北斗市茂辺地に元『北斗星』の客車2両が保存されていて見に行ったたこともあるが、まさかそこに泊まれるようになったと知って驚いた。
潮風にさらされてボロボロになっていた車両を再塗装し、空調や給排水設備を取り付けて宿泊可能としたもの。
調べると、寝台単位ではなく4人用1ボックスを個室に見立てて、客室単位での予約受付となるようだ。
現役時代の寝台車のように他人と相部屋ということはない。
1室に寝台は4つあるが、1室の定員は2人として予約を受けつけていた。
予約と決済は楽天トラベルから行う。
2人部屋のシングルユースで1泊7,500円としているが、当面は特別価格で5,500円になっていた。
北斗星に乗りに・・いや泊まりに行くんだから列車で行きたいところ。
GWは『HOKKAIDO LOVE!6日間周遊パス』を使って道内鉄道旅行を決め込んでいた。
それで前半は前回記事の深名線バスと宗谷本線を乗り継いで稚内へ。
後半は道東の方にしようかと思っていたが、ホテルがGWの強気価格なのと割引プランも見つからないのでどうしたものかと思っていたところに、この北斗星スクエアを知って急遽函館・北斗行きとしたのだった。
◆ 札幌 7:43【北斗84号】函館 12:23
5月5日木曜日こどもの日。
今日は早起きして7時に家を出て、『北斗84号』で函館まで向かう。
北斗星以外に用はないのでもっと遅い列車でもいいのだが、この列車が『はまなす編成』での運転となるので、あえてこの列車を選択した。
コンコースで駅弁とビールを買ってホームへ行くと、はまなす編成こと『北斗84号』は入線していた。
指定席の車両は、指定券券売機で指定券を取ったときガラガラだったが、運転日の今日もガラガラのようだ。
カラフルな座席が並ぶ車内。
発車時刻になるころにはそこそこ席が埋まったが、それでも半分以上の列が空いている。
すいているのはこの列車に限らず臨時列車の宿命だ。
時刻表では『北斗』の一員として肩を並べているが、所要時間はなんと4時間40分。
函館到着時は、この1時間後に発車する『北斗6号』に11分差まで追い上げられるという鈍足ぶり。
誰だって休日に早起きしたくないしね。
昼頃に函館に着きたけりゃ、普通は北斗6号を選ぶだろう。
この列車は、どこをどうしたらそんなに時間がかかるのかは知らないが、こちらは早さよりも車両とか移動そのものを楽しみましょうというコンセプトと思えばいい。
こちらも、すいているおかげで朝から遠慮なく一杯やらせてもらうことができるってもの。
北斗星に乗る前祝に、幕の内弁当いしかりとビールで呑み鉄。
わざわざ臨時列車のはまなす編成を選ぶくらいだから、全員が函館まで乗って行くのかと思っていたら、登別や東室蘭までの人が多く、東室蘭を発車したら半分くらいにまで減ってしまった。
各車両、片手で数えられるほどの乗車率じゃ、せっかくのはまなす編成が泣くような状況。
それに比べて自由席の増1号車は盛況だった。
こちらは『はまなすラウンジ』となっていて、本来はパブリックスペースとしての活用を想定しているんだろうけど、営業運転時は自由席扱いとなっている。
『ノロッコ』号のようなレイアウトなので楽しそうだが、座席は固く、窓向きの席も横に他人がいるというのが結構あずましくないもので、ここで4時間以上過ごすのはちょっと・・・
ふらっと立ち寄って一時的に過ごす分には申し分ないんだけど、今日みたいにガラガラだと普通の客室内のほうが落ち着いて過ごせる。
はまなすラウンジの増1号車。通常は自由席扱いとなっている。
稀府で運転停車。
この先単線区間が所どころに存在するので、このような交換待ちが増えそうだ。
このあとも伊達紋別で『北斗3号』の待ち合わせ。
極めつけは森を発車した次の姫川信号場で『北斗9号』待ちの12分停車があった。
そんなに停車するんなら砂原回りにすればいいんじゃないかと思ったが、それだと大沼公園駅を通らないので、観光列車としては具合が悪いのだろう。
実際、大沼公園では自由席に何人か乗客があった。
函館駅に到着したはまなす編成の北斗84号。
がら空きのはまなす編成乗車とはいえ、4時間40分は結構な乗り応えだった。ようやく函館に到着。
