札幌市電は山鼻西線の外回り線路に妙な曲線が出現しました。
場所は西15丁目〜西線6条間。
この部分のアスファルトは黒々と新しく、最近設けられたもののようです。
二条横断歩道橋の交差点カーブから電車事業所まで一直線に貫く山鼻西線の外回り線路に突如出現したS字カーブ。
上画像は西線6条方向を撮影したもの。
S字カーブの西15丁目方向を撮影。
何やら複線の上下線間を広げる工事のようにも見受けられるが、何のため?
S字カーブにやって来た外回り循環の3302号。
カーブ手前で徐行して苦しそうに通過する。
この謎のカーブはなぜ出現したのでしょうか。
その解明のために、まずは下の画像をご覧いただきましょう。
二条横断歩道橋から西線6条方向を撮影したもの。撮影日は2018年8月。
二条歩道橋から撮影した西線の線路をよ〜く見ると、カーブから電車事業所まで一直線と思いきや、西線6条でほんの少しだけ線路が曲がり、南2条に向けて少しずつ東側に寄っているのがわかります。
緩やか斜めになった線路は、南2条まで来ると南行き車線は車1台がやっと通行できるほどまでに幅寄せしていました。
下画像は2013年3月撮影。
冬になると雪山ができて車も軌道敷内を通行しなければならないほど狭くなっているのが分かります。
この妙な線形は何なのか。
西線は戦前まで単線で、複線化されたのは戦後のこと。
その名残でこうなったのでしょうか。
で、下画像で2条歩道橋から山鼻西線の西線6条方向を望みます。
これで不思議なS字カーブの謎が解けましたね。
斜めになって幅寄せする線路を、道路の中央に寄せるための工事の途中なのでした。
市電の路線は山鼻西線ですが、道路は『福住・桑園通』という都市計画道路。
この道路は幅員20mだったものを25mに拡幅する工事が始まっています。
その拡幅工事に合わせて、市電の線路も道路中央に移設する工事が行われているのでした。
拡幅工事自体はまだ進捗中なので、それに合わせて軌道移設工事が行われるのでしょうか。
このS字カーブもそれに合わせて移動しそうです。
今は外回り線路が対象ですが、内回り線路も同じように工事が始まることでしょう。
札幌市電の通る道路のうち、山鼻線の西7丁目通、山鼻西線の福住桑園通、1条線の南1条通りが幅員25mの拡幅対象となっており、用地買収や建物の建て替えはもう20年くらい前から始まっていたのだが、数年前から歩道の改修や電線の地中化を含めた工事が始まっています。
山鼻西線は南2条を過ぎたあたりまで完成したばかりですが、山鼻線の方は南9条近くまで完成しており、山鼻線の方が進捗は良いようです。
道路拡幅に伴った軌道移設工事や電停改修工事も同時に行われ、拡幅が完成した道路にある電停は見違えるように改修されました。
こちらは2条横断歩道橋の下にあった工事看板。
来年の年明けまでの工事となるようです。
この工事看板、よく見ると『工事かわら版』なる工事請負会社が作成した読み物が貼ってありました。
読むと、
“道路が拡幅され、道路の中心となるように、線路が西側に一番大きいところで約1m近くも移動します。”
とのこと。
ここは二条小学校の出入り口にあたる場所なので、小学生向けに表示されたものでしょう。
現場担当者の遊び心で作成したものなのでしょうか。
最後まで読むと、このかわら版は第2号も出るようです。
2015年暮れに西4丁目〜すすきの間の都心線が開業して循環路線となりましたが、路線延伸はそこでひとまずストップしたようです。
しかし、都市計画による道路の拡幅工事は数年前から本格化し、それに伴う軌道改良工事や電停の改修などが進んでいます。
歩道も以前ならば狭くて、冬など除雪もままならない状態でしたが、拡幅工事が完成してからは随分と歩きやすくなりました。
この流れでさらなる延伸を期待したいところですが、2022年8月27日に北海道新聞,どうしん電子版に掲載された残念な記事。
"札幌市電延伸「極めて困難」 市、大幅な収支悪化予想”
2022/8/27 北海道新聞 どうしん電子版
”大幅な収支悪化が見込まれるほか、用地買収などに多くの時間と費用を要するため。事実上の延伸断念とみられる”
(上記記事より一部引用)
札幌市電の延伸・ループ化が実現したのは、上田札幌前市長の情熱からだったと思われます。
それから引き継いだ現秋元市長は、事業化していた市電ループ化は引き継いだものの、以降の延伸までは公約に掲げてはいないようでした。
それでも細々と延伸に向けた調査は続いていたようですが、これで市電延伸の是非についてはひとまずの結論が出たようです。
今の市長の興味事は2030年度開業予定の北海道新幹線札幌駅再開発と、同年の冬季オリンピック誘致のようですね。
在来線駅や地下鉄駅から遠くなる新幹線札幌駅へのアクセスとして市電延伸という期待もあったようですが、その期待もこれで望み薄になったようです。
新幹線札幌駅と周辺再開発が完成した後にやっぱり市電を通しますなんてことになっても、ルートや工事方法など困難を極めることになります。
新幹線札幌駅へのアクセス交通をどうするかは、振出しに戻った感があります。
また上記の道新記事より、
“2030年度末の北海道新幹線札幌延伸を見据え、市電延伸と並行して検討している新公共交通システムの構築を進める。具体的には、人工知能(AI)を活用した予約制のデマンド交通や、環境に配慮した水素燃料車両の導入を検討する。”
まだ実用化は不明だけど、とりあえず近未来的な交通機関を並べてケムに巻いただけのように思えたのは筆者だけでしょうか。
残念ながら日本では、路面電車など車の邪魔で、赤字必須である鉄道など時代遅れなんて思想がまだまかり通っています。
(ていうか、単独黒字の鉄軌道系交通機関てどれだけあるんだろう)
話がだんだん脱線してきましたが、札幌市電はループ化後も地味に進化を続けています。
世界(特に欧米)の流れはやはり路面電車復権。
新たに新規路線が開業する都市も次々と増えています。
今日はそれを言いたかったということで・・・
〜最後までお読みいただきありがとうございました。
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関東に移住して15年が経ち
色々と交通機関を見てきました。
宇都宮のLRTも運行し始めました
伊奈町のニューシャトル
とっても混雑していましたよ。
故郷の札幌の市電や地下鉄は
バスのように無くならずに
残っていて欲しいなって思います。
札幌近郊や石狩とかで
大きな工業団地を作って
その工場と寮と市中心部(街)への
交通機関として発展できれば
良いのでないかと思います。