緊急事態宣言が6月20日まで延長されてしまった。
週末だからと言って、どこかへ出かけるわけにもまだいかないね。
今日は土曜日。
またモグタンにお願いしてタイムトラベルしてこよう。
夜行列車で道東の方へ行きたいな〜。
6月になって、いい季節だろうな〜。
しかし、こう毎週だとモグタンも怒るかな。
モグタンの家へ行くと相変わら暗いモグタンがいた。
「モグタン、またタイムトラベルに連れてってよ」
面倒くさそうにモグタンは言った。
「なんで毎週毎週ボクなんだ、ほかに頼む人いないの?」
「だって、ド〇えもんは毎週土曜日は仕事みたいだし・・・」
「なに〜!ドラ〇も〜〜〜〜〜ん!?」
「あのクソ狸まだ生きとったんか〜〜〜〜っ!」
モグタンは突然凄い剣幕で叫び出した。
「あんなの青狸がメガネの低能とつるんで悪いことばっかりしている番組じゃないか〜!!」
「ボクのは土曜日の人気者で、しかも教養が身に付く番組だってみんなに褒められてたんだよ〜!」
「そのボクが打ち切りで、なんであいつらが今でも続いてるんだ(怒 」

怒るモグタンのイメージ(撮影禁止のため筆者作成)
「世の中間違ってる〜〜〜!」
「もうみんな〇んでしまえ〜〜〜!」
〜どうやらモグタンの前でド〇えもんはNGワードのようだ・・・
「悪かったよモグタン・・・
ド〇えもんなんてずるいだけだよ、モグタンが1番だよ」
「ホント?」
「ああ本当さ」
「ああそうだ、これモグタンに持ってきたんだよ」

「おお〜竹鶴ピュアモルトじゃないか ♪
いいのかい?こんな高いもの」
「いいんだよ、いつもモグタンにはお世話になっているからね
だからさ、これで機嫌直しておくれよ」
〜ちっ、夜行列車でこいつをチビチビ飲ろうと奮発したのに・・・
「よ〜しわかった、じゃあ一杯やろうよ」
「えっ、これからタイムトラベルに行くんだけど・・・」
「じゃあ帰ってきたら一杯やろうよ」
「分かったよ、戻ってきたら必ずここへ寄るよ」
「クルクルバビンチョ・・・(以下略)」
「早く帰ってきてね」
〜どこからかそんな声が聞こえた・・・
ここは2000年の岩見沢だよ〜〜!
元号で言えば平成12年。
21年前か。
懐かしいなあ、岩見沢駅の木造駅舎。
段の付いたギャンブレル屋根(腰折れ屋根)を正面に出した特徴のある駅舎をまた見ることができるとは。
ふっふっふっふ・・・
私は2021年から来た未来人だ。
私は予言する。
岩見沢駅舎は半年後に天井裏の漏電が原因で焼失する。
だけど、これを誰に伝えればいいんだ?
