2020年礼文島旅行記2 ホテル礼文荘

 ◆ 香深フェリーターミナル→病院前 宗谷バス

フェリーターミナル出口の横に仮設の売店があって、見ると礼文島プレミアム商品券というのを売っていた。
5000円で500円券が12枚綴りになていて、6500円分使えるものだ。
礼文島内の店や飲食店で使えるが、宿泊代やレンタカー代には使えないという。
礼文島には5日間滞在し、前半2泊は2食付きだが、後半2泊は素泊まりなので、このくらいならば使い切るだろうと1冊買った。
うに丼とかホッケのチャンチャン焼きくらいは食べて帰りたいし、いくらかは節約になるだろう。

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 5000円で6500円分使えるプレミアム商品券。

フェリーターミナルの前に続く上屋の端っこがバス乗り場になっている。そこは地元のおばちゃんが2人バスを待っていた。
しばらく待っていると、『スコトン』の行先を掲げたバスがやってきた。
ワンステップの2ドアバスだが、中ドアは締め切りになっている。

1人のおばちゃんは「知床じゃないのか」(知床は島の南部にある漁村)
運転手「知床行はこの後だから」「バスが時間より先に行くことはないからね」
とやりあっている。島らしい長閑な光景。

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 フェリーターミナルのバス乗り場。

バスに乗るときに今日から泊まる宿の前で降りたいのだがと告げた。島内のバスは全区間が自由乗降制とわかっていたので。
運転手は「いいですけど、そうすると料金が1区間分高くなりますよ」とのこと。少し歩くが『病院前』という停留所で降りるのが近いということだった。
「病院前の放送が流れたらボタンを押してください」

そのバスの客となったのはもう1人のおばちゃんと私、2人だけ。フェリーターミナルを発車する。

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 自分入れて乗客3人だけのバス車内。

次の停留所は『病院前』、こちらは香深の病院前だ。
ここで利尻空港の荷物タグを付けた大荷物の兄さんが乗ってきた。木炭の箱を持っているのでキャンプ場行きとわかる。
香深井と船泊にキャンプ場があるのでどちらかまで行くのだろう。
バスの客は3人となって北へ向かう。

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 バスの車内から見た利尻富士。

バスの窓を振り向けば、さっきフェリーから見えていた利尻富士がずっと見えていた。

どのバス停も乗り降りする人は全くなくただ通過するのみ。たまに後ろにつかえていた後続車に道を譲るだめに停車する。
高校前の停留所では下校の学生が乗ってきた。札幌あたりとは違って全員マスクをつけている。
ここから賑やかになるのかと思っていたが、学生たちは席に着くと全員うつむいてスマホをいじっていた。

道道は真直ぐ船泊へショートカットするが、バスは金田ノ岬を迂回する。岬からトドが見えないかと思ったが、今日はいないようだった。

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 金田ノ岬を通る。

船泊本町という停留所で、学生の1人が運転手に話しかけていた。
発車してしばらく行った交差点を曲がったところでその学生が降りて行った。1つ手前の停留所までに降りたいバス停を運転手に告げるとそこで停車してくれるようだ。

次あたりが『病院前』だろうと身構えていると、「次は船泊診療所前でございます」と車内に流れる。
あれっ?病院前は?

診療所=病院とわかるまでにしばらく時間がかかった。降車ボタンを押さなきゃと思う前に学生の1人がボタンを押した。

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 車内放送だけが本当の名前を告げる病院前の停留所。

その『病院前』の停留所で、学生2人と香深からのおばちゃん、それに私、あと利尻空港タグの兄さんが降りる。
停留所の表示は『病院前』。たしかに船泊診療所の前にあるが、何なんだこの旅人を惑わせる停留所は・・・
香深フェリーターミナルからの料金は980円だった。


