2021年 北東パスで道東旅行3

おはようございます。
7月21日水曜日。

今日も無駄に早起き・・・と言いたくなるようなガス(霧)の根室。

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 ガス(海霧)がかかる午前5時の根室の朝。

昨日と同じように散歩に出てみる。

北海道の太平洋岸はガスに包まれることが多い。
湿っぽい冷たい空気。

なんとなく根室本線終点の看板の前に来たら、ガスに霞んだ列車が見えた。
5時31分発釧路行き。
昨日釧路から着いた最終列車が夜を明かして一番列車として折り返す。

ここから望遠で撮影するとインスタ映えしそうな画像が撮れた。

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 ガスに霞む根室駅。


◆ 根室 8:24 → 釧路 10:53【5626D】

8時、ガスは晴れたが曇り空。
ホテルをチェックアウトして根室駅へ。

このあとバスで納沙布岬へ行こうとも思ったが、8時24分発釧路行に乗ることにした。
この天気では岬へ行っても何も見えまい。

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 さいはて感漂う根室駅。

根室駅ってどこかJR北海道から独立したような印象を受ける。
例えば改札口上に掲出してある時刻表は根室駅オリジナルのものだ。

発車時刻だけでなく、釧路到着時刻と接続する特急の時刻まで書いてある。
今はどこの駅でも統一したデザインのものばかりになったが、ここのは頑として根室駅オリジナルのものとなっている。

そういえば、かつては市販の時刻表に無い通学列車というのもあった。

 * 時刻表に無い通学列車〜花咲線8325D

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 根室駅の改札口と時刻表。

あと珍しいのは花咲線の装飾がされた食品自販機。
売っているのはお菓子や菓子パンだが、待合室のキヨスクがなくなって、近くにコンビニもない根室駅ではとても良いサービスだ。

これは根室駅のものではないようで、自販機には地元のパン屋の名前が表示してあったので、そこの持ち物らしい。

いつの間にか待合室の入口横に駅弁の箱を置いた立売りの人がいたので箱を覗いてみる。
置いているのは鉄道グッズや珍味。駅弁はなかった。

売り子の兄さんは鉄道グッズをあれこれ勧めてくる。
う〜ん、そういうの集める趣味は無いしな・・・。

だけど何も買わないのも悪い気がして、さんま魚醤仕上げという珍味を1品買う。

「600円だけど、500円でいいですよ」
と売り子の兄さんは言った。

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 立売りがある根室駅待合室。

朝5時過ぎに根室駅に行ったときは、改札口に10人以上も並んでいて、朝早くからずいぶん乗る人がいるんだなと思ったが、今度は10人もいない。

8時10分過ぎに改札が始まって車内へ。
乗客の多くは荷物も少なく、地元の人ばかりのようだ。

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 根室発車時はガラガラだった。

発車前に運転士がアナウンス。
「眺めの良い区間では速度を落として運転します」
「花咲線からの眺めをゆっくりご堪能ください」

この列車が時刻表には3/13から6/30まで時刻変更の表示がある列車で、通常運転に比べて釧路着が8分繰り下がっている。
なぜこの列車が選ばれたのだろうか。

まさか一番利用客が少ないからと言いたくなるほどガラガラのまま根室駅を発車する。

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 駅員に見送られて根室を発車。

1つ目の徐行区間は落石〜別当賀間
太平洋を望む高台を通る、花咲線一番の絶景の場所。

また後ろの展望窓から眺める。
速度は30km/h。

昨日は80km/h近くで駆け抜けた区間を、海と緑の丘陵を眺めながらゆっくり進む。

丘の上には撮り鉄さんが1人小さく見えた。

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 落石〜別当賀間の絶景区間。

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 海と反対側の風景も捨てがたい。

内陸に戻ると列車は速度を上げて、別当賀へと急ぐ。

根室から50分、距離にして44.9km走って厚床着。
ここで地元の客が2人降りて行った。

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 使われなくなったホームが草に埋もれる厚床駅。

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 停車駅ごとに1人2人と乗り降りがある。姉別駅。

2つ目の徐行区間は糸魚沢〜厚岸間
ここの見どころは別寒辺牛湿原と厚岸湖。

別寒辺牛川の鉄橋を渡ったあたりから湿原の中を走る。

この辺りの景色を見ていたら、5年前に旅行した白夜の北欧の風景と重なる。

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 茶色く濁った別寒辺牛川を渡る。

湿原はだんだん干潟になって厚岸湖のほとりに出る。

釧網本線を走るノロッコ号なんて目じゃないよ。
こっちの方が3倍くらい素晴らしい。

一度でいいから花咲線を走るノロッコ号に乗ってみたい。

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 別寒辺牛(べかんべうし)湿原もゆっくり堪能できた。

ところで昨日釧網本線で釧路湿原を通った時から気になっていた花があった。

線路脇にピンク色の穂のような花がいくつもいくつも咲いている。
花咲線の線路脇でもたくさん見かけた。

どの列車もすっ飛ぶような高速で走るので、線路脇に咲いた花を写すことができなかったが、こうしてゆっくり走ってくれるおかげで撮影することができた。

ネットで調べたら、その花の名は『ホザキシモツケ』ということだ。

涼しい気候の湿地帯を好む植物らしい。
一時は絶滅危惧種に指定されたこともあるようだが、それにしては昨日からたくさん見かける。

線路脇を好んで育つ植物なんだろうか。

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 線路脇はどこもホザキシモツケのピンク色の花が満開だった。

