◆ はじめに
2023年、令和5年。
ことしこそ海外旅行再開と決めていました。
世界中あれこれ行きたいところはあったけれど、やっぱりヨーロッパに行きたい。
あれこれ航空会社の公式HPを物色した結果、飛行機の往復運賃の兼ね合いから行先は自動的にフィンランドに決まりました。
旅行選択の理由や旅の行程づくりについてはこちらも参照願います。
フィンランド国内の行先は、寝台列車に乗って行く北部のラップランド地方。
ラップランドはコロナ前の2019年暮れにもオーロラを見るために行っています。
同じ地方に2回連続で行くというのも芸の無い話ですが、前回は昼間でも日が昇らない極夜。今回は一晩じゅう日が沈まない白夜の世界。
同じ地方でも、まったく異なる世界です。
一体どんなものが待っているのでしょうか。
| 日数 | 日付 | 行程 |
| 1日目 | 6/5 | 新千歳空港 18:05発 -JL2506便- 関西空港 20:15着 関西空港 22:25発 -AY68/JL6909便-(機内泊) |
| 2日目 | 6/6 | ヘルシンキ空港 5:30着 〜1日ヘルシンキ観光〜 ヘルシンキ 19:29発 -IC265-(車中泊) |
| 3日目 | 6/7 | ケミヤルビ 8:49着 〜ケミヤルビ観光(ホテル泊) |
| 4日目 | 6/8 | ケミヤルビ 10:35発 ーバス- ロヴァニエミ 11:50着 〜ロヴァニエミ観光 ロヴァニエミ 17:45発 -IC266列車-(車中泊) |
| 5日目 | 6/9 | トゥルク 7:33着 〜クッピタ駅へ徒歩移動 クピッタ9:31発 -IC266列車- ヘルシンキ 11:23着 〜ヘルシンキ観光 ヘルシンキ空港 17:45発 -AY67/JL6908便(機内泊) |
| 6日目 | 6/10 | 関西空港 12:35着 関西空港 15:15発 -JL2505便- 新千歳空港 17:10着 |
私はなぜか、旅は北に向かう方がワクワクします。
北への憧れ、北方のロマン、夏が近づくと無性に北の方へ行きたくなります。
あとは夜行寝台列車。
日本では1往復だけ残してあとは消滅した寝台列車がフィンランドでは今も健在。
そんな列車の旅も組み込んだら自然と上記の行程となりました。
3日目に到着するケミヤルビは寝台列車の終点。
色々調べたけれど、この小さな町に観光するようなところはほとんど無いようですね。
ググってもケミヤルビに関する旅行記など一切見つかりませんでした。
朝に列車で着いてから、夕方ホテルにチェックインするまでどう過ごしていたらいいものか。
とりあえず『ケミヤルビ観光』としましたが、何かアテがあるわけでもなく・・・
ホテルはケミヤルビの1泊を予約してありますが、あとの2泊は寝台列車の車中泊。
フィンランド国内3泊分で、往復寝台列車の乗車に充てれば当然ホテルは1泊だけになりますわな。
しかも前後の1泊ずつは飛行機の機内泊。
1泊6日という、国内旅行でもなかなか無いだろうというような強行軍になってしまいました。
はてさてどうなることか。
それでは2023年夏フィンランド旅行記、以下本文スタートです。
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
2023年6月5日(月)
◆ 関西空港まで
| 便名 | 出発地 | 発時刻 | 到着地 | 着時刻 |
| JAL2506 | 新千歳空港 | 18:05 | 関西空港 | 20:15 |
ヨーロッパ方面へとなると早起きしてタクシーで札幌駅へ向かうのがいつものコースだったが、今日の出発は夕方。
しかも土日休みを挟んで月曜日の出発なので、いまいち気合が入らない。
フィンランド行きにしたって、前回行ったところだし、ヘルシンキに着いてからの電車の乗り方をはじめ色々勝手がわかっている。
鉄道やホテルの予約も全部してあるし、支払いも終わっているので、あとは体だけ向こうへ持ってゆけばよい。
