2021年 富良野・美瑛ノロッコ号と根室本線代行バス2

 ◆ 富良野 16:48 → 東鹿越 17:32【2479D】

札幌から1日散歩きっぷで富良野に10:48分に着いた人たちは、おそらく富良野発15:52分発か17:57分発の滝川行で戻るはず。そのあとは20:38発の快速滝川行が最後となる。

私は逆に16:48発東鹿越行に乗る。
この列車に乗って新得まで行くと、一日散歩きっぷ所持者は今日中に札幌へ戻れるのか?

時刻表で調べると、石勝線経由ならば新夕張までしか行けません。

でも警部、奴はその日のうちに札幌に戻っているアリバイがあるんです。
亀さん、時刻表をどう調べても今から新得に出て札幌に戻るのは不可能なんだ。
 (西村京太郎風)

・・・・何のことは無い。
新得〜南千歳間の特急とかち10号のきっぷを既に買ってあるのだよ。

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 滝川発東鹿越行き2479Dが富良野駅に到着。

16:42に滝川から来た東鹿越行普通列車が到着。
数人の乗客が降りてきた。この列車の乗客は富良野で入れ替わるようだ。

サボ受には『滝川−富良野−東鹿越』の表示があったが、列車が到着するや否やホームで待っていた係員がサボをひっくり返して『富良野−東鹿越』にしてしまった。

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 到着後すぐに『富良野−東鹿越』のサボに差し替えられた。

この列車は東鹿越に着くと富良野行きとして折り返すためだろう。
終点が無人駅のため、ここでサボの表示を変えておくのだ。
富良野から先でこの表示で困る人はいないわけで・・・

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 富良野発車時の車内。

車内は富良野発車時で地元の人9人。
内訳は高校生4人、一般の人5人。

土曜日のこの時間としては意外と乗っている。

あとはファンらしき人が私含め2人。
計11人で発車する。

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 北の国から第1回目に登場した布部駅。

次の布部で1人下車があったのは意外だった。
駅周辺は小規模ながら市街地があるし、バスの本数も多いとは言えないので列車とバスを使い分けているのだろう。

ここは北の国から第1回目に登場した駅で、壁や出入り口はリフォームされているが、木造駅舎が残っている。
北の国からのロケ地なので残しているのかは知らないが、車で訪れる人が結構いるようだ。

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 瀟洒な山小屋風の山部駅。

山部はちょっとした町くらいの市街地があるので降りる人が多いのかと思っていたが、これも逆な意外で降りる人はいなかった。
その代わり地元らしい人が1人乗ってきた。

山部駅は急行狩勝の停車駅だった。
そのためか、ホーム側は幹線時代の名残を各所に残している。

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 駅舎はホームから離れた所にポツンとある下金山駅。

下金山で地元の人2人と私一眼レフを下げたファン(?)が下車した。
駅舎はホームから離れた場所にあって、その間には昔は側線が何本も並んでいたんだろう。
それが一層わびしく見える駅。