 ◆ ホテル礼文荘

バス停から予約してある宿までは、距離にして300m、歩いて3〜4分といったところ。私はバックパック1個だけなので何のことはないが、荷物が大変な人は宿の前で降ろしてもらえばよい。ちなみに宿の前で降りたらいくらなのか調べたら、1070円だった(2020年現在)。
もっとも、前日までに宿に電話でお願いすれば、フェリーターミナルまで迎えに来てくれるのだが。

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 2泊3日滞在することになるホテル礼文荘。

宿の外観は予約サイトに載っていたのでわかっている。
2泊する宿の名前は『ホテル礼文荘』。ホテルといっても外観はどう見ても木造2階建ての旅館か民宿。
正面に掲げられた『ホテル』の文字に、どことなく昭和の哀愁を感じるのは私だけか。

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 ホテルの入口。

ホテルと言っても、玄関で靴を脱ぐ旅館スタイル。
私はビジネスホテルよりも畳の部屋を好むので、出張では旅館や民宿をよく利用するので何とも思わないが、てっきりホテルを想定してやってきた人が見たら落胆するかもしれない。

フロントで「バスで来たんですか?」と聞かれ「ええバスで」と言うと少し驚いた様子だった。
昨日電話すればフェリーターミナルまで車で迎えに来てくれたはずだが、着いてからそのまま車で宿に直行というのも面白みがないし、別にバス代を損したとは思っていない。

部屋のキーを渡され、夕食は6時半からということだった。

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 8畳の和室。

とりあえず背負っていた荷物を下ろしてやれやれだ。
風呂トイレ共同の和室。しかし寝っ転がって身体を伸ばせるのはありがたい。出張とか長距離運転があるときの宿はこういうのが一番いい。ビジネスホテルじゃこうはいかないね。

テレビの横にあった客室電話はなんと懐かしのダイヤル式。いわゆる黒電話というやつ。
コロコロコロ、ジ〜〜〜、おお懐かしい感触と音(涙)。
中学生の頃までうちの実家に同じ電話機があった。

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 懐かしのダイヤル式電話(黒電話)が置いてあった。

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 部屋の窓からの眺め。

窓からは海が見え、その向こうに礼文島北端のスコトン岬と海驢(とど)島が見えた。
ああ、いい部屋を用意してくれたな。ただ西日が差しこむので部屋は暑かった。窓を少し開けておく。

宿の向かいに、久種湖畔展望台へ登る階段があったのでさっそく行ってみる。
標高30mほどの高台が展望スペースになっているだけだが眺めは抜群。久種湖や船泊湾を見下ろし、遠くにスコトン岬や金田ノ岬も望む。

夕日が見られたらさぞ綺麗なんだろうなと思うが、青空が広がっていても水平線近くは雲が覆っていて、夕日は期待できそうになかった。

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 久種湖畔展望台から南東方向。下はキャンプ場、右に小さく利尻富士も写っている。

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 久種湖畔展望台から北方向。中央は金田ノ岬。

6時半になって1階の夕食会場に行くと、テーブルには別の客たちがすでに食事をしていた。
ほとんど、いや私以外全員が工事関係者のような仕事で泊まっているような人ばかりだった。
出張なんかで地方の旅館に泊まるとよくある光景。
毎年、観光シーズンの今時期は観光客で満卓なんだろうけど、今日は空きテーブルが目立つ。

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 夕食。礼文島で獲れた海鮮がいっぱい。

テーブルの席に着くと、いやあ豪勢。やっぱり2食付きにして良かった。
「お飲み物はどうしますか」と聞かれ、ここは冷酒の2合瓶(800円)を頼んだ。

お酒は『花の島礼文島』のラベル。製造元を見た見たら日本清酒とあった。中身は札幌の千歳鶴。
それでも専用のラベルで用意してくれたのがうれしいではないか。

女将が品々の説明をしてくれるが、忘れてしまった。ていうか上の空でハイハイと聞き流していた。
どれから箸をつけようかということで頭が一杯だった。
こんな豪勢な食事にありついたのはずいぶん久しぶりの気がする。

