◆ 宇奈月温泉 11:40発 → 寺田 13:06着【本線・普通】
富山県は政令指定都市を持たない地方としては日本有数の私鉄王国で、富山を中心に各方面に路線を伸ばす富山地方鉄道は鉄道線と市内線を合わせて108.4kmもの路線を持っています。
うち市内線直通の富山港線を除く鉄道線の延長キロは93.2km。
これは大手私鉄や三セクを除いた地方私鉄のなかでは最長となっています。
だけど、それだけローカル線を多く抱えるということにもなるわけで。
最近はニュースなどで、経営的にはあまりよろしくないという話が色々と伝わってきています。
今回旅行の目的の1番目は黒部峡谷鉄道に乗ることでしたが、2番目の目的は富山地方鉄道(地鉄電車)を乗りつぶそうというもの。
富山地方鉄道の路線案内(地鉄電車時刻表より引用)
今日の乗継のルートは以下のようになります。
@ 宇奈月温泉→(本線)→寺田
A 寺田→(立山線)→立山
B 立山→(立山線)→岩峅寺
C 岩峅寺→(不二越・上滝線)→電鉄富山
寺田と岩峅寺での接続が意外と良く、サクサクと捗る行程となりました。
この地鉄電車を乗りつぶそうと思った理由は、この地鉄電車のうち一部区間を廃止するという報道がされており、まだ100%決定ではないけれど沿線自治体の意向いかんでは来年(2026年)にも廃止されてしまうことになります。
もしかしたらこれが乗り納めになるかも知れない。
そう思ったことから地鉄電車の乗りつぶしとしました。
というわけで、スマホに表示する1日フリーきっぷを持って、宇奈月温泉駅からスタートとなります。
宇奈月温泉駅で発車を待つ電鉄富山行き普通電車。
宇奈月温泉発電鉄富山行き普通電車は2両編成。
14760形という富山地鉄オリジナルの車両で、製造初年は1979年。
車内は2扉転換クロスシートと一部ロングシートというつくりで、当時としては大変贅沢だったろうと思わせます。
関西私鉄の影響なのか、国鉄(当時)との対抗策なのかわかりませんが、車両だけは昔の関西私鉄のイメージでした。
10分前に改札が始まり、すでに入線している電車に乗車します。
行きに着いた時と同じくらいの乗車率。
だけど、発車時刻が近づくにつれて次々と乗客が現われて、半分くらいの座席が埋まりました。
これは宇奈月10時59分着のトロッコ電車からの乗客でしょう。
2両合わせて40〜50人てところ。
観光アクセス電車の面目は何とか保っているといったところです。
宇奈月温泉行特急と交換。舌山駅。
途中の舌山では交換待ち。
しばらくすると方向幕に『特急』の表示を掲げた電車が通過して行きました。
向こうもこちらと同じような乗車率に見えました。
この特急は以前は電鉄富山〜宇奈月温泉間の運転で、特急『うなづき』を名乗っていましたが、去年(2024年)春のダイヤ改正から運転区間が電鉄黒部〜宇奈月温泉間に短縮されました。
直通客が激減したからという理由からでしょう。
運転区間が電鉄黒部〜宇奈月温泉なのは、新幹線接続駅である新黒部駅が単線なので折り返しができないからだと思われます。
新黒部駅で下車する宇奈月温泉からの観光客。
さて、宇奈月温泉から半分くらいの座席が埋まるほどの乗客を乗せた電車ですが、新黒部に到着するとほとんどの乗客が席を立ち、車内に残ったのは数人だけという有様になってしまいました。
前述の通り、富山〜宇奈月温泉間では、新幹線乗換えの方が地鉄電車1本で行くより20円安くなり、所要時間も大幅に短縮となります。
こうなると電鉄富山まで乗り通す人は余程の物好きか、乗り換えを嫌う人くらいなものでしょう。
私は立山線に乗り換えるために寺田まで行くので、このまま乗車します。
もうすっかりガラガラになり、観光路線ではなくただのローカル線という感じになってしまいました。
新魚津駅で宇奈月温泉行と交換。
新魚津はあいの風とやま鉄道(旧北陸本線)の魚津駅と一緒の駅で接続駅になっています。
ここで数少ない乗客がさらに降りて、この車内に残ったのは私入れて7人。
交換待ちで入って来た宇奈月温泉行はさらにガラガラで、1両に3〜4人くらいの姿しか見えませんでした。
魚津〜富山間の両線の比較をすると、地鉄電車ならば所要55分〜1時間程度で900円、あいの風とやま鉄道ならば所要25分程度で600円。
これでは所要時間でも運賃でも全く勝負にもなりませんね。
これを反映してか、今年春のダイヤ改正で本線の上市〜滑川〜新魚津間の昼間時間帯の運転本数は1時間に1本から2時間に1本に減便されています。
