石北本線上川発4621D乗車記


上川を朝6:16に発車する普通列車がある。
この列車は上川―白滝間の唯一の普通列車でもあって、いったいどんな人が利用しているのかずっと気になっていた。

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朝6時の上川駅。旭川行始発列車の客が姿を見せ始める。

2013年9月最初の月曜日、4621Dに乗るために早朝の上川駅まで来た。5:54に旭川から5両編成の回送列車が1番ホームに入ってきた。列車は前3両と後ろ2両に切り離され、後ろ2両は旭川行4520Dとして、前3両は網走行4621Dとしてそれぞれの始発列車となる。

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到着後切り離される列車。

8時まで駅員は不在で窓口も閉ざされている。改札口のところに、網走行と旭川行は1番ホームから発車する旨の掲示があった。

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観光駅らしくきれいな待合室。

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改札口の旭川行と網走行の説明。

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旭川行のサボ

6:05を過ぎたあたりから徒歩で、自転車で、親の運転する車で駅に1人2人と集まってくる。皆6:11発旭川行の始発列車の客でほとんどが制服姿の高校生だ。この列車の旭川着は7:15だからずいぶんと早い。
6:11に2両の列車は10人ほどの通勤通学客を乗せて定刻に発車していった。

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旭川行4520Dが一足先に発車する。

残った3両は6:16発網走行普通列車である。
上川―白滝間の普通列車は1日1往復しか走っていない。そのうちの下りの列車がこの4621Dで、上川6:16発、遠軽着7:52。時刻から分かるとおり遠軽への通学列車である。
それにしても3両編成とは輸送力過剰といえる編成だが、この列車は旭川運転所から北見地区への回送を兼ねているためだそうだ。

さて、旭川行を見送った私は4621Dの客となる。乗車券は昨日上川駅で買っておいた。3両編成の列車は先頭がキハ40、2両目がキハ54、3両目がキハ40という編成で、後ろの3両目は締切になっていた。
側面のサボ受けはカラのままで、車内外に網走行の表示は何も無いので旭川行と誤って乗ってしまう可能性は無いとは言えない。

夏休みシーズンであれば物好きな鉄道ファンが乗っているのだろうが、休みも終わった平日とあって乗客は私一人。普段は毎日乗客ゼロで上川を発車しているのだろう。

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回送列車を1両増結のため3両編成。

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2両目はなぜか宗谷北線用のキハ54が連結されていた。

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サボは無し。そのうち本当に回送列車になってしまうかも。

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ワンマン列車なのでドア扱いは先頭のみ。

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1両目キハ40の車内。

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2両目キハ54は転換クロスシートが並ぶ。

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3両目は締切り。


上川を発車するとワンマンの自動放送で「ピンポーン♪つぎは上白滝です」と流れるのがちょっと可笑しかった。次の上白滝までは34kmあって48分かけて走るのである。
上川―上白滝駅間距離は日本で2番目で、ちなみに1番目は石勝線の新夕張―占冠の34.3kmだがあっちは特急しか通らない。普通列車としては日本最長の駅間距離になる。

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旧天幕駅付近は廃屋が点在する。

かつては途中に天幕、中越、奥白滝の駅があったが、2001年に中越、奥白滝は信号場に格下げ、天幕は廃止されている。いずれも過疎で無人地帯になり利用者が皆無のためであったが、現在の1往復体制になったのは国鉄最後ダイヤ改正の昭和61年11月からで、それ以前からすでに沿線は無人になっていたようだ。

旧天幕駅手前あたりまでは畑もあって開けていたが、だんだん留辺志部川の谷が狭まってくる。人家も全く見なくなる。

並行する国道273号線を走る車も全く無い。国道450号旭川紋別道が道央自動車道の比布から丸瀬布まで開通した今では、わざわざ旧道を通るのはよっぽど物好きな車くらいだろう。

6:32中越信号場を通過する。ホームは撤去されているが、木造駅舎は残っている。側線に保線作業車が1台停まっていた。

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中越信号場を通過。

中越を通過するとここから北見峠越えの25パーミルの坂を登る。エンジンを唸らせながら歩くような速度になった。運転台の速度計を見ると20km/h以下まで落ちていた。

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15km/hあたりを指す速度計。

途中で鹿の群れが線路を走って逃げるのが見え、列車は警笛を鳴らしながらさらに速度を落とす。
鹿がいなくなると速度も40km/h近くまで回復した。

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画像中央付近に逃げて行く鹿が3頭見える。

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旧道と化した国道273号と旭川紋別道の高架橋。

留辺志部川の谷はさらに狭くなって、旭川紋別道の立派な橋脚も目に付くようになる。並行する国道の旧道は北見峠越えの333号だが、北大雪トンネルが開通した今は既にトンネル不通時のう回路としての役割しかない。