3年ぶりの海外旅行になるのだけど、外国に行くという緊張感がまったく湧いてこないのには困った。
細々と続けていた英会話の学習も、コロナ以降は全くやっていなかった。
これもだいぶ忘れてしまったなあ。
まあ何とかなるさという気楽な気分のまま新千歳空港へと向かった。
旅の始まりは新千歳空港から。
快速エアポートで新千歳空港へ。
チェックインはJAL公式HPで済んでいるのだが、荷物を預ける必要がある。
背負っているバックパックは機内持ち込みサイズだけど、パンやサラミを切る用のナイフや髭剃り用のカミソリが入っているので。
JALのカウンターに着くと、自動チェックイン機がずらりと並んでいる。
チェックインカウンターもいつの間にか様変わりしたもので、機械から発行されるタグシールを自分で荷物に付けてベルトコンベアに載せる仕組み。
考えたら、荷物を預けて飛行機に乗るってのも久しぶりだ。
で、そのチェックイン機に印刷してきた搭乗券のバーコードを読み取らせるもエラーに。
通りかかった係員に聞いて見ると、国際線乗継は向こうのカウンターの方へ行ってくださいとのこと。
見ると奥の方にカウンターがあった。
「ヘルシンキ・・ですね」
カウンター氏が珍しそうに言う。
「お荷物はヘルシンキで受け取ってください」
これも毎度おなじみのセリフ。
関西行きとヘルシンキ行の2枚の搭乗券を受け取って、荷物を預けて身軽になった。
といっても手ぶらというわけにはいかない。印刷してきたチケット類があるし、予備のカメラやバッテリーと充電器といったものはリュックに入れて機内持ち込みとする。
出発ロビーにて景気づけのサッポロクラシック。
さすがは新千歳空港で、土産物屋が並ぶエリアは結構な人出。
身軽になったとはいえ、見飽きたものだし買うものもないし、さっさと保安検査場を通って中に入る。
出発までまだ1時間近くあるので、売店で生ビールを買ってベンチで1人壮行会。
正面の窓から見る飛行機は西日が当たって影も長くなっていた。
6月で、まだ日が沈む時刻ではないが、そろそろ夕方といえる頃。
これから飛行機に乗る人だって、今からどこかへ行く人よりも帰路の人の方が圧倒的に多いわけで、どうも今から海外に向かうという気分が湧いてこない。
日本からヨーロッパへの直行便というと、午前中に発って向こうに夕方に着くというのがお決まりのコースだったので、どうもしっくりしない。
このあたりの感覚は、行ったことがある人にしか分からないかな。
ヘルシンキ行の助走は関西空港行JAL2506便。
いつもは成田空港へ向かっていたわけだが、今回は関西空港へ。
お土産の紙袋を持った人が多数。わりと若い人が多いな。就学前の子供連れの家族が目立つ。
北海道観光帰りなのだろう。
道東や道北はまだ寒いけど、札幌あたりならば一番いい季節だ。
隣の真ん中席は空いていたのでラッキーと思っていたら最後の最後になって持ち主がやってきた。
この隣人は直前まで喫煙所にいたのか、体じゅうからタバコのヤニ臭をプンプンと発散している。
年間のタバコ代は、今回のフィンランド行往復航空券代に匹敵するほど掛かっているんだろうなと思う。
片や毎年煙と消え、片や一生心に残る海外旅行か・・・
タバコだけは、20代のときにやめて本当に良かったと思うことの1つ。
翼の向こうに日が落ちる。能登半島上空。
新千歳空港を離陸してからずっと雲の上だったけど、佐渡島の上空から雲が途切れて下界が見えるようになった。
ずっとまぶしく差し込んでいた西日も、日が傾いて水平線に近づくと真っ赤な夕日になる。
すっかり暗くなって20時20分、関西空港着。
とっぷり日が暮れた関西空港着。
降りた客に続いて『到着 国際線乗り継ぎ』と表示のある方へ進む。
着いた先はバゲージクレーム(手荷物受取所)。
成田空港のときは直接出国審査場につながっていたが、関西空港は一旦外に出なければならないようだ。
