札幌市電延伸ルートを勝手に想像する

2015(平成27)年12月20日、都心線が開業してループ運転が開始された札幌市電。

札幌市統計書 で1日平均の輸送人員を見ると、開業年の2015(平成27)年度の22,774人に対し、1年後の2015(平成28)年度は24,871人2,000人以上もの増加となっている。

開業前の札幌市の予想では、ループ化による乗客増を、1日平均600人としていたので、それを上回る大幅な増加となったことになる。
2年目の2018年度からは再び減少傾向となるが、これは料金値上げのためだろう。
乗客減でも、逆に乗車料収入は増加している。

札幌市電輸送人員
2月の1日平均の推移
(札幌市統計書より)
 年月
延伸前

2014年2月25,650
2015年2月26,126
延伸後



2016年2月27,723
2017年2月28,995
2018年2月27,959
2019年2月28,363

上表は札幌市電で一番利用客が多くなる2月の輸送人員の比較である。
開業前は2万6千人前後だったのが、ループ化後は2万8千人前後で推移している。

ループ化で一番乗客が増えたのは山鼻線だろう。

私は山鼻線の中島公園通の利用者だが、ループ化後の朝ラッシュ時の内回り電車は、冬や雨の日は満員状態のことも多くなった。

朝の内回り電車では、山鼻9条や東本願寺前から乗車する乗客が新たに増えたのも大きな変化だ。
ループ化以前、すすきの止まりだったころは、ここから乗ってくる人はほとんどいなかったものだ。

また朝ラッシュで一番混んでいても、せいぜい立ち客が十数人といった混雑率だった。
ループ化前と後では目見当でも1.5倍くらいは増えたのではないかと思う。

思うだけではしょうがないので、具体的なデータを示さなければならない。

ループ開業化後の停留場別の乗降客数のデータは、内部では持っているのだろうが公表はしていないようなので、国土数値情報のデータに各停留場の乗降客数を求めることにした。

Passengers2000.png
 停留場別利用客数。左は2015年、右は2017年作成のもの。
 国土数値情報(駅別乗降客数データ)国土交通省よりQGISで作成したものを引用。

上の図は 国土数値情報 駅別乗降客数データ から作成した停留場別の乗降客数の比較で、原典資料の年度は不明だが、乗降客数を合計して2で割ったものが全線の1日当たり乗車人員となる。

それでいくと左は23,446人右は30,732人で、札幌市統計書のデータと見比べると左2015年作成のものは2000(平成12)年頃のデータということになる。

右は 平成27年度(2015年度)交通部会の開催状況 の資料に『平成27年12月20日〜H28年1月19日(平日16日間の平均)』が30,576人とあるので、右はループ化開業後1か月間の平日データと見て間違いない。

Passengers2000and2015.png
 2000年対2015年ループ化後1か月間の停留場別乗降客数の比較(山鼻線)

それで比較すると、山鼻線の資生館小学校前〜東屯田通間の停留場では、乗降客数がほぼ1.5倍に増加しているのがわかる。

この増加した乗客は一体どこから来たのだろうか。

山鼻線は地下鉄南北線が並行しており、地下鉄からの移行と思いがちだが、市電と競合する地下鉄中島公園駅と幌平橋駅の両駅の乗車人員はここ数年来増加傾向にあって、市電ループ化後も減少はなく増加を続けている(札幌市統計書:市営高速電車駅別1日平均乗車人員より)。

地下鉄からの移行もあっただろうが、その数は少なかったことになる。
山鼻線は近くを並行するバス路線は無いので、増加した乗客のほとんどは徒歩や自転車、あるいはマイカーからの移行ということになる。
また、ループ化したことで新たな需要が生まれたこともあるだろう。

駅前通りを走ることで多くの人が目にすることや、低床電車のポラリスやシリウスの投入も話題となり、札幌市電の路線ブランドも高まっていると思われる。

開業後3年経っても、駅前通りでは市電にカメラやスマホを向ける観光客をいつも見かける。文字通り札幌の新たなシンボルである。

IMG_1592.JPG
 歩道上に新設された狸小路停留場と新型電車ポラリス。

山鼻西線の利用客数も増加している。
これは、近年沿線で新築マンションが多くなり、通勤客が増加しているのが原因である。

筆者は朝8時半ごろ通勤で南1条電車通りを歩いていて電車を目にしているが、見ていると外回りの市電の混雑度が年々増しているのを感じる。
特に冬季は超満員の電車も目にする。

