2020年沖縄・八重山旅行記3

 ◆ 日本最南端の碑からさらに南へ

最南端広場を去ろうとした頃、さっきのフェリーで着いたらしい観光客が次々とやってきた。グループで来た人もいてしばし賑やかになりそう。みんな自転車で来ていた。
そんなに大きな島ではないし、レンタカーを借りるまでもないのだろう。

着いた人たちと入れ違いに、こちらは次へ向かう。

波照間島には、島を1周する道路があって、その道を時計回りに自転車で走る。
この道路はさっきの場所からさらに南下し、最南端広場入口から南へ170mほどのところから西へ向かっている。
つまり日本最南端の碑は実は最南端ではなかったことになる。

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 グーグルマップで今いる場所を表示すると・・・

最南端の碑が立ったころは今の道路は無く、あそこへ向かう道路しかなかったのだろうが、周回道路がさらに南を通っていので少なくとも最南端ではない。
そういう意味では今いる場所が本当の日本最南端というわけだ。

実際はこの道路からさらに100mほど南にある海岸が最南端というわけだが、海岸に出るには道路から藪を漕いで行くしかなさそうだ。さすがにそこまでする気にはならない。

とにかくこれで最南端は制覇したことになる・・・のかな?

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 日本最南端之碑よりさらに南を通る道路。

この辺りから自転車で走る観光客やレンタカーとすれ違うようになる。港から反時計回りで来た人たちだろう。
さっきとは違って坂がないので走りやすい。

この辺がペムチ浜かなあと思って走っていると、林の中に分け入っていく道を見つけた。
もしやと思って自転車を置いて入っていくと海岸に出た。
ここがペムチ浜、日本最南端のビーチ(砂浜)ということになる。

今の時間は引き潮で波も無いベタ凪。
海に飛び込んだら気持ちよさそうだが、浜の入口には遊泳禁止の札があった。

水平線の向こうには、できかけの入道雲がいっぱい並んでいる。
あの雲の下にはきっとパイパティローマ(南波照間)があるんだ、なんて昔の人は考えていたんだろうか。

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 ペムチ浜は日本最南端のビーチ。

誰もいない白砂の静かな海岸。
この浜も景色はいいが、直射日光を遮るものが無いので暑いし、これといって何かあるわけではない。
5分ほどしたらまた自転車に戻った。

また西へ向けて自転車を漕ぎ出す。
とにかく暑い。蒸し暑い。
額から玉のような汗がドバドバと出てくる。
しかもマスクだからもうたまらん。

もう日陰でちょっと休まないと・・・
と思った頃、1台の自販機があった。
やーこれは助かったとアクエリアスを買う。

あ〜つめた〜い、気持ちいい〜、ゴクゴクと冷たいアクエリアスを半分くらい一気に飲んで生き返った気分になった。

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 最南端の自動販売機?

ひと息ついたら、なんでこんな人家も無いような所にポツンと自販機があるんだろと思った。
さっきの最南端広場にも無かったのに。

そういえばさっき灯台のそばを通ったけど、あの灯台は海岸じゃなくて、なんだって島の真ん中のサトウキビ畑の中に立っているんだろうと思った。

意外なものが予期しなかった場所に現れるというのが波照間島なのだった。

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 浜シタン群落と南(ペー)浜への入口。

次に向かったのが浜シタン群落と地図にある所。
それらしい場所に行くと、『遊泳禁止』と『ハマシタン入口』とだけ書かれた看板があるだけ。
そこから先は枝や葉が包むように覆いかぶさった小道が続いている。

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 ビーチへの道。

暗いトンネルのような小道を進んで行くと突然視界が開け、青い海と白砂のビーチが現れる。
なかなか上手い演出だなと思うが、海岸と陸(おか)の間はびっしりと林になっているので自然とこんな風になるのだろう。

南(ペー)浜もさっきのペムチ浜と同じく引き潮のベタ凪だった。
水平線の向こうに見える山並みは西表島だろう。

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 広々とした南(ペー)浜。

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 遠くに西表島の山並みが見える。

波照間島はサンゴからなるサンゴ礁。
南国のシンボルのような白砂は、足元を見るとサンゴのかけらがいっぱい。

海中の色とりどりのきれいなサンゴは死ぬと漂って島に流れ着く。そうしてできたのがサンゴ礁。
こういうのを見ると、ああ今南国のサンゴ礁にいるんだなと実感する。

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 南浜の砂浜はサンゴのかけらがいっぱいあった。

いろんな形のサンゴのかけらを見ていると、拾い集めてお土産にでもしたくなるが、実はそれはNG
サンゴは浜に落ちているものでも、勝手に採取しちゃいけないという法律がある。

