JR北海道の駅名標のデザインは白地に黒文字、萌黄色の矢印上の帯に白抜きのローマ字というのが主流です。
国鉄時代は白地に黒一色のものが使用されていましたが、今のデザインになったのは青函トンネル開業の1988(昭和63)年3月からと記憶しています。
その中でも、ホームの屋根から吊り下げられた駅名標は中に照明が入っていて、光る駅名標は車内から見てもそこが主要駅であるような頼もしさがあり、また旅情を誘うアイテムでもあったりするものです。
札幌駅(2021年7月)
ところが、ここ2〜3年くらい前から、この光る電照式の駅名標がただの板のものに交換が進んでいるようです。
下は岩見沢駅の例。
岩見沢駅(2015年2月)
岩見沢駅(2021年7月)
上画像は電照式だった頃、下画像は現在の光らない板の駅名標。
厚さが1/4くらい、何だかホワイトボードみたいになってしまいましたね。
岩見沢駅のは、2018年4月にはすでに交換されていたようです。
電照式の駅名標は基本的に国鉄時代から使用されていたものをJR化後に表示板だけ交換したものが多く、掲示器自体の老朽置き換えという理由もあるのかも知れませんね。
次は滝川駅を見てみましょう。
滝川駅(2015年2月)
滝川駅(2021年7月)
上画像は最後の711系電車に乗りにいったときのもの。
行燈のようにボワ〜っと照らす駅名標に国鉄型の電車が旅情を誘いますね。
方向幕の『旭川』の表示もいい味。
下画像は現在のもの。
最近は電照式駅名標も日中は節電のためか消灯しているものが多く、昼間に関しては新型の光らないタイプの方が視認性が良いようです。
次は南千歳駅。
南千歳駅(2013年11月)
南千歳駅(2021年7月)
上画像の駅名標は横長で隣駅表示部分が緑地となったタイプ。
最初は新千歳空港駅で採用(のちに従来のデザインに更新される)されたものです。
それから徐々に採用する駅が増えて、2000年代くらいまでに改装された駅はこのタイプの駅名標が多くなっています。
でも、それ以降は新規に設置される横長の駅名標でも従来のデザインに戻っています。
下画像は現在のもの。
昼間に限って言えば視認性はこちらの方が勝っていますね。
上画像の横長駅名標は、国鉄時代から使われているものと比べれば新しいもので、それでもわざわざ交換するということはやはり他の駅でも光らない駅名標へ交換を進めるということなんでしょうか。
次は長万部駅に行ってみましょう。
長万部駅(2005年9月)
長万部駅(2021年7月)
上画像はだいぶ古いものになりましたが、隣に『おしゃまんべ温泉郷』の広告があったとき。
駅名標と2つ並んでました。
着いたときは夕暮れになってしまいましたが、ホームで煌々と灯る駅名標は頼もしく感じられました。
下画像は現在のもの。
函館本線と室蘭本線が分岐し、特急停車駅なのにローカル線ぽい軽さは否めません。
バックの車両はどちらも国鉄型のキハ40形。
ただ1つ言えることは、上画像を撮った当時は、まさか16年後もこの車両が走っているとは思わなかった・・・
この長万部駅は北海道新幹線の駅が併設されることになっています。
新幹線開業後は室蘭・苫小牧方面へ向かう特急への接続駅となることでしょう。
最後は函館駅です。ここは2種類の駅名標がありました。
函館駅5・6番ホーム(2015年8月)
函館駅7・8番ホーム(2015年8月)
交換前の函館駅は1つは従来の萌黄色帯のもの。
7・8番ホームだけが南千歳駅同様の隣駅塗りつぶしタイプでした。これはホームが一番新しく増設されたためにこうなったのでしょう。
上画像に写っている車両は789系スーパー白鳥。下画像のは上野行の寝台特急カシオペア。
懐かしいですね・・・
函館駅3・4番ホーム(2021年7月)
う〜ん、旧来の電照式は北海道の始発駅としての貫禄を感じるのに対し、新しくなった駅名標はどこか軽いような・・・
10年後の北海道新幹線札幌開業後は、この風格と歴史ある函館駅も第三セクター鉄道に移管され特急列車の発着も無くなります。
はこだてライナーは引き続き新幹線アクセスとして存続するでしょうが、函館駅は単なる電車の始発駅になってしまいます。
何だかそれを予見するような・・・
ちなみに、この光らない駅名標は夜どうなっているのか見てみましょう。
函館駅5・6番ホーム(2021年7月)
函館駅3・4番ホーム(2021年8月)
上画像は733系はこだてライナーを背景に。
下画像は、あえて照明の影になった駅名標を撮影してみました。
光らない駅名標を採用したのは、ホームの上屋部分には照明があるので視認性の問題はないとの判断なのでしょう。
しかしどこか精彩がなく、終列車が終わったあとのホームに見えてしまうのは私だけでしょうか。
駅名標といえば駅を象徴する存在であり、到着して真っ先にその駅を認識するもの。
その駅名標が暗いというのは寂しい・・・
やはり10年後の電車駅化を暗に示しているようにも感じられます。
★ ★
これら電照式の駅名標の交換が進んでいる理由についてネットで調べてみたら以下の記事を見つけました。
*乗りものニュース
"JR東日本の駅名標 光らない「ただの板」へと変更中 いったいナゼ?"
記事によると、JR東日本の駅では光らない駅名標への更新をしているとのこと。
理由は『2050年までに二酸化炭素排出量を実質ゼロ』を目指す節電の取り組みのためなんだとか。
おそらくJR北海道でも同様の理由からの取り組みと思われます。
もう1つ考えられる理由は、吊り下げの駅名標の多くは国鉄時代に設置されたもの。
国鉄からJRになってすでに34年が経ちます。
駅名標はさらに古く、掲示器の老朽化を考えると今後は光らないタイプの駅名標への交換が進むでしょう。
北海道新幹線が札幌に来る頃には、光るタイプの駅名標はもうなくなっているかも知れませんね。
新札幌駅(2021年7月)露出補正-0.7で撮影。
ところで、これら光る駅名標はカメラ泣かせでもあります。
普通に撮影すると駅名標部分が白飛びしてしまうから。
カメラにもよるでしょうが、私は夜にコンデジで駅名標を撮るときは露出補正をマイナス0.7(暗く補正する)にしています。
上画像はそれで手持ちで撮影したもの。
どうです、きれいに撮れているでしょ。
ご参考に。
〜最後までお読みいただきましてありがとうございました。
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夜間の視認性が悪くなるだけでなく、なんだか仮設のような雰囲気の安っぽい作りに見えてしまうのが残念です。光らない駅名標に交換するにしても、デザインを工夫して貧相さを感じさせないものにしてほしいと思います。