1日1本の札沼線と金滴酒蔵祭り2

新十津川駅のホーム側入口の上にある『歓迎 ようこそ新十津川へ』の看板が新しくなっていた。
前はボロボロの看板だった。あれはたしか30年以上も前からあった気がする。

今までなかった『しんとつかわ』と書かれた縦書きの駅名標も壁に貼られていた。
これはよく見るとオリジナルのホーロー製ではなく、ビニール製のレプリカだった。

オリジナルのは、たしか盗難で失なわれたんじゃなかったっけ。
(ググってもソースは出てこなかった)

駅舎もペンキを塗ったり、若干新しくされている。

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 新しく掛けかえられた歓迎の看板。

駅舎の中に入るとさらに驚くのは、昔の窓口が復活している。
小荷物扱い所の引き戸の窓や、出札窓口がそのまま復活しているではないか。

無人化されたときに窓口を板でふさいだままで、内側はそのままになっていたということになる。

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 小荷物扱い所の窓口を復活して設けた観光案内所。

札沼線終着駅到達証明書交付(無料)とあったので1枚もらった。
日付印も押してあって、記念になる良いサービスだ。

しかし、1枚100円くらいで販売でも良かったんじゃないかとも思う。
これを作るにも配布するのにも経費が掛かっているんだろうし、収益で廃止後の駅舎を保存する費用に充てることも考える頃だろう。

旧江差線江差駅は現在は解体して無残にも町営住宅の一部になってしまったが、せっかく窓口まで復活させた新十津川駅なのだから、廃止後も保存してほしい。
駅舎もレトロ調にリニューアルして観光名所にすれば、私など廃止後でも車で通ったら必ず立ち寄るつもりだ。

隣のきっぷ売り場では、ご当地入場券と駅名マグネットなどのグッズを販売している。
面白いのは、昔使われていた出札箱もそのまま使われていた。

ご当地入場券は、別に集めているわけじゃないが記念に1枚買った。

昔、私が中学生だったころ、滝川駅から派遣の駅員がいて、ここで乗車券を買ったことがある。昭和61,10,10の日付が入った乗車券は今でも持っているが、なんだか懐かしい。

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 隣はきっぷ売り場。

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 無料の終着駅到達証明書と170円のご当地入場券。

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 原形の窓口が復活した新十津川駅。

いつの間にこんなものができたのかと調べたら、2018年4月に新十津川町観光協会が開設したのだそうだ(Wikiより)。

1日1往復の列車をアピールし、札沼線の存続につなげようということだったのだろう。
しかし、それもむなしく、同年12月には廃止が正式に決定した。

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 カレンダーに記録された新十津川駅降車客数。

観光案内所窓口の横に、その日の降車客を数えて記入したカレンダーが貼ってある。
見ると、今日の下車客は72人とあった。

その表を見ると、平日はまだゆったりと乗車することができそうだ。
反対にGW中は100人を超える日もある。まるでラッシュ並みの混雑だったことだろう。

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 1日1本だけの発車時刻表。

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 新十津川駅の木造駅舎入口。

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 名産品や土産物などを置いている新十津川駅市。

駅前広場には、これも観光協会による名産品などを売る土産屋が出店していて、完全な観光駅になっていた。

しかし時すでに遅し。
いくら乗客が増えようとも、廃止が覆ることは無い。
せいぜい、町で鉄道施設を買い上げて、トロッコ鉄道として保存するくらい。

人気のない町外れにあって、荒れるがままの無人駅だった頃しか知らない私からすると、勿体ないなあと思う。
これは廃止が決まった増毛駅なんかでもそうだけど、もっと早くにやっていれば違った結果になっていたのでは。

といっても、後付けで言うだけなら誰でもできるんだけどね (^^;

