JR北海道2022年3月ダイヤ改正に思うこと

JR北海道のホームページに2022年3月ダイヤ改正が発表されました。

 JR北海道ニュースリリース 2021.12.17
 2022年3⽉ダイヤ改正について

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 JR北海道ホームページ “2022年3⽉ダイヤ改正について”より引用。

私は鉄道アナリストではないので、ここでダイヤ改正内容の是非を論ずることはしませんが、今回のダイヤ改正で注目したところを2つ取り上げてみたいと思います。
そしてそれは、北海道の鉄道の今後を予見するもの。また、JR北海道の叫びにも感じました。


 1,駅の廃止7駅について

2022年3月ダイヤ改正で廃止となる駅。

函館線5駅:池田園、流山温泉、銚子口、石谷、本石倉
花咲線1駅:糸魚沢
宗谷線1駅:歌内

これまでは廃止になる駅と言えば、元々集落などなかった場所に設けられた仮乗降場などを出自とする駅や、過疎化で駅前が限界集落と化したために『極端にご利用の少ない駅』のうち、乗車人員が1日1名以下となった駅が対象となっていた。

駅前に町も集落もない、あるいは農家が数戸点在するだけといった駅が廃止されるのは、誰の目から見ても仕方がないと思うところだ。

しかし、今回のが違うのは、駅前にまとまった町や集落があるにも関わらず廃止となる点である。
上記の廃止駅の中で駅前に集落の無い駅は歌内駅流山温泉駅くらいで、あとは駅前にそれなりの集落がある場所となっている。

特に函館線の石谷駅本石倉駅の場所は、国道5号線は車でよく通るのでよく知っているが、道沿いに家がずっと続いていて、市街地と呼べるほどではないにしろ、それなりに人が住んでいる場所である。

それでも廃止になるとは、地元住民からの見捨てられようにも程があるんじゃないかと思えるが・・・
函館線と並行する国道は函館バスの路線バスが通っているので、駅を廃止しても問題ないという判断だったのだろうか。

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 2023年3月改正で廃止になる石谷駅(2021年7月撮影)

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 2023年3月改正で廃止になる本石倉駅(2021年7月撮影)

もう1つ注目したいのが宗谷線の歌内駅

この駅は、JR北海道が2017年3月のダイヤ改正での廃止を地元の中川町に要請したが、中川町の拒否により廃止できないでいた。

駅の維持管理にはお金がかかる。北海道の場合は、冬季の除雪費用もかかるのでなおさらだ。
その後JR北海道の経営悪化により、駅の廃止か、自治体による維持管理での存続かを迫られるようになった。

歌内駅は、2021年4月より駅の維持管理を中川町が行うという条件で存続する自治体管理駅となったもの。
しかし町による維持管理は難しいという声が上がり、住民の理解も得られたとして、今ダイヤ改正をもって廃止ということが決まった。

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 雪に埋もれた歌内駅(2020年12月撮影)

2021年から自治体管理駅となった駅は歌内駅を含めて、宗谷線に17駅、石北線に1駅あるが、歌内駅はその中で廃止になる駅の第1号となる。

今回ダイヤ改正の廃止駅が今までと違うのは、1つが駅前にまとまった集落があっても、利用者が少なくて地元の同意が得られれば廃止の対象となるということ。
2つ目が、自治体管理駅に移行した駅でも、負担が重くて維持が困難と判断すれば、自治体の方から廃止に向けて動くということだ。

今後は駅の廃止の動きがますます加速するんだろうなと思える動きではある。


 2,特急おおぞら編成

特急『おおぞら』と言えば札幌と道東を結ぶ特急であり、北海道で最初に運行を開始した特急列車でもある。

1997年のダイヤ改正からキハ283系車両を導入して『スーパーおおぞら』として運行開始していた。
札幌と道東の時間短縮は素晴らしく、例えば2004年の時刻表から『スーパーおおぞら』最速列車の所要時間を見てみる。

