2008年北海道フリーパスと特急まりも旅行記8

 ◆ 木古内 14:36発【スーパー白鳥9号】15:12着 函館

先ほど乗ってきた江差発函館行の普通列車は15:07発となり、木古内で48分も停車する。
その間に函館行のスーパー白鳥9号が発着する。
お急ぎの方は特急でどうぞということだが、江差から函館に行くのに特急料金まで払って行く人はいないだろう。

48分も停車すれば実質別の列車で、車両運用の都合上直通しているだけに過ぎない。
私はフリーきっぷ所持なので、特急に乗り換える。

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 古い商店街の木古内駅前。

2番ホームへ行くと隣の3番ホームには貨物列車が停車していた。このホームはよく貨物列車が特急の退避などで使われている。貨物列車は北海道と本州を結ぶ唯一の陸送手段。あまり取り上げられることはないが、津軽海峡線のもう1つの主役でもある。
木古内からスーパー白鳥9号への乗客は数人だけ。八戸から着いた列車は、ここで意外と降りる人が多い。
昔は福島と三厩の間にフェリーが就航していたし、津軽海峡を挟んだ行き来は意外と多いようだ。

自由席の車内はそこそこの乗車率。それでも空いているほうだが。
しかし、ガラガラの江差線を往復してきたので、人がいるのが少しホッとする。

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 スーパー白鳥9号が到着。

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 津軽海峡と函館山。

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 しばし車窓の友となる函館山。

やっぱり特急は早い。36分で函館に着いた。
こんどの札幌行は15:23発北斗15号があるが、その次のスーパー北斗17号で札幌に戻ることにする。

函館で降りてみたのだが、持ち時間が1時間半ではどこへも行きようがなく、駅前で市電の姿を見てからまた駅に戻った。

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 函館駅前の市電。


 ◆ 函館 16:43発【スーパー北斗17号】19:43着 札幌

0泊3日の道内鉄道旅行もいよいよ最後の列車。
ホームの売店で駅弁とビールを買って車内に入る。
自由席はこれもガラガラだった。

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 函館からはスーパー北斗17号。

このスーパー北斗17号は、札幌までの所要時間がちょうど3時間となっている。
これも走り始めた頃は、東室蘭と苫小牧だけ停車で2時間59分となっていた。
今は南千歳と新札幌も停まるようになって、2時間台の列車は存在しない。

当初は『スーパー北斗』は速達列車として停車駅を絞っていたのだが、ダイヤ改正の度に停車駅が増えて、今では『北斗』と停車駅はさほど変わらなくなっている。
停車駅が増えるということは所要時間が延びるということになるわけで、多少延びても途中駅からの客を拾った方が得だということなのだろうか。

しかしせっかく札幌〜函館間3時間を切るという記録を達成したのにもったいないというのは誰でも思うところで、1本だけは残しておこうよということでこの列車が選ばれたということになる。
なぜ17号がそれに選ばれたかというと、利用者が一番少なかったから・・・と思うほど自由席はすいていた。

せっかくすいているのだから一杯やらせてもらう。
駅弁は鰊みがき弁当。ご飯の上に甘辛く炊いたみがき鰊と数の子がドンと乗るシンプルな弁当。
函館駅の駅弁では、これが一番好きだ。

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 函館駅名物、鰊みがき弁当(840円)。

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 甘辛いみがき鰊にビールが良く合う。

次の東室蘭までは車内の動きはない。おかげでゆったりと過ごせる。
それに反して列車の走りっぷりがせわしないこと。エンジンの振動がひどいし、カーブの度に右へ左へと傾いて。
札幌〜函館間318.7kmを3時間で結ぶ、在来線でもトップクラスの速い列車、しかも気動車でやっているんだから相当なものだ。

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 振り子車両からは駒ケ岳も傾いて見える。

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 夕暮れの噴火湾。

静寂の中、轟音と振動だけがけたたましく続く。
たまに車内販売がやってくるが、声をかける人もなく引き返して行く。
ビールでも買おうかと思いかけるが、明日から仕事なのでやめておく。