ソイ(だったかな)の刺身と煮魚、甘エビの刺身、コンロ付きの鍋はホタテと野菜のバター焼き、小さな蓋つきの椀には塩ウニが入っていた。生うにでないのが残念なところだが、これで1泊9600円は大したものだ。

「ご飯とおつゆは後で持ってきましょうか」と聞かれて「いや、一緒でいいです」と言った。
あとで呼ぶのも面倒だし、汁物で酒も飲めるので。
汁物は魚のあら汁だった。

まずはお造りをいただいて、お酒をキューっと。
周りを見ると、カニなんか付いているのは私のテーブルだけ。
休暇中の身の上とはいえ、なんだか申し訳ないな。

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 花の島礼文島ラベルのお酒。

まずカニからやっつけるか。
テーブルには毛ガニの半身がデンと乗っている。

私は北海道人のくせにカニを食うのが下手で、そんなわけでカニは苦手なのだが、それでもたまに食べると美味い。
カニ味噌、これは酒持ってこい酒と叫びたくなる。
最初はハサミで切って箸でつついていたが、面倒になって歯で殻を割いて指でほじくって格闘する。

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 毛ガニの半身。

何とかカニはやっつけたが手がベタベタになった。あら汁を啜って、そうしているうちにバター焼きの鍋が噴いてきて、これはご飯に乗せてかき込んだ。
あ〜食った食った、ごちそうさん。


 ◆ 礼文荘の夕暮れ

部屋に戻ると布団が敷いてあった。
ボロさが気になる宿だが、サービスは温泉旅館並みだ。
窓の外が赤く染まっている。見ると水平線の近くだけ雲が切れているではないか。

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 部屋の窓から見えた夕日。

まさかと思っていたが、これは夕日の写真が撮れるかもと、カメラを持って外に出て、向かいの展望台に登った。

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 宿の向かいに展望台の登り口がある。

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 久種湖畔展望台から見た夕日。

上まで登ってしばらくすると雲の切れ目に夕日が姿を現した。
スコトン岬と海驢島を望む日本海に沈む夕日。今の時期はこの方角に沈むんだね。
展望台にいるのは私1人だけ。しばらくこの夕日を独り占めする。


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 19時25分、船泊湾に日が沈む。

部屋に戻って、窓のそばで暮れゆく風景を見ながら、今度は焼酎のお湯割りで1杯やる。
焼酎はペットボトルに詰めて持ってきたもの、お湯はフロントでポットごと貸してくれる。

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 20時00分、窓辺で黄昏れる。

テレビなんか見る必要はない。
北緯45度の夏至に近いこの時期は、日が沈んでも空はずっと明るい。
そんな空を見ながら、4年前に行った北欧の白夜を思い出していた。

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 20時30分、空はなかなか暗くならない。

部屋の明かりもつけずに黄昏れを見ながらお湯割りを飲んでいた。
だんだん暗くなってくるが、北の空はずっと明るいまま。
すっかり日が暮れて星が見え始めたら、もう9時近くになっていた。

スマホで天気予報を見る。明日の雨マークは消えない。
雨には当たりたくないな。礼文島に滞在中は、トレッキングというか、ずっと歩き回ることにしている。それしかすることもないし、行くところもない。かといって、日程は十分あるので雨の中歩くのもいやだ。
雨だったら宿の部屋で時間を持て余すことになる。ノートパソコンを持って来ればよかったかな。

明日どうするかは、朝の天気予報次第で決めることにして、今日は疲れたので早く横になった。

6月29日(月)の費用
費目場所金額(円)
食費(弁当)弁菜亭売店850
食費(ビール) キヨスク札幌ラッチ西店326
食費(飲料) 札駅ホーム自販機140
食費(食料品)セイコーマート稚内駅前336
食費(金券)礼文島プレミアム商品券※5,000
交通費ハートランドフェリー5,700
交通費宗谷バス 980
6/29 合 計13,332
 ※商品券はすべて飲食で使用したため食費で計上。
3へつづく


posted by pupupukaya at 20/07/18 | Comment(0) | 道北の旅行記
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