたが、この日車内が公開されていたのは連結車のA800形だけでした。

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 2021年に引退したM100形101号電車。

今回のオープンで新たに仲間に加わったのはM100形101号電車。
2021年の引退・ラストランが記憶に新しい車両です。

元々はTc1形電車と連結して2両で運用していましたが、ワンマン化の際に切り離し、M101号は単行での運用となりました。
片割れのTc1形は廃車となり、交通記念館にやって来たわけです。

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 M101形とTc1形は柱越しの対面。

親子だったのに長らく生き別れ状態だった両電車。
M101形が廃車となり交通記念館に加わったのだから、片割れのTc1形と一緒にしてあげれば良かったのに。
残念ながら高架橋の柱に阻まれて離れ離れの恰好になってしまいました。
ですが、ここの高架下では狭くて2両連結にするのは無理そうです。

市電車両も、やはり塗装の色あせや錆が目立ちます。
屋根付きとはいえ、長年外気に晒されていると保存状態が良いとは言えませんね。
締め切りになった車両の内部を覗き込んでみると、長年の埃が積もり積もっている車両も。
せめて両側に壁でもと思うところですが、そこまで予算は取れないということなのでしょう。

明るく広くなった新資料館ですが、地下鉄シミュレーターとM101形電車以外は目新しい展示物はなく、むしろ旧館と比べて展示物が減ってしまったのは、個人的に正直がっかりです。
その展示物も説明書きが少なく、過去の資料をただ並べただけという感は否めません。

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 木造22号電車とフリースペース。

札幌市電だけでなく路面電車全般を知るコーナーがあれば。
もう少し未来志向で、例えば世界唯一の札幌方式地下鉄の技術の紹介などもあれば、もっとワクワクする施設になっていたことでしょう。

所詮は入場無料の施設なので、あまり期待するのも無理筋なのかも知れませんが。

新・交通資料館に限りませんが、この手の無料の文化施設を見学する度に思うのは、有料でもいいから展示物を充実して欲しいということです。
これじゃただのハコモノだなあ。

それとも同じハコモノ文化施設でも、芸術や美術館的なものには予算が下りるが、交通系となるとその下の下扱いになってしまうんでしょうかねえ。

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 バスの屋外展示場はまだ工事中。

旧館がオープンした昭和の時代は市電全盛期を知るOBが健在でしたし、建物内外の老朽化が隠せなくなっていた平成の晩年になっても、館内は札幌の市営交通を愛していた人たちの手作り感にあふれていたものでした。
建物は新しくピカピカになりましたが、そうした情熱を受け継ぐ人はいなかったのでしょう。

何だか化石の陳列館のように感じたのは私だけでしょうか・・・

30分ほどで一回りしたら見るものも無くなり、早いですが資料館を後にします。
また来ようと思えば地下鉄1本でいつでも来られますから。

資料館の駅側の高架下には、バスの屋外展示が見えますが、この場所はこれから整備が始まるようで中へは入れませんでした。

駅に向かう途中、交通資料館に向かう親子連れの姿が目立ちます。
入館無料で子供が喜び、かかる費用は地下鉄代くらいなので、親御さんにはありがたい施設なのでしょう。

有料でもいいから・・・・てのは私のような “鉄道オタク” 的な言い分という気もしてきます。

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 自衛隊前駅ホームから見える地下鉄の分岐器。

せっかく自衛隊前駅まで地下鉄でやって来たので、地下鉄知識的に是非見ておきたいのは、ホームの真駒内寄りから見える分岐器(ポイント)です。

新交通システムでもモノレールでも、分岐器が複雑になってしまうのがゴムタイヤ鉄道の宿命。
札幌の場合は、案内軌条と呼ばれる真ん中のレールを上下に動かすことで直線側と分岐側に切り替えています。
この分岐器自体はあちこちにありますが、ホームから近くで見ることができるのは自衛隊前駅だけ。
動いているところを見たければ夜の入庫時に来なければなりませんが。

こういうところも交通資料館で展示して欲しかったですね。
て言うか、交通資料館に行くよりもこの記事を読んだほうが勉強になりますな。
ナンチテ。

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 麻生行が到着(黄色い線の内側からの撮影です、念のため)。

そういえば今日地下鉄に乗って気づいたことがありました。

・ホームの自動放送が女声と男声になってる。
・虹と雪のバラードの到着メロディーがなくなっている。
・ホームに発車時刻の表示器がある。

前からそうだったかなあ。
私は年に数回しか地下鉄に乗ることがないので、最新の地下鉄状況がようわからんのです。

ちなみに札幌市交通資料館の旧館当時の記事はこちら ↓

  (2017/10/09)

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。 

posted by pupupukaya at 24/05/19 | Comment(0) | 路面電車・トラム

札幌市電の朝ラッシュを見て市電の今後を考える

札幌市電は11月の中旬から翌年4月初め頃まで、毎年冬ダイヤに移行します。
これは、雪が多い札幌では冬になると降雪や積雪による交通障害を見込んで、所要時間を多めに取る必要があるからです。

また冬になると、夏は徒歩や自転車で通勤していた人たちが市電通勤に切り替えるために、冬になると混雑するのが毎年のことになっています。

その中でも山鼻西線(以下“西線”と略します)は利用者が多く、特に朝ラッシュ時の外回り電車の混雑は相当なものです。

私も過去に5年間ほど西線沿線に住んでいたことがあって、毎日市電で通勤していたので実感としてわかっています。
西線9条や西線6条あたりでは乗り切れずに積み残し客が出るのが常態化していました。

沿線はここ十数年で新しいマンションが次々と立ち並び、沿線人口が増えて市電の乗客が増えるのは結構なことですが、増えた乗客の多くは朝夕のラッシュ時に集中することになりました。

西線の朝ラッシュでは、基本の循環便に加えて西線16条で折り返す便を加えて、外回りの西線16条〜西4丁目間では約3分間隔の運行となっています。

2019年2月から冬ダイヤのみ西線11条折り返しの便が2往復登場しています。
これは西線朝ラッシュの混雑が激しくなり、一部停留場での積み残しが酷くなったことから設けられた措置でした。

この増発便の効果は大きかったようで、以降冬ダイヤでは毎年登場するようになりました。

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 ↑ 札幌市電 標準時刻表(2023年11月16日改正冬ダイヤ)より引用。

