札幌〜函館間の夜行臨時列車について考える

2016年3月に北海道新幹線が開業してから早や3年以上が経つ。

北海道初の新幹線として開業当時は話題になったのだが、札幌あたりから見ると今ではすっかり影の薄い存在になってしまったようだ。

IMG_1445.JPG
 華々しくデビューした北海道新幹線だが・・・(2016年3月撮影)

それもそのはずで、札幌から北海道新幹線に乗るとすれば新函館北斗駅まで行かなければならず、札幌からだと最速の『スーパー北斗2号』でも3時間14分を要する。

札幌から北海道・東北新幹線利用でどれくらい時間がかかるのか、札幌発の始発列車、札幌着の最終列車の時刻を表にしてみた。

 2019/3改正
はやぶさ〜S北斗接続時刻表
 
はや
ぶさ27
S北斗
  23
  
S北斗
  2
はや
ぶさ16
東 京 発15:20  札 幌 発  6:00 
大 宮 〃15:46  新函館 着  9:14 
仙 台 〃16:54  新函館 発   9:35
盛 岡 〃17:37  新青森 着 10:37
新青森 〃18:45  盛 岡 〃 11:43
新函館 着19:47  仙 台 〃 12:29
新函館 発 20:13 大 宮 〃 13:38
札 幌 着 23:40 東 京 〃 14:04
  ※表中新函館は新函館北斗

札幌を朝6時に出発して午前中に着くのは盛岡まで。仙台は昼過ぎ、東京着は完全に午後になる。
ダイヤ上は札幌〜東京間が日帰り可能だが、常識的に見て日帰りは盛岡が限界だろう。

『スーパー白鳥』乗り継ぎ時代と比較しても所要時間が格段に短縮されたわけでもなく、札幌や函館から東北や東京行の割引企画乗車券もすべて無くなってしまった。

札幌あたりから見ると、新幹線も東北もすっかり後退してしまったのである。
これが解消されるには、2030年度末予定とされて目下建設中の北海道新幹線札幌延伸開業を待つしかないのだろうか。

  ★  ★

北海道新幹線開業前は北海道と本州を結ぶ主力列車は夜行列車だった。
寝台特急『北斗星』を筆頭に、豪華列車の『カシオペア』『トワイライトエクスプレス』といった列車が午後から夕方にかけて次々と札幌駅を出発して行ったものだった。

夜行列車が多かったのは、北海道対本州では所要時間がかかりすぎ、必然的に夜行となってしまうということもあった。

例えば上野〜札幌間の『北斗星』の所要時間は約16時間だったが、昼間走るとなると朝6時に出発しても到着は夜の22時だ。夜行とすれば夕方17時に出発すると、到着は翌朝9時となる。どちらが便利なのかは言うまでもない。

寝台特急の陰に隠れて存在していたのが、札幌〜青森間を結んでいた急行『はまなす』。
急行ということと、行先が青森ということに地味な印象はぬぐえないが、この列車は新幹線と組むことでその真価を発揮したのだった。

 2015/3改正
東北新幹線〜はまなす 接続時刻表
 
はや
ぶさ31
つがる
  9
はま
 なす
  
はま
 なす
つがる
  2
はや
ぶさ4
 東 京 発  18:20    札 幌 発22:00  
 大 宮 〃18:46    函 館 〃  3:22  
 仙 台 〃19:54    青 森 着  5:39  
 盛 岡 〃20:37    青 森 発   5:43 
 新青森 着21:37    新青森 着   5:48 
 新青森 発 22:02   新青森 発    6:17
 青 森 着 22:08   盛 岡 着    7:10
 青 森 発
  22:18 仙 台 〃    7:50
 函 館 着    0:44 大 宮 〃    8:59
 札 幌 〃  
  6:07
 
