2019年冬フィンランド旅行記9 サンタクロース村まで

 ◆ ホテルイナリ 7:20【Tanabru-Rovaniemi,Exp.】11:48 サンタクロースビレッジ

12月28日、土曜日。
昨夜はオーロラを見ることができ、一応これで旅の目的は果たした格好だ。
しかし、この先もまだ3泊の行程が残っているので、まだしばらくお付き合い願います。

バスの発車時刻は7時20分と早い。朝食会場は6時30分からオープンしている。当初は朝食抜きということも考えていたが、さっさと行ってこよう。
ホットビュッフェのメニューは、昨日と同じものだった。客も昨日と同じ中国系の人ばかり。

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 昨日と同じ朝食。真ん中のはミルク。

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 昼からはレストランになる朝食会場。

荷造りは昨日のうちにしておいたので、朝まで使っていた寝間着や洗面道具なんかを片付けて7時にチェックアウト。
ホテル入口にあるバーの椅子で待たせてもらう。

バーは朝から営業しているようで、地元の人らしい客がたまにやってきてコーヒーを買っていた。

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 朝7時のホテルイナリ。気温は上がって−5℃。

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 世話になったレセプション。

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 エントランスから入ったところにあるバー。

チェックアウトしてバスを待つ人が増えてくる。カップルやグループの中国人ばかり。自分入れて10人いるかいないかくらい。意外と少ない。

1人が同胞だと思ったのか中国語で何やら訊ねてきた。分かるはずもなく、申し訳ないが「アイドントノー」。
おそらくロヴァニエミ行のバスはここで待っていればいいのか?とでも言ったのだろう。

7:13にバスがホテルの正面に着いた。来た時と同じ色のバス。
床下のトランクにバックパックを入れて、運転手に印刷してきたチケットを見せて乗る。

イナリ行きのときは機械に入力して0円券のレシートをくれたが、今度のは見るだけだった。

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 ホテル正面に到着したバス。

このバスはタナブルという所が始発となっている。

タナブルとはイナリから200km近く北にある、国境を越えたノルウェーの町。そこを夜中の3時半に出発して終点のロヴァニエミ着は12:15、総運転距離は531kmという超長距離バスだ。しかも路線バスであり、乗客がいなければ通過するものの、基本各駅停車である。

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 イナリ→サンタクロース村のバスチケット表記。

真夜中に出発して国境を越えてきたバスは、地元の人が数人といったところ。数は少なくとも人が住んでいる以上は沿線の人たちにとってなくてはならないバス路線なのだろう。

今回のバスもオンラインで買うときに座席の予約をしておいた。
その予約席には丸いボール紙の札が置いてある。これが予約席の表示のようだった。

行きのバスには置いてなかった、というかもう予約席なんて言い出したら車内がてんやわんやになりそうな混み方だった。
帰りのバスは行きとはずいぶんと違うが、これが本来の姿なのかもしれない。

とにかく、このバスの客になればロヴァニエミまで運んで行ってくれる。

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 座席に置いてあったVarattu(予約席)の札。

イナリにあるいくつかのバス停に寄って何人か乗って来る。やはり中国系ばかり。それでも車内は空席が目立つままイナリの村を後にした。
ここからロヴァニエミまでは再び7時間以上のバスの旅となる。

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 イナリ発車時は空席の方が多かった車内。

8時、イバロ着。ここで地元の人らしい数人が降りる。代わりにまた中国人が乗ってきた。
これも学生らしい若い人ばかりだった。そのなかに混じって、軽装の地元客らしき人も数人乗ってきた。

まだ車内は空席が目立つものの、この先サーリセルカや北極リゾートといった観光地も通るので、そこでもまたたくさん乗ってくるのだろう。

外はまだ真っ暗闇。もう早く着いてほしいと思った。
幸い、車内はフリーのWiFiがあるし座席にはコンセントもある。車窓よりもスマホを友として過ごすことにしよう。

どこかの団体さん一行と違ってこちらは静か。皆さん身なりも良いしマナーも身に着いているのは感じる。
裕福な家の出ということを思わせる人たちだった。

ただ、時々あちこちから鳴るスマホの着信音にはイラっとさせられる。

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 8:40頃、サーリセルカ着。まだ真っ暗。

再びきらびやかな町灯かりが見えてくると、ラップランドの一大リゾート地であるサーリセルカに到着。
ここでまた観光客がたくさん乗って来るものだと覚悟していたが、ここから乗ってきた人はいなかった。
さっきイバロで乗ってきた地元客は全員ここで降りた。サーリセルカのリゾートホテルに通勤している人たちだろうか。