以前は2往復ありましたが、今シーズンからはどういうわけか1往復となっています。
上表の8:03発赤文字電車がそれに当たります。

毎年設定されるくらいだから、西線のラッシュ緩和にはある程度効果を発揮しているのでしょう。

今日はそんな気になる、西線11条折り返し電車と、久々に見る西線の朝ラッシュを観察してみました。
2023年12月某平日のことです。


 ◆ 朝ラッシュピーク時の西線11条停留場

朝7時50分、西線11条停留場までやって来ました。
時刻表では48分発になる外回り循環が停車しています。

もう既に遅れているわけですけど、停留場に掲示の時刻表はあくまで標準時刻表なので目安でしかありません。
この時間帯は西4丁目までは3分間隔。
等間隔で運行していれば特に問題ないわけです。

車両は『アオアオ サッポロ』の広告を纏った8502号。
山鼻線から来た便なので、結構混んでいます。

外から見れば空いているつり革がいくつか見えるくらい。
車内は乗ってみればまだ余裕がありそうです。

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 7:51、外回り循環(8502号)発車。

交差点の信号が青になると8502号は発車。
同時に内回りの西線16条行も発車して通過して行きます。

ホームに残った乗客は9人。
これは積み残しではなく、車内に比較的余裕がある次の便を選んで乗るからでしょう。
前の便が発車したばかりですが、停留場の手前には次の便が近くまで来ています。

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 7:51、内回り西線16条行(241号)も発車。

今度は外回り西4丁目行8511号。
この電車は中央図書館前始発の便ですが、全員乗車しました。

それでも外から見ても西線11条の時点で結構な混み具合とわかります。
53分、信号が青になると発車。

同時に内回り西線16条行が発車します。
内回りは西線16条行が2便続行となります。
8時台以降のラッシュ輸送に備えてのことになります。

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 7:53、外回り西4丁目行(8511号)発車。内回り西線16条行(3303号)も発車。

一旦乗客が捌けたホームですが、歩行者信号が青になるとまた続々と乗客がやってきます。

次の電車は54分発外回り循環1109号。
1100形電車、通称シリウスと呼ばれる車両です。

車内に段差があったり、構造上デッドスペースが多かったりとラッシュ時の運用には難がありそうな車両ですが、朝ラッシュ時でも例外なく運用されています。

ちなみにこの1100形電車の定員は60人。
旧型車が100人、A1200形ポラリスが71人と比較すると、収容力が劣るのがわかります。

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 7:54、外回り循環(1109号)到着。

西線11条到着時点で車内には多くの乗客が見えました。
10人ほど乗り込んで発車します。

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 7:55、外回り循環(1109号)発車。

ホームに残った人は2人。
無理に乗り込まなくても、前の停留場を発車した次の電車が見えているので見送ったのでしょう

歩行者信号が青になると、また続々と乗客がやってきます。
ホームの人数は18人にまでなっていました。

続いて来たのが57分発外回り中央図書館前行3305号。
西線16条発の便なので、車内は十分余裕があります。

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 7:57、外回り中央図書館前行(3305号)到着。

ドアが開くと待っていた乗客が乗り込みますが、停車中にも横断歩道から続々と乗客が集まってきます。
車内も混雑してきたし、後から来た人は乗車を見合わせる人が多かったようです。

結局ホーム上に18人を残して発車しました。

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 7:58、外回り中央図書館前行(3305号)発車、内回り循環(1107号)も発車。

内回りの方は、内回り循環1107号に続いて西8丁目始発の西線11条行が到着します。

西8丁目始発となっていますが、実際は西4丁目で折り返しています。
これは西4丁目で折り返すと乗車ホームがなく客扱いができないため。

それはともかく、これが1日1便の西線11条折返しの電車です。

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 7:59、内回り西線11条行(251号)到着。

その間にも外回りのホームには乗客が続々と集まってきて、59分発外回り循環 211号が着く頃には23人にもなっていました。

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 7:59、外回り循環(211号)到着。

山鼻線から来た便なので、車内はすでに混んでいます。
それでも車内はまだ余裕があり、全員は無理でしょうが半分くらいは乗れそうな感じ。

しかしこの便に乗った人はあまりいなかった様子。
ホームに大勢の乗客を残したまま、211号は発車します。

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 8:00、外回り循環(211号)発車、西線11条終点(251号)は移動。

外回り循環211号は発車し、西線11条で折り返す251号は一旦停留場南側にある亘り線の向こうまで移動します。

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 ホームに残る大勢の乗客。

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 亘り線の先で停止する251号。

ホームの乗客たちの視点は、ここで折り返しになる電車に向かっています。
この電車だけが唯一座って行ける電車ということからか、西線11条からの乗客たちからは人気のようですね。

もっとも、座っても立っても、西4丁目まではわずか15分ほどの乗車ですが。

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 8:01、エンド交換して『内回り西4丁目』となる。

亘り線の先で停止して、行先表示機が『外回り西4丁目』に変わり、運転手が反対側に移動し、ヘッドライトが点灯し、動き出すまで50秒。
なかなかの早業で折り返します。

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 亘り線を通って転線。

亘り線のポイントはスプリングポイントといって、ばねの力で常に曲線側に開いているためにポイント操作が不要になっています。
西線11条で電車が降り返す光景は、冬ダイヤで平日朝の1日1回だけ。
レアな光景とも言えそうですね。

折り返した電車がホームに入る頃には、30人にもなっていました。
皆さんこの始発便を狙って家を出て来るのでしょうか。

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 8:02、西線11条始発となる内回り西4丁目行(251号)到着。

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 ホームからはみ出るまでに増えた乗客。

ドアが開くと乗客は吸い込まれるようにして車内へと入ってゆきます。
交差点の赤信号で発車を待つ間にも、次から次へと乗客がやって来て乗り込みます。

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 青信号になるまで発車を待つ。

外回り西4丁目行251号は始発の西線11条だけで40人以上が乗りました。
それでも車内は十分余裕があり、次の西線9条や西線6条でたくさん乗客がいても余裕で収容することができそうです。

ところでこの250形電車は単車の車両としては札幌市電最長の13.1mの車長があります。
定員も他の旧型車より10人多い110人。

ラッシュ時は詰込みが効く車両で、ぎゅうぎゅう詰めにすれば、130人は乗れるんじゃないでしょうか。
私が西線の乗客だった当時は、実際そのくらい乗っていましたけれどね。

