2020年3月14日、JR北海道ではダイヤ改正が行われる。
特急北斗の白老停車以外は特急列車系統には大きな動きはなく、主に札幌圏の快速・普通列車の運行体系の見直しがメインとなっている。
今回のダイヤ改正の概要をJR北海道のHPから引用すると次の通り。
快速「エアポート」を毎時4本から5本に増発します。
区間快速「いしかりライナー」をすべて各駅停車とし、ご利用が増えている快速通過駅の利便性を向上します。
民族共生象徴空間「ウポポイ」開設に向けて、特急「北斗」24本中19本を白老駅に停車拡大します。
(2020.3.14 ダイヤ改正|JR北海道より引用)
混雑が常態化している快速エアポートの増発はありがたいことだ。もう何年も前から、始発の新千歳空港駅発時点で座れないということを何度も経験している。これで混雑も緩和されることだろう。
一方で区間快速いしかりライナーが各駅停車化されるとのこと。この影響を受けるのが函館本線の小樽〜江別間ということになる。
このダイヤ改正で、札幌圏の快速・普通列車のダイヤや運行本数がどのように変わるのか、各駅の時刻表で改正前と改正後の比較をしてみようと思います。
各画像の時刻表はJR北海道HPの各駅時刻表からの引用となります。
左が改正前、右が改正後で、それぞれの駅から札幌方面の時刻表を並べて比較しました。
◆ 新千歳空港駅
3/14ダイヤ改正の目玉、快速エアポートが毎時4本→5本に増便。
また、札幌発朝の2本、新千歳空港発夜の2本が特別快速として運転される。
新千歳空港発はきれいに12分間隔となったが、札幌発はバラバラになってしまったのは残念。
これは並走する特急とのダイヤの兼ね合いや、単線の新千歳空港側の事情によるのだろう。
10分間隔とすれば、普通列車はきれいな20分間隔とできるのだが、千歳線の線路容量ではこれが限界なのかもしれない。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 北広島駅
快速エアポート停車駅が一番恩恵を受けるダイヤ改正。普通列車は若干減便となるも、全体では常時1時間当たり6〜7本から7〜8本に増便となった。これは新札幌駅をはじめ快速停車駅は同様。
北広島で快速が普通を追い抜く緩急結合ダイヤは変わらず。とりあえず2027年度末のボールパーク駅開業まではこの体制となることだろう。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 平和駅
快速エアポートが平均12分間隔になった結果、こちらは平均24分間隔に。
今まで1時間当たり3本が標準だったのが2.5本に。これは千歳線の快速が停車しない駅はすべて同様である。
快速停車駅と通過駅との明暗が分かれることとなってしまった。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 小樽駅
快速はエアポートといしかりライナー合わせて改正前は1時間当たり4本だったのが改正後は2本へと半減。しかも毎時00分、35分発ときれいな30分間隔とはならなくなった。
普通列車は1本増便となるが、1本は手稲で快速に抜かれるため、実質1時間に3本ということになる。
札幌方面の利用者は、ますます快速エアポートに集中することとなり、混雑に拍車がかかることと思われる。
あとこの時刻表に無いが、上り1本だけの快速ニセコライナーは改正後も存続する。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 琴似駅
琴似〜札幌間は、快速4本+普通4〜5本で1時間当たり8〜9本と地下鉄に負けず劣らずの本数を誇っていた。
快速の半減で1時間当たり7本へ。それでも平均約8分30秒間隔とまずまずの本数は確保。
都心へは地下鉄東西線と競合しているが、長らく運賃と所要時間ではJRが優位に立っていたが、去年の運賃改定で運賃の差が無くなってしまい、今回の減便で少々分が悪い恰好となるか。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 発寒駅
快速が半減した札樽間だが、その分普通列車が増やされたので1時間当たり4〜5本から常時5本以上へ。
移転した木工団地の工場跡地にイオン発寒が開業したり新築マンションが建ったりと発展している地区。
乗降客数も年々右肩上がりとなっている(札幌市統計書より)。
“ご利用の増えている快速通過駅の利便性向上を図ります”(JR北海道HPより)