この11分後には札幌を1時間後に発車した『北斗6号』が到着する。
のんびり走って来たはまなす編成も、函館に到着すると忙しい。
僅か22分の折り返し時間で、今度は12時45分発『北斗91号』として札幌に戻る。
到着して数少ない乗客が下車するとすぐに車内清掃員が乗り込んで行った。
◆ 函館市電で五稜郭公園へ
函館に着いたら摩周丸を見学するか、市電に乗って五稜郭公園へ行こうか迷っていたが、五稜郭公園に行くことにした。
桜でも観てこようというのと、やっぱり市電に乗りたかったから。
五稜郭公園は結構観光客が来て賑わっていた。
その代わり、桜はもう終わりかけていたのは残念。
函館はやっぱり観光客がいないと寂しいね。
あの悩ましかったインバウンドたちがいないのは、落ち着いて過ごせるのでありがたい。
観光客で盛況の函館市電。電停には案内員が立っていた。
函館駅に戻る途中、五稜郭公園近くのハセガワストアに寄ってやきとりのパックを買っておいた。
今夜の酒のつまみ用である。
ハセストは注文を受けてから焼いて作るやきとり弁当が有名だが、すぐに食べない場合は既に焼いたパック入りのものを買って、あとでチンすれば焼き立てと同じようにいただける。
函館駅で駅弁を買おうかと思ったが、駅弁は明日の楽しみにして、函館駅近くのマックスバリュで寿司とお酒を買った。
◆ 函館 15:15【128D】茂辺地 15:48
函館駅は一番駅舎側の1・2番ホームが実質道南いさりび鉄道用のホームとなっている。
2番ホームに旧塗色に復元された車両が1両停車していたので乗ろうとしたら『回送』の表示があった。
しばらくして1番ホームに急行型の旧塗色となった1両が入って来た。こちらが木古内行きとなる。
急行型と言っても単行なので、深名線や札沼線北部で走っていたキハ53形そっくりだった。
旧国鉄塗色車両が並んだ函館駅1・2番ホーム。
ホームにいた5〜6人が車内に入る。
懐かしいブルーのボックスシート。
かつては道内いたるところで使われて、普通列車で旅していると食傷気味にもなった車両だが、JR北海道のほうは急速にデクモと呼ばれるH100形への置き換えが進んでいる。あと数年もすればここ道南いさりび鉄道でしか見られなくなってしまうのだろうか。
青いボックスシートが並ぶキハ40形車内。
乗った時はボックス席も選び放題だったが、次々と乗ってきてデッキに立ち客もでるようになる。
半分は地元客っぽいが、あとの半分は観光客や私とご同業と察する方々。
みんな茂辺地で降りるのかなあ。
駅からぞろぞろと北斗星スクエアに向かうのかなあ・・・なんて思えてくる。
次の五稜郭でも乗ってきて、このボックスも相席となった。
1両編成ながら、休日にもかかわらず車内が盛況で結構なことだ。
午後の函館発だけあって、北斗市旧上磯町内の各駅では地元客が数人ずつ下車する。上磯を発車する頃には、地元客らしい人は少なくなった。
それでもまだ今どきのローカル線とは思えないほど乗客が多い。
上磯を発車してしばらくすると津軽海峡を望む高台を走る。
津軽海峡線時代に快速『海峡』や特急『白鳥』から飽きるほど見た車窓。
快晴で海も穏やかだが、春らしくもやっとした空。函館山も霞んでいた。
さて問題の茂辺地着。
茂辺地駅に到着。
やはり荷物を持った何組かが同時に席を立つ。
まあ、宿に着くにはちょうど良い時間帯の列車だしね。
ワンマン列車なので、下車時に運賃を支払う。
私は乗車券も整理券も持っていないので、6日間パスを見せて五稜郭からの運賃を支払う。480円。
なぜ乗車券を持っていないのかというと、函館駅の券売機で売っているのは函館〜五稜郭間のJR運賃込みの乗車券だから。
JR線内で有効な乗車券所持者が函館駅の券売機で乗車券を買ってしまうと、この1駅区間分余計に払うことになってしまうので注意したい。
同時に降りたほかの人たちは発車する列車の撮影をしてから向かう模様。
私はさっさと北斗星スクエアに向かう。
◆ 北斗星スクエアへ
駅を出て正面の通りを行くと、突き当りに『北斗星広場 約100m』と記した案内看板があった。
こういう何気ないところに親切というか温もりを感じますな。
旧中学校跡なので敷地が広い茂辺地北斗星広場。