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 8:04、外回り西4丁目行(251号)発車。内回り循環(214号)も発車。

今度は全員が乗車し、乗客は全員捌けた格好になります。
しかしこれで終わりではなく、朝のラッシュは8時半頃までは続きます。

7時50分からわずか15分間、外回り電車6便の一覧を下の表にまとめてみました。

観察した西線11条外回り電車一覧
時刻表実際時刻行先 備考
7:487:51循環 
7:517:53西4丁目  
7:547:55循環  
7:577:58図書館  
7:598:00循環  
8:038:04西4丁目 11条始発

平均運転間隔は約3分、西線11条から乗車する外回り6便への乗客の合計は、ざっくりと数えた結果ですが、約90人程度となりました。
輸送人員では地下鉄やJRとは比べ物になりませんが、路面電車としては立派なものです。


 ◆ 山鼻西線ラッシュ輸送の今後を考える

今年(2023年)11月に行われた冬ダイヤ改正では、朝ラッシュ時間帯に大きく変化がありました。
下に札幌市交通事業振興公社HPの『札幌市電 標準時刻表』から引用した夏冬時刻表を比較してみます。

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  ↑ 札幌市電 標準時刻表(2023年4月11日改正夏ダイヤ)より。

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 ↑ 札幌市電 標準時刻表(2023年11月16日改正冬ダイヤ)より。

上画像は、札幌市交通事業振興公社HPの『札幌市電 標準時刻表』からの引用になります。
夏冬ともに西線11条停留場平日外回りダイヤの抜粋です。

夏ダイヤと冬ダイヤを比べると、朝ラッシュ7時台の増発が目立ちます。
夏ダイヤ16本→冬ダイヤ20本と大幅な増加。

ちなみに、1時間当たり20本は、路面電車1系統あたりの本数としては、高知のとさでん交通と並んで全国トップになります。

逆に8時台は1本減って18本となりますが、これは8時50分以降の1便を整理したから。
7・8時台トータルでは、冬ダイヤのほうが3便増便となっています。

特に西線11条始発便を含む7時57分から8時09分までは、ほぼ2分間隔での運行となりました。
今ダイヤ改正は、ピーク時に最大の輸送量となるように調整したようで、色々苦心も見て取れます。

札幌市電は沿線にマンションが次々と建設され、沿線人口が増えていることから、朝ラッシュの通勤対策が今後の課題といえましょう。

最近は、ラッシュ輸送だけでなく日中でも混んでいるのが見受けられます。
コロナの行動制限で外出を控えていた高齢者が、再び外出するようになった傾向もあるようです。
コロナ5類移行以来、市電の乗客数も増加してコロナ前に戻った印象を受けます。

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 日中の利用客が戻ってきた札幌市電。西線6条停留場にて。

いや、統計を見ても実際に増えています。

たとえば 統計さっぽろ(月報)から今現在入手できる最新の札幌市電乗車人員を見てみましょう。

最新のデータが2023年9月のもので、1日当たり23,021人となっています。
コロナ前の2019年の同月1日当たりが22,831人なので、既にコロナ前を上回っていることになります。

下の表で2015年度から今年度までの、各年9月単月度の乗車人員を比較してみます。

札幌市電9月度1日当たり乗車人員
年月乗車人員備考
2015年9月20,451人ループ化前
2016年9月22,969人ループ化後
2017年9月22,602人 
2018年9月20,944人震災運休の為減
2019年9月22,831人 
2020年9月17,885人コロナ
2021年9月15,831人コロナ
2022年9月19,910人コロナ
2023年9月23,021人 
(札幌市統計書より筆者作成)

9月度のデータを比較しただけなので、今年のものは一時的に増えただけという可能性はありますが、札幌市電の利用者が増加傾向にあることは間違いないでしょう。

乗客数の増加を踏まえて、今後の課題があるとすればやはりラッシュ対策となります。

西線の都心に向かう朝ラッシュは相当な混雑ですが、逆に都心から郊外に向かう便は利用者が少なく、まるで回送電車のような便も多く見られます。

ラッシュ時の短い間隔での運行は、利用者からすれば便利なのですが、1台ごとに運転手が必要になります。
短い時間帯に多くの車両と乗務員を配置しなければならず、しかも反対方向はガラガラとあっては、非効率と言わざるを得ません。

これだけが原因ではないのでしょうが、札幌市電は混んでいる割には経営状態があまりよろしいとは言えないようで、来年(2024年)12月には200円→230円への値上げも予定されています。

また将来的には、乗務員不足ということも視野に入れてゆかねばなりません。
バス業界はすでに運転手不足から、路線の廃止や本数の減便が現実のものとなっています。

今のところ鉄道はそのような話は聞きませんが、いずれは鉄道でも避けては通れない話でしょう。

札幌市電も、ラッシュ輸送の効率化ということを考えなくてはなりません。

現在の2〜3分間隔は利用者からすると待たずに乗れるという便利さはありますが、本数が多いと後の電車が前の電車に追いついてしまうダンゴ運転というものが発生してしまいます。
同方向の電車が2台立て続けに走るのでは、別々の電車の意味がなくなりますね。

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 2台続行の電車が並んだ西4丁目停留場外回りホーム。

2分間隔で2台走らせるよりも、2台分収容できる車両を4分間隔で走らせた方が遥かに効率が良いわけです。
路面電車は、1編成当たりの乗客を増やすことができるのが、バスにはない強みでもあります。

札幌市電は旧型車の置き換えということで3連接車のA1200形ポラリスを導入しました。
しかしポラリスは製造に時間が掛かることと保守の複雑さから3編成のみで製造が中止され、以降は単車の1100形シリウスの増備になっています。

ですが今後は、ラッシュ輸送の効率化を考えると、再びポラリスのような大型の連接車の導入が必要なのではないかと思われます。

一方で、既存のワンマン運転で大型車を導入すると、料金収受のための車内の移動距離が長くなり、乗降時間が長くなるというデメリットがあります。

しかしこれも、宇都宮ライトレールや広島電鉄で実施しているICカード乗車券利用者に限り全扉から乗降できるという制度を採り入れれば解決するでしょう。
ラッシュ時とか、特定車両限定とすれば、利用者は通勤通学者がほとんどなので、定着すれば混乱はないと思います。

