5月1日に新装オープンとなった札幌市交通資料館です。
2017年10月から地下鉄南北線の高架橋改修工事と資料館本館の新築工事のために休館となっていました。
その工事が完了し、約6年半ぶりの開館となりました。
行かなきゃなと思っていましたが、オープン直後はゴールデンウィークと重なるので混んでいただろうし、そろそろ落ち着いたかなと思える土曜日に訪れてみました。
天井が広い自衛隊前駅のコンコース。
交通資料館には駐車場がないので地下鉄で自衛隊前駅へ。
南北線の中島公園駅から南側に乗るのは何年振りかと考えてしまうほど地下鉄とは縁遠い私。
平岸を過ぎてから、急勾配を一気に登って地上のシェルター内に出る区間は何回乗っても楽しいものです。
新しくオープンした交通資料館。
自衛隊前駅を出て左側へ歩くと、新しくなった交通資料館が見えます。
前の資料館は、高架下のプレハブのような佇まいだったので見違えるように立派になりました。
2階建てですが資料館は1階だけで、2階は南北線乗務庁舎となっています。
入場が無料なのは以前と同じです。
ホールの展示コーナー。
さて、わくわくしながら入ってみます。
中はホールになっていて、入ってすぐのところが歴史コーナー。
そこはすっ飛ばして、目に入ったのが中央に鎮座しているレトロな電車。
この10形22号は、札幌に路面電車が開業した時に初めて走った電車。
1918(大正7)年の開業時に名古屋鉄道から購入し、1936(昭和11)年まで札幌の街を走っていました。
2013(平成25)年から愛知県犬山市にある博物館明治村の開村50周年記念事業として貸し出され、そちらで特別展示されていました。
去年(2023年)9月に明治村での展示が終了し、札幌に戻ってきました。
イメージチェンジした木造10形22号電車。
以前の交通資料館に展示していたのはオレンジ色の車体でしたけど、愛知県に行って戻ってきたら焦げ茶色になっていました。
返す時に元の塗色に戻してくれなかったのかとも思いましたが、調べたら以前のオレンジ色は1960(昭和35)年に復元されたときの塗色だったようです。
22号電車の車内。
この電車は乗車することもできて、木造の車内で腰かけてみれば大正時代のロマンに浸ることも・・・
考えたら、大正時代をリアルで知っている世代は100歳以上の方ということになります。
私など祖母が明治生まれだったし、親戚にも明治大正生まれがたくさんいたので、大正時代はそんなに遠い時代という感覚はないのですが。
22号の運転台から。
デッキと客室を仕切るドアはあるけれど、乗降口は扉がなく吹きさらし。
真冬になると運転手の寒さはどんなだったろうと思わせます。
運転台にあるのはモーターを制御するマスターコントローラー、右のハンドルは?
昔の電車はカーブではハンドルで曲がっていた?
いえ、これは車のハンドルと違ってブレーキです。
ハンドルをぐるぐる回すと車輪が締め付けられてブレーキがかかる仕組み。
電車のブレーキはエアブレーキが標準ですが、10形電車は空気圧縮機が装備される前の電車なので、ハンドルによる人力で電車を止めていたわけです。
私は知っているのでここで説明してしまいましたが、こういう説明書きも展示して欲しいところ。
昔使用されていた看板など。
22号電車の隣の壁面に展示しているのは、電停名の看板や駅や車両の部品など。
旧館の頃は各種乗車券や市電の系統図などがたくさんあったと記憶してますが、そういう展示物は見当たりません。
ウロウロと順不同に展示物を見ていると、歴史コーナーにあるディスプレイの下に引き出しがあり、そこがガラスケースになっていて切符や系統案内図がありました。
切符や市電路線図などの展示品は引き出しに。
何もこんな隠しアイテムみたいにしなくてもなあ。
こんなに広いんだから全部オープンにしてもいいんじゃないのかなあ。
それでも旧館にあった物のほんの一部だけ。
地下鉄南北線にあった第1号改札機。
今回オープンして新たに加わった展示物の1つは自動改札機。
地下鉄南北線開業と同時に使用された初代改札機です。
90年代初めくらいまで南北線の駅で見たような気がします。
きっぷを投入してみたくなりそうですが、説明書きを読むと稼働はしていないとわかります。
地下鉄大通駅の模型と運転シミュレーター。
