◆ 12:35 → 16:19 【大雪4号】
網走駅では42分の待ち合わせ。
改札口を出て待つことになる。
駅前では、さっき『しれとこ摩周号』の車内で運転士に放送で「トイレでタバコを吸わないでください」と注意されていた茶髪のオッサンが、スマホで電話しながらまたタバコを吸っていた。
ああして一所懸命タバコを吸って納税してくださるのだ。
いち国民としてはありがたやありがたや、合掌。
だけど、車内のトイレは喫煙所ではありませんぞ。
縦書きの駅名看板が特徴の網走駅。
『網走監獄』の顔出しパネル。
網走駅の待合室ではモリヤ商店の売店が営業している。
キヨスクはすでに無く、駅横にあったコンビニもだいぶ前に無くなったし、駅近くにコンビニも無いので待合室のモリヤだけが唯一買い物できる場所となる。
網走駅から特急に乗る際は、ぜひここの『かにめし』を買って車内で味わいたい。
しかし今日は朝食をたらふく詰め込んだので、さすがにちょっと・・・
まだ腹が突っ張ってる感じがする(涙)
旅行の楽しみが減るので、くれぐれも朝食バイキングの食べすぎには注意しましょう。。。
大雪4号の改札を待つ網走駅コンコース。
石北本線を走った歴代のヘッドマーク。
12時18分着の札幌からの『オホーツク1号』が折り返しで『大雪4号』となるのだが、10分か20分遅れて運転となるのが常なのだろうと思っていたら、珍しく(?)今日は定時運転で到着した。
到着しても今度はわずか18分で折り返すのだから忙しい列車だ。
12時25分、改札が始まる。
大雪4号はキハ183系の4両編成。
以前は角型スラントノーズが特徴の初代キハ183車両だったが、一部が旭川止まりの『大雪』となってからは貫通路付きの2代目車両になった。
この2代目の車両が最初に登場したのは国鉄末期の1986年。
JRになってからも増備が続いて、今日先頭に立つキハ183-8566は調べたら1990年製造とのこと。
183系は見た目こそ初代の角形と貫通路付き2代目の2種類だが、製造年やエンジンの型、最高速度に至るまで様々なバリエーションがあって検修現場を悩ませる車両でもあったという。
そんなこともあってか次第に姿を消してゆき、今残っているのは石北系統の特急だけだ。
石北本線はキハ183系の最後の砦。
車体は塗装が剥がれて錆が浮き出ていたり、製造から30年以上という古さがあちこちにじみ出ている。
末期の『北斗星』や『はまなす』の車体を思い出す。
この車両の活躍も長くないことを思わせる。
一方で、車内は座席が交換され、床も新しく張り替えられているので古さは感じないあたりは、辛うじて特急の面目を保っていると言えよう。
網走始発時点ではガラガラの4号車自由席。
1号車指定席もガラガラ。
えきねっとで調べたら、大雪4号の指定席はまずまずふさがっている。今から窓側の席を取ろうとしても数えるほどしか空いていない。
しかし、網走始発時は空席だらけ、ガラガラだった。
川湯のセイコーマートで買った缶ビールをウエルカムドリンク代わりに呑み鉄としよう。
サッポロクラシックで呑み鉄。
網走を発車すると結氷して真っ白になった網走湖を見ながら走る。
氷上にはワカサギ釣りのテントがいくつか見えた。
随分新鮮な風景に思えたのはどういうわけか。
網走から特急に乗るのはいつ以来かなあ。
・・・思い出した、2012年に流氷を見に行った時以来だ。
それくらいかなあ。
あとは北見や遠軽から乗った記憶ばかり。
その前だと夜行オホーツクの記憶になっちゃうね。
もっと前だと夜行急行『大雪』だな。あの頃は2・3番ホームにもモリヤの売店があったな。
急行『大雪』の発車前に、飲まず食わずの釧網線から乗り継いで猛烈に腹が減っていたので駅弁を2つ買ったら、
「あんた1人で2つ食べるのかい?」
もう30年以上も昔に、今でも店番やってる当時まだ若かりし頃の親父から言われたのを懐かしく思い出す。
氷結して真っ白の網走湖。
女満別、美幌と停車するが乗車客はそれほどいなかった。
寂しい車内のまま発車する。
そういえばこの特急も自動放送となっていた。
男声の日本語、女声の英語、中国語と3本立てなのは他の列車と変わらず。
だけど1つだけ進歩していることあがあった。