それにしても、一眼レフの人はここで降りて何を狙ってるんだろう。

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 金山駅は堂々とした木造駅舎が残る。

金山は乗降ゼロ。
ここも堂々とした木造駅舎が残る。

駅前に人家は見当たらず、秘境駅のようにも見えるが、金山の市街地は駅前から坂を登った国道沿いにある。

被災前は側線や保線車両の車庫があって保線基地となっていたようだが、今は使われているようには見えない。

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 かなやま湖を渡る。

金山からは金山ダム建設のために付け替えられた線路になる。
長い空知トンネルを抜けるとすぐにかなやま湖の鉄橋を渡る。

湖畔にキャンプ場があって、色とりどりのテントがたくさん見えた。
キャンプ場も混んでいるようだ。

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 終点の東鹿越駅。

17:32、東鹿越着。
運転士に切符を見せて下車する。

駅舎の横には、ふらのバスの列車代行バスが待っていた。

乗り換え時間が5分しかないことと、バスの運転手が早く乗れとばかりにこちらを見ているのでホームくらいしか撮影できなかった。

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 東鹿越駅の駅名標。

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 駅舎の横に代行バスが待つ。

東鹿越で降りた乗客は8人(私含まず)。
うち2人はこれも駅舎の脇に停まっていた車に乗り込んで去って行った。

この人たちは東鹿越駅の乗客ということになる。
幾寅駅から遠い人などは、車で東鹿越駅まで送ってもらうのだろう。


 ◆ 東鹿越 17:37 → 新得 18:46【代行バス107便】

駅横のバスには、団体名を記すステッカーに『列車代行様』と表示してあった。
列車代行バスはあくまで列車代行としてJR北海道がチャーターした貸し切りバスという扱いとなる。

さて、列車から乗り換えたのは6人(私含まず)となった。
全員女性。年配の人が多いのかと思えば意外とそうでもない。

今日が土曜日ということを考えると、役所や病院というのは考えにくい。
通勤なんだろうか。

地元の利用者からすれば貴重な足であることに変わりはない。

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 代行バスの車内。私以外は全員地元の乗客。

全員乗り込んだら発車ということにはならず、発車時刻になってから発車する。
東鹿越駅から根室本線に沿った町道を走る。

跨線橋で線路を渡る箇所があり、そこから線路を見ると草だらけになっていた。

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 幾寅の町の手前で踏切を渡る。

幾寅の市街地の手前で今度は踏切を渡る。

休止中とはいえ一応営業している路線なので踏切では一時停止。
これは日高本線の鵡川〜様似間も同様だった。

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 踏切から見た線路。草が侵入して廃線跡のようだ。

ここから見る線路も、レールは赤錆びてバラストには草が侵入している。

東鹿越〜新得間(正確には上落合信号場)は2016年の台風による土砂流出などの被害で運休。
特に被害が大きかったのは落合〜新狩勝トンネル間だったのだが、その他の区間も被災しており、復旧には多額の費用がかかるとして復旧を断念するという結果になった。

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 『幌舞駅』の看板が掲げられた幾寅駅。

代行バスの次の停車駅は幾寅駅。
あまり広くはない駅前広場で大型バスは苦しそうに転回する。

東鹿越で乗り継いだ地元客6人は全員ここ幾寅で下車した。
乗ってくる人もなく、車内は運転手と私だけになった。

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 落合駅はひっそりとした山間の駅という佇まい。

幾寅の次は落合。
列車の発着があった頃は1面3線で跨線橋もある立派な駅だった。

国道にバス停を設けた方が便利なように思えるが、代行バスは律儀に駅の正面に乗り入れる。

駅の正面にバスは乗り入れるが、乗降ゼロ。
バスの窓からホームを見ると、ホームは廃駅のように草生していた。

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 落合の国道沿いは国道38号線がメインルートだったころの名残がある。

落合からは根室本線とは別れ、国道38号線狩勝峠越えルートを行く。
ここから新得まで駅もないし、ほかに通れる道路もないので当然なのだが。

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 車が次々と追い越して行く。

列車代行バスは法定速度順守。
追いついた車が次々と追い越して行く。

ここから狩勝峠手前までの直線区間を60km/hで走るのは隔靴掻痒の感があるが、ダイヤ遵守の代行バスとあっては致し方ない。

落合〜新得間は、列車があった頃のダイヤでは最速30分で結んでいたが、代行バスは49分で結んでいる。

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 深い霧の狩勝峠。

札幌を出てからずっと曇り空だったが、狩勝峠が近づくとだんだん霧が深くなってきた。
狩勝峠からの眺望を期待していたがこの日は叶わず。

18:13、バスは狩勝峠を通過する。

狩勝峠の霧は、十勝側のほうが濃いようだった。

このまま真っすぐ新得へ向かうのだと思っていたら、途中で脇道に入った。
運転手は「十勝サホロリゾートです」とアナウンス。

18:23、十勝サホロリゾートのエントランスの前にバスを停めると、運転手はバスを降りて中に入って行った。

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 サホロリゾート前で小休止。

ここは『サホロリゾート前』といって、列車代行バスがJR駅以外に停車する唯一の停留所。
運転手が降りて行ったのは、ここからの乗客があるかどうか確認するためなのだろうか。