 札幌〜帯広間:2時間09分
 札幌〜釧路間:3時間34分

この当時どれだけ人気だったかを、当時の拙ブログの旅行記から引用してみる。

 2004年道東鉄道旅行記3: PUPUPUKAYA WORLD
“札幌行スーパーおおぞら2号の自由席に乗る。基本の編成は6両だが、今日は9両。スーパーおおぞらは人気があり、常に2〜3両増結して走っている。”

この当時は道東自動車道は夕張IC〜十勝清水ICが未開通。車ならば霧や事故で悪名高かった国道274号日勝峠越えで行くしかなかった頃だ。
多客期には増結して、最大11両編成というのも見られたようだ。
基本編成は2007年に1両増えて7両編成になっている。この頃がピークだったのだろう。

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 西早来信号場ですれ違う7両編成のスーパーおおぞら。(2010年11月撮影)

その後は道東道の延伸が進み、2011年に道東道の札幌と帯広圏の間が全通、延伸はさらに続いて2016年には阿寒ICまで開通している。

『おおぞら』はというと、2011年の石勝線で起こった脱線・火災事故をはじめ車両のトラブルが相次ぐようになる。
車両の不具合やメンテナンスで車両不足となり、それまでのような長大編成は見られなくなった。

インバウンド客の増加で、それらの輸送が盛んになりかけたものの、2020年明けから始まった新型コロナウイルス。
この影響により、基本編成6両から減車して5両編成となった。乗客減の一番ひどい時には4両編成になったこともあったが、あくまで一時的な措置ということだった。

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 再び基本の6両編成に戻ったおおぞら(2021年1月撮影)

それが2021年3月改正で正式に基本編成5両となった。

今回発表の2022年3月ダイヤ改正は5両編成は変わらないが、ご利用の少ない時期には4両編成になるのだという。

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 JR北海道ホームページ “2022年3⽉ダイヤ改正について”より引用。

去年の4両編成化はコロナウイルスの影響による一時的なものだったが、今改正後の減車は計画的なものとなる。
この流れでは2022年の次の2023年のダイヤ改正ではついに『おおぞら』も4両が基本編成になってしまうのだろうか。

『おおぞら』は長らく北海道の特急のエースだった。
国鉄時代は、新型特急車両が導入されると、真っ先に『おおぞら』に投入されたものだった。

ローカル線廃止が相次いだ国鉄末期〜JR発足当初にかけて、札幌を初めとした都市圏輸送と都市間輸送を担う特急列車は、JR北海道にとって期待の星だった。

しかしあれから30年。
高速道路網が整備された今は、道央と道東の都市間を結ぶ特急も例外ではなく、ここまで利用者減が深刻なのだと思い知らされた。

4両編成のおおぞらなんて見たくない・・・

さらに深刻なのが宗谷線と石北線の特急だろう。
今回の改正で特に動きはないが、大雪とサロベツの計画運休は継続のようだ。

 ★  ★

2021年はもうすぐ終わるが、依然として終わりの見えないコロナウイルス禍。
北海道だけでなく、2022年3月ダイヤ改正はJR各社も大幅な減便としている。
仮に収束しても、乗客が戻ってくるまでには長い時間がかかると見越してのダイヤ改正の内容だ。

前向きな話題もあって、学園都市線にロイズタウン駅の新設、東風連駅を名寄高校駅として移転・改称がある。
ロイズタウン駅については『?』と思うところもあるが、話が長くなるのでそれについてはまたどこかで。

コロナ禍が無いと仮定しても、この減便・減車トレンドはそう簡単には止まることは無いだろう。
今ダイヤ改正での駅の廃止とおおぞらの減車が、JR北海道の叫びのように思えたのは私だけだろうか。

北海道の鉄道に関しては、少なくとも2030年度とされている北海道新幹線の札幌延伸開業までは、前向きな話題はなさそうだ。

〜最後までお読みいただきましてありがとうございました。


posted by pupupukaya at 21/12/18 | Comment(0) | 鉄道評論
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