去年の今頃は礼文島に1週間行っていたっけ。
礼文島良かったなあ。
今年はというと、GW明けにコロナ第4波が来て北海道も緊急事態宣言となってしまったことと、仕事が立て込んで休暇どころじゃなくなってしまった。
でも、6月末〜7月上旬って道東や道北のいちばんいい季節だしなあ。
花がいっぱい咲いて、1年で1番日が長い時期だし。
礼文島は無理でも、せめて花でいっぱいのサロベツ原野や綺麗な利尻富士を見たい・・・
7月3日土曜日、宗谷地方の天気予報は、ただW社のみが堂々と晴れマークを表示していた。
あとは曇りとか曇りのち晴れとか頼りない。
予報を見てあまり気は進まなくなったが、あとで後悔するのも嫌だし、行くだけ行ってみようと思った。
車中泊1泊だけなので、さほど支度もせずに寝袋だけ車に積んで札幌を出発した。
◆ 2021年7月3日 札幌→稚内
札幌の自宅は9時過ぎに出発。
空は曇り空。
雨が降るような雲ではないが、宗谷地方は本当に晴れてるんかと思ってくる。
緊急事態宣言明けの週末とあって、国道231号線は北へ向かう車が多い。
道の駅も車がびっしり。
GW以来、ずっと閉じこもっているか近場に行くかしかできなかったので、みんな考えることは同じなのだろう。
それに今行っとかないと、また緊急事態宣言に入るかもしれないしね。
アイヤーアイヤー(北島三郎風に)と厚田、浜益、雄冬と越えて着いたのは旧増毛駅。
道北方面に行くのに増毛を通るとつい寄ってしまう。
開業当時の姿に復元された旧増毛駅舎と線路。
増毛駅は留萌本線の終着駅だったが、2016年12月に廃止となっている。
その後、駅舎は改修工事が行われて観光施設となり、ホームと線路は当時のままに保存されている。
ホーム側は無料の駐車場となっていて、車がびっしりと停まっている。
増毛の町もすっかり観光客の歩く姿が増えた。
そのほとんどが車で来る人たちだ。
ここに駐車して、観光や食事に一回りしてくるのにちょうど良い。
鉄道が現役のころはこんなことは無かったなあ。
駅も町も裏寂れた港町という感じで、観光客が歩く姿など見なかった。
増毛にこれほど観光客が増えたきっかけはと言うと、やっぱり留萌本線の廃止フィーバーだろうな。
あれで増毛が大いに話題になったからだろう。
ホームには『ましけ』の駅名標も残る。
増毛駅駅舎とホームと線路は保存されたが、あまり一般の人の興味を引くものではないようだ。
あれだけ駐車場がびっしりでも、ホームまで来る人はいない。
旧増毛駅でしばらく休憩して、また国道231号線を走る。
留萌で給油して、232号線オロロンラインを北上。
アイヤーアイヤー留萌、小平、苫前・・・
付き合ってらんねえ!
エーイ!ごぼう抜き!
とばかりにベタ踏みで越えてきた羽幌。
ここからは交通量はだいぶ減る。
羽幌を過ぎたころからやたらと自転車が増えた。
ロードバイクに乗って格好も重装備に見える。
稚内に着いてから調べたら『BRM703北海道600km宗谷岬』という自転車のロードレースということだった。
今朝滝川を出発してオロロンライン経由で稚内まで行って宿泊、翌日は内陸経由で滝川へ戻るという長距離レース。
ドライバーの皆さん、邪魔くせえなどと言ってはいけませんよ。
自転車も車道を走るもの。
だけど自転車、並走はいかんぞ、並走は。
道の駅てしお。
道の駅てしおで一休み。
ここに来たら毎回乾燥しじみを買っている。
今回もあった。2袋ゲット。
味噌汁やラーメンの即席の具に便利なので。
遠別のあたりから風景が荒涼としてくるが、まだ人里という感じはあった。
オロロンラインを北上すると天塩から先は外国の風景となる。
天塩河口大橋から見た天塩川。うっすらと利尻富士も見える。
天塩町の市街地を過ぎて天塩川を渡ると景色が一変する。
札幌から天塩までの道のりは考えただけでもうんざりしてくる。
しかし、天塩川を渡ったら妙にテンションが上がるのだった。
ここから先は北海道ではなく、樺太やシベリアの空気。
人を拒絶するかのような冷たい空気。
人間嫌いな空気。
どういうわけかそれは私にとっては妙に心地よい。
それは私のどこかに混じった北方からの祖先の血が呼び起こすのだろうか。
巨大な風力発電がずらりと並んだオトンルイ風力発電所。
稚内に向かう途中で、サロベツ原生花園に寄ってみる。
今時期はエゾカンゾウやカキツバタなどの花が満開だからだ。
行ってみると、期待していたエゾカンゾウの花はもう終わりを迎えていた。