サンゴの破片を飾りにするとか旅の記念にと少し拾うくらいならばアリなのだろうけど、ブログ等でうっかり『サンゴを拾ってきました』なんて書くと、違法行為と思われることになるので気を付けましょう。

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 プライベートビーチのような浜シタンのビーチ。

今回は石垣島から日帰りでやってきたので忙しいが、もし波照間島に宿を取って丸1日ここにいるのならどう過ごすかな。

海水浴もシュノーケリングもしない私など、ビーチのどこか日陰に陣取って日がな一日浜辺を眺めながらビールでも飲んでいるかな (^^; ←飲むしかすることが無いんかい!

ひと気のない白砂の浜辺は美しいが、日差しが容赦なく照り付けるのと湿度が高いのがあって、とにかく蒸し暑い。
ここも5分ほどで退散する。


 ◆ 波照間島の集落

今度は集落の方に向かう。
浜に向かって下ってきたので今度は登り坂。

そんなにきつい坂ではないし、普段から自転車に乗っている方ならば難なく登れるだろう。
しかし私は自転車を漕ぐ筋肉はほとんど衰えている人なので、ちょっとした坂でも大変だ。

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 ビーチ以外はサトウキビ畑ばかり。

歩きの方が得意なんだけどなあ。

最初は港から最南端の碑まで歩くことにしていた。
ところが、GoToトラベルで波照間のレンタサイクル付きの日帰りツアーの方が往復のフェリー代よりも安かったのでこちらにしたのだった。

またサトウキビ畑の中をローギアでえっちらおっちらと漕いで行く。また汗がドバドバと噴き出す。持ってきたタオルもびっしょりになってしまった。

集落に着けばどこか休めるところがあるだろう。

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 昔ながらの造りが多い集落。

集落は改めて見ると石を積んだ石垣の塀と赤い瓦屋根、それに家を取り囲む緑のフクギ。
なんと沖縄らしい町並み。

自転車を降りて押して歩いていると、いかにも沖縄っていう感じがする。

伝統的な造りが残る路地を歩いていると、どこか昔にタイムスリップして迷い込んだような錯覚になる。
ひょっとして、時をかける少女に出てくる未来人みたいに、出会った人に実は自分は2020年からやってきた未来人だと語るかもしれない。

何年か後に世界中で奇妙な肺炎が流行するから気を付けろと予言するかもしれない (^^;

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 石垣の塀に背の高いフクギは台風対策。

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 こんな路地にふと迷い込んでみたい。

ウロウロと歩き回っていたら『泡波』の看板を見つけた。
泡波は沖縄に数ある泡盛の中でも幻の名酒と呼ばれる。

何が幻かと言うと、小さい酒蔵なので生産量が圧倒的に少なく、店頭に並ぶとすぐに売り切れてしまうからだそう。

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 幻の名酒『泡波』の酒造所。

幻の名酒と聞くと酒飲みとしては何としても手に入れたいところ。
工場では売っていなく、裏手の方にあるJAの売店で扱っているらしい。

さっそく向かってみると、その売店は休みだった。
島の郵便局も休み。いったいどうしたんだこの島は。

しかし、よくよく考えたら今日は日曜日だった・・・

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 日本最南端の郵便局は波照間郵便局。

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 島では共同売店がスーパーやコンビニ代わり。

集落をぶらぶら歩いて、また自転車で今度はニシ浜へ。西にある浜ではなく、ニシとは北のこと。
漢字で書くと北浜となる。

波照間での方角の読み方は、東=アリ西=イリ南=ペー北=ニシとなり、同じ八重山でも石垣島での読み方とも違うようだ。

ニシは西でなくて北、ペーは北?、いや南。
真面目に考えるとなんだか混乱してきますね・・・

集落からニシ浜へ向かう途中、風が出てきたのに気づく。
外で仕事することが多いので、経験上ひと雨くるのかなあと思うような風である。

海へ向かう坂道を自転車で下ると最南端広場よりも立派な駐車場があった。

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 東屋やトイレがあるニシ浜。

さっき回ってきた浜と違ってこちらは遊泳できるためか人がいた。
といっても数えるほど。
海水浴と言うよりは浜辺で水遊びしたり、シュノーケルを付けて潜ったりするくらい。