外に出ると到着ロビー。
国際線の文字を探すが、どこにも表記が見つからない。
案内板を見ると、国際線は4階とあったので、エスカレーターで上へ行くと広い国際線の出発ロビーに出た。
◆ 寂しい夜の関西空港
| 便名 | 出発地 | 発時刻 | 到着地 | 着時刻 |
| AY068 | 関西空港 | 22:25 | ヘルシンキ | 翌5:30(現地時間) |
関西空港からヘルシンキ空港までは往復ともフィンエアーになる。
航空券はJALのHPで買ったものだし、JALのマイルも付与されるが、乗る飛行機はJALの便名も併記されたコードシェア便となっているもの。
こうした場合は、受けるサービスも運送規約もフィンエアーの客ということになる。
このフィンエアーの評判は良いようで、ネット上でも褒めたたえる記事が多い。
私は7年前にヘルシンキからセントレア(中部空港)への帰りに1回だけ乗ったことがあるけど、う〜ん・・そうかな・・といった印象だった。
もっともこれは、この頃にはANAやJALの直行便ばかり利用するようになったからで、私が他の航空会社の飛行機に乗ったことが無いからなのだろう。
日本の飛行機が良く出来すぎているからというのはあるかも知れないね。
それはともかく、ここからは再び日本に戻るまでフィンエアーの客となる。
チェックインカウンターが並ぶ関西空港4Fの出発フロア。
広大なホールの中で、バンコク行のエアアジアのカウンターだけが大行列ができていた。
あとはドバイ行エミレーツのカウンターに人が目立つ程度。
わがフィンエアーのカウンターはガラガラ。
日本人の海外旅行客はコロナが収束してもなかなか戻ってこないのだろう。
飛行機代の高さというのもあるんだろうけど、年寄りの旅行離れというのも大きいのかも。
新千歳空港を出発してから、コロナ前は目立った年寄りが多い観光ツアー客をほぼ見かけない。
出発便の表示はアジア方面行ばかり。
関西空港から国際線に乗るのは2009年のドイツ行き以来だ。
あの時はドバイ経由だったのでやはり深夜の出発だった。
当時の今時間帯はハワイやグアム方面の出発ラッシュで、日本人の出国客でけっこうな賑わいだったのを思い出すけど、今日はそちら方面の飛行機は1本も見当たらず。
電光掲示の国際線時刻表は、明日の午前中までの便を表示しているが、アジア方面行ばかり。
アジア以外では今夜発がミュンヘン、ヘルシンキ、ドバイ。
明日午前中発にパリ、グアムがあるくらい。
こんな時刻表1つ取って見ても海外渡航者の動向が読み取れるようで面白い。
やはりアジア方面から日本への旅行が人気なんだな。
ハワイやグアムから日本へ旅行という人はさすがに少ないだろうから。
こんなところをウロウロしていてもつまらない。さっさと保安検査と出国審査を受けて中に入ることにする。
出発前に免税店を見て回るのが海外旅行の楽しみの一つ。
おっと、その前にお金をユーロに両替しておく。
保安検査場入口の近くに『外貨両替』の看板を見つけて思い出した。
関西空港国際線ロビーの外貨両替店。
北欧はカード社会で、クレジットカードがあればすべて事足りると言ってもいいくらい。
前回のフィンランド行きでも、日本から持っていったユーロは到着初日に空港駅で電車のチケットを買ったのとコインロッカーに使ったくらいだった。
それでも当座の現金くらいは持っていないと不安ではある。
窓口で「ユーロを5千円分」と言うと「30ユーロで4,632円になります」とのこと。
10ユーロ札2枚と5ユーロ札2枚。
レートは1ユーロ当たり154.42円。
ひえー!恐るべし円安ユーロ高。
向こうだって物価も上がっているだろうしなあ。
こりゃあ倹約しないとあとで支払いが大変だ。
お釣りの小銭は持ち歩くよりは募金箱へと思っていたが、どうしたことか窓口に募金箱は置いてなかった。
また保安検査場を通り出国審査場へ。
