2020年礼文島旅行記3 岬めぐりコース

 ◆ 6月30日(火)

朝、ピーチクパーチクさえずる鳥の声で目覚める。窓の外は空がもう明るかった。
枕元のスマホを見ると3時18分。トイレに行って戻ってきたらすっかり目が覚めてしまった。
今日の礼文島の日の出は3時50分。朝日の写真が撮れるかなと期待したが、空全体は雲が覆っているので無理っぽい。

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 朝日で赤く染まるスコトン岬。

素泊まりの宿ならもう出発したいところだが、朝食は7時から。
鳥のさえずりを聞きながら外を眺めていたら、スコトン岬が朝日で赤く染まった。朝日の写真撮れたなあ。

5時発表の天気予報を見ると、今日の礼文町の天気は曇り。昨日まで悩まされた雨マークは消えていた。
何だか頼りない空模様だが、今日は1日トレッキングすることに決めた。

時間はたっぷりあるので、朝食前に朝風呂に入ってきた。

ようやく7時を過ぎ、1階の朝食会場へ。
昨日の夕食時と同じように、先客がもう食事をしていた。

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 塩鮭がメインの朝食、あとから目玉焼きが出てきた。

テーブルにはお重が置いてある。席に着くとご飯が入ったお櫃と味噌汁が運ばれてくる。重のフタを開けると塩鮭がメインのおかず。ずいぶんと質素だなと思っていたら、しばらくして目玉焼きとサラダの皿がやってきた。

お櫃にはお茶碗2膳半ほどのご飯が入っていたが、これからのトレッキングに備えて全部平らげる。
昨日夕食時に女将から、岬の方は今は売店がやっていないので、もしよかったらおにぎりを作ってあげますよと言われていたが、これだけ食べれば夕方まで腹は持つだろう。

食べ終えて朝食会場を出ると、仕事の人たちはもうゾロゾロと出勤するところだった。
今日は病院前バス停8:29発のバスでまずスコトン岬へ向かうことにしている。


 ◆ 岬めぐりコースを歩く

8時20分過ぎ、バックパックを背負って宿を出る。荷物は歩きに必要なものだけ残してあとは袋に入れて部屋に置いてきた。
礼文島内の路線バスは全線が自由乗降区間となっていて、事前に運転手に伝えればそこで降りられるし、逆に乗車する場合はバスに向かって手を上げれば停車してくれる。

宿の向かいで待っていたらバスが来た。手を上げるとバスはウインカーをつけて停車した。

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 手を上げると停車したスコトン行のバス。

今日歩くのは岬めぐりコースと呼ばれるトレイルコースの1つ。
スコトン岬をスタートして、ゴロタ岬、澄海(スカイ)岬を回って船泊に戻ってくるコース。

礼文島とひと口に言っても意外と広く、船泊の町からスコトン岬までは7kmもの距離がある。歩けば1時間以上はかかる。数少ないがバスをつかまえれば僅か12分。別に歩いても良かったのだが、今日は初日だし、天気も微妙なので手堅くバスで行くことにしたのだった。

バスのフロントガラスはびっしりと水滴が付いていた。香深方面は雨だったのか。
乗車したバス車内は私と同じくトレッキングと思しき乗客が5人ほど。1人は浜中で下車した。トレイルコースの1つ、8時間コースのスタートはここになる。

スコトンのバス停は岬の600mほど手前にあるが、バスはスコトンの停留所を通り過ぎてスコトン岬の駐車場が終点になった。
ここまでの運賃は420円。

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 スタートのスコトン岬。

道路の終端から下りる階段があって、その先が展望スペースになっていて、『最北減の地スコトン岬』の標柱が立つ。岬の先に海驢(とど)島が見える。
最北端の宗谷岬に対し、こちらは最北限を名乗るが、北の位置としては宗谷岬には6.5kmほど負けている。

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 この日に歩いたルート(地理院地図より筆者作成)