青森県の津軽鉄道などは、冬にストーブ列車を走らせて、そこから雪原と吹雪を眺めるのを売りにして全国からツアー客などが訪れる。
札沼線と沿線風景は大して変わらない。

何が違うんだろう。
ああ勿体ない、勿体ない。

これから廃止日が近づくにつれて訪問客も増えるだろうし、せいぜい商売繁盛をお祈りします。

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 駅前広場と新十津川駅。

折り返しの10:00発石狩当別行5426Dは、9:40分ごろに乗車開始となった。
こちらは各ボックスに1〜2人というほどの乗車率。

ただ札沼線に試乗目的であれば、新十津川発に乗った方がゆったりと楽しめそうだ。

発車を見送ってとも思ったが、発車を待たずに駅を後にする。
向かうは金滴酒蔵まつり会場。

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 新十津川駅前のランドマーク(?)階段の無いアパート。

駅から国道に向かう道の途中に、2階に部屋のドアが並ぶが登る階段がない不思議なアパートがある。
1階は倉庫なのかシャッターが降りている。

この建物も昔からあって、平凡な住宅地の中、妙に目立つ。
国道側から歩いて駅に向かえば、これが見えればもうすぐ駅に着くという目印になる。

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 国道へ出たファミリーマート前にある新十津川役場前のバス停。

駅から260mほどで国道275号に出る。
一本道だが、道がわかりずらいのはここが変形5差路だから。

ファミリーマートの前が新十津川役場前のバス停。
札沼線の列車からの人たちが何人かバスを待っていた。

駅から金滴酒造のある橋本町までは約1.8km、歩いて20分くらい。
またそこから滝川駅までは2.7kmで、これも歩けば30分もかからない距離。

基本歩くことにしている。
雨は降ったりやんだり。

9:45に駅を出発し、10時を少し回ったころに酒蔵祭り会場に着いた。
一旦上がった雨も、着くころにはまたポツリポツリ降り出した。

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 金滴酒蔵まつりの会場。

雨降りということもあってか、人出は思ったよりも少ない。
テント張りの出店もあって、焼き鳥やおでんなんかを売っている。

広場に並べられたテーブルも椅子も雨ざらしで、座ったらお尻が濡れてしまう。

なんだか気勢の上がらないお祭り会場だが、とりあえず振る舞い酒をいただくことにする。

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 入口での振る舞い酒。

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 せっかくの振る舞い酒も手持ち無沙汰。

樽酒と思いきや、中の大きなボールに入った酒を、柄杓でプラスチックのカップに注いでくれる。
雨で人出が少ないのと、車で来る人が多いので振る舞い酒もいまいち出ないようだ。