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 3連接定員160人の宇都宮ライトレールHU300形電車。

桑園や苗穂方面、あるいは新幹線札幌駅への延伸が期待されていた札幌市電ですが、残念ながら札幌市は延伸の事実上断念を決定しました。
また、コロナ下における利用者数の減少や、経費の増加から来年度の運賃値上げも報道されるなど、札幌市電も先細り感となってきました。

先細り感は市電だけでなく札幌市全体にも言えることで、人口増加は頭打ちになり、一部の区では人口減少傾向となっています。
市電とは関係ありませんが、秋元市長肝いりだった札幌冬季オリンピックも実質断念となりました。

その一方で、中央区の発展だけは止まらず、都心は再開発ビルの完成が相次いでいます。
中央区の人口も増加の一途。
地味に市電の乗客数も増えています。

また市電は、ここ数年来のドカ雪による交通障害の影響をほとんど受けなかったことも忘れてはなりませんね。

札幌市電沿線人口が増加していること、インバウンド等の観光利用増えていること、雪に強い。
そんなことから、今後も札幌市電の重要性は高まってゆくと思われます。

市電ファンとしては、延伸の断念を“断念する”ことを期待したいところですね。
特に2030年度開業予定の新幹線札幌駅への延伸は大いに期待したい。

最後に、いち札幌市民としては一発逆転狙いのような世界的イベント誘致よりも、地に足がついた市民生活向上の市政を望みたいところです。

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。  

posted by pupupukaya at 23/12/23 | Comment(0) | 路面電車・トラム

たまには札幌市電に乗ってみる

今年(2022年)の6月から週末や祝日で行われている『路面電車無料デー』。
今日は特に行くところもすることもないので、久しぶりに市電に乗ってきました。

この無料デー、タダで乗れること自体は結構なことでありますけど、無料デーの日は電車が混むのが良し悪し。
沿線の、特に通勤などで利用されている方々からすると却って迷惑という声もありそうですね。

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この無料デーは、コロナ禍で利用者が減少した公共交通機関の需要喚起のために札幌市が2022(令和4)年度予算を約16億円計上していたもの。
予算は市電だけでなく、バスにも割り当てられていましたが、バスの方は結局無料デーは実施することなく終わりそうです。

市電だけは実施出来たものの、これが今後の需要喚起にどうつなげてゆくかとか、無料デーを踏まえて休日の料金体系のありかたを検討するかとかいう話はさっぱり聞こえてきませんね。
無料デー実施しました、利用者増えました、バンザーイで終わってしまうとすれば残念なことです。

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自宅最寄りの中島公園通から市電に乗ると結構混んでいました。
それでも無料デー開始当初と違って、市内各地からわざわざ乗りに来た家族連れなんかはだいぶ少なくなりましたね。

西4丁目で降りて、しばらくマチをぶらぶらしたものの、特に行きたいところもなく。

西4丁目から戻りの電車に乗ってしまいました。
雪もちらついてきましたからね。

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無料デーなので料金箱には箱が被されて無料デーの張り紙があります。
この張り紙は運転手がいる方にしかなくて、反対側は何も表示されていなかった。
折り返すときはこの張り紙も持って反対側に移動するのかなと思ったものの、すぐにループ運転だったのを思い出しました。
片側だけで十分ということなのでしょう。

あと、通常は中乗り前降りですが、無料デーも中乗り前降りなのは変わらず。
運転手が下車客数をカウンターで計測しているからというのがありますが、混んでくると前ドアまで移動するのが大変なわけで、無料デーではどちらのドアからでも乗り降り可能にしてほしいところです。

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電車は石山通で降ります。
1年前にオープンしたコープさっぽろ やまはな店に行って見ようと思ったからです。

2階が無印良品になっている店で、一度行ってみたいと思っていましたが行けなかったのは駐車場が混んでいるから。
週末はいつも駐車待ちの車が溢れています。
せっかく市電が無料なので、今日は行ってみようというわけです。

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無印良品で買いたいものがあったのでちょうどよかった。
ここの2階は、窓に向かったカウンターがイートインコーナーになっていて、市電を眺めながら過ごすにはいい場所ですね。

昔20年近く前ですけれど、市電の電車事業所前近くに住んでいたことがあって、よくこのあたりに私は出没していました。
あの当時は、今は伊予製麺になっている角にプライス100という百均のスーパーがあって、安いからよく買い物していましたね。
電車通りは石山通から東光ストアまでがちょっとした商店街になっていて、そこそこ賑やかだった。

それがすっかり寂れてしまったものの、幌南小学校前停留場の近くにはショッピングセンターの南22条アクロスプラザが出来て、閉店したパチンコ屋の跡地にコープさっぽろが出来て、このあたりも住みやすくなったようです。

大東建託がアンケートを集計して発表している『街の幸福度 駅ランキング<北海道版>』によると、2022年版の第1位は札幌市電の中央図書館前なのだとか。

第2位がJRほしみ駅となっているあたり、どういう基準で選定しているんだろうかと思えますが(ほしみの人すんません)中央図書館前はその名の通り図書館があるし、藻岩山の麓だし、スーパーがいくつも出来て買い物は便利になったし、意外と静かだし、まあいい街なんじゃないでしょうか。

それに、今年2月の豪雪でバスは多くの路線で運休、JRは数日間も全面運休の憂き目となった中で、市電だけが通常運行していた唯一の地上交通機関でしたからね。

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こんどは石山通から内回りの市電に乗って帰ります。

各停留場にある『運行情報モニター』は電車がどこを走っているのかがひと目でわかる優れもの。
今石山通停留場に近づいている内回り電車は低床車両ということがわかります。

ところでこの低床電車の黒い電車アイコンには2種類あって、黒いアイコンに赤帯があるものと青帯があるものがあります。

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じつは赤帯がポラリス(A1200形)青帯がシリウス(1100形)なんですね。

スマホで見る『札幌市電Navi』でも、よく見るとわかりますよ。

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やってきた電車は、やはりポラリス A1202号でした。
ちなみに3両編成でクロスシートがあるのがポラリスで、ロングシートで前後の床が高くなっているのがシリウスね。

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今年も雪ミク電車が運行を始めました。
充当された車両は3302号。