最近はさらに朝ラッシュ時の混雑が激しくなっているようで、2019(平成31)年2月には急遽冬ダイヤの修正が行われて、西線11条折り返しの便が1往復増便された。

ということで、乗客増ということに限れば、札幌市電のループ化は一応は成功したと言える

これを受けて次に期待したいのは、さらなる路線延伸である

しかし、ループ化以降は路線延伸の話はパッタリと途絶えてしまった。

札幌市電の延伸計画は、上田前札幌市長の情熱から始まったもの。
現在の秋元市長は今年(2019年)の市長選では市電延伸の公約は特に掲げておらず、あまり乗り気ではないのかもしれない。

市電の延伸やライトレール化を訴え、独自の延伸案を公表していた市民団体のホームページも、ループ化以降は更新が途絶えてしまった。

それでも延伸に向けた取り組みは進んではいるようで、2019年4月には札幌市の入札情報に『平成31年度路面電車延伸に係る概略検討業務』というのがあったので、水面下では動いているようである。

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 延伸の3候補地区(札幌市路面電車活用計画より引用)

札幌市としては、札幌市路面電車活用方針<平成22年(2010年)3月策定>で『桑園地域』『都心地域』『創成川以東地域』の3地区を延伸の候補としている。

どの道路に敷設するとか、具体的な案はまだ公表されていない。
が、だいたい想像がつくし、ネットでググると地図上でバッチリと路線が記入された資料が出てきたりするが、公式なものではないので鵜呑みにするわけにはいかない。

市電の延伸については、延伸検討地区の住民から強い要望がある一方で、根強い反対もある。

具体的な案がないまま延伸論だけが先行してしまうのは控えたほうがいいだろう。

初期の段階で大々的な報道やキャンペーンなどが行われて、具体案やデータが無い状態で市議会の議案に上げられて、もし否決にでもなってしまったら、それこそ元も子もない

だから、延伸については慎重に進めるべきだろう。

まだまだ時間がかかりそうな市電の延伸計画。
いつごろ実現するのかというと、一つは2030年度末に予定されている北海道新幹線の札幌開業である。

創成川をまたぐ大東案に決定した新幹線の札幌駅は、現在の札幌駅の東コンコースや地下鉄東豊線さっぽろ駅からでも200m近く歩く場所になるし、南北線からだと400m以上歩くことになる。

市電の札幌駅乗り入れということになれば、既存の駅から離れた場所に設置される新幹線駅に乗り入れて、大通地区などと結ぶ路線になるというのは十分あり得る。

sapporost638.png
 新幹線札幌駅『大東案』(札幌駅ホーム位置に関する五者会議の資料より引用)

新幹線開業はおそらく札幌市にとって一大エポックとなる出来事になるし、市電を延伸するに当たる大きな名目にもなる。
それに連動して、同時期に創成川以東地域への延伸となるだろうか。
この地区は現在、北ガス移転跡地や新しい苗穂駅周辺など、再開発事業が目白押しとなっている。

前2候補に対し、あまり大きな名目がない桑園地区はそのあとということになりそう。
しかし、桑園ルートは既存の路線から分岐し、延長も約1.5kmと比較的短いので、一番簡単にできそうな気がする。

2031年かあ・・・
開業したら乗りたい。

ここに市電が開通したらどんな風になるかと想像するも、現実にはまだまだ先の話になりそうだ。

しかし私は気が短いので、悠長に待っていることはできないのであります。

そこで、勝手に市電延伸を想像することにしました。

具体的に最適なルートはどれか。
実際路面電車の軌道を敷設したらどうなるのか。
自動車やバスなど他の交通への影響など。

実際に図面上に線を引いてみたらどうなるのか。
実現可能なのか。

シミュレーションしてみると色々問題点が出てくるかもしれない。

札幌市電の延伸を想像するに当たっては、以下の条件での作成とします。

1,都市計画にない道路拡幅や隅切りはしない。
2,軌道敷設や停留場設置以外の土木工事はなるべくしない。
3,道路幅員ほか各寸法、各種データはネット上で拾ったものだけ使用する。

各寸法のソースについては、

都市計画道路の幅員と隅切り寸法:札幌市地図情報サービス
車道と歩道の幅員:札幌市下水道台帳情報提供サービス

を使用します。
それ以外のものについては、都度ソースを明記します。

記事中の地図は『国土地理院コンテンツ利用規約』に基づいて地理院地図(電子国土Web)を加工して使用します。

これは、あくまでも筆者の私案であり、生活環境や経営環境、あらゆる利害、権利など一切考慮していません。
市電延伸の関係者や関係団体とは一切関係ありません。

以上2点、予めおことわりしておきます。
桑園編へつづく


posted by pupupukaya at 19/05/18 | Comment(0) | 札幌市電
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