2004年の富山駅と食パン電車

う〜ん、今年もお盆がやって来ましたな。

うちの会社もお盆休み。
いつからだったか、8月11日が山の日として祝日になってから、毎年妙に長いお盆休みを頂戴することになった。

だけど、お盆なんてどこへも行きませんよ。
乗り物や道路は帰省ラッシュで混んでるし、交通費も高くなるし、第一どこに行っても混んでいるし、わざわざお盆に旅行する気になんてならない。

しかし暑いなあ・・・

モグタン元気かなあ。
そういえば、もう1年以上会ってない。

そうだ、またモグタンに頼んでどこか涼しいところに連れて行ってもらおう。

こんにちは〜、モグタンいる〜?

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 相変わらず暗いモグタンの図(撮影禁止のため筆者作成)

・・・・・

返事がない。

モグ・・タン?

もしかして 〇んだ?
近づいてモグタンを見ると、テーブルに突っ伏して寝ていた。

ムニャムニャ・・・いつの間にか眠っていたよ
モグタンは目を覚ました。

ああ久しぶり、あんまり暑いんで朝からビール飲んじゃったよ
モグタンは悪びれもなく言った。

ボクは着ぐるみだから暑いのは苦手なんだ
・・・もしかしてモグタンって中に人が入ってる???

せっかく来たんだからまあ1杯飲んできなよ

そういってグラスにビールを注ごうとしたが、カラだった。

モグタンさあ、ビールなんてよしなよ、ねえどこか涼しいところへ連れて行ってよ
いやだよ、ボクはここでまたビール飲んでるよ

ねえ、ビール買ってきて

じゃあまたタイムトラベルに連れてって、そうしたら向こうでビール買ってきてあげるから
ホント?
ああ、涼しいところにたのむよ

それじゃあ、いくよ

「クルクルバビンチョ・・・(以下略)」

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ここは2004年の富山だよ〜〜!

おお涼しい〜
空気がヒヤヒヤ〜・・・って 寒いぞオイっ
一体いつだよここは・・・12月かよ、寒いわけだ。

涼しいところに行くって言ったから一応ウインドブレーカーを持ってきたけど、それを羽織ると何とかなった。

ふっふっふ、私は2022年から来た未来人だ。

この先18年後までに起こる出来事は何でも知っている。
経済危機、大災害、テロ、パンデミック・・・

疫病がまん延するわ、愚かな戦争は始めるわ・・・
いくら文明が進歩しようとも人類ってのは全く変わらないもので、情けない・・・

ふっふっふっふっふ・・・

2004年の平和ボケの諸君。
今、何に投資すれば一番儲かるのかを予言して進ぜよう。

そこのあなた、100%当たります。

金を買いなさい!

全財産全ツッパでいきなさい。
10年後には3倍に、18年後には5倍以上になります。

90年代は下落基調だった金の価格は、2000年以降上昇に転じている。
しかし、この2004年現在に3倍にも5倍にもなると豪語しても信じる人はいないだろうな。
頭がおかしくなった人だと思われるのがオチ。

それに、過去の時代で滅多なこと口走ったら未来が変わってしまうことは十分ありうる。
最悪帰るところがなくなってしまう可能性だってあるのだ。
だから過去人との接触は、できるだけ慎まなくてはならないのだ。

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2004年の富山駅はまだ地平駅だったんだね。
さらに駅舎と並行するように富山地鉄の路面電車が走っていて富山駅前の電停がある。
この路線も、2020年には富山港線(2006年から2020年までは富山ライトレール)と直通運転するようになるのだから大したものだ。

それにしても、マスクしないで歩けるのはありがたい。
マスクなしで街を歩くなんて何年ぶりだろう。
だけど、慣れないな。
口元を他人に見られるなんて何だか落ち着かない。
18年後の未来人が暮らす世の中なんて、こんな情けないものだと思い知った。