湿原と湖の風景に堪能して厚岸に着く。
ここで乗客は何人か入れ替わる。途中から乗ってきた人は釧路まで行くのかと思っていたが、意外とそうでもないようだった。

厚岸は駅舎側のホームに発着する。
昔は跨線橋を渡った島式ホームから上下列車が発着していた。
それでは不便だからと新たに作られたホーム。

今から思えば、厚岸駅もずいぶん思い切った工事をしたものだ。

厚岸からは釧路の通勤通学圏。
乗客も少し都会っぽくなる。

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 厚岸駅に到着。

3つ目の徐行区間は厚岸〜門静間

ここの見せ場は昆布干しというわけか。
線路脇の石浜で、せっせと昆布を干している。

線路脇で昆布干しをしている所といえば、ここと今はなくなっちゃったけど日高本線の東町〜日高幌別間くらいだろうか。
働いている人からすれば、こんなもん見世物にするなよと言われそうだ。

空けた窓からは磯の香りが入って来る。

海から離れると昆布干しが見られるのも終わりと思っていたら、門静駅の裏側は広大な昆布干し場になっていた。

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 浜での昆布干し。厚岸〜門静間。

根室を出たときは雲が覆っていた空は、厚岸まで来たら青空になって日が照るようになった。
また暑い世界に戻ってきたようだ。

ここからは暗い森ばかりが続くようになって退屈になる。

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 ちょこんと置かれたような尾幌駅の貨車駅。

武佐、東釧路と都会の客を乗せて終点釧路着。

昨日の釧網本線と違って観光客が少ないせいか、花咲線の車内は何となく垢抜けない気がした。
それがローカル線ぽくて良いところでもあるのだが、経営的には厳しいところ。

釧路湿原、摩周湖、知床、流氷と名前だけでお客が呼べる釧網本線に対し、花咲線は何もないからねえ。
観光路線として存続の目がある釧網本線に対して、花咲線の将来は厳しい

個人的には釧路から先の線のどちらか選べと言われたら、
釧網本線より花咲線の方を選ぶ

知る人ぞ知る穴場的な絶景路線としておススメしたい花咲線だ。

何とか花咲線の起死回生策はないものか。

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 終点釧路に到着。

で、釧路着。
ここからどうするのかというと、特急で札幌に帰ります。

実は6月中にえきねっとで、おおぞら8号の『トクだ値50』を予約していた。
釧路〜札幌間が片道4990円。

安くなったものだ。
札幌と道東を結ぶ交通機関がJRの独断場だったのは昔の話。

道東自動車道は釧路の1つ手前の阿寒まで来たし、釧路空港は羽田や関西からLCCが就航するようになって、車と飛行機とJRのつばぜり合い状態。

そこへ高速バスや夜行バスも加わるのだから、JRも大変だというのがこの値段からわかる。

でも利用者からすれば安いことはありがたいことで、私もこの値段を見つけて車を置いてJRにしようと決めたものだ。

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 釧路〜札幌間がトクだ値50で4990円。

1番ホームには11時24分発のおおぞら6号が入線。
この列車で帰りたいが、トクだ値は列車の変更ができないので次の8号まで待つしかない。

どこか見物でもしてこようと駅を出て歩く。

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 釧路駅は4階建ての立派な駅舎に道東の中心都市を思わせる。

日差しの下を歩いていると暑い。
駅前から幣舞橋に向かって歩いてみたが何もない。誰も歩いていない。

中心部から商業施設が撤退し、新しいチェーンホテルばかりが目立つのはどの地方都市も一緒のようだ。

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 人のいない釧路市中心部。

幣舞橋まで来てみたけれど、何もなし。

橋の向こうの花時計の上に展望台らしきものが見えたけど、あそこまで歩く元気もなく、また駅へ引き返す。
丸井の跡はどうなったのか回り道してみたが、相変わらずの廃墟だった。