またやって来ましたよ。
またとは、実は先々週に出張で車で通った時に、工事中の北斗星広場に立ち寄ってたのだ。
その前にも出張で通った時は立ち寄ってたし・・
おっと、内緒の話ね。
まあとにかく、宿泊施設として再スタートした北斗星スクエアである。
車両の手前に新しく小屋が立っていて、そこがフロントとなっていた。
北斗星スクエアのフロント小屋。
「こんにちはー」
と中に入ると、係のおねえさんがいた。
宿帳を書いてキーを受け取る。
朝は無人になるので、キーはロッカーに返してとのこと。
了解了解。
海外旅行で安宿に泊まるとこんなところばかりだったので慣れている。
これで終わりかと思ったらついてきてくださいと先導する。
色々調べてきてわかっているのだけど、説明は素直に「ハイ」と聞いておく。
貫通扉が客室のエントランス。
車内・・いや客室内は土足厳禁となっているのでスリッパに履き替える。
中に入ると、日向に放置していた車と同じ空気を感じる。
「車内は暑いですけど、5時になったら係の人が来て空調入れてくれますから」
そのあとシャワー室の使いかたや、トイレは外にあることなど説明を受ける。
玄関と1つしかない共同洗面所。
キーは2つあって、1つは車両の出入り口となる貫通扉のもの。夜間は施錠するので、車内からの出入りはこのキーを使ってくれとのこと。
もう1つは、B個室ソロのキー。
こちらは鍵がかかるので荷物置き場として使ってくださいとのこと。
「こっちで寝たらだめなんですか?」と聞いてみた。
「一応簡易宿泊所ということになっているので、鍵のかかる部屋は使えないんですよ」
あとで調べたら、鍵のかかる個室に寝泊まりさせると、法令上は『旅館』の扱いとなり、それに相応しい設備を追加する必要が出てくるようだ。
「まあでも、そこはご自由にどうぞ」
同じことを聞く人が多いのか、おねえさんは笑って答えた。
さて、今夜の宿となるB寝台。
正確には『Bコンパート』。
北斗星2往復時代は、1・2号の車両はJR北海道持ち、3・4号がJR東日本持ちとなっていた。
このBコンパートは北斗星1・2号に連結されていた車両。
BコンパートとはB寝台のボックスに扉を設けて、4人利用の場合は個室とできるようにしていた。
発売は部屋ごとではなく解放寝台と同様に寝台ごとの個別発売としていたから、コンパートとは名ばかりで、通常は扉も開けっ放しで解放B寝台同様に使用されていた。
客室ルームになったBコンパートの通路。
「私は5時までおりますので、それまで何かありましたらフロントにお越しください」
と案内のおねえさんは戻って行った。
向かい合わせ2段ベッドのB寝台がそのまま使われる客室。
4人1組のコンパートだが、宿としては2人部屋となっている。
扉はガラス戸だが、カーテンが設置してあるのでプライバシーの確保は可能。
コンセントが新設されている以外は基本的に現役当時のまま。
テーブル下の灰皿もそのままで、車内に禁煙の表記も見当たらなかったから本当に灰皿として使う人が出てきそうだ。
下段寝台の上には寝具(シーツ、掛け布団、枕)が置かれている。
麻袋の中身は、タオルとバスタオル、それに歯ブラシと紙コップ。
ソープやシャンプー類は洗面所とシャワー室に共用のボトルが備えてあるし、一応必要なものは全て揃っている。
まぎれもなく現役時代の寝台車そのもの。
腰かけて見渡すと懐かしい眺め。
でも、シーンと静まり返って物音ひとつしない車内ってのも妙なものだね。
それにしても暑い。
日当たりのいい場所だから、車内が温室みたいになってしまうわけだ。
空調は故障でもしているのだろうか。
上段寝台も現役時代そのまま。
車窓からの風景。
元Bコンパートなので、ドアを閉めて施錠することもできる。
テーブルのセンヌキ。瓶ビールを持ってくるんだった。
茂辺地駅で一緒に降りた人たちが来る前にササッとあれこれ撮影してしまう。
こちとら鉄道ファンの端くれですからね。そこのところは抜かりなく済ませる。
今列車で着いた人たちとは別に、車で来た人たちは先に滞在していた。
ロビーカー、じゃなかったロビー室かな。
JR東日本編成は1両丸ごとロビーカーだったけど、JR北海道の車両はロビー・ソロの合造車となっていた。