今回のリニューアルオープンで一番の目玉はこれ、地下鉄の模型と運転シミュレーターです。
地下鉄大通駅を再現した模型があって、そのうち南北線の車両模型が運転できて、前方のモニターに映し出されるもの。
この手のコーナーは子供が主役。
常に子供連れ家族が使用している状態で、その列に加わって子供の中に割り込む勇気は私にはありません。
ぽつんと離れた東豊線のジオラマ。
だんだん来客者数も増えてきました。ほとんどが小さい子供連れの家族。
この手の施設は子供連ればかりというのは世界共通です。
あとは大きなお友達・・・
恥ずかしながら、私もその中の1人でありました。
そういえば旧館にあった、実際に使われていたマスコンとブレーキハンドルで模型の電車が運転できる市電のジオラマとか、東西線6000形実物大模型はどこへ行ったんでしょう。
広く明るくなった資料館ですが、肝心の展示物は少なくなってしまいました。
貴重品ということで、一般客の目に触れることができない場所に仕舞われてしまったのでしょうか。
地下鉄シミュレーターコーナーの奥は外への出入り口が2カ所あって、屋外展示場へと続いています。
そのうちの1つは資料館ホールから直接繋がっている展示場で、ここは目玉車両があると思いきや、現れたのはオレンジ色した地下鉄試験車の『すずかけ』。
高速電車第4次試験車すずかけ。
地下鉄南北線1000形車両の基礎となった試験車両で、そりゃ貴重な車両には違いはないけど、なんでこの車両を一番いい場所に?
そう思ったものの、この試験車は旧館時代からこの場所に展示されていて、たまたまこの横に新館が建設されたからこうなったのでしょう。
この場所には南北線の1000形車両を持ってきて欲しかったなあ。
ですが、試験車の低い部分には高架橋の梁ががっちりと張り出しており、車両を解体でもしない限り動かせそうもありませんね。
初代南北線の1000形車両。
で、肝心の1000形車両はというと、屋外展示場の一番奥にあります。
交通資料館の本館は立派な建物になりましたが、屋外展示場はあまり手は加えられていませんでした。
高架下なので直接雨や雪には当たりませんが、でも吹きさらしには変わりなく。
屋外展示場の方も、もう少し何とかならなかったんでしょうかね。
エンブレムの塗色が剥げてきて、所どころに錆も見えている1000形車両を見ていると可哀そうに見えます。
この1000形の展示場所は地盤が下げられ堀のようになっています。
地面を乗降ドアの高さに合わせたと思わせますが、一番の理由は地盤を下げないと車両の天井が高架橋につかえる為でしょう。
車体の屋根ギリギリに高架橋の梁が通っていて、どうやって入れたんだろと思うような場所です。
動かすだけでも大工事になってしまいそうです。
何度見てもインパクトのあるフォルム。
しかし1000形車両は何度見てもインパクトがあるなあ。
この電車が走っていた当時は当たり前のように思っていたけど、思い切ったパノラミックウインドウ、中央の大きな貫通扉に堂々と掲げられた札幌市章のエンブレム。
プロペラシャフトで車軸を駆動する独特の走行音や、コンクリート桁の細かい凹凸を拾い、またサスが固いので細かい上下振動が絶えなかったのを思い出します。
あとタイヤの関係でドア位置が片寄っているので、混雑時は乗り降りが大変でした。
地下鉄も、計画当初は市電の置き換えくらいの位置づけだったのでしょうが、地下鉄開業後は一気に大量輸送機関に躍り出ることとなりました。
市電車両の展示場。
こちらは市電車両の展示場。
高架下だが吹きさらしなのは変わらず。
一部は再塗装された車両もありますが、多くの車両は痛みが目立つのが残念です。
旧館の頃は多くの車両で車内も公開されていましたが、この日車内が公開されていたのは連結車のA800形だけでした。
2021年に引退したM100形101号電車。
今回のオープンで新たに仲間に加わったのはM100形101号電車。
2021年の引退・ラストランが記憶に新しい車両です。
元々はTc1形電車と連結して2両で運用していましたが、ワンマン化の際に切り離し、M101号は単行での運用となりました。
片割れのTc1形は廃車となり、交通記念館にやって来たわけです。
M101形とTc1形は柱越しの対面。
