今年もJR北海道の3月ダイヤ改正が発表になりました。
2022.12.16
(ニュースリリース | JR北海道 - Hokkaido Railway Company)
こんどの改正で変わるのは、特急『オホーツク』『大雪』の283系化。
他は特急『ライラック』の一部と北海道ボールパークFビレッジの開業に合わせたダイヤの変更など。
駅の廃止は、前に発表されていた日高線の浜田浦が該当。
とかく議論を呼んだ北の最果て駅は、めでたく存続となったようですね。
私個人的にはどっちでも関係ない話ではありますが。
話がずれたので元に戻します。
毎年毎年、ダイヤ改正のたびに本数が削減とか編成が短くなったりとか、北海道の鉄道もすっかり寂しくなったものですが、今回の改正では特に列車本数の削減というのはなさそうです。
これも普通列車ダイヤの詳細が公表されていないので何とも言えませんが。
2023年3月ダイヤ改正で一番大きな動きは、なんと言っても石北線特急でしょう。

※ 2022.12.16 JR北海道、2023年3月ダイヤ改正についてより引用
改正後はグリーン車がないモノクラス3両編成とはまた寂しくなったもの。
石北線で丸々1両をグリーン車に充てても過剰なのは明らかですが、一昔前ならば普通車の一部をグリーン席に改造して充てたことでしょう。
もうそんな改造をする体力も気力も残っていないということなのでしょうか。
ダイヤも283系車両導入と聞いて、石北特急も全列車札幌直通が復活を期待しましたが、『オホーツク』と『大雪』の分離状態は変わりませんでした。
今の分離状態は、もともと183系特急車両の不足からやむなく行われた措置で、必要な車両が揃ったらゆくゆくは札幌直通に戻すものとだと思っていましたが、どうやらこの体制は将来的に維持される模様です。
それでも若干ながら時間短縮が実現するのは明るい話。
2023年3月ダイヤ改正前後でどのあたりが変わるのか、今回の改正で石北線内では一番時間短縮の大きい大雪2号と3号で比較してみましょう。
改正前 | 改正後 | 比較 | 改正前 | 改正後 | 比較 | |||
駅名 | 大雪 3号 | 大雪 3号 | 駅間 増減 | 駅名 | 大雪 2号 | 大雪 2号 | 駅間 増減 | |
旭川 (発 | 17:05 | 17:07 | 網走 (発 | 8:06 | 8:05 | |||
上川 (発 | 17:45 | 17:47 | 0 | 女満別(発 | 8:21 | 8:20 | 0 | |
丸瀬布(発 | 18:41 | 18:40 | △3 | 美幌 (発 | 8:32 | 8:31 | 0 | |
遠軽 (着 | 18:57 | 18:57 | +1 | 北見 (発 | 8:56 | 8:55 | 0 | |
遠軽 (発 | 19:00 | 19:00 | - | 留辺蘂(発 | 9:15 | 9:14 | 0 | |
生田原(発 | 19:17 | 19:16 | △1 | 生田原(発 | 9:36 | 9:34 | △1 | |
留辺蘂(発 | 19:38 | 19:36 | △1 | 遠軽 (着 | 9:51 | 9:48 | △1 | |
北見 (発 | 19:57 | 19:55 | 0 | 遠軽 (発 | 9:55 | 9:52 | - | |
美幌 (発 | 20:22 | 20:17 | △3 | 丸瀬布(発 | 10:12 | 10:10 | +1 | |
女満別(発 | 20:33 | 20:29 | +1 | 上川 (発 | 11:10 | 11:04 | △4 | |
網走 (着 | 20:49 | 20:44 | △1 | 旭川 (着 | 11:50 | 11:43 | △1 | |
所要時間 | 3:44 | 3:37 | △7 | 所要時間 | 3:44 | 3:38 | △6 |
※JR北海道HP掲載の時刻表から筆者作成。
こうして新旧ダイヤを比較してみると、上川〜丸瀬布(白滝)間の時間短縮が大きいことがわかります。