で利便性が向上する駅のひとつ。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 星置駅
1時間当たり4本は変わらず。ただ、いしかりライナーが無くなり、改正後は快速に接続するのは1時間に1本だけになる。
改正前は日中は4本とも手稲から快速になるか快速に接続するかしていたので、札幌までの所要時間は実質伸びることになる。
郊外のニュータウンはどこも高齢化という問題を抱えている。ここも御多分に漏れず、ここ数年は利用者数が減少傾向の駅。数年後に減便の可能性は否めない。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 銭函駅
日中の1時間当たり3本→2本と大幅減。
北海道薬科大学の統廃合移転など年々利用者の減少が続いている駅。
それとは逆に駅勢圏の人口は増加傾向の模様(小樽市統計書より)。増加した住民の足は車なのだろう。
ほしみ止まりの列車はすべて銭函駅の中線まで回送されており、銭函駅を改築すれば毎時4本にできるのだが、JRも小樽市側もそうするつもりは無い模様。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 野幌駅
区間快速いしかりライナーの廃止をモロに受けて、1時間当たり5本→4本と減便、また札幌までの所要時間も伸びてしまった。
江別市は野幌地区の再開発を進めており、野幌駅が高架化されたのもその計画の1つ。
しかし、駅前にあった商店街は再開発による道路の拡幅で見事に消滅。駅前に集客施設があるわけでもなく、今後どうなるんだか。
野幌に特急停車を求める声もあるようだが、新千歳空港まで直通していた頃ならともかく、今更する意味は無いと思われる。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 森林公園駅
大麻・野幌・江別の3駅とは対照的に、いしかりライナー普通列車化の恩恵を受けることとなったのが厚別、森林公園、高砂の3駅。
1時間当たり普通列車3本→4本と増便。
ちなみに森林公園駅の乗降客数は学園都市線のどの駅よりも上回っている。地味に利用客の多い駅。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 新琴似駅
こちらは1時間当たり3本は変わらず、安定の学園都市線。
uシート付き快速エアポート編成の6両があてがわれることが多い。なぜそこまでこの路線にサービスする?と思うのだが。
昔から他線の中古車両の運用が多かった路線。電化されてもそれは変わらないようだ。721系電車が最後に見られるのはこの路線かも知れない。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
◆ 旭川駅宗谷本線
3/14ダイヤ改正の概要には記載されてないが、地味に普通列車が増発されている路線もある。
旭川17:36発永山行がさりげなく新設されていた。
宗谷本線は、2017年3月のダイヤ改正で特急の運行体系が大きく変わり、そのあおりで旭川発17時台の普通列車が無くなってしまった。
旭川〜永山間は通勤客の利用も多く、この時間帯の普通列車の復活を求める声が多かったのと察する。
※画像はJR北海道HP各駅時刻表より引用
北海道では2016年頃からローカル線での運行本数の減便が始まっているが、札幌圏でも例外ではなくなったようで、2020年3月14日の『輸送体系見直し』という名の減便ダイヤとなってしまった。
思えば、国鉄時代末期から始まった札幌圏の列車増発。JRになってからも、ダイヤ改正ごとに列車が増発され、快速列車も新設された。
2000年3月のダイヤ改正で、快速エアポートと区間快速いしかりライナーを中心とした札幌圏の快速・普通列車の運行体系が整ったことになる。
あれから20年、エアポートを除く快速列車はその役目を終えることとなった。
今回のダイヤ改正を別の見方をすれば、これからは札幌圏の輸送は、空港アクセスと朝夕ラッシュ輸送に特化するという見方ができる。
車両も721系の淘汰が始まっていて、数年後にはすべてオールロングシートの電車ばかりになりそうだ。
札幌圏の鉄道も首都圏と同じように、特急列車と通勤電車の二極分化となるのだろう。
郊外に行くのにJRに乗ればちょっとした旅行気分にというのも、過去のものになりそうだ。
少々感傷的になってしまいましたが、最後までお読みくださいましてありがとうございました。
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