所々に残っていた黄色いエゾカンゾウ。
毎年湿原を埋め尽くす花は、木道の脇に細々と残っているだけだった。
一足遅かったようだ。
サロベツ原野の向こうに、うっすらと利尻富士のシルエットが見えているのが慰めだった。
サロベツ原生花園の木道と利尻富士。
また稚内天塩線に戻って北上。
うっすらとだが、利尻富士は稚内までずっと見えていた。
夕日が丘パーキングから見た日本海と利尻、礼文の島影。
稚内へ来たけど、別に稚内に用があるわけじゃない。
行く当てもなく車を走らせていると、何となく稚内駅に着いてしまった。
日本最北端の稚内駅。
何となく来てしまったので、着いたとて別に用があるわけではない。
お決まりの撮影をして、お決まりの画像を上げてみる。
考えたら、去年は稚内に2回来ているが、2回ともJRで来ていた。
車で来るのは2年ぶりということになる。
去年久しぶりにJRの特急に乗って来たのは、あれはあれで楽しかったな。
今日のように車で来るのも、これはこれで楽しい。
楽しみが2つあるのはいいことだ。
最北端の線路の看板。
そろそろ車中泊の場所を決めないとなあ。
最初は宗谷岬で車中泊しようと考えていた。
今日は快晴なので夕日の写真が撮れそうだったから。明日は朝日の写真も撮れるかも。
今日ならば樺太も見えるかもしれないな。
そう思って北防波堤ドームの横から宗谷海峡を覗くと、水平線には低い雲が垂れ込めていた。
しかもその雲は宗谷岬を海霧(ガス)のように覆っている。
宗谷岬は駄目だね。
2年前に来た時も稚内は晴れているのに、宗谷岬まで行ったらガスの中だった。
ノシャップ岬は車中泊できるのかな。
行ってみるか。
ノシャップ岬のイルカの像。
ノシャップ岬の広場には観光ツアーの数人がいた。
もう観光ツアーが再開したのか。
そういえばここまで来る途中、やたらと本州ナンバーの車を見かけた。
忌々しい緊急事態、終われば憧れの北海道へというわけか。
自分も人のことは言えないが・・・
旗を持ったバスガイドがあれこれ説明している。
ガイド「利尻富士が見られたのはとても幸運なことなんですよ」
うん、今時期ならば間違いなく幸運だ。
ノシャップ岬の看板と利尻富士。
ノシャップ岬には駐車場と24時間使えるトイレはあるが、あまり広くはなく次々と車が出入りして落ち着かない。
ここで車中泊するんなら、稚内駅の道の駅わっかないの方がマシと思った。
稚内天塩線の途中にある、どこかトイレのある駐車帯で車中泊すれば夕日が見られるんじゃないかと思った。
セイコーマートで夕食とビールを買ってまた来た道を戻ることにする。
◆ 利尻富士の夕日
抜海から稚内天塩線を南下。
こうほねの家の駐車場があったが、ライダーが集結していたのでパス。
もう18時近くになるけど、自転車ロードレースの稚内に向かう人とチラホラすれ違う。
滝川からずっと自転車漕いできて大変だなあ。
右に利尻富士を見ながら稚咲内まで来てしまった。
ここの駐車場にもトイレがあるが、1台の先客があって駐車場わきにテントを張っていた。
ここにもロードレースの人たちが何人か休憩していた。
ここから稚内まであと40km近くあるんだけど、この人たち明るいうちに着けるんだろうか。
まだ日が高い稚咲内海岸。
結局車中泊はサロベツ湿原センターの駐車場に決めた。
そこのトイレは24時間開放していると聞いていたからだ。
この近くの浜辺で夕日を眺めて、日が沈んだらそこへ向かうことにしよう。
稚咲内の駐車場から北に3kmほど行ったところの脇道に車を停めて夕日を待つ。
といっても、まだ18時20分を過ぎたばかり。西日とはいえ日はまだ高い。
今日の稚内の日の入り時刻は19時25分。
まだ1時間以上もあるが、ここでのんびり待つことにする。
もうほかに行くところもないし。
赤い夕陽に照らされる稚咲内海岸。
浜に注ぐ名もない川。水が茶色いのは泥炭地のせい。
誰もいない海岸を1人でウロウロしていたらあっという間に日が落ちてきた。
夕日は水平線に近づくごとに赤色が強くなって光も弱くなる。
19:19、夕日と利尻富士のシルエット。
自分の影がこんなに長く。
19:20分、水平線に沈むのかと思っていたら礼文島のシルエットが現れた。
礼文島に着地するかのように見える夕日はどんどん沈みだす。
夕日は沈みだすと早い。
目に見える速さで沈んでゆく。
19:22、沈みゆく夕日と礼文島のシルエット。
あ〜もう半分!
