2030年度の札幌延伸開業を目指して工事中の北海道新幹線。
山の中でのトンネル工事はあちこちで目にしますが、札幌駅はまだ動きがないようです。
しかし、札幌駅でも新幹線駅を設置するための準備工事が着々と始まっています。
今回は、新幹線工事が本格化する前の札幌駅を見てきました。
ステラプレイスやJRタワーがそびえ立つ札幌駅南口正面。
そもそも新幹線札幌駅の設置場所の物議の一番の原因はコイツラだったわけですが。
現在の駅の東側にできる新幹線の駅舎や高架橋の工事が始まるのは2022年夏から。
今は駐車場や駐輪場になっている広い一角も、新幹線の新しい駅や高層ビルの建設が始まります。
上画像は新幹線駅と地上46階建ての高層ビルが建つ場所。
北口のビル群が見通せるこんな長閑な風景もこれが見納めでしょうね。
高層ビルは新幹線より一足先の2029年秋開業予定。
まさにこの上に新幹線のホームができるわけです。
どう見ても場末の一角の画像だが、10年後にムチャクチャ貴重な画像になったりして・・・・
エスタのバスターミナルから一斉に出てくるバス。
エスタも建て替えになるようですが、その間はバスターミナルもどこかへ移転するのでしょうか。
こちらは現在空き地の旧西武百貨店跡。
私などつい五番館と言ってしまいますが、それはさておき。
新幹線とは直接関係ありませんが、この区画も再開発プロジェクトが動き出しました。
こちらは土地を取得しているヨドバシカメラが主体で高層ビルが建つようです。
この交差点からJRタワーが見えるのも最後かもしれませんね。
札幌駅やその周辺で新幹線工事が始まるのは2022年度からとなりますが、北口側では新幹線工事の準備といえる工事がすでに始まっています。
北口側の自由通路と北口広場の一部が閉鎖されていますが、それは在来線ホーム増設工事のため。
これは新幹線のホームではなく、在来線の11番線ホームの増設工事となります。
新幹線は在来線の南側を通ることになっていますが、そうすると現在の1番線ホームが新幹線の線路となってしまうため、その代わりに北側に11番線ホームを建設するわけです。
新たな11番ホームは鉄骨造り。まだ骨組みだけですが、階段も見えます。やぐら状に組んだ鉄骨はエレベーターでしょうね。
こちらは10番ホームから見た11番線ホーム。
まだホームはできてませんが、線路は先にお目見え。
元々あったバラストと枕木の線路は一旦撤去されて、新たに設けられたもの。
1988年の札幌駅高架開業時もここに11番線ホームがありましたが、当時のは鉄骨と鋼板を組んだだけの仮設ホームでした。
2年後に1・2番線ホームが完成するとホームは撤去され、以降は留置線として使われていました。
一旦閉鎖されてソッポを向いた出発信号機も復活するようです。
9・10番線の階段奥の壁がなくなって、その奥に11番ホームの階段とエスカレーターが現われるはずです。
今工事中の11番線が使用開始になるのは2022年10月ごろ、同時に1番線が廃止に。
また同じくして、新幹線高架橋工事に合わせた耐震補強工事のため、パセオが全館休館が決まっています。
こちらは11番線と反対側の1・2番線ホーム。
11番線が使用開始になると1番線は閉鎖され、このホームも半分になって南側に2本の新幹線の線路が並ぶことになっています。
3番線ホームから見た東側。
この先に新幹線ホームが設けられ、在来線ホームとは跨線橋で結ばれることになっています。
『北斗星』も『はまなす』もなくなった今、長いホームは無用の長物と言ったところでしょうか、ホームの先は柵が設けられて立入禁止になってしまいました。
もちろんそれだけではなく、ここは新幹線ホームへ連絡する跨線橋ができる場所。
柵の先に跨線橋の階段が設けられるのでしょう。
新幹線と在来線の連絡通路が跨線橋となってしまうのは苦しい構造ですが、逆に下ると道路と交差するし苦肉の策といったところ。
柵の手前にある停止位置目標。<9><10>の数字は編成の両数。
『おおぞら』で見られた11両編成はもうやらないということですね。
基本5両編成になってしまいましたしね。
石勝越えが鉄道の独断場だった時代は過去のものになったんだなあ。
あと馬鹿でかいスーツケースを引いて押し寄せたインバウンドも・・・
↑ 新幹線ホームのイメージ(画像は新青森駅)