とにかく、最北限のスコトン岬から始める。8時48分スタート。
スコトンのバス停を過ぎて、道道から分岐する坂道を登る。
木のない山の斜面は、オレンジ色をちりばめたようにエゾカンゾウが満開だった。
写真に撮るが、暗い空のせいか見栄えのする写り方にならない。

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 トド島展望台から船泊方向を見る。

9時24分トド島展望台着。ここは車で来られるらしく、駐車スペースがあった。
ここから船泊湾を一望できる。空は暗いが視界は良い。しかし、遠くの山々はガス(霧)に覆われていた。

トド島展望台からしばらく歩くと、鮑古丹と江戸屋への分岐点へ出る。ここで車道は終わり、本格的なトレイルとなる。
木が1本もないので、一条の踏み分け道が山の上まで筋のように見える。海側は断崖絶壁、山側はなだらかな丘陵が広がって絶景だ。

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 ゴロタ岬へ続く道。

9時56分、坂を登り切ったところに柵で囲まれた展望スペースに出た。ここがゴロタ岬。
正確にはゴロタ山の頂上で、肝心のゴロタ岬は岩が邪魔してここからは見ることはできない。

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 ゴロタ岬。

ゴロタ岬には先客がいた。挨拶をすると、先客は反対方向に下りて行った。私とは逆コースの人らしい。
ウインドブレーカーを着てきたが、ここまで登って汗びっしょりになってしまった。
景色を見ながら風に当たっているとだんだん汗も引いてきた。

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 ゴロタ岬から南東方向、ゴロタ浜を見下ろす。

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 ゴロタ岬ですれ違った人が下りて行く。

15分ほど休憩してまた歩き出す。こんどはゴロタ浜へ下って行く。
やがて馬の背に出る。右に日本海、左に船泊湾を望む。

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 ゴロタ岬南側の馬の背から。

ミユキストならば『銀の龍の背に乗って』の一節が浮かんでくるところ。

 ♪ 僕は龍の足元へ崖を登り呼ぶよ「さあ、行こうぜ」
 ♪ 銀の龍の背に乗って届けに行こう〜
  (中島みゆき作詞作曲 銀の龍の背に乗っての一節より)

もう銀の龍の背ならぬ緑の龍に乗った気分。

眺めはいいが、だんだん草が腰のあたりまで覆うようになる。そんな踏み分け道を塞ぐようにハナウドの白い花がびっしりと咲いていた。
いつもなら風が強い所なのだろうが、今日は風はそれほど吹いていない。海も凪のように穏やかだ。

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 ニュッと伸びた不気味なエゾニュウのつぼみ。

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 足元に咲き乱れる花。エゾカンゾウ、ハナウド、チシマフウロなど。

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 エゾカンゾウの群落。

しばらくは海を見ながら馬の背を緩やかに下るが、途中から急坂を一気に下る。
登りより下りの方が怖い。登りはパワーに任せて進めばいいが、下りは足を下ろす場所を間違えればズルッといっちゃいそうだから。しかも草が覆って足元が見辛いとくる。

何とか下まで来れば、ここからは浜沿いの平坦な道となる。

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 ゴロタ浜ですれ違った人々。あちらはゴロタ岬へ向かう。

このあたりで逆方向の人たちと何人かすれ違った。
歩きやすいが退屈な道が続く。しばらくすると鉄府(てっぷ)の町中に入る。
町中といっても十数軒の家が並んでいる漁村だが、ひと休みできるような場所は無かった。

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 またヤブの中を登るのかよ。

鉄府の町を過ぎると澄海岬を示す道しるべが立っている。その先は草に覆われた登坂。
ここもずっぽりと草に埋まって登る。雨上がりだったら腰までずぶ濡れになりそう。

急な斜面はオレンジ色のエゾカンゾウの花が満開。この花はよっぽど斜面が好きなんだろう。
しかし写真うつりは悪い。日が出ていればもう少し映えるのだろうか。

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 斜面に満開だったエゾカンゾウ。

途中で振り返るとさっき通ってきた鉄府の町が一望できた。
その向こうに見えるのがさっき登って下りてきたゴロタ山なのだが、いつの間にか山の頂上は真っ白なガスに覆われてしまっていた。