ボールの酒が少なくなると、ビン入りの酒を追加で注ぐ。

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 ソラチ粕味噌漬けのたれ販売所。

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 ソラチ粕味噌漬けのたれの試食コーナー。

傘片手に振る舞い酒を貰ってきて、これも傘をさして立って飲む。
なんとも情けない姿だが、座ったらお尻がずぶ濡れになるのでそうするしかない。

地元の人のバンド演奏と歌だけが酒の肴である。

スマホの雨雲レーダーを見ても、少なくとも夕方ごろまではずっと雨模様となっていた。

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 試食のホットプレート焼肉。なかなかお酒に合う。

ソラチ粕味噌漬けのたれ販売所のテントがあって、2回ほど試食させてもらったが、これはなかなか旨い。
酒粕入りということもあってか、お酒にもよく合う。

駆けつけ3杯というわけではないが、3杯も飲んだら大分気分が良くなってきた。
だから大いに宣伝させてもらいますよ。

ソラチ粕味噌漬けのたれ ♪
 ソラチ粕味噌漬けのたれ ♪
  ソラチ粕味噌漬けのたれ ♪

でも本当に旨いよ、いやマジで。

気に入って1ビン買ったら、おまけにポークチャップの素というのもくれた。

もう傘をさすのも面倒で、ソラチの販売所のテントの下で酒を飲む。

振る舞い酒コーナーに何度もおかわりに行くのは、もう決まった人になってしまった。
それくらい今日は人が少ない。

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 テーブルとイスも雨ざらしでは・・・

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 テントの下で飲んでいた。

飲むほどに雨は強くなって行く。
そのうちに土砂降りになってきた。

広場のテーブルで飲んでいた人たちもテントの下に移動している。

隣の笹寿し売り場のおばちゃんたちは「今日は売れないね〜」とこぼしている。
お祭りとあって、たくさん仕込んできたのだろうが、今日の人出では売れ残り必至だろう。

何となく気の毒に思えたのと、雨宿りのよしみで1つ買った。600円。
ここで食べるのも難しいので、帰りの車内か帰ってから食べることになる。

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 雨はだんだん激しさを増す。

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 ひどい降りになった。出店の人もあきらめムード。

雨を見ながら振る舞い酒をチビチビと。
ほかにしょうがない。

私のように振る舞い酒目当ての人もいて、中にはでかい酒枡持参の人もいたり・・・、どれだけ飲む気なのか。
常連なのか、この手のイベントでは毎度見かける顔ぶれ。

滝川駅12:36発の岩見沢行普通列車があり、これで帰ろうか。

最後に売店でお酒を買う。
手ぶらで帰るつもりはない。

タダ酒はいかんぞ (^^;

12時、役場から流れる時報のサイレンとともに会場を後にする。
雨は小降りになったようだ。

石狩川橋を渡って対岸の滝川へ。
いつもなら車で通りすぎることが多いが、今日は雨の中トボトボ歩く。

30分はかからず、28分で滝川駅に着いた。

滝川駅は、駅前広場が新しくなったとは聞いていたが、ロータリーの真ん中に置かれたグライダーが印象的だったくらい。
待合室もリニューアルされ、テーブルと椅子が並べられて、コミュニティー施設のようになっていた。

しかし、キヨスクもソバ屋も閉店して、むしろ寒々として見える。

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 駅前広場がリニューアルされてグライダーも展示された滝川駅。

滝川12:36分発岩見沢行はキハ40の2両編成。うち1両は日高本線用の車両である。
日高本線が台風で被災して不通となってもう大分経つが、本来の路線を走れないのでこんなところまで遠征するようになった。

跨線橋からホームに下りると、ちょうど特急ライラック22号が入ってきた。
一日散歩きっぷじゃなければ、特急料金を払ってでも、これに乗って帰りたいところだ。

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 岩見沢行924D(右)と到着する特急ライラック22号(左)。

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 2両のキハ40による運行。

2両の車内はボックスがさらりと埋まるほどの乗車率。
空いているボックス席に陣取ったらそのまま眠ってしまった。

目覚めたら峰延を発車したところ。
隣のボックスの客も別な人に代わっていた。

まだ酔いが抜けきらぬまま岩見沢で乗り換える。

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 岩見沢駅に到着。

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 733系2438M快速いしかりライナー。

岩見沢からは733系電車による快速いしかりライナー。
さすがに天下の函館本線だけあって新車が導入されている。

しかしオールロングシートは岩見沢〜札幌間をこれで乗り通すとなるとウンザリする。
しかも札幌までは各駅停車。

札幌までの44分間は、ずっとスマホとにらめっこで過ごしていた。

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 札幌駅に到着。

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 金滴酒蔵まつりで買ってきた品々。

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 酒蔵祭りで買った『お梅茶屋』製の鯖の笹寿し。

札沼線で行く『金滴酒蔵まつり』は今回が最初で最後。
来年の同じまつりがあるときに札沼線の北海道医療大学から先は無い。

札沼線に通しで乗るのもこれが最後かもしれない。

思えば、中学1年の時に初めて1人で遠出したのは札沼線乗車だった。
それから数えきれないくらい乗ったものだった。

これから益々名残乗車や葬式鉄は増えるだろうから、わざわざ混んでいる列車に乗りに行くことはしない。
一部区間をチョイ乗りくらいはするかもしれないが、私にとっては今回の乗車が最後のつもりでいる。

〜最後までお読みくださいましてありがとうございました。


posted by pupupukaya at 19/06/23 | Comment(0) | 道央の旅行記
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