◆ ブロークンヒルの町並み
朝の小雨模様から午前中は曇り空だったが、午後からは青空が広がる晴天になったブロークンヒル。
イギリス植民地時代の1890年代にかけて建築された建物は産業革命以降、世界一繁栄した大英帝国のビクトリア様式、ハノーバー朝・ビクトリア女王(在位1837〜1901)時代の建築様式である。
1880年代から鉱山町として発展したブロークンヒルも1950年代をピークに衰退へと向かう。
現在は、往時の繁栄のまま錆びついてしまったような、アウトバックの内陸町である。
青空の下、日光に照らされても、どこか暗い感じが抜けきらないのは、鉱山町だったからなのか。
北海道の炭鉱町にも通ずるところがある。
19世紀から取り残されたようなブロークンヒルの街並み。
駅前のタウンスクエアから。
昔はスチームトラムが走っていたエージェント・ストリート。
エージェント・ストリートを走っていたスチームトラム。
アーケードが連なる中心部の商店街。
道行く人は少ない。エージェントストリート。
ビクトリア調のトレードホール(1904年建築)。鉱山の労働組合などが入る。
私が宿泊しているパレスホテルもブロークンヒルを代表する建築物のひとつで、1889年の建築、ニューサウスウェールズ州遺産に登録されている。
1994年公開のオーストラリア映画『プリシラ』(The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert)のロケに使われたこともある。
2階部分に張り出したベランダが特徴の建物。
同時期に建てられたホテルの建築は同様の形式が多く、パレスホテルだけでなく、あちこちで見られる。
1889年建築のパレスホテル全景。
19世紀のホテルは2階部分がベランダが特徴。
午後はずっと町の中を歩いて写真を撮りまくっていた。
町の人も、そんな旅行者など珍しくないというふうでもあった。
とにかく、のんびりとした町だった。
ホテルに戻る前に昨日行ったスーパーのコールスに寄って、また買い物をする。
ブロークンヒルの中心部は寂れているが、市民の買い物は郊外にあるショッピングセンターがメインのようだ。
ショッピングセンターはもう1つあって、そちらはこれも全国チェーンのウールワース(Woolworths)が入っている。
小さな町に大型ショッピングセンターが2つもあるのは意外だが、これは周囲に町らしい町が無いので、ブロークンヒルの商圏が広大なためだろう。
内陸に散らばる100kmも200kmも離れた集落から、車を飛ばしてブロークンヒルへ買い出しに来るのであろう。
また食品とワインを買ってホテルへ戻る。
◆ インディアンパシフィック号
日曜日にパースを出発したインディアンパシフィック号は火曜日の夕方にブロークンヒルに立ち寄る。
乗ることは叶わないが、せめてその列車を見ようと駅に行った。
インディアンパシフィックのブロークンヒル着は17時25分、発時刻は19時30分で、約2時間の停車時間がある。
ブロークンヒル駅。
駅に着くと、朝は施錠されていた駅舎が開けられていた。ただし、待合室ときっぷ売り場は施錠されたまま。
外観と昨日のイメージとは反対に、意外と狭い駅舎だった。
駅横の駐車場にはバスが2台停まって、オフトレインツアーの乗客を待っている。
ブロークンヒル駅の待合室。
ホームで入線を待つ。
ほかに迎える人もなく、オレンジベストの2人の作業員が立つのみ。
さっきまで青空だった空は、また雲が覆っていて薄暗くなってきた。
17時25分になっても列車は来ない。
パースから2晩かかって走ってきた列車である。定時に到着する方が無理ってもんだ。ここは日本ではない。
インディアンパシフィック号を待つ。
40分くらいまで待って、来なければホテルに戻るつもりでいた。
17時37分、線路の向こうから機関車のヘッドライトが近づいてきた。
2台の機関車とシルバーの長い客車がゆっくりゆっくり入ってきた。
来た、来た、来た。ゆっくりゆっくり入線する。
ブロークンヒル駅名標とインディアンパシフィック号。
ブロークンヒルの駅名標とインディアンパシフィック号の機関車を撮影できた。
機関車はホームを通り過ぎた場所で停止するので、
乗客だと絶対に撮影できないアングルである。
機関車はホームを通り過ぎて行ってしまった。
