◆6月29日(月)特急宗谷で稚内まで
出発日の朝、一番当てにしていた気象協会の週間天気予報を見ると、昨日までほぼ晴れマークだったのに週の半ばに雨マークが付いていた。
全道的には雨がちな週になるようで、各地の天気も雨マークが目立つ。
雨に当たるのは覚悟しているが、週の半ばに2日間も雨マークを見ると出発前から気分が凹む。
6/29朝の週間天気予報(日本気象協会tenki.jpのスクリーンショット)
7時過ぎに自宅を出ると、土砂降りの雨。仕方なく百均のビニール傘を差して地下鉄の駅へ向かう。
まずは札幌駅7時30分発の特急宗谷で稚内まで行く。
所要5時間10分の列車の旅。こんなに長い時間列車に乗るのもずいぶんと久しぶりだ。
月曜の朝だが、駅弁とビールを買い込んで列車に乗り込んだ。
退屈するかと思っていたが、久しぶりに乗る特急列車の旅は思いのほか楽しく、あっという間の5時間だった。
特急宗谷の乗車記はこちら ↓
札幌から5時間10分、稚内駅に到着。
稚内駅と日本最北端の線路のモニュメント。
稚内駅からフェリーターミナルまでは歩いて10分とかからない。フェリーの発時刻までは2時間もあるので、駅周辺を散策してくる。
駅舎からはみ出す格好で線路と車止めがモニュメントとして残されている。
そこから花崗岩で模したレールのモニュメントがさらに北へ伸びていて、70mほど先の道路が終点となっていた。
かつて夜行急行利尻が客車列車で運行されていた頃は、機回しのための引込線がここまで伸びていた。さらに古くはこの先の駐車場となっているところに貨物列車の積み下ろし場があり、さらに昔は先にある北防波堤ドームまで伸びていて、樺太との鉄道連絡船だった稚泊連絡船が発着する稚内桟橋駅まで線路があった。
花崗岩で模したレールの終点。
北防波堤ドームまでやってきた。
もう何度も見ているし、何か面白いものがあるわけでもないのだが、ここから樺太(サハリン)が見えないかと思ってやってきた。
戦前は樺太航路の稚泊連絡船が発着した北防波堤ドーム。
ドームの脇にある階段を登って海を見たが、今日は樺太は見えなかった。
空気が澄んでいれば、ここから肉眼でもわかるようにはっきりと島影が見える。
ノシャップ岬方向を望む。樺太(サハリン)は見えなかった。
◆ 稚内→礼文島 アマポーラ宗谷
フェリーターミナルに向かう途中、セイコーマートに寄る。
今日から2泊する宿はコンビニも無いような所なので、何か買っておこうかと思ったのだが、店に入るとこれといって必要な物も思いつかなかった。2食付きなので食事の心配はないし、酒はいつも飲んでる焼酎をペットボトルに入れて持ってきた。
お菓子類は普段食べないし、飲料は自販機くらいあるだろう。
日本なのでのどが乾いたら水道の水を飲めばいい。
明日からのトレッキングに持っていこうと、チョコバー2本と炭酸水のボトルだけ買ってフェリーターミナルへ。
利尻礼文の出発点、稚内フェリーターミナル。
1時間ほどぶらついてきたので13時40分過ぎ、次のフェリーは利尻島の鴛泊(おしどまり)行が14時20分発、礼文島の香深(かふか)行が14時40分発と表示されている。
向かいにある稚内港国際旅客ターミナル。現在は航路の休止により閉鎖中。
利尻礼文行ターミナルと道路を挟んで向かいあっているのが国際旅客ターミナル。
稚内とサハリンのコルサコフ港を結ぶフェリーの乗り場で、中に税関や出入国審査場なども入っている。
去年(2019年)の運航は取りやめになり、今年は運航が決定していたようだが、コロナ禍の影響で今年の運航も中止だろう。
1階にある乗船券売場。
フェリーターミナルの乗船券売場は1階にあり、カウンターのほか券売機も並んでいた。最初券売機で買おうとしたら現金しか使えないようだ。カウンターの方に並び直す。
こんどはクレジットカードが使えた。
稚内〜礼文香深の往復乗船券。
閑散とした2階の乗船待合所。
チケットを買ったらエスカレーターで2階へ。
毎年この時期は、広いコンコースが旅行客でいっぱいになるほど賑わうのだが、今年は見事に閑散としている。
ベンチで乗船開始を待つのは地元の人と思しき人たちばかり、私を含め旅行者と見受けられる人はほんの少数しかいなかった。
ひと足先に利尻島の鴛泊(おしどまり)行フェリーが出港。
待合所に座っていてもつまらないので、窓から車の積み込み風景や、先に出港する礼文島行の船を見送ったりしていた。
車は一足先に積み込みというか乗船が始まっている。船に乗る際はバックで入るのが決まりのようだ。
稚内市内の幼稚園児作成の『いってらっしゃい』に見送られ。
出港の15分くらい前になると乗船が始まる。
改札はチケットに印字のQRコードを読み取り機でスキャンするだけ。
船は『アマポーラ宗谷』という名前。
1階がカーペット敷きの船室が並ぶ2等席、1階が2等指定席と1等席になっている。
船尾の甲板にもベンチが並んでいて、海風に当たっていれば気持ちよさそうだが、船室との出入口の脇に喫煙所があってタバコの煙が漂っているので居心地は良くない。
2階の甲板に上がって車両の積み込みや出港風景を眺める。
トラックの積み込み作業。島にとっては物流の生命線。
稚内港を出港。ばいばーい!
