気づけば都会から踏切って、すっかり数が少なくなりましたよね。
交通量の多い踏切ならば立体高架化され、また鉄道の高架化で街中から踏切がすべてなくなったところも多い。
踏切ってのは迷惑な存在で、渋滞が起こる、町が分断される、一たび事故が起こると大事故にもなるし輸送にも多大な影響が出る。
こんなものは立体交差化してなくしてしまうのが一番いいのですが、なかなか全部そうするわけにもゆかず、立体交差化が難しい踏切が今も残っているわけです。
そんな困った踏切ですが、私も含めていわゆる鉄道ファンと呼ばれる方々には、鉄道の原風景が踏切だったという人も多いのではないでしょうか。
カン・カン・カン・・・と警報機が鳴り、遮断機が下りてしばらくすると列車が通過する。
あなたも、そんな光景を飽きることなくいつまでも眺めていたのではありませんか。
私らの子供のころは踏切も手動で、小屋から係員が出てきて白い旗を振っていましたな。
高架化や立体交差化されて安全で便利になったのは大変良いことですが、町から線路が遠くなったなと少々寂しく思えたりもします。
都会に住んでいると線路って身近な存在ではなくなりましたね。
今の子供たちはどうやって鉄道ファンになってゆくのでしょう・・・
前置きが長くなりましたが、今回のテーマは北海道で唯一ここだけという珍しい踏切です。
それがこちら。
苫小牧市の糸井駅西側にある踏切。
これのどこが珍しいのかって?
よく見てください。
なんとこの踏切、4車線の道路なんです。
4車線道路で現役の踏切は道内でもここだけ。
どうですこの堂々とした踏切っぷり。
片側2車線で並走して踏切を通行することができます。
歩道のスペースもあるので、歩行者も安心して渡れます。
交通量が少ないのに無駄に車線数が多い道路が苫小牧らしい(苫小牧の人すんません)
札幌市内だって4車線の踏切は、かつて高架前の札沼線にあった新琴似四番通りの踏切くらいしか思い当たらないですね。
全国レベルで見ても数少ないのではないでしょうか。
4車線となるほどの交通量がある道路ならば早い時期に立体交差化となっているでしょうから。
踏切の遮断桿(かん)も折れ曲がる長大サイズ。
踏切の名は『新通り踏切』。
130K150Mとは長万部起点からの距離をメートル単位で表したもの。
いわば線路の住所となるべきもので、鉄道施設はありとあらゆるものに起点からの距離を割り振られている。
大障検とは踏切作動時に中に車などが取り残されたらセンサーで検知して運転士に知らせる機械のこと。
新通り踏切から錦岡駅方向を見る。
ここは沼ノ端駅東側から白老駅東側まで28.7kmもの鉄道直線日本一の区間。
複線の線路は真っすぐに地平線を目指す。
基本地元の車しか通らない道路ですが、初めての人が通ったらまさかこの先に踏切があるとは思わないでしょうね。
でもれっきとした踏切なので、必ず一時停止をしなければならないので気を付けましょう。
ローカル線ではないので、特急『北斗』や『すずらん』それに重量級の貨物列車がバンバン通過します。
ところでこの4車線の踏切が北海道以外の全国にどれくらいあるか探してみました。
JR線に限ってであれば見つけたのは以下の3か所。
・岩手県盛岡市の山田線盛岡〜上盛岡間
・東京都八王子市の中央線八王子〜西八王子間
・山口県岩国市の岩徳線岩国〜西岩国間
もっと調べたらまだ見つかるかもしれませんし、私鉄ならばもっと多そうですね。
6車線の踏切なんて見つかるかも知れません。
いずれにしても苫小牧市内にあるこの踏切が、全国的にも数えるほどしかない存在であることはおわかりいただけたかと思います。
ただ漠然と見過ごしてしまうようなものが、実は珍しいものだったなんてことはよくある話。
この苫小牧市にある新通り踏切ですが、今のところ立体交差化の話もないようです。
2030年度予定の北海道新幹線開業後も、この線路はJR室蘭本線として営業を続けることになっているので、この珍しい4車線踏切も半永久的にこのままの形で存続するのではないでしょうか。
〜最後までお読みいただきましてありがとうございました。