それは、中国語の声が少しハスキーボイスになっている。
たまに特急列車に乗るたびに悩まされるキンキン声の中国語放送だが、この『大雪』では大いに改善されている。
つか、それ以前にもう不要のような気もするけど。
風格があるけど無人駅になってしまった美幌駅ホーム。
列車はまもなく釧路以来の大都会、北見に到着する。
駅の手前の貨物線には『タマネギ列車』の愛称で呼ばれるコンテナ貨物列車が停車中だった。
石北線最大の都市、北見から乗ってくる人は多く、ガラガラだった車内は賑やかになる。
スーツケースを引いた人は少数派で、旅行鞄を持った人が圧倒的に多い。
やはり、帰省のUターンがまだ続いているのだろう。
北見駅手前に停車中の『タマネギ列車』の名で呼ばれる貨物列車。
北見からは特急らしい乗車率となった大雪4号だが、それでも4両編成というのが悲しいところ。
以前乗った『オホーツク』は、冬は2両増結して6両で運行されることが多かった。
当時は冬になると鉄道の方が所要時間や安全性で優位だったこともある。
今は逆で、鉄道が真っ先に止まるようになってしまった。
『冬こそJR』のキャッチコピーを耳にしなくなったのはいつからだろう。
金華信号場で4663D普通列車と交換。
スイッチバックの遠軽駅に進入。ビデオカメラは前席の客の物。
列車はもうすぐ遠軽駅へ。
かつて車内販売のワゴンサービスがあった頃は、ここから『かにめし』の積み込みがあったものだ。
遠軽からもたくさん乗ってくるのかと思っていたが、ホームに立つ人は意外にも少なかった。
遠軽駅からの乗客は少なかった。
特急の半分が旭川止まりの『大雪』になろうとも、駅弁のかにめしが無くなっても、遠軽駅には変わらぬ伝統がある。
それは、遠軽名物座席回し。
遠軽駅はスイッチバックする構造になっていて、ここを直通する列車は必ず進行方向が変わることになる。
そのままだと全員後ろ向き走行になってしまうので、全員立ち上がって座席の回転作業を行うのだ。
前後の席のタイミングを見計らってやらなきゃいけないし、うっかり背もたれのマガジンラックに自分の物を入れたまま回転してしまうと、
アレッ!?どこいった!?・・・
などとなってしまうので注意(この場合2つ後ろの人の席に行ってしまう)。
かつては道内特急では『スーパーカムイ/エアポート』の札幌駅、新幹線新青森開業前の『スーパー白鳥』の青森駅なんかで見られた光景だが、今は遠軽駅だけとなった。
ある意味貴重な体験とも言える。
盆回りならぬ座席回り。遠軽駅停車中。
Uターン帰省を思わせる網棚の荷物。
白滝を発車すると、連続25パーミルの勾配が10km近く続く峠越えが始まる。
『タマネギ列車』の名で呼ばれるコンテナ貨物列車が重連なのも、この急勾配を登るためだ。
スマホの速度計アプリで見ると、45〜50km/hを行ったり来たり。
非電化鉄道では難所クラスの25パーミル勾配だが、強力エンジンの2代目キハ183系のエンジン音だけ聞いていればまだ余裕がありそう。
そう遠くない将来、石北特急も261系車両に置き換わると思われるが、そうなったらもう少し速く走れるのだろうか。
しかし、車両の性能が向上しても、R300mの急曲線が連続する線形の悪さはどうにもならない。
石北トンネルを抜けて下り勾配になっても、中越信号場の辺りまではずっと50km/h台のままの走行だった。
だから、車両を一新したくらいでは石北線の時間短縮は望めそうもない。
通る車を見ない国道333号線と交差。
きれいに除雪された上越信号場を通過。
無人の山間部を走る。上越〜中越間。
くねくねと谷に沿って坂を下ってきたが、上川からは線形が良くなって今までのスローっぷりを挽回するような走りになった。
ところで、よく石北線は高速化から取り残されたなどと言われているが、国鉄時代に根室線や宗谷線に先んじて高速化が行われていたことは意外と知られていない。
全線で最高速度は85km/h→95km/hに引上げられ、新旭川〜上川間の一部の駅では1線スルー化工事も行われた。
そのスピードアップは国鉄最後の1986年11月ダイヤ改正に表れている。
以下は旭川〜網走間の下り列車の所要時間比較。
【改正前】3:56〜4:10 → 【改正後】3:42〜3:58
