2019年冬フィンランド旅行記6 北緯68度、イナリまで

 ◆ ロヴァニエミ駅 11:20【Rovaniemi-Karasjok,Exp.】17:10 ホテルイナリ

今いるのは北緯66度30分にあるロヴァニエミという町。フィンランド北部の内陸にあるラップランドの県都で、フィンランド鉄道の実質的な終着駅であり、ラップランド地方の交通の拠点でもある。ここから北は鉄道がないので、バスか車かということになる。

これからバスで向かうのは北緯68度54分にあるイナリという村。
ロヴァニエミからは約330km北に位置する。

330kmといえば、北海道でいえば札幌〜稚内の距離に匹敵する。それをバスで移動すると考えれば相当な距離に思えてくる。

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 ロヴァニエミ〜イナリ 332kmのバスルート。

旅行会社の募集しているオーロラツアーは、ここロヴァニエミ止まりというのが多いようだ。せいぜいラップランド最大のリゾート地であるサーリセルカまで。イナリまで足を延ばすツアーは、フリープランか少人数ツアーというものがほとんどである。

今回の旅行の、最初の最初の段階ではツアーでというのも検討したが、フィンランドは、さすがヨーロッパというべきか、こんな辺境の地でも各村や集落へ向けて一般のバス路線が伸びている。おかげで、こんな海外からのフリー旅行者でも自由に移動ができるというわけだ。

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 Eskelisen Lapin Linjat社のラップランドバス路線。

閑散としていた駅待合室も、だんだんバスの乗客たちが戻ってきたようだ。ほとんどが中国系の人たち。
11時少し前、駅横のバス乗り場に1台のバスがいた。近づいて行先を見ると『Tromsø(トロムソ)』とあって、これは違うようだ。
これから乗るのは『Karasjok(カラショク)』行。
ロヴァニエミから、サーリセルカ、イナリを経由して、国境を越えたノルウェーまで行く便である。

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 駅前のバス停に集まりだしたバス。

11時を過ぎたころからバス乗り場には続々とバスがやってきた。
どのバスもクリーム色に赤の同じ塗色。この配色に札幌市民ならば誰でも思うだろう、昔の札幌市営バスの観光バスを思い出した。
メーカーの銘板を見るとVOLVO(ボルボ)とあった。

11時台は各地へ向かうバスの出発ラッシュらしい。広場にバスが4台5台と並んで停まっていく。
カラショークと表示したバスは現れない。
運転手なのか案内の人なのか分からないが、バスの周りをウロウロしていたそれらしいおっさんに「イナリ?」と聞いてみたら「ウェイトヒア」と言われる。まだ来ていないようだった。

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 ラップランド各地へ向かうバスがぞくぞくと集まってきた。

各地に向かうバスが勢ぞろいし、行先を見ていると何だか楽しい。
そうしているうちに、ホームの方から放送が聞こえてきた。そういえば11時過ぎにヘルシンキから2本目の夜行列車が着くのだと思い出した。
ヘルシンキからロヴァニエミまでの夜行列車は2往復あり、こちらはヘルシンキを23:13に出発した列車である。
到着した列車からは、これもまた続々と乗客が降りてきてホームや駅の周りは賑やかになった。

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 11:09、ヘルシンキ始発の夜行列車、IC273列車が到着。

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 ホームはまた下車客で埋め尽くされた。

一方でバス乗り場の方もバスが次々と集まって来る。
列車の乗客たちはバスに乗り換えるのかと思っていたが、見ているそうでもない。

11時過ぎにロヴァニエミに着く列車から、同じく11時台に出発するバスに乗り継ぐというのはあまりにタイトスケージュールとなる。1分1秒まで正確な日本の鉄道ならばともかく、普通だったら余裕のある乗り継ぎスケージュールを組むだろう。

そうしているうちに奥の方から『Ivalo−Inari−Karasjok』と表示したバスがやってきた。さっきのおっさんにバスのチケットを見せるとこれに乗れというようなことを言われる。荷物はここに置けとバス横腹の荷物置き場を指さす。

