◆ 知床3日目で晴れ
7月1日金曜日。
窓の外が妙に赤いので目が覚めた。
おはようございます。
朝3時半、知床の朝は早い。
外を見ると、空は一面のいわし雲が朝焼けで赤く染まっていた。
美しいのか不気味なのか何とも言い難い。
幸運と見るか、不吉と見るか・・・
朝3時半、朝焼けのいわし雲。
朝食券を見ると今朝の朝食会場は6時30分からとなっていた。
6時半でも朝早いが、こちらは3時半から起きているので待ち遠しかった。
6時半に朝食会場に行くと、ツアーらしき人たちが集まって入口は行列ができている。
1組1組席に案内しているからだ。
それでも空きテーブルも目立ち、昨日より空いているようだった。
知床あっぺメシのコーナー。
朝食バイキングのメニューは昨日と代わり映えせず。
今日は『知床あっぺメシ』。
鮭と昆布の混ぜご飯に醤油漬けのサーモンをのっけたもの。薬味は山わさびの醤油漬けで。
本当は出汁をかけていただくようだが、かけなくても旨い。
混ぜご飯とサーモンで少々くどいが、そこは山わさびの醤油漬けがピリッと引き締める。
てんこ盛りにした知床アッペメシ。
は〜食った食った。
今朝も腹12分目になってしまった。
朝食前はガスってきたりしてやきもきする空模様だったが、朝食後に外に出てみると空はきれいな青空になっていた。
1階のロビーにはツアー名を記した立て札があって、各ツアーの集合場所になっている。
もう荷物をもって集まっている所も。
ツアーは朝早いなあ。
すっかり晴れて空気も澄んだウトロ。
8時、身支度も済んだのでこちらもホテルをチェックアウト。
早い出発のようだが、ツアーの皆さんに比べれば遅い方。
バスの駐車場は既に出払った後だった。
◆ 雲海の知床峠と知床ブルーのプユニ岬
まず向かうは知床観光船おーろらのきっぷ売場。
今回の知床旅行の最大の目的である、船上からの知床クルーズ。
昨日乗る予定にしていたが、昨日はガス(海霧)っていたため今日に変更していた。
観光船乗り場はトンネルを抜けた先にあるが、先に手前にあるきっぷ売場でチケットを買う必要がある。
しれとこ観光船おーろらのチケット売り場。
早めに着いたからか、そもそも乗船客が少ないのか、窓口では並ばないでチケットが買えた。
10:00発の秘境知床岬航路は6,800円。
私はどうみん割のほっかいどう応援クーポンを8枚4,000円分持っているので、それを使って2,800円の支払いとなった。
う〜ん、いろいろ恩恵を受けてるなあ。
コロナ様様なんて言うと不謹慎だろうか。
こんなことでもないと知床岬を見ることなんてなかっただろうしなあ。
しれとこ観光船おーろらのチケット。
チケットは手に入れたので、乗船時間の9時45分頃までどこかで時間をつぶすことになる。
時間にして1時間半ほど。
昨日行かなかった知床峠に行くことにした。
ウトロからは片道20分もかからない。乗船時間までの時間つぶしにはもってこいのドライブコースだ。
知床峠、斜里町のカントリーサインと羅臼岳。
知床横断道路を登って行くと標高1,661mの羅臼岳がくっきりと見えてきた。
今日は峠からの眺めも良さそうだ。
峠の駐車場に着いて展望台から景色を見るとびっくり。
知床峠から根室海峡の雲海を見下ろす。
なんと峠から見下ろす根室海峡は雲海に覆われていた。
その向こうには国後島の山々が頭をのぞかせているではないか。
何とも壮大なスケールの雲海。
根室海峡の雲海と国後島。
あの島はわしらのもんじゃああああ!
