特急おおぞらとSL冬の湿原号乗車記3

 ◆【SL冬の湿原号】
   標茶 14:00 ⇒ 15:42 釧路 

改札口で切符を貰いたいと言うと、北海道の形と『乗車記念』『使用済み JR北海道』の文字が入ったスタンプを押して返してくれた。
改札口にスタンプも用意してあってすぐに対応してくれるので、切符を記念に持ち帰りたい人は改札口でお願いするといいでしょう。

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 三角屋根が印象的な標茶駅の駅舎。

戻りの列車の折り返し発車時刻は14時。
まだ50分以上時間がある。

駅前には『しべちゃうまいもん発見市場』が出店している。見るものと言えばそれくらい。
人が少なくて売れていないのは気の毒だが、さりとて買いたいものも特に無く・・・

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 しべちゃうまいもん発見市場は標茶駅前で特産品の販売を行う。

13時30分を過ぎると、14時発『SL冬の湿原号』の改札が始まる。
といってもまだ車内には入れず、SLの入れ替え作業を見たい人はどうぞということだった。

駅前にいてもすることはないし、またホームに戻る。

着回し線でカマの整備と給水を終えた機関車が、今度は客車の釧路方に連結するところだった。
『ノロッコ号』は客車の後端にも運転台があるので機関車を付け替えずに折り返すが、この列車は機関車を先頭となる方へ付け替える必要がある。

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 整備を終えた機関車は、機回し線から再び本線へ。

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 客車の釧路方に連結する。

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 ハッピーくろべえとミルクックさんがやってきた。

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 後ろ向きに客車に連結したC11 171号機を跨線橋の窓から。

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 うをっぷ! これはたまらん!

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 『SL冬の湿原号 2021』本物のサボ。括り付けてあるのは盗難対策?

13時45分、客車のドアが開いて乗車開始。
帰りの指定された車両は2号車。カフェカーの車両だ。

車号の『スハシ44 1』からすると食堂車かビュッフェとの合造車ということになるのだろうが、あるのは販売カウンターだけ。
それなのに食堂車の『シ』を名乗る。

昔はカウンター内で簡単な調理をしていたのかも知れないし、カウンター向かいの窓側は立食カウンターらしい造りになっているあたりは簡易食堂車と言えなくもない。

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 カフェと普通座席車の合造車、スハシ44 1の2号車車内。

座ってみると、イイ!

板張りの床、アーチ状の高い天井、白熱灯の照明。
だいぶ観光用に改造されているが、ここは旧型客車の世界。

ただデメリットもあって、14系からの改造車は同じボックス席でも座席間隔が広いが、こちらは旧型客車のそれなので間隔が狭く感じる。この席で見知らぬ同士4人相席となったらかなり窮屈そうだ。

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 旧型客車からの流用なのでクラシカルな造り。

指定された席番はA席。
えきねっとで窓側指定で取っていた席。今度は進行逆向きの席となる。

進行方向にこだわるならば、標茶行きはA席、釧路行きはD席を希望にした方が良いということが分かった。

発車前だが、販売カウンターはまた行列ができていた。
と言っても5〜6人ほど。
今度は行列に並んでみることにした。

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 2号車釧路寄りにある販売カウンター。

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 販売カウンターのメニュー。

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 『SL冬の湿原号』の販売グッズ展示。

カウンターで売っている商品は記念グッズのほかはドリンク類とデザートが中心。それに車内ストーブでや焼く用のスルメやシシャモの干物など。
お酒類はサッポロクラシックと福司ワンカップの2種類。

番が来たので福司ワンカップを頼む。冷やと燗が選べるのは気が利いている。
福司の燗酒を持って自席へ戻った。

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 福司ワンカップ(260円)の燗酒を買ってきた。

向かい進行方向の席は『大人の休日倶楽部パス』を持った人。彼は駅向かいのセブンで買ってきたらしい酎ハイやおつまみを並べていた。

隣はストーブ席。空いていたのでそっちに席を移してみる。
45km/hで走る旧型客車は、レールのジョイントをガタン・ゴトンと踏みしめる様にして走る。

牽引する機関車は『C11 171』でC11型機関車は簡易線規格で建設されたローカル線で主に活躍した機関車だ。
標茶町内の公園で静態保存される前は釧路機関区にいたということは、主に標津線で活躍していたのだろう。
実際に『C11 標津線』で画像検索すると、標津線で現役で活躍する171号機の画像を見ることができる。