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 バスは次から次へと、7〜8台は集まったろうか。

運転手に印刷してきたチケットを見せると「ステイホテル?」と聞かれ、「ホテルイナリ」と答えると機械を操作してレシートをくれた。見ると金額が0.0ユーロと表示してある。これがチケットというかバスの搭乗券みたいな物だろう。
事前にチケットを持っていない客は運転手から買うことになる。

バスの運賃はロヴァニエミからイナリまで60.6ユーロ。事前の座席予約をすると2.5ユーロ上乗せになる。
私はチケットを買うときに座席予約をしておいた。一番前、運転手後ろの席である。

予約の無い席は自由席ということになるのだろうが、座席には予約席のような表示は見当たらなかった。

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 運賃は予約時に支払い済みのため、ゼロ円券のようなレシート。

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 バスの最前列から。

このバスの乗客は数人だけ。さっき着いたヘルシンキからの夜行列車からの乗客で賑やかだが、こちらに乗り移ってくる人は少なかった。
この次はautoasema(アウトアセマ)=バスターミナルに寄るし、市内のバス停や空港へも寄るので、そこからも乗って来るのだろう。

予約料金がかかったが、とりあえずは眺めの良い席が確保できて嬉しい。
ここからイナリまでは5時間50分の道のり。鉄道や飛行機と違って、バスならば相当な長時間乗車となる。

それにしても、今朝夜行列車から降り立った大勢の中国系の人たちはどこへ行ったんだろう。

新たな客も増えぬまま、11:20になりバスは発車した。
先頭のバスに続いて、後ろにも同じく発車したバスが続く。

バスターミナルは駅から400m離れた場所にあって、まずこちらに立ち寄る。
ここの発車時刻は11:45となっていて、20分以上も停車時間がある。専用のバスターミナルの建物があって、駅前の乗り場より見栄えはする。
そんなに距離は離れていないし、町の中心部からも遠いのでどちらかに集約しても良い気がするが、とにかく別々になっている。

前のバスに続いてターミナルに入って行くと・・・・

まじ!?

思わず声が出そうになった。

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 バスターミナルの人だかり。

バスターミナルの乗り場には何十人もの黒山の人だかりが。
それも大型のスーツケースを持った集団。今朝駅に着いた時、ホームで見かけた集団と同じような人たちである。

早朝に夜行列車で着いた人たちは、こちらのバスターミナルで待っていたというわけか。

頼むから他の行先の客であってくれよと願ったが、バスが停まると集団は続々とこちらに向かってきた。
これ全員乗れるのかと思うほどだ。
やれやれ、これから6時間近く満席で行くのかと思う。

いっぺんに乗せたら収集がつかなくなると思ったのか運転手は外に出て一旦ドアを閉めた。
まず荷物を収容させてから順番に乗せるようである。

隣に停まっているバスを見ると、こちらと同じ『イバロ−イナリ−カラショーク』と表示してあった。
どうやらこのバスの増車のようである。

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 これ全員乗って来るのか。

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 隣に停まったカラショーク行の増車。

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 増車に群がる乗客たち。

予約のある人だけこちらに乗せるのか、どういう風に振り分けているのかわからないが、増車の方にも乗客が回ってきた。
ざっと見た目ではあるが、8割方は私を含めアジア系、その大半は中国系である。

中国系の人たちは、学生なのか若い人が多い。その大半が数人のグループかカップルなのであった。私のような1人旅は見なかった。ていうかそれ以外の組み合わせは見なかった。
そして彼らはみな例外なく大荷物だった。最大級と思われるスーツケース、それにプラス機内持ち込みサイズのスーツケース、どうかするさらに手提げ袋の人まで。

荷物が積み終わると今度は順番に乗せてゆく。
乗客ごとのチケットを確認して機械に打ち込みレシートを発行する。チケットの無い客からは直接運賃を受け取る。
1番前の席なので、そんな光景を眺めていた。

学割を期待したのか漢字の学生証を提示した学生客もいて、運転手は「ここはフィンランドだ!」みたいなことを言って断っていた。
学割を受けるには国際学生証が必要であろう。