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スノーシェルターに覆われた上越信号場。

6:50標高634mにある上越信号場を通過すると石北トンネルに入る。


長さ4350m、時間にして5分ほどの通過だが長いトンネルに感じた。石北トンネルを出ると今度は25パーミルの下り坂になってすごいスピードに感じたが、速度計を見ると75km/hを指していた。

トンネルを抜けると曇天の上川側とは違って青空が広がる空になった。さっきまでは日本海側の気候だがこちらはオホーツク海側の気候になる。

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奥白滝信号場を通過

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ここもホームは撤去されたが駅時代の木造駅舎が残っている。

奥白滝信号場を通過。このあたりから湧別川の谷が開けてくる。畑や人家も見かけるようになった。

上川駅を発車して延々と走ること48分、ようやく最初の駅、7:04定刻に上白滝に着いた。ここからは遠軽町になる。

上白滝から乗客が1人乗ってきた。高齢の女性で、ちょっとよそ行きっぽい服装なので病院通いだろうか。
それにしても上白滝駅にとっては1日1本の貴重な列車で、これに乗り遅れたら翌日まで待たなければならないから大変だ。帰りも上り列車が17:08発なので遠軽の病院へ行って買い物しても時間を持て余す。

通学生の乗車が無いということは、すでに上白滝駅の乗車人員は1名以下ということだろう。木造駅舎は荒れているという程でないにしろかなりくたびれている。ホームも一面草だらけだ。

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廃屋のような上白滝から乗客が1人。

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この次の列車は17:08発上り旭川行。下り列車は明日まで停車しない。


上白滝で地元の乗客が1名あって車内は自分含め2人のみ。
つぎの白滝は白滝村の中心だったところで、合併によって遠軽町の一部となったが、特急オホーツク2往復のほか快速きたみも停車する。遠軽からも白滝までの普通列車が3往復運転されている。

さすがに旧村の中心部だけあって通学高校生の乗車が多数あった。
数えてみたら17名の乗車だった。
上川からはずっと回送列車然だったがここから通学列車となる。

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なぜか3番ホームに発着する。白滝駅ホームには通学生が多数まっていた。

少しは騒がしいのかと思ったら彼らはスマホに夢中になっているか寝ているかのどっちかで、車内は静かだ。

つぎは旧白滝で乗車は女子高校生の1名のみ。そのつぎの下白滝は乗降ゼロだった。この2駅の下り普通列車は4621D1本のみなので、この列車の乗降が無いということは日常の利用客はほぼ0人ということになる。

特急に乗っていると気が付かないが峠越えを挟む上川―遠軽間は超ローカル線というかある意味秘境路線でもある。

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乗降ゼロの下白滝駅。上白滝駅にも負けていない。

丸瀬布も旧丸瀬布町の中心だったところ。ここも合併で遠軽町になった。さすがに旧町だけあって乗客も白滝より多い。高校生だけでなく一般客の姿も見られた。通勤なのか用務なのかはわからないが、少し車内が都会ぽくなった。

丸瀬布で乗ってきたのは25人くらい。2両の座席にそれぞれ散らばって全員着席乗車だ。回送列車が無ければ1両で十分なほどの乗車率だが。

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すっかり通学列車となった車内。

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2両目のキハ54.座席はこちらのほうが良いが、よそ行きのような雰囲気。


つぎの瀬戸瀬駅のホームも草だらけだったが、そんなホームに2名の高校生が立っていて到着すると乗り込んだ。

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瀬戸瀬でも乗客はたった2人。幼なじみだろうか。遠軽までは一と駅の汽車通学。

つぎの遠軽までは11kmあって、列車は今までの最高85km/hで快調に走る。
この間に新栄野駅があったが2006年に廃止されている。また、丸瀬布と瀬戸瀬の間には伊奈牛駅があったが1990年に廃止になっている。

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瞰望岩が見えると遠軽到着は近い

7:52遠軽駅3番ホームに到着。網走行だがここで全員下車して改札口へと向かう。上白滝のおばさんも遠軽で降りた。
隣の2番ホームには生田原からの列車が1両一足先に到着していた。

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遠軽に到着。ここで全員が下車した。

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遠軽からはサボが付けられる。

この列車は48分停車して前1両を切り離し、4621Dから4659Dと列車番号が変えて網走へと向かうが、さすがにこんなのんびりとした列車に乗り続ける人はいないらしい。

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朝8時前後はしばし賑やかな駅となる。

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遠軽駅は風格の木造駅舎。

短い夏もおわり、山間部の沿線では早くも秋の気配も漂い始めていた。3年生ならば進路を真剣に悩んでいることだろう。卒業後彼らの多くはこの地を離れることになるのだろう。

4621Dの乗客たちとともに改札口を出ると、この時間の遠軽駅は慌ただしく、今度は札幌行特急オホーツク2号の改札が始まった。




おわり
posted by pupupukaya at 13/09/14 | Comment(0) | 北海道ローカル線考
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