旧増毛駅と鉄道廃止後の盛況

留萌本線の留萌〜増毛間に最後の列車が走ったのは2016年12月4日。早いもので廃止から今年で3年になろうとしている。

旧増毛駅の駅舎は、増毛町がリニューアルして保存することになった。
駅前の歴史的建造物と合わせて新たな観光拠点とするため、建物は大正時代の開業当初の大きさに復元して保存するということだった。

新しくなった旧増毛駅がどのようになったのか。
2019年7月6日と7日。機会があったので見てくることにしました。

廃線前は増毛町を車で通るたびに駅に立ち寄っていたものだが、その過去の画像と現在の画像を定点対比でご覧ください。

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 ↑ 2014年6月撮影。 

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 ↑ 2019年7月撮影

駅舎正面から。
手前の四角い建物は公衆トイレで、これが建ったのは90年代だったかな。

札幌から国道231号線を車で走ること2時間以上、増毛駅はちょうどよいトイレと休憩場所でもあった。
リニューアル後はこのトイレも含め、一体感のある感じに仕上げてある。

せっかくリニューアルした旧駅舎も、この建物が前面にあるおかげで存在感も半減している気がする。
せめて移設するなどしてほしかった。

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  2014年6月撮影。

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↑ 2019年7月撮影 

ホームから駅舎方向を見る。
レールが錆びているのと電柱が撤去されたほかは当時のまま。

上画像は雑草が伸び放題だが、下のは草が刈られて手入れされているようだ。

廃車になった気動車を保存車として展示すれば観光スポットになったかもしれないが、こうしてまた列車が現れるかもしれない雰囲気にしておくのもまた違った良さがある。

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 2014年6月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影。 

駅舎は倍の広さに増築されていた。

かつては駅事務所や荷物扱い所などがあった場所だが、駅無人化で不要になり取り壊されていた部分が復活したことになる。
増築した部分は鉄道が現役時代の写真などが展示されたギャラリーとなっていた。

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 ↑ 2016年10月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影

駅舎のホーム側。
上画像は無人駅化から30年以上経ち、荒れた感じが否めない。

リニューアル後は映画のセットのようにも見える。
こうして新旧見比べると、柱は新品に取り換えたらしい。

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 ↑ 2015年9月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影

屋根の下から線路側を見る。
荒れた感じがするとはいえ、上の画像はまだ現役の頃。1両の列車が見える。

有人駅だったころは、乗客は改札口からこの屋根の下を通ってホームへ向かっていた。

奥の車が駐車してあるスペースは、ここも線路が何本も並んでいた。
無人化で貨物列車も無くなり、線路1本だけの棒線駅となった。

見違えるように綺麗になった駅だが、列車が来ない駅はやはり寂しい。

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2015年9月撮影

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↑ 2019年7月撮影 

駅舎の待合室。
映画『駅』でも印象的な、真ん中の銀色の柱はちゃんと残っていた。

待合室と旧事務室を仕切っていた壁は取り払われて広々となった。
個人的には、旧改札口の出入口はそれっぽくディスプレイしてほしかったが。

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2015年9月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影 

駅前の風待食堂。これも映画『駅』のロケで使用された建物。
観光案内所として活用されている。

2019年に訪れたときは、半分が『駅STATION』で居酒屋『桐子』のスタジオセットを再現した部屋がある。
最初見たときは、なんだ半分はテナントになったのかと思ったほど精巧にできている。

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2014年6月撮影

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 ↑ 2019年7月撮影

駅前の通り。
撮影場所は若干違うが、奥の古い建物は旧商家丸一本間家。

同じ休日の画像でも、通りを歩く人の数が全然違う。

   

この日増毛を再訪して思ったのは、観光客の多さだった。
7月の休日で天気も良かったせいもあるのだろうが、増毛ってこんなに観光地だったっけ、と目を疑うほどだ。

かつての増毛駅前と言えば、古い建物が立ち並び、ただ朽ちはてて寂れた商店街、それに無人駅で荒れるがままの増毛駅という感じだったのだが、鉄道廃止後のこの変わりようはすごい。

増毛の観光客が増えたきっかけは、やっぱりあれしかない。

そう、留萌本線の留萌〜増毛間の廃止である。

廃止が近くなると多くの乗り納め客があちこちから駆け付けた。
そのころから、増毛の町中に観光客が増えだしたのだ。

鉄道の廃止というのも、マスコミなどで取り上げられて話題になったのも、増毛の名が知られるようになった理由の一つだろう。

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 休日は多くの乗り納め客が増毛にやってきた。(2016年10月撮影)

もちろんそれだけが理由ではないだろう。

増毛駅周辺に、北海道遺産に指定された古い建物が多数残っていたこと。
もう一つが、旧増毛駅の無料駐車場の存在も大きい。

車で来た観光客はここに駐車することで、歩いて各スポットや飲食店を回ることになる。
町の一番奥にあった駅を駐車場とし、観光拠点とすることで、回遊性が増したことになる。

観光の魅力だけでなく、ここは札幌と留萌を結ぶ国道231号線の途中にあるという地の利もあるだろう。

ともあれ、鉄道の廃止というイベントがきっかけで観光客が増えたとすれば、何という皮肉だろうか。

観光客のそぞろ歩く増毛の旧駅前を見ていると、鉄道ファンとしては悔しいが、鉄道の存続よりも、廃止イベントで観光客への知名度を上げた方が得策ではないかと思えてきた。

具体的な駅名は挙げないが、木造駅舎があって国道からも近く、増毛駅のように整備すればそれなりに観光スポットとなるだろうなと思う駅はいくつかある。
そのどれもが、現役の鉄道駅であるが故に町の整備計画からも外れて中途半端な存在となっているのは残念に思う。

暴言は承知で言わせてもらえば、無理に鉄道の存続にこだわるよりは、廃止後に過去の産業遺産として保存し、観光スポットとした方が町の発展になるのでは、と思われた。

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。


posted by pupupukaya at 19/07/15 | Comment(0) | 廃線跡・未成線
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