前回もそうだったかは忘れたが、パスポートを開いて機械に読み込ませ、顔認識が完了するとゲートがパカッと開く簡単なもの。
どこも、ほぼ並ばないで通過できた。
さーて、免税店エリアだ。
既にシャッター商店街の免税店エリア。
まだ21時少し前。ヘルシンキ行の登場開始時刻は21時55分とあるので1時間近くの待ち時間。
ところが免税店のあるエリアはどこもシャッターが下りていた。
どこか1つくらい開いている店があるだろうと探したが1つも無し。
売店やカフェすら閉まっていた。
早仕舞いでシャッターの内側や店看板に明かりが灯る店もあるが、空き店舗のように固くシャッターを閉ざした店舗も目立つ。
これもコロナの爪あとなのだろうか。
どこにも行き場所がなく、シャトルに乗って南ウイングへ移動。
売店くらいあるだろうと思っていたが、こちらも開いている店は1軒もなかった。
まあ別に何か買うわけじゃないから店が開いていなくても困ることは無いが、日本から帰国する海外からの旅行者ならば、がっかりする場面だろうな。
日本を代表する国際空港の1つとしては、これではちょっと困ったことだ。
私とて、これから飛行機で海外に向かう楽しみが半減した思いである。
ガラガラの南ウイング。
物を売っているのは自販機の飲料だけ。そんな寂しいゲートエリアのベンチに座っているしかない。
もう終電車近い時刻に発車する、裏寂れた夜行急行列車を待っているような、そんな感覚を思い出した。
ベンチで搭乗を待っている客は日本人よりもフィンランド人の方が目立つ。
あまり観光客のようにも見えないし、ビジネスとか何か用事でといったふうに見える。
これは日本人のほうもそんな感じ。
考えてみれば、今ロシアとウクライナで戦争やってるんだよね。
そのために飛行ルートはロシア上空を避けて大きく迂回する北極ルートにしているんだよね。
フィンランドはそのロシアと国境を接しているんだよね。
私は単なる呑気な海外旅行オタク。周りの乗客を見ていると、なんだか場違いな気がして来なくもない。
ガラガラの搭乗待合室。
スマホでもいじってようか。
でも空港のWiFiって、セキュリティーがどーたらとか表示されてまったく繋がんないんですけど。
どうにも困ったものだ。
ただ座っているのも退屈だし、それにこれから機内で13時間も座りっぱなしなので少し歩いてくる。
どうやら人がいるのはヘルシンキ行の33番ゲート付近だけで、あとは無人のベンチばかりが並んでいる。
免税店が並んでいるエリアはすっかりシャッター街と化していた。
何となく不気味な感じがしたので、また元の33番ゲート近くに戻る。
22時近くになるとゲートの前に乗客が集まって来出した。
ヘルシンキ行33番ゲートに乗客が集まって来る。
◆ フィンエアー搭乗記
22時、エコノミークラスの搭乗開始。
搭乗券のバーコード部分を改札機にかざして通るのは国内線と同じ。
ところが私の番でエラーとなった。
係員に「乗継のお客様ですね、いま確認しますから」と足止めとなる。
パソコンの画面で何か確認すると「確認できました、どうぞ」と通される。
新千歳空港のJALカウンターで発券した搭乗券だから、フィンエアーのとは仕様が違ったのかも知れない。
とりあえずは無事搭乗。
ところで、今回の飛行機は座席指定ができなかった。
JAL便ならば事前に好きな席を選ぶことができるのだが、JALのHPからフィンエアーの便を指定すると座席指定ができない。
前日にJALのHPでチェックインすると席番が自動で記載されていた。
指定された席番は運よく窓側席だった。
帰りの便は席番はまだ未定。これは向こうでチェックインするときに決まるのだろう。
なお、フィンエアーの公式HPから航空券を買うと、座席の事前指定はできるが、しっかりと座席指定料金を取られる。
その金額は1席当たり34ユーロ。
現在のレートで円換算すれば5,000円を軽く超える。
何でも商売にするのは結構だけど、フィンエアーさんちょっと暴利すぎでない?