地鉄電車としては、細々としたローカル輸送に徹するしかなくなってしまったのでしょう。
あいの風とやま鉄道の電車とすれ違う。
新魚津から滑川(なめりかわ)までは、あいの風とやま鉄道と並行する区間となります。
あちらは複線で交流電化路線。
並行していても、この区間は駅の数や場所が異なっていて、特急が優先だったJR北陸本線だった頃はそれなりに棲み分けが出来ていたのでしょうね。
北陸新幹線が開業して三セクのあいの風とやま鉄道となると特急列車がなくなり、普通列車が増発されました。
それが、地鉄にとっては少ない乗客がさらに奪われてしまった格好。
今走っている滑川〜新魚津間は廃止に向けた手続きが行われており、自治体からの支援が無ければ2026年11月限りで廃止ということになっています。
残される新魚津〜宇奈月温泉間については、今のところ廃止検討という段階のようです。
ですが、滑川〜新魚津間が廃止されると、孤立した車両基地を持たない路線になってしまいます。
この区間も自動的に廃止になる可能性は、かなり高いですね。
ワンチャンあいの風とやま鉄道経由で車両を送り込むことも考えられますが、可能なのかはわかりません。
寺田駅は立山線乗換え駅。
滑川から乗客が増え始め、中滑川を出るとあいの風とやま鉄道と別れてスイッチバックがある上市へ。
上市駅からは電車の本数が倍になり乗客も増え、ここからは富山の近郊電車らしい雰囲気になってきました。
◆ 寺田 13:09発 → 立山 13:57着 【立山線・普通】
宇奈月温泉から乗ること1時間26分、寺田で下車します。
なお、宇奈月温泉からここまで乗り通したのは私だけのようでした。
寺田駅には立山行きの電車が先に入っていました。
構内踏切を渡って乗り換えます。
電車はラッピングされていますが、さっき乗っていたのと同じ型の車両です。
寺田駅で接続する立山行き普通電車。
転換クロスシートが並ぶ車内。ガラガラ。
立山線の電車はすべて電鉄富山まで乗り入れており、この電車も電鉄富山が始発です。
しかし見事なまでにガラガラ。
乗客は地元のお年寄りが多いといった顔ぶれ。
欧米系の老夫婦が唯一の観光客といった感じでした。
不二越・上滝線が分岐する岩峅寺駅。電車後面から。
途中の岩峅寺(いわくらじ)では、電鉄富山からの不二越・上滝線と合流します。
向こうから立山方面に直通する電車はないので、合流する線路は錆びていました。
この岩峅寺から立山までの区間は、経営が厳しい区間の1つ。
立山と言えば年間80万人からの観光客が訪れる立山黒部アルペンルートの玄関口でありますが、ここも2026年11月廃止に向けて廃止の手続きが行われています。
またアルペンルートが冬仕舞いとなる今年の12月から来年の4月までは大幅に減便となることが決まっており、立山線の電車は10時台から14時台までの電車はすべて岩峅寺止まりとなります。
岩峅寺〜立山間の乗客が、観光客と通学客以外の乗客がほとんどいないことを物語ります。
立山線のか細い線路。
しばらくは田園風景の中を走りますが、次第に山岳路線らしくなってきます。
常願寺川の谷間に沿って電車は走ります。
ただ電車に乗るだけでも車窓が美しい風光明媚な路線ですが、電車の後面から線路を見ると何ともか細い線路。
もし廃止となったら、あっという間に自然に還ってしまいそう。
立山黒部アルペンルートの玄関口、立山駅に到着。
コンクリート打ちっぱなしの柱や壁を見て、終点の立山駅は地下駅なのかと思いましたが、ホームの上には立山ケーブルカーの駅となっていたので橋上駅なのでした。
だけど改札口とコンコースはホームと同じ平面にあるという変わった構造の駅。
立山着は13時57分。
ホームの向かいには14時00分発電鉄富山行きが発車を待っています。
ただの乗り潰しならばこれに乗って戻るところですが、立山ではちょっと行きたいところがあったので、これの1時間後の電車で戻ることにします。
富山県 立山カルデラ砂防博物館。
駅を出て向かったのが、立山カルデラ砂防博物館。
・・ではなくこの建物の裏手にあるもの。
裏手の遊歩道を歩いて小さなトンネルを出た場所にあるのがこちら ↓
砂防博物館裏手にあるトロッコ展示レーン。
立山にもトロッコ鉄道があるんです。
といっても、こちらは100%事業用で、一般の人が乗ることはできません。
正式名称は、国土交通省立山砂防工事専用軌道。
これを見つけたのは国土地理院の地形図を眺めていたとき。
常願寺川の谷を、いくつものスイッチバックを繰り返しながら登る軌道は何のためにあるのだろうか。