あ〜消える消える!
あ〜ん、いなくなっちゃった・・・
私が女子ならこう叫んでいたでしょうな。
それほどまでに太陽が沈んでゆくのがはっきりと見える。
19:24、さよならバイバイ夕日さん。
声は出さないが、周りに誰もいないので誰はばかることなく手を振って太陽さんとお別れをした。
19:25、完全に沈んだ。
太陽のおしりが着地してから完全に消えるまで5分間の夕日ショーでした。
さて、暗くなる前に宿泊地に向かわないと。
急いで車に戻った。
ここからサロベツ湿原センターまでは車なら10分ちょっと。
利尻富士と夕日の撮影をしてから車中泊ならば手ごろな場所だ。
着いたらもう薄暗くなっていたが、まだ活動できそうなほどの明るさ。
場所を確保したら車の中に寝床を作る。
サロベツ湿原センター駐車場。
先客は4〜5台といったところ。
それぞれ離れて駐車している。
急いで出てきたのでランタンを忘れてきた。
駐車場の照明の下に停めたので、それを明かりにしよう。
夕食はセイコーマートのホットシェフ。
稚内のセイコーマートで買ってきたホットシェフのフライドポテトとザンギ、それにおしんこ。
あ〜ビールうまい。
おにぎりは要らなかったかな。
それでも札幌を出てきてから何も食べていないのでペロッと食べてしまった。
一杯やっていると当てにしていた駐車場の照明が消えた。
突然真っ暗。
どうやら夜遅くなると消灯になるらしい。
しょうがない、必要な時だけルームライトを点ける。
外は真っ暗闇。
そのせいか、空は満点の星が輝いていた。
目が慣れるとぼんやりと天の川も見えてきた。
何とかこの星空を写真に収めたいと思ったが、三脚を持ってきてなかったので上手くいかなかった。
本当はすごい星空だったのに、これが関の山。
◆ 2021年7月4日 サロベツ原生花園→札幌
車の窓ガラスの目隠しをしなかったので、外が明るいのと鳥の鳴き声で目が覚めた。
3時半少し前。もう明るい。
朝3時半の明るさ。
昨日は快晴で、昨夜はあんなにきれいに星が見えたのに、一晩明ければ一面曇り空だった。
やっぱりこの時期の宗谷地方だなと思う。
トイレに行って、原生花園の木道を少し歩く。
何か面白いものがあるわけでもなく、クマが怖いのですぐに引き返した。
どんよりと曇った寒くて薄暗い草原に鳥の声だけが響くサロベツ原生花園。
ひと晩世話になったサロベツ湿原センター駐車場。
周りに何もないという点を除けばここは穴場的な車中泊スポットだった。
しかし、もうここにいてもしょうがないので4時に出発する。
再び稚咲内海岸まで行ってみたが、利尻富士は雲の中だった。
利尻富士は雲の中。
昨日はあれだけ晴れていたので、朝日に映える利尻富士というのも期待したが残念。
8時か9時頃になればもしかしたら雲が晴れるのかもしれないが、それまで行くところもすることもない。
もう札幌に戻ることにする。
稚内天塩線を走っていると、オトンルイ風力発電所を過ぎたあたりの道路わきに、オレンジ色に咲き乱れる花を見つけた。
ここももう終わりかけていたが、エゾカンゾウの群落がまだ残っていた。
道道稚内天塩線の脇に咲くエゾカンゾウ。
脇道に車を停めて写真を撮った。
昨日の夕日が見られたことと、この残ったエゾカンゾウの群落に出会えたこと。
ガソリン代をかけてはるばる来た甲斐があったというものだ。
〜おわり
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