こういう人たちを見ていると、超長距離バスでも地元の人の足である路線バスなんだなと思う。

ここからはもう1台のバスが先行して走る。おそらく別の所が始発で、合流してロヴァニエミへ向かうバスだろう。
こちらのバスが空いているのは、同じ時間帯にロヴァニエミへ向かうバスが多数あるため、乗客が分散したためだろうか。

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 真っ白になった湖、夏ならば風光明媚なのだろうが。

9時頃、北極リゾートのあるカクシラウッタネン着。ここからも目立った乗車はなく、まだ空席も多い。
この辺りから空が明るくなり始めた。

雲が多かったが、次第に晴れ間の方が多くなってきて、10時頃には森が途切れた雪原の向こうに朝焼けが見え始めた。
これは今夜もオーロラが見られるかもと、ちょっと期待してみる。

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 東の空に現れた朝焼け。

10:20、イバロ以来の町であるソダンキュラの町に入る。もうすっかり明るくなった。
バスターミナルに入り、ここで10分ほど停車する。発車は10時30分と運転手のアナウンスがあった。
ちょっと降りて外の空気を吸う。

バスは後ろにもドアがあり、そこからも降りられるようになっている。
前のドアはここからの乗客が並んでいた。20人はいるだろうか。
予約席とは言え自席が占拠されたら困るので、撮影もそこそこに車内に戻る。

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 ソダンキュラのバスターミナルで小休止。

ソダンキュラからの乗客はほとんどが地元の人らしき人。用事で町に行くというよりは、土産物の紙袋を下げていたりしているので、帰省した戻りのような恰好に見える。
乗車した人たちは、空席を求めて狭い通路を右往左往。全員座れるのかと思っていたが、何とか座れたようでバスも発車する。

隣席は大柄なフィンランド人の兄さん。だいぶ窮屈になったが、あと1時間少々の辛抱だ。
大勢の地元客のおかげで、車内は路線バスの雰囲気を取り戻した格好になる。

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 ロヴァニエミが近くなると厚い雲が覆うようになった。

ソダンキュラでは見えていた青空も、だんだん曇り空に変わってゆく。
ロヴァニエミに近づくにつれ、小雪もちらつき始めた。

このバスはロヴァニエミのバスターミナルが終点だが、町の手前にサンタクロース村があるので、そこで降りることにしている。
時刻表では11:41着予定になっているが、さっきのソダンキュラでの発車が遅れたせいで、まだ着かない。

12時を過ぎたころ、運転手がマイクで「サンタクロースビレッジ」といってバスを停車させた。
車内の中国人客が一斉に席を立つ。皆考えることは同じであった。

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 国道にあるサンタクロース村(Polar circle)前のバス停に到着。

ただでさえ馬鹿でかいスーツケースをより分けて下ろさなければならないので大変だ。
運転手も降りて荷下ろしを手伝う。

これを雪道の中を引きずって歩いて、こんどはどこかに預けなければならないわけだ。
もう少し身軽にすればいいものを、彼らはその大きさを競っているかのように馬鹿でかいスーツケースを引いて歩き回るのだった。

私の荷物はバックパック1個だけなので身軽なもの。
こちらは国道下の地下道を抜けてサンタクロース村に一番乗りする。


 ◆ サンタクロース村にて

ここはその名の通り、世界中で知らない人はいないくらい有名な、あの赤い服を着て白いひげを蓄えたおじいさんがいるところ。
その名はサンタクロース村(Santa Claus Village)。
ロヴァニエミといえばサンタクロース村というくらい有名どころである。

ここは、要はサンタクロースのテーマパーク。
いい歳した男が1人でウロウロするような場所ではないと思うし、正直それほど興味もなかったのだが、かといってほかに行くところがあるわけではなし、イナリからのバスの通り道でもあるので旅行の行程に組み込んだわけである。

インフォメーション棟を通り抜けた広場に面して、サンタのイラストがある塔が目立つ。
これがサンタクロース・オフィスで、この中に本物のサンタクロース様が御座(おわ)すのである。

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 サンタクロース村。奥の建物がサンタクロース・オフィス。

中に入ってみると、奥にいるサンタに会う人たちが扉の前で並んでいる。皆子供連れかカップルばかり。
さすがにこの人たちに混じって並ぶ気はせず、その奥にある土産物屋を眺めて過ごす。

サンタクロースかあ・・・

私が幼い頃、クリスマスイブの夜になるとうちにも毎年来てたよなあ。
いい子だったどうかは自信はないが、やさしいサンタさんはそれでも来てくれた。姿は見せず寝てる間にプレゼントだけ置いて。