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 ノスタルジックムードに浸りながら燗酒を口にする。

ゴミを捨てるついでに車内を歩いてみる。
空きボックスもいくつかあり、行きよりは幾分乗客が少ないようだ。

列車は茅沼に到着。
行きの列車からはたくさん見えたタンチョウは、今度は1羽もいなくなっていた。
その代わりに、広場の向こうに三脚を立てる人たちや並ぶ車が見えた。

いい画像は撮れましたかな?

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 茅沼駅停車中。

茅沼〜塘路間は釧路湿原の中でも最も景色の良い区間だ。
一面平らな雪原や真っ白になったシラルトロ湖を見ながらゆっくりと走る。

そんな景色をSLの煙越しに見ながら、お酒でほろ酔いなな気分で、もう昔話になってしまった釧網本線の混合列車などを思ってみた。

次の塘路では10分停車。
網走行4730Dと交換のため。

私は知っているので、5号車のデッキでドアが開くのを待っていたので、機関車の撮影は一番乗り。
塘路駅ではホームが短いので、4・5号車のドアだけが開く。

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 塘路では10分停車。ホームはしばし機関車の撮影タイム。

標茶発の列車の機関車は後ろ向きになっているのは、標茶駅に転車台(ターンテーブル)が無いので方向転換できないため。
C11型はタンク機関車と呼ばれ、機関車本体に石炭と水を積んで車長が短いため、こうしたバック運転ができる。

車内放送の10分間停車を聞いてか、ホームへ出る人に釣られてか、車内からぞろぞろと人が出てきた。

やがて構内踏切が鳴って1両のキハ54がやって来た。
釧路発網走行き普通列車。

これがなんとルパン三世ラッピングトレインだった。
花咲線専用車両だと思っていたが、釧網線にも進出するようになったんだね。

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 網走行4730Dはルパン三世列車のキハ54 522号だった。

ルパン三世号を見送って車内に入る。
2号車に戻ると、販売カウンターのカーテンが引かれ、もう閉店になっていた。

自席には戻らず、しばらくカウンター向かいの立食席らしいスペースから外を見ていた。
まだ1月、3時ともなるとだいぶ日が傾く。

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 釧路川の向こうに西日が傾く。

また自席に戻って、旧型客車の乗り心地を味わっていた。

私が知っている現役当時の旧型客車は、札幌13時40分発函館行き普通列車。中学生のころだ。
機関車に郵便車が1両、荷物車が1両、その後ろに2両の青い旧型客車が連結されていた。
デッキの乗降ドアは内開きの手動ドア。今では考えられないが、夏は開けっ放しで走っていた。

同じく夜行普通列車というのもあって、それに乗ってみたかったが、親の許しは得られないうちに、旧型客車ともども廃止されてしまった。

列車は釧路市内へ入り、再び釧路川を渡る。
行きほどではないが、ここはまた撮り鉄さんが大勢いた。
そっちからだと逆光じゃないかと思うけど、逆光のSLもまたいいのかもしれない。

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 再び釧路川橋梁。撮り鉄の皆さん、いい写真が撮れましたかな。

終点釧路に戻ってきた。
ホームのSL列車と『くしろ』と大きく書かれた昔からの駅名標はしっくりくる。
木材を組んだ堂々とした上屋もまた良い演出だ。

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 終点釧路到着。国鉄型駅名標が出迎える。

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 後ろ向きで牽引してきたC11 171号機。

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 煙突から勇ましく煙を吐く姿が逞しい。

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 無効印を押して貰ったSL冬の湿原号のきっぷと車内で配布の乗車証明書。