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 誰もいない幣舞橋。


 ◆ 釧路 13:42 → 札幌 18:03【おおぞら8号】

北東パスの使用はここで終わり。
ここからは星雲間を跨ぐような壮大なワープとなる。

帰りは駅弁を食べながら酒を飲む、飲み鉄で行こうと思っていた。
前回冬に釧路に来たときは駅弁は完売となっていたが、今日は豊富に置いてあった。

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 四季彩館で売っている釧路駅の駅弁。

幣舞橋まで往復してきただけで、あとは時間を持て余してしまった。
四季彩館で駅弁と酒を仕入れ、あとは待合室で過ごす。

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 改札口前の吹き抜けコンコース。

13時過ぎ、ルパン三世のラッピングトレインが入ってきた。
時刻表を見ると13時26分発根室行とある。

待合室にいるのも飽きたし、ホームで列車を眺めていることにした。

13時16分には帯広からの普通列車が到着。

キハ40形2両編成。
車両の所属表記を見たら、なんと札トマ(苫小牧運転所)。

どうやってここまで遠征してきたんだろう。

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 根室行きのルパン三世ラッピングトレイン。

13時20分、おおぞら8号入線。
入線というか、札幌発のおおぞら3号の折り返しになるのだが。

車内清掃のために乗車はしばらく待たされる。

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 261系のおおぞら8号。

新型コロナによる乗客減で特急の減車が続いていた。
今年3月のダイヤ改正から、おおぞら号も正式に減車となり5両編成となっている。

かつては常に増結してどの列車も8〜9両編成で走っていたし、最大で11両というのもあった。
もうそんな長編成が見られることもないんだろうな。

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 どこか地平時代の札幌駅1番ホームを思い出す釧路駅1番ホーム。

しかしたった5両で指定席は2両だけとあっては、時間帯によっては混雑すことになる。
このおおぞら8号もえきねっとで予約状況を調べたら結構混んでいた。

しかも帯広で隣人が現れることになっている。
カップ酒2本飲んで、その頃には眠っていよう。

指定された席に座る。

汚ったねえ窓だな(#^ω^)

小さいシミが一様にこびりついている。

JR北海道の車両のいちばん残念なのが窓の汚さ。
ぼろ車両でガラス自体が変色してしまったようなのは仕方がないが、特急でしかも新しめの車両でこれではがっかりだ。

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 汚れた窓。

この窓を見ただけで、即飲みたくなってきた。

釧路駅の駅弁はかに飯
函館行き以来カニばかり食べている気がする。

お酒は福司のカップを仕入れてきた。
これは釧路の地酒。

長万部、網走と続いてカニ系の弁当は3つ目。
ここ釧路のかに飯が一番味が濃かった。

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 釧祥館のかに飯と福司のカップ。

ゴミ捨てとトイレに席を立つと、ほとんどの列がふさがっているくらい混んでいる。
帯広からまた乗ってきたら満席ちかくになるんじゃないか。

ソーシャルディスタンスの観点からすれば減車しないで、程よく間隔をあけた席になるように運行した方がいいんだろうけど、他の列車の乗車率を見れば仕方ないのかも。

反対に自由席は2両もいらないほど空いていた。

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 5両編成とあって、乗車率だけは結構なものだった。

さて、帯広到着。
指定席の1、3号車の乗車口は長蛇の列ができていた。
ビジネス風の人が多い。
そういえば今日は平日だったのを思い出した。

果たせるかな、帯広で隣人が現れた。出張帰りみたいな感じ。

彼は腰を下ろすと、しばらくしてスーツケースを持ってどこかへ行ってしまった。
どうやら空いている自由席に移動したようだ。

おお隣人よ、それは賢明な判断。

そこからはずっと眠っていて、気づいたら追分だった。

南千歳駅手前に見えるレンタカー村は、広い敷地に車が所狭しと並んでいるのが見えた。
本来ならば貸し出して道内各地を走っていたはずのレンタカーだ。

GoToトラベルキャンペーン再開はGWの頃は夏休みに期待しましょうなんて言っていたけど、どうやら夏休みもダメっぽい。
秋に・・・といいたいところだけど、それも期待薄な状況になりつつある。

北海道は緊急事態が解除されて旅行客が多くなってきているけど、レンタカー村を埋め尽くす車を見ると現状を思い知らされる。

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 夕方ラッシュの札幌駅に到着。

新札幌駅のホームはちょうど帰宅ラッシュの時間帯。
休みをいただいて、道東を普通列車で1周して戻ってきたら、場違いな場所に来てしまったような感覚だ。

あと9分で終点札幌。
着いたらラッシュの地下鉄で帰ることになる。

明日からは移動した海の日とスポーツの日の4連休。
世間様は休みになるけど、もうどこへも行きません。

夏休みにお盆休み。
こんな時期に旅行などするものでなない。

私の旅行は秋までお休みとさせていただきます。

〜北東パスで道東旅行 おわり


posted by pupupukaya at 21/08/11 | Comment(0) | 道東の旅行記
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