しかしサンタさんって余程シャイなのか、正体がばれてしまった途端、その家へは来なくなるようだ。

誰でもいつかはサンタの正体を知ることになる。あれから大人になり、悪いこともたくさん覚えた自分。
クリスマスイブの夜に靴下を下げておいても、もうサンタさんなど来やしない・・・

あれからウン十年、サンタさんの存在などすっかり忘れていたよ。

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 この奥に本物のサンタクロースがいるらしい。

まあ、花より団子
サンタクロースよりも、土産物でも物色して、あとは1杯やって過ごすことにしよう。

外に出ると、サンタオフィスの横に塔が並んでいて、その上をイルミネーションが青く光っている。
脇の看板に『ARCTIC CIRCLE』『66°32′35″』と表示があり、ここが北極圏の入口である北極線ということを示している。

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 塔の向こう側が北極圏ということらしい。

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 ARCTIC CIRCLE(北極圏)の看板。

あれっ、でも北極線って北緯66度33分ではなかったっけ?

グーグルアース(Google Earth)で見ると、実際の北極線はロヴァニエミ空港へ向かう途中、ここから700mほど北に位置することになっている。
とすると、サンタ村かグーグルのどちらかが間違っていることになるわけだ。

と考えていると、突然目の前にサンタの幻が現われて言った。

ここが北極線なのだ、つまらん詮索はやめときなさい

はい・・・

そうだった、ここはサンタクロースの村なのだった。ここではこれが北極線なのである。

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 日本語の表記もある北極圏の説明文。

メインはサンタオフィスで、あとは土産物屋やカフェばかり。
カフェで何か食べていくかと覗いてみるが、昼時のせいかどのテーブルも一杯だった。

ブラブラと土産物を見て回ったりして過ごす。

さすがにここでは日本人らしき人もチラホラと見られた。
一人旅らしき男の姿も。さすがに彼らも居場所がないといった感じに見て取れた。

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 こちらの雪だるまは三つ玉のようだ。

たまに外に出ると、雪がだんだん強くなってゆく。外の気温計を見ると−8℃の表示。特に凍(しば)れるというわけではないが、外に長くはいたくない。

インフォメーション棟を外から見上げると各国の国旗が掲げられているのに気が付いた。その中に日の丸の国旗もある。
海外旅行をしていて、こうして日本の国旗を見るとちょっと嬉しく思う。

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 左から 芬 豪 伊 独 英 中 西 露。この国旗のチョイスの理由は如何に。

雪はだんだんと激しくなり、風も強くなってきた。
時折強い風が雪を舞い上げてブリザードになる。これはたまらんとインフォメーション棟の中で過ごすことにした。

この次は路線バスでロヴァニエミの市内へ向かうことになっているが、土曜なので本数が少なく、まだ30分以上も待たなければならない。

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 時どき突風で粉雪が激しく舞い上がる。

こちらの棟も土産物店やカフェが並んでいて、中でつながっている。一番奥は郵便局になっていて、ここで投函したハガキにサンタの消印を押してクリスマスになったら届けるという仕組み。
1通送りたいところがあったが、住所を控えてきていなかった。残念。

土産物はクリスマスグッズが多い。あとはイッタラとかマリメッコといったブランドのアウトレットショップなど。
欲しいものもあったが、荷物になることを考えてやめておく。
それでも、小さなぬいぐるみを2個だけ買った。

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 あちこちにサンタさんの置物がある。

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 インフォメーション(奥)とサンタ。

サンタクロース村だけあって、館内にはあちこちに置物のサンタクロースがいる。
その真ん中に、少々違った風貌のサンタクロースの像があった。
目立つ場所に置いてある割には目に止める人も少ない。

像の下にある説明書きを見るとフィンランド語と日本語で書かれているではないか。

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 日本から寄贈された木彫りのサンタクロース像。

“この像はアイヌ民族の彫刻家 床ヌブリ氏によって製作され 北海道フィンランド協会によってサンタクロース伝説発祥の地 ロバニエミ市に友好のシンボルとして寄贈されたものである 23.12.1986”説明文からの引用)

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 なにかをじっと見つめるような表情のサンタクロース。

なんとこの木彫りのサンタは、はるばる北海道からやってきた物だった。
同じ北海道出身のサンタに会えたことで、ほんの少しだが嬉しい気分になった。

サンタクロースからの、心へのちょっとしたプレゼントだったのだろう。

10へつづく


posted by pupupukaya at 20/02/08 | Comment(0) | 2019年冬フィンランド旅行記
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