今どきこんな鉄道があるのかと思っていました。
トロッコ車両は車内に入ることもできる。
これに乗車したければ、立山カルデラ砂防体験学習会というものに申し込んで当選する必要があるようです。
札幌からじゃちょっと難しそう。
屋外展示している車両は車内も解放されているので、実際に乗っている気分に浸ることはできます。
この軌道を実際に見ることが出来て、車内に入って運転している気分になることもできて、まあ満足。
このディーゼル機関車から出るときに思い切り頭をぶつけました。
車両が小さいので、出入りするときには注意しましょう・・・
撮影したり車内に入ってみたり1人ではしゃいでいたけれど、ふと気が付くと妙に静かで周りに誰もいない。
急にクマが怖くなってきた。
展示車両見物はそこそこにして引き返します。
カルデラ砂防博物館エントランスにあったお茶目な張り紙。
せっかくなので、カルデラ砂防博物館にも寄ってみることにします。
無料区画と有料区画があり、どうせ見るんなら全部見ようと受付で入館料400円を払って中へ。
ちなみに、エントランスの張り紙によると、クマさんはどんぐり400個を支払えば入館できるんだとか (^^♪
有料区画は2階の1室だけで、あとは無料区画のようでした。
一番見たかった砂防鉄道の展示があるSABO展示室は無料区画の方だったというオチ。
カルデラ砂防博物館内にあるSABO展示室。
立山砂防工事専用軌道の18段連続スイッチバックの模型。
SABO展示室を見ているうちに、この軌道が今でも現役であること、常願寺川の砂防工事のために使われていることくらいは理解しました。
有料区画も無料区画も客は私1人だけ。
トロッコ列車の実車の展示。
2階の窓から砂防鉄道の車両基地を見下ろすことができ、舗装されて路面電車の車庫みたいになっていました
停まっている車両は客車が2台だけ。
今日は出払って、みんな山の方に行っているのかなあ・・
窓から眺めていると館内アナウンスが流れます。
「まもなく14時30分からの映像の上映が始まります」
そういえば受付で上映があるって言ってたな。
もう見る物もないし、入場料は映像上映も込みなので見て行くことにしました。
映像ホール入口のおばちゃんに、「電車の時間があるので途中で出るかも」とことわって中に入ります。
照明が消されて上映開始。
やっぱり客は私1人だけ・・・
映像の司会進行は、またまた室井滋さんの登場。
黒部のトロッコ電車に続いての、本日2回目の登場です。
正直あまり期待はしていませんでしたが、始まると砂防軌道が目的で来た人にはかなり興味深い内容でした。
映像の内容は、立山カルデラが安政の大地震によって山体崩壊を起こし、それ以来大雨ごとに常願寺川を土石流が襲うようになり、その度に下流に大きな被害が出るようになったこと。
土石流を防ぐために砂防工事用のトロッコ軌道が作られ、国家事業になって本格的に砂防ダムの工事が行われて完成してから被害が出ることがなくなったこと。
現在でも砂防工事は続けられていて、立山カルデラではトロッコ軌道が活躍していること。
映像は5分ほど残して退席することになりましたが、えらい勉強になりました。
もし立山の砂防軌道を見に来たのなら、ここの博物館で上映される映像を見ることをお勧めします。
◆ 立山 15:00発 → 岩峅寺 15:30着【立山線・普通】
立山駅に戻ってきたのが14時50分。
地鉄電車の乗り場は2階のケーブルカー乗り場のコンコースから階段を下った場所になります。
ケーブルカーは15時発の列車の改札中でしたが、広いコンコースにはスタッフの姿しか見えませんでした。
富山地鉄というより立山ケーブルカーの立山駅。
ケーブルカーのコンコースから階段を下った場所に地鉄電車の駅があります。
ちょうど改札が始まったばかりで、改札口は行列ができていました。
この駅も今年からアルペンルートが冬仕舞いになる12月から4月中旬までは、朝夕しか電車の来ない駅となります。
1階の富山地鉄立山駅コンコース。
立山発電鉄富山行き電車はさっき乗って来た電車の折り返し。
乗客はさっきケーブルカーで着いた観光客と思しき人ばかりです。
日本人とインバウンドが半々といったところでしょうか。
電鉄富山行きの乗客数は、午前中に宇奈月温泉から乗った電車と同じくらい。
あちらと違って、多くの人は終点の電鉄富山まで乗り通すと思われます。
雪が見える立山連峰の大日岳。