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中島公園通停留場の風景。

市電山鼻線の通る西7丁目通りは、現在幅員20mを25mに拡幅する工事が行われています。
5年くらい前から南4条側から少しずつ行われ、完成した区間は見違えるほど立派になりました。
現在は東本願寺前から山鼻9条まで工事中。来年には完成するのではないでしょうか。

山鼻9条から中島公園通までの区間も拡幅のための立ち退きや建て替え工事が始まっており、来年あたりはこのあたりの風景もガラリと変わっていそうです。

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。 

posted by pupupukaya at 22/11/27 | Comment(0) | 路面電車・トラム

山鼻西線に出現した謎のS字カーブ

札幌市電は山鼻西線の外回り線路に妙な曲線が出現しました。
場所は西15丁目〜西線6条間。
この部分のアスファルトは黒々と新しく、最近設けられたもののようです。

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二条横断歩道橋の交差点カーブから電車事業所まで一直線に貫く山鼻西線の外回り線路に突如出現したS字カーブ。
上画像は西線6条方向を撮影したもの。

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S字カーブの西15丁目方向を撮影。
何やら複線の上下線間を広げる工事のようにも見受けられるが、何のため?

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S字カーブにやって来た外回り循環の3302号。

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カーブ手前で徐行して苦しそうに通過する。
この謎のカーブはなぜ出現したのでしょうか。

その解明のために、まずは下の画像をご覧いただきましょう。
二条横断歩道橋から西線6条方向を撮影したもの。撮影日は2018年8月。

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二条歩道橋から撮影した西線の線路をよ〜く見ると、カーブから電車事業所まで一直線と思いきや、西線6条でほんの少しだけ線路が曲がり、南2条に向けて少しずつ東側に寄っているのがわかります。

緩やか斜めになった線路は、南2条まで来ると南行き車線は車1台がやっと通行できるほどまでに幅寄せしていました。

下画像は2013年3月撮影。
冬になると雪山ができて車も軌道敷内を通行しなければならないほど狭くなっているのが分かります。

この妙な線形は何なのか。
西線は戦前まで単線で、複線化されたのは戦後のこと。
その名残でこうなったのでしょうか。

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で、下画像で2条歩道橋から山鼻西線の西線6条方向を望みます。
これで不思議なS字カーブの謎が解けましたね。

斜めになって幅寄せする線路を、道路の中央に寄せるための工事の途中なのでした。

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市電の路線は山鼻西線ですが、道路は『福住・桑園通』という都市計画道路。
この道路は幅員20mだったものを25mに拡幅する工事が始まっています。
その拡幅工事に合わせて、市電の線路も道路中央に移設する工事が行われているのでした。

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拡幅工事自体はまだ進捗中なので、それに合わせて軌道移設工事が行われるのでしょうか。
このS字カーブもそれに合わせて移動しそうです。
今は外回り線路が対象ですが、内回り線路も同じように工事が始まることでしょう。

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札幌市電の通る道路のうち、山鼻線の西7丁目通、山鼻西線の福住桑園通、1条線の南1条通りが幅員25mの拡幅対象となっており、用地買収や建物の建て替えはもう20年くらい前から始まっていたのだが、数年前から歩道の改修や電線の地中化を含めた工事が始まっています。

山鼻西線は南2条を過ぎたあたりまで完成したばかりですが、山鼻線の方は南9条近くまで完成しており、山鼻線の方が進捗は良いようです。
道路拡幅に伴った軌道移設工事や電停改修工事も同時に行われ、拡幅が完成した道路にある電停は見違えるように改修されました。

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こちらは2条横断歩道橋の下にあった工事看板。
来年の年明けまでの工事となるようです。

この工事看板、よく見ると『工事かわら版』なる工事請負会社が作成した読み物が貼ってありました。

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読むと、

“道路が拡幅され、道路の中心となるように、線路が西側に一番大きいところで約1m近くも移動します。”

とのこと。

ここは二条小学校の出入り口にあたる場所なので、小学生向けに表示されたものでしょう。
現場担当者の遊び心で作成したものなのでしょうか。
最後まで読むと、このかわら版は第2号も出るようです。

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2015年暮れに西4丁目〜すすきの間の都心線が開業して循環路線となりましたが、路線延伸はそこでひとまずストップしたようです。
しかし、都市計画による道路の拡幅工事は数年前から本格化し、それに伴う軌道改良工事や電停の改修などが進んでいます。
歩道も以前ならば狭くて、冬など除雪もままならない状態でしたが、拡幅工事が完成してからは随分と歩きやすくなりました。

この流れでさらなる延伸を期待したいところですが、2022年8月27日に北海道新聞,どうしん電子版に掲載された残念な記事。

 "札幌市電延伸「極めて困難」 市、大幅な収支悪化予想”
   2022/8/27 北海道新聞 どうしん電子版

”大幅な収支悪化が見込まれるほか、用地買収などに多くの時間と費用を要するため。事実上の延伸断念とみられる”
 (上記記事より一部引用)

札幌市電の延伸・ループ化が実現したのは、上田札幌前市長の情熱からだったと思われます。
それから引き継いだ現秋元市長は、事業化していた市電ループ化は引き継いだものの、以降の延伸までは公約に掲げてはいないようでした。

それでも細々と延伸に向けた調査は続いていたようですが、これで市電延伸の是非についてはひとまずの結論が出たようです。

今の市長の興味事は2030年度開業予定の北海道新幹線札幌駅再開発と、同年の冬季オリンピック誘致のようですね。

在来線駅や地下鉄駅から遠くなる新幹線札幌駅へのアクセスとして市電延伸という期待もあったようですが、その期待もこれで望み薄になったようです。
新幹線札幌駅と周辺再開発が完成した後にやっぱり市電を通しますなんてことになっても、ルートや工事方法など困難を極めることになります。

新幹線札幌駅へのアクセス交通をどうするかは、振出しに戻った感があります。

また上記の道新記事より、

“2030年度末の北海道新幹線札幌延伸を見据え、市電延伸と並行して検討している新公共交通システムの構築を進める。具体的には、人工知能(AI)を活用した予約制のデマンド交通や、環境に配慮した水素燃料車両の導入を検討する。”