エアバスA350-900のエコノミーシート。
飛行機の座席は、通路側派と窓側派があると思うが、私は断然窓側派。
理由は窓から景色が見たいから。
飛行機に限らず列車でもバスでも、窓から流れる景色を眺めるのが一番の醍醐味だと思っている。
ただ、飛行機に関しては通路側派が多いようだ。
理由は誰にも断らずにトイレに立てる、通路側へ手足を伸ばせるという理由からだ。
今日の機内は3列+3列+3列のシート。
こんな感じ ↓ ↓
窓〇〇〇 〇〇〇 〇〇〇窓
窓側席だとトイレに立つにあたって真ん中席と通路側席の2人にどいてもらう必要があるけれど、さすがに今日の乗客数では隣に人が来ることはなさそう。
搭乗終了となったあたりで軽く機内を見まわしてみたが、搭乗率で50%あるかないかといったところ。
非常口前の超人気席も空いたままだった。
通路側席は日本人の兄さん。隣の真ん中席は空席。
これはゆったりと過ごせそうだ。
やはり日本人よりもフィンランド人の方が多い。
というより、乗客の半分以上はフィンランド人のようだった。
22時25分を過ぎて飛行機が動き出す。
ほぼ定刻の出発。
機内放送はまずフィンランド語、次いで英語、最後に日本語の放送となる。
CAはフィンランドの航空会社なので当然フィンランド人だが、日本人も1人乗務している。
日本語の放送はその人が担当するようだ。
日本語放送によると、ヘルシンキまでのフライト時間は12時間45分を予定しているとのこと。
飛行機は南に向かって離陸すると大きく旋回して大阪、京都の上空を飛ぶ。
夜景がきれい。
鈴鹿山脈で夜景は途切れるが、今度は名古屋の夜景。
これは窓側席にして良かったと思うところ。
あとは山岳地帯のために暗くなってしまった。
23時20分過ぎ、いわき市付近から太平洋上空へ。ここからはずっと洋上を飛ぶことになる。
さて、いよいよ機内食タイム。
CAがワゴンに載せて運んでくる。
受け取ったのはトレーに載った2つのボール箱。
いつもならば和食か洋食かとか、チキンかビーフかとか選べるのだが、今回は1種類だけだった。
少し遅れてドリンクのワゴン。
これは赤ワインを貰う。フィンエアーラベルの赤ワイン。
ボール箱入りで供される機内食。
熱々のボール箱と冷たいボール箱。
熱い方は何やらカレーライスのような。
冷たい方はポテトサラダだった。
まずは熱々のメインディッシュをいただく。
・・・う〜ん、ライスの表面がガビガビしている。
7年前の2016年に北欧帰りに乗ったフィンエアーを思い出した。
あのときもそうだったなあ。
ライスの横はカレーではなく、何だろうな。
野菜のあんかけのような、しかし妙に甘ったるい味付け。
どこかで食べた覚えがあるな・・・・
思い出した。
オリエンタルライス。
そうだ、5年前のオーストラリア旅行で、シドニーからブロークンヒルへ向かう列車内の売店で買ったランチと同じ味だ。
あの時も妙に甘ったるい味付けに首を傾げたものだった。
オリエンエンタルライス?
肉は見当たらなく、代わりに豆腐が二切れ入っていた。
あとで思ったのは、あれはビーガン食ではなかったのか。
グルテンフリーにも思える。
食事のリクエストを廃するために全員ビーガン&グルテンフリー食にしちゃったのだろうか。
しかし、首をかしげたくなる思いのままトレーは下げられる。
通路側氏は食事には手を付けず、さりとてCAが下げようとすると断っていた。
早く食ってくれないと、こっちがトイレに立てないんですけど。
食後はすべての窓のシェードを下げるように指示があり、機内も減灯されて就寝タイムとなる。
適度に空席があり落ち着いた機内。
もうとっくに午前0時を過ぎている。
シェードは閉められたし、無理に開けたって何も見えないし、背面のモニターで映画を見る。
字幕の言語はいくつか選べるが、唯一分かるのが英語だけ。
悲しいかな映画は英語の字幕。
何の映画だったか忘れたけど、英語の字幕を追いかけながら観ていたらいつの間にか眠っていた。
◆ 北極上空へ
目が覚めると5時近く。
変な体勢で眠っていたせいか首が痛い。ちょっと背ずりを倒させてもらう。
トイレに行こうと思ったら、通路側氏は目はアイマスク、耳にイヤホンをし、テーブルを出して飲み物を置いた状態で就寝。
またイヤホンジャックがなぜか背面にあるので、コードで完全に通せんぼされた状態。
考えたら、ジャックって普通はひじ掛けに付いてるのでは・・・
まあいいや、そのうち目を覚ましたら、その時に行こう。
飛行機はベーリング海峡を過ぎて北極海上空へ(AY68便ルートマップを撮影)
今どこら辺を飛んでいるのだろう。
フライトルートマップを表示させると、ちょうどベーリング海峡を抜けて北極海に差し掛かったあたり。
いよいよ北極上空を通過する。