東 京 〃
  
  9:23

札幌からだといかに便利だったかは、上の時刻表をご覧いただければおわかりいただけるだろう。

青森と新青森での2回の乗り換えが煩わしいが、上りならば札幌を夜22時に出発すると9:23には東京に着けるのだった。
こうして見るとその韋駄天ぶりに改めて驚く。

新宿や渋谷でも10時前に着くことができたことになる。
飛行機ならば新千歳空港7:30発の便が始発便だが、羽田空港着が9:05で、そこから電車で各所へとなると軽く10時を過ぎてしまうわけで、飛行機より30分は早く東京に到着できることになる。

青森で乗り継いだ特急『つがる2号』の秋田着は8:22となっていて、こちらも十分使える乗り継ぎだ。

下りは東京発19:20の『はやぶさ33号』からの接続ができないのは物足りないが、各駅からは就業後に乗ることができるので夜行としては合格点だろう。

もう1つが、札幌や函館から東北・東京まで往復の企画乗車券が発売されていたのも新幹線が利用しやすかった。
例えば、札幌から東京フリーエリアまで『東京往復割引切符』というのがあって、値段は14,910円だった。
これは乗車券としての効力で、特急券等は別に買う必要があった。
これで『はまなす』(自由席)〜『はやぶさ』(指定席)の組み合わせで往復だと30,610円となる。

P93000171.JPG
 東京往復割引切符(2011年10月に使用したもの)

格安の航空券ならばもっと安いのがあるので割安感は薄いのだが、0泊3日はホテル代もかからず、金曜の夜に『はまなす』で発てば東京で1日たっぷり時間を使って、日曜の朝に戻って来るということも可能だった。

その代わり身体はきつかったが・・・

残念ながら、当時からこの乗り継ぎはJRも特に宣伝しているわけでなく、急行『はまなす』もシーズンオフはがら空きだった。
豪華寝台特急の陰にあって、一般的に夜行列車というものが冴えないイメージというのもあったのかもしれない。

PA010023.JPG
 青森に着いた急行はまなす(2011年10月撮影)

PA010038.JPG
 新青森6:10発はやぶさ4号に乗り継ぐ(2011年10月撮影)

PA010057.JPG
 東京着は9:24だった(2011年10月撮影)

急行『はまなす』はもう1つ別の実力があって、北海道&東日本パス(略称:北東パス)ならば自由席に限り乗車できるという特典があった。のちに急行料金を別に払えば指定席や寝台車も利用できるようになった。
青森に朝5時台に着く効力は大きく、青い森鉄道とIGRいわて銀河鉄道、東北本線の普通電車を乗り継いで、仙台には12時台には着いたものだった。

古くは快速『ミッドナイト』が札幌と函館の間を結んでいた。その列車があったときは青春18きっぷで快速『海峡』に乗り継いで東北旅行をしていたなあ。
自由席はニスの匂いがする木の床で青いボックスシート。
翌朝函館で乗り継いだ『海峡』の自由席カーペットカーで横になってぐっすり眠っていた。懐かしいなあ。

それはともかく、私事(わたくしごと)ではありますが新幹線も東北も身近な存在だったのだが、北海道新幹線によって完全に分断されてしまった格好になる。

せめて札幌〜函館間でいいから臨時列車でいいから夜行列車があればねえ。
臨時『北斗』は観光シーズンを中心に増発されることが多いが、夜行というのは一度もない。噂にも聞かない。

新函館北斗を6:39に発車する『はやぶさ10号』に乗り継ぐことができれば、東北もだいぶ近くなると思う。
夜行バスも新函館北斗駅に立ち寄るようだが、そうまでして利用したいとは思わない。

北海道だけでなく、JR各社も夜行列車というのを嫌うようで、定期列車ではすでに東京と出雲市・高松を結ぶ『サンライズ出雲』と『サンライズ瀬戸』だけになってしまった。
臨時列車でも青春18きっぷが発売される春・夏・冬に運転される『ムーンライトながら』だけ。
これも年々運転日が減らされ続けている。

  ★  ★

話は変わるが、2020年東京オリンピックの、マラソンと競歩の開催地が札幌に決定したそうだ。
ここまで色々とすったもんだがあったようだが、とりあえず決定おめでとうございます(札幌限定)。