あらら、さっきゴロタ浜ですれ違った人たちはあのガスの中だ。
山の天気とはよくいったものだ。

南の方も薄いガスがかかり始めている。晴れているのはこの辺りだけのようにも見えた。あのガスの中を歩くのはいやだな。

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 さっき通ってきたゴロタ山はガスに覆われてしまった。

登りはつらいが、また絶景や花々が楽しませてくれた。
こんどのトレイルはそんなに長くはなく、すぐに下りとなる。
澄海岬や西上泊(にしうえんとまり)の町を見下ろしながら下る。

神社の前に出て、そこから車道を下ると澄海岬の駐車場があった。
ここに売店がいくつか並んでいるはずなのだが、昨日女将に聞いた通り、売店らしき建物はシャッターが閉まっていた。

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 澄海(スカイ)岬に到着。

澄海岬と書いてスカイ岬と読む。誰が呼んだか知らないが、イカした名前を付けたものだ。
ここから見下ろす海が空のように青く澄んで見えるからこう呼んだのだろう。

今日は一面曇り空だが、海を見下ろすと青く見える。
最近リニューアル工事されたらしく、歩道の敷石や柵が真新しい。海は美しいが、海岸には流木を片付けたらしいゴミ袋が散乱していた。

あーあ、晴れてればなあと思うが、この時期の不安定な天気を考えれば、雨に当たらなかっただけで良しとするべきだろう。

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 チョコバーとお茶が昼食代わり。

ここでちょうど12時。スコトンを出発してから3時間少々しか経っていない。意外と早かった。
澄海岬のある西上泊からは普通の道路が通じている。路線バスこそ無いが、歩けば宿まで1時間くらいで着く。
あまり早く戻ってもすることがあるわけでなく、時間を持て余してしまう。
もう少し早く出れば、8時間コースも余裕だったかな。8時間コースとはここからさらに西側の海岸沿いに南下し、香深井に抜けるルート。
しかし、あっち方向もガスがかかっている。

とりあえずベンチに腰掛けて、宿の前にあった自販機で買ったお茶と、稚内で買ってきたチョコバーで休憩。

普段ならば観光バスがやってきて、その度にツアー客の喧噪が展開されるのだろうが、今日はたまにレンタカーで回っているらしい観光客が1人、2人やってきて立ち去るだけ。それ以外は貸切状態だった。

しばらく海を見ながらボーっと過ごしていた。たまにはこんな時間があってもいいんじゃないか。
1時間ほどしてから出発する。

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 西上泊からは舗装道路をテクテク歩く。

人家や漁港のある西上泊からは片側1車線の立派な車道が通じている。
途中で道道に合流し、船泊までは約1時間の退屈な道が続く。
かといって、さっき歩いてきたトレイルを逆戻りするかと言われれば、それは勘弁してくれだ。
それに、ゴロタ山はもうずっと雲の中だし。

歩いている途中に、8時間コースの入口があった。
次に礼文島に来たときは挑戦してみたい。
13時40分、町道の突き当りの道道との交差点に着く。ここが浜中の集落で、岬めぐりルートはここが終点。

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 浜中バスステーション。

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 浜中付近の船泊湾。

船泊湾を見ながら道道を歩く。海は波ひとつないベタ凪だった。こういう日はウニ漁は捗るのかなあ。
14時少し前、宿の前まで戻ってきた。
いくら何でもまだ早いなあと思い、久種湖を1周してこようと思った。礼文島のトレイルコースの中に久種湖畔コースという1周1時間のコースがある。

というわけで、キャンプ場内の遊歩道に足を踏み入れた途端、蚊の大群だらけ。こりゃたまらんと逃げ出す。
しょうがない、宿に戻ってビールでも飲んでいるかということで船泊の町にあるマリンストアーまで歩いた。