石北トンネルを挟むこの区間は25パーミルの連続勾配があって、今までの183系では50km/h前後で越えてきたものが、283系のハイパワーに物を言わせて駆け登るのが見て取れます。
もう一方の25パーミル区間である生田原〜留辺蘂間は僅か1分ですがこちらも短縮しています。
あとの細かいプラスマイナスは283系化による高加減速によるものと、元のダイヤは秒単位になっていて時刻表は秒を切り捨てて分単位にしていることによる端数、それに単線なので駅での列車交換のあるなしでしょう。
183系特急は25パーミル上り勾配を50km/hで走行(白滝〜上川間大雪4号にて)。
峠区間では25パーミルの勾配とR300m台の曲線が連続し、直線区間でも最高95km/hに制限されている石北線。
それにもかかわらず、旭川〜網走間で最大7分の短縮を実現するのだから、さすが283系特急ですね。
1両当たり710馬力というハイパワーエンジン搭載は伊達じゃありません。
逆に言うと、石北線は抜本的な高速化工事を行わない限り、これ以上の時間短縮は無理ということになりますが。
1線スルー化された駅を通過する183系オホーツク(2021年7月東旭川で)
とまれ僅か数分の時間短縮ですが、石北線特急の所要時間は国鉄最後の1986(昭和61)年11月ダイヤ改正以来据え置き状態だったので、こんどのダイヤ改正は大きな進歩と言えるのではないでしょうか。
ですが、『大雪』は旭川止まりなのが泣き所。
例えば『大雪2号』は網走〜旭川間で6分も短縮していますが、接続する特急『ライラック』のダイヤが00分発、30分発の固定なので、『ライラック』に乗り継ぐ客からしてみれば旭川に早く着くだけ迷惑という代物。
網走〜札幌間のトータル時間で見れば、逆に所要時間が1分増えているというオチ。
もう少しなんとかならんものかと思いますが、『大雪2号』は丸瀬布で『オホーツク1号』と交換しており、簡単に時刻をずらすわけにはいかない事情でもあります。
一方で札幌直通の『オホーツク』はというと、旭川〜網走間では『大雪』同様に時間短縮していますが、札幌〜旭川間では改正後も所要時間はほとんど短縮できていません。
このあたありはハイパワーの283系に置き換わっても最高速度は従来通り110km/hなのと、エンジンをいたわって余裕をもった走行としたからでしょう。
2023年3月で見納めになる183系車両(2022年1月網走駅で)
2023年3月から石北線特急に投入される283系車両(2021年1月札幌駅で)
次に石北線特急に動きがあるとすれば、2030年度予定となっている北海道新幹線札幌開業時でしょうか。
現在『北斗』で使用されている261系気動車は、多くが余剰となるはずなので、その車両が283系と置き換わることでしょう。
そうなれば札幌〜旭川間で120km/h走行が可能となるので、さらに数分の時間短縮が見込まれます。
その肝心の北海道新幹線ですが、現在のところ工事が3〜4年程度の遅れが出ている模様。
**工事着手の遅れや巨大な固い岩が出てきたことによるトンネル掘削の一時中止等により、一部の工区で3〜4年程度の遅れが生じています。**
上記引用
北海道新幹線 完成・開業時期について
まだ事業期間が相当残っているということから公式に開業時期についての変更はなされないようですが、事業費の増額やトンネル残土受け入れ地の問題もあって、新幹線開業までは前途多難な課題が数々あるようです。
まさか工事中止とはならないでしょうけど、今のJR北海道はとにかく新幹線頼み。
とにかく2030年度予定となっている北海道新幹線札幌開業までは特急列車のダイヤには大きな動きは無いことでしょう。
それにしても改正後の3両モノクラス編成を見ると、もう特急やめて旭川〜網走間の快速にすべきである・・
・・・なんて思ってしまいますが、私は鉄道アナリストではないので、そういう話はやめときます。
〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。
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