列車が停止すると乗客がぞろぞろと降りてきた。
2時間の停車中にブロークンヒルの観光をするツアーに参加する人々だ。
バスに乗る人は駅裏の展望台などを回るのだろう。
もう一方は歩いてパレスホテルの方へ向かって行く。ナイトショーのツアーだろう。
インディアンパシフィック号の客車。
駅舎から出る人はだれもいなかった。
列車が着いてからしばらくして西の方から突風と砂嵐が襲ってきた。
町中が赤っぽい煙に包まれたようになった。
インディアンパシフィックは砂嵐を連れて到着したのだった。
これがブロークンヒル名物砂嵐かあと感心するも、砂っぽいのはたまらない。
西の方から砂嵐がやって来た。
町を覆う砂嵐。
砂嵐に続いて雨が降ってきた。
上空からの冷たい空気にあおられて砂が舞い上がったのだろう。
砂嵐にまじって雨も降りだした。
雨はだんだん強くなり、ついに土砂降りになった。
これはたまらんとホテルに駆け込んで戻る。
◆ パレスホテル
パレスホテルは、やたらと”おかま”のディスプレイが多いのが気になっていた。
ドラァグクイーンを描いた『プリシラ』のロケがこのホテルで行なわれたことが由来で、別にこのホテルの主の趣味というわけではないようだ。
(実はそうなのかも知れないが)
毎年9月にはブロークンヒールフェスティバル(Broken Heel Festival)が3日間開催され、盛大なドラァグクイーン(女装した男性)のショーがパレスホテルの主催で行われるようだ。
ホテルのあちこちにそのポスターがある。
1階奥のホールではインディアンパシフィック号のナイトショーが行われて賑やかそうだ。
こちらも部屋に戻って1杯やることにしよう。
あらためてホテルの内装を見ると、1階から3階までの吹き抜けホールの壁面や階段は、一面に絵が描かれてド派手。
メインホールの吹き抜けは壁一面の絵画。
絵画だらけの壁や階段。サイケデリックな世界。
これらの絵画は当初からあったものではなく、1970年代初頭にイタリア人移住者のマリオ・セロットがこのホテルを購入したことによる。
購入後、マリオは天井に『ヴィーナスの誕生』の模写を自身で描いた。
これに合う絵を求めて、マリオは1000ドルの報酬で募集した。それに応じたのが地元の先住民の芸術家、ゴードン・ウェイであった。
壁画の条件は、アウトバック地帯の中、オアシスのように感じるように必ず水のシーンを描くというもので、このためどの壁画にも水辺が描かれている。
2009年に、今の所有者に売却されて改装工事が行われたが、壁画は当時のまま残されている。
吹き抜けの3階廊下から。
マリオが天井に描いた『ヴィーナスの誕生』の模写。
130年もの長きにわたってきたパレスホテル。
古い中に歴史を感じるか、ボロさを感じるかは人それぞれだが、鉱山町としての栄華を残すブロークンヒルを象徴するホテルともいえる。
夜はなんか出そうな・・・気のせい?
シャワールーム。一応男女別。
シャワーを浴びてから、部屋でワインを飲む。
あの豪華列車、インディアンパシフィックの乗客と同じ建屋内で過ごしているのは偶然とはいえ、何かの縁を感じる。
今晩の夕食。こんな画像を貼ってもしょうがないのだが。
窓の外を見ると雨は上がってまた明るくなってきた。通り雨だったようだ。
ホームにはツアーから戻った客の姿が見え始めた。
部屋から見る停車中のインディアンパシフィック号。
19時30分、インディアン・パシフィック号が発車していった。
終点のシドニー着は明朝11時30分となる。
また無人のホーム戻る。
20時ごろ再び暗くなってくる。今度は夕暮れである。
ベランダからの夕暮れ。
昨日と同じ1階のパブでまたビールを飲んだ。
オーストラリアのビールは泡が少ないのに気が付いた。
ドイツやチェコではジョッキの3/1は泡だったような気がする。
ただでさえ高いビールなので、泡に金払えるかよということなのか。
グラスになみなみに注ぐのがオーストラリア流ということになる。
1階のパブでビールを飲む。
何をしてるんだろう。
しっとりとした居心地だった。
ブロークンヒルの最後の夜はパブで更けてゆく。
車があればもう2〜3日滞在してもいいかな。
明日はバスでアデレードへと移動する。
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