札幌駅新幹線口停留場からは苗穂線とします。
札幌駅から苗穂駅までの間は、高架線路沿った南側に空間がある。
ここはかつて函館本線が地平だった時代、本線が3本、側線が両側に2本、計5線もの線路が並んでいたその跡地である。
桑園側は市道や緑道として整備されたが、苗穂側はなぜか多くが駐車場や空き地となっている。
そこが新幹線の建設用地になる。
新幹線の高架橋は、札幌駅から苗穂駅手前まで建設予定となっていて、車両基地を持たない札幌側はここを新幹線車両の留置線として使用することになっている。
旧路線時代は北3条通りにあった苗穂線だが、筆者の想像では新しい苗穂線はこの新幹線の高架下を通ることになる。
創成川通りから新幹線高架予定地を見る。
高架下に市電を通すとこんな感じになる。
新幹線高架下に市電の軌道を設けた断面図(筆者作成イメージ)。
もう1つは実際に高架下に敷設された軌道の例。
これは高架化工事による仮設の線路で、高架下に連続して敷設される常設の鉄道はあまり例は少ないようだ。

高架下線路のイメージ。九州新幹線の高架下を通る鹿児島本線(現在は高架に移設のため現存しない)。
※ googleストリートビュー( 2012年2月撮影)からの引用。
専用軌道とはいえ、いくつもの道路とは平面交差となる。
踏切としたいところだが、創成川通り、東2・3丁目通りは交通量が多く、交通信号機による交差になるのはやむを得ない。
軌道回路かトロコンで電車を検知したら、他の信号と連動して赤信号にして、電車信号を進行現示とする。
といっても、交差点ごとに信号待ちではかなわない。
東2・3丁目通りは、JR高架北側に並行している東西方向の道路が青の間は、市電軌道側も進行現示とすれば良い。
高架北側の交差点も赤信号なのでさほどの影響はないだろう。
これは東4丁目通りも同様。
交差する道路には信号機を設ける。画像は東2丁目通り。
次に交差するのが東5丁目、この通りは苗穂駅連絡通りとして拡幅の上東側に移設された道路。
北1条にあった中央体育館がここに移転してきて、この建物の南側からファクトリーまで空中歩廊で結ばれた。
ここに停留場を設ければファクトリー最寄りとなる。
停留場から体育館まで上屋を設け、軒下を通って空中歩廊入口まで行けるようにすれば、雨の日でも濡れずにファクトリーまで行けることになる。
苗穂駅連絡通りと交差する地点。北ガスアリーナの南側からファクトリーまでは空中歩廊で結ばれている。
この交差点の通りは車の通行量が少ないので踏切にしてもいいのではと思った。
しかし、道路構造令第二十九条では踏切を設ける条件として、線路から5m離れた道路中心から見て、110m(列車の速度が50km/h以下の場合)にわたって線路を見通すことができることとなっている。
高架下線路では110mもの区間の線路を見通すなどとても無理。
それ以外にも『踏切道改良促進法』とか『踏切道改良促進法施行規則』などの法律ががんじがらめとなって、踏切の新設は事実上不可能に近い。
ここも信号機による交差となるが、車の通行が少ないので、押しボタンの歩行者信号のように電車が停留場を発車したタイミングで赤信号にするくらいでいいんじゃないだろうか。
この交差点を過ぎると、終点苗穂駅までは名実ともに専用軌道区間となる。
東8丁目アンダーパスは、車道も歩道も地下道となっているので、市電の線路と平面交差することはない。
ここに停留場を設ければ東区方面からのアクセスも良くなる。
ただ、今の煤けた地下歩道はもう少しきれいにした方がよさそう。それに、エレベーターを設置するなどバリアフリー対応も必要だ。
東8丁目アンダーパスと歩行者地下道入口。
新幹線高架は苗穂駅手前まで建設予定となっており、そうなると新幹線留置線はアンダーパスから厚生病院裏あたりにかけて設けられることになる。
北海道新幹線は札幌が終点ではない。
実は旭川までが基本計画となっている。
札幌駅が2面2線となってしまったので、この留置線は非常に重要なものになる。
地下鉄終点の引込線のように、単純に複線の線路だけ設置するというわけにはいかない。
現状では、北海道新幹線が札幌からさらに延伸される可能性は極めて低いが、基本計画にある以上は延伸する可能性を残して、準備工事くらいはしておかなければならない。
例えば、新幹線開業後に旭川が冬季オリンピックの開催地に決定する可能性が、100%無いとは言い切れない。
とにかく、今ある現状だけで物事を判断してしまったら、また札幌駅の新幹線駅問題の再来である。
それでいくと、将来の本線になる2線と、留置線2線の計4本分の線路の高架をここに建設することになる。
なぜ筆者が旭川延伸と新幹線の高架橋について語るのかというと、市電を延伸した場合の車両の問題からだ。
市電を延伸といってもただ線路を敷けばいいってもんじゃない。
営業用の車両もその分必要になる。
仮に桑園駅〜苗穂駅に1系統を設け、片道30分程度の所要時間と想定すると、両終点での折り返し時間も加えると往復で1時間20分ということになる。
これで現行の市電の運転間隔である6〜7分間隔とすると、12台の電車が必要になる。それにラッシュ時の増車や予備車両を含めると20台くらいは必要になる。
現在の札幌市電の営業用車両は34台。これを南21条にある電車事業所に収容している。
電車事業所は建替えが予定されているが、さらに20台もの電車を収容するのは難しいだろう。
また、系統を桑園駅〜苗穂駅とすると、乗務員交代などの拠点を新たに設ける必要も出てくる。