いきなり駅事務室に駆け込んで、
〜半年後の漏電に気を付けるんだ。
〜天井裏だぞ、さもないとこの駅舎は全焼するぞ。
なんて言ったら間違いなく即110番通報されちゃうよ。
しかし懐かしい。
この頃の岩見沢中心部は、4条通りに西友、ラルズプラザ(旧金市舘)、三番館があってにぎやかだった。
駅向かいにあった3階建ての駅前ビルもある。
駅前から4条通りまで歩道はアーケードが続いていた。
時計を見ると、もうすぐ昼時。
腹が減ったなあ。
そうだ、この時代にあった『小もろ』へ行こう。
小もろは岩見沢駅前にあったそば屋。
カウンターには椅子も並んでいたが、前金制ということと、茹で麺を湯がいて出すという調理システムから立ち食いそばというジャンルに分類される店だ。
外の看板にも『立喰小もろそば店』とあるし、カウンター席後ろの壁には立ち食い用の高いテーブルもある。
店に入り、カウンターの席に座るが店の親父は気が付いてくれない。
恐る恐る、
「すみませ〜ん」
ああ・・気づいてくれた。
何にするかな。
ここはどういうわけか、かけ、月見、きつね、天ぷら、そばの値段が全部270円均一という変わった店。
値段がどれも同じなので、かえって迷ってしまう。
あまり迷っている時間はない。
「天ぷらそばとげそ丼をください」
親父は返事もなく手慣れた手つきでそばを湯がき、隣のおかみさんに「おい、ゲソ」と言った。
ほどなく天ぷらそばとげそ丼を、これも声もなくトンと置かれ、
「600円」
とぶっきらぼうに親父は言った。
財布を見ると、ゲッ・・・万券しかない(汗
仕方ない、おそるおそる万券を出す。
親父が一瞬睨んだと思ったら、万券を持って奥へいってしまった。
ああ・・やっちまった(涙・・・
天ぷらそば(270円)、げそ丼(330円)。
ダブル天ぷらということに今気が付いた。
これはくどすぎたな・・・
まずは天ぷらそばから。
汁は甘辛い醤油の濃い汁。それに太めの二八そば。
天ぷらは具無しで小麦粉だけのかき揚げだけど、汁につかるとふやけてモロモロになる。
げそ丼は作り置きで衣はべチャッとしているが、基本立ち食いそばなので仕方ない。
ちょっとふんわりした衣をまとったイカゲソの天ぷらに甘辛いタレがかかる。
黄色いタクアン2枚がアクセント。
タレが不足気味なので、しばしタクアンのお世話になる。
食べていると親父が戻ってきて、カウンターにお釣りの9,400円を置いた。
店のお釣りが足りないので、お金を崩してきてくれたんだね。
食べ終わって、丼を重ねて上のカウンターへ置き店を出る。
「ごちそーさん」
親父は無言だった・・・
何だか馬鹿に疲れたな〜。
小もろは好きだけど、ここの親父はどうも苦手だな。
この店も後年は親父も愛想良くなったが、この頃の小もろと言えばこんな感じだった。
♪ ドレミファそ〇ち信用金庫 ♪
なんだか耳について離れなくなった・・・
店を出て駅前通りの方へ回ると、おお懐かしい天狗まんじゅう。
天狗まんじゅうは2021年の今では駐車場付きの新築店舗で営業中だが、この頃はアーケード付きの駅前ビルで営業していた。
2021年の店はイートインコーナーもあるが、2000年の店は販売だけだった。
「え〜と、天狗まんじゅうと草まんじゅうと・・あっバナナまんじゅうください」
バナナまんじゅうはバナナの香り。
天狗まんじゅうを食べながら時刻表を開いて2000年旅行の乗り継ぎ計画を立てる。
岩見沢22:58発の『オホーツク9号』で網走まで行って、そこから・・・
いやまてよ、追分へ出て『おおぞら13号』で釧路まで行こうか。
夜行列車を利用した乗り継ぎを色々検討していたら、とつぜん後ろから強く引っ張られた。
「うわなにをするやめ・・・・・」
気づくと現代のモグタンの部屋だった。
「いきなり何をするんだよモグタン」
「いつまで遊んでるんだよ、早く戻る約束じゃないか」
〜そんな約束はしてないぞ・・・・
「さあ、竹鶴ピュアモルトで一杯やろうよ ♪」
「わかったよモグタン・・・」
コップを差し出すと、モグタンは勢いよく一気に注ぎ出した。
「高い酒なんだから、そんなドボドボ注ぐなよ」
「ケチ臭いこと言うなよ、景気よくいこうぜ」
時計を見ると午後5時を少し回ったところ。
そうか、ド〇えもんの時間か。
しょうがない、今夜はモグタンのヤケ酒に付き合うことにしよう。
〜おわり
〜画像はすべて過去に筆者撮影です。
〜2000年のイメージで・・・