共用スペースのロビー室。
奥のガラス張りの個室は電話室だった。テレホンカード専用の公衆電話があった。
まだ携帯電話など近未来の話だった時代に、ここから実家に電話をかけたことがあるよ。
当時は車内から電話ができることすら画期的なことだった。
このスペースは今は冷蔵庫と電子レンジが置いてあって自由に使える。
電話室と反対側には自販機があるが、これも現役時代からそのままの物らしく、電源は入っていなかった。
飲み物が欲しくなれば、最寄りの自販機は茂辺地駅ということになる。
あと茂辺地にはスーパーもコンビニも無いので、食料や飲み物は持参する必要がある。
駅近くに寿司屋が1軒あるが、今日は閉まっていた。
広場にあるコンテナハウスはカフェやラーメン屋だったこともあるが、今は営業していない模様。
ロビー室反対側から。自販機は使用不可。
鍵が掛かるソロは荷物置き場となる。
暑いので外へ出てあちこち見てくることに。
あらためて外から車両を見る。
一時は錆びだらけで塗装も変色し、廃車置場のようになっていたものだが、すっかり修復されてきれいになった。
しかし、このまま野ざらしだとまた同じようになってしまうだろう。
せめて屋根でもかけてあげたいところだけど、その費用を捻出するとなるとまた大変な話になるし、難しいところなんだろう。
海から潮風が吹いてくる場所だけに腐食も早そうだ。
北斗星の現役時代だって、塩害を受ける青函トンネルを毎日通るうちに塗装が剥げて錆が出ている車両をよく見たし、酷いのになると全身皮剥け状態のようにボコボコになった車両まで見ることがあった。
茂辺地の北斗星車両も、錆びては塗装し、錆びては塗装しの、いたちごっこになってしまうのだろうか。
北斗星『オハネフ25 2』と『スハネ25 501』外観。
ブルーの車体に金帯が北斗星のデザインだった。
北斗星エンブレムと行先表示幕。
北斗星は最後に乗ったのは2006年。
当時発売していた29,500円の『札幌・東京フリーきっぷ』で東京までの行き帰りに利用してのこと。
そのときの旅行記はこちら
北斗星スクエアが現役当時だった頃の『北斗星1号』車内の画像があります。
もう1度くらい乗っておきたかったな。
後悔してもしょうがないんだけど。
◆ 北斗星の夜
5時を過ぎたけど一向に空調が入る様子はなかった。
夕方になって気温が下がって来たので、車内の室温も自然と下がってきた感じ。
日もだいぶ傾いてきたことだし、そろそろ一杯始めることにする。
ハセガワストアのやきとりは、ロビーの電子レンジでチンしてきた。焼き立てのような香ばしさが復活。
酒と寿司はマックスバリュで買ってきたもの。
お酒は金滴北の純米酒。
寝台車の気分でチビチビやろうかと日本酒を買ってきた。
こう暑いとビールの方が良かったかな。
本日のディナー。マックスバリュの寿司とハセガワストアのやきとり。
窓からは傾いた西日が入るようになった。
時刻は18時10分。
〜上野発北斗星1号ならば宇都宮到着前。
〜札幌発北斗星2号ならば苫小牧を発車した頃。
食堂車では1回目のディナータイムが始まった頃だね。
食堂車の予約制ディナータイムなんて高くて行けないからね、こちらは寝台車のテーブルに酒と料理を広げてディナータイム。
パブタイムになったら食堂車に行ってみるか・・・ナンチテ (^^;
車内は暑いせいか、表のテーブルで食事をとる人が多い。
気づくと窓の下に近所の飼い猫だろう。首輪をつけた猫が遊んでいた。
気分だけはブルートレイン。
相変わらずシーンとした車内。
時どき隣室の人の会話が筒抜けで聞こえてくる。
客車なんて常に走行しているものだから、基本的に寝台車の仕切りは防音仕様になんてなっていないからね。
足音とか話声は意外と大きく車内に響く。
黄昏時の北斗星。今にも発車しそう。
食べ終えたらごみ出しとトイレを兼ねて外へ出る。
いつの間にか5月なんだな、7時を過ぎても空は明るい。
広場は照明もなく、客車の窓から明かりが漏れる様はまさしくブルートレイン。
2両だけしかないのは寂しいところだけど。
ひとつ贅沢を言わせて貰えば、北斗星のテールマークも光っていれば良かったんだけどな。
こちらは側面表示幕ともども消灯したままだった。