まだ目立った動きがない札幌駅ですが、来年度からは新幹線の高架橋や駅舎、それに再開発の高層ビル建設が本格的に始まります。
その北海道新幹線ですが、開業したら肝心の所要時間はどのようになるのでしょうか。
『JR北海道グループ長期経営ビジョン未来2031』によると、東京〜札幌間最速4時間半としています。
これは東北新幹線区間360km/h、北海道新幹線区間320km/hで走行し、青函共用問題もクリアした場合の想定となります。
もしこれが実現したとしても1日2〜3往復が最速列車として設定されるだけで、ほとんどの列車は既存『はやぶさ』の延長で、所要時間は5時間程度となるでしょう。
仮に札幌直通の速達列車を新設・増発しようとしても、上越・北陸新幹線も乗り入れる東京駅ホームでは、とてもそんな余裕はありません。
もうひとつの疑問。
この北海道新幹線が札幌まで開業したら片道の運賃・料金は一体いくらになるんでしょうか。
これを現在(2021年)の運賃・料金表から算定してみます。
運賃は東京〜札幌間の営業キロ1074.0kmと分かっているのですぐに計算できます。
本州3社内幹線運賃+JR北海道の加算額(261km以上)
13,200円+770円=13,970円
特急料金は東京〜新青森間『はやぶさ』の普通車指定席が7,330円。
東北新幹線と北海道新幹線の特急料金は通算しないので、上記の料金に新青森〜札幌間の特急料金が上乗せになります。
北海道新幹線の料金がどのように算定しているのかわからないので、試しに新青森〜新函館北斗間の4,530円に100kmごとに1,100円ずつ上乗せしてみますと7,830円となりました。
これで東京〜札幌間の『はやぶさ』の普通車指定席特急料金は15,160円と仮定します。
運賃13,970円+特急料金15,160円=29,130円
う〜ん、何とかギリギリ2万円台。
特急料金は筆者の想定ですが、現在の東京〜新函館北斗間の運賃・料金23,430円と比較してみると、それより5,700円高くなるということになります。
とまあ、勝手に想定したみた値段ですが、そう大きくは外してないと思います。
この値段をベースとして、JR北海道が宣伝している『期間限定お先にトクだ値スペシャル』を適用すれば50%OFFとなり14,560円。
これならば金額だけなら飛行機と互角に勝負できそうです。
ちなみに飛行機はJALの例だと羽田〜新千歳間の普通運賃が4万円ちょっと、一番安い先得割引で1万3千〜7千円程度となっています。
LCCだと片道5千円を切ることもあるようですが、成田発着だし客層も違うと思われるので、考慮外でもいいでしょう・・・
でも実際は、新幹線が開業しても東京〜札幌間のシェアが圧倒的に飛行機なのは変わらないでしょうね。
所要時間4時間半〜5時間で、基本1時間に1本程度の本数ではビジネス客や観光客が積極的に流れてくるとは思えません。
飛行機嫌いな人とか、空港から遠い人とか、あと私のような鉄道好きなど、ニッチなニーズを掘り起こすしかなさそうです。
新幹線というと、とかく東京ばかりに目が行きがちですが、それよりも他の交通機関に比べて圧倒的に新幹線の強みが発揮できる札幌〜東北間の乗客をいかに増やすかが北海道新幹線の営業のポイントでしょう。
この区間は絶対数は多くないものの、昔からビジネスや観光の旅客需要は少なからずあるが航空路線は貧弱というのが現状です。
新幹線札幌延伸開業では飛行機からの転移だけでなく、新たな需要が生まれることは間違いないでしょう。
それに何といっても実質陸続きの本州〜九州と違って、津軽海峡を挟んで他の陸路が参入できないこちらは新幹線が圧倒的にシェアを独占できる区間でもありますから。
あと2〜3年もしたら以上の画像の場所も様変わりしていることでしょうね。
新幹線が札幌でも目に見えるものとなるわけですが、一方では並行在来線問題や貨物列車の青函共用問題なども解決しなくてはならないことがたくさんあります。
一番の心配事は、肝心のJR北海道が新幹線開業時まで持ちこたえているのかということになりますが・・・
〜以上、最後までお読みくださいましてありがとうございました。
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