まだ実用化は不明だけど、とりあえず近未来的な交通機関を並べてケムに巻いただけのように思えたのは筆者だけでしょうか。

残念ながら日本では、路面電車など車の邪魔で、赤字必須である鉄道など時代遅れなんて思想がまだまかり通っています。
(ていうか、単独黒字の鉄軌道系交通機関てどれだけあるんだろう)

話がだんだん脱線してきましたが、札幌市電はループ化後も地味に進化を続けています。

世界(特に欧米)の流れはやはり路面電車復権。
新たに新規路線が開業する都市も次々と増えています。
今日はそれを言いたかったということで・・・

 〜最後までお読みいただきありがとうございました。   

posted by pupupukaya at 22/08/30 | Comment(1) | 路面電車・トラム

札幌市電は本日無料デー

私は市電沿線に住んでいるが、身近にありながら意外と乗ることがない札幌市電。
なぜなら、通勤はもっぱら徒歩。週末のお出かけや買い物は車でという生活なので、市電に乗るのは月に数回くらいなんじゃないだろうか。

そんな札幌市電も今週土日は『路面電車無料デー』を実施するということで、せっかくだから市電に乗ってきました。

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新型コロナウイルス下で利用者が落ち込んだ市電の需要喚起のためということらしい。

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車内の運賃箱は蓋がされ、『路面電車無料デー』の貼り紙。
両替、乗車券の発売、乗継券の発行はしないとの放送が幾たびもなされる。

電車乗車は無料だが、乗り方はいつも通り中乗り前降り。
これは前扉から降りる乗客を運転手がカウントするためだそう。

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市電が無料なのと、よさこいソーラン祭りと重なって乗客はいつもより多い。
普段から乗客の多い西線は、朝ラッシュみたいな状態になっていた。

昔、西線にすんていた頃は毎日市電で通勤していた。
西線14条から毎朝市電に乗っていたよ、懐かしいな。

西線のラッシュは混んでいたね。
それでも朝は3分間隔だったので、1台乗り過ごしても次の電車が前の電停に見えていた。
9条や6条では積み残しも常態化していた。
運転手によっては前ドアからも乗せていたりしていた。

大変だったのが夕方の帰宅ラッシュ。
中央区役所前から満員。西15丁目では積み残しも出るほどだった。
朝と違って、次から次と来るわけじゃないからね。
乗る方も必死。冬なんて特にね。

これでもかってほどぎゅうぎゅうに詰め込んで、次の西線6条からは降車客が主。
今はSAPICAでピッだけど、当時は読み取りに時間がかかるウィズユーカードが主流。
11条や14条では降車客が多くて、信号2回待ちなんてこともあった。

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西線6条では積み残しも。
土日ダイヤでは、次の電車まで7〜8分待つことになる。
しかし次の電車はすぐにやってきた。
混雑で電車の運行間隔がいびつになっているようだ。

この後は電車事業所へ行ってみる。
たまにここを車で通るが、入庫線に当たる場所にササラ電車が何台も停まっているのを目にしていた。
夏の間は使わないササラ電車だが、入庫線を占領していたら電車の入庫はどうするんだろと思っていた。

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ずらりと並んだササラ電車。
オレンジ色とトラ縞模様。ササラ電車は5台あったんだね。

で、入庫線を占拠しているササラ電車の答えはこちら。

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入庫線と出庫線が統合されて、車庫の手前は単線になっていた。
入庫線だった線路は切られていた。

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電車事業所の車庫は建て替え工事中。入庫線にササラ電車が並んでいたのは、そのための措置だったのだろう。

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あまりの混雑のためか、午後からは臨時電車も運行されるようになった。

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中央図書館前行き臨時電車の243号。
フロントに『臨時』の札を掲げたのを期待したが、残念ながらそれはなかった。

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地下鉄の券売機にも無料デーの貼り紙が。
『市電乗継券の購入はしないようにお願いいたします』との注記があるが、文字も小さく買ってしまう人もいそう。

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西4丁目山鼻線方面のホームも大混雑。
こんな混みようは市電ループ化開業時以来のような気もする。

車内は小さな子供連れが目立ち、郊外からわざわざ乗りに来た乗客も多いようだった。
何で市電ばかりという声も聞こえてきそうだが、無料化でこれだけ人が集まったのは市電だからだろう。
バスで同じ事やっても、これだけの人が集まるのだろうか。

この無料デーは6月25、26日も決定していて、7月以降も実施予定なんだとか。
コロナで落ち込んだ需要回復のカンフル剤となるのか。
今後も行われる無料デー。

利用者増の実績があれば、市電延伸にもつながるのか。
こじつけ過ぎると思いつつ、ちょっと期待したいところであります。

posted by pupupukaya at 22/06/12 | Comment(0) | 路面電車・トラム

時刻表に無い函館市電の朝ラッシュ臨時便

函館の顔といえば何と言っても函館市電。

市民の足というより、ここ数年来は観光客に支えられていたと言ってもいいくらいで、まん延防止などで観光客が激減した今はどの電車もガラガラという見るに堪えない状況になっています。
函館市は人口が北側の郊外へ移動していることや、市電沿線の高齢化や人口減、函館駅前の商業施設撤退による求心力の低下などがあって、市電にとっては厳しい状況のように見えます。

コロナ前ならば、昼間は大勢の観光客でにぎわっていた函館駅前電停も、まん延防止期間中の今は電車を待つ人も少なく、すっかり寂しい状況になってしまいました。

そんな函館駅前と市電ですが、朝の短い時間だけラッシュがあって、またその時間に1本だけ時刻表に掲載の無い臨時電車が運行されているのでその様子を見てくることにしました。

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 7:31、前面に『函館駅前』と表示した3002号が接近。 

行先を『函館駅前』とした電車が松風町方向から来ました。系統番号を表示していないこの電車が臨時便ということになります。
函館駅着はまだ朝早すぎるせいか、さすがにガラガラですね。

また同じ頃、木古内発5882D(7:27着)で着いたと思われる人たちが続々と電停へ向かってきます。
その多くは函館駅前電停の五稜郭公園前方面のホームに列を作ります。

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 7:32、木古内発121Dからの人たちが続々と電停にやってくる。

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 7:32、3002号は函館駅前に到着して乗客を全員降ろす。

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 7:33、市役所前方向にある亘り線の奥に引上げる。

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 7:35、5系統湯の川行き3001号が先に到着。

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 7:35、5系統湯の川行き3001号が電停の乗客を乗せる。