窓ガラスには『新得方面行き』の表示のほか、『十勝サホロリゾート無料送迎バス』の札が掲げられていた。

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 鉄道代行バスは十勝サホロリゾートの無料送迎バスも兼ねているのだった。

新たな乗客もなく、18:27にサホロリゾート前を発車。
またひたすら法定速度順守でのんびりと走る。

新得の町に入ったところで、同じ列車代行の表示を掲げたふらのバスとすれ違った。
新得駅を18:37に出発した東鹿越行きの112便。

車内は数人の乗客の姿が見えた。
こんな時間に新得から富良野方面への乗客がこんなにいるとは思えない。
おそらくファンの試乗客だろう。

一日散歩きっぷ所持だと、札幌を出発して石勝線、新得、根室本線富良野経由で札幌へ戻る唯一のルートでもある。
同じルートで富良野先回りでやろうとしても不可能だ。

今のところ棚上げ状態となっているようだが根室本線富良野〜新得間廃止が決定すれば、この代行バスも満席となるのかも知れない。

ずっと法定速度順守で、しかもサホロリゾートで4分停車があったが、定刻18:46のところ3分早着の18:43分に新得駅に着いた。
貸し切りバスなので、運賃の徴収もしないし切符のチェックもない。

途中の幾寅や落合から乗った人は、新得駅の窓口で自己申告ということになる。

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 新得駅に到着。

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 JR代行バスのバス停。

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 新得駅舎と代行バス。

もう午後7時近くになるが、この時期はまだまだ明るい。
新得町は町の規模は隣の清水町の方が大きいが、鉄道は新得の方が大きい。

特急は全列車停車、駅舎も堂々としている。
この時間は既に無人駅となっていると思っていたが、まだ駅員が詰めていた。

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 待合室は誰もいなくなった。

広い待合室は数人がベンチに腰かけていたが、18:54発池田行き普通列車の改札が始まると全員ホームへ行ってしまい誰もいなくなった。

待合室には、すでに営業時間外だが新得町観光協会が運営する新得ステラステーションという売店がある。
その横にはこれも営業時間外だが、駅そば屋があった。

このあたり新得町が鉄道を大事にしているんだと感じた。
飲料の自販機以外に何もない富良野駅とは妙に対照的だった。

何も買えないということでは富良野駅と変わりないが、新得駅は駅の向かいにフクハラというスーパーがあって20時まで営業している。

何か夕食をとフクハラへ行って、半額値引きの弁当をゲットしてきた。


 ◆ 新得 19:58 → 南千歳 21:40【とかち10号】

このあとは待合室のベンチでスマホをいじって、たまにぶらぶら歩いて過ごす。

「19時42分発釧路行き特急おおぞら9号は15分ほど遅れて運転しています」
との放送があった。

駅員が近づきてきて、
「列車に乗られるんですか?」
と聞いた。

何の人に見られたんだろう。
「札幌行きとかちに乗ります」
と答えた。

15分遅れとなった釧路行おおぞら9号と札幌行とかち10号の交換駅は新得になったようで、とかち10号のホームは2番線に変更となっていた。

19:50に改札が始まり、改札口で切符を出すと券面を見て慌てて改札スタンプを取り出した。
どうやらフリー切符の客と思われていたようだ。

切符はえきねっとで事前に買っておいたトクだ値55という割引乗車券。

駅員は失礼しましたと言いたげに「ありがとうございます」と言って切符にスタンプを入れた。

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 ホーム跨線橋の『のりば案内』。

新得から特急とかち10号に乗る人は私1人だけ。

隣の3番線には20:00発帯広行普通列車が発車を待つが車内は無人。
こちらも乗客ゼロのまま新得駅を発車しそうである。

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 新得駅2番線に入る特急とかち10号。

帯広から来たとかち10号は案の定がら空きだった。

席に着くと、スーパーで買ってきた弁当とフラノマルシェで買ったお酒をテーブルに並べる。
すっかり遅くなった夕食となる。

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 新得駅前のフクハラで買った半額弁当と男山富良野ラベンダーカップ。