しかし、車庫を新設するとなるとそれなりに土地が必要となる。沿線にそんな土地などあるはずもない。
で、新幹線の留置線である。
ケチケチしないで、きちんと旭川延伸の準備工事も行っておけば、ここに本線2線と留置線2線、計4本の線路が並ぶはずだ。高架の幅は20m以上にはなることになる。
ここへ市電の留置線を敷設し、乗務員の拠点も設けようというものだ。
なんともずる賢い考えだが、商売というのはこういうものだ。
上下本線と留置線計4線の高架下に市電留置線を設けた断面図(筆者作成イメージ)。
高架下に100mほどの長さの留置線を2本設ければ、3連接のA1200形ポラリス級車両でも10編成は収容できる。残りは西15丁目から回送して、建替えて拡張した電車事業所に収容することにしよう。
ここまでくれば苗穂駅まであと一息。
次に問題になりそうなのが踏切のある東9丁目通り。
いわゆる『あかずの踏切』である。
この踏切は一連の苗穂駅整備事業が完了したら除却されることになっている。
現在は市が地域住民に説明している状態。
歩行者用の跨線橋くらいは設けられるのかもしれないが、この道路と市電が交差することはない。
もしかしたら踏切除却の条件としてここに停留場を設けることになるかも。
タイミング的にそれはないかな。
苗穂駅の整備事業完了後に除却される予定の東9丁目踏切。
次は終点苗穂駅。
札幌市HP、札幌市内のルート図では新幹線の工事終点は東10丁目付近となっていて、そこから苗穂駅の新駅まで約100m。
ここからは高架下から空の下に出る。
しかし、新幹線の旭川延伸が実現すれば、ここも高架下ということにになる。
苗穂駅の自由通路から停留場ホームまで直結のエスカレーターを設ければJRとの乗り換えや北口方面へのアクセスは良くなる。
また、この自由通路からアリオまで空中通路で結ばれることになっている。
苗穂駅終点あたりの空間。北海道新幹線はさらに旭川まで基本計画になっている。
苗穂駅のホームはがっちりと終点形状にするか、延伸する可能性を残した形状にするのか。
苗穂駅南口の駅舎と線路の間は単線分の幅しかなく、さらなる延伸は難しそうだ。
仮にするとすれば、ここだけ単線で通すことになる。
延伸したら、この先は函館本線を跨ぐオーバーパスを新設して苗穂通りに出るか、旧苗穂駅付近から北3条通りに出て平和大橋を渡って菊水上町方面へ行くかといったところ。
この記事は、そもそもが想像なので景気よくいきたいところだが、ここは苗穂駅が終点ということにしておく。
苗穂駅の自由通路から線路横の空間を見る。元々は北ガス工場への引込線があった場所。
というわけで、地形図に苗穂線の路線を描いてみました。
再開発計画で、建物形状がHP等で拾えたものについてはそれも入れてみた。
苗穂線、札幌駅〜苗穂駅の詳細図(クリックで拡大)
苗穂線の停留場は東2丁目、東5丁目、東8丁目、苗穂駅の4箇所。
札幌駅新幹線口停留場から駅ビルの1階を通り抜けたら、創成川通りと交差する。
ここは信号機による平面交差となる。
通りを挟んだ向かい側にも建設される新駅ビルとは、階上の連絡デッキで結ばれるので、歩行者用信号は不要だろう。
他の信号と連動して創成川通りを赤信号ににするので、ここで最長1分以上の信号待ちが発生することになるが、致し方ないところ。
札幌駅新幹線口を出ると、次は東2丁目停留場。
ここは、新築移転する卸センター跡地の再開発地区が近い。
北海道建設新聞によると、大手デベロッパーがマンションを核に、ホテルなどを構想しているもよう。
2017/9/26 北海道建設新聞社
次が東5丁目停留場。
サッポロファクトリーへは空中歩廊を通って約300mの距離だ。
地下鉄バスセンター駅8番出口からファクトリーのフロンティア館までは約240m。
ただしこちらは外を歩くのと2箇所の信号があるので、雨の日や冬のアクセスは市電に軍配が上がりそう。
次が東8丁目停留場。
東8丁目アンダーパスと札幌厚生病院の両方の顔を立てて、その中間点とした。隣の停留場との距離を考えてもまあ無難なところ。
地下道を通ってJR線路の北側へ出ると、すぐにサッポロビール園の入口があるので、観光客の利用もありそう。
この付近に新幹線の留置線が設けられるはずなので、その幅広の高架下を利用して市電の留置線を設けることになるのは前述した通り。
ここに営業拠点を設けるか、派出所的なものになるのかわからないが、通常は東8丁目で乗務員交代が行われることになる。
(営業的なことまでは想像しません)
そして終点苗穂駅停留場。
ここはY字の単線の折り返し構造とし、片方は降車専用、もう片方は乗車専用ホームとなる。
苗穂駅2階の自由通路へはエスカレーターで直結、もちろん南口広場にも平面で出入りできる。
JR苗穂駅へも、その先のアリオへも屋内で移動できる。
現在北1条通りを運行している高速バスを北3条通り経由にして苗穂駅南口を経由させれば、苗穂駅は新たな交通結点となることだろう。
東区や白石区方面からの道路が集まる苗穂駅地区。立地的に見て、桑園以上に発展するような気がするのだがどうだろう。
さて、桑園駅から始まって苗穂駅まで完成した想像の延伸ルート。
次はダイヤを造像してみたいと思います。
【おことわり】 この記事の内容は100%筆者の私案であり、沿線の環境問題ほか、あらゆる利害、権利などは考慮していません。 筆者は、市電延伸の関係者や関係団体とは一切関係ありません。 |
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