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 がら空きだった自由席。

席を立って、また展望席へと行ってみる。やはり誰もいない。
朝の函館行と違って、こんどは自由席側が先頭となる。
しばらくここから前面展望を楽しむ。

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 7号車自由席からの前面展望。

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 キハ40普通列車とすれ違う。

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 新静狩トンネル入口。

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 暗くなってから窓を覗くと、昼とは違ったスリルがある。

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 札幌到着。

東室蘭、苫小牧でもさほど乗客は増えないまま札幌に着いた。
バタバタといろんな列車に乗ってきたので、特急『まりも』で道東へ行っていたのが1週間も前のような気がする。
また機会があれば、夜行列車で旅立つことにしよう。


 ◆ 2020年4月、リメイク版あとがき

以上は2008年4月に突然思い立って金曜日発の夜行列車に乗って旅立ったときの旅行記になります。

もう12年も前の旅行ですが、画像を貼って文章を書き進めているうちに当時の記憶がその場所にいるがごときに蘇ってくるのだから、人間の記憶力って大したものですね。
当時作ったホームページ版(現在なし)旅行記は『まりも』で出発し、1周して札幌へ戻ってきたところで終わっていた中途半端なものでした。
それを今回完結してみました。

12年も経てば変わらないようでいて、ずいぶんと変わっていることがわかります。

まず夜行特急『まりも』。
旅行の前年の2007年10月ダイヤ改正で週末と多客期のみ運転の臨時列車とされましたが、臨時格下げのあとに廃止の流れはこれも例外なく、翌年2008年8月31日発の列車を最後に廃止となりました。これで道内のみの夜行列車はすべて廃止されたことになります。

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 まりも号ラストランのパンフレット。

次が江差線
当時は東北新幹線が八戸までで、新青森開業は3年後の2011年。その5年後の2016年、北海道新幹線開業に伴って在来線の『白鳥』系統は廃止。江差線のうち五稜郭〜木古内間は第3セクターの道南いさりび鉄道へ。それに先立って木古内〜江差間は廃止となっています。
また、本州〜北海道間の夜行列車も新幹線開業を待たずして順次廃止され、夜行列車で旅立つというのは過去のものとなりました。

あとは『スーパー北斗』のスピードダウン。
これは相次いで事故が起こったことによる措置とはいえ残念なところ。
私なんかは札幌〜函館間は3時間というのが頭から離れないのですが、現在では最速の3時間29分が1本あるだけであとは軒並み3時間40〜50分台。所要時間だけで見れば1990年代初め頃の水準まで後退してしまいました。
『おおぞら』『とかち』系統も大幅にスピードダウンしています。

スーパーカムイ』は減便、『オホーツク』のうち2往復は『大雪』となり、旭川〜網走間に短縮されています。

サービス面で見れば、車内販売は全廃、じゃあ乗車前にといってもキヨスクもほとんどなくなりました。

江差線以外にもローカル線もいくつか廃止になりましたね。災害で運休のまま実質廃止状態の区間もそのままになっています。
JR北海道の経営も年々悪化、このままでは北海道の鉄道はボロボロという状態になりつつあります。

それとは別に高速道路や高規格道路は順調に延伸が進み、あと数年後には道内の主要都市が全てこれらの道路で結ばれることになります。人口稀薄地帯が多い北海道で、所要時間でマイカーはともかくバスにすら負けるような鉄道は、政策として存続するのならばともかく、民間会社のビジネスとするには限界と言えます。

海外ではこんな鉄道は貨物専用となっていたりしますが、日本では過去に鉄道の貨物輸送を大幅に縮小してしまったのでそれも望めません。

北海道新幹線開業が唯一プラスの出来事と言えますが、これとて毎年赤字の計上、共用貨物列車問題もあまり進展はないようで、札幌延伸へ向けて工事だけは進んでいますが、前途多難と言えます。

一方で札幌都市圏輸送と新千歳空港アクセス輸送は好調。学園都市線は電化、快速エアポートは先のダイヤ改正で大幅に増便されました。

この流れを見ると、札幌を中心とした『電車』に主力を注いで、都市間輸送は主要な区間だけ残し、新幹線の札幌開業を待つしかないというのが見えてくるのですが・・・

それにしても12年前の4月に私はなんで突然旅に出たのでしょうかねえ。何かやってられない出来事でもあったのでしょうかね。

夜行列車って、窓に映る車内の灯かりや流れる夜景を眺めていると、今までのことは忘れて別世界に運んで行ってくれるようなファンタジーがありましたね。
そんなことも2020年の今となっては昔話としてするしかないのですね。

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。


posted by pupupukaya at 20/04/30 | Comment(0) | 道東の旅行記
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