14時40分、係船ロープが外されて出航。船の加速は良くて、あっという間に岸が遠くなった。
これで本土とは別れ、金曜日までは島の人となる。
タバコの煙が漂う後部甲板のベンチ。
稚内の町がだんだんと遠ざかる。
ノシャップ岬の沖あたりから利尻富士が姿を現した。
といっても雲の上にチョコンと頭を出しているだけだったが。
ノシャップ岬灯台と頂上だけ姿を現した利尻富士。
ノシャップ岬沖から見た稚内半島。
しばらく頭だけ姿を現した利尻富士を見ながら。
出航してから30分ほど2階甲板から遠ざかる稚内半島を眺めていたが、まだ先は長い。船室へと戻る。
2等カーペット席は各区画に2〜3人くらいが横になってるほどの入り具合。
船内探検もしてくるが、さほど大きな船ではないので1回りしたら終わってしまった。
荷物を置いていた場所で横になる。
宗谷湾を出るとフェリーは礼文島を目指す。
2等自由席のカーペット席。
2等指定席は座席が並ぶ。(2階のデッキから)
横になっても眠くなることはなく、しばらくスマホをいじっていた。
1時間ほどして進行左側の窓に目をやると、さっき頭だけだった利尻富士の雲が切れてくっきりと見えているではないか。
飛び起きてまた2階甲板へ行く。
進むにつれて雲が消えて、秀麗な利尻富士が全貌を現した。
ワーオ、こんなにきれいに見えるなんて思いもしなかった。
札幌は雨だったが、こっちの方はずっと天気だったようだ。
これなら昨日に稚内入りして、朝の船で礼文島に渡れば良かったかなとも思うが、タラレバを言い出したらキリがない。
反対側は、利尻島とは対照的に横たわる礼文島がだんだん近づいてきた。
左舷に利尻富士を望みながら、右舷には礼文島の島影が近づく。
フェリーは礼文島へと近づいて行く。
島はだんだんと大きくなって、香深の町がはっきりと見えてきた。
3年ぶりの礼文島だった。あのときはガスがかかって暗い印象だったが、今日は晴れていて全然違う印象だった。
香深フェリーターミナルが見えてきた。
16時40分、船はフェリーターミナルに横づけして着岸。
下船すると、係員が全員にスプレーで手の消毒を行う。
『新しい生活様式礼文島モデル2020』と書かれたポスターもあったり、コロナ禍はどこも例外は無いことを思わせる。
コロナと思われる症状があったら島の診療所へは行かず、稚内の保健所に電話してくださいと書かれた掲示もあった。
香深港に到着。いよいよ礼文島に上陸。
香深フェリーターミナルでは、出迎えの人も疎らだった。
1階のコンコースに下りたところに、各ホテルや旅館の幟を持った人が出迎えていた。
今日から泊まる旅館の人がいたらちょうどいいなと思ったが、今日はいないようだった。
今日から2泊する旅館はフェリーターミナルのある香深ではなく船泊の方にある。
礼文島とひと口に言っても意外と広く、香深から船泊の旅館まで20km近くあるのだった。
実は前日までに電話すればフェリーターミナルまで迎えに来てくれるので電話しなくちゃなあと思っていたのだが、だんだん面倒になって電話しなかったのだった。
幸いフェリーに接続して船泊を通ってスコトンまで行く路線バスがあるのでそれに乗ればいいやと思っていた。
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