いくら叫んだって帰っては来ない。
過去にチャンスがなかったわけではないが、当時の政治家が無能だったのだからどうしようもない。
バブル崩壊に平和ボケに染まった無能政治家、一番割を食ったのが私らの世代・・・
・・・ま、それは言うまいて。
もう少し先の見返り峠まで行けば雲海に近づけそうだが、今日はこれから観光船に乗らなければならないので引き返す。
途中プユニ岬というウトロを見下ろすポイントがあり、そこから見た海の色は知床ブルーと呼びたくなるほど青い色が印象的だった。
プユニ岬の見晴橋から見た知床ブルーとウトロの町。
ウトロへ戻ってきて、道の駅でトイレを済ませてからトンネルをくぐって観光船乗り場へ向かう。
◆ 知床観光船おーろらに乗る
オロンコ岩のトンネルをくぐった先は有料駐車場となっており、駐車場入口に係員がいるので400円払うことになる。
こんなところで駐車料金を取るのも世知辛い話だが、チップだと思えば腹も立たん。
ちなみに駐車場にトイレはないので、来る前に済ませるか、乗船後に船内でということになる。
駐車場には観光バスが2台停まっていたが、いるのは運転手とバスガイドだけ。
乗客は8時15分発のカムイワッカの滝航路の乗船中なのだろう。
ほかには、駐車場に早く着いた人たちが所どころで所在無げに過ごしている。
ウトロ港の澄んだ海水。
磯から海面を覗くと海水は澄んでいる。
海面はベタ凪。
船が揺れる心配はなさそう。
9時半になってそろそろ乗船口に並ぶことにする。
船内の席は自由席なので、席は早い者勝ちということになる。
先客は5〜6人。
駐車場で過ごしていた人たちもやって来た。
それでも20人もいないくらい。
こんなものなのかと思っていたら、観光バスが次々と到着して後ろはあっという間に大行列となった。
とにかく短期決戦のごとくスケジュールを詰め込んだツアーが10時近くまでゆっくり過ごさせてくれるはずもなく、観光船乗船も前に知床五湖あたりをひと観光してきたらしい。
逆に言えば、ツアーと人たちが到着する9時半過ぎまでに並んでいれば好きな席を取ることができそうだ。
カムイワッカの滝航路から戻ったおーろら。
9時40分を過ぎた頃おーろらが入港。
8時15分発のカムイワッカの滝航路から戻ってきた船だ。
おーろら号は網走の流氷観光船と同じ船。
冬は網走で、夏は知床で働いているわけだ。
船が岸壁に着くと乗船客がぞろぞろと降りてくる。
その後ろを小型のクルーズ船が通り過ぎて行った。
4月に知床沖で起きた海難事故は記憶に新しく、未だに多くの行方不明者がいて捜索活動が続く状態で観光船を運航するとは不謹慎だという意見もありそうだ。
さりとて観光船業者もいつまでも休んでいるわけにはいかない事情もある。
食ってかなきゃならないのは誰でも同じ。
心ない業者による信用失墜行為で知床の観光船の評判が落ちてしまったが、いつかは営業を再開しなければならない。
それにあの事故は人間による人災であって、知床の大自然に罪があるわけではない。
だから我々観光客が再び知床観光を盛り立てていかなければならない。
一足先に出航するクルーズ船のDOLPHINV。
事故のあと、この『おーろら』も営業を自粛して遭難者の捜索活動に当たっていたが、5月20から安全管理を徹底した上で運行を再開している。
他の小型クルーズ船も6月から再開したが、そちらは知床岬まで行くコースは今シーズンは中止となっている。
◆ 秘境知床岬航路へ出航
全員が下船すると、こちらは入れ替わりに乗船となる。
席はなんといっても右側がおすすめ。
知床の断崖や知床連山を見るなら行きは右側、帰りは左側となる。
と思って右側席を確保したが、行列の全員が乗り終わっても船室内はガラガラだった。
ツアー客は2階の特別席に席を取っていたようだ。
荷物に席番をさせる必要もなさそうだ。
船室を出て一番上の展望デッキへ。
ここが一番人気で、多くの客で賑わっていた。
一番人気の展望デッキ。