スマホの地図を差し出して運転手に見せる人も多い。ここまでのチケットをくれということだろう。
これは中国人独特なのか知らないが、これが彼らの道の尋ね方なのである。

これは私も地元札幌で何度か経験がある。
信号待ちなんかで立ち止まっていると、突然肩をたたかれ、スマホの地図をヌッと差し出される。
どうやらそこへ行きたいとわかるが、教えてあげたくても、それに対して何と答えたらいいのか分からないのだ。

どんなに片言でも、言葉で尋ねられればそれなりに答えることができるが、ただ差し出して見せられても、こちらもどうリアクションして良いかわからず困ってしまうのだった。

やはり言葉のコミュニケーションって大事だと思った

話が脱線したが、そんな感じなので1人1人乗せるのに時間がかかる。
発車時刻の11:45はとうに過ぎてしまった。

あとは誤乗、レシートを見てから行先が違うことに気が付いた中国人2人連れ。
カード払いのため車内では払い戻しできないようで、運転手は向こうのスーパーへ行けという意味のことを言った。

混んでいるので遅れるのは仕方がないが、発車時刻を過ぎてから待合所から出てバスに向かってくる奴らは一体何なんだ
その度にまた横腹のトランクを開けたりするので、さらに時間がかかる。

なんだかんだで、発車できたのは12時を過ぎてからだった。
先に増車の方が発車し、そのあとを追う格好となった。

乗客の顔ぶれだけ見ていれば、中国人団体のツアーバスといった様相である。

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 ロヴァニエミ空港に寄る。ここからも乗客が。

市内のバス停からも何人か乗ってきた。まだ空席があったんだ。
そのあと空港へ。ここからも何人か乗ってきた。

増車の方は途中からの客は乗せないのか先に行ってしまい、もう見えなくなった。

走るのはケミからラップランド北のノルウェーの国境まで続く国道75号線
バスターミナルでの遅れを取り戻すためか、片側1車線の道路を飛ばす。

前の車に追いついて、しばし後に付く。これは直線区間になると次々に追い越した。

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 直線区間になると前の車を次々と追い越す。

国道沿いは雪をかぶった森ばかりが続く。木々が途切れたところからは雪原が見え隠れするが、湖なのかただの荒地なのかは判別できない。湖ならば美しい風景なのだろうな。

たまに小さな集落を通過する。集落と言っても家が2〜3軒あるだけ。
ちょっと大きめの集落にはスーパーマーケットもあった。えっこんなところに、と思う場所である。

だんだん薄暗くなってきて、もう夕方という気分になってくるが時計を見るとまだ午後1時半を過ぎたばかりである。
ここから先は日が昇ることがない極夜の世界となる。

明るいうちに着くわけがないとわかっているが、ホテルに着く前に夕暮れを迎えるというのは、あまりいい気分ではない。

空港から1時間半くらい走ってソダンキュラに着いた。ようやく町らしいところである。
バスはターミナルらしきところに入って行く。
ここで少し席が空くと期待したが、降りる人はいたが乗る人の方が多かった。

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 ソダンキュラはロヴァニエミを出発して、初めて町らしい町だった。

時刻表ではソダンキュラで20分ほどの停車時間があるようだが、乗り降りが済むとすぐに発車した。13:55である。
そのせいか定刻の10分遅れにまで縮まった。
ここからは定時で持っていくぜとばかりに、運転手はまた国道を飛ばす。

バス停留所は集落ごとにあるが、客がなければ通過する。
たまに途中で乗り降りがあって、停車するたびにバス停の名前をマイクで呼ぶ。
こういうところでは地元の人らしい乗客が1人2人と乗り降りする。車を持たない人にとっては貴重な足だ。

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 行けども行けども雪をかぶった森の道。

もう完全に日が暮れた15時過ぎ、ソダンキュラ以来の町らしいところに着いた。

カクシラウッタネン(Kakslauttanen)という所。
Arctic Resort(北極リゾート)というホテルがあり、ガラスイグルーという天井がガラス張りで部屋からオーロラが見える部屋が売りのホテルがあったりして、ここを宿にする日本のツアーも多いようだ。