釧路を11時5分に発ってから4時間23分、『SL冬の湿原号』は思いのほか楽しかった。

例年ならば満席近い乗車率で、ご同業の方々や国外の団体様と一緒になって、1時間半以上も身を寄せ合って車内で過ごすことになっていたんだろう。
私は特にSLファンではないので、新型コロナでの乗客減でもなければ多分乗ることはなかったと思う。

このSL列車も今後はどうなるかわからない。
機関車の状態によっては運行取りやめ発表ということもありうるし、膨大な費用がかかる全般検査も数年後にまたやって来る。
乗りたいうちに乗っておいてよかったのだろう。

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 4階建ての堂々とした釧路駅舎と動輪の碑。


 ◆ 【おおぞら10号】
   釧路 16:12 ⇒ 20:28 札幌

これで終わりではなく、私は札幌の人なので札幌に戻らなくてはならない。
しかも明日は月曜日である。
もう1分1秒でも早く帰りたい。

帰りの列車でも呑み鉄で行こうと、駅弁を手に入れようとコンコースの売店へ。
以前来たときはホームに駅弁の売店があったのだが、もう売店はなくなっていた。
駅弁は四季彩館に置いているようだが、駅弁は売り切れの文字が・・・

福司と北の勝のワンカップが置いてあったのでそれを買う。

今朝の駅弁以来、酒以外口にしていないので、仕方ないセブンイレブンで弁当を買う。
なるべく酒の肴になりそうなものをということで、秋鮭焼きほぐし御飯にした。

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 キハ261系の『おおぞら10号』。

札幌までは4時間16分の乗車。
今度の車両は261系。稚内系統の特急『スーパー宗谷』でデビューした車両。
あれから21年経って、こちらが道内特急の顔となりつつある。

行きの『おおぞら1号』は悲惨なくらいにがら空きだったが、帰りの『おおぞら10号』はそこそこ乗っている。
ざっと見で半分くらいのボックスが埋まっているくらい。

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 セブンの『秋鮭焼きほぐし御飯』と福司と北の勝のカップ酒。

帰りもまた呑み鉄します。
四季彩館で買ったワンカップ2本とチーズのおつまみ、セブンイレブンの秋鮭焼きほぐし御飯。

この弁当のほぐし鮭が旨い。脂も程よく、味加減も日本酒向き。しかも税込み356円。
今朝1,300円以上も出して買った駅弁は何だったんだと思えた。

あと10年後もしたら、地方駅の駅弁なんて都会のデパートの催事場で買うものになっているのだろうか。

大楽毛を通過し、新釧路川の鉄橋に差し掛かると、真っ赤な夕日ときれいな夕焼け空が広がった。
呑みながら風景を見ていると、やっぱり車より鉄道の方がいいなと思った。

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 新釧路川の向こうに夕日が沈む。(大楽毛〜庶路間)

行きの振り子型283系とちがって、こちらは安定した走りっぷり。283系の最高速度が110km/hだったのに対しこちらは120km/hまで加速する(スマホアプリでの計測)が、騒音も揺れも比較にならないほど少ない。

こうして乗り比べてみると、283系が登場したあたりはとにかく高速化が目標だったのだろう。
2010年代になると、年々延伸する高速道路に対抗するためにさらなる高速化を目指すものの、この頃には事故や不祥事が頻発して高速化どころではなくなってしまった。

線路も車両も経営もガタガタになっていたのだった。
このころ、道内特急は次々とスピードダウンするようになる。

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 帯広から乗客が増えてビジネス特急らしくなった車内。

帯広で乗ってくる人が多く、窓側席はほぼ埋まった状態となった。
帯広発は17時48分は時間帯からして札幌へ戻るビジネス特急というところ。

あとは眠ったりスマホをいじったりしているうちに新札幌に着き、ここで1/3くらいの人が下車した。

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 札幌に戻ってきました。

20時28分、札幌着。
コロナ渦中ということと日曜の夜ということもあって、ホームの人はまばら。

今日の昼頃は釧路にいてSLに乗っていたのが信じられない気分だった。
旅の余韻がまだ抜けきらないが、明日はまた早いのでさっさと帰ります。

〜おわり


posted by pupupukaya at 21/02/07 | Comment(0) | 道東の旅行記
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