2020年に廃止された新十津川駅。
2022年8月現在では、既に駅舎は取り壊されているとのこと。
あれだけ廃止反対をして、廃止が決まると駅前はにわかに売店が進出し、各種イベントを行って賑やかになったものだが、廃止後は黒歴史にでもしようかという勢いで整地が進んでしまう。
これは新十津川に限ったことじゃない。
老朽化した駅舎を保存するとなると経費がかかるし、町を分断していた線路と駅を取っ払って交通をスムーズにしたいことはよくわかる。
私は札幌市民なので、他所の町の都市計画についてとやかく意見する権利はない。
でも残念だね。
無くなったものを惜しんでもしょうがないので、せめて在りし日の新十津川駅の画像でもアップしてみようか。
以下、2007年8月26日に撮影した新十津川駅になります。
青字に白抜きの駅名看板が正面に出迎える。
新十津川町にあるので新十津川駅なのだが、1931年の開業当初は中徳富という駅名だった。
1943年、戦時中に不要不急路線として一旦休止となる。
戦後の再開は1953年。
同時に町名に合わせて駅名も新十津川(しんとつがわ)駅となった。
この看板は、1953年の営業再開当時のものだろう。
『歓迎 ようこそ新十津川へ』の看板が出迎える旧改札口。
こんな看板とは裏腹に、札沼線でやってくる観光客などどれほどいたのだろう。
意気込んで看板を掲げたのだろうが、長らく誰の目にもつかず放置されていた。
1日3本だけの時刻表。
それでもこの当時は朝の1本だけ札幌直通列車があった。
バケット型のプラスチックベンチが並ぶ待合室。
1日1往復の終着駅として脚光を浴びるのはこの10年後の話。
この頃は町はずれにひっそりとある、人も寄り付かなくなった寂しい駅だった。
ホームから線路に降りて、レールレベルで撮影してみる。
線路は草ぼうぼう、レールの踏面が銀色になっていなければ廃駅のような佇まいだ。
1日3往復の線路は雑草が生え放題。
よくこんな線路を列車が走っていたものだ。
おそらく開業当初から変わらないであろう、玉石を敷きつめた道床。
ささくれた枕木に30kgレール。
国鉄から民営化してJRになる直前に、最後の国鉄の赤字計上とすべく地方ローカル線のリニューアル工事があちこちで行われた。
それはレールの重軌条化と道床のバラスト化。
しかし、札沼線北部では工事が行われることがなかった。
札沼線は国鉄再建法の第2次廃止対象路線から免れた路線だが、この当時でもいずれ廃止になると読んでいたのか。
以上、1日3往復だけが発着する新十津川駅の、列車の来ない午後の時間にいろいろ撮影したものです。
なに?
勝手に営業中の線路に立ち入って、鉄道営業法違反ではないかって?
いまは厳しくなって線路立入りは刑事罰にも問われるようになったが、2007年の頃はまだ柵もロープも張られておらずのんびりとしたものだった。
コンプライアンス(法令遵守)がうるさく問われるようになった現在、さすがに線路敷地に立ち入っての撮影はするべきではないだろう。
鉄道営業法違反のみならず侵入罪にもなるだろうし、これでもし列車を止めたとなると威力業務妨害罪にも問われかねない。
まだのんびりとした時代に撮影した画像ということでご容赦願います。
余談ですが、侵入罪と威力業務妨害罪はとっくに公訴時効となってますので念のため。
〜最後までお読みいただきありがとうございました。
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