列車は来ない跨線橋と廃止日が決まった日高線について

日高本線の鵡川〜様似間が災害で不通になってから早や5年。
ご存じの通り、今年(2020年)の10月にJR北海道と沿線自治体の協議がまとまり、同区間の来年11月1日の廃止が決定しました。

さらに12月28日には廃止日を繰り上げることが国土交通大臣より認可され、これにより鉄道事業廃止は2021年4月1日(最終日3月31日)となることがほぼ確定のようです。

【ソース】
 * ●鉄道事業の一部廃止届に係る廃止の日の繰上げの是非の通知について
 (2020-12-28 北海道運輸局ホームページ プレス情報)

鵡川〜様似間が廃止になるのは残念なことですが、これによってJR北海道と沿線自治体の平行線状態が解消し、ひとまず区切りがついたことになります。
一方で、日高地方に相応しい交通体系を再構築する節目にはなるのではないでしょうか。

  ★  ★

それはそれとして、日高本線といえば今年の5月に仕事で静内へ行った際に見つけ、そのままにしていたものを思い出したのでご紹介します。

それは下を列車は通ることがないだろうという跨線橋

場所は静内駅から西側へ約300m、新たに開通した本町通りから静内駅裏側の海岸町を結ぶ道路として建設されたようです。
その道路にT字路で接続した、新たな跨線橋が出現していました。

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静内駅の西側に作りかけの道路があったのは知っていましたが、いつの間にか開通していた模様。
本町通りと言って、静内駅から木場町のショッピングモールやその先のイオンへの近道ができたことになります。

静内駅から、その新しい本町通りの坂道を登った先にその跨線橋はありました。

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橋の長さは複線分の空間を確保。なかなか立派なものですね。
奥側の引き込み線は跨線橋の手前までしか使われていなかったようですが。

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橋はできてもまだ通行止め。
地元の人は歩いて通っていたけど。

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反対側の道が整備されてから正式に開通するようですね。

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下を列車が通ることがない跨線橋。その名は『汐見跨線橋』。

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『JR日高線』のネームプレートも誇らしげ。

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橋の上からは静内駅構内を一望できる。
右側の引き込み線には、毎日昼頃に本線から退避したキハ40が留置されていたのを思い出しますな。

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昔は苫小牧機関区の支区が置かれ、コンテナ基地も併設されていたこともあって広い構内を持つ。

ここから列車の走る姿を撮影するには良いスポットですね。
わたしゃ撮り鉄ではないけど。

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こちらは静内駅とは反対の新冠駅方向。
画像中央に営林署踏切が見える。この跨線橋が正式に開通したらあの踏切は廃止(?)されるのでしょうか。

現地に行ったのは5月のことだったので、まだ廃止決定ではないものの、廃止間違いなしということは誰の目にも明らかでした。

無駄なものを作るなと思うところでしょうが、こういうのは都市計画の一環として何年も前から計画されていた事業で、たまたま日高線の被災と廃止という憂き目が重なったことになるわけで、まあ残念といったところでしょうね。

以上が列車の通らない新跨線橋、汐見跨線橋でした。

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静内駅まで来たので、ついでに駅の画像を少し。

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静内駅の駅舎は2001年に新築のもの。観光情報センターと道南バスターミナルも併設する。
手前のJRバスは様似から来た列車代行バス。

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駅舎の脇から見た汐見跨線橋。
残念ながら本来の跨線橋としての役目を果たすことは無いでしょうねえ(5月時点の感想)。

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使われていないのに不思議と草1つ生えないホーム。
2番ホームの上屋の屋根はいつの間にか撤去されていました。

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こちらは駅の入口。
中はバスターミナルと一緒になっているんですが外見は別っぽくなっている。

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駅なので改札口とみどりの窓口もありますよ。
ちなみに入場券を買うと改札口からホームに入れてもらえます。

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自動券売機もあるが、こちらは発売停止中。

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近距離きっぷ運賃表。
苫小牧まで鵡川乗り換えで2,100円。1日3往復の道南バスだと直通で1,500円。
鉄道廃止後は道南バス路線の強化となるんでしょうかね。現在の路線も勇払以外は日高線と並行しているし。

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木造駅舎時代から続いている立ち食いそば屋(駅そば)にしや。

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列車代行バスのバス停。
これが見られるのも来年3月いっぱいまで。

(上記画像は全て2020年5月某日筆者撮影)


 ◆ 日高本線 鵡川〜様似間の鎮魂歌

日高線鵡川〜様似間の廃止まであと3か月とちょっと。
とは言っても、5年も前から列車は来なくなって、線路は事実上廃線跡状態なので、廃止と言っても書類上だけのもの。

廃止日が近づいても、当然お別れ列車も無し。
変わることと言えば代替バス路線が再編成されることと、青春18や1日散歩などのフリーきっぷで来られなくなるくらい。

汐見跨線橋に話を戻しますが、廃止後に本来の跨線橋の役目を与えるたった1つの方法を思いついたんですが、静内と新冠の間の線路を観光用のトロッコ鉄道にするというもの。

海沿いなので景色も良いし、国道235号線が並行しているので管理もしやすいんじゃないかと思うんですがどうでしょうか。

自治体主体の運営とすると、線路が新ひだか町と新冠町に跨るとかという問題は出てきますが。
ま、あくまでひとつの例えではありますが。

  ★  ★

日高本線に限ったことではありませんが、鉄道の廃止となると決まって出てくるのが、交通弱者ガ〜とか、観光客が減るとか、路線図から町名が消えるとか、往生際の悪いネガティブキャンペーンの反対運動。

もうひとつは、役目を終えた過去の遺物とか、赤字垂れ流しで維持するのはけしからんといった論調で、ローカル線は積極的に廃止すべき、廃止は当然といった論理を展開するだけの人。

どっちにしてもネガティブな主張でしかなく、もういい加減にしてほしい。
誰も鉄道が廃止になることを望んではいませんよ!

どこも存続できるものならば存続させたいと模索してるんです。

その上で為す術もなく、廃止やむなしとなってしまうのは、もう仕方のないこと。

そんなことより、廃止後は駅などの資産を譲り受けて鉄道遺産として保存しようとか、跡地を整備して観光拠点にしようとか、新たな交通拠点として整備しようとか、前向きな意見を言う人の方がわたしゃ好きですね。

それで言うと増毛町の旧増毛駅なんて成功した例でしょうね。
廃止後にJRから駅舎の無償譲渡を受けて開業当時の姿に復元。
現在は増毛町観光の拠点として、現役当時より賑わってますものね。

ちほく高原鉄道ふるさと銀河線の旧足寄駅や旧本別駅、旧陸別駅は道の駅として生まれ変わり、また陸別町は観光鉄道として残すなんてこともやって頑張ってますよね。

それとは反対に、江差町の旧江差駅は撤去後に町営団地として整備され、旧駅前広場とモニュメントだけが駅があったことを伝えるだけとなっていますが、新たな町づくりの結果とすれば、それはそれでありだとは思います。

鉄道廃止イコール終わったと考えるか、これを節目として新たな再スタートとするか、その結果は数年後に期待したいと思います。

以上日高線鵡川〜様似間廃止日決定を知って思うことでした。

〜最後までお読みいただきましてありがとうございました。


posted by pupupukaya at 20/12/30 | Comment(0) | 北海道ローカル線考
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