親子だったのに長らく生き別れ状態だった両電車。
M101形が廃車となり交通記念館に加わったのだから、片割れのTc1形と一緒にしてあげれば良かったのに。
残念ながら高架橋の柱に阻まれて離れ離れの恰好になってしまいました。
ですが、ここの高架下では狭くて2両連結にするのは無理そうです。
市電車両も、やはり塗装の色あせや錆が目立ちます。
屋根付きとはいえ、長年外気に晒されていると保存状態が良いとは言えませんね。
締め切りになった車両の内部を覗き込んでみると、長年の埃が積もり積もっている車両も。
せめて両側に壁でもと思うところですが、そこまで予算は取れないということなのでしょう。
明るく広くなった新資料館ですが、地下鉄シミュレーターとM101形電車以外は目新しい展示物はなく、むしろ旧館と比べて展示物が減ってしまったのは、個人的に正直がっかりです。
その展示物も説明書きが少なく、過去の資料をただ並べただけという感は否めません。
木造22号電車とフリースペース。
札幌市電だけでなく路面電車全般を知るコーナーがあれば。
もう少し未来志向で、例えば世界唯一の札幌方式地下鉄の技術の紹介などもあれば、もっとワクワクする施設になっていたことでしょう。
所詮は入場無料の施設なので、あまり期待するのも無理筋なのかも知れませんが。
新・交通資料館に限りませんが、この手の無料の文化施設を見学する度に思うのは、有料でもいいから展示物を充実して欲しいということです。
これじゃただのハコモノだなあ。
それとも同じハコモノ文化施設でも、芸術や美術館的なものには予算が下りるが、交通系となるとその下の下扱いになってしまうんでしょうかねえ。
バスの屋外展示場はまだ工事中。
旧館がオープンした昭和の時代は市電全盛期を知るOBが健在でしたし、建物内外の老朽化が隠せなくなっていた平成の晩年になっても、館内は札幌の市営交通を愛していた人たちの手作り感にあふれていたものでした。
建物は新しくピカピカになりましたが、そうした情熱を受け継ぐ人はいなかったのでしょう。
何だか化石の陳列館のように感じたのは私だけでしょうか・・・
30分ほどで一回りしたら見るものも無くなり、早いですが資料館を後にします。
また来ようと思えば地下鉄1本でいつでも来られますから。
資料館の駅側の高架下には、バスの屋外展示が見えますが、この場所はこれから整備が始まるようで中へは入れませんでした。
駅に向かう途中、交通資料館に向かう親子連れの姿が目立ちます。
入館無料で子供が喜び、かかる費用は地下鉄代くらいなので、親御さんにはありがたい施設なのでしょう。
有料でもいいから・・・・てのは私のような “鉄道オタク” 的な言い分という気もしてきます。
自衛隊前駅ホームから見える地下鉄の分岐器。
せっかく自衛隊前駅まで地下鉄でやって来たので、地下鉄知識的に是非見ておきたいのは、ホームの真駒内寄りから見える分岐器(ポイント)です。
新交通システムでもモノレールでも、分岐器が複雑になってしまうのがゴムタイヤ鉄道の宿命。
札幌の場合は、案内軌条と呼ばれる真ん中のレールを上下に動かすことで直線側と分岐側に切り替えています。
この分岐器自体はあちこちにありますが、ホームから近くで見ることができるのは自衛隊前駅だけ。
動いているところを見たければ夜の入庫時に来なければなりませんが。
こういうところも交通資料館で展示して欲しかったですね。
て言うか、交通資料館に行くよりもこの記事を読んだほうが勉強になりますな。
ナンチテ。
麻生行が到着(黄色い線の内側からの撮影です、念のため)。
そういえば今日地下鉄に乗って気づいたことがありました。
・ホームの自動放送が女声と男声になってる。
・虹と雪のバラードの到着メロディーがなくなっている。
・ホームに発車時刻の表示器がある。
前からそうだったかなあ。
私は年に数回しか地下鉄に乗ることがないので、最新の地下鉄状況がようわからんのです。
ちなみに札幌市交通資料館の旧館当時の記事はこちら ↓
(2017/10/09)
〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。
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