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 7:36、臨時便3002号が転線し2系統湯の川行となる。
(表示はなぜか駒場車庫前になっている)

函館駅前折り返し便は、平日ダイヤの6:53分発湯の川行1本だけが時刻表で確認できますが、この時間にそんな電車の掲載はありません。
先の電車は折り返した後は実質2系統湯の川行の始発便となりますが、こちらは運用外の臨時電車。
毎日の利用者ならば見慣れた光景ですが、知らない利用者からしたら、こんな電車あったっけ?でしょうね。

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 7:37、3001号発車、前へ出て信号待ち。後ろ3002号は残りの乗客を乗せる。

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 7:38、3002号が発車し、2系統谷地頭行716号が到着。

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 7:39、谷地頭行716号にも学生を主に多数乗り込む。

DSCN5891.JPG
 7:40、3002号発車、前へ出て信号待ち。後ろに2系統湯の川行2602号接近。

JR函館駅から来る60人ほどが3台の電車に乗る7:35から40分までの5分間が函館駅前電停の朝ラッシュ最混雑時間でした。
乗客のほとんどは高校生で、通勤客はチラホラ混じる程度。
普通のオフィスならば通勤には早い時間だし、通勤となるとほとんどは車となるのでしょう。

同じ市電でも学生は少数派で沿線の通勤客が多勢、ラッシュピークも8時台という札幌市電とは対照的です。
函館駅前電停の利用客に限って言えば、函館市電は市民の足というより七飯町や北斗市からJRで来る人の足ということになりますね。

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 7:42、函館駅前交差点を曲がる2602号。

この後も森から来る5882D(7:47着)からのラッシュの様子を見てみます。
こちらは通勤客の割合が高く、下車客の流れも市電、バスターミナル、町へと分散するようでした。
函館駅前電停ホームの列も長くはならず、朝ラッシュのピークも既に終わったようです。

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 7:49、森発(砂原経由)5882Dの乗客が改札口から出てくる。

DSCN5910.JPG
 7:50、5882Dからの乗客は、電停へ、バスターミナルへ、町へと三手に分かれる。

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 7:57、5系統函館どっく前行723号が停車中。

7時半ごろから8時前までの30分間が函館駅前のラッシュアワーと言える時間帯でした。
前の電車に乗れそうでも走ったり赤信号無視する人もいなく、札幌市電と違ってのんびりとした朝の風景でした。

以下の画像は別な日に宿泊先のホテルから臨時電車を撮影したものです。

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 7:35、これは別の日に撮影した臨時電車720号。『増車』の札も掲げている。

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 前面表示が幕の電車は増車札も掲げるようだ。

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 7:37、亘り線を転線する720号。

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 7:37、大勢の乗客が待つ電停へ。

函館市電のホームページには時間帯と区間ごとの混雑率が掲載してあって、その表に『※7時台に臨時便を運行いたしました』との一文があるので、時刻表に無い函館駅前折り返しの電車のことなのだろう。


混雑状況のお知らせは毎週木曜日に更新されているようで、これをたどって行くと臨時電車は今のダイヤでの運行は令和3年12月6日実績から登場している。どうやら冬季間のみ運行のようです。
令和2年度(2020年度)は7時台、7時30分台の2本が設定されていました。
今年度は2本は必要ないとの判断から1本に減らされたのでしょうか。

昔は朝ラッシュ時に函館駅前折り返しの電車がもっとあったのですが、それが冬季のみ運行になり、いつしかなくなったようだ。

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 朝ラッシュ時に函館駅前折り返し便があった頃の時刻表。
 2010年、五稜郭公園前電停で筆者撮影。

今後もコロナ渦が続く限りは混雑率の緩和のために珍しい函館駅前折り返しの電車が見られるのでしょうが、それはそれで早く終わってほしいと思うところです。

 〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。

posted by pupupukaya at 22/03/21 | Comment(0) | 路面電車・トラム

2月22日 札幌市電とササラ電車

年明けから北海道をはじめ北日本は記録的な大雪が続いておりますが、2月になってからますます激しさを増しております。

今週も月曜日から低気圧が猛烈に発達して、暴風雪に見舞われた道内。
JRは昨日に続いて全線運休状態、バスも郊外を中心に多くの路線で運休となりました。
雪に強い市電ということで先月は、

 札幌市電は平常運行(2022年1月14日)

という記事にしてみましたが、2022年2月22日はまたも交通機関乱れまくりの吹雪の朝。
今日は電車通りを歩いてササラ電車を撮影しながら歩いてみましょう。

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画像は中島公園通電停の横断歩道から北方向
車道も狭くなって渋滞している西7丁目電車通り。
ここに電車が来るとどうなるかというと、警笛を鳴らす→車が避ける。
避けない車や大型車の場合は、その車が動くまで待つということになる。
(沿線市電利用者の経験)

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 札幌市電Naviのスクショを引用(2/22朝7:50)

札幌市電Naviという便利なものがあって、PCやスマホから市電の運行状況を見ることができるし、各停留場にもモニターが設置してある。
上画像は7時50分の札幌市電Navi。
内回り電車が石山通から東本願寺前まで1台も走っていないのがわかる。
どうやら石山通で止まっている模様。
後続の電車も追いついて、8時過ぎまで石山通で止まったままになってしまった。
交通量の多い国道230号線との交差点、雪が踏み固まってしまったのだろうか。

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こちらは中島公園通電停から南方向。
内回りの停留場は、来ない電車を待つ乗客が溜まってしまった。
石山通で止まっているので、まだあと10分以上は電車は来ない。

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東本願寺前に停車中の1103号、通称シリウス。
外回りは今のところ通常運行中のようだ。

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待ってました、ササラ電車22号。
ずっと止まっていた内回りの線路の雪を跳ね飛ばす。

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ササラ電車は2人乗務。
進行左側が運転席、右側がブルームの制御席となる。
左側運転席の旋回窓が物々しい。
これは新雪の除雪だと、雪がフロントガラスを覆うまでに舞い上がるので、ワイパーじゃ追いつかないからだ。

ササラ電車のおかげかは知らないが、ずっと石山通で止まっていた内回り電車も動き出したようだ。
さっき東本願寺前停留場で市電の運行情報モニターを見たら、ずっと石山通で停止していた電車がぞろぞろと動き出す様子を見ることができた。