リゾート地のようで、ここでようやく降りる人が目立った。
しかし乗って来る人もまた多い。

ここで日本人カップルが乗ってきた。

運転手「ノーエアポート
客「えっ、空港へは行かないみたい

どうやらイバロ空港まで行きたいようだ。
しかし、このバスはイバロの町には停まるが空港へは行かない。

何だかやり取りしているうち、
運転手「ネクストタクシー オア オールバス
となった。
途中で降りてタクシーを拾うか、空港行のバスに乗り換えるかということだ。

2人の会話を聞いていると、7時発の飛行機とかなんとか聞こえる。おいおい、大丈夫なのか。
とりあえず乗ってなさいということになり、2人は後ろの席の方に去って行った。
現地フリープランのツアーで来たのだろうか。自作の旅行ならば事前にもっと調べて来るだろうしなあ。

続いてやってきたのが中国人の学生らしい3人連れ。
これはご多分に漏れずスマホの地図をヌッと運転手に差し出している。
「カポ」だか「ケポ」だか言っているが、運転手もどこだそりゃ?とばかりに困惑している。
あれこれスマホの地図をいじって見せて、運転手もようやくわかったようで、これも「ネクストタクシー オア オールバス」となった。

乗り間違えなのか降りそびれたのかは分からないが、ネクストストップで降りてタクシーか戻るバスに乗れということになったようだ。

次のラーニラという停留所で停車。さっきの3人連れは降りるのかと思ったが、また運転手にスマホを見せて何やらやっている。
こんな所で降ろされてもねえ。夏ならばともかく、今はヘタすりゃ凍死してしまう。

運転手「わかった、タクシー呼んでやるからとりあえず乗ってろ」
って言ったかはわからないが、また後ろの席へ去って行った。

走りだしてから、運転手は無線で営業所へ連絡。「タクシー」の言葉が聞こえたので彼らのためにタクシーを手配してくれということだろう。

しかし、運転手も大変なハードワークだ。
満員に近い乗客のチケットを1枚1枚発券し、走りだしたら国道を飛ばして次々と追い越しをして、面倒な客のケアまでしなければならない。

不安なのか、このあと停まる停留所ごとに彼らはやってきて運転手と何やらやり取りする。
そのたびに「タクシー呼んだから、着いたら教えるから、とにかく乗ってろ」(って言ったかは定かではないが・・)ということだった。

あと日本人カップルである。
これも停まるたびにやってきて運転手とやり取り。
これも「着いたら教えるから、とにかく乗ってろ」ということだった。
この関西訛りの日本人は何を勘違いしたか「空港まで行ってくれるみたい」言う声が聞こえた。

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 えーい、ごぼう抜き。

国道の制限速度は、人家のある場所は60km/hとかになるが、それ以外は基本100km/h。
圧雪アイスバーンの道を走る車を、バスは次々と追い越して行く。
ソダンキュラでの20分間の停車時間も詰めているので、運転手はロヴァニエミからずっとぶっ通しである。

きらびやかな照明が現われるとサーリセルカ。ラップランド最大のリゾート地として知られる。
ここを目的地とするツアーも多い。
バスはいくつかのホテルに立ち寄って観光客を降ろす。

その1つの停留所で、さっきの中国人3人連れに運転手が「あそこにタクシーが待っているから」と言うと納得したのか彼らは降りた。
またタクシーの運転手にスマホを見せるんだろうなとか、とんだ散財だったなとか思うが、ま、他人事ではある

で、さっきの日本人。また運転手に確認に来る。
空港まで行くのは大変な誤解で、これも運転手が「途中にタクシーを呼んであるから、着いたら教えるから」というようなことを言うと安心したようだった。

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 ラップランド最大のリゾート地、サーリセルカ。

若干減ったものの、相変わらず満員に近いままサーリセルカを後にする。

15分ほど走った何もないバス停に停車すると、運転手が「イバロ エアポート」と叫んだ。
前にはタクシーが1台停まっている。
さっきの日本人カップルが来て、運転手が指さして「タクシー」というとわかったようで降りて行った。

ここからイバロ空港までは3kmほどの距離。運転手の働きで事なきを得たようである。

同じ同胞として、まったく情けない!