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 船泊マリンストアー。

船泊にはコンビニは無いが、ここマリンストアーに来れば食料品や日用品は一通りそろっている。
ほかに店がないせいか、わりと繁盛しているようだった。
ここでビール2本とつまみを買って宿に戻る。


 ◆ ホテル礼文荘2日目

宿に着いたのが14時40分。もう行くところはない。
フロントでキーを受け取るときに「風呂は何時からでしたっけ」と聞いたら4時からだけど少し早めてくれて、3時40分からは入れるようにしてくれた。

部屋に戻る途中、洗濯物を抱えた朝食会場で見た工事かなんかで泊まっている人とすれ違った。朝早く出て行ったが、戻りもずいぶんと早いんだな。

部屋に戻ってバックパックを降ろしたら、やれやれやっと着いた〜って感じになった。
まだ風呂まで1時間もあるのか。
本当は風呂上がりに飲もうと思っていたビールだが、待ちきれなくてもう飲んでしまった。

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 ビールが美味かった。

は〜、うめ〜〜〜〜!
トレッキングの後に飲むビールはまた格別なのだった。

3時40分になったので風呂に行く。本当は4時からなので一番風呂。
風呂から上がって、脱衣室から出るときに次の客と入れ替わりになった。ちょうど4時。向こうは一番風呂のつもりで来たのに先客がいたのであれっ?みたいな感じでいた。

また2本目のビールも飲んでしまった。いいや、まだ夕食まで2時間以上もあるし。

6時半、夕食会場へ。
別な客が入ったのか、昨日とは別の部屋だった。

自分の名前が書かれた札が置いてあるテーブルに着く。
ワオ、昨日より豪勢になっている。
また昨日と同じ冷酒の2合瓶を頼んだ。

昨日は塩ウニが入っていた小鉢のフタを取るとななな〜んと、生うに。
しかもエゾバフンウニだよ。

コンロの上に乗った鍋はご飯の上にきのこ、とろろ昆布それに蒸しウニが載っている。
お客さんお酒を召し上がるようなので雑炊にしましたとのこと。
何て気が利くんだろう。号泣ものだ。

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 昨日にも増して豪華になった夕食。

さて、まずは刺身とウニで1杯始めると、八角の焼き物が出てきた。
こうなるとお酒も1升ビンでほしいところだが、さっきビール2本飲んだところだしこれで我慢する。

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 上画像からはみ出たが、コンロに据えられたウニ雑炊。

DSCN0834.JPG
 生エゾバフンウニ (>▽<)きゃー!

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 生ボタンエビ (>▽<)きゃー!きゃー!

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 締めはウニ雑炊で。

お酒1本空いたところで、コンロに火をつけてもらった。
このウニ雑炊がまた絶品だった。昆布のだしの旨味が凝縮した汁とコッテリした蒸しウニの風味がもうたまらん。

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 雑炊は昆布だしの旨味とウニの風味が合体した絶品だった。

すっかり幸せな気分となって部屋へ戻った。

窓の外を見ると、やっぱり曇り空。今日は夕日を見ることはできなかった。

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 部屋の窓から。今日は夕日は見えず。

この宿の隣は道道の建設管理部の事務所。夜になっても明かりが消えることがなく、表にも車が1台置いてある。ずいぶん遅くまで残っているんだなと思ったが、早朝にも同じ車があったのですぐにわかった。
1人は一晩中詰めているようだ。夜中に何か起こったときに誰もいませんでしたじゃ困るからだろう。

明日の天気予報は曇りで夕方から晴れマークとなっていた。
朝のバスでとりあえず香深へ行き、それからどうするかは天気の様子を見て考えることにしよう。

6月30日(火)の費用
費目場所金額(円)
食費(飲料)自販機160
交通費宗谷バス420
食費(ビール)船泊マリンストアー723
6/30 合 計1,303

4へつづく


posted by pupupukaya at 20/07/19 | Comment(0) | 2020年その他旅行記
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