お酒は『男山富良野ラベンダーカップ』。
ラベルに富良野地域限定とある。

シオシオのプラスチック容器に油っこいおかず。
駅弁には程遠い。

美味しい日本酒が浮いてしまうような残念な夕食となったが、弁当が手に入っただけマシとすべきだろう。

弁当を食べ終えてお酒も1本飲んでしまった。
車窓はすでに真っ暗闇となってしまった。

途中の信号場で対向列車遅れのために臨時停車。
このため5分遅れとのアナウンスがあった。
もう札幌まで戻れれば何でもいい。

暗闇とトンネルばかりで退屈なのでもう1本のお酒の蓋を開けた。
これが後に失敗をもたらす。

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 今回使用したきっぷは、一日散歩きっぷ(上)とトクだ値55(下)。

特急とかち10号は新得から南千歳まで乗る。
券面は『帯広→南千歳』となっているが、帯広〜新得間は掛け捨てにした格好になる。

それでもとかち号限定トクだ値55は安い。
面倒な乗り継ぎをするくらいならば2850円追加は安いものだ。

南千歳までにしたのは札幌までの差額640円をケチったため。
南千歳〜札幌間は再び一日散歩きっぷが使えるし、快速エアポートに乗り継げば札幌着はほとんど変わらない。

おおぞら・とかち系統は早めに購入すれば驚くほど安くなった。
安いのはいいことだが、それだけ他の交通機関との競争が熾烈だということでもある。

石勝線が開業してから2000年代初めくらいまでは札幌〜道東はJRが圧倒的に有利だった。
基本は7両編成だが、基本編成の方が珍しくて2〜3両の増結が常態化していた。

それが、道東自動車道が年々延伸し、また相次いだ事故が原因で独断場だったJRもシェアを大きく奪われることになった

zzz........


 ◆ 南千歳 21:47 → 札幌 22:23【エアポート217号】

「お客さん、南千歳までですよね」

車掌の声で目覚めた。

しまった、南千歳を乗り過ごしてしまった

「あ〜、しまった」
と言うと車掌は、

「次の新札幌で降りて戻ってください、改札を通る必要はありませんから」
との優しい言葉。

お言葉に甘えて次の新札幌で降りることにした。

JRには無賃送還という制度があり、寝過ごしなどで乗り越した場合は誤乗扱いとして無料で本来下車する駅へ戻れる制度がある。
これで言うと、私は新札幌で降りてまた南千歳まで戻る必要がある。

しかし、南千歳から札幌までは有効な一日散歩切符を持っているのだし、この場合でも南千歳に戻る必要があるのだろうか。

規則通りならば南千歳に戻るべきなのだろう。
しかし今からそれをするのはどう考えてもナンセンス。

新札幌駅の駅員にその事情を話したところで、こんな時間になって面倒な客が来たなと思われるのがオチだろう。
そんなわけで後続の手稲行エアポート217号に乗ることにした。

「まもなく新札幌に到着します、新札幌は遅れを回復しまして定刻の到着です」
という誇らしげなアナウンス。

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 新札幌で下車。

新札幌から、本来南千歳から乗っているはずだった快速エアポートに乗る。

途中徐行区間があったりして、札幌着は5分遅れの22:28だった。

〜おわり


posted by pupupukaya at 21/07/11 | Comment(0) | 道央の旅行記
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