さっきの浜とは違って、こちらは波が立っていた。

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 ニシ浜と浜辺で遊ぶ人たち。

遊んでいる人たちとは離れたところにあった岩に腰かけて休憩。
風がある分、幾分かは涼しくなった。

風も結構吹いてきたし、波もある。沖合は波立っているのかもしれない。天気予報では八重山諸島一帯は波浪注意報が出されている。昼発のフェリーは欠航になるかもというのはこのためなのだろう。

沖合にはモウモウと雲が立ちこめて、対岸の西表島は雲に霞んでいる。晴れて日が差しているのは波照間島だけのようだ。
だとすれば、天下の晴れ男だね。

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 波照間ブルーの海が広がる。

20分ほど休んで、また出発する。
この島の見るものと言えばビーチだけのようだ。陸(おか)の方はサトウキビ畑ばっかり。

フェリーターミナルに向かう。
昼のフェリーが出ても欠航でも、もう自転車は返すことにした。

もう完全にギブアップです。もう漕げません (T_T )

昼のフェリーがもし欠航だったら、夕方初のフェリーまでブラブラ歩いて過ごすことにしよう。


 ◆ フェリーターミナル

着いたときに借りたレンタサイクル屋に着いたが、店の人は誰もいなかった。
困ったなと思っていたら、『帰って来られたら帰って頂いて結構です』と書いた張り紙があったので、自転車を置いたらこのまま行っていいらしい。

フェリーターミナルに着くと、昼の便は運航するとわかった。
予定通りこれで帰るとしよう。

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 波照間船客ターミナル。

ベンチの並んだ待合室に居るのは、もう行き場がなくなってとりあえずフェリーを待つような人たちと見受けられる。
意外なことに土産物の売店が2店、フェリー会社のカウンター、それに立ち食いそば屋のような八重山そばのスタンドもあった。

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 波照間船客ターミナルの待合室。

泡波は置いてないかと売店をのぞくと、『あわなみはないです』と書いた札が下がっている。
客に何度も何度も同じことを聞かれるので、業を煮やしてといったところか。

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 『あわなみはないです』ぶちギレパンダ。

反対側の売店は装飾品など女性向けの品物を売っている。
こちらもチラッとのぞいてみたら、あった。

泡盛のビンがたくさん並んでいる。ただし全部100ml入りのミニチュアビンだけど。

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 ターミナル内に2か所ある売店。

ミニチュアビンは1升ビンタイプのものと3合ビンタイプの2種類置いてあった。

幻の泡盛とあって、ごそっとダース単位で大人買いしたい衝動にかられたが、おとなしく1種類ずつ2本だけ買った。
1本410円。幻だけあってかなり高いし、それに割れ物だからね。

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 2本だけ買ってきた幻の泡波のミニチュアビン(あとで撮影)。

まだ時間があるので、ここで八重山そばを食べて行くことにした。

立ち食いそばのようなカウンターの店のメニュー表には『そば』とだけあって、『並・・・750円』『大盛・・・1000円』とだけ書いてある。メニューはこれだけらしい。

カウンターで注文して、近くのテーブルに座っていれば運んできてくれるようだ。
表のテラス席があいていたのでそこでそばを待つ。

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 波照間船客ターミナルの『そば』。

カウンターのおっちゃんがお盆に乗せて持ってきた。
立ち食いのような店なので正直あまり期待していなかった。また値段が高めなのは離島なので致し方ないところ。

ところが運ばれてきたそばの上には大きなソーキ(豚のあばら肉の煮込み)がドンと2個乗って、このソーキは良く煮込まれているのか赤肉部分はトロトロ、軟骨部分はねっとり。少しくどいかなと思ったら島とうがらしを振りかけると引き締まる。

期待していなかっただけにちょっと感動してしまった。

独特の麺やカツオと昆布の出しのつゆも良く合う。
沖縄本島のソーキそばとも違う、これが八重山そばかあと感心しながらつゆまで全部平らげた。

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 ネットリトロトロのソーキ。

ところで、さっきおっちゃんがそばをテーブルに置くとき、親指をズブッと汁に突っ込んだのは見なかったことにしておくよ・・・

4へつづく

タグ:沖縄 離島

posted by pupupukaya at 20/12/05 | Comment(0) | 沖縄の旅行記
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