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 東本願寺前停留場の運行情報モニター。

資生館小学校前で市電は右折するが、私は直進して南1条電車通りへ出ます。
南1条の手前で、トラ縞のササラ電車が横切って行った。
前はササラ電車と言えば黄色と黒のトラ縞模様だったけど、最近はオレンジに白帯の車両ばかり見かけるので、まだ現役だったのかと思った。

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ササラ電車は雪かきしながらゆっくり走る印象があるが、実はその足は意外と速く、サーっとあっという間に走り去ってしまう。
惜しいなあ、もうちょっと早ければ走ってるトラ縞ササラを撮影できたのだが。

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中央区役所前電停では電車が3台停車中。
交通信号によって走る市電は、しばしこういった続行運転になることがある。
いわゆるダンゴ運転というやつ。
2台続行というのは朝ラッシュ時ならばよく目にするが、3台続行というのはさすがに珍しい。
しかし今日のは様子がおかしかった。

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停留場をはみ出して停止しているのは3302号。
発進したら圧雪でスタックしたのか動けなくなった模様。
ここで運転打ち切りになるのか、乗客を降ろしていた。

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朝ラッシュ時の西線方向からは2〜3分間隔で電車がやってくる。
あっという間に後続の電車が詰まってしまった。
これは朝8時35分の状況。

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もうこれで運休かと思わせたが、10分ほどしたら札幌市電Navi上で、中央区役所前からぞろぞろと電車が動き出す様子を見ることができた。
その後電車マークが全部消えてしまい全線運休を思わせたが、これは札幌市電Naviの不調ということで、実際は運行していた模様。

2022022202.jpg
  札幌市電Naviのスクショを引用(2/22朝9:50)

今度は昼にまた電車通りへ。
雪は昨日から断続的に降り続いて、昼間でもササラ電車が走っていると思ったからだ。
電車通りに出るとさっそくササラ電車が走っていた。内回りの21号。

DSCN4394.JPG

軌道上はきれいに除雪されても歩道は上画像の状態。
この吹雪では歩く人も少なかった。
郊外じゃ幹線道路は大渋滞と聞くが、中央区の道路はいつもより交通量が少ないくらいだった。

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南2条の歩道橋でササラ電車を待ってみる。
また雪の降りが強くなって視界が悪くなる。
やって来たのは外回り3304号。

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反対側から来たのは内回り1203号通称ポラリス。
札幌市電Naviでは『現在、大雪のため電車の運行が乱れております』とテロップが流れているが、昼の時点では通常の利用に支障がない程度の運行には戻っている様子。
市電は基本的に時刻表を見てから家を出るような乗り物ではないので、等間隔で走っていればそれで良しだろう。

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内回りのササラ電車は行ったばかりなので、外回りに狙いを定めて待っていると、ここへ来て2本目の外回り電車3303号の後ろを追いかけるオレンジ色のササラ電車がやって来た。

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並走する車に雪をかけないように遠慮がちにブルームを回転させるササラ電車は迫力に欠けるが、昼間の運行だと仕方ないところ。

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それでもこの歩道橋からはいいアングル。20分も待った甲斐があったというもの。
欄干が写り込んだのはご愛敬ということで・・・
いつの間にか雪も止んでいた。

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二条歩道橋は市電がカーブしている場所にあって、直線が多い札幌市電の中では好アングルの撮影ができる数少ない場所でもある。
ところでこの歩道橋は二条小学校の前にあるのだが、今日は人が歩いた形跡は無し。
それもそのはずで、すぐ下に横断歩道があるのだからわざわざ面倒な歩道橋を使う人はいない。
札幌市は毎年歩道橋の撤去を進めており、この二条歩道橋もそのうち撤去の対象となる可能性は高い。
将来的にそうなると、このアングルからの撮影も不可能となる。

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歩道橋を下りてまた南1条通りに戻ると、さっき撮影した21号に追いついた。
今度は1条線を行くササラ電車を正面から。
(南1条西14丁目横断歩道から撮影)

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竹で作られたササラを束ねたブルームを高速回転させて線路上を除雪する。
この令和の時代にずいぶんと原始的な方法だが、車が雪を踏み固める併用軌道上の除雪方法は、これに勝るものは未だに出てきていない。

函館市電はササラ電車に代わってササラトラックによる除雪が主流になっている。
これはササラ電車と同じ構造のブルームをトラックに取り付けたもの。
見た目には無粋な気もするが、あちらは停車している電車を追い越して除雪できるのが大の利点。
電車だと、前の電車がスタックしたら後ろの電車はもうどうしようもなく、今朝の中央区役所前のような状態になってしまう。
今朝の立ち往生を見ると、札幌も1台くらい導入してもいいような気がする。

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発進して再び雪を舞い上げるササラ21号。
雪はこの後も降ったり止んだりの繰り返しだった。

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暗くなってもササラ電車は走り続け、今夜も一晩中走っていることだろう。

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夜には雪も小康状態となって、天候は回復へと向かっているようです。
しかし、昼間除雪を行なわない道路は、フラットな軌道敷に比べて車道はガタガタ。特に交差点が酷い。
上画像は中島公園通電停の交差点。波打つ路面を車も荒海の小舟のように通過して、時には車の底を擦る音も。
車にとっては苦労の1日でした。

JRは朝から全列車運休、夕方から手稲〜江別間で運行を再開したようですが、それ以外の路線は終日運休となりました。
バスは郊外路線は運休が相次いで、運行しても幹線道路では渋滞に阻まれてまともに運行できず状態。
新千歳空港発着の飛行機も今日は全便欠航、高速バスも空港連絡バスを含めて運休だったようです。

朝は通勤時間帯直撃のトラブルがあって電車が立ち往生という事態になりましたが、一時的なものですぐに解消しています。
こんな大雪でも市電だけは堂々と走り続けていた印象でした。
他の交通機関が軒並みダウンという状態で、ダイヤが乱れながらも走り続けた市電は今日も通常運行だったと言えるのではないでしょうか。

札幌市電が雪に強いのはササラ電車だけではなく、耐雪ブレーキとか・・・
おっと、こんな話まで始めたら終わらなくなってしまいますね。
今日はこの辺で・・・

 最後までお読みいただきましてありがとうございました。

posted by pupupukaya at 22/02/23 | Comment(0) | 路面電車・トラム
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