電停に発着する路面電車を眺めていたら乗ってみたくなったが、これは2022年に戻っても健在だしなあ。
そうだ、北陸線と言えばあの電車がまだ走っているんじゃないかな。
さっそくJRの富山駅へ。

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電車に乗る前にまずは腹ごしらえ。
駅2階にある『とやま駅特選館』の食堂で白えび丼(630円)を食べた。
白えびのかき揚げが甘辛いタレと絡んでおいしい。

切符を買ってまだ有人改札の改札口を通って古びた跨線橋を渡る。
この頃の富山駅はまだ地平駅で、富山港線もまだJRの路線だった。

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おお、いたいた懐かしの食パン電車

ゴッパーサンこと583系寝台電車からの改造で、三段式寝台を有していた高い天井と、昼間は寝台を畳んで昼行特急として運用されることから、少しでも重心を下げようと天井の二辺を削ったような六角形の車体断面が特徴。

そんな寝台電車だったが、新幹線の延伸により余剰となり、本来ならば在来線特急に振り向けられるべき車両であったのだが、ボックスシートは不評で他の交通機関との競争力が低下するとのことから、近郊型電車として改造されたものだ。

419系というのが正式な形式名称なのだが、六角形をした中間車の妻面に103系電車のような運転台を取り付けた独特の風貌から、『食パン電車』の異名を名乗ることになった。

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さっそく車内に入る。
向かい合わせボックスシートながらも、ゆったりとしたシートピッチ。
普通電車としては申し分ないが、これが特急列車に使われていた頃は窮屈だったろうな。

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ボックスシートとはいえ元特急型。
向かい合わせに座っても、ひざを突き合わせることもないほどゆったりとしている。
壁側の窪みは窓側席のひじ掛け。
通路側のひじ掛けには折り畳み式のテーブルを内蔵している。

遜色特急だが、せめて向かい合わせ以外の居住性は良くしようとした苦心が垣間見れる。

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天井両脇のでっぱりは、三段式寝台が折りたたまれている。
昼行特急として走っていた頃は、ここに夜行で使用する寝具も収納されていた。

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近郊型ということで、車端部はロングシート化されている。
ロングシート部分の寝台は撤去されて、キハ40形と同じ金網の網棚が設置されていた。

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狭い出入口2箇所ではラッシュ時の車内整理は大変だっただろう。
乗客を少しでも奥に詰めさせようと、ボックスシート部分の網棚に吊皮が設置されている。

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金沢駅に到着。
ホーム上に設けられた電光式の乗車口案内が懐かしい。

2004年12月、この当時は北陸新幹線、長野〜金沢間延伸工事がフル規格で決定した頃だ。
この頃の人たちからすれば、そんなのはまだまだ先の話。
北陸は在来線王国だった。

これからどうするかな。
このまま乗り継いで大阪まで行くか。
それとも富山に戻って、今は無きJR富山港線に乗って岩瀬浜まで往復してくるか。

う〜ん悩むなあ・・・

ホームのベンチで思案していると、どこからか声が聞こえた。

ビール、ビール、早くビール頼むよ

そうだった。
タイムトラベル先でビールを買ってモグタンに届ける約束だった。
すっかり忘れてた。

しょうがない、ホームのキヨスクでビールを買うか。
そう思って立ち上がった途端、

「うわなにをする くぁwせdrftgyふじこlp」

気が付くとまたモグタンの部屋にいた。

ビール、ビール、ずっと待ってたんだからね!
えっ、ビール?
買おうと思った途端にモグタンに呼び戻されたんじゃないか

ぬわに〜!ビール買って来なかったんか!!

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 激怒するモグタンのイメージ(撮影禁止のため筆者作成)

モグタン、ごめんよう・・
いまからちょっとビール買いに出てくるからさ、もちろん僕のおごりだよ・・
ホント!?よ〜し、今夜は徹底的にやろうよ

というわけでビールを買いに外に出た私であった。
やれやれ、今夜は朝帰りかなあ・・・(T T)


posted by pupupukaya at 22/08/13 | Comment(0) | 架空の旅行記
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