ツインクルプラザが閉店するんだとか→オワコンの営業モデル

 ◆ 役割を終えた旅行代理店

ツインクルプラザ』のブランド名で営業していたJR旅行センターが、法人向けの1店舗だけ残して営業を終了するという。
1987年のJR北海道発足以来33年間にわたって運営し、最大で27店舗を数えるまでになったが、最後まで残った6店舗も2021年度中までに全店舗が閉店することになる。

そのあたりの事情をJR北海道のHPから引用させてもらうと以下の通り。

「ツインクルプラザ(JR 旅行センター)」の閉店について

当社は、各種旅行商品や航空券・宿泊券等の販売拠点として、「ツインクルプラザ(JR旅行センター)」を JR 北海道発足後の 1987 年から 33 年間にわたり運営し、最大で道内外に 27 店舗を運営するまで旅行事業を拡大してまいりました。
しかしながら、インターネット販売への急速な移行や旅行代理店を介さない直販化の進展など、急激な事業環境の変化により、旅行店舗での販売額は年々減少しており、ネット化が更に進む状況を鑑みると、今後の収支改善を見込むことは難しいのが実情です。
 囲み内赤字は筆者
2020.03.11
「ツインクルプラザ(JR旅行センター)」の閉店について (PDF)より引用

早い話、インターネットの普及で交通機関のチケット発売やホテルのクーポン券の発行によって手数料を取るというビジネスモデルが成立しなくなったということだ。

インターネットが一般に普及する前ならば、例えば飛行機に乗るならばチケットは空港のカウンターか航空会社の営業所まで出向く必要があった。そんなのは身近な場所にあるわけではないので、発券できる市内の旅行代理店の出番となる。
ホテルの予約にしても、直接宿泊施設に電話をかけるしかなかった。直接電話ならば向こうの言い値になってしまうが、旅行代理店を通せば各種プランから選べることができる。

そんなことも、平成時代も20年代になる頃にはインターネットで自分で選択も予約もできるようになった。
例えば飛行機ならば、自宅のパソコンで直接航空会社のHPからチケットを購入し、チェックインも自宅のパソコンで、チケットをプリントすればそのまま保安検査場へ直行というのが一般的になった。
いや、スマホでQRコードを表示できれば、紙出力の必要すらない。

ホテルの予約にしても、今はインターネット上に予約サイトがいくらでもあるし、ちょっとしたホテルならば自前の予約フォームで各種プランを選択できるところも多くなった。
温泉ホテルなども、昔は旅行代理店を通した客の方が優遇されるのが常識だったが、いまは逆になったようで、手数料を引かれるだけ敬遠されがちという話もある。

ツインクルプラザの営業終了を機会に、今回はJRの営業方法について考えてみたいと思います。
筆者は北海道民なので道内からの視点となるのはご容赦願います。


 ◆ 時代はチケットレス

今の時代、ネット上で何でもできるので、わざわざ店に出向いて予約したりチケットを買ったりする必要は無くなった。
JR旅行センターに限らず、店舗型の旅行代理店というビジネスモデルの終焉である。
令和も2ケタになるころには町から消滅している業種の1つだろう。

こんな話をすれば決まって「お年寄りガー」と言う人がいるが、お年寄りがわざわざ都心まで出向いてチケットを買うか、家でパソコンかスマホで予約〜決済まで出来るのがどっちが楽かと問えば答えは言うまでもない。
いまの70代以上のお年寄りならば難しいだろうが、令和も2ケタになる頃には、お年寄りでもスマホを普通に使う時代が来る。

自宅に居ながらネット上で予約、キャッシュレス決済というのは旅行業界に限らず、通販や各種サービスなど社会ではすでに一般的なことになっている。

しかし、どういうわけか大きな例外が1つあって、それはJR各社のチケット(きっぷ)購入。

えっ、ネット予約?チケットレス?
そんなの新幹線でもうやってるよって?

 『えきねっと 新幹線eチケットサービス』

残念ながらこれはチケットレスとは言い難い。
予約・決済までは自宅PCで行うことができるが、Kitacaなど交通系カードが必要となる。
Kitacaは残念ながら郵送による販売はしておらず、購入するには札幌圏のKitaca発売駅まで出向く必要がある。
札幌の人ならば一家に1枚くらいあるのだろうが、それ以外の人が持っている人は少ないだろう。

例えば函館の人がeチケットサービスを使って新幹線に乗るとする。
新函館北斗駅も函館駅もKitacaを購入することはできない。
何ともブラックなサービスではないか。

JR各社もインターネット予約サイトというのを設けているが、たとえばJR東日本の『えきねっと』で特急列車の予約をするとしよう。すると以下の流れになる。

乗車する列車名を選択
   ↓
乗車する列車と日時・区間を選択
   ↓
座席を選択
   ↓
クレジットカード等で決済
   ↓
==見えない壁==
   ↓
みどりの窓口または指定席券売機できっぷを受け取る
   ↓
改札口を通る
   ↓
列車に乗車

みどりの窓口または指定席券売機できっぷを受け取るという時点で、インターネット予約の利便性は半減している。
そもそもこれでは無人駅からの乗車はできないし、みどりの窓口があっても営業時間外だったら利用不可である。
もうだいぶ前から日曜日は休業とするみどりの窓口も増えた。

DSCN0232.JPG
 特急オホーツク停車駅だが、朝と夕方以降は無人駅になる。(上川駅)