このおかげで12〜14分の時間短縮を実現した。
しかしJRになってからは、今になるまでこの所要時間から変わっていないのは残念なところ。
伊香牛からは平坦な上川盆地を走る。線形もこの辺りが一番良く、列車は旭川へ向けてラストスパートとばかりに快走。
1線スルー化された駅は速度を落とさずに通過する。
車窓には夕日に照らされた大雪山が見え隠れするようになった。
この列車名の由来である、大雪山を背景に走る特急大雪ってのは絵になる写真だろうなあ。
私は撮り鉄をやらないので、かわりに誰か撮ってくれませんかね (^^
当麻〜伊香牛間なんてうってつけじゃないでしょうか。
上川盆地に夕日が沈む。中愛別〜愛別間。
夕日に赤く照らされる大雪山連峰。伊香牛〜当麻間。
このまま札幌まで行ってくれたら楽なんだけどな。
ところがこの車両は旭川に着いたら46分の折り返しで網走行き『大雪3号』となるので、まったく忙しい車両だ。
極寒の山越えで凍(しば)れついたドア。
特急大雪4号は定時に旭川到着。
ホームの向かい側には接続する『ライラック34号』が停車していた。
◆ 旭川 16:30 → 札幌 17:55【ライラック34号】
このままライラックに乗り移ればいいのだが、この旭川での10分間で駅弁を買ってくることはできないものかと、ちょっと挑(いど)んでみることにした。
旭川駅に到着。左が『大雪』、右が『ライラック』。対面乗り換え。
階段を下りて改札口へと向かう。
走ってはいけませんよ。
東改札口から出て反対方向へ回り込む。
あった、まだ営業していた。旭川駅立売商会の売店。駅弁は残り少なくなっていたけどゲットできた。
で、ここで最後の1枚残っていたどうみん割のクーポン券を使い切った。
目的を果たし、そのまま進んで出たのは逆の西改札口から入ってホームへと上がる。
くれぐれも走らないように。
発車3分前にライラックに乗車完了。
階段を下ってからここまでの所要時間は7分だった。
まあこれはダメもとで、仮に乗り遅れても次の列車の自由席に乗ればいいだけなので試してみたことなので、おススメはしません。
とにかく、駅弁の入手とクーポンの使用は成功したので、一杯やることにしよう。
飲み物を買っている時間はなかったので、今朝宿の売店で買った福司を飲むことにした。
チタンのマグカップを持ってきていたのでそれに注ぐ。
駅弁は『蝦夷わっぱ』(1,180円)、クーポンの500円引きで680円となった。
海鮮ちらしの駅弁版といったところ。
イクラ、蒸し雲丹、海老、ホタテ、サーモン、カニフレークと色とりどり。
福司も買っておいて良かったな。
え?まだ金曜日の就業時間中だって?
いいじゃない、車内だって大雪4号から乗り継いだ人ばかりで早くも休日のようだ。
旭川駅弁『蝦夷わっぱ』を肴に福司で一杯。
エンジンの音と振動がけたたましい大雪から電車のライラックに乗り換えると、静寂な世界に感じる。
スーーーーっと滑るような走り、時々床下からガン、ドンと雪塊がぶつかるような音がするくらいだ。
やっぱり電車はええなあ。
大雪4号からの乗継客のほか、指定席は結構人気のようだ。
江別市内に入るともうすっかり札幌に戻ってきた気分だ。
北見市内の高校のジャンパーを着た部活の遠征らしい学生の一行が乗っている。
車窓から見える江別のイオンを指差して
「あれがイオン?でか〜い」
苗穂のアリオを見て
「あれアリオじゃな〜い?」
なんて言っているのが何だか微笑ましい。
さてもうすぐ札幌到着。
車掌による到着放送の最後に、
「今日も数ある交通機関の中からJRをご利用くださいましてありがとうございます」
と言ったのが妙に耳に残った。
帰宅ラッシュの札幌駅に到着。
札幌に着いて列車を降りればそこは金曜日の夕方ラッシュのホームだった。
各乗車口は帰宅通勤客の長蛇の列。
ここからラッシュの地下鉄に乗って帰るのはちょっとうんざりする。
HOKKAIDO LOVE! 6日間周遊パスは使用開始からまだ2日目。
この時点でも十分モトは取ったが、これで終わりにするのはもったいない。
明日からの後半は道南へ向かいます。
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