サッカーの1次予選も札幌ドームで行われることになっており、札幌在住の私からすると今から楽しみな話題でもあります。

とはいっても、マラソンのコースはまだ未定だし、選手や関係者の宿泊施設をどう確保するかというのも大きな課題となっている。
それだけではなく、日本各地や世界中から観客が札幌に来るわけで、今からホテルの建設を始めても間に合うはずもなく、ただでさえ繁忙期の中、ホテル不足がこれから大問題になるだろう。

そこで臨時夜行『北斗』の出番ですよ。

札幌〜函館間に夜行列車を運転するとどのような乗り継ぎ時刻になるのかを想定したのが下の表。
臨時夜行のダイヤは、かつてあった快速『ミッドナイト』のを踏襲しています。

【仮想】2020/7・8東京五輪臨時列車
はやぶさ〜臨時夜行 接続時刻表
 
はや
ぶさ37
臨時
 夜行
  
臨時
 夜行
はや
ぶさ10
東 京 発19:20  札 幌 発23:30 
大 宮 〃19:46  新函館 着  6:25 
仙 台 〃20:55  新函館 発   6:39
盛 岡 〃21:38  新青森 〃   7:41
新青森 〃22:32  盛 岡 着   8:44
新函館 着23:29  仙 台 〃   9:29
新函館 発 23:45 大 宮 〃 10:38
札 幌 着   6:00 東 京 〃 11:04
  ※表中新函館は新函館北斗

夜行は夜中に移動できるのが最大の売り。

0泊3日で札幌にオリンピック競技見物に出かけるとする。
東京発19:20発『はやぶさ37号』だと終業後でも余裕で乗ることができそう。

上りの東京着が11時を過ぎるのは物足りないが、札幌市内のホテルに泊まれば仮に取れたとしても1泊ウン万円はするだろうし、午前中の飛行機で戻ることを考えれば十分アリじゃないかな。
それ札幌発はマラソン競技が終わって、ススキノで一杯やってからでも十分に間に合う。

DSCN0715.JPG
 駅前通りを走る北海道マラソンの画像(2017年8月撮影)

オリンピックが終わっても、このダイヤならば観光でもビジネスでも申し分ないだろう。
何といっても、札幌からでも東京からでも午前中に各地に着けるのが魅力。
仙台あたりならば0泊3日でも行けるだろう。

同じ区間は貨物列車が24時間走っているわけだし、車両と乗務員を都合つければすぐにできそう。
車両は昼間の『スーパー北斗』の間合いでいいわけだし。

なかなかいいアイデアだなあと思ったわけですけど、ダメ?

ね、JR北海道さん。


〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。


posted by pupupukaya at 19/11/03 | Comment(0) | 鉄道評論
この記事へのコメント
コメント
ニックネーム: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
Powered by さくらのブログ
最近のコメント(ありがとう)
2025年3月15日JR北海道ダイヤ改正について考える
 ⇒ 通りすがり北見民 (12/26)
ちょっと昔の札幌を振り返る
 ⇒ にわ (11/25)
 ⇒ ごんごん (07/02)
 ⇒ Tim (06/11)
 ⇒ pupupukaya (05/26)
 ⇒ こうか (05/25)
地平時代の旧旭川駅1 駅舎・ステーションデパート
 ⇒ わた (11/20)
 ⇒ 合同会社問寒別あさかぜ商会 (08/08)
 ⇒ pupupukaya (08/07)
 ⇒ 合同会社問寒別あさかぜ商会 (08/06)
 ⇒ pupupukaya (11/16)
地平時代の旧旭川駅2 ホームと列車と地下道
 ⇒ わた (11/20)
 ⇒ ことり (10/27)
 ⇒ pupupukaya (01/12)
 ⇒ しな (01/11)
 ⇒ 赤影 (08/12)
平成時代の改札口を見る
 ⇒ テレビ番組アシスタントディレクター (11/12)
 ⇒ pupupukaya (11/12)
 ⇒ テレビ番組アシスタントディレクター (11/07)
 ⇒ テレビ番組アシスタントディレクター (11/07)
 ⇒ テレビ番組アシスタントディレクター (11/07)