車内に戻ったら、今度は1人用B個室寝台だった『ソロ』の室内に席を移し、ここで二次会をすることにした。
このブログ記事で北斗星の旅行記としているのはB寝台だけど、個人的に北斗星で一番懐かしいし馴染みもあったのがソロの下段だったりする。
なぜかソロは下段が当たることばかりだった。だから余計に懐かしい。
1990年代だった当時利用していたのは、ほとんどが上野行き上り列車だった。
『北斗星』で上野に着いて、帰りは急行『八甲田』というのが定番だった。
八甲田としたのは、当時あった周遊券では、周遊地までの行き帰りに急行の自由席は料金なしで利用できたから。
当時と同じようにテーブルにお酒を置いて、夜景を眺めて、まだ20代前半だった頃の私ならば、煙草の煙を燻(くゆ)らせていた。
色んな事を思い出すな。
個人的に一番懐かしいソロ下段。
最後にソロに乗ったのはたしか2000年のGWだった。上野から札幌まで。
だからこのソロとは22年ぶりの再会となる。
あの時は有珠山噴火による海線不通のため、山線の迂回運転だったなあ。
最後に北斗星に乗った2006年は、劣化しないデジカメの画像が残ってるので、そんなに昔という感覚はない。それでも16年前の出来事になる。
だけどよく北斗星のソロに乗った1990年代となると、さすがに遠い昔の出来事だと思うようになった。
もっと写真を撮って残しておけば良かったな。
あの頃、私は旅行先で写真というものをほとんど撮らなかった。
90年代以前は、今みたいにデジカメやスマホじゃないからね。
バカスカ撮ったらフィルム現像代だけでも結構な値段になってしまうから。
もう1つ理由があって、それは故宮脇俊三氏の “カメラの功罪” という随筆にあった。
その中の “カメラを持参しない。自分の眼さえあれば十分” という一文。
若かった私は、氏のカメラ不要論に感化されていたのだった。
バカスカ撮るようになったのは一眼レフを買ってから。
その頃には現像代もかなり安くなっていたし。
デジカメを買ってからは現像代も写真の保管もいらなくなり、誰はばかることなくバカスカ撮影するようになった。
しんみりとソロの旅を思い出す。
お酒をチビチビやりながら昔のことを考えていたら、いつの間にか座ったまま寝落ちしていた。
22時50分、ここはどこだ?
〜上野発北斗星1号ならば一ノ関と盛岡の間を走行中。
〜札幌発北斗星2号ならば青函トンネル走行中。
お酒も全部飲んでしまって、自室のB寝台に戻る。
ベッドメーキングは自分でやるのはこちらも同じ。
シーツを敷いて枕と掛布団を載せると座席から寝台に早変わり。
寝台車は座席をベッドにするのは万国共通。
カーテンを引いて、おやすみなさい。
コンパートの天井にある蛍光灯は灯ったまま。
これは室内にスイッチがあるわけではないので消すことはできない。
現役の頃の営業運転中であれば、車掌の「これより先深夜帯に入ってまいります」で始まる『お休み放送』のあとで通路の照明だけ残して消灯したものだが、夜は無人となる北斗星スクエアでは一晩中煌々と灯ったままとなる。
そこは寝台のカーテンを閉じて眠るしかない。
それにしても走っていない寝台車ってのも妙なものだね。
横になって見えている眺めは紛れもなく『北斗星』や『はまなす』のB寝台と同じはずなんだけど。
同じ眺めなのに物音ひとつせず揺れもないという新しい感覚に頭がついていけないようだ。
品目 | 場所 | 金額(円) | 備考 |
宿泊費 | 北斗星スクエア | 5,500 | 事前クレジット決済 |
駅弁 | 札幌駅弁菜亭 | 850 | |
ビール | 札幌駅キヨスク | 284 | パス特典10%引 |
五稜郭公園前往復 | 函館市電 | 460 | Kitaca使用 |
やきとり2パック | ハセガワストア | 691 | |
夕食と酒と朝食 | マックスバリュ | 2,335 | |
五稜郭→茂辺地 | 道南いさりび鉄道 | 480 | |
水2本 | 茂辺地駅自販 | 220 | |
5/5 合計 | 10,820 |
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