湯煙立つ夜明けの層雲峡温泉。
夜中に雨粒が車体に叩きつけるほど激しく降っていた雨だが、夜明けには上がっていた。
朝5時、ほぼ日の出と同時の目覚めだ。起きたらすぐに行動できるのが車中泊のメリットである。
外に出ると空は雲が低くたちこめ、寒い。
朝霧をまとった山々のふもとからあちこちから湯煙が立ち上り、山間の温泉街の情緒があふれている。
これはこれで悪くはないが、でも朝は晴れているほうがいい。
5時半に層雲峡駐車場を出発して39号線を昨日とは逆方向に走り上川駅へと向かう。この時間の交通量は少ない。すれ違う車はトラックが多い。
途中、道路の真ん中に撥ねられたエゾシカの死体が横たわっていた。
上川駅には6時前に着いた。ここから今回の旅行の目的の1つでもあった列車で遠軽まで往復してきた。
その記事はこちらにUPしています。興味があれば見てね。
9時半近く、再び上川駅に戻ってきたときは朝の雲は消えて青空になっていた。
ここからはサロマ湖を目指して一路遠軽へ。
石北本線の廃止になった駅を見ようと国道273号を北見峠に向かって走るが、対向車は1台もいない。それもそのはずで、無料の旭川紋別自動車道が開通してからは紋別に行くにも北見峠を越えるにも、そっちを通ればいいわけで、こんな遠回りの国道をわざわざ行くのは物好きな車しかいない。ましてや峠を越えるまで人家も1軒もないのだ。
途中工事で片側交互通行をやっていて、一応決まりごとのように警備員がいて旗振りをしていたが、1日に何台車が通るんだろう。
国道に残る「中越駅」の看板。
2001年に廃止された中越駅の廃駅。今でも保線作業員の休憩所として使用されているようだ。
最初は北見峠を越えて行くつもりだったが、行けども行けども無人地帯で1台の車とも会わないので気味が悪くなってきた。333号と273号との分かれ目まで来て、浮島ICがあったのでここから上の道路を通ることにした。
旭川紋別道は今までの道に比べて格段と走りやすく、車の通行量もそこそこあって安心する。
無人の山の中に無料の高速道路なんか作って税金の無駄遣いだという声も聞かれるが、道路ができる前は羊腸のような北見峠しかなかったので格段に便利になった。
高速道路は丸瀬布で終わり、ここから国道333号を行く。
遠軽は割と大きな町で、交通量がぐんと多くなる。
コープさっぽろの大きいスーパーがあったので買い物をする。買ったのは忘れてきた歯ブラシと歯磨き。
湧別町の道の駅かみゆうべつ温泉チューリップの湯に寄る。ここは旧名寄本線中湧別駅だったところで、駐車場の片隅に当時の駅ホームが保存されている。
国道から引っ込んだ目立たないところにあるためか閑散としている。たまに地元の年寄りが一風呂浴びに来るくらい。
ホームと車両の一部が保存されている中湧別駅跡。
中学を卒業した春休みに私は道内鉄道旅行でここを訪れている。ええ、もう二十ウン年前の話で、それ以来の再来になる。
あの日、湧別支線の1日2往復しかない列車に乗り換えのために中湧別駅に1時間20分滞在していた筈だ。
滞在中何をしていたのか思い出せないが、木の柱を組んだホームの屋根が印象的だった。
ここから湧別まで行ってそのあとどこまで行ったんだろうなあ。当時の時刻表を引っ張り出して記憶を辿れば思い出すかも知れないが、その必要もあるまい。
あのころは道内一周でも一生に一度のような大旅行の気がしていた。あれから20年以上、今は海外にも行くようになったし、人の姿も世の中も変わったよ。
名寄本線当時そのままの中湧別駅のホーム。二十数年前このホームから湧別行の列車に乗った。
乗り換え案内。名寄本線湧別支線と湧網線が分かれる分岐駅だった。
貨車の中にはタブレットの赤い機械が置いてあった。
次はサロマ湖に行くのだが、サロマ湖と一口に言っても道内最大の湖なのでサロマ湖のどこに行くかということを一応考えなければならない。
地図を見ればわかるがサロマ湖の特徴と言えばあの一直線に伸びた砂嘴だろう。
湧別からは道道湧別停車場サロマ湖線が北側の砂嘴に通じている。
道の駅から湧別までの線路跡は道路になっている。当時の列車に乗った気分で線路跡の道路を湧別まで走ったが、線路跡を思わせるものは何もなかった。
湧別のセイコーマートで弁当を買って車内で食べる。旅行中なのにコンビニ飯は寂しいが、このあたりに1人で入れるような店は無く、ここから先はさらに何もないところなので仕方がない。
サロマ砂嘴と知床連山。
湧別からサロマ砂嘴の町、登栄床(とえとこ)までは約12kmで車で10分ほど。車が行けるのは町を過ぎたキャンプ場の入口まで。10年前ならばここから歩いて砂嘴の突端まで行くのだろうが、さすがにそこまでの元気は出なかった。
サロマ砂嘴突端の町、登栄床からのサロマ湖。
登栄床からは湧別には戻らずに238号線へと向かう。標識に国道238号とあるほうへと来たのだが、途中で道を間違えたのか変なところに来てしまった。
「サンゴ岬」の看板があったので、まあいいや行ってみようとさらに進むと途中で道はダートの狭い道に変わった。対向車が来たらどうしようと思いつつ、引き返すこともできないのでさらに進むと車が3台くらい停めれそうな広場に出た。
吊り橋があって、脇には「北海道指定天然記念物 佐呂間湖畔鶴沼のアッケシソウ群落」の看板が立っている。これは面白そうなところへ来たようだ。
車を停めて吊り橋を渡ると一歩ごとに落ちるんじゃないかと思うほど大きく揺れて怖かった。
サロマ湖の鶴沼原生花園に架かる吊り橋。
歩くとユッサユッサ揺れる。
吊り橋を渡った先は少し赤づいたサンゴ草がびっしりと生えていた。厚岸や能取湖のは知っていたがサロマ湖にも生えているのは知らなかった。
橋の向こうは赤いサンゴ草(アッケシソウ)が広がる。
誰もいなくて静かだし、このまま夕暮れまでサロマ湖の風景を独占できたらいいなと思うが、どうしてかなこう飽きっぽいというかせっかちというか、景色など3分も見れば十分で早く次へ行きたいという性分が出てきて、早々に車に戻りダートの道を引き返した。
鶴沼までのサロマ湖沿いの狭い道。
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