16:18イバロのバスターミナルに着く。

ここでまとまった人数が降りる。入れ替わりにカラショークまで行く人たちが数人乗ってきた。さすがに今度は地元の人のようだった。
運転手が「ここで30分間停車します」(と言ったような気がする・・)とか言って降りて行った。
時刻表では、ここの発車時刻は16:35となっている。

外に出るのは煙草を吸いに出る人くらい。
カフェらしき店はあるが、他に何もない。町の中心部からは少し離れているようである。

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 イバロのバスターミナルで小休止するバス。

運転手はパンを頬張りながら戻ってきた。
ロヴァニエミ駅を出発してからここまで5時間近く、ほぼぶっ通しで来たわけで、ここまできてようやく小休止となったわけだ。

発車間際に運転手は乗客の1人1人に「ステイホテル?」と聞いて回る。
ホテルの前まで行ってくれるのか、ちゃんと宿を確保できているかの確認なのかはわからない。
私が予約してあるホテルイナリの声も多数。

全員確認したところで発車となる。発車は16:50、時刻表では16:35となっている。停車時間を詰めることがなかったのは、もうこの先乗ってくる人もいないからということか。


 ◆ イナリ到着

ずっと灯かりひとつない道路だったが、街灯が並ぶようになるとイナリが近いことを思わせる。
30分ほど走って、イナリの最初の停留所に着いた。運転手はホテルの名前を言う。

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 それぞれのホテル前で乗客を降ろす。

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 ホテルイナリ到着。エントランスから振り向いて。

イナリのいくつか目のバス停がホテルイナリだった。バスはホテルのエントランスの正面に着けた。
ここで席を立つ人が多い。全員がホテルイナリの客であろう。

バスを降りてトランクの扉が開くや否や、自分のバックパックをつかみ取ってレセプションに一目散で駆け込んだ。
だって、この人たちの後ろの方に並んだ日には、いつ部屋に入れるのかわからないんだもん。
荷物が少ないと、こういうときに有利になる。

というわけで1番乗り。

早々にチェックインしてキーを受け取った。
振り向くと、後ろは大行列となっていた。


 ◆ ホテルイナリとイナリ湖そしてオーロラ

部屋はツインのシングルユース。

シングルで良かったのだが、予約サイトではツインしか空いていなかったため。
宿泊料は1泊145ユーロ(約18,000円)、その2泊分である。
しかも、空いているのはここ1軒だけだった。予約したのはまだ出発まで2か月以上も前の10月というのに。
さすがオーロラシーズンは混むし、宿泊代も高騰するようである。

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 2泊の部屋はツインのシングルユース。

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 トイレとシャワールーム。

ツインルームは1人で過ごすのは勿体ないほど広く、バスルームも広くて、シティホテル並みの快適さはある。
お値段以上の価値があるとは思えないが、支払いは予約時に済んでいることだし、2晩快適に過ごさせてもらおう。

ヘルシンキのホテルがひどかったのと、前夜は個室とはいえ車内泊だったので、解放感が半端なかった

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 ホテルイナリ全景。

ホテルは国道に面した場所にあるが、裏手はイナリ湖に面している。
北側に湖があって遮るものがなく、オーロラ鑑賞にはもってこいのロケーションだ。
ただ、町に近いので周囲が明るいのが気になるところ。

さてオーロラは見られるかなと外へ出て裏手の湖畔へ。

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 ホテル裏のイナリ湖。冬は全面結氷して雪原となる。

冬でなければ美しい湖面が広がる景色なのだろうが、今は全面結氷して広大な雪原となっている。その上をスノーモービル通った轍(わだち)が縦横無尽にあるものだから風景としては今一つ。
新雪が積もれば、きれいな雪原となるのだろう。

空は雲がなく、星が良く見えている。
まだ6時を過ぎたばかり。オーロラは早ければ夜8時頃から見え始めるはずだ。
この辺りは、出発前にオーロラについて勉強してきたので知っている。