ところで、今飛んでいるこのルートは昔は北回りルートと呼ばれていたもの。
旧ソ連の空域が西側諸国の航空路線に開放されていなかった時代、日本とヨーロッパを結ぶ航空ルートはソ連を避けたルートで飛行する必要があった。
このルートで仮に東京からヨーロッパへ向かうとすると、航続距離は1万kmを越えることになり、当時の飛行機では途中で寄港して給油する必要があった。
そこでこのルートに近いアラスカのアンカレジ空港に寄航して給油。そこから北極を経由して結んでいた。
1980年代半ばになるとソ連上空が解放されると、遠回りとなる北極ルートから直線に近いシベリア経由をとる路線が増え、また飛行機の性能が上がって途中給油の必要もなくなったことから、この北回りルートは過去のものとなった。
それから30年、2022年にロシアによるウクライナ侵攻が起こる。
西側国のロシア制裁とロシアによる西側国飛行機の領空内飛行の禁止が始まる。
コロナウイルス禍で国際間の旅客数が激減している中、日本とヨーロッパ路線の休止もやむなしという状況だったけど、昔の北回りルートを採用することで運航継続となった。
これにより東京〜ヘルシンキ間の飛行距離はそれまで7800kmだったものが1万2000kmに、所要時間は10時間30分から12時間50分に延びている。
もうまもなく北極点上空かなあ。
みんな眠りに就いている中、真っ暗な機内で一人はしゃいでいる。
はしゃいでいるったって、別に声を上げるわけでもなく、ゴソゴソ動き回るわけでなく、背面のモニターでルートマップを表示して、たまにこっそりシェードの隙間から外をみるだけ。
シェードを開けると暗い機内に殺人光線が差し込むので、毛布で顔以外を覆って光が入らないように気を遣う。
ビニール袋に入っていた紺一色の毛布は、遮光の役に立つ。
せめて北極点を拝もうと外を見るが、ずっと雲が覆っていて下界は見えなかった。
見えたところで、一面凍り付いて真っ白な氷原だし、何か北極点の目印があるわけではないが。
北極点を通過(AY68便ルートマップを撮影)
私が今までで行ったことのある最北の地は北緯69度8分にある地点。
2019年のフィンランド旅行で2泊した、イナリという村から直線距離で北に約27km。
現地参加のオーロラハンティングツアーでそこまで連れて行ってもらった。
グーグルマップのタイムライン機能にその記録が残っている。
今通過した場所は北極点だから北緯90度。
地球上にこれ以上北の地は存在しないので、世界最北端の地をあっさりと通過したことになる。
着地はしていないので到達したことにはならないけれど、とりあえず世界最北端を通過したし、この目で見たことには変わりがない。
日本最北端の宗谷岬だって、バスで通り過ぎただけでも行ったことにはなるんじゃない?
もっともその宗谷岬は北緯45度。緯度で言えば北極の半分しかないわけで、ここで引き合いに出してもしょうがないが。
北極点を通過すると飛行機は南下する。
考えてみれば当たり前か。犬が北向きゃ尾は南ってやつだ。
何度も言うが、この航路はロシア・ウクライナ戦争で復活したもの。
この先どうなるのかは誰にも予測はつかないが、毎朝聞いているラジオ番組で専門家の話を聞く限りでは、現時点では長期化する見方が強い。
戦争によって生じたルートなので、あまりはしゃいではいけないんだろうし、積極的に乗りましょうとも言えないところが辛いところ。
ノルウェーのスバールバル諸島上空あたりに差し掛かった。
またシェードを開けて毛布越しに外を見ると、少しだけ雲が晴れて、海面に浮かぶ流氷と白い雪と氷に覆われた地上が見えた。
ほんの少しだけだったけど、北極らしい地上の景色を見られたということで。
こんな出来事があるから、やはり飛行機は窓側に限る。
日本時間午前9時20分。朝食となる2回目の機内食が運ばれてくる。
ここから時計を6時間戻してフィンランド時間にします。
日本時間9時20分はフィンランド時間3時20分になります。
そういう決まりがあるわけではないが、あくまで話を進めるための便宜上ということで。
通路側氏は機内食直前で目が覚めた模様。
またもボール箱入りのブレックファースト。
朝食はトレーがなく、ボール箱とカトラリー(食器)が入った袋だけ。
箱の中身はフライドポテトとほうれん草のソテー、それにトマトと野菜を炒めたような物、ようわからん。
それでも、夕食よりはマシかなと思えた。
おかずだけなので、あとからパンでも来るのかと思ったが来なかった。
ポテトが主食ということか。
やっぱりビーガン食なのかなあ。
通路側氏はまたも手を付けず、片付けが終わってから食べ始めていた。
それに酒のツマミじゃあるまいし、スマホをいじりながらチビチビと手を付けている!
・・・チッ!