来た道を引き返すだけですが、時おり見える砂防ダムや、妙に幅広の常願寺川の河原を見て、さっき砂防博物館の映像で学習したばかりなので、ああそういうことなんだと納得します。
同じものでも、知識があるのとないので見え方が全く違いますね。
岩峅寺で不二越・上滝線に乗り換え。
岩峅寺で下車、不二越・上滝線の電車に乗り換えます。
ここで下車した人は10人ほど。ほぼ全員乗り換える人でした。
◆ 岩峅寺 15:37発 → 電鉄富山 16:11【不二越・上滝線】
不二越・上滝線の電車はすべて岩峅寺止まりとなっていて、立山方面へ乗り入れる電車はありません。
ですが、ここで乗り換えた方が電鉄富山へは早く着くことが多いようです。
さっき乗っていた電車の電鉄富山着は16時16分、岩峅寺で不二越・上滝線の電車に乗り換えると16時11分着と5分早く着きます。
ですが特に案内も無く、地元の利用者くらいしか知らないようです。
行き止まりホームに停車する不二越・上滝線の電鉄富山行き。
今度の電鉄富山行きは、これまでとは違う車両。
10030系車両といい、元々は関西の京阪電鉄で使われていた電車らしいです。
ガラガラの車内に西日が差し込む。
乗り換えた電車は、またもや見事にガラガラでした。
途中駅で乗ってくる人も少なく、空気輸送という言葉がよく似合います。
この線の昼間の運転間隔は1時間に1本。
南富山で市内電車に接続しているんだから、富山港線のようにライトレール化したらどうなんだろうとか無責任なことを考えます。
途中の小杉駅では、ホームからはみ出すほど多くの学生が行列を作っていました。
ちょうど下校時間に当たったようで、ドアが開くと続々と乗って来ます。
たちまち立ち客が出るほどの混雑となりました。
ローカル線の主役は学生なんだなあと改めて思わされる光景。
南富山では降りる人が多く、駅前にマンションが建っていたり、ちょっとしたターミナル駅のようにも見えます。
富山の中心街になる西町や総曲輪へはここで市内電車に乗り換えるのが便利です。
私もここで降りて市内電車に乗ろうとも思いましたが、ここで降りてしまうと南富山〜稲荷町間が未乗のままとなってしまうので思いとどまり、このまま終点まで乗ることにしました。
稲荷町で本線と合流。
電鉄富山駅の手前では線路に沿って工事が行われていて、新しい高架の橋脚が姿を現していました。
これは電鉄富山駅を高架化する工事で、完成は2028年度ということです。
手前3番ホームは岩峅寺行、奥の1番ホームは立山行電車が停車。
高架化工事中につき、現在の電鉄富山駅のホームは仮設のものとなっています。
以前は4面4線の行き止まり式ホームでしたが、今の仮設ホームは2面2線。
当然ホーム不足となるわけで、それでどうしているのかと言うと、ホームをさらに前後で分けて、電車を縦列のようにして停車させるというもの。
このホームの場合だと改札側が1番ホーム、反対側が3番ホームとなっています。
同じホームに2編成入れて乗り換えを便利にする例はわりと見ますが、ここまで本格的なのは見たことがありませんね。
ですが、手前の3番ホームに電車がいる間は奥の1番ホームの電車は発車することができません。
ダイヤが乱れたときなど、えらいことになりそう。
そうなったときは、京急も顔負けなほどのアクロバット運用が展開されるのでしょうか。
仮設の電鉄富山駅改札口。
改札口も切符売り場も仮設で殺風景なものになっています。
折れ曲がった狭い通路を進むと、かつて駅コンコースだった場所に出ました。
これで地鉄電車は全線乗ったことになります。
今回は稲荷町〜寺田間は乗車していませんが、以前にこの区間は乗ったことがあるので省略ということで。
この次富山に来るときは、新しい高架の電鉄富山駅になっていることでしょう。
あと自治体の支援が無ければ廃止となる滑川〜新魚津間、岩峅寺〜立山間はどうなっているんでしょうかね。
今回のが名残乗車ではないことを望みます。
ですが私には、廃止にならないことを祈るしかできません。
夕暮れの西町電停。
まだ16時を過ぎたころでまだ明るい。
このままホテルには戻らず、市内電車で西町まで行きました。
今日1日は市内電車も乗り放題です。
西町電停近くにあるスーパーに寄って、夕食の総菜などを買ってきました。
本日の夕食とお酒。
今日の夕食は、昨日岩瀬で買った純米 満寿泉を開けました。
メインの肴はこれも昨日買ったクルマダイの昆布〆め。
昆布の旨味を吸ったクルマダイ。これは日本酒にメッチャ合うわ。
明日は少し足を延ばして、金沢と高岡を巡ってくる予定でおります。
それでは今日はこの辺で。