日本人がえきねっと等で予約するのにもこれだけ面倒なのに、海外から外国人が日本のJRの予約をすることなどかなり難解と思われる。

在来線特急のE-チケット化によるメリットは新幹線などとは比較にならないほど大きいと思う。
特にJR北海道は特急停車駅でも無人駅が多いし、みどりの窓口の営業時間が短い駅も多い。

駅の人員も大幅に削減できるだろう。きっぷの発券のためだけに営業要員を配置しているのであれば無駄なことだ。
定期券ならば廃止になった石勝線の清水沢駅で行っていたような委託販売とすればよい。

これが利用者にとっても鉄道事業者にとってもWin-Win、というか、それがもう世の中の標準である。


 ◆ 海外の鉄道では

ここで海外の例として、一番直近で行ったことがあるフィンランド鉄道を挙げてみる。
インターネットでのチケット購入から列車の乗車までの流れ。

フィンランド鉄道(VR)の公式サイトにて乗る日時と列車を選択
   ↓
座席を選択
   ↓
価格が表示され、支払い方法を選択
   ↓
クレジットカード等で決済
   ↓
表示されたチケットを印刷
   ↓
列車に乗車

世界中どこだろうと、ネット環境さえあればその場でチケットを手にすることができ、無人駅だろうと直接列車に乗車して車掌が専用の端末でE-チケットのQRコードをスキャンすれば完了。飛行機と同じくQRコードさえあれば良く、スマホに取り込めばチケットレスということになる。

6.jpg
 決済まで終わるとE-チケットがDLできる。(フィンランド鉄道のHPの画面)

フィンランド鉄道では、インターネットでのE-チケット発券が一般的になったので、有人の出札窓口というものは存在しない。
大抵の駅には、日本でいう指定券券売機だけが置いてあるというもので、こういった駅には窓口は無いし、営業要員もいないようだ。
PCでもスマホでも簡単に買えるのに、わざわざ駅まで出向いてチケットを購入する人も少ないようである。

DSCN1421.JPG
 駅で営業しているのは券売機1台のみ。(フィンランド、ロヴァニエミ駅)

筆者が今まで乗ったことのある国を挙げると、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、インド、米国(アムトラック)、オーストラリア(NSW)など。どこも利用方法は概ね同様だ。
直接列車に乗ることができるのは、駅に改札口がないという事情もあるのかもしれない。

いずれにしても、ネット上でE-チケットだけ入手すれば駅に行って列車に直接乗ることができるという点は同じだ。


 ◆ 進化の方向が違うのでは

素人の意見として言わせてもらえば、このようなJR独自のシステムで進化してしまった以上、今さら改築も困難なのかもしれない。
その理由の1つがマルスという巨大な列車座席予約システム。
全国のみどりの窓口、旅行センター、旅行代理店に設置された専用端末からホストコンピューターを介して予約・発券する方式。
このため、予約システムを変えたくても、JR各社の足並みが揃わないと不可能という事情もあると思われる。

DSCN0990.JPG
 かつては主要駅で誇らしげに掲げていた看板だが。(長万部駅)

全国のすべての列車の座席を一元管理し、これも全国にある端末からどこでも予約・発券できるシステムも、全国に直通列車があった国鉄時代ならばともかく、これだけインターネットを始めとした通信網が発達した現在では、専用端末でしか発券できないシステムなど時代遅れでお粗末な代物でしかない。

要は利用者の利便などまったく無視して、JRだけがどんどん変な方向へ進化しているということ。
きっぷの販売システムも非効率な前時代的のまま変わらない。
うっかり無人駅から乗車すると、車掌から馬鹿高い正規運賃のきっぷを買うしかない。

近年日本が力を入れているインバウンド対策とは全く反対の方向でもある。
個人の外国人旅行客が新幹線や特急列車のチケットをネットで買うことができないのだ。
これではネットでチケットが買える便利な飛行機に乗ってくださいと言っているようなもの。

それでも少しずつではあるがチケットレスサービスも始まっている。
JR東日本の一部の在来線特急では『えきねっとチケットレスサービス』というのがあって、こちらはスマホ限定で、指定席特急券だけの効力という中途半端なものだが、例えば無人駅から乗車する場合は乗車券を車掌から買うこともできる。

これをもう一歩進めれば本当のチケットレス化となるのだが、無人駅から乗車ならばこれでいいが、自動改札機の問題をどうするか。
QRコード等が表示できるのなら空港の搭乗口にあるようなバーコード読み取り機を改札機に設置するのが手っ取り早いが、それなりに設備投資も必要になる。
考えれば考えるほど問題が出てくる。もうどうにもならないのだろうか。

新幹線は放っておいても利用客が圧倒的に多いので独自の世界に封じ込めてもやっていけるのだろうが、経営も乗客数も脆弱なJR北海道など、世界標準に合わせなければ生き残れないだろう。

いや、車だって自動運転、ビジネスでもAI化も目前である。もはや人海戦術に頼る営業を続けていては生き残れないという時代に突入しつつある。

ツインクルプラザ閉店の話でありましたが、旅行代理店に限らず、インターネット対応のできない業種はこの令和時代に淘汰されてゆくでしょうね。
これで行けば、利用者の減少が止まらない道内特急は消えてゆく運命なのでしょうか。

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。


posted by pupupukaya at 20/03/14 | Comment(0) | 鉄道評論
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