もう痺れも切れた。
「お食事中すみません、ちょっと失礼します」
もういい加減にしてくれ。
こっちだって膀胱がパンパンなんだから。
出されたものはさっさと食う!
食ったらさっさと出す!
これが機内の掟だよ!
CAだって片付かなくて困るだろうし。
シンプルな化粧室の洗面台。
ようやく用を足せてすっきりする。
洗面台はJALのものより大きくて使いやすいかな。
置いてあるのはハンドソープとペーパータオルだけ。
JALのときは使い捨て歯ブラシや紙コップが置いてあったけど、ここで歯磨きされると後に待つ客が迷惑するからフィンエアーの方がすっきりとしていて良いのではないでしょうか。
ペーパータオルを濡らして顔を拭くとさっぱりした。
まだ先は長い。
3時30分、ルートマップではスカンジナビア半島に上陸。
ヨーロッパ最北端とされるノールカップ岬が見えるかなとまた外を見るが、残念ながら雲の上だった。
さらに南下して、ロバニエミ、オウルといったヘルシンキから列車で北上する町の近くを飛行する。
CAが乗客に紙を配布して回る。
フィンエアーの会員入会のチラシでも配っているのかと思ったが、受け取って見て見ると
『The Northen route diploma』
とあった。
訳せば『北極航路通過証明書』ということになる。
配布された The Northern route diploma(北極航路通過証明書)。
よく見ると下の方に緯度経度が記してある。
88°31'0.00"
0°08'02.31"
北極点を通過したと思っていたが、微妙に北極点ではなかったようだ。
しかし、これ以上北に行くことはおそらくこの先無いと思われ。
でも、いかにも日本人が好きそうなサービスだね、これは。
◆ まもなくヘルシンキ・ヴァンター空港到着
4時30分、機長のアナウンス。
フィンランド語と英語のあとに日本語。
それによると、あと30分でヘルシンキ・ヴァンター空港に到着すること。
ヘルシンキは天気良好、現在の気温は6℃ということだった。
6℃は寒いな。
札幌から比べても、1か月は季節が戻った感覚だ。
フィンランドの大地と差し込む朝日。
このあたりから雲が晴れてフィンランドの大地が見えるようになってきた。
いかにも森と湖の国といった風景。
あの湖のほとりで朝日に向かって、スナフキンがギターでも弾いていそう。
なんだかそんなメルヘンチックな想像を掻き立てる幻想的な風景だった。
人家が多くなるとまもなくヘルシンキ到着。
飛行機はだんだんと高度を下げ、森と湖ばかりだった地上にも家々が見え始める。
それなりに楽しめた空の旅もそろそろ終わりが近い。
5時、ヘルシンキ・ヴァンター空港に着陸。
滑走路から駐機場に着いたのが5時4分。
飛行時間約12時間40分は結構長かったけど、隣席が空いていたので疲れはさほどではない。
でも、もしこの機内が満席だったらと考えたらちょっとゾッとする。
関西空港〜ヘルシンキ空港間の飛行ルート(AY68便ルートマップを撮影)
まだ降りられるまでに時間がかかりそうなので、もう一度ルートマップを見る。
ベーリング海峡から北極を回ってきたのだから三角形の二辺を辿るような相当な遠回りだ。
海外旅行オタク的には物珍しい航路だが、こんなのは1回限りにしてほしい。
早く平和な世界が来て、コロナ前のように安く気軽にヨーロッパに行けるようになって欲しい。
早朝のヘルシンキ・ヴァンター空港に到着。
5時10分、エコノミークラスの方も降りる順番が来たようで、通路の列が動き出す。
慌てる必要はないけど、イミグレーションで長蛇の列に並ぶのはいやだな。
前回着いたときは夕方で、ちょうど東アジア方面からの到着ラッシュで、先に着いた中国人がわんさかと並んでいた。
さすがに今回はそんなこともないだろうけど。
あんまり早く出ても、まだ朝5時を過ぎたばかりだからね。
空港内で少し時間をつぶしてから電車に乗った方がいいのかな。
そんなことを考えながら飛行機を降りた。
| 費目 | 場所 | 金額(円) | 備考 |
| 札幌→新千歳空港 JR | 1,150 | KITACA使用 | |
| サッポロクラシック生 | 新千歳空港 | 500 | |
| 30ユーロ両替 | 関西空港 | 4,632 | @\154.42 |
| 合計 | 6,282 | ||
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