星を眺めていると、北斗七星を見つけた。
これを辿って行くと北極星が見つかる。なんと北極星は真上にあるのだった。
方位磁針の北がどこを差すのか気になるところだが、あいにく持ってきていなかった。

これはオーロラも期待できそうだ。初日からなんてツイてるんだろう。
まあとりあえず夕食がてら部屋で1杯やろう。

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 イナリの中心部あたり。

地図で調べてきていたスーパーへ行くと、祝日だがまだ営業していた。
カゴを持って店内に入ったが、そんなに買うものはないことに気づいた。
明日の分はまた明日買いに来れば良い。気が変わって、ホテルのレストランにでも行くかもしれないし。

ビールもたくさん置いてあり、とりあえずお酒の心配はいらないようだった。
ピザパン1個と絵葉書1枚をカゴに入れてレジへ行った。

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 部屋での夕食。

ヘルシンキの残りとさっきのピザパン、それにビールはロヴァニエミで買ったもの。
ビールがおいしい。こっちに来てからビールばかり飲んでいる。


 ◆ オーロラ鑑賞1日目

8時を過ぎて、さてそろそろどうかなと外へ出て湖畔へ。

あれっ?

6時過ぎは満天の星空だった空は雲が覆っている。ところどころの切れ目からは星が見えたが、肝心の北の空は完全に雲が覆ってしまっている。
それほど厚い雲でもなさそうだし、もう少し待てばどこかへ流れて行くかもしれない。
そんな期待をして一旦部屋に引っ込む。

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 イナリ湖の氷上にはオーロラを期待する人々が。

1時間ほどして9時ごろまた外へ。
依然として空は雲が覆っている。

湖上の雪原は歩いて行くことができる。街灯かりが届かない所まで行ってみたが、意味はなかった。
雲がぼんやり光っているのを見つけたが、オーロラの光なのか街灯かりが反射しているだけなのかはわからない。
仮にオーロラだとしても、この雲がどいてくれなければ話にならない。

また湖畔に戻って、すこし高くなったところに立って雲が去ることを祈る。
湖畔や湖面は同じようにオーロラを期待する人なのだろう、人影が点々と見える。

突然、スノーモービルが3台現れた。
そのまま湖面の方に去るのかと思ったら、こちらを威嚇するように周りを走り回る。

危ない!

この野郎!
俺を撥ねたら国際問題だからな!

頭にきて、持っている強力な懐中ライトを彼らに向けると去って行った。

今度は湖面にいる人たちの周りを蹴散らすように走り回っている。
何なんだアイツラ、気味が悪い。また部屋へ引っ込む。

気づいたらソファーでうたた寝していた。
10時半、また外へ。ダメ

午前0時、また出ようとすると、レセプションの方へ出るドアは施錠されていた。
レセプションから部屋へはレストランの中を通り抜けて出入りする構造になっているが、営業終了とともに出入りできなくなるようだ。
なんだ、これじゃオーロラが出ていても見られないじゃん、と思って部屋に戻りかけると、反対側に非常口のような扉があった。もしやと思って取ってを引くと開いた。ノブの横にはカードキーを差す機械がある。
部屋のカードキーを持っていれば、ここから自由に出入りできるのだった。

また湖面を見るが、空は変化なし。しつこい雲だ。風もなし。
ホテルの壁にデジタルの気温計があって、18時台は−8℃を表示していた。現在は−6℃、気温は逆に上がっているのだ。

晴れていれば放射冷却現象という現象が起こり気温は下がるのだが、上がっているということは雲は退かないことになる。

今夜はダメのようだ。
部屋に戻って焼酎の残りを飲んで寝ることにした。

オーロラ観測初日 ×

12/26の旅費
費用場所ユーロ円換算
マクドナルド(マックビーガン)ロヴァニエミ5.95744
Kマーケット(ビールと水とチョコ)ロヴァニエミ 8.161,015
Kマーケット(ピザパンと絵葉書)イナリ1.99247
12/26 合計 
16.1
2,006
7へつづく


posted by pupupukaya at 20/01/25 | Comment(0) | 2019年冬フィンランド旅行記
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