空はいつの間にか快晴となっていた。
こんな澄んだ空を見るのは久しぶりだ。
昨日船に乗るのをやめて今日にして大正解だった。
青空に映えるオーロラ号のレーダー塔。
10時、出航。
展望デッキから離れて行くウトロ港を眺める。
たまには船もいいもんだね。
出航風景は何度見てもワクワクする。
カメラはここまでコンデジを使っていたが、ここからはCanonの一眼レフの出番となる。
かさばるので旅行にはあまり持っていかないが、この観光船のために持ってきたのだ。
果たしてヒグマを写すことができるのか。
ウトロ港を出航。
大賑わいの展望デッキ。
だけどこの展望デッキはちょっと人が多すぎるな。
そう思って1階のデッキに移動した。
高さは低いけれど、こちらは海面に一番近く、小型クルーズ船と同じような目線での眺めだ。
ここから見ても海面はベタ凪。
本当にいい日に当たったようだ。
ベタ凪の岩尾別の浜と羅臼岳。
ゾウの足のような象岩。
五湖の断崖と知床連山。
船内放送があり何かと思ったら「10倍の双眼鏡を売店で貸し出してます」とのこと。
1,500円でうち千円は預り金で双眼鏡の返却時に帰って来るもの。
私は7倍の双眼鏡を持参してきた。
時どき船内放送で「ただいまクマが見えます」と流れるが、私の眼では一向に見つけることができない。
見つけた人もいて「あっいたいた」なんて言っているが、さっぱり見つけられず。
とりあえず撮影して、あとで画像を拡大して探すもわからなかった。
カムイワッカの滝と硫黄山。
出航から45分でカムイワッカの滝が見えてきた。
昨日はこの上流まで車で来たわけだ。
カムイワッカの滝と硫黄で黄色く変色した石。
知床連山が遠ざかり、山並みが低くなったところがルシャ湾。
このあたりは知床半島の山が低くなっていて、根室海峡側からオホーツク海側に吹き抜ける風の通り道となる場所で、ここから吹き付ける強風をルシャおろしと呼ぶんだとか。
周辺が凪いでいても、ここだけは高波ということもある船の難所となっている。
だけど今日は本当に穏やかで、このルシャ湾もずっとベタ凪だった。
山並みが低いルシャ湾は船の難所。
タキノ川の滝下に建つ番屋。
滝や奇岩を眺めながら船は14ノット(約25km/h)でゆっくり進む。
ベタ凪なのと大型船なので揺れはほとんどなく、船酔いしている人もいないようだ。
反面、小型船と違って入江に入ることもなければ、クマを見つけても近寄ることもできないのが難点。
所どころに設置してある定置網も避けながらの運航なので、隔靴掻痒な感じがしないでもない。
足を踏ん張ったタコの形に見えるタコ岩。
カシュニの滝は高さ30mから直接海に流れ落ちる滝。
ぽっかりと穴が開いたメガネ岩。
知床岬が近づくと奇岩が続く。
11時50分、船は知床岬の沖合へ。
平らになった段丘と灯台が見えてくる。
その向こうには国後島の島影がはっきりと見えてきた。
ああ念願の知床岬。
これで思い残すことはない。
知床岬が見えてきた。
知床岬と国後島が見える頃がこのクルーズのクライマックス。
船内には加藤登紀子が唄う知床旅情が流れる。
私は観光地で無神経な音楽を流すことを良しとしない人だが、ここのはいい演出だと思った。
岬の向こうにはっきりと見えている国後島がまたいい。
♪ 遥か国後に白夜は明ける
(森繁久彌作詞作曲 知床旅情より)
知床岬越しに見える島影は、船を漕いで行けばすぐに着きそうなほど近くに見える。
しかし遠い遠いかの国の支配となった島。
あれから70余年、かの国は遠い所でまた同じことを繰り返している。
知床岬と国後島。
岬の突端の磯には漁船の姿もあって定置網も見えた。
知床岬といえば、秘境知床の一番先で無人の断崖のようなイメージだが、実際はこんな突端にも人の営みがあるのだった。